(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6433178
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/409 20060101AFI20181126BHJP
G06F 3/0481 20130101ALI20181126BHJP
G06F 3/0488 20130101ALI20181126BHJP
【FI】
G05B19/409 C
G06F3/0481 170
G06F3/0488
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-137090(P2014-137090)
(22)【出願日】2014年7月2日
(65)【公開番号】特開2016-15042(P2016-15042A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 芳昌
(72)【発明者】
【氏名】根岸 克治
(72)【発明者】
【氏名】日高 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】小島 めぐみ
【審査官】
臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−117776(JP,A)
【文献】
特表2013−502623(JP,A)
【文献】
特開2008−011935(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/035744(WO,A1)
【文献】
再公表特許第97/011416(JP,A1)
【文献】
特開平11−262884(JP,A)
【文献】
特開2000−267777(JP,A)
【文献】
特開2000−305614(JP,A)
【文献】
特開2006−042170(JP,A)
【文献】
特開2006−119854(JP,A)
【文献】
特開2009−110912(JP,A)
【文献】
特開2013−097563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/409
G05B 19/42
G06F 3/00− 3/0488
H01L 21/301
H05B 37/02
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持面を有する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物を加工する加工手段と、該加工手段の加工条件を入力するタッチ操作パネルとを備えた加工装置であって、
該タッチ操作パネルは、加工条件の数値データが入力される一または複数の入力欄を配置した加工条件設定画面を少なくとも表示し、
該タッチ操作パネル上に表示された、数値データの入力を所望する入力欄をオペレーターがタッチすると、該入力欄の近傍に該入力欄を指し示す矢印を有する数値入力用の円形画像が表示され、該円形画像の外周部をオペレーターがタッチして外周に沿って第一の方向になぞることによって該入力欄の数値が増加し、該第一の方向と反対の第二の方向になぞることによって該入力欄の数値が減少することを特徴とする加工装置。
【請求項2】
数値データの入力を所望する入力欄の近傍に表示された該円形画像の外周部をオペレーターがタッチして外周に沿って第一の方向になぞることによって該入力欄の数値が所定の間隔ずつ増加し、第二の方向になぞることによって該入力欄の数値が所定の間隔ずつ減少し、
該円形画像がタッチ操作パネル上に表示される際には、該円形画像と重なった位置又は近傍に該入力欄の数値を一つずつ増加させるためのタッチ操作を受け付ける第一アイコンと、該入力欄の数値を一つずつ減少させるためのタッチ操作を受け付ける第二アイコンとが表示されることを特徴とする請求項1記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ操作によって加工条件を入力するタッチ操作パネルを備えた加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや電子部品の製造プロセスでは、半導体ウエーハやセラミックス基板等の各種材料からなる板状の被加工物を、研削装置のスピンドルに装着された研削ホイールによって研削して所定の厚みに形成した後、切削装置のスピンドルに装着された切削ブレードやレーザー加工装置によって板状の被加工物を個々のデバイスチップに分割する。
【0003】
研削装置、切削装置、レーザー加工装置等の加工装置では、近年、操作パネルとして操作性の良いタッチパネルを、作業員等のオペレーターが操作し易い位置に搭載することが多い(例えば、特開2003−158094号公報参照)。
【0004】
加工装置は、オペレーターがタッチ式操作パネル(以下、タッチ操作パネルと称する)を操作することで、各種加工条件が入力され、種々の被加工物に合わせた加工条件で最適な加工を実施する。
【0005】
オペレーターが各種加工条件を入力する場合には、タッチ操作パネルの所望の入力欄をタッチする等して選択した後、タッチ操作パネル上に数値入力用のキーボードを表示させて、加工条件に合った数値を入力するという手順を踏むことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−158094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来一般的であったタッチ操作パネル上に数値入力用のキーボードを表示させてキーボードを使用しての数値入力は、画面へのタッチ回数も多くなり、操作に慣れるまでの時間が必要であったり、操作に慣れてもタッチ位置のずれによる入力ミスや数値の打ち間違いが発生し易いという問題があった。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、タッチ操作パネル上の数値入力欄に、より少ないステップで数値入力を可能とする画像を表示可能なタッチ操作パネルを備えた加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、被加工物を保持する保持面を有する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物を加工する加工手段と、該加工手段の加工条件を入力するタッチ操作パネルとを備えた加工装置であって、該タッチ操作パネルは、加工条件の数値データが入力される一または複数の入力欄を配置した加工条件設定画面を少なくとも表示し、該タッチ操作パネル上に表示された、数値データの入力を所望する入力欄をオペレーターがタッチすると、該入力欄の近傍に
該入力欄を指し示す矢印を有する数値入力用の円形画像が表示され、該円形画像の外周部をオペレーターがタッチして外周に沿って第一の方向になぞることによって該入力欄の数値が増加し、該第一の方向と反対の第二の方向になぞることによって該入力欄の数値が減少することを特徴とする加工装置が提供される。
【0010】
好ましくは、数値データの入力を所望する入力欄の近傍に表示された該円形画像の外周部をオペレーターがタッチして外周に沿って第一の方向になぞることによって該入力欄の数値が所定の間隔ずつ増加し、第二の方向になぞることによって該入力欄の数値が所定の間隔ずつ減少し、該円形画像がタッチ操作パネル上に表示される際には、該円形画像と重なった位置又は近傍に該入力欄の数値を一つずつ増加させるためのタッチ操作を受け付ける第一アイコンと、該入力欄の数値を一つずつ減少させるためのタッチ操作を受け付ける第二アイコンとが表示される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、加工装置のタッチ操作パネルに数値データの入力を所望する入力欄をオペレーターがタッチすると該入力欄の近傍に数値入力用の円形画像を表示させることができるため、円形画像の外周部をオペレーターがタッチして外周に沿ってなぞることにより入力欄の数値を所望の数値に簡単に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明が適用される切削装置の外観斜視図である。
【
図3】加工条件設定画面のスピンドル回転数Z2の数値入力用の欄の近傍に数値入力用の円形画像を表示させた状態の図である。
【
図4】
図4(A)は円形画像の外周部にタッチしてなぞることにより数値を入力する説明図、
図4(B)は円形画像と重なった位置に表示されたアイコンにタッチすることにより数値入力する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1を参照すると、本発明実施形態に係るタッチ操作パネルを備えた切削装置2の外観斜視図が示されている。切削装置2の機構部は、複数のパネルを組み合わせて形成された外装カバー4内に収容されている。
【0014】
6はチャックテーブルであり、回転可能且つX軸方向に移動可能に構成されている。チャックテーブル6には、よく知られているようにダイシングテープを介してウエーハを支持する環状フレームをクランプする複数のクランプ8が配設されている。
【0015】
切削装置2は、Y軸方向に整列して配設された第1切削ユニット10及び第2切削ユニット12を有している。第1切削ユニット10及び第2切削ユニット12ともY軸方向に伸長するガイドレール14に案内されてY軸方向に移動可能であるとともに、Z軸方向(高さ方向)にも移動可能に配設されている。切削装置2はスピンドルを2本有する所謂フェイシングデュアルダイサーである。
【0016】
16は内部に複数枚のウエーハを収容したカセットを載置するカセット載置台であり、上下方向(Z軸方向)に移動可能に構成されている。18は切削装置2の稼動状況を表示する表示ランプであり、切削装置2が正常作動時には例えば緑色で点灯し、何らかの故障が生じた場合には赤色が点滅する。
【0017】
20はタッチ操作で情報を入力可能なタッチパネル式のタッチ操作パネルであり、オペレーターが装置の操作指令をタッチ操作パネルを使用して入力できると共に、装置の稼働状況がタッチ操作パネル20上に表示される。22,24は非常停止ボタンであり、オペレーターがこの非常停止ボタン20,24を押すと切削装置2の作動を直ちに停止することができる。
【0018】
図2を参照すると、タッチ操作パネル20上に表示された加工条件設定画面30の一例が示されている。加工条件設定画面30は、デバイス領域32,カット領域34,オートセットアップ領域36及びオートダウン領域38を有している。
【0019】
デバイス領域32は複数の数値データの入力欄40を有しており、カット領域34は複数の数値データの入力欄42を有しており、オートセットアップ領域36は複数の数値データの入力欄44を有しており、オートダウン領域38は複数の数値データの入力用の46を有している。
【0020】
例えば、第2切削ユニット12のスピンドル回転数Z2を変更したい場合には、スピンドル回転数Z2に対応する入力欄42をオペレーターがタッチする。このタッチ操作に応じて、
図3に示すように、タッチした入力欄42の近傍に数値入力用の円形画像48が表示される。円形画像48の外周部48aは数値データの入力部として機能する。
【0021】
従って、
図4(A)に示すように、オペレーターの手50が円形画像48の外周部48aにタッチして、外周部48aに沿って矢印Rで示された時計回り方向になぞると、入力欄42の数値が増加する。逆に、矢印Lで示された反時計回り方向になぞると、入力欄42の数値が減少する。
【0022】
好ましくは、矢印Rで示す時計回り方向になぞると、入力欄42の数値が所定の間隔ずつ増加し、矢印Lで示す反時計回り方向になぞると、入力欄42の数値が所定の間隔ずつ減少するように設定されている。
【0023】
本実施形態では、円形画像48が、タッチした入力欄42に隣接した加工条件設定画面30上に表示される際には、円形画像48と重なった位置に入力欄42の数値を一つずつ増加させるためのタッチ操作を受け付けるアイコン52と、入力欄42の数値を一つずつ減少させるためのタッチ操作を受け付けるアイコン54が同時に表示される。本実施形態では、アイコン52,54は円形画像48と重なった位置に表示されているが、アイコン52,54は円形画像48の近傍に表示されるように設定しても良い。
【0024】
図4(B)に示すように、オペレーターの手50がアイコン52にタッチすると、タッチ回数に応じて入力欄42の数値を一つずつ増加させることができる。一方、アイコン54にタッチすると、タッチ回数に応じて入力欄42の数値を一つずつ減少させることができる。
【0025】
上述した実施形態では、本発明を切削装置2のタッチ操作パネル20に適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、タッチ操作画面を有する研削装置、研磨装置、レーザー加工装置等の他の加工装置にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
2 切削装置
20 タッチ操作パネル
30 加工条件設定画面
32 デバイス領域
34 カット領域
36 オートセットアップ領域
38 オートダウン領域
40,42,44,46 入力欄
48 円形画像
48a 外周部
52,54 アイコン