(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記走査移動は、同時に前記ウェーハの幾何学的中心の周りを前記ウェーハを回転させることと前記ウェーハの前記幾何学的中心を平行移動させることとを含み、前記ウェーハの回転速度に対する前記ウェーハの平行移動速度は前記走査ピッチを決定する、請求項1に記載のウェーハ検査システム。
前記走査ウェーハ検査システムは、同時にウェーハの幾何学的中心の周りを前記ウェーハを回転させるよう且つ前記ウェーハの前記幾何学的中心を平行移動させるよう動作可能であり、前記走査ピッチの前記調節は前記ウェーハの回転速度に対する前記ウェーハの平行移動速度を変化させることを含む、請求項3に記載のウェーハ検査の方法。
前記走査ウェーハ検査システムは、同時に前記ウェーハの幾何学的中心の周りを前記ウェーハを回転させるよう且つ前記ウェーハの前記幾何学的中心を平行移動させるよう動作可能であり、前記走査ピッチは前記ウェーハの回転速度に対する前記ウェーハの平行移動速度を変化させることにより調節される、請求項5に記載の走査ウェーハ検査システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の背景的な実施例およびいくつかの実施形態についてここで詳細に参照する。なお、これらの実施例は添付の図面において示される。
【0014】
図1は典型的なウェーハ検査システム100の簡略化された概略図である。簡略化のために、照射ビームをウェーハに誘導する構成要素等の本システムのいくつかの光学構成要素は省略されている。ウェーハ102は1つまたは複数の照明源101により生成された垂直入射ビーム104および傾斜入射ビーム106のうちのいずれかにより照射される。ウェーハ102上で1つまたは両方のビーム104、106により照射されるエリアまたはスポット102aはビーム(単数または複数)からの放射を散乱させる。ウェーハの表面に垂直な線116に近接する方向に沿ってエリア102aにより散乱され且つエリア102aを通過する放射は、レンズ集光器118により集光および合焦され、光電子増倍管(PMT)120へと誘導される。散乱された放射を垂直方向に近接する方向に沿ってレンズ118が集光するため、係る集光チャネルは本明細書においてナローチャネルと呼称され、PMT120は暗視野ナローPMTと呼称される。所望により、1つまたは複数の偏光器122が、ナローチャネルにおいて集光された放射の経路に配置されてもよい。
【0015】
1つまたは両方のビーム104、106により照射され、垂直方向116から離脱する方向に沿ってウェーハ102のスポット102aにより散乱された放射は、楕円集光器124により集光され、アパーチャ126および任意の偏光器128を通って暗視野PMT130に合焦される。楕円集光器124は散乱された放射をレンズ118よりも垂直方向116からより広い角度に集光するため、係る集光チャネルはワイドチャネルと呼称される。検出器120、130の出力は、信号を処理し、異常の有無とそれら異常の特性とを判定するために、コンピュータ132に供給される。
【0016】
表面検査システムの様々な側面については、米国特許第6,271,916号および米国特許第6,201,601号に記載され、これらの特許の両方は参照することにより本明細書に援用される。代表的な表面検査システムは本願の譲受人であるカリフォルニア州サンノゼのKLA−Tencor社から入手可能である。
【0017】
1つの実施形態において、ウェーハ位置決めシステム125は、ウェーハチャック108、移動制御器114、回転ステージ110、および平行移動ステージ112を含む。ウェーハ102はウェーハチャック108上に支持される。
図2に示すように、ウェーハ102は、その幾何学的中心150が回転ステージ110の回転軸に略整列した状態で、設置される。このように、回転ステージ110はウェーハ102を許容誤差の範囲内で特定の角速度ωでその幾何学的中心の周りをスピンさせる。加えて、平行移動ステージ112は回転ステージ110の回転軸に略垂直な方向にウェーハ102を特定の速度V
Tで平行移動させる。移動制御器114は、回転ステージ110によるウェーハ102のスピンと平行移動ステージ112によるウェーハ102の平行移動とを連係させ、それによりウェーハ検査システム100内におけるウェーハ102の所望の走査移動が達成される。
【0018】
ビーム104および106のうちのいずれかが、ウェーハ102の幾何学的中心から距離Rに配置されたウェーハ102の照射エリア102aを照射する。照射エリア102aは、ウェーハ102の表面上へのビーム104および106のうちのいずれかの放射により画成される(すなわち形状および寸法が決められる)。照射エリア102aはウェーハ検査システム100のビームスポット寸法またはスポット寸法として交換可能に呼称され得る。
【0019】
例示的な動作シナリオにおいて、検査は、ウェーハ102の幾何学的中心150に位置する照射エリア102aから開始され、次いで、ウェーハ102は、照射エリア102aがウェーハ102の外周部に到達する(すなわちRがウェーハ102の半径と等しくなる)まで、回転および平行移動される。回転ステージ110および平行移動ステージ112が連係して移動することにより、照射エリア102aにより照射される点の軌跡はウェーハ102の表面上で螺旋経路をたどる。ウェーハ102の表面上における螺旋経路は検査トラック103(図示せず)と呼称される。例示的な検査トラック103の部分103a、103b、および103cは、それぞれTRACK
i+1、TRACK
i、およびTRACK
i−1として
図2に示される。検査トラックの隣接部分間の距離(例えば、TRACK
i+1とTRACK
iとの間の距離)はウェーハ検査システム100の走査ピッチと呼称される。
【0020】
通常、ウェーハ検査システムにおいては、動作の間において走査ピッチと照射エリアとの間には固定的関係が用いられる。したがって、通常のウェーハ検査システムにおいて、走査ピッチは照射エリアに対して独立的に調節されない。むしろ、通常のウェーハ検査システムにおいては、走査ピッチが調節されるとき、照射エリアは固定的関係にしたがって変倍される。例えば、通常のウェーハ検査システムはいくつかの動作モード(例えば高速・低解像度走査および低速・高解像度走査)を提供し得る。各モードは異なる走査ピッチを利用するが、各モードに対応する照射エリア(すなわちスポット寸法)も、スポット寸法と走査ピッチとの間の固定的関係が各モードに対して保持されるよう、調節される。カリフォルニア州サンノゼのKLA−Tencor社製のSurfscan(登録商標)SP1ウェーハ検査システムは、照射エリアに対して走査ピッチを独立的に調節しないウェーハ検査システムの1例である。
【0021】
1つの態様において、ウェーハ検査システム100の走査ピッチは照射エリアに対して独立的に調節される。1つの実施例において、走査ピッチは、ウェーハ102全体にわたって所望の欠陥検出感度が達成されるよう、調節される。他の実施例において、走査ピッチはウェーハ102の検査の間において調節される。1つの動作例において、検査を受けるウェーハの走査ピッチは照射エリア102aとウェーハ102の幾何学的中心150との間の距離の関数として連続的に調節される。さらに他の実施例において、走査ピッチは、ウェーハ102の損傷限界内で欠陥検出感度が最大化されるよう、調節される。
【0022】
図1を参照すると、ウェーハ検査システム100はプロセッサ141と、ある量のコンピュータ可読メモリ142と、を含む。
図1に示すように、例として、移動制御器114がプロセッサ141およびメモリ142を含むが、プロセッサ141およびメモリ142はウェーハ検査システム100の他の構成要素内に含まれてもよい。プロセッサ141およびメモリ142はバス143上で通信し得る。メモリ142はある量のメモリ144を含み、このメモリ144は、プロセッサ141により実行されると、平行移動ステージ112の平行移動速度と回転ステージ110の回転速度との比率(すなわち走査ピッチ)が調節されるよう、回転ステージ110および平行移動ステージ112の移動を連係させることをプロセッサ141に実行させるプログラムコードを格納する。1つの実施例において、平行移動ステージ112の平行移動速度と回転ステージ110の回転速度との間の比率は照射エリア102aとウェーハ102の幾何学的中心150との間の走査半径Rの関数として調節される。
【0023】
加えて、ウェーハ検査システム100は、オペレータからの入力を受け入れるにあたり有用である周辺装置(例えば、キーボード、マウス、タッチスクリーン等)および出力をオペレータに対して表示するにあたり有用である周辺装置(例えば、ディスプレイモニタ)を含み得る。オペレータからの入力コマンドは、回転ステージ110および平行移動ステージ112の連係移動プロファイルを生成するために、プロセッサ141により用いられ得る。結果として生成された連係移動プロファイルは、オペレータに対してディスプレイモニタ上でグラフィカルに表示され得る。
【0024】
所望の欠陥検出感度を達成することがウェーハ検査システムの主要な性能上の目的である。欠陥検出感度は、ウェーハ検査システムの虚偽カウント開始に関して測定され得る。1つの実施例において、虚偽カウント開始は、ウェーハ検査システムが、実際には欠陥が存在しないウェーハ上の特定位置において欠陥を報告するときに生じる(例えば係る欠陥はノイズアーチファクトである)。
【0025】
一般に、虚偽カウント開始を回避し欠陥検出感度を高めるために、ウェーハ検査システムは、高い信号対雑音比(SNR)で動作するべきである。所与のレーザパワーPに対して、ウェーハ回転速度ωと、走査スポットからウェーハの幾何学的中心まで計測した径方向走査距離
Rと、照射エリア102aにおける信号対雑音比(SNR)とは、式1に示すように評価され得る。なお式中、R
Tは接線方向スポット寸法、R
Rは径方向スポット寸法である。
【数1】
【0026】
式1に示す関係は、照射エリア102aにおけるSNRの感度を、スポット寸法(すなわち、R
TおよびR
R)と、レーザパワーと、走査速度(すなわち、ωR)と、に対して関連させる。スポット寸法、ビーム強度、およびスピン速度の調節に基づいて照射エネルギを管理するための例示的な技術は、米国特許出願公開第2006/0256325(A1)号において出願者KLA−Tencor社による2006年11月16日に公開された米国特許出願第11/127,280号に記載され、これらの全体は参照することにより本明細書に援用される。
【0027】
しかし欠陥検出感度がウェーハ表面ノイズおよび他の検出ノイズにより制限される状況に対して、発明者らは、欠陥検出感度が走査ピッチに強く関連することを見出した。発明者らは、これらの状況下で虚偽カウント開始が特に検査トラックの縁部におけるSNRに起因することを見出した。ウェーハ上におけるガウシアンビームのエネルギ分布により、走査ピッチにおける変化はトラック縁部におけるSNRに対して顕著な影響を及ぼす。したがって、欠陥検出感度および処理能力は、ユーザ目的が満足されるよう、ウェーハ検査の間に照射エリアに対して走査ピッチを独立的に調節することに基づいてさらに最適化され得る。
【0028】
発明者らは、虚偽カウント開始がトラック縁部付近に位置するウェーハ102の部分において最初に生じることを見出した。これらの虚偽カウントの出現に基づいて、実際には欠陥がまったく存在しないにも関わらず欠陥が2つの隣接する走査トラック間の中間に存在するかのように見える。トラック縁部(すなわち隣接するトラック位置の間)において虚偽カウント開始が増強されるのは、トラック縁部に位置するウェーハ102の部分が典型的なガウシアン放射源のピーク部よりもむしろガウシアン放射源の漸減部により照射されることによるものである。この領域において、欠陥検出は、2つの隣接するトラック位置の欠陥信号が組み合わされることに起因する。このように組み合わされることより、2つの隣接するトラック位置の検出ノイズが複合される。その結果として、所与のノイズ背景に対して、2つの中程度のノイズ事象が組み合わされて虚偽カウントの開始が生じる可能性が高くなる。
【0029】
図3はカリフォルニア州サンノゼのKLA−Tencor社製のSurfscan(登録商標)SP3ウェーハ検査システムに対してトラックピッチの関数として欠陥検出感度を示すプロット310である。プロット310は虚偽カウント開始がトラック縁部における走査ピッチに関連することを示す。
図3に示すように、ワイド検出チャネルおよびナロー検出チャネルの両方に対する欠陥寸法はトラックピッチの関数としてプロットされる。いずれの場合にも、ビーム寸法は一定に保たれた。基準走査ピッチ値の70%から115%の範囲の走査ピッチ値の範囲がテストされ、その結果が
図3にプロットされた。図示のように、ワイドチャネル上での欠陥検出感度における10%の変化と、ナローチャネル上での欠陥検出感度における6%の変化とが、図示の範囲内で走査ピッチを調節することから生じ得る。
図3は1つの非限定的な実施例における走査ピッチに対する虚偽カウント開始の感度を示すが、異なる感度を示す他の動作例も考えられ得る。
【0030】
図4は、走査ピッチにおける変化の関数として正規化された虚偽カウント開始閾値のシミュレーションを示すプロット320である。2つのケースが図示される。一方のケースでは、走査ピッチおよびビーム寸法の両方が固定的関係でともに調節される。他方のケースでは、走査ピッチは照射エリアに対して独立的に調節される。さらに詳細には、走査ピッチのみが調節され照射エリアは一定に保たれる。
図4に示すように、基準走査ピッチの−10%から20%の範囲内では、走査ピッチおよびビーム寸法の両方を変化させることと比較して照射に対して走査ピッチを独立的に変化させることに基づく虚偽カウント開始性能は実際的に同一である。換言すると、照射エリアを調節することに関する費用および複雑性は、走査ピッチの調節のみにより欠陥検出感度が制御される間に、回避され得る。
【0031】
同様に、特定状況において、処理能力は、欠陥検出感度における容認できない損失を生じさせることなく、走査ピッチを大きくすることにより改善され得る。達成された検査欠陥検出感度が所望の欠陥検出感度より大きい検査シナリオに対して、処理能力を改善するために走査ピッチを大きくしてもよい。いくつかの実施形態において、所望の欠陥検出感度を保持しつつ照射エリアを変化させることなく(
図4に示すように)走査ピッチを大きくすることができる。このように、ただ単に、固定された照射エリアにてより大きい走査ピッチで走査することにより、欠陥検出感度を犠牲にすることなく、処理能力を高めることができる。
図4は基準走査ピッチの−10%から20%の範囲の走査ピッチ調節範囲を示すが、他の動作範囲も考えられ得る。例えば、欠陥検出感度は、基準走査ピッチの−25%から25%の範囲内で、照射エリアに対して走査ピッチを独立的に調節することにより、調整され得る。他の実施例において、欠陥検出感度は、基準走査ピッチの−50%から50%の範囲内で、照射エリアに対して走査ピッチを独立的に調節することにより、調整され得る。さらに他の実施例において、欠陥検出感度は、基準走査ピッチの−100%から100%の範囲内で、照射エリアに対して走査ピッチを独立的に調節することにより、調整され得る。
【0032】
図5はウェーハレベルにおける異なるビーム寸法のビーム強度プロファイルを示すシミュレーション結果を強調するプロット330を示す。各ビームは全体で同一の照射パワーを有し、照射エリアのみが異なる。例えば、ビーム強度プロファイル151は基準ビーム寸法を表し、その一方で、ビーム強度プロファイル152および153は、それぞれ基準ビーム寸法より30%小さいビーム寸法、および30%大きいビーム寸法を表す。各ビーム強度プロファイルはトラック中心からの距離の関数としてプロットされる。正規化されたトラック位置はトラック縁部を表す位置に等しい。図示のように、ビーム寸法における顕著な変化は、トラック縁部付近において(例えば、1に等しい正規化されたトラック位置において)ビーム強度における比較的小さい変化を生じさせる。ガウシアン形状のビームの漸減部におけるビーム強度はビーム寸法に対しては比較的依存しないため、全体的照射パワーを変化させることなくビーム寸法を変化させることは、トラック縁部における虚偽カウント開始に対して限定的な影響を及ぼすことが理解され得る。さらにビーム寸法の正確な制御は、トラック縁部においては虚偽カウント開始に顕著な改善をもたらさない。
図6は、
図5に示すビーム強度プロファイル151を示す。図示のように、走査ピッチにおける小さい変化(例えば10%)により、結果として生じたトラック縁部付近においてビーム強度における顕著な変化が生じる。さらに、走査ピッチの正確な制御は、トラック縁部において虚偽カウント開始に顕著な改善をもたらし得る。したがって、照射エリアに対して走査ピッチを独立的に調節するウェーハ検査システム100は、トラック縁部における虚偽カウント開始に関して欠陥検出感度を正確に制御することが可能である。
【0033】
ウェーハ検査システム100のコストは、本明細書に説明される走査ピッチを調節することに関するコストがビーム形成に必要となる正確な光学的サブシステムに関するコストよりも小さいため、削減され得る。特に、ウェーハ検査システム100は、限定的な個数の動作モード(例えば3つのモード)と、モードを変化させるときビーム形状のみを調節するビーム形成調節機構と、を含み得る。その他の場合においては、特定モードで動作するとき、欠陥検出感度のすべての微調整は、ビーム形状を一定に保ちつつ走査ピッチを調節することにより達成される。
【0034】
図9は、本明細書に提示される実施形態に係る走査ウェーハ検査システムの走査ピッチを調節する方法400を示す。ブロック401において、ウェーハ表面は照射エリア上で照射される。ブロック402において、走査ウェーハ検査システムの走査ピッチは照射エリアに対して独立的に調節される。多数の動作シナリオが、照射エリアに対して独立的に調節される走査ピッチを有する走査ウェーハ検査システムに基づいて考えられ得る。
【0035】
第1の実施例においては、走査ピッチは、特定のユーザ要件(例えば所望の欠陥検出感度)を満たすよう、照射エリアに対して独立的に調節され得る。このようにして、ウェーハ検査システム100の欠陥検出感度はウェーハ走査全体に対して調節され得る。この方法は、光学的調節を実施することなく、システム感度をユーザ要件に適合させるために用いられ得る。走査ピッチは、本明細書に説明するように移動制御器114の動作により変化され得る。さらに、多数の実施例において、光学的な調節(例えば、ズームまたはパワー変化)は、所望の欠陥検出感度を達成するためには不要である。
【0036】
第2の実施例においては、走査ピッチは、感度が保持され処理能力が増大されるよう、ウェーハ検査の間において調節され得る。
図7に示すように、ウェーハの中心における基本的感度は縁部における感度よりも高い。これは、接線方向走査速度が走査半径(すなわち、照射エリア102aとウェーハ102の幾何学的中心150との間の距離)および回転ステージ110の達成可能な角速度により限定され得るために生じるものである。この動作状態内において、感度は、低下された接線方向走査速度(式1参照)と、サンプル平均化の実施の可能性が増加することと、により増加される。典型的な実施例において、接線方向走査速度の限界は、適切な感度が維持されるよう到達され、この接線方向走査速度はウェーハ102の外辺部に維持される。例えば、この限界は、通常、ウェーハ半径のおよそ半分である走査半径において到達される。
【0037】
他の態様において、ウェーハ検査システム100の走査ピッチは、接線方向走査速度がウェーハ102の中心に向かって小さくなるにつれて、大きくなる。過去において、ウェーハの中心付近における感度上の利点が利用されることはなかった。しかし、感度プロファイルとともに変倍するウェーハ102の中心部分付近における走査ピッチの増加は、ウェーハ全域において同様の感度を維持する傾向を有するであろう。これにより、製造感度を損失することなく処理能力が増加する。
図7に示すように、走査ピッチは、接線方向走査速度が小さくなり始める走査半径(例えばウェーハ半径の1/2)からウェーハ102の幾何学的中心へと一定の傾向で20%大きくなる。したがって、一般的に、ウェーハ検査システム100の走査ピッチは、所望の欠陥検出感度を維持しつつ処理能力が高められるよう、ウェーハの幾何学的中心と照射エリアとの間の距離に少なくとも部分的に基づいて照射エリアに対して独立的に調節される。
【0038】
図8は、いくつかの例示的シナリオに対して
図7に示す方法でウェーハ半径の関数として走査ピッチを大きくすることに起因し得る処理能力改善を示すシミュレーション結果を示す。図示のように、20%の走査ピッチ調節に対して、処理能力は2〜3%増加され得る。
図8に示す結果は非限定的な具体例として提供される。異なるレベルの処理能力改善をもたらす他の動作シナリオも考えられ得る。
【0039】
例示される実施例においては接線方向走査速度の限界は特定の走査半径(例えばウェーハ半径の1/2)において到達されるが、この実施例は限定的であることを意図するものではない。システムパラメータに応じて、接線方向走査速度の限界は任意の走査半径において到達され得る。いくつかの実施例において、接線方向走査速度の限界にはまったく到達されない場合もある。これらの実施例において、接線方向走査速度および走査ピッチはウェーハの全体にわたり走査半径の関数として連続的に変倍し得る。
【0040】
第3の実施例において、走査ピッチは、ウェーハの損傷限界内で感度が最大化されるよう、調節され得る。式1に示すように、ビーム寸法および接線方向走査速度が小さくなると、ウェーハ検査システム100の感度は大きくなる。しかし、所与量の入射照射エネルギに対して、感度における追加的増加は、ビーム寸法または接線方向走査速度をさらに減少させることによって得られない。1つの理由は、ウェーハ表面がウェーハの損傷限界を超える入射放射エネルギにより損傷され得ることである。例えば、材料および検査条件に応じて、1ミリワット/μm
2〜10ミリワット/μm
2の範囲の入射パワー密度によりウェーハ表面は損傷限界付近に達し得る。しかし、走査ピッチをより小さい値へと調節することは、ウェーハ損傷の危険なしに感度を改善し得、それにより、入射エネルギがウェーハ上でより均等に効果的に分配され得ることとなる。このようにして、欠陥検出感度は、走査ピッチを小さくすることにより、さらに改善される。
【0041】
1つまたは複数の代表的な実施形態において、説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組合せで実装され得る。ソフトウェアで実装された場合、これらの機能は、1つまたは複数の命令またはコードとしてコンピュータ可読媒体上に格納され、または1つまたは複数の命令またはコードとしてコンピュータ可読媒体上で伝送され得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラムを1つの場所から他の場所に転送することを容易にする任意の媒体を含むコンピュータ記憶媒体および通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、汎用コンピュータまたは特殊用途コンピュータによるアクセスが可能な任意の入手可能な媒体であり得る。限定ではなく例として、係るコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROM、もしくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置、または命令もしくはデータ構造の形の所望のプログラムコード手段を担持または格納するために使用可能であり、且つ汎用コンピュータもしくは特定用途コンピュータまたは汎用プロセッサもしくは特定用途プロセッサによるアクセスが可能な任意の他の媒体を含み得る。また、任意の接続もコンピュータ可読媒体として適切に呼称され得る。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、無線、およびマイクロ波等のワイヤレス技術を用いてウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、およびマイクロ波等のワイヤレス技術は媒体の定義に含まれる。本明細書で用いられる円板(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイディスクを含む。なお、円板は、通常、磁気によりデータを再生する一方、ディスクはレーザを用いて光学的にデータを再生するものである。上記の組合せもコンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。特定の実施形態が教示目的のために上記で説明されてきたが、本発明の教示は一般的な適用範囲を有し、上記で説明した特定の実施形態に限定されない。1つの実施例において、ウェーハ検査システム100は1つまたは複数の光源(図示せず)を含み得る。これら光源は異なる構成または同一の構成を有し得る。例えば、これらの光源は、同一のまたは異なる時間に、同一のまたは異なる入射角で、同一のまたは異なる照射エリアにウェーハに誘導され得る、異なる特性を有する光を生成するよう構成され得る。これら光源は、本明細書に説明した実施形態のうちのいずれかにしたがって構成され得る。加えて、これら光源のうちの1つは本明細書に説明した実施形態のうちのいずれかにしたがって構成され、他の光源は当該技術分野において周知の他の任意の光源であり得る。他の実施例において、ウェーハ検査システム100はマルチスポットシステムであり得る。いくつかの実施形態において、マルチスポットシステムは、2つ以上の照射エリア上でウェーハを照射し得る。複数の照射エリアは空間的に重なり得る。複数の照射エリアは空間的に異なり得る。いくつかの実施形態において、マルチスポットシステムは、異なる時間において2つ以上の照射エリア上でウェーハを照射し得る。異なる照射エリアは一時的に重なり得る(すなわち、いくつかの期間にわたり同時に照射される)。異なる照射エリアは一時的に異なり得る。一般に、照射エリアの個数は任意であり、各照射エリアは、寸法、方向、および入射角が等しいかまたは異なり得る。さらに他の実施例において、ウェーハ検査システム100は、ウェーハ102の任意の移動に対して独立的に走査する1つまたは複数の照射エリアを有する走査スポットシステムであり得る。いくつかの実施形態において、照射エリアは、走査線に沿って反復されたパターンで走査するために、作られる。走査線は、ウェーハ102の走査移動に対して整列する場合もあり、整列しない場合もある。本明細書に提示されるように、ウェーハ位置決めシステム125は回転運動および平行移動運動を連係させることによりウェーハ102の移動を生成するが、さらに他の実施例においては、ウェーハ位置決めシステム100は、2つの平行移動運動を連係させることによりウェーハ102の移動を生成し得る。例えば、移動ウェーハ位置決めシステム125は、2つの直交する直線軸に沿った移動(例えばX−Y移動)を生成し得る。係る実施形態において、走査ピッチは、各移動軸に沿った、隣接する平行移動走査間の距離として規定され得る。係る実施形態において、ウェーハ検査システムは照明源およびウェーハ位置決めシステムを含む。照明源はある量の放射を照射エリア上のウェーハの表面に提供する。ウェーハ位置決めシステムは走査ピッチにより特徴付けられる走査移動でウェーハを移動させる(例えば1つの方向において前後に走査し、垂直方向において走査ピッチに等しい量だけ進む)。ウェーハ位置決めシステムは、照射エリアに対して走査ピッチを独立的に調節する移動制御器を含む。したがって、説明した実施形態の様々な特徴の様々な修正例、適用例、および組合せが、請求項に説明される本発明の範囲から逸脱することなく実施され得る。