特許第6431493号(P6431493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6431493
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】光変調器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/025 20060101AFI20181119BHJP
【FI】
   G02F1/025
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-56213(P2016-56213)
(22)【出願日】2016年3月18日
(65)【公開番号】特開2017-173385(P2017-173385A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2017年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】都築 健
(72)【発明者】
【氏名】本田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】長谷 宗彦
(72)【発明者】
【氏名】中野 慎介
【審査官】 野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0110501(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0054639(US,A1)
【文献】 特開2002−277840(JP,A)
【文献】 WOLF et al.,Electro-Optical Co-Design to Minimize Power Consumption of a 32 GBd Optical IQ-Transmitter Using InP MZ-Modulators,Compound Semiconductor Integrated Circuit Symposium,米国,IEEE,2015年10月11日,H.3,pp.117
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00−1/125
1/21−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動型オープンコレクタドライバと、前記差動型オープンコレクタドライバに接続された1組のRF電極を備えたマッハツェンダ型光変調器と、前記マッハツェンダ型光変調器に接続された終端抵抗とを備えるマッハツェンダ型光変調器であって、
前記終端抵抗は、前記RF電極のそれぞれに接続された1組の第1の抵抗と、前記第1の抵抗に接続された第2の抵抗と備え、
前記1組の第1の抵抗同士が、前記RF電極と接続された端部と逆側の端部で並列に接続され、前記逆側の端部には前記第2の抵抗直列に接続され、前記第2の抵抗には、前記それぞれのRF電極、前記1組の第1の抵抗および前記第2の抵抗に電圧を印加する電源が直列に接続され
前記1組の第1の抵抗および第2の抵抗は、前記マッハツェンダ型光変調器におけるコモンモードと差動モード両方について前記RF電極とインピーダンス整合されていることを特徴とする光変調器。
【請求項2】
差動型オープンコレクタドライバと、前記差動型オープンコレクタドライバに接続された1組のRF電極を備えたマッハツェンダ型光変調器と、前記マッハツェンダ型光変調器に接続された終端抵抗とを備えるマッハツェンダ型光変調器であって、
前記終端抵抗は、前記RF電極のそれぞれに接続された1組の第1の抵抗と、前記第1の抵抗に接続された第2の抵抗と備え、
前記第2の抵抗は、それぞれが直列に接続された前記1組のRF電極と前記1組の第1の抵抗の、RF電極と第1の抵抗間に、並列に接続され、前記第1の抵抗同士が、前記RF電極と接続された端部と逆側の端部で並列に接続され、前記逆側の端部には、前記それぞれのRF電極、前記1組の第1の抵抗および前記第2の抵抗に電圧を印加する電源が直列に接続され
前記1組の第1の抵抗および第2の抵抗は、前記マッハツェンダ型光変調器におけるコモンモードと差動モード両方について前記RF電極とインピーダンス整合されていることを特徴とする光変調器。
【請求項3】
差動型オープンコレクタドライバと、前記差動型オープンコレクタドライバに接続された1組のRF電極を備えたマッハツェンダ型光変調器と、前記マッハツェンダ型光変調器に接続された終端抵抗とを備えるマッハツェンダ型光変調器であって、
前記終端抵抗は、前記RF電極のそれぞれに接続された1組の第1の抵抗と、前記第1の抵抗に接続された第2の抵抗と備え、
前記第1の抵抗同士が、前記RF電極と接続された端部と逆側の端部で並列に接続され、前記逆側の端部には、前記第2の抵抗容量を介して接地される回路と、前記それぞれのRF電極、前記1組の第1の抵抗および前記第2の抵抗に電圧を印加する電源並列に接続され
前記1組の第1の抵抗および第2の抵抗は、前記マッハツェンダ型光変調器におけるコモンモードと差動モード両方について前記RF電極とインピーダンス整合されていることを特徴とする光変調器。
【請求項4】
前記電源は、前記1組のRF電極の間に配置されたDC電極に接続されることを特徴とする請求項に記載の光変調器。
【請求項5】
前記RF電極と、前記第1の抵抗との間にそれぞれインダクタが接続されることを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の光変調器。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の光変調器は、マッハツェンダ型光変調器であることを特徴とする光変調器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信システムや光情報処理システムにおいて用いられる光変調器に関し、より詳細には、変調器駆動ドライバICと集積された、低消費電力で、周波数特性に優れた、光変調器を提供するための構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マッハツェンダ(MZ)型光変調器は、光導波路に入射した光を2つの光導波路に1:1の強度で分岐し、分岐した光を一定の長さ伝搬させた後に、再度合波させる構造を持つ。2つに分岐された光導波路に設けられた位相変調部により、光導波路に入射した2つの光の位相を変化させ、2つの光が合波されるときの光の干渉条件を変え、光の強度及び位相を変調することができる。
【0003】
マッハツェンダ型光変調器において、光導波路を構成する材料として、LiNbO3等の誘電体、又はInP、GaAs及びSi(シリコン)等の半導体が用いられる。これらの材料により構成された光導波路近傍に電極を配置して、電極に変調電気信号を入力して光導波路に電圧を印加することで、光導波路を伝搬する光の位相を変化させる。
【0004】
光の位相を変化させる原理としては、LiNbO3においてはポッケルス効果、InP、GaAsにおいてはポッケルス効果や量子閉じ込めシュタルク効果(Quantum Confined Stark Effect:QCSE)が主に用いられ、Siにおいてキャリアプラズマ効果が主に用いられる。
【0005】
高速で低消費電力な光通信を行うためには、変調速度が速く、駆動電圧の低い光変調器が必要となる。10Gbps以上の高速で、数ボルトの振幅電圧での光変調を行うためには、高速の電気信号と位相変調器の中を伝搬する光の速度とを整合させ、伝搬させながら相互作用を行うようにする進行波電極が必要となる。進行波電極で電極の長さを数ミリメートルから数十ミリメートルにした光変調器が実用化されている(例えば非特許文献1)。進行波電極を使用した光変調器においては、電気信号や光導波路を伝搬する光の強度を落とさずに伝搬することができるよう、低損失で反射の少ない電極構造および光導波路構造が求められる。
【0006】
また、マッハツェンダ型光変調器には、光導波路をSiにより構成したSi光変調器がある。Si光変調器は、Si基板の表面を熱酸化した酸化膜(BOX)層上にSiの薄膜を張り付けたSOI(Silicon on Insulator)基板から構成される。SOI層を光が導波できるように、酸化膜(BOX)層上にSi薄膜を細線に加工した後、p型及びn型の半導体となるように細線のSi薄膜にドーパントを注入し、光のクラッド層となるSiO2の堆積、電極の形成等を行い作製する。このとき、光導波路は光損失が小さくなるように設計・加工する必要がある。光の損失発生を小さく抑えるとともに、高速電気信号の反射や損失を小さく抑えるように、p型及びn型のドーピング、並びに電極の作成を行う必要がある。
【0007】
図1は、従来のSi光変調器の基本となる光導波路100の光の導波方向に垂直の方向の断面を示す図である。図1の光導波路100は、SiO2クラッド層110と、SiO2クラッド層110上に形成されたSi層120と、Si層120上に形成されたSiO2クラッド層130を備える。
【0008】
Si層120は、光を閉じ込めるために厚さに差があるリブ導波路と呼ばれる構造を取っており、中央の厚い部分のコア層となるリブ部101と、リブ部101の両側のスラブ部102及びスラブ部103とから構成される。リブ部101は、周囲のSiO2クラッド層110及び130との屈折率差を利用して紙面垂直方向に伝搬する光を閉じ込めている。
【0009】
Si層120のスラブ部102の、リブ部101と反対側の端部は、高濃度p型半導体領域123となり、Si層120のスラブ部103の、リブ部101と反対側の端部は、高濃度n型半導体領域124となる。また、Si層120のスラブ部102のリブ部101側と、リブ部101のスラブ部102側とは、中濃度p型半導体領域121となる。また、Si層120のスラブ部103のリブ部101側と、リブ部101のスラブ部103側とは、中濃度n型半導体領域122となる。
【0010】
高濃度p型半導体領域123と中濃度p型半導体領域121との境界は接しており、高濃度n型半導体領域124と中濃度n型半導体領域122との境界も接している。これらの境界は重なり合ってドーピングがなされていても良い。また、リブ部101は、中濃度p型半導体領域121と中濃度n型半導体領域122とが接するpn接合構造となる。また、他の例として中濃度p型半導体領域121と中濃度n型半導体領域122との間にi型(真性)半導体領域が挟まれたpin接合構造としてもよい。
【0011】
図1に図示はないが高濃度p型半導体領域123に接する金属電極及び高濃度n型半導体領域124に接する金属電極を設け、pn接合部に金属電極よりRF(高周波)の変調電気信号とともに逆バイアス電界(図1では右から左)を印加する。これにより、光導波路100のコア層内部のキャリア密度を変化させ、光導波路の屈折率を変えて、光の位相を変調することができる(キャリアプラズマ効果)。
【0012】
導波路寸法はコア/クラッドとなる材料の屈折率に依存するため、一意には決定できないが、図1に記載のような光導波路100のリブ部(コア層)とスラブ部102及び103を備えるリブ導波路の構造とした場合の一例を挙げると、リブ部101の幅(導波路コア幅)400〜600(nm)×高さ150〜300(nm)×スラブ部の厚さ50〜200(nm)×長さ数(mm)程度になる。
【0013】
図2は、従来のSi光変調器200を示す平面図である。また、図3は、図2のA−A´における断面図である。図2のSi光変調器200は、シングル電極と呼ばれる構造のマッハツェンダ型光変調器であり(例えば非特許文献2参照)、入力光導波路211と、入力光導波路211からの光が分岐されて導波される光導波路212及び213と、光導波路212からの光と光導波路213からの光とを合波する出力光導波路214とを備える。光導波路212の基板縁側の脇には差動の変調電気信号(RF信号)を入力するための高周波線路(RF電極)221が形成され、光導波路213の基板縁側の脇にも差動のRF信号)を入力するためのRF電極222が形成され、光導波路212と213との間には共通のバイアス電圧を印加するためのDC電極223が形成される。光導波路212及び213は、図1の光導波路100と同様の断面構造を持つ光導波路を左右対称に2つ並べた構造をしている。
【0014】
入力光導波路211からの光が、光導波路212と213とに分岐される。光導波路212を導波する光は、RF電極221とDC電極223との間に印加される変調電気信号(RF信号)により位相変調され、光導波路213を導波する光は、RF電極222とDC電極223の間に印加される変調電気信号(RF信号)により位相変調される。光導波路212及び光導波路213を導波する位相変調された光は、結合されて出力光導波路214から出力される。
【0015】
図3を参照すると、Si光変調器200は、SiO2クラッド層110と、SiO2クラッド層110上に形成されたSi層120と、Si層120上に形成されたSiO2クラッド層130を備える。
【0016】
Si層120は、第1のコア層となる第1のリブ部101−1と、第2のコア層となる第2のリブ部101−2と、第1のリブ部101−1の第2のリブ部101−2とは反対側に配置された第1のスラブ部102−1と、第2のリブ部101−2の第1のリブ部101−1とは反対側に配置された第2のスラブ部102−2と、第1のリブ部101−1と第2のリブ部101−2との間に配置された第3のスラブ部103とから構成される。
【0017】
Si層120の第1のスラブ部102−1の、第1のリブ部101−1と反対側は、高濃度p型半導体領域123−1となり、第3のスラブ部103の、第1のリブ部101−1と反対側は、高濃度n型半導体領域124となる。また、第1のスラブ部102−1の第1のリブ部101−1側と、第1のリブ部101−1の第1のスラブ部102−1側とは、中濃度p型半導体領域121−1となる。また、第3のスラブ部103の第1のリブ部101−1側と、第1のリブ部101−1の第3のスラブ部103側とは、中濃度n型半導体領域122−1となる。
【0018】
一方で、Si層120の第2のスラブ部102−2の、第2のリブ部101−2と反対側の端部は、高濃度p型半導体領域123−2となり、第3のスラブ部103の、第2のリブ部101−2と反対側の端部は、高濃度n型半導体領域124となる。また、第2のスラブ部102−2の第2のリブ部101−2側と、第2のリブ部101−2の第2のスラブ部102−2側とは、中濃度p型半導体領域121−2となる。また、第3のスラブ部103の第2のリブ部101−2側と、第2のリブ部101−2の第3のスラブ部103側とは、中濃度n型半導体領域122−2となる。
【0019】
RF電極221は、高濃度p型半導体領域123−1に接しており、RF電極222は高濃度p型半導体領域123−2に接しており、DC電極223は高濃度n型半導体領域124に接している。DC電極223にRF電極221及び222に対してプラスの電圧を印加することで、DC電極223の両脇の2つのpn接合部に逆バイアスを印加することができる。
【0020】
図4は、従来のマッハツェンダ型光変調器400を示す平面図である。また、図5は、図4のB−B´における断面図である。図4のマッハツェンダ型光変調器400は、デュアル電極と呼ばれる構造のマッハツェンダ型光変調器であり、入力光導波路411と、入力光導波路411からの光が分岐されて導波される光導波路412及び413と、光導波路412からの光と光導波路413からの光とを合波する出力光導波路414とを備える。光導波路412の基板中心側の脇には差動のRF信号を入力するためのRF電極421が形成され、光導波路413の基板中心側の脇にも差動のRF信号を入力するためのRF電極422が形成される。また、光導波路412の基板縁側の脇にはグラウンド電極423が形成され、光導波路413の基板縁側の脇にもグラウンド電極424が形成される。また、RF電極421と422との間にはグラウンド電極425が形成される。光導波路412及び413は、図1の光導波路100と同様の断面構造を持つ光導波路を左右対称に2つ並べた構造をしている。
【0021】
入力光導波路411からの光が、光導波路412と413とに分岐される。光導波路412を導波する光は、RF電極421とグラウンド電極423との間に印加される変調電気信号(RF信号)により位相変調され、光導波路413を導波する光は、RF電極422とグラウンド電極424の間に印加される変調電気信号(RF信号)により位相変調される。光導波路412及び光導波路413を導波する位相変調された光は、結合されて出力光導波路414から出力される。
【0022】
図5を参照すると、マッハツェンダ型光変調器400は、SiO2クラッド層410と、SiO2クラッド層410上に形成されたSi層420と、Si層420上に形成されたSiO2クラッド層430を備える。
【0023】
Si層420は、第1のコア層となる第1のリブ部101−1と、第1のリブ部101−1の基板縁側に配置された第1のスラブ部102−1と、第1のリブ部101−1の基板中心側に配置された第2のスラブ部103−1とから構成される。
【0024】
Si層420の第1のスラブ部102−1の、第1のリブ部101−1と反対側は、高濃度p型半導体領域123−1となり、第2のスラブ部103−1の、第1のリブ部101−1と反対側は、高濃度n型半導体領域124−1となる。また、第1のスラブ部102−1の第1のリブ部101−1側と、第1のリブ部101−1の第1のスラブ部102−1側とは、中濃度p型半導体領域121−1となる。また、第2のスラブ部103−1の第1のリブ部101−1側と、第1のリブ部101−1の第2のスラブ部103−1側とは、中濃度n型半導体領域122−1となる。
【0025】
RF電極421は、高濃度n型半導体領域124−1に接しており、グラウンド電極423は高濃度p型半導体領域123−1に接している。グラウンド電極425は半導体層には接していないが、RF電極421に対してグラウンド電極423および425でGSGの高周波伝送線路を形成することで、特性インピーダンスの調整、伝送特性の向上を行うことができる。また、RF電極がグラウンド電極に囲われているため、信号の漏洩が少なく、クロストークや伝播損失の少ない光変調器を形成することが可能となる。
【0026】
Si光変調器の高周波伝送線路としての特性インピーダンスは、Si層のpn接合部の容量が大きく影響する。このため、シングル電極のマッハツェンダ型光変調器の特性インピーダンスは、シングルエンドでは25Ω程度であり、差動駆動とすることで50Ω程度にすることができる。一方、デュアル電極のマッハツェンダ型光変調器は、特性インピーダンスの調整が比較的容易であり、シングルエンドで50Ω程度、差動駆動で100Ω程度にすることが可能であり、シングル電極のSi光変調器よりも高い特性インピーダンスとすることができる。
【0027】
大容量・低消費電力の光通信を行うためには、高速で光を変調することが可能な光変調器、および消費電力が低い変調器駆動ドライバICが必要となる。図2に記載のシングル電極のマッハツェンダ型光変調器の特性インピーダンスは、シングルエンドで25Ω程度、差動駆動とすることで50Ω程度になるが、一般的な変調器駆動ドライバICであるバックターミネーション型のドライバは、測定器が一般的にシングルエンド50Ω、差動100Ωであるため、送端抵抗に50Ωの抵抗を入れて50Ω出力としている。このため、シングルエンドで出力された50Ωのドライバ信号を50Ωの差動信号に変換する、不平衡−平衡変換回路(バラン回路)等が必要となる。
【0028】
一方、オープンコレクタドライバは、送端抵抗がなく、どのようなインピーダンスの光変調器でも接続することが可能である。このため、オープンコレクタドライバを使用すると、送端抵抗で消費される電力が削減できるとともに、差動駆動のドライバICを利用することができ、電力効率の高い、低消費電力な光変調器を提供することができる。
【0029】
図6は、一般的なオープンコレクタドライバの構成を示す回路図である。図6のオープンコレクタドライバ600は、最終段トランジスタ601と、トランジスタ601のベース(ゲート)に接続された入力端子602と、トランジスタ601のコレクタ(ドレイン)に接続された出力端子603と、トランジスタ601のエミッタ(ソース)に接続された抵抗604と、抵抗604に接続された電流源605と、電流源605に接続されたグランド端子606とを備える。出力端子603は被駆動体610に接続されている。
【0030】
オープンコレクタドライバ600は、一般にバックターミネーション型のドライバと比べて送端抵抗で消費される電力が削減されるため、電力効率が高いという事が知られている(たとえば非特許文献3)。また接続される被駆動体610のみがトランジスタ601の負荷として扱われる。従ってバックターミネーション型ドライバのように被駆動体を送端抵抗のインピーダンスに合わせて設計する必要が無く、被駆動体の設計自由度が高い事が知られている。
【0031】
一方でコレクタ端子である出力端子603は解放されているため、被駆動体610からみたオープンコレクタドライバ600は非常に高いインピーダンスになっている。このため被駆動体610をオープンコレクタドライバ600に接続した場合、被駆動体610に対してオープンコレクタドライバ600は高インピーダンスとなり、オープンコレクタドライバ600へのRF信号入力は出力端子603において大きく反射する。また、オープンコレクタドライバ600に対して被駆動体610は低インピーダンスになっているためオープンコレクタドライバ600から被接続体610への入力も、被駆動体610の接続点611で反射が起こる。従って両反射により入力信号の共振が起こり発振の原因となる。
【0032】
この入力信号の反射の影響を抑えるために、被駆動体610とオープンコレクタドライバ600の接続距離(図6の出力端子603と接続点611との間の距離)を、RF信号の波長より十分短くする必要がある(一般に1/10〜1/20程度)。接続距離をRF信号の波長より十分短くした場合、被駆動体610はインピーダンスがどのような値であっても反射の影響なく駆動することが可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0033】
【非特許文献1】五井一宏,小田研二,日下裕幸,小川 憲介, Tsung-Yang Liow, Xiaoguang Tu, Guo-Qiang Lo, Dim-Lee Kwong,「Si Mach−Zehnderプッシュプル変調器の20Gbps二値位相変調特性」2012年電子情報通信学会ソサイエティ大会,C−3−50,2012.
【非特許文献2】Po Dong,Long Chen,and Young-kai Chen, 「High-speed low-voltage single-drive push-pull silicon Mach-Zehnder modulators」 Opt. Express vol.20, no.6, pp.6163-6169, 2012.
【非特許文献3】N. Wolf, L. Yan, J.-H. Choi, T. Kapa, S. Wunsch, R. Klotzer, K.-O. Velthaus, H.-G. Bach, M. Schell, 「Electro-Optical Co-Design to Minimize Power Consumption of a 32 GBd Optical IQ-Transmitter Using InP MZ-Modulators」2015 IEEE Compound Semiconductor Integrated Circuit Symposium (CSICS 2015), H.3, pp.117, 2015.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
図7は、マッハツェンダ型光変調器に差動型オープンコレクタドライバを接続した光変調器の構成を示す平面図である。差動型オープンコレクタドライバ710の差動出力端子711にはマッハツェンダ型光変調器720の高周波伝送線路(RF電極)721の入力パッド723と接続されており、差動出力端子712にはRF電極722の入力パッド724と接続されている。マッハツェンダ型光変調器720のRF電極721は、終端抵抗730の入力端子734を介して抵抗731が接続され、RF電極722は、終端抵抗730の入力端子735を介して抵抗732が接続される。このとき差動型オープンコレクタドライバ710の被駆動体は、RF電極721および722、並びに抵抗731および732になる。また、オープンコレクタドライバ710の動作点に合わせるため、RF電極721および722と抵抗731および732へは、端子733において電位(Vcc)を与えている。
【0035】
マッハツェンダ型光変調器720のRF電極721および722の特性インピーダンスと、抵抗731および732のインピーダンスとが一致している場合は、オープンコレクタドライバ710からの入力信号の反射点はRF電極721の入力パッド723およびRF電極722の入力パッド724となる。この場合、オープンコレクタドライバ710とRF電極721および722との間の接続距離(差動出力端子711と入力パッド723との間の距離、および差動出力端子712と入力パッド724との間の距離)を、RF電極721および722に印加するRF信号の波長より十分短くすることで、入力パッド723および724における反射の影響を抑えることが出来る。このとき、RF電極721および722の特性インピーダンスと抵抗731および732のインピーダンスとは、整合していればどんな値をもって良い。
【0036】
一方で、RF電極721および722の特性インピーダンスと、抵抗731および732のインピーダンスとが不一致であった場合、およびRF電極721および722の途中で反射の起きる構造である場合、またはRF電極721および722に構造上の欠陥である欠陥部727があった場合は、ドライバからの信号反射点は抵抗731および732、または欠陥部727となる。
【0037】
一般に、マッハツェンダ型光変調器のRF電極はmmオーダーを超える長さのため、反射による共振が起こる距離(差動出力端子711と欠陥部727または入力端子734との間の距離、および差動出力端子712と入力端子735との間の距離)がRF信号の波長より十分短くならない。従って、GHz帯のRF信号を入力すると、差動出力端子711と入力端子734との間において、RF電極721の途中の欠陥部727における信号の反射と、差動出力端子711における信号の反射とで共振が起きてしまう。反射による共振が起きた場合、RF電極721(および722)を伝播する高周波信号には、エネルギーの漏洩、反射の増大や透過損失の増大などの伝搬特性の劣化が生じる。さらに、特定の周波数で発生する共振は、オープンコレクタドライバ710内での反射量の変動をおこし、ドライバICの意図しない発振による異常動作、ノイズの増大などの原因となる。従って、マッハツェンダ型光変調器720のRF電極721および722の特性インピーダンスの値と抵抗731および732のインピーダンスの値とは完全に整合し、かつRF電極721および722と抵抗731および732との間には反射点がないことが望ましい。
【0038】
また、Si光変調器は、光導波路は極力曲げず、RF電極を曲げることで、光の入出力部とRF信号の入出力部を異なる箇所に配置する。図8は、RF電極に屈曲部を設けて光の入出力部とRF信号の入出力部を異なる箇所に配置したマッハツェンダ光変調器の構成を示す図である。
【0039】
図8のマッハツェンダ型光変調器800は、マッハツェンダ型光変調器820のRF電極821および822の入力側に曲線部824および825を設け、RF電極821および822の電極端および差動型オープンコレクタドライバ810の差動出力端子811および812を入力光導波路801から離間させている。また、マッハツェンダ型光変調器820のRF電極821および822の出力側にも曲線部826および827を設け、RF電極821および822の電極端および終端抵抗930の入力端子834および835を出力光導波路804から離間させている。
【0040】
しかし、マッハツェンダ型光変調器のRF電極に曲線部が設けられ、高周波伝送線路が屈曲している場合、高周波伝送線路内の曲線部はRF信号の反射点となり、その部分での反射と、オープンコレクタドライバとの接続端の反射を節とする高周波信号の共振を起こすことがある。さらに、差動信号を伝播させるマッハツェンダ型光変調器において、高周波伝送線路であるRF電極に曲線部が有り、2本のRF電極の長さに差があると、対になる差動信号の信号間に位相の差が生じる。信号間に位相差がある状態は、伝搬する差動信号に本来の差動信号である差動モードとノイズとなるコモンモードとの2つのモードが混在した状態であると考えることができる。差動モードとコモンモードとが混在した状態で長いRF電極に信号を伝播させると、RF電極を屈曲した方向と逆方向に再度曲げて、伝搬線路長の差を解消しても、2つのモードでは伝搬速度が異なるため、コモンモードを消滅させることができなくなる。差動モードとコモンモードとでは特性インピーダンスの値が異なるため、終端抵抗においてコモンモードの反射が発生する。この反射が、オープンコレクタドライバとマッハツェンダ型光変調器との接続部における反射を節とする高周波信号の共振を起こすことがある。
【0041】
このように、オープンコレクタドライバを使用したマッハツェンダ型光変調器は、差動型オープンコレクタドライバの信号の差動出力端子とRF電極との間の反射が大きいため、RF電極上に別の反射点があるような場合、および終端抵抗における反射があると、信号の出力端子とRFの反射点との間において高周波信号の共振が起こり易い。
【0042】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、差動出力のオープンコレクタドライバに接続した光変調器の、終端抵抗またはドライバ出力端でのコモンモードの反射を抑制することで、周波数応答特性の劣化、ドライバ特性の劣化を抑えた光変調器の構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0043】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、差動型オープンコレクタドライバと、前記差動型オープンコレクタドライバに接続された1組のRF電極を備えたマッハツェンダ型光変調器と、前記マッハツェンダ型光変調器に接続された終端抵抗とを備えるマッハツェンダ型光変調器であって、前記終端抵抗は、前記RF電極のそれぞれに接続された1組の第1の抵抗と、前記第1の抵抗に接続された第2の抵抗と備え、前記1組の第1の抵抗および第2の抵抗は、前記マッハツェンダ型光変調器におけるコモンモードと差動モード両方について前記RF電極とインピーダンス整合されていることを特徴とする。
【0044】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様の光変調器であって、前記1組の第1の抵抗および前記第2の抵抗は、それぞれ直列に接続され、前記第2の抵抗には、前記それぞれのRF電極、前記1組の第1の抵抗および前記第2の抵抗に印加する電源が接続されることを特徴とする。
【0045】
また、本発明の第3の態様は、第1の態様の光変調器であって、前記第2の抵抗は、前記1組の第1の抵抗の間に接続され、前記第1の抵抗のそれぞれに、前記それぞれのRF電極、前記1組の第1の抵抗および前記第2の抵抗に印加する電源が接続されることを特徴とする。
【0046】
また、本発明の第4の態様は、第1の態様の光変調器であって、前記第1の抵抗および前記第2の抵抗は、それぞれ直列に接続され、前記第2の抵抗には、容量を介して接地され、前記第1の抵抗と前記第2の抵抗との間に、前記それぞれのRF電極、前記1組の第1の抵抗および前記第2の抵抗に印加する電源が接続されることを特徴とする。
【0047】
また、本発明の第5の態様は、第2の態様の光変調器であって、前記電源は、前記1組のRF電極の間に配置されたDC電極に接続されることを特徴とする。
【0048】
また、本発明の第6の態様は、第1乃至第5のいずれか1つの態様の光変調器であって、前記RF電極と、前記第1の抵抗との間にそれぞれインダクタが接続される。
【0049】
また、本発明の第7の態様は、第1乃至第6のいずれか1つの態様の光変調器が、マッハツェンダ型光変調器であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0050】
本発明に係る光変調器は、コモンモードの反射が無いため、伝送線路の曲線部によるコモンモード信号の影響を防止することができる。これにより意図しない共振による異常動作、ノイズの増大などのドライバ特性の劣化や、光変調器の周波数応答特性の劣化による、高速変調時の波形品質の劣化を防ぐことができる。さらに、送信光信号内あるいは送信・受信間の信号のクロストークの増大などの悪影響を改善することを可能としている。このため、高周波特性に優れた、波形品質の良い、光変調器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】従来のSi光変調器の基本となる光導波路の光の導波方向に垂直の方向の断面を示す図である。
図2】従来のシングル電極マッハツェンダ型光変調器を示す平面図である。
図3図2のA−A´における断面図である。
図4】従来のデュアル電極マッハツェンダ型光変調器を示す平面図である。
図5図4のB−B´における断面図である。
図6】従来のオープンコレクタドライバを示す回路構成図である。
図7】差動型オープンコレクタドライバを使用したマッハツェンダ型光変調器を示す平面図である。
図8】RF電極に屈曲部を設けて光の入出力部とRF信号の入出力部を異なる箇所に配置した従来のマッハツェンダ型光変調器を示す平面図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係るマッハツェンダ型光変調器を示す平面図である。
図10図9のC−C´における断面図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係るマッハツェンダ型光変調器を示す平面図である。
図12】本発明の第3の実施形態に係るマッハツェンダ型光変調器を示す平面図である。
図13】本発明の第4の実施形態に係るマッハツェンダ型光変調器を示す平面図である。
図14】本発明の第5の実施形態に係るマッハツェンダ型光変調器を示す平面図である。
図15】本発明の第6の実施形態に係るマッハツェンダ型光変調器を示す平面図である。
図16】本発明の第7の実施形態に係るマッハツェンダ型光変調器を示す平面図である。
図17】本発明の第7の実施形態に係るマッハツェンダ型光変調器の光の導波方向の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0053】
[第1の実施形態]
図9は、本発明の第1の実施形態に係る光変調器の構成を示す平面図である。図9の光変調器900は、差動型オープンコレクタドライバ910と、差動型オープンコレクタドライバ910に接続されたシングル電極のSiマッハツェンダ型光変調器920と、マッハツェンダ型光変調器920に接続された終端抵抗930とを備える。マッハツェンダ型光変調器920は、入力光導波路901と、入力光導波路901からの光が分岐されて導波される光導波路902及び903と、光導波路902からの光と光導波路903からの光とを合波する出力光導波路904とを備える。
【0054】
光導波路902の基板縁側の脇には差動の変調電気信号(RF信号)を入力するための高周波線路(RF電極)921が形成され、光導波路903の基板縁側の脇にも差動のRF信号を入力するためのRF電極922が形成される。また、光導波路902と903との間には共通のバイアス電圧を印加するためのDC電極923が形成される。RF電極921の差動型オープンコレクタドライバ910側には曲線部924が形成され、終端抵抗930側に曲線部926が形成されている。RF電極922の差動型オープンコレクタドライバ910側には曲線部925が形成され、終端抵抗830側に曲線部927が形成されている。RF電極921は、差動型オープンコレクタドライバ910の差動出力端子911、および終端抵抗930の入力端子935と信号線により接続されている。RF電極922は、差動型オープンコレクタドライバ910の差動出力端子912、および終端抵抗930の入力端子936と信号線により接続されている。
【0055】
終端抵抗930の入力端子935は抵抗931(抵抗値R1)を介して抵抗933(抵抗値R3)の一端に接続され、入力端子936は抵抗932(抵抗値R2)を介して抵抗933の一端に接続されている。抵抗933の他端は端子934(電位VCC)に接続され、差動型オープンコレクタドライバ910の動作点に合わせるため、RF電極921および922と、抵抗931、932および933へ電位を与えている。
【0056】
図10は、マッハツェンダ型光変調器900のC−C´における断面図である。図10を参照すると、マッハツェンダ型光変調器900は、SiO2クラッド層1010と、SiO2クラッド層1010上に形成されたSi層1020と、Si層1020上に形成されたSiO2クラッド層1030とを備える。
【0057】
また、Si層1020は、第1のコア層となる第1のリブ部1021−1と、第2のコア層となる第2のリブ部1021−2と、第1のリブ部1021−1の第2のリブ部1021−2とは反対側に配置された第1のスラブ部1022−1と、第2のリブ部1021−2の第1のリブ部1021−1とは反対側に配置された第2のスラブ部1022−2と、第1のリブ部1021−1と第2のリブ部1021−2との間に配置された第3のスラブ部1023とから構成される。
【0058】
また、マッハツェンダ型光変調器900のSi層1020の第1のスラブ部1022−1の、第1のリブ部1021−1と反対側は、高濃度p型半導体領域1043−1となり、第3のスラブ部1023の、第1のリブ部1021−1と反対側は、高濃度n型半導体領域1044となる。また、第1のスラブ部1022−1の第1のリブ部1021−1側と、第1のリブ部1021−1の第1のスラブ部1022−1側とは、中濃度p型半導体領域1041−1となる。また、第3のスラブ部1023の第1のリブ部1021−1側と、第1のリブ部1021−1の第3のスラブ部1023側とは、中濃度n型半導体領域1042−1となる。
【0059】
一方で、Si層1020の第2のスラブ部1022−2の、第2のリブ部1021−2と反対側の端部は、高濃度p型半導体領域1043−2となり、第3のスラブ部1023の、第2のリブ部1021−2と反対側は、高濃度n型半導体領域1044となる。また、第2のスラブ部1022−2の第2のリブ部1021−2側と、第2のリブ部1021−2の第2のスラブ部1022−2側とは、中濃度p型半導体領域1041−2となる。また、第3のスラブ部1023の第2のリブ部1021−2側と、第2のリブ部1021−2の第3のスラブ部1023側とは、中濃度n型半導体領域1042−2となる。
【0060】
また、RF電極921は、高濃度p型半導体領域1043−1に接しており、RF電極922は高濃度p型半導体領域1043−2に接しており、DC電極1024は高濃度n型半導体領域1044に接している。DC電極923にRF電極921及び1022に対してプラスの電圧を印加することで、DC電極923の両脇の1組のpn接合部に逆バイアスを印加することができる。DC電極923には、端子905が接続されている。高濃度p型半導体領域上にあるRF電極921および922の電位は、高濃度n型半導体領域上にあるDC電極923の電位より低い必要があるため、高濃度n型半導体領域上にあるDC電極923には電位VDDを印加し、電位を高くしている。
【0061】
終端抵抗930は、従来の図8のマッハツェンダ型光変調器800における終端抵抗830の抵抗831および832に加えて、さらに抵抗933が追加されている。終端抵抗930は、抵抗931、932および933の抵抗値を適切に設定することで、差動モードのインピーダンスとコモンモードのインピーダンスを独立に設計することができる。つまり、マッハツェンダ型光変調器におけるコモンモードと差動モード両方についてRF電極とインピーダンス整合するように設計する。
【0062】
ここで、抵抗931、932および933の抵抗値R1、R2、R3は、
R1=R2=(Ze−Zo)/2
R3=Ze
の関係が成り立つ。Zeは抵抗933の差動モードのインピーダンス、Zoはコモンモードのインピーダンスとなる。Ze、Zoともに、マッハツェンダ型光変調器のRFの特性インピーダンスの差動モードおよびコモンモードの値と合わせることで、RF電極と終端抵抗の反射を抑えることができる。
【0063】
マッハツェンダ型光変調器のRFの特性インピーダンスの差動モードおよびコモンモードの値と合わせるように、終端抵抗930の各抵抗値を設計することにより、マッハツェンダ型光変調器におけるコモンモードと差動モード両方についてRF電極とインピーダンス整合され、光変調器のRF電極921および922において発生したコモンモード信号を反射なく吸収することができる。
【0064】
[第2の実施形態]
図11は、本発明の第2の実施形態に係る光変調器の構成を示す平面図である。図11のマッハツェンダ型光変調器1100は、差動型オープンコレクタドライバ1110と、差動型オープンコレクタドライバ1110に接続されたシングル電極のSiマッハツェンダ型光変調器1120と、マッハツェンダ型光変調器1120に接続された終端抵抗1130とを備える。マッハツェンダ型光変調器1120は、入力光導波路1101と、入力光導波路1101からの光が分岐されて導波される光導波路1102及び1103と、光導波路1102からの光と光導波路903からの光とを合波する出力光導波路904とを備える。
【0065】
光導波路1102の基板縁側の脇には差動の変調電気信号(RF信号)を入力するための高周波線路(RF電極)1121が形成され、光導波路1103の基板縁側の脇にも差動のRF信号を入力するためのRF電極1122が形成される。また、光導波路1102と1103との間には共通のバイアス電圧を印加するためのDC電極1123が形成される。RF電極1121は、差動型オープンコレクタドライバ1110の差動出力端子1111、および終端抵抗1130の入力端子1135と信号線により接続されている。RF電極1122は、差動型オープンコレクタドライバ1110の差動出力端子1112、および終端抵抗1130の入力端子1136と信号線により接続されている。DC電極1123には、端子1105が接続され、電位VDDが与えられている。
【0066】
終端抵抗1130の入力端子1135は抵抗1131(抵抗値R1)を介して端子1134に接続され、入力端子1136は抵抗1132(抵抗値R2)を介して端子1134に接続されている。入力端子1135と抵抗1131との間の通信線と、入力端子1136と抵抗1132との間の通信線と、の間には抵抗1133(抵抗値R3)が接続されている。端子1134は電源(電位VCC)に接続され、差動型オープンコレクタドライバ1110の動作点に合わせるため、RF電極1121および1122と、抵抗1131、1132および1133へ電位を与えている。
【0067】
終端抵抗1130は、従来の図8のマッハツェンダ型光変調器800における終端抵抗830の抵抗831および832に加えて、さらに抵抗1133が追加されている。終端抵抗1130は、抵抗1131、1132および1133の抵抗値を適切に設定することで、差動モードのインピーダンスとコモンモードのインピーダンスを独立に設計する。つまり、マッハツェンダ型光変調器におけるコモンモードと差動モード両方についてRF電極とインピーダンス整合するように設計する。
【0068】
ここで、抵抗1131、1132および1133の抵抗値R1、R2、R3は、
R1=R2=Ze
R3=2ZeZo/(Ze−Zo)
の関係が成り立つ。Zeは抵抗933の差動モードのインピーダンス、Zoはコモンモードのインピーダンスとなる。Ze、Zoともに、マッハツェンダ型光変調器のRFの特性インピーダンスの差動モードおよびコモンモードの値と合わせることで、マッハツェンダ型光変調器におけるコモンモードと差動モード両方についてRF電極とインピーダンス整合され、RF電極と終端抵抗の反射を抑えることができる。
【0069】
マッハツェンダ型光変調器のRFの特性インピーダンスの差動モードおよびコモンモードの値と合わせるように、終端抵抗930の各抵抗値を設計することにより、光変調器のRF電極921および922において発生したコモンモード信号を反射なく吸収することができる。
【0070】
[第3の実施形態]
図12は、本発明の第3の実施形態に係る光変調器の構成を示す平面図である。図12の光変調器1200は、第1の実施形態の図9のマッハツェンダ型光変調器900の終端抵抗930の抵抗931、932および933に加えて、更に容量(1234)を加えている。
【0071】
具体的には、終端抵抗1230の入力端子1236は抵抗1231(抵抗値R1)を介して抵抗1333(抵抗値R3)の一端に接続され、入力端子1237は抵抗1232(抵抗値R2)を介して抵抗1233の一端に接続されている。抵抗933の他端は容量1234の一端に接続され、容量1234の他端は接地されている。抵抗1231と抵抗1233との間には端子1235が接続され、差動型オープンコレクタドライバ1210の動作点に合わせるため、RF電極1221および1222と、抵抗1231、1232および1233と、容量1234へ電位VCCを与えている。
【0072】
終端抵抗1230は、コモンモード用の抵抗1231、1232および1233の抵抗値を適切に設定することで、差動モードのインピーダンスとコモンモードのインピーダンスを独立に設計することが出来る。抵抗値の設定は第1の実施形態において用いた式を使えば良い。適切に設計した終端抵抗1230を用いれば、マッハツェンダ型光変調器のRF電極1221および1222において発生したコモンモード信号を、反射なく吸収することができる。また、容量1234は、端子1235からの電位VCCが抵抗1233にかかり電力消費することを防ぐために設置してある。これによって第1の実施形態のマッハツェンダ型光変調器900と比べて、抵抗(933)で消費される電力を削減できるため、第1の実施形態よりも低消費電力の構成となる。
【0073】
[第4の実施形態]
図13は、本発明の第4の実施形態に係る光変調器の構成を示す平面図である。図13の光変調器1300は、第1の実施形態の図9の光変調器900の電源VDDに接続する端子905をなくし、終端抵抗930の電源VCCに接続する端子934にDC電極923を接続した例である。
【0074】
具体的には、終端抵抗1330の入力端子1335は抵抗1331(抵抗値R1)を介して抵抗1333(抵抗値R3)の一端に接続され、入力端子1336は抵抗1332(抵抗値R2)を介して抵抗1333の一端に接続されている。抵抗1333の他端は電源1305を介してマッハツェンダ型光変調器1320のDC電極1323に接続され、さらに電源(電位VCC)に接続された端子1334にも接続される。
【0075】
本実施形態のマッハツェンダ型光変調器1300は、第1の本実施形態のマッハツェンダ型光変調器900の効果に加えて、電位VCCを基準とする。従って、DC電極1323に電位を与える電源1305は、第1の実施形態のマッハツェンダ型光変調器900においてDC電極923に印加する電位VDDより小さくすることができる。
【0076】
なお、VCCの電位は、終端抵抗1330の抵抗1331、1332および1333において電圧降下するため、電位VDDはゼロとしてもn型半導体領域上のDC電極1323はp型半導体領域上のRF電極1321および1322より高くなる。従って、端子1334とDC電極1323との間に電源1305は設けず、短絡していても良い。また電源1305は、抵抗1331と1333との間でもよい。さらに、本実施形態は、前述の第2の実施形態および第3の実施形態に適用することも可能である。
【0077】
[第5の実施形態]
図14は、本発明の第5の実施形態に係るマッハツェンダ型光変調器の構成を示す平面図である。図12のマッハツェンダ型光変調器1200は、第1の実施形態の図9のマッハツェンダ型光変調器900の終端抵抗930にインダクタを加えた例である。
【0078】
具体的にはマッハツェンダ型光変調器1420のRF電極1421と終端抵抗1430の入力端子1435との間にインダクタ1405が接続され、RF電極1422と入力端子1436との間にインダクタ1406が接続される。
【0079】
終端抵抗1430とマッハツェンダ型光変調器1420との接続点である入力端子1435および1436においては、理想上はインピーダンス連続点とみなせるが、実際には電極パッドが存在するため寄生容量が付く。このため、入力端子1435および1436はインピーダンス不連続点になり、反射点となる。本実施形態においては、RF電極1421と入力端子1435との間にインダクタ1405を接続し、RF電極1422と入力端子1436との間にインダクタ1406を接続したことにより、入力端子1435および1436寄生容量によるインピーダンス不整合を補償した。
【0080】
なお、インダクタは入力端子1435と抵抗1431との間、および入力端子1436と抵抗1432との間にあっても良いし、差動型オープンコレクタドライバ1410の差動出力端子1411とマッハツェンダ型光変調器1420のRF電極1421との間、および差動出力端子1412とRF電極1422との間に配置しても良い。さらに、本実施形態は、前述の第2の実施形態、第3の実施形態および第5の実施形態に適用することも可能である。
【0081】
[第6の実施形態]
図15は本発明の第6の実施形態に係る光変調器の構成を示す平面図である。図15のマッハツェンダ型光変調器1500は、差動型オープンコレクタドライバ1510と、差動型オープンコレクタドライバ1510に接続されたデュアル電極のSiマッハツェンダ型光変調器1520と、マッハツェンダ型光変調器1520に接続された終端抵抗1530とを備える。
【0082】
マッハツェンダ型光変調器1520は、入力光導波路1501と、入力光導波路1501からの光が分岐されて導波される光導波路1502及び1503と、光導波路1502からの光と光導波路1503からの光とを合波する出力光導波路1504とを備える。
【0083】
光導波路1502の基板中心側の脇には差動の変調電気信号(RF信号)を入力するための高周波伝送線路(RF電極)1521が形成され、光導波路1503の基板中心側の脇にも差動のRF信号を入力するためのRF電極1522が形成される。また、光導波路1502の基板縁側の脇にはグラウンド電極1523が形成され、光導波路1503の基板縁側の脇にもグラウンド電極1524が形成される。RF電極1521と1524との間にはグラウンド電極1525が形成される。RF電極1521の差動型オープンコレクタドライバ1510側は差動型オープンコレクタドライバ1510の差動出力端子1511と信号線により接続されている。RF電極1521の終端抵抗1530側は終端抵抗1530の入力端子1534と信号線により接続されている。RF電極1522の差動型オープンコレクタドライバ1510側は差動型オープンコレクタドライバ1510の差動出力端子1512と信号線により接続されている。RF電極1522の終端抵抗1530側は終端抵抗1530の入力端子1535と信号線により接続されている。
【0084】
終端抵抗1530の入力端子1535は抵抗1531(抵抗値R1)を介して抵抗1533(抵抗値R3)の一端に接続され、入力端子1536は抵抗1532(抵抗値R2)を介して抵抗1533の一端に接続されている。抵抗1533の他端は電源(電位VCC)に接続された端子1534に接続され、差動型オープンコレクタドライバ1510の動作点に合わせるため、RF電極1521および1522と、抵抗1531、1532および1533へ電位を与えている。
【0085】
図16は、マッハツェンダ型光変調器1500のD−D´における断面図である。図16を参照すると、マッハツェンダ型光変調器1500は、SiO2クラッド層1610と、SiO2クラッド層1610上に形成されたSi層1620と、Si層1620上に形成されたSiO2クラッド層1630とを備える。
【0086】
また、Si層1620は、第1のコア層となる第1のリブ部1621−1と、第1のリブ部1621−1の基板縁側に配置された第1のスラブ部1622−1と、第1のリブ部1621−1の基板中心側に配置された第2のスラブ部1623−1とから構成される。
【0087】
また、マッハツェンダ型光変調器1500のSi層1620の第1のスラブ部1622−1の、第1のリブ部1621−1と反対側は、高濃度p型半導体領域1643−1となり、第2のスラブ部1623−1の、第1のリブ部1621−1と反対側は、高濃度n型半導体領域1644−1となる。また、第1のスラブ部1622−1の第1のリブ部1621−1側と、第1のリブ部1621−1の第1のスラブ部1622−1側とは、中濃度p型半導体領域1641−1となる。また、第2のスラブ部1623−1の第1のリブ部1621−1側と、第1のリブ部1621−1の第2のスラブ部1623−1側とは、中濃度n型半導体領域1642−1となる。
【0088】
また、RF電極1521は、高濃度n型半導体領域1644−1に接しており、グラウンド電極1523は高濃度p型半導体領域1643−1に接している。グラウンド電極1525は半導体層には接していないが、RF電極1521に対してグラウンド電極1523および1525でGSGの高周波伝送線路を形成することで、特性インピーダンスの調整、伝送特性の向上を行うことができる。また、RF電極がグラウンド電極に囲われているため、信号の漏洩が少なく、クロストークや伝播損失の少ない光変調器を形成することが可能となる。
【0089】
グラウンド電極1523および1524には、端子1505が接続されている。高濃度n型半導体領域上にあるRF電極1521および1522の電位は、高濃度p型半導体領域上にあるグラウンド電極1523の電位より高い。従って、高濃度n型半導体領域上にあるグラウンド電極1523および1524に印加する電位VDDはVCCより低くする、または接地しても良い。
【0090】
本実施形態は、第1の実施形態のシングル電極のマッハツェンダ型光変調器900と同様の効果を得ることができる。なお、第1乃至第5の実施形態のマッハツェンダ型光変調器の終端抵抗を、本実施形態のデュアル電極のマッハツェンダ型光変調器に接続しても良い。
【0091】
[第7の実施形態]
図17は、本発明の第7の実施形態に係るマッハツェンダ型光変調器の光の導波方向の断面を示す図である。図17のマッハツェンダ型光変調器1700は、第1の実施形態の図9のマッハツェンダ型光変調器900のp型半導体領域とn型半導体領域を反転させた例である。図17を参照すると、マッハツェンダ型光変調器1700は、SiO2クラッド層1810と、SiO2クラッド層1810上に形成されたSi層1820と、Si層1820上に形成されたSiO2クラッド層1830とを備える。
【0092】
また、Si層1820は、第1のコア層となる第1のリブ部1821−1と、第2のコア層となる第2のリブ部1821−2と、第1のリブ部1821−1の第2のリブ部1821−2とは反対側に配置された第1のスラブ部1822−1と、第2のリブ部1821−2の第1のリブ部1821−1とは反対側に配置された第2のスラブ部1822−2と、第1のリブ部1821−1と第2のリブ部1821−2との間に配置された第3のスラブ部1823とから構成される。
【0093】
また、マッハツェンダ型光変調器1700のSi層1820の第1のスラブ部1822−1の、第1のリブ部1821−1と反対側は、高濃度n型半導体領域1843−1となり、第3のスラブ部1823の、第1のリブ部1821−1と反対側は、高濃度p型半導体領域1844となる。また、第1のスラブ部1822−1の第1のリブ部1821−1側と、第1のリブ部1821−1の第1のスラブ部1822−1側とは、中濃度n型半導体領域1841−1となる。また、第3のスラブ部1823の第1のリブ部1821−1側と、第1のリブ部1821−1の第3のスラブ部1823側とは、中濃度p型半導体領域1842−1となる。
【0094】
一方で、Si層1820の第2のスラブ部1822−2の、第2のリブ部1821−2と反対側の端部は、高濃度n型半導体領域1843−2となり、第3のスラブ部1823の、第2のリブ部1821−2と反対側は、高濃度p型半導体領域1844となる。また、第2のスラブ部1822−2の第2のリブ部1821−2側と、第2のリブ部1821−2の第2のスラブ部1822−2側とは、中濃度n型半導体領域1841−2となる。また、第3のスラブ部1823の第2のリブ部1821−2側と、第2のリブ部1821−2の第3のスラブ部1823側とは、中濃度p型半導体領域1842−2となる。
【0095】
また、RF電極1721は、高濃度n型半導体領域1843−1に接しており、RF電極1722は高濃度n型半導体領域1843−2に接しており、DC電極1723は高濃度p型半導体領域1844に接している。DC電極1723にRF電極1721及び1722に対してマイナスの電圧を印加することで、DC電極1723の両脇の2つのpn接合部にバイアスを印加することができる。DC電極1723には、電源(電位VDD)が接続された端子が接続されている。高濃度p型半導体領域上にあるDC電極1723の電位は、高濃度n型半導体領域上にあるRF電極1721および1722のより高い必要がある。そのため、DC電極1723に接続する端子は、接地されていても良い。
【符号の説明】
【0096】
100、211〜214、411〜414、801〜804、901〜904、1101〜1104、1201〜1204、1401〜1404 光導波路
101、101−1、101−2、1021−1、1021−2、1621−1、1621−2、1821−1、1821−2 リブ部
102、102−1、102−2、103、1022−1、1022−2、1023、1622−1、1622−2、1623−1、1623−2、1822−1、1822−2、1823 スラブ部
110、130、1010、1030、1610、1630、1810、1830 Siクラッド層
120、1020、1620、1820 Si層
121、121−1、121−2、1041−1、1041−2、1641−1、1641−2、1842−1、1842−2 中濃度p型半導体領域
122、122−1、121−2、1042−1、1042−2、1642−1、1642−2、1841−1、1841−2 中濃度n型半導体領域
123、123−1、123−2、1043−1、1043−2、1643−1、1643−2、1844 高濃度p型半導体領域
124、124−1、124−2、1044、1644−1、1644−2、1843−1、1843−2 高濃度n型半導体領域
221、222、421、422、721、722、821、822、921、922、1121、1122、1221、1222、1321、1322、1421、1422、1521、1522 RF電極
223、823、1123、1223、1323、1423 DC電極
423〜425、1523〜1525 グラウンド電極
600 オープンコレクタドライバ
601 トランジスタ
602、603、606、733、833、934、905、1105、1134、1205、1235、1334、1407、1434、1505、1534 端子
604、731、732、831、832、931〜933、1131〜1133、1231〜1233、1331〜1333、1431〜1433、1531〜1533 抵抗
605 電流源
610 被駆動体
611 接続点
710、810、910、1110、1210、1310、1410、1510 差動型オープンコレクタドライバ
711、712、811、812、911、912、1111、1112、1211、1212、1411、1412、1511、1512 差動出力端子
720、820、920、1120、1220、1320、1420、1520 マッハツェンダ型光変調器
723、724、828、829、1424、1425 入力パッド
727 欠陥部
730、830、930、1130、1230、1330、1430、1530 終端抵抗
734、735、834、835、935、936、1135、1136、1236、1237、1335、1336、1435、1436、1535、1536 入力端子
824〜827、924〜927 曲線部
1234 容量
1305 電源
1405、1406 インダクタ
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図10
図11
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図17