特許第6432452号(P6432452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6432452
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】縮合複素環化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 413/04 20060101AFI20181126BHJP
   C07D 213/81 20060101ALI20181126BHJP
   C07D 213/803 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
   C07D413/04
   C07D213/81
   C07D213/803
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-124500(P2015-124500)
(22)【出願日】2015年6月22日
(65)【公開番号】特開2016-27019(P2016-27019A)
(43)【公開日】2016年2月18日
【審査請求日】2018年2月7日
(31)【優先権主張番号】特願2014-131037(P2014-131037)
(32)【優先日】2014年6月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】宮本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】笹山 大輔
【審査官】 水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−5263(JP,A)
【文献】 特開平2−78662(JP,A)
【文献】 西独国特許第262883(DE,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(2)
[式中、R1はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数3〜6の脂環式炭化水素基を表し、
Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基、又はハロゲン原子を表し、nは0、1、2または3を表し、Mはナトリウム、カリウム、又はリチウムを表す]で表される化合物と、塩化チオニルとを反応させて、式(1)
[式中、R1、Rおよびnは前記と同じ意味を表す。]
で表される化合物を得る工程A;及び
式(1)で表される化合物と式(5)
[式中、A1は窒素原子又は=CH−を表し、
5はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数3〜6の脂環式炭化水素基を表し、mは1または2を表す]
で表される化合物とを反応させることにより、式(3)
[式中、R1、R、R5、A1、mおよびnは、前記と同じ意味を表す。]
で表される化合物またはその酸塩を製造する工程B;及び
式(3)で表される化合物またはその酸塩を、酸の存在下で100℃〜180℃で環化することにより、式(4)
[式中、R1、R、R5、A1、mおよびnは、前記と同じ意味を表す。]
で表される化合物を得る工程C;を含む、式(4)で表される化合物の製造方法。
【請求項2】
工程Cにおける酸が、スルホン酸化合物である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
工程Cにおける酸が、p−トルエンスルホン酸である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
工程Cにおける酸が、メタンスルホン酸である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
式(2)
[式中、R1はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数3〜6の脂環式炭化水素基を表し、
Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基、又はハロゲン原子を表し、nは0、1、2または3を表し、Mはナトリウム、カリウム、又はリチウムを表す]で表される化合物と、塩化チオニルとを反応させて、式(1)
[式中、R1、Rおよびnは前記と同じ意味を表す。]
で表される化合物を得る工程A;及び
式(1)で表される化合物と式(5)
[式中、A1は窒素原子又は=CH−を表し、
5はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数3〜6の脂環式炭化水素基を表し、mは1または2を表す]
で表される化合物とを反応させることにより、式(3)
[式中、R1、R、R5、A1、mおよびnは、前記と同じ意味を表す。]
で表される化合物を製造する工程B;を含む、式(3)で表される化合物またはその酸塩の製造方法。
【請求項6】
工程Bにおいて、用いる溶媒がエーテル溶媒を含む、請求項1〜5いずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
式(2)
[式中、R1はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数3〜6の脂環式炭化水素基を表し、
Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基、又はハロゲン原子を表し、nは0、1、2または3を表し、Mはナトリウム、カリウム、又はリチウムを表す]で表される化合物と、塩化チオニルとを反応させて、式(1)
[式中、R1、R及びnは前記と同じ意味を表す。]
で表される化合物を得る工程A;を含む、式(1)で表される化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縮合複素環化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2−(3−エチルスルファニルピリジン−2−イル)−5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール等が有害生物に対して優れた防除効力を有することが記載されており、製造法2には、アミノフェノールとピリジンカルボン酸クロリドとを反応させてアミド体を合成し、該アミド体を閉環して合成する方法が記載されている。
また、非特許文献1には、イソニコチン酸カリウム塩が塩化オキサリルと反応してイソニコチン酸クロリドを製造する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2013/018928号
【0004】
【非特許文献1】Journal of Medicinal Chemistry(1986), 29, 860
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、式(4)
[式中、
1はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数3〜6の脂環式炭化水素基を表し、
Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基、又はハロゲン原子を表し、
5はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数3〜6の脂環式炭化水素基を表し、
1は窒素原子又は=CH−を表し、
mは1又は2を表し、
nは0、1、2又は3を表す]
で表される化合物の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、式(4)で表される化合物の製造方法を見出すべく検討した結果、本発明に至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
〔1〕 式(2)
[式中、R1はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数3〜6の脂環式炭化水素基を表し、
Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基、又はハロゲン原子を表し、nは0、1、2または3を表し、Mはナトリウム、カリウム、又はリチウムを表す]で表される化合物と、塩化チオニルとを反応させて、式(1)
[式中、R1、Rおよびnは前記と同じ意味を表す。]
で表される化合物を得る工程A(以下、工程Aとも記す);及び
式(1)で表される化合物と式(5)
[式中、A1は窒素原子又は=CH−を表し、
5はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数3〜6の脂環式炭化水素基を表し、mは1または2を表す]
で表される化合物とを反応させることにより、式(3)
[式中、R1、R、R5、A1、mおよびnは、前記と同じ意味を表す。]
で表される化合物またはその酸塩を製造する工程B(以下、工程Bとも記す);及び
式(3)で表される化合物またはその酸塩を、酸の存在下で100℃〜180℃で環化することにより、式(4)
[式中、R1、R、R5、A1、mおよびnは、前記と同じ意味を表す。]
で表される化合物を得る工程C(以下、工程Cとも記す);を含む、式(4)で表される化合物の製造方法。
〔2〕 工程Cにおける酸が、スルホン酸化合物である、〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕 工程Cにおける酸が、p−トルエンスルホン酸である、〔1〕に記載の製造方法。
〔4〕 工程Cにおける酸が、メタンスルホン酸である、〔1〕に記載の製造方法。
〔5〕 式(2)
[式中、R1はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数3〜6の脂環式炭化水素基を表し、
Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基、又はハロゲン原子を表し、nは0、1、2または3を表し、Mはナトリウム、カリウム、又はリチウムを表す]で表される化合物と、塩化チオニルとを反応させて、式(1)
[式中、R1、Rおよびnは前記と同じ意味を表す。]
で表される化合物を得る工程A;及び
式(1)で表される化合物と式(5)
[式中、A1は窒素原子又は=CH−を表し、
5はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数3〜6の脂環式炭化水素基を表し、mは1または2を表す]
で表される化合物とを反応させることにより、式(3)
[式中、R1、R、R5、A1、mおよびnは、前記と同じ意味を表す。]
で表される化合物を製造する工程B;を含む、式(3)で表される化合物またはその酸塩の製造方法。
〔6〕 工程Bにおいて、用いる溶媒がエーテル溶媒を含む、〔1〕〜〔5〕いずれかに記載の製造方法。
〔7〕 式(2)
[式中、R1はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数3〜6の脂環式炭化水素基を表し、
Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基、又はハロゲン原子を表し、nは0、1、2または3を表し、Mはナトリウム、カリウム、又はリチウムを表す]で表される化合物と、塩化チオニルとを反応させて、式(1)
[式中、R1、R及びnは前記と同じ意味を表す。]
で表される化合物を得る工程A;を含む、式(1)で表される化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、式(4)で表される化合物を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明について説明する。
【0009】
式(1)で表される化合物、式(3)で表される化合物および、式(4)で表される化合物は、例えば、以下の製造法により製造することができる。
【0010】
本発明において、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を表す。
本発明において、炭素数1〜6の鎖式炭化水素基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;
ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ヘキセニル基等の炭素数1〜6のアルケニル基;
及びエチニル基、プロパルギル基、1−ペンチニル基、1−ヘキシニル基等の炭素数1〜6のアルキニル基を表す。
本発明において、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の鎖式炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等の、ハロゲン原子を有していてもよいC1−C6アルキル基;
ビニル基、2−プロペニル基、1−メチルビニル基、2−メチル−1−プロペニル基、3−ブテニル基、1−ヘキセニル基、1,1−ジフルオロアリル基、及びペンタフルオロアリル基等の、ハロゲン原子を有していてもよいC2−C6アルケニル基;
及びエチニル基、プロパルギル基、3−ブチニル基、1−ヘキシニル基、及び4,4,4−トリフルオロ−2−ブチニル基等の、ハロゲン原子を有していてもよいC2−C6アルキニル基が挙げられる。
本発明において、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基とは、
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜6のシクロアルキル基;
及び1−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基等の炭素数が3〜6のシクロアルケニル基を表す。
【0011】
本発明において、スルホン酸化合物としては、例えばパラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、及びカンファースルホン酸が挙げられる。
本発明において、アミド溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチルピロリドンが挙げられる。
本発明において、エーテル溶媒としては、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、及び1,4−ジオキサンが挙げられる。
【0012】
(工程A)
式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)と記す。)は、式(2)で表される化合物(以下、化合物(2)と記す。)と塩化チオニルとを反応させることにより製造することができる。
該反応は、通常、溶媒中で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン等の含ハロゲン脂肪族炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒;ピリジン等の芳香族複素環溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド溶媒及びこれらの混合溶媒が挙げられる。好ましくは、芳香族炭化水素溶媒、含ハロゲン脂肪族炭化水素溶媒、エステル溶媒、アミド溶媒及びこれらの混合物であり、より好ましくは、芳香族炭化水素溶媒、アミド溶媒及びこれらの混合物であり、N,N−ジメチルホルムアミドが含まれることがもっとも好ましい。
溶媒の使用量は、化合物(2)1質量部に対して、通常0〜100質量部であり、好ましくは1〜20質量部である。
該反応には、化合物(2)1モルに対して、塩化チオニルが通常1〜15モルの割合で用いられ、好ましくは、1〜5モル用いられる。
化合物(2)は、Mがカリウムであることが好ましい。
該反応の反応温度は、通常0〜150℃の範囲であり、好ましくは0〜80℃である。
該反応の反応時間は通常0.1〜24時間の範囲であり、好ましくは0.1〜12時間である。
反応終了後は、余剰の塩化チオニルを留去などにより除去したのち、そのまま工程Bに用いてもよいし、蒸留精製してもよい。また、副生する塩化リチウム、塩化ナトリウム又は塩化カリウムをろ過により除去し、ろ液を濃縮することにより、化合物(1)を単離することができる。
【0013】
化合物(2)は、式
で表される2−ピリジンカルボン酸と、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム)、アルカリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム)及びアルカリ金属炭酸水素塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム)等の無機塩基とを、アルコール溶媒(メタノール、エタノール、2−プロパノール等)等の溶媒中で反応させることにより製造することができる。
【0014】
(工程B)
式(3)で表される化合物(以下、化合物(3)と記す。)は、化合物(1)と式(5)で表される化合物(以下、化合物(5)と記す。)とを反応させることにより製造することができる。
該反応は、通常、溶媒中で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン等の含ハロゲン脂肪族炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒;ピリジン等の芳香族複素環溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド溶媒及びこれらの混合溶媒が挙げられ、エーテル溶媒が含まれることが好ましく、テトラヒドロフランが含まれることがより好ましい。
溶媒の使用量は、化合物(1)1質量部に対して、通常1〜100質量部であり、好ましくは1〜20質量部である。
該反応は、必要に応じて塩基を加えてもよい。
反応に用いられる塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩類;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩類;トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の第3級アミン類等が挙げられる。
該反応には、化合物(5)1モルに対して、化合物(1)が通常1〜3モルの割合、塩基が通常1〜10モルの割合で用いられ、好ましくは化合物(1)が通常1〜1.5モルの割合、塩基が通常1〜3モルの割合で用いられる。
該反応の反応温度は、通常−20〜100℃の範囲であり、好ましくは0〜80℃である。該反応の反応時間は通常0.1〜24時間の範囲であり、好ましくは0.1〜12時間である。
反応終了後、化合物(3)は塩酸塩を形成しており、析出している結晶をろ過することにより化合物(3)の塩酸塩を単離し、そのまま工程Cに使用してもよい。また、単離することなく工程Cに用いる場合は、沸点が100℃以上の溶媒に置換して、工程Cに用いてもよい。
また、反応混合物に水を加えた後、必要に応じて炭酸水素ナトリウム水溶液などの塩基で中和した後、有機溶媒で抽出し、有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、化合物(3)を単離することができる。単離された化合物(3)は、クロマトグラフィー、再結晶等によりさらに精製することもできる。また、化合物(3)は水和物や溶媒和物の形態で取り出すこともでき、そのまま工程Cに使用することができる。
さらに、化合物(3)は硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸;パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸などのスルホン酸化合物;と混合することにより、塩の形態で取り出し、そのまま工程Cに使用することもできる。
【0015】
(工程C)
式(4)で表される化合物(以下、化合物(4)と記す。)は、化合物(3)またはその酸塩を、酸の存在下で100℃〜180℃で環化することにより製造することができる。
環化に用いられる酸としては、硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸;パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸などのスルホン酸化合物;又は、アンバーライト(登録商標)酸性イオン交換樹脂;が挙げられ、好ましくはスルホン酸化合物が挙げられ、より好ましくは、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸が挙げられる。
該環化は、通常、溶媒中で行われる。
環化に用いられる溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、クメン、メシチレン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;1,4−ジオキサン等のエーテル溶媒;酢酸ブチル等のエステル溶媒;プロピオニトリル等のニトリル溶媒;ピリジン等の芳香族複素環溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド溶媒及びこれらの混合溶媒が挙げられ、好ましくは、芳香族炭化水素溶媒が挙げられ、より好ましくは、キシレン、クロロベンゼンが挙げられる。
溶媒の使用量は、化合物(3)1質量部に対して、通常1〜100質量部であり、好ましくは1〜20質量部である。
該環化には、化合物(3)1モルに対して、酸が通常0.1モル〜5モルの割合で用いられ、好ましくは酸が0.5モル〜3モルの割合で用いられる。
該環化の温度は、通常、100〜180℃の範囲であり、好ましくは100〜160℃である。該環化の時間は、通常、0.1〜48時間の範囲であり、好ましくは0.1〜24時間である。
該環化は原料に含まれる水や環化で生じる水を除去することが好ましい。除去する方法としては、ディーンスターク装置等を用いて共沸脱水により除去する方法や、モレキュラーシーブス、無水硫酸ナトリウムおよび、無水硫酸マグネシウムなどの脱水剤を用いて除去する方法があげられ、共沸脱水により除去する方法が好ましい。
該環化は、分解生成物などの除去を目的とし、活性炭、シリカゲル、セライト(登録商標)などの吸着剤;を添加してもよい。
環化終了後は、得られた混合物を水又は炭酸水素ナトリウム水溶液などの塩基性の水溶液に加えてから有機溶媒抽出し、有機層を濃縮する;得られた混合物を水に加えて生じた固体を濾過により集める;又は、得られた混合物中に生成した固体を濾過により集めることにより化合物(4)を単離することができる。単離された化合物(4)は、再結晶、クロマトグラフィ−等により更に精製することもできる。また、化合物(4)は塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸;パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸などのスルホン酸化合物;と混合することにより、塩の形態で取り出すこともできる。
【実施例】
【0016】
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。
【0017】
実施例1
窒素雰囲気下で、(3−エチルスルホニル)−2−ピリジンカルボン酸カリウム0.50g、キシレン2.50g及びN,N−ジメチルホルムアミド0.01gを混合し、60℃に加熱したのち塩化チオニル0.35gを5時間かけて滴下し、60℃で4時間攪拌した。反応液にイソブチルアミンを加え、高速液体クロマトグラフィーを用いた内部標準法(内部標準物質;ビフェニル)で定量したところ、(3−エチルスルホニル)−2−ピリジンカルボン酸クロリドを収率95.1%で得た。
【0018】
実施例2
窒素雰囲気下で、キシレン25.00g、N,N−ジメチルホルムアミド0.07g及び塩化チオニル4.80gを混合し、60℃に加熱したのち、(3−エチルスルホニル)−2−ピリジンカルボン酸カリウム5.00gを5時間かけて添加し、60℃で4時間攪拌した。反応液にイソブチルアミンを加え、高速液体クロマトグラフィーを用いた内部標準法(内部標準物質;ビフェニル)で定量したところ、(3−エチルスルホニル)−2−ピリジンカルボン酸クロリドを収率96.9%で得た。
【0019】
実施例3
窒素雰囲気下で、2−アミノ−4−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェノール1.80g及びテトラヒドロフラン9.00gを混合し、0℃に冷却したのち(3−エチルスルホニル)−2−ピリジンカルボン酸クロリド1.95gとキシレン3.90gの混合物を1時間かけて滴下し、0℃で4時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を減圧下濃縮することにより、3−エチルスルホニル−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェニル]ピコリンアミドを収率95.6%で得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:11.47(1H,brs),10.42(1H,s),8.97(1H,dd),8.74(1H,s),8.43(1H,d),7.88(1H,dd),7.58(1H,dd),7.25(1H,d),3.68(2H,q),1.18(3H,t).
なお、2−アミノ−4−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェノールは以下の方法により合成した。
2−ニトロ−4−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェノール5.0g、パラジウムカーボン(Pd5%)0.50g及びエタノール65mlの混合物を、水素雰囲気下35℃で6時間攪拌した。室温まで放冷した反応混合物をセライト(登録商標)でろ過し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた固体をクロロホルムで洗浄することにより、2−アミノ−4−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェノール3.87gを得た。
【0020】
実施例4
窒素雰囲気下で、2−アミノ−4−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェノール12.00g及びテトラヒドロフラン24.00gを混合し、60℃に昇温したのち(3−エチルスルホニル)−2−ピリジンカルボン酸クロリド11.99gとキシレン24.00gとの混合物を1時間かけて滴下し、60℃で4時間攪拌した。反応混合物に8%水酸化ナトリウム水溶液を加え、0℃に冷却したのち、析出した固形物をろ過することにより、3−エチルスルホニル−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェニル]ピコリンアミド・テトラヒドロフラン和物を収率92.8%で得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:11.47(1H,brs),10.42(1H,s),8.97(1H,dd),8.74(1H,s),8.43(1H,d),7.88(1H,dd),7.58(1H,dd),7.25(1H,d),3.68(6H,m),1.80(4H,m),1.18(3H,t).
【0021】
実施例5
窒素雰囲気下で、3−エチルスルホニル−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェニル]ピコリンアミド・テトラヒドロフラン和物10.00g及び水50.00gを混合し、80℃に昇温したのち、4時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却したのち、析出した固形物をろ過することにより、3−エチルスルホニル−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェニル]ピコリンアミド・1水和物を収率92.8%で得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:11.47(1H,brs),10.42(1H,s),8.97(1H,dd),8.74(1H,s),8.43(1H,d),7.88(1H,dd),7.58(1H,dd),7.25(1H,d),3.68(2H,m),3.34(2H,m),1.18(3H,t).
【0022】
実施例6
窒素雰囲気下で、2−アミノ−4−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェノール5.00g及びN,N−ジメチルアセトアミド10.00gを混合し、60℃に昇温したのち(3−エチルスルホニル)−2−ピリジンカルボン酸クロリド5.00gとキシレン10.00gとの混合物を1時間かけて滴下し、60℃で4時間攪拌した。反応混合物に8%水酸化ナトリウム水溶液を加え、0℃に冷却したのち、析出した固形物をろ過することにより、3−エチルスルホニル−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェニル]ピコリンアミド・N,N−ジメチルアセトアミド和物を収率89.1%で得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:11.47(1H,brs),10.42(1H,s),8.97(1H,dd),8.74(1H,s),8.43(1H,d),7.88(1H,dd),7.58(1H,dd),7.25(1H,d),3.68(2H,q),2.95(3H,m),2.79(3H,m),1.96(3H,m),1.18(3H,t).
【0023】
実施例7
窒素雰囲気下で、3−エチルスルホニル−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェニル]ピコリンアミド1.00g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.66g及びキシレン5.00gの混合物を、155℃で20時間還流脱水した。室温まで放冷した混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に加え、分液したのちに、有機層にn−ヘプタン5.00gを加え、冷却晶析を行い、2−(3−エチルスルホニルピリジン−2−イル)−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)ベンズオキサゾールを収率88.2%で得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:9.04(1H,dd),8.61(1H,dd),8.35(1H,d),7.96−7.86(2H,m),7.77(1H,dd),4.01(2H,q),1.44(3H,t).
【0024】
実施例8
窒素雰囲気下で、3−エチルスルホニル−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェニル]ピコリンアミド0.30g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.20g及びメシチレン1.50gの混合物を、180℃で7時間還流脱水した。室温まで放冷した混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に加え、分液したのち、得られた有機層を高速液体クロマトグラフィーを用いた内部標準法(内部標準物質;ビフェニル)で分析したところ、2−(3−エチルスルホニルピリジン−2−イル)−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)ベンズオキサゾールを収率81.8%で得た。
【0025】
実施例9
窒素雰囲気下で、2−アミノ−4−(トリフルオロメチルスルホニル)フェノール1.80g及びテトラヒドロフラン9.00gを混合し、0℃に冷却したのちに(3−エチルスルホニル)−2−ピリジンカルボン酸クロリド1.91gとキシレン3.82gとの混合物を1時間かけて滴下し、0℃で4時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を減圧下濃縮することにより、3−エチルスルホニル−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニル]ピコリンアミドを収率96.7%で得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:12.66(1H,brs),10.42(1H,s),8.97(1H,dd),8.85(1H,d),8.43(1H,dd),7.88(1H,dd),7.82(1H,dd),7.32(1H,d),3.68(2H,q),1.19(3H,t).
【0026】
実施例10
窒素雰囲気下で、2−アミノ−4−(トリフルオロメチルスルホニル)フェノール10.00g及びテトラヒドロフラン50.00gを混合し、0℃に冷却したのちに(3−エチルスルホニル)−2−ピリジンカルボン酸クロリド12.35gとテトラヒドロフラン27.00gとの混合物を1時間かけて滴下し、0℃で4時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、減圧下濃縮し、残渣を酢酸エチルで抽出し、有機層を減圧下濃縮することにより、3−エチルスルホニル−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニル]ピコリンアミドを収率93.4%で得た。
【0027】
実施例11
窒素雰囲気下で、2−アミノ−4−(トリフルオロメチルスルホニル)フェノール12.00g及びテトラヒドロフラン24.00gを混合し、60℃に昇温したのち(3−エチルスルホニル)−2−ピリジンカルボン酸クロリド11.99gとキシレン24.00gとの混合物を1時間かけて滴下し、60℃で4時間攪拌した。反応混合物に8%水酸化ナトリウム水溶液を加え、0℃に冷却したのち、析出した固形物をろ過することにより、3−エチルスルホニル−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニル]ピコリンアミド・テトラヒドロフラン和物を収率91.5%で得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:12.66(1H,brs),10.42(1H,s),8.97(1H,dd),8.85(1H,d),8.43(1H,dd),7.88(1H,dd),7.82(1H,dd),7.32(1H,d),3.68(6H,m),1.80(4H,m),1.18(3H,t).
【0028】
実施例12
窒素雰囲気下で、3−エチルスルホニル−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニル]ピコリンアミド・テトラヒドロフラン和物10.00g及び水50.00gを混合し、80℃に昇温したのち、4時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却したのち、析出した固形物をろ過することにより、3−エチルスルホニル−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニル]ピコリンアミド・1水和物を収率97.9%で得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:12.66(1H,brs),10.42(1H,s),8.97(1H,dd),8.85(1H,d),8.43(1H,dd),7.88(1H,dd),7.82(1H,dd),7.32(1H,d),3.68(2H,m),3.34(2H,m),1.18(3H,t).
【0029】
実施例13
窒素雰囲気下で、2−アミノ−4−(トリフルオロメチルスルホニル)フェノール5.00g及びN,N−ジメチルアセトアミド10.00gを混合し、60℃に昇温したのち(3−エチルスルホニル)−2−ピリジンカルボン酸クロリド5.00gとキシレン10.00gとの混合物を1時間かけて滴下し、60℃で4時間攪拌した。反応混合物に8%水酸化ナトリウム水溶液を加え、0℃に冷却したのち、析出した固形物をろ過することにより、3−エチルスルホニル−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニル]ピコリンアミド・N,N−ジメチルアセトアミド和物を収率87.2%で得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:12.66(1H,brs),10.42(1H,s),8.97(1H,dd),8.85(1H,d),8.43(1H,dd),7.88(1H,dd),7.82(1H,dd),7.32(1H,d),3.68(2H,q),2.95(3H,m),2.79(3H,m),1.96(3H,m),1.18(3H,t).
【0030】
実施例14
窒素雰囲気下で、3−エチルスルホニル−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニル]ピコリンアミド1.00g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.62g及びキシレン5.00gの混合物を、155℃で15時間還流脱水した。室温まで放冷した混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に加え、分液したのち、有機層にn−ヘプタン5.00gを加え、冷却晶析を行い、2−(3−エチルスルホニルピリジン−2−イル)−5−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンズオキサゾールを収率86.5%で得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:9.05(1H,dd),8.61(1H,dd),8.59(1H,d),8.17(1H,dd),7.96(1H,d),7.80(1H,dd),3.98(2H,q),1.45(3H,t).
【0031】
実施例15
窒素雰囲気下で、2−アミノ−4−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェノール2.70g及びテトラヒドロフラン8.10gを混合し、0℃に冷却したのち、(3−エチルスルホニル)−2−ピリジンカルボン酸クロリド3.64gとテトラヒドロフラン3.64gとの混合物を4時間かけて滴下し、0℃で12時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮することにより、3−エチルスルホニル−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェニル]ピコリンアミド塩酸塩6.21gを収率96.7%で得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:12.56(1H,brs),10.40(1H,s),8.97(1H,dd),8.86(1H,d),8.44(1H,dd),7.88(1H,dd),7.81(1H,dd),7.42(1H,d),3.68(2H,q),1.20(3H,t).
【0032】
実施例16
窒素雰囲気下で、3−エチルスルホニル−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェニル]ピコリンアミド塩酸塩3.00g、p−トルエンスルホン酸一水和物1.24g及びキシレン15.00gの混合物を、155℃で20時間還流脱水した。室温まで放冷した混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に加え、分液したのち、得られた有機層を高速液体クロマトグラフィーを用いた内部標準法(内部標準物質;ビフェニル)で定量したところ、2−(3−エチルスルホニルピリジン−2−イル)−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)ベンズオキサゾールを収率85.0%で得た。
【0033】
実施例17
窒素雰囲気下で、2−アミノ−4−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェノール3.00g及びテトラヒドロフラン12.00gを混合し、0℃に冷却したのちに(3−エチルスルホニル)−2−ピリジンカルボン酸クロリド4.11gとキシレン7.00gとの混合物を4時間かけて滴下し、0℃で12時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣に、p−トルエンスルホン酸一水和物5.06g及びキシレン16.90gの混合物を加え、155℃で24時間還流脱水した。室温まで放冷した混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に加え、分液したのち、得られた有機層を高速液体クロマトグラフィーを用いた内部標準法(内部標準物質;ビフェニル)で定量したところ、2−(3−エチルスルホニルピリジン−2−イル)−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)ベンズオキサゾールを収率79.4%で得た。
【0034】
実施例18
窒素雰囲気下で、2−アミノ−4−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェノール4.33g及びテトラヒドロフラン34.72gを混合し、0℃に冷却したのち、(3−エチルスルホニル)−6−クロロ−2−ピリジンカルボン酸クロリド5.30gとテトラヒドロフラン10.60gとの混合物を1時間かけて滴下し、0℃で4時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を減圧下濃縮することにより、3−エチルスルホニル−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェニル]ピコリンアミドを収率99.2%で得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:11.55(1H,brs),10.45(1H,s),8.65(1H,s),8.38(1H,d),7.96(1H,d),7.57(1H,d),7.26(1H,d),3.84(2H,q),1.32(3H,t).
【0035】
実施例19
窒素雰囲気下で、3−エチルスルホニル−6−クロロ−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)フェニル]ピコリンアミド1.00g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.74g及びクロロベンゼン5.21gの混合物を、140℃で8時間還流脱水した。室温まで放冷した混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に加え、分液したのち、有機層を濃縮することにより、2−(6−クロロ−3−エチルスルホニルピリジン−2−イル)−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)ベンズオキサゾールを0.95g得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:8.53(1H,d),8.36(1H,d),7.94(1H,dd),7.89(1H,dd),7.76(1H,d),4.01(2H,q),1.44(3H,t).
【0036】
実施例20
窒素雰囲気下で、2−アミノ−4−(トリフルオロメチルスルホニル)フェノール4.58g及びテトラヒドロフラン36.82gを混合し、0℃に冷却したのち、(3−エチルスルホニル)−6−クロロ−2−ピリジンカルボン酸クロリド5.30gとテトラヒドロフラン10.60gとの混合物を1時間かけて滴下し、0℃で4時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を減圧下濃縮することにより、3−エチルスルホニル−6−クロロ−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニル]ピコリンアミドを収率98.4%で得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:10.77(1H,brs),9.97(1H,s),9.09(1H,s),8.49(1H,d),7.85(1H,d),7.77(1H,d),7.18(1H,d),3.80(2H,q),1.22(3H,t).
【0037】
実施例21
窒素雰囲気下で、3−エチルスルホニル−6−クロロ−N−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニル]ピコリンアミド1.01g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.72g及びクロロベンゼン5.32gの混合物を、140℃で8時間還流脱水した。室温まで放冷した混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に加え、分液したのち、有機層を濃縮することにより、2−(6−クロロ−3−エチルスルホニルピリジン−2−イル)−5−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンズオキサゾールを0.95g得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:8.59(1H,d),8.54(1H,d),8.18(1H,dd),7.98(1H,d),7.79(1H,d),3.98(2H,q),1.45(3H,t).
【0038】
実施例22
窒素雰囲気下で、2−(3−エチルスルホニルピリジン−2−イル)−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)ベンズオキサゾールと、2−(3−エチルスルホニルピリジン−2−イル)−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)ベンズオキサゾールに対して1モル当量のp−トルエンスルホン酸一水和物とキシレンとを混合して30分間撹拌し、得られた混合物を濃縮することにより、2−(3−エチルスルホニルピリジン−2−イル)−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)ベンズオキサゾール・p−トルエンスルホン酸塩が得られる。
【0039】
実施例23
p−トルエンスルホン酸一水和物の代わりに、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、又はカンファースルホン酸を用い、実施例22に記載の方法と同様の方法により、2−(3−エチルスルホニルピリジン−2−イル)−5−(トリフルオロメチルスルフィニル)ベンズオキサゾールの酸付加塩を得ることができる。
【0040】
実施例24
窒素雰囲気下で、2−(3−エチルスルホニルピリジン−2−イル)−5−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンズオキサゾールと、2−(3−エチルスルホニルピリジン−2−イル)−5−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンズオキサゾールに対して1モル当量のp−トルエンスルホン酸一水和物とキシレンとを混合して30分間撹拌し、得られた混合物を濃縮することにより、2−(3−エチルスルホニルピリジン−2−イル)−5−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンズオキサゾール・p−トルエンスルホン酸塩が得られる。
【0041】
実施例25
p−トルエンスルホン酸一水和物の代わりに、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、又はカンファースルホン酸を用い、実施例24に記載の方法と同様の方法により、2−(3−エチルスルホニルピリジン−2−イル)−5−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンズオキサゾールの酸付加塩を得ることができる。
【0042】
比較例1
窒素雰囲気下で、(3−エチルスルホニル)−2−ピリジンカルボン酸3.00g、トルエン9.00g及びN,N−ジメチルホルムアミド0.11gを混合し、60℃に加熱したのち塩化チオニル2.03gを5時間かけて滴下し、60℃で4時間攪拌した。反応液にn−ブタノールを加え、高速液体クロマトグラフィーを用いて分析したところ、(3−エチルスルホニル)−2−ピリジンカルボン酸クロリドを収率65.3%で得た。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明により、有害生物に対して優れた防除効力を有する式(4)で表される化合物を製造することができる。