(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記方法では、微細なホールパターンを形成することが困難である。これは、上記方法を用いてホールパターンを形成する場合、露光マスクとして暗視野マスクが用いられるが、暗視野マスクの光学像コントラストが十分に得られないためである。
【0005】
そこで、微細なホールパターンを形成する場合、暗視野マスクよりも光学像コントラストが優れた明視野マスクを用いてレジスト膜を露光し、ネガ型現像を行った後、ポジ型現像を行うことが有利な場合がある。
【0006】
しかしながら、明視野マスクを用いてレジスト膜を露光し、ネガ型現像を行った後、ポジ型現像を行うと、露光後のネガ型現像の際に中間露光部が大きく溶解し、所望のパターンが残存しない場合がある。その結果、微細なホールパターンを形成できない。これは、ネガ型現像がポジ型現像に比べて中間露光部を溶解しやすいためである。
【0007】
そこで、本発明の一つの案では、微細なホールパターンを形成できるパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るパターン形成方法は、
レジスト膜にホールパターンを形成するパターン形成方法であって、
被処理体の上に
化学増幅型のフォトレジストにより形成されるレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
前記ホールパターンのピッチの略√2倍のピッチを有する明視野マスクを用いて前記レジスト膜を露光す
る露光工程と、
前
記露光工程の後、前記レジスト膜に
有機溶媒である第1現像液を供給してネガ型現像を行うことで、前記レジスト膜の未露光部を除去する第1現像工程と、
前記第1現像工程の後、前記レジスト膜の側壁部を改質する改質工程と、
前記改質工程の後、前記レジスト膜に
アルカリ水溶液である第2現像液を供給してポジ型現像を行うことで、前記レジスト膜の露光部を除去する第2現像工程と
を含み、
前記改質工程は、
前記露光工程において前記レジスト膜に含まれる光酸発生剤から発生した酸を失活させることにより、前記第2現像液に対する前記レジスト膜の側壁部の溶解性を小さくする処理
である。
【発明の効果】
【0009】
開示のパターン形成方法によれば、微細なホールパターンを形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することによって重複した説明を省く。
【0012】
本実施形態のパターン形成方法は、デュアル・トーン・デベロップメント(DTD:Dual Tone Development)法を用いて、微細なホールパターンを形成するものである。DTD法とは、露光マスクを用いてレジスト膜を露光し、ネガ型現像及びポジ型現像を行うことで、露光部と未露光部の間に形成される中間露光部を残存させて、微細なホールパターンを形成するものである。ネガ型現像とは、レジスト膜に現像液を供給することによりレジスト膜の未露光部を選択的に溶解させ除去するものである。ポジ型現像とは、レジスト膜に現像液を供給することによりレジスト膜の露光部を選択的に溶解させ除去するものである。
【0013】
まず、露光マスクについて、
図1及び
図2に基づき説明する。
図1は露光マスクを説明する図であり、
図1(a)は明視野マスク(BFM:Bright Field Mask)を示し、
図1(b)は暗視野マスク(DFM:Dark Field Mask)を示している。
図2は、明視野マスクと暗視野マスクの特性を説明する図である。具体的には、
図2は、明視野マスク(BFM)を用いた場合のホールパターンのハーフピッチと光学像コントラストとの関係(実線)及び暗視野マスク(DFM)を用いた場合のホールパターンのハーフピッチと光学像コントラストとの関係(破線)を示している。
【0014】
図1(a)に示すように、明視野マスク20は、露光に用いられる光に対して不透明な遮光部22が、露光に用いられる光に対して透明な透光部21に囲まれたパターンを有するマスクである。
【0015】
図1(b)に示すように、暗視野マスク30は、露光に用いられる光に対して透明な透光部31が、露光に用いられる光に対して不透明な遮光部32に囲まれたパターンを有するマスクである。
【0016】
ところで、露光マスクを用いた露光によりレジスト膜にパターンを形成する場合、
図2に示すように、露光マスクとして明視野マスク(BFM)を使用する方が暗視野マスク(DFM)を使用するよりも優れた光学像コントラストが得られる。このため、微細なホールパターンを形成する場合、暗視野マスクよりも光学像コントラストが優れた明視野マスクを用いるほうが有利である。
【0017】
しかしながら、DTD法により微細なホールパターンを形成する場合、明視野マスクを露光マスクとしてレジスト膜を露光し、ネガ型現像を行った後、ポジ型現像を行うと、
図3に示すように、レジスト膜のほとんどが除去され、パターンがほとんど残存しない。これは、ネガ型現像がポジ型現像に比べて中間露光部を溶解しやすいためである。なお、
図3は、DTD法により形成されたパターンの一例を説明する図である。
【0018】
そこで、本実施形態のパターン形成方法では、明視野マスクを用いてレジスト膜を露光し、ネガ型現像を行った後、改質処理を行い、その後、ポジ型現像を行う。改質処理は、ポジ型現像の際に使用される現像液に対するレジスト膜の側壁部の溶解性を小さくするものである。これにより、微細なホールパターンを形成することができる。
【0019】
以下では、DTD法を用いるパターン形成において、微細なホールパターンを形成できる本実施形態のパターン形成方法について説明する。
図4は、本実施形態のパターン形成方法を例示するフローチャートである。
【0020】
図4に示すように、本実施形態のパターン形成方法は、レジスト膜形成工程(ステップS101)、第1露光工程(ステップS102)、第1現像工程(ステップS103)、改質工程(ステップS104)及び第2現像工程(ステップS105)を有する。
【0021】
以下、各々の工程について、
図5から
図9に基づき説明する。
図5から
図9は、本実施形態のパターン形成方法の各工程を説明する図である。なお、
図5から
図9における(a)は各工程における概略平面図であり、(b)は(a)における一点鎖線A−Bにおいて切断した概略断面図である。
【0022】
ステップS101では、被処理体の上にレジスト膜を形成する。具体的には、
図5に示すように、被処理体11の上に、例えばスピン塗布により、レジスト膜12を形成する。被処理体11は、例えばシリコン基板である。シリコン基板の上には、スピンオンカーボン(SOC:Spin-On Carbon)、シリコン含有反射防止膜(SiARC:Silicon-containing Anti-Reflective Coating)等の反射防止膜が形成されていてもよい。
【0023】
レジスト膜12は、化学増幅型のフォトレジストにより形成されており、例えばKrFレジスト、ArFレジスト、EUV(Extreme Ultra Violet)レジストにより形成されている。レジスト膜12は、ベース樹脂と、光酸発生剤(PAG:Photo Acid Generator)とを含む。ベース樹脂は、極性の低い保護基を有する。これにより、ポジ型現像に使用される現像液によって溶解されるのが抑制される。光酸発生剤は、露光されることにより酸を発生させる。ベース樹脂の保護基は、光酸発生剤から発生した酸と化学反応することにより脱離する。ベース樹脂の保護基が脱離すると、ベース樹脂の極性が大きくなり、レジスト膜12がポジ型現像に使用される現像液に溶解しやすくなる。
【0024】
ステップS102では、明視野マスクを用いてレジスト膜を露光する。具体的には、
図6に示すように、露光に用いられる光に対して透明な透光部21と不透明な遮光部22とを有する明視野マスク20を露光マスクとして、レジスト膜12を露光する。これにより、透光部21の下部の領域が露光され、レジスト膜12に露光量の大きい露光部12aが形成される。また、遮光部22の下部には、露光量がゼロ又は露光量が小さい未露光部12bが残存する。また、露光部12aと未露光部12bとの間には、露光部12aよりも露光量が小さく、未露光部12bよりも露光量が大きい中間露光部12cが形成される。中間露光部12cは、露光に用いられる光が透光部21から回り込むことにより形成される。露光に用いられる光源は、レジスト膜12の材料に応じて定められ、例えばKrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、EUVエキシマレーザ(波長13.5nm)である。なお、レジスト膜12を露光した後、レジスト膜12を加熱する露光後ベーク(PEB:Post Exposure Bake)を行ってもよい。
【0025】
ステップS103では、レジスト膜に第1現像液を供給してネガ型現像を行うことで、レジスト膜の未露光部を除去する。具体的には、
図7に示すように、例えばレジスト膜12の上に第1現像液をスピン塗布することにより、レジスト膜12の未露光部12bを除去し、露光部12a及び中間露光部12cを残存させる。これにより、未露光部12bが開口したホールパターンが形成される。第1現像液は、レジスト膜12の露光部12aを除去できるものであればよく、例えば酢酸ブチル(NBA)等の極性の低い有機溶媒である。
【0026】
ステップS104では、レジスト膜の側壁部を改質する。具体的には、
図8に示すように、ポジ型現像に使用される第2現像液に対するレジスト膜12の側壁部12sの溶解性を小さくすることにより、中間露光部12cを増長させる。第2現像液に対するレジスト膜12の側壁部12sの溶解性を小さくする処理は、露光工程においてレジスト膜12に含まれる光酸発生剤から発生した酸を失活させることにより、ベース樹脂の保護基の脱離を抑制する処理である。
【0027】
酸を失活させる処理としては、例えばレジスト膜12の側壁部12sを、アンモニア(NH
3)と反応させる処理であってもよい。また、例えばレジスト膜12の側壁部12sを、モノメチルアミン(CH
3NH
2)、ジメチルアミン((CH
3)
2NH)、トリメチルアミン((CH
3)
3N)等の有機塩基と反応させる処理であってもよい。また、例えばレジスト膜12の側壁部12sを、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリメチルシリルジメチルアミン(TMSDMA)等のアミノ基を有するシランカップリング剤と反応させる処理であってもよい。アミノ基を有するシランカップリング剤と反応させる処理では、酸を失活させると共に、撥水性も得られるため、ポジ型現像液に対する溶解性を特に小さくすることができる。なお、レジスト膜12の側壁部12sをアンモニア、有機塩基、アミノ基を有するシランカップリング剤と反応させる場合、これらの原料を含む水溶液に晒す方法(液相反応)であってもよく、これらの原料の蒸気を含む気体に晒す方法(気相反応)であってもよい。
【0028】
ステップS105では、レジスト膜に第2現像液を供給してポジ型現像を行うことで、レジスト膜の露光部を除去する。具体的には、
図9に示すように、例えばレジスト膜12の上に第2現像液をスピン塗布することにより、レジスト膜12の露光部12aを除去し、中間露光部12cを残存させる。これにより、未露光部12b及び露光部12aが開口したホールパターンが形成される。このとき、本実施形態では、改質工程により、第2現像液に対するレジスト膜12の側壁部12sの溶解性が小さくなっている。このため、改質工程が行われていない場合と比較して、レジスト膜12の側壁部12sが残存しやすい。第2現像液は、レジスト膜12の未露光部12bを除去できるものであればよく、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等の極性の高いアルカリ水溶液である。
【0029】
以上の工程により、所望のホールパターンを形成することができる。
【0030】
本実施形態のパターン形成方法では、明視野マスク20を用いてレジスト膜12を露光し、ネガ型現像及びポジ型現像を行うことにより、中間露光部12cを残存させて、露光部12a及び未露光部12bを除去する。これにより、露光マスクのパターンよりも狭いピッチのホールパターンを形成することができる。具体的には、
図9(a)に示すように、露光マスクのパターンのピッチがP1である場合、得られるホールパターンのピッチP2は、P1×1/√2となる。
【0031】
また、本実施形態のパターン形成方法では、明視野マスク20を用いてレジスト膜12を露光する。これにより、暗視野マスクを用いる場合と比較して優れた光学像コントラストが得られるため、微細なホールパターンを形成する際の解像性能が向上する。
【0032】
また、本実施形態のパターン形成方法では、ネガ型現像を行った後、ポジ型現像の際に使用される第2現像液に対するレジスト膜12の側壁部12sの溶解性を小さくする改質処理を行い、その後、ポジ型現像を行う。これにより、ネガ型現像の際に中間露光部12cが大きく溶解した場合であっても、ポジ型現像の際に改質処理されたレジスト膜12の側壁部12sが残存する。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。