(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2のノズル(36)及び前記第3のノズル(310)が、前記別のパージガス流(312)の速度よりも高速で前記パージガス流(38)を与えるように構成されている、請求項9に記載のリソグラフィ装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[011]
図1は、本発明に従った位置測定システムを用いるリソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は、照明システムIL、支持構造MT、基板テーブルWT、及び投影システムPSを備えることができる。
【0013】
[012] 照明システムILは、放射ビームBを調節するように構成されている。照明システムILは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせ等の様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0014】
[013] 照明システムILは放射源SOから放射ビームを受ける。例えば放射源SOがエキシマレーザである場合、放射源SOとリソグラフィ装置とは別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源SOはリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームBは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダを含むビームデリバリシステムBDを利用することで、放射源SOから照明システムILへと渡される。他の事例では、例えば放射源SOが水銀ランプの場合、放射源SOがリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及び照明システムILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDと共に、放射システムと呼ぶことができる。
【0015】
[014] 照明システムILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタADを含むことができる。更に、照明システムILは、インテグレータIN及びコンデンサCO等の様々な他のコンポーネントを含むことも可能である。照明システムILを用いて放射ビームBを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とを得ることができる。
【0016】
[015] 「放射ビームB」という言葉は、本明細書で用いる場合、紫外線(UV)放射(例えば365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、もしくは126nmの波長又はこれら付近の波長を有する)、及び極端紫外線(EUV)放射(例えば5〜20nmの範囲内の波長を有する)を含む、あらゆるタイプの電磁放射を包含すると共に、イオンビーム又は電子ビーム等の粒子ビームも包含する。
【0017】
[016] 支持構造(例えばマスクテーブル)MTは、パターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)MAを支持するためのものである。支持構造MTは、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1の位置決めシステムPMに接続されている。
【0018】
[017] 支持構造MTは、パターニングデバイスMAを支持、すなわちその重量を支えている。支持構造MTは、パターニングデバイスMAの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスMAが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスMAを保持する。この支持構造MTは、パターニングデバイスMAを保持するために、機械式、真空式、静電式等のクランプ技術を使用することができる。支持構造MTは、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造MTは、パターニングデバイスMAが例えば投影システムPSなどに対して確実に所望の位置に来るようにできる。
【0019】
[018] 本明細書において使用する「パターニングデバイスMA」という用語は、基板Wのターゲット部分Cにパターンを生成するように、放射ビームBの断面にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームBに付与されるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板Wのターゲット部分Cにおける所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームBに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分Cに生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0020】
[019] パターニングデバイスMAは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小型ミラーのマトリクス配列を使用し、ミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。本明細書で示すように、本装置は透過タイプであり、透過性マスクを使用する。
【0021】
[020] 例えばウェーハテーブル等の基板テーブルWTは、例えばレジストコートウェーハ等の基板Wを保持するためのものである。基板テーブルWTは、特定のパラメータに従って基板Wを正確に位置決めするように構成された第2の位置決めシステムPWに接続されている。
【0022】
[021] 投影システムPSは、パターニングデバイスMAによって放射ビームBへ付与されたパターンを、基板Wのターゲット部分C上に投影するように構成されている。
【0023】
[022] 本明細書において使用する「投影システムPS」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用等の他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム、及び静電気光学システム、又はそれらの任意の組み合わせを含む任意のタイプの投影システムを包含するものとして広義に解釈されるべきである。
【0024】
[023] 放射ビームBは、パターニングデバイスMAに入射し、パターニングデバイスMAによってパターン付与される。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、放射ビームBを基板Wのターゲット部分C上に集束させる。放射ビームBを集束させる基板W上のロケーションは、露光ロケーションと呼ばれる。第2の位置決めシステムPW及び位置センサIF(例えば干渉計デバイス、エンコーダ、又は容量センサ)を利用することにより、例えば放射ビームBの経路内に様々なターゲット部分Cを位置決めするように基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、第1の位置決めシステムPMと別の位置センサ(
図1には示されていない)を用いて、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。一般に、支持構造MTの移動は、ロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを利用することにより実現できる。ロングストロークモジュールは、長距離にわたって投影システムPSに対するショートストロークモジュールの粗動位置決めを行う。ショートストロークモジュールは、短距離でロングストロークモジュールに対するパターニングデバイスMAの微動位置決めを行う。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2の位置決めシステムPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持構造MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。
【0025】
[024] パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークP1、P2は専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい。同様に、パターニングデバイスMA上に2つ以上のダイを設ける状況では、それらのダイ間にマスクアライメントマークM1、M2を配置してもよい。
【0026】
[025] リソグラフィ装置は、2つ以上の基板テーブルWT及び/又は2つ以上の支持構造MTを有するタイプであってもよい。少なくとも1つの基板テーブルWTに加えて、リソグラフィ装置は、測定を実行するように構成されるが基板Wを保持するようには構成されていない測定テーブルを備えることも可能である。
【0027】
[026] リソグラフィ装置は、投影システムPSと基板Wとの間の空間を充填するように、基板Wの少なくとも一部を水等の比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばパターニングデバイスMAと投影システムPとの間等、リソグラフィ装置内の他の空間に適用することも可能である。液浸技法は、投影システムの開口数を大きくするために当技術分野で周知である。本明細書において用いる場合、「液浸」という用語は、基板Wのような構造を液体に浸水させなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムPSと基板Wとの間に液体が配置されていることを意味するに過ぎない。
【0028】
[027] 図示のリソグラフィ装置は、以下の3つのモードのうち少なくとも1つで使用可能である。
【0029】
[028] 第1のモード、いわゆるステップモードでは、支持構造MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームBに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される。次いで、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTは第2の位置決めシステムPWによってX方向及び/又はY方向に移動される。
【0030】
[029] 第2のモード、いわゆるスキャンモードでは、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームBに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。
【0031】
[030] 第3のモードでは、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスMAを保持して基本的に静止状態に維持される。基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームBに付与されたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用し、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイ等のプログラマブルパターニングデバイスMAを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0032】
[031] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0033】
[032]
図2は、本発明の一実施形態に従ったステージシステム2を示す。ステージシステム2は、ボディ20、偏向システム22、エンコーダヘッド24、及び回折格子26を備えている。ボディはキャビティ28を有する。ボディ20はエンコーダヘッド24に対して移動可能である。エンコーダヘッド24は、ボディ20に接続された回折格子26に対向している。キャビティ28はエンコーダヘッド24及び回折格子26を包囲している。これは、エンコーダヘッド24及び回折格子26がキャビティ28の内側に位置していることを意味する。キャビティ28はガスを含み、これは例えばキャビティ28を充填する周囲空気又は任意のタイプのガスである。キャビティ28内のガスは、例えばキャビティ28の大きい開口を介して周囲空気に連通し得る。キャビティ28内のガスは、例えばボディ20とベースフレーム228との間の狭い開口を介して周囲空気に連通し得る。
【0034】
[033] ボディ20は、基板Wを保持するための基板テーブルWTを備えている。ボディ20は、基板テーブルWTを投影システムPSに対して移動させるための第2の位置決めシステムPWも備え得る。更に、
図2は、放射ビームが入射する基板W上のロケーションである露光ロケーション224を示す。あるいは、ボディ20は、支持構造MT、又は第1の位置決めシステムPM、又は支持構造MTと第1の位置決めシステムPMとの双方を備えてもよい。
【0035】
[034] エンコーダヘッド24は、測定ビーム218を回折格子26の測定ロケーション220に投影するように構成されている。測定ロケーション220から、測定ビーム218はエンコーダヘッド24に戻る。測定ビーム218に基づいて、エンコーダヘッド24は、回折格子26に対するエンコーダヘッド24の位置を表す信号を発生するように構成されている。
図2は測定ボリューム222を示す。エンコーダヘッド24、測定ロケーション220、及び測定ビーム218が測定ボリューム222を形成する。
【0036】
[035] エンコーダヘッド24は任意のタイプのエンコーダヘッドとすればよい。例えばエンコーダヘッド24は、多数の測定ビーム218を放出又は受信してもよい。エンコーダヘッド24は、単一の軸又は多数の軸に沿った回折格子26に対する変位を表す信号を与えるように構成してもよい。エンコーダヘッド24は、1Dエンコーダヘッド、2Dエンコーダヘッド、又は3Dエンコーダヘッドとすることができる。エンコーダヘッド24は、任意のタイプの光センサであってもよい。エンコーダヘッド24は、エンコーダヘッドと異なるタイプのセンサとの組み合わせであってもよい。そのような異なるタイプのセンサは、例えば干渉計又は容量センサ又は誘導センサ等、エンコーダヘッド以外の任意のタイプのセンサとすればよい。
【0037】
[036] ボディ20が例えばx方向に移動すると、壁214がキャビティ28内のガスを押す。壁214は、少なくとも部分的にキャビティ28を画定する壁である。壁214がガスを押すと、擾乱212が生成される。擾乱212は最初に測定ボリューム222の方へ誘導される。偏向システム22は、擾乱212が測定ボリューム222に到達する前に擾乱212を回折格子26から離れる方へ偏向させるように構成されている。この実施形態では、偏向システム22は、表面により形成された偏向エリア210を有する。この表面は、回折格子26に対して角度216である。適切な角度216を選択することによって、偏向システム22は、擾乱212を回折格子26から離れる所望の方向へ偏向させるように構成することができる。角度216を90度とは異なる角度に選択することにより、偏向エリア210は回折格子26に対して斜めである。
【0038】
[037] キャビティ28は、壁214及び回折格子26によって画定され得る。回折格子26は平面状とすることができる。壁214はこの平面外の方向に延出し得る。
図2の実施形態では、キャビティ28はy方向に開口し、U字形を有する。あるいは、キャビティ28はy方向に沿って閉鎖してもよい。キャビティ28は、ボディ20を共に形成する多数のボディによって画定してもよい。これら多数のボディは相互に移動可能としてもよい。例えば、壁214は回折格子26に対して移動可能とすることができる。キャビティ28は、部分的に、コイル又は磁石のようなアクチュエータ又はアクチュエータの一部によって画定され得る。
【0039】
[038] 偏向エリア210を形成する表面は、回折格子26から離れる所望の方向へ擾乱212を偏向させるように湾曲させてもよい。これに加えて又はこの代わりに、壁214は、回折格子26の下方かつ回折格子26から離れる方向へ擾乱212を誘導するように湾曲させてもよい。
【0040】
[039]
図2は、キャビティ28内に抜き取り器(extractor)226を示している。抜き取り器226は、擾乱212が偏向システム22によって偏向された後に擾乱212をキャビティ28から抜き取るように構成されている。例えば抜き取り器226は、真空源のような低圧源に接続されたノズルである。抜き取り器226は、擾乱212を含むガスをキャビティ28から吸引する。
図2に示すように、抜き取り器226はボディ20に、例えば壁214内に配置され得る。これに加えて又はこの代わりに、抜き取り器226はベースフレーム228内にあってもよい。ベースフレーム228はボディ20を支持している。好ましくは、エンコーダヘッド24は回折格子26と抜き取り器226との間に配置される。このロケーションにある場合、抜き取り器226は擾乱212を測定ボリューム222の方へ引き寄せないからである。
【0041】
[040]
図3は、本発明の別の実施形態に従った偏向システム22を示す。この偏向システムは、第1のノズル32、第2のノズル36、及び第3のノズル310を有する。第1のノズル32は、偏向ガス流34を回折格子26の方へ与えるように構成されている。第1のノズル32は、回折格子26に対して角度216で偏向ガス流34を与えるように構成されている。角度216は90度とは異なるので、偏向ガス流34は回折格子26に対して斜めに与えられる。偏向ガス流34を回折格子26に対して斜めに与えることにより、偏向ガス流34が回折格子26に入射した場合に偏向ガス流34のいわゆるフラッピング(flapping)が防止される。フラッピングがないので、偏向ガス流34は安定状態を維持し、従って擾乱212を偏向させるのにいっそう適している。
【0042】
[041] 第1のノズル32、第2のノズル36、及び第3のノズル310の各々は、あるパターンの一連のノズルとして実施され得る。このパターンは、一連のノズルがエンコーダヘッド24を取り囲むようなものである。第1のノズル32、第2のノズル36、及び第3のノズル310の各々は、エンコーダヘッド24を取り囲む単一のスリット又は複数のスリットとして実施され得る。
【0043】
[042] 例えばボディ20の移動によって生じる空気流のような擾乱212は、測定ビーム218の方に向かって流れている。擾乱212が偏向ガス流34に到達すると、偏向ガス流34によって生成される偏向エリア210は、擾乱212を、回折格子26の下方かつ回折格子26から離れる方向へ押す。このため、擾乱212が測定ビーム218に到達することは阻止される。
【0044】
[043] 第2のノズル36は、パージガス流38を回折格子26の方へ与えるように構成されている。第2のノズル36は、パージガス流38を回折格子26に対してほぼ垂直に与えるように構成することができる。第2のノズル36は、第1のノズル32よりもエンコーダヘッド24の近くに配置されている。第2のノズル36の方が近いので、パージガス流38は偏向ガス流34によって取り囲まれる。パージガス流38は測定ビーム218を取り囲んで、周囲空気が測定ビーム218の経路に流入するのを防ぐ。パージガス流38は、低濃度の粒子を含む空気、例えば周囲空気よりも低い湿度のような低湿度の空気、又は窒素等のパージに適した他の任意のガスを含むことができる。適切なガスは低い屈折率を有し得る。これは、そのようなガスの屈折率は温度依存性が低いからである。適切なガスは、キャビティ28内のガスと同じ特性、例えば温度、湿度、及び組成を有し得る。
【0045】
[044] 第3のノズル310は、別のパージガス流312を回折格子26の方へ与えるように構成されている。第3のノズル310は、別のパージガス流312を回折格子26に対してほぼ垂直に与えるように構成することができる。第3のノズル310は、第1のノズル32よりもエンコーダヘッド24の近くに配置されている。第3のノズル310は、第2のノズル36よりもエンコーダヘッド24から遠くに配置されている。第2のノズル36は第3のノズル310よりもエンコーダヘッド24に近いので、パージガス流38は別のパージガス流310によって取り囲まれる。別のパージガス流310は偏向ガス流34によって取り囲まれる。第2のノズル36は、第3のノズル310が別のパージガス流312を与えるよりも高速でパージガス流38を与えるように構成することができる。例えば、この速度の差を達成するため、第2のノズル36及び第3のノズル310の直径は異なっている。別の例では、第2のノズル36においてパージガス流38が与えられる圧力は、第3のノズル310において別のパージガス流312が与えられる圧力よりも高い。
【0046】
[045] リソグラフィ装置はセンサ及びコントローラを有することができる。センサは、キャビティ28内のガスの特性を示すセンサ信号を与えるように構成されている。センサは、温度センサ又は湿度センサ又は圧力センサとすればよい。センサは、キャビティ28内のガスの特性を示すセンサ信号を与えられる限り、キャビティ28内又は別のロケーションに位置付けることができる。センサ信号の制御のもとで、コントローラは、偏向ガス流34、パージガス流38、及び別のパージガス流312の少なくとも1つの特性を変更することができる。例えば、コントローラはバルブを制御することができる。バルブは、第1のノズルを多数の供給チャネルと接続する。各供給チャネル内のガスの特性の値は異なっている。例えば、ある供給チャネル内のガスの温度は、別の供給チャネル内のガスの温度よりも高い。コントローラは、バルブの設定を変更して、異なる温度の2つのガスを混合させることにより、第1のノズル32からの偏向ガス流の温度を制御することができる。この代わりに又はこれに加えて、コントローラは、第2のノズルを多数の供給チャネルと接続するバルブを制御する。この代わりに又はこれに加えて、コントローラは、第3のノズルを多数の供給チャネルと接続するバルブを制御する。
【0047】
[046] 偏向システム22をエンコーダヘッド24と一体化してもよい。あるいは、偏向システム22を、エンコーダヘッド24を支持する構造と一体化してもよい。
【0048】
[047]
図4は、シールド42を含む偏向システム22を示す。シールド42は、偏向エリア210を生成するための表面を有する。シールド42は、少なくとも部分的にエンコーダヘッド24を取り囲む。例えばシールド42は、エンコーダヘッド24を収容するくぼみを有し得る。回折格子26に対向するエンコーダヘッド24の表面は、回折格子26に対向するシールド42の表面とほぼ同じ平面内にあり得る。あるいは、回折格子26に対向するシールド42の表面は、エンコーダヘッド24よりも回折格子26の近くにある。
【0049】
[048] シールド42は、アイソレータ46を介してフレーム44によって支持されている。フレーム44は投影システムPSを支持することができる。この代わりに又はこれに加えて、フレーム44は、基板Wの測定を実行するための測定機器を支持することができる。
【0050】
[049] シールド42に、擾乱212を制動するための制動材料を設けることができる。例えば、制動材料は多孔性材料を含む。制動材料は、凹凸のある表面の材料、粗い表面の材料、又は多孔板のような孔を設けた材料、又はそれらの組み合わせとすればよい。
【0051】
[050] 上述の実施形態で記載した偏向システム22は、回折格子26に対向するエンコーダヘッド24の部分を除いて、完全にエンコーダヘッド24を取り囲むことができる。あるいは、偏向システム22は、例えば擾乱212によって最も影響を受けるエンコーダヘッド24の側面のみ等、エンコーダヘッド24の一部のみを取り囲む。また、
図4に示すように偏向システム22は、エンコーダヘッド24を支持する支持体48の一部も取り囲むことができる。
図4において、支持体48はエンコーダヘッド24をフレーム44に接続する。偏向システム22は、擾乱212が支持体48に到達するのを阻止する。もしも擾乱212が支持体48に到達すると、擾乱212によって支持体48は振動し、このためエンコーダヘッド24が振動する。
【0052】
[051]
図5A及び
図5Bは、本発明の更に別の実施形態に従った偏向システム22を示す。
図5A及び
図5Bの実施形態は、以下に開示する点を除いて
図4の実施形態と同じである。
【0053】
[052]
図5A及び
図5Bは、エンコーダヘッド24、ボディ20、支持体48、偏向システム22、駆動システム52、別の駆動システム56を備えるリソグラフィ装置を開示する。エンコーダヘッド24は任意のタイプの光センサとすればよい。ボディ20はエンコーダヘッド24に対して移動可能である。支持体48はエンコーダヘッド24を保持する。
【0054】
[053] 別の駆動システム56は、エンコーダヘッド24に対してボディ20を移動させるように構成されている。駆動システム52は、エンコーダヘッド24に対して別の駆動システム56を駆動するように構成されている。駆動システム52は、エンコーダヘッド24に対して偏向システム22を移動させるように構成されている。ボディ20の移動によって擾乱212が誘発された場合、偏向システム22は、この擾乱を支持体48から離れる方へ反射させるための偏向エリアを生成するように構成されている。
【0055】
[054] 偏向システム22は、アイソレータを介して駆動システム52に搭載することができる。あるいは、そのようなアイソレータは省略してもよい。駆動システム52の性能は偏向システム22の振動により著しい影響を受けず、その逆も同様であるからである。
【0056】
[055] 別の駆動システム56は、エンコーダヘッド24に対してボディ20を第1の方向に、例えばx方向に移動させるように構成することができる。駆動システム52は、エンコーダヘッド24に対して別の駆動システム56を第2の方向に、例えばy方向に移動させるように構成することができる。駆動システム52は、エンコーダヘッド24に対して偏向システム22を第2の方向に移動させるように構成することができる。第1の方向は第2の方向と異なる方向であってよい。例えば、第1の方向は第2の方向に対して垂直である。
【0057】
[056] 駆動システム52及び別の駆動システム56は、ステージシステムの一部を形成することができる。駆動システム52及び別の駆動システム56は、第2の位置決めシステムPWの一部を形成してもよい。駆動システム52及び別の駆動システム56は、第1の位置決めシステムPMの一部を形成してもよい。駆動システム52及び別の駆動システム56は、ショートストロークモジュール、ロングストロークモジュール、又はショートストロークモジュール及びロングストロークモジュールの組み合わせの一部を形成してもよい。
【0058】
[057] 支持体48及び偏向エリア210は、y方向に細長くすることができる。ボディ20は、y方向に沿った第1の長さを有し得る。偏向エリア210は、y方向に沿った第2の長さを有し得る。第1の長さ及び第2の長さは相互にほぼ等しくすることができる。
【0059】
[058] 支持体48は、エンコーダヘッド24の2つの側でy方向に沿って延出し得る。支持体48をこのように延出させると、エンコーダヘッド24は支持体48のエッジから離れて配置される。エンコーダヘッド24が支持体48のエッジから離れて配置された場合、エンコーダヘッド24がエッジ渦流(vortex)によって受ける影響が小さくなる。エッジ渦流は、支持体48のエッジで発生することがあり、発生するとエンコーダヘッド24を振動させた可能性がある。
【0060】
[059]
図5a及び
図5bにおいて、エンコーダヘッド24はボディ20の表面に対向している。ボディ20のこの表面は、回折格子26が配置されている表面である。偏向エリア210はこの表面に対して斜めである。ボディ20は、基板Wが配置されている第1の側を有する。回折格子26は、ボディ20の第2の側に配置されている。第2の側は第1の側の反対側とすればよい。
【0061】
[060]
図5a及び
図5bに示すように、キャビティ28は、回折格子26、エンコーダヘッド24、及びガスを包囲している。偏向エリア210から偏向させた擾乱の少なくとも一部をキャビティ28から抜き取るため、1つ以上の抜き取り器226を設けてもよい。
【0062】
[061] リソグラフィ装置に偏向システム22が設けられていない場合、支持体48は空力形状(aerodynamic shape)を有し得る。空力形状によって、擾乱212が渦放出(vortex shedding)を発生させるのを低減するか又は防止することができる。渦放出は、支持体48の振動を引き起こし得る不安定な現象である。更に、渦放出は測定ビーム218に負の影響を及ぼし得る。支持体48の空力形状は、偏向システム22を有する上述の実施形態と組み合わせて適用してもよい。例えば空力形状は、例えばシールド42によって囲まれていない支持体48の一部のような、擾乱212の影響を受けやすい支持体48の一部に適用してもよい。
【0063】
[062] 壁214に、擾乱212の生成を最小限に抑えるための孔を設けてもよい。この孔は、擾乱212を生成する壁214の表面を小さくする。更に、この孔はキャビティ28内のガスをキャビティ28の外へ流出させることができ、これによって擾乱212が低減する。
【0064】
[063] 支持体48は、
図4に示すようにy方向に細長くすることができる。支持体48の端部にエンコーダヘッド24が搭載されている。ある実施形態において、支持体48は、支持体48がエンコーダヘッド24を保持するロケーションを越えて延出している。この延出は、例えば約1cm以上とすればよい。この延出は、エンコーダヘッド24付近のエッジ渦流の防止に役立つ。エッジ渦流は、支持体48のエッジに沿って擾乱212が移動する場合に発生する。支持体48のエッジをエンコーダヘッド24からある距離だけ離して配置することで、エンコーダヘッド24に対する渦流の影響が軽減する。
【0065】
[064]
図6は本発明の一実施形態に従った実施形態を示す。
図6の実施形態は、以下に述べる点を除いて
図4及び
図5の実施形態と同様である。
図6の実施形態において、シールド42はフレーム44でなくベースフレーム228に接続されている。ベースフレーム228はシールド42の振動によって著しい影響を受けない可能性があるので、シールド42は、アイソレータ44を用いることなくベースフレーム228に接続することができる。ベースフレーム228は、例えばアイソレータを介してフレーム44を支持することができる。
【0066】
[065] 本発明の一実施形態において、ボディ、偏向システム、エンコーダヘッド、及び回折格子を備えたリソグラフィ装置が提供される。ボディはエンコーダヘッドに対して移動可能である。エンコーダヘッドは、回折格子上の測定ロケーションから測定ビームを受けるように構成されている。エンコーダヘッド、測定ビーム、及び測定ロケーションが測定ボリュームを形成する。回折格子はボディに取り付けられている。ボディは、回折格子、エンコーダヘッド、及びガスを包囲するキャビティを有する。偏向システムは、測定ボリュームから離れる方へガスの擾乱を偏向させるための偏向エリアを生成するように構成されている。
【0067】
[066] 本発明のこの実施形態に従って、偏向システムは測定ボリュームから離れる方へ擾乱を偏向させる。擾乱は測定ボリュームから離れる方へ偏向されるので、エンコーダヘッドによる位置測定に対して擾乱が及ぼす影響が小さくなる。この結果、擾乱によって引き起こされるエンコーダヘッドの振動が小さくなり得るか、又はエンコーダヘッドと回折格子との間の測定ビームが伝わる空気の振動が小さくなり得る。この結果、位置測定の精度が向上する。
【0068】
[067] 一実施形態において、擾乱はボディの移動によって誘発される。
【0069】
[068] この実施形態によれば、擾乱がボディの移動によって誘発された場合、偏向システムは特に有益である。ボディを移動させると、ガスにおける勾配が測定ボリュームの方へ移動する可能性が高くなる。そのような勾配は、ガスの温度又は湿度又は組成の変化であり得る。更に、ボディの移動は圧力波を生じ、これがエンコーダヘッドを振動させる恐れがある。
【0070】
[069] 一実施形態において、キャビティは、少なくとも回折格子及びボディの壁によって画定される。格子は平面に対して平行である。壁はこの平面外の方向に延出する。移動は、壁とエンコーダヘッドとの間の距離を変化させるためのものである。
【0071】
[070] この実施形態によれば、ボディは、壁がエンコーダヘッドに近付くように又はエンコーダヘッドから遠ざかるように移動するよう移動可能である。壁がエンコーダヘッドに対して移動すると、壁は空気の擾乱を発生させ、この擾乱はエンコーダヘッドの方向に伝搬する。偏向システムは、この空気の擾乱を回折格子から離れる方向に偏向できるので、位置測定に対する空気の擾乱の影響が低減される。
【0072】
[071] 一実施形態において、偏向エリアは回折格子に対して斜めである。
【0073】
[072] この実施形態によれば、偏向エリアは、擾乱を測定ボリュームから離れる方向に偏向させるのにいっそう効果的である。
【0074】
[073] 一実施形態において、偏向システムは、回折格子に対して斜めの偏向ガス流を回折格子の方へ与えるように構成された第1のノズルを備えている。偏向ガス流は偏向エリアを生成するように構成されている。偏向ガス流は測定ビームを少なくとも部分的に取り囲む。
【0075】
[074] この実施形態によれば、偏向エリアは偏向ガス流によって生成される。測定ボリュームの方へ移動する擾乱ガス流のような擾乱は、偏向ガス流によって回折格子から離れる方へ押される。偏向ガス流は測定ビームを取り囲んでいるので、擾乱ガス流は、測定ビームに到達してエンコーダヘッドの位置測定を妨害する前に偏向される。
【0076】
[075] 一実施形態において、偏向システムは、回折格子の方へパージガス流を与えるように構成された第2のノズルを備えている。第2のノズルは、測定ビームを実質的に取り囲むパージガス流を与えるように構成されている。
【0077】
[076] この実施形態によれば、パージガス流は測定ビームを実質的に取り囲んでいる。パージガスは、測定ビームの伝搬のために最適な媒体を与えるような組成及び湿度等の特性を有し得る。
【0078】
[077] 一実施形態において、偏向システムは、回折格子の方へ別のパージガス流を与えるように構成された第3のノズルを備えている。第2のノズル及び第3のノズルは、パージガス流が別のパージガス流によって少なくとも部分的に囲まれるように、相互に対して配置されている。
【0079】
[078] この実施形態によれば、第3のノズルは、パージガス流を取り囲む別のパージガス流を与える。別のパージガス流は、測定ビームと周囲空気との間に追加の保護層を与える。別のパージガス流は、周囲空気が測定ビームに到達することを防ぐのに役立つ。
【0080】
[079] 一実施形態において、第2のノズル及び第3のノズルは、別のパージガス流の速度よりも高速でパージガス流を与えるように構成されている。
【0081】
[080] この実施形態によれば、パージガス流は、別のパージガス流が与えられる速度よりも高速で与えられる。パージガス流の高速は、測定ビームの経路に沿って温度勾配が発生することを防ぐのに役立つ。温度勾配があると、エンコーダヘッドの測定精度が低下する。別のパージガス流の低速は、別のパージガス流が乱流になることを防ぐのに役立つ。乱流があると、別のパージガス流と周囲空気との混合が生じる。低速によって、周囲空気との混合が低減し、このため測定ビームが周囲空気から良好に遮蔽される。パージガス流及び別のパージガス流は双方とも調整されたガス流であるので、パージガス流と別のパージガス流との混合は測定ビームに負の影響を及ぼさない。
【0082】
[081] 一実施形態において、リソグラフィ装置はセンサ及びコントローラを備える。センサは、ガスの特性を示すセンサ信号を与えるように構成されている。コントローラは、センサ信号の制御のもとで、偏向ガス流、パージガス流、及び別のパージガス流の少なくとも1つの特性を変更するように構成されている。
【0083】
[082] この実施形態によれば、偏向ガス流、パージガス流、及び/又は別のパージガス流の特性を調節することができる。そのような特性は、温度、湿度、又は組成とすればよい。特性の変更は、偏向ガス流、パージガス流、及び/又は別のパージガス流の特性がガスの特性と合致するように、コントローラによって制御されて実行可能である。これらが合致した場合、測定ボリューム内に漏れるガスが測定ビームに及ぼす影響は最小限に抑えられる。
【0084】
[083] 一実施形態では、偏向システムは、回折格子に対して斜めに配置された偏向表面を備えている。偏向表面は偏向エリアを生成するように構成されている。
【0085】
[084] この実施形態によれば、偏向エリアは偏向表面上にある。偏向表面は、ガス又は電力を与える必要がない受動要素である。
【0086】
[085] 一実施形態において、偏向表面は湾曲している。
【0087】
[086] この実施形態によれば、湾曲した偏向表面を設けることで、偏向表面が回折格子から離れる方へ擾乱を偏向できる効率が向上し得る。
【0088】
[087] 一実施形態において、偏向システムは、偏向表面を有するシールドを備えている。シールドはエンコーダヘッドを少なくとも部分的に取り囲む。シールドはエンコーダヘッドから実質的に動的に分離されている。
【0089】
[088] この実施形態によれば、擾乱はシールドに衝突する。擾乱は、空気の衝撃波又は空気流であり得る。シールドは偏向表面を有するので、シールドは擾乱を回折格子から離れる方へ偏向させることができる。擾乱の衝突によってシールドは振動し得る。しかしながら、シールドはエンコーダヘッドから動的に分離されているので、シールドの振動はエンコーダヘッドに伝搬しない。エンコーダヘッドの位置は、擾乱によって受ける影響が小さくなり、従って位置測定の精度が向上する。
【0090】
[089] 一実施形態において、リソグラフィ装置は、パターン付投影ビームを基板に投影させるための投影システムを備えている。リソグラフィ装置は、投影システムに対してボディを駆動するように構成された駆動システムを備えている。駆動システムは、投影システムに対してシールドを駆動するようにシールドを支持する。
【0091】
[090] この実施形態によれば、シールドは駆動システムに接続されている。このため、シールドはリソグラフィ装置のどの固定部分にも接続する必要はない。これは、ボディ又は駆動システム内に、シールドを固定部分に到達させるための開口が必要ないことを意味する。そのような開口を省略することで、ボディ及び駆動システムの形状を動的に最適化することができ、これによってボディを移動できる精度が向上する。
【0092】
[091] 一実施形態において、リソグラフィ装置はフレーム及びアイソレータを備えている。フレームは、シールドを支持するために構成されている。アイソレータは、シールドの振動をフレームから分離するようにシールドとフレームとを相互に結合するよう構成されている。
【0093】
[092] この実施形態によれば、シールドはアイソレータを介してフレームに接続されている。擾乱によってシールドが振動した場合、この振動はアイソレータによってフレームへの伝搬が阻止される。このため、フレーム及びフレームに接続された他の任意のコンポーネントは、振動によって著しい影響を受けない。
【0094】
[093] 一実施形態において、フレームは投影システムを支持するように構成されている。
【0095】
[094] この第15の実施形態によれば、フレームは投影システムを支持するように構成されている。フレームはシールドの振動から分離されているので、投影システムは振動によって著しい影響を受けない。投影システムの振動を防ぐことによって、ターゲット部分にパターンを露光する品質が向上する。
【0096】
[095] 一実施形態において、偏向表面は、擾乱を制動するための制動材料を含む。
【0097】
[096] この実施形態によれば、偏向表面上の制動材料は擾乱の少なくとも一部を制動することができる。擾乱を制動することで、リソグラフィ装置の他の部分に対する擾乱の影響が低減する。
【0098】
[097] 実施形態において、ボディは第1の側及び第2の側を有する。ボディは第1の側で基板を支持するように構成されている。回折格子は第2の側に配置されている。第1の側及び第2の側は相互に対向している。
【0099】
[098] この実施形態によれば、回折格子を基板の近くに配置することができる。基板を保持するボディの側の近くに回折格子を有することで、測定ロケーションと露光ロケーションとの間の相関性が向上する。
【0100】
[099] 一実施形態において、リソグラフィ装置は、偏向エリアから偏向させた擾乱の少なくとも一部をキャビティから抜き取るように構成された抜き取り器を備えている。
【0101】
[100] この実施形態によれば、抜き取り器は、空気流のような擾乱をキャビティの外へ抜き取ることができる。この結果、キャビティ内の擾乱が反射されて測定ボリュームの方へ戻る可能性が低下する。
【0102】
[101] 一実施形態において、ボディの位置を測定するための方法が提供される。この方法は、ボディのキャビティ内の回折格子上の測定ロケーションに測定ビームを与えることにより、回折格子を用いてボディの位置を測定することと、ボディを移動させることによりキャビティ内のガスの擾乱を生成することと、測定ビーム及び測定ロケーションの少なくとも一方から離れる方向に擾乱を偏向させることと、を備える。
【0103】
[102] この実施形態によれば、擾乱は測定ビーム及び測定ロケーションの少なくとも一方から離れる方へ偏向される。擾乱が測定ビーム及び測定ロケーションの少なくとも一方から離れる方へ偏向されるので、擾乱が位置測定に対して及ぼす影響は軽減する。これによって位置測定の精度が向上する。
【0104】
[103] 一実施形態において、この方法は、少なくとも部分的に測定ビームを取り囲む偏向ガス流を、回折格子の方へ向けて斜めに与えることと、偏向ガス流によって偏向エリアを生成することと、測定ビーム及び測定ロケーションの少なくとも一方から離れる方向に偏向エリアによって擾乱を偏向させることと、を備える。
【0105】
[104] この実施形態によれば、測定ボリュームの方へ移動する擾乱ガス流のような擾乱は、偏向ガス流によって、測定ビーム及び/又は測定ロケーションから離れる方へ押される。偏向ガス流は測定ビームを取り囲んでいるので、擾乱ガス流は、測定ビームに到達して位置測定を妨害する前に偏向される。
【0106】
[105] 一実施形態において、この方法は、パージガス流を回折格子に与えることと、パージガス流によって測定ビームを少なくとも部分的に取り囲むことと、を備える。
【0107】
[106] この実施形態によれば、パージガス流は測定ビームを実質的に取り囲んでいる。パージガスは、測定ビームの伝搬のために最適な媒体を与えるような組成及び湿度等の特性を有し得る。
【0108】
[107] 一実施形態において、この方法は、パージガス流の速度よりも低速で別のパージガス流を回折格子に与えることと、別のパージガス流によってパージガス流を少なくとも部分的に取り囲むことと、を備える。
【0109】
[108] この実施形態によれば、別のパージガス流は、測定ビームと周囲空気との間に追加の保護層を与える。パージガス流の高速は、測定ビームの経路に沿って温度勾配が発生することを防ぐのに役立つ。別のパージガス流の低速は、別のパージガス流の乱流を防ぐのに役立つ。乱流があると、別のパージガス流と周囲空気との混合が生じる。低速によって混合が低減し、このため測定ビームが周囲空気から良好に遮蔽される。
【0110】
[109] 一実施形態において、この方法は、偏向エリアから偏向された擾乱の少なくとも一部をキャビティから抜き取ることを備える。
【0111】
[110] この実施形態によれば、キャビティから擾乱を抜き取ることによって、キャビティ内の擾乱が反射されて測定ビームの方へ戻る可能性が低くなる。
【0112】
[111] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。基板Wは、この基板Wへのパターンの転写前又は転写後に、例えばトラック、メトロロジツール、及び/又はインスペクションツールで処理することができる。トラックとは通常、レジストの層を基板Wに塗布し、放射ビームBに露光したレジストを現像するツールである。更に、基板Wは、例えば多層ICを生成するために複数回処理することができ、従って本明細書で使用する基板Wという用語は、すでに複数の処理済み層を含む基板Wも指すことができる。
【0113】
[112] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。
【0114】
[113] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。