(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンが、DIN EN ISO 1133に従って測定すると、5〜200g/10分の範囲の溶融体積流量(MVR)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
前記熱可塑性ポリウレタンのショア硬さ(ショアA)が、DIN 53505に従って測定すると、70〜100の範囲であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の組成物。
前記少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートに対する前記少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンの質量比が、1:5〜1:1の範囲であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の組成物。
前記組成物から製造される厚さ2mmの射出成形プラークが、ASTM D1003における2mmの試験片を使用する手順Aに従って測定すると、25未満のヘイズ値を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の目的のためには、特に明記しない限り、組成物のためのヘイズ値は、ASTM D1003の工程Aに従って、組成物から製造される厚さ2mmの射出成形プラークで測定される。
【0016】
驚いたことに、組成物のヘイズ値は使用される熱可塑性ポリウレタンの本発明の選択によって影響されることがわかっている。他のイソシアネートを主原料とする熱可塑性ポリウレタンを含む組成物は、より乏しいヘイズ値、すなわち、よりヘイズであることを示すことがわかっている。
【0017】
本発明に係る組成物及びそれから製造される成型物もまた、驚いたことに、良好な、すなわち高い透明度値を示す。透明度は、同様に、ATSM D1003に従って厚さ2mmの射出成形プラークで測定される。
【0018】
さらに、本発明の組成物は製造し易いことがわかっている。ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、少なくとも一種のジオール及びエチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン、並びにネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一種の鎖延長剤を主成分とする熱可塑性ポリウレタンは、驚いたことに効果的な方法で、ポリ(メタ)アクリレートで処理される。
【0019】
組成物が、他のイソシアネート及び本発明のではない他の鎖延長剤を主原料とする熱可塑性ポリウレタンを使用すると、得られる特性は、ポリ(メタ)アクリレートとともに処理するには好適ではない。例えば、処理の間に分解が生じ、又は個々の組成物は混和性に欠ける。
【0020】
本発明に係る組成物は、特に加工されて、特にクラック伝播と応力白化に対する傾向をほとんど示さない成形品が製造される。さらに、本発明に係る組成物を含む成形品は、優れた機械的特性、例えば、高い引張弾性率、高い破断点引張り歪み、高い耐ノッチ衝撃性を示す。驚くことに、前述の特性は低温では保持される。
【0021】
本発明の組成物は熱可塑的に加工され、高い耐候性、特に高い耐UV性を示す。好ましい実施形態の一つにおいては、本発明の組成物は加工されて、高い透過率、低ヘイズ、好ましくは高光沢を示す箔又は他の成形品が製造される。
【0022】
本発明の組成物は、少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタン及び少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む。
【0023】
熱可塑性ポリウレタンは、原則として先行技術から公知である。本発明の組成物は、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、少なくとも一種のジオール及びエチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン並びにネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一種の鎖延長剤を主原料とする少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンを使用する。
【0024】
熱可塑性ポリウレタンは、通常、以下の成分:(a)イソシアネート、(b)イソシアネートに対して反応性を有する化合物及び、任意に(c)鎖延長剤(任意に、少なくとも一種の(d)触媒及び/又は(e)従来の助剤及び/又は添加剤の存在下で)の反応によって製造される。以下の成分:(a)イソシアネート(b)イソシアネートに対して反応性を有する化合物及び(c)鎖延長剤は、個々に又は合わせて構造成分と呼ばれる。
【0025】
本発明は、有機イソシアネート(a)としてヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)を使用する。ここでは、本発明の目的のために純粋なHDIを使用することが可能である。5質量%以下の混在物又は添加物を有するHDIを使用することも同様に可能である。
【0026】
HDIを主原料とする少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンを含む本発明の組成物は、特に有利な特性を有することがわかった。
【0027】
本発明は、イソシアネートに対して反応性を有する化合物(b)として少なくとも一種のジオールを使用する。
【0028】
本発明の目的のためには、ここでは、好適なジオールの何れか、例えば、ポリエーテルジオール、又はポリエステルジオール、又は2以上のそれらの混合物を使用することができる。
【0029】
本発明において好適なポリエーテルジオールは、例えば、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド又はその混合物、例えば、共重合体、例えばブロック共重合体を主原料とするポリエーテルジオールである。プロピレンオキシドユニットに対するエチレンオキシドユニットの比率は、広い範囲で変えることができ、プロピレンオキシドユニットに対するエチレンオキシドの比率は、例えば、50:50〜95:5までの範囲内、好ましくは、60:40〜90:10の範囲内、より好ましくは、70:30〜85:15の範囲内、特に好ましくは、75:25〜80:20の範囲内である。本発明で使用されるポリエーテルジオールの分子量は、例えば、1000〜4000ダルトンの範囲、好ましくは1500〜3000ダルトンの範囲、より好ましくは、2000〜2500ダルトンの範囲である。
【0030】
本発明で使用される具体的なジオールは、ポリエステルジオールである。特に有利な特性を有する組成物は、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、少なくとも一種のポリエステルジオール、エチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン、ネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一種の鎖延長剤を主原材料とする熱可塑性ポリウレタンを使用することによって製造される。例えば、箔は、高い透過率及び低ヘイズを有する箔を製造するのに特に、好適である。
【0031】
したがって、本発明の好ましい実施形態の一つにおいては、前述の少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタン及び少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを有する組成物を提供し、ジオールはポリエステルジオールである。
【0032】
原則として、本発明では何れの好適なポリエステルジオールを使用することができ
る。
【0033】
本発明の目的のためには、ジオールの少なくとも90%〜100%、より好ましくは、少なくとも95%〜100%、特に少なくとも98%〜100%がポリエステルジオールである。ジオール中のポリエーテルの割合は、特に好ましくは、5%より小さく、より好ましくは、2%よりも小さく、特に好ましくは、1%よりも小さい。
【0034】
好適なポリエステルジオールは、例えば、2個から12個の炭素原子を有する有機ジカルボン酸、好ましくは、8個〜12個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸、及び、多価アルコール、好ましくは2個から12個の炭素原子、好ましくは、2個から6個の炭素原子を有するジオールから製造される。使用することのできるジカルボン酸の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の異性体である。ジカルボン酸は、単体又は他のジカルボン酸との混合物中のいずれかで使用される。遊離ジカルボン酸の代わりに、対応するジカルボン酸誘導体、例えば、1個〜4個の炭素原子を有するアルコールのジカルボン酸エステル、又はジカルボン酸無水物も使用することができる。二価及び多価アルコール、特にジオールの例は、エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、グリセロール、トリメチルオールプロパン、好ましくは、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール又は1,6−ヘキサンジオールである。本発明に好適な他の化合物の例は、ラクトン、例えば、ε―カプロラクトンから製造されるポリエステルジオール又は、ヒドロキシカルボン酸、例えば、ω−ヒドロキシカルボン酸及びヒドロキシ安息香酸である。
【0035】
カルボン酸とアルコールの反応状態は、通用、製造されるポリエステルオールが遊離酸基を有さないような方法で選択される。製造されるポリエステルオールの実際の官能基数は、通常、1.9〜2.1、好ましくは2.0である。
【0036】
ポリエステルオールを製造するために、酸及びアルコールの混合物は、触媒を使用せずに、又は好ましくは、エステル化触媒の存在下で、有利なことには、不活性ガス、例えば、窒素、一酸化炭素、ヘリウム又はアルゴンの雰囲気下で縮重合される。縮重合は、150〜250℃、好ましくは180〜220℃の温度で、任意に減圧下で行うことができる。縮重合は、通常、望ましい酸価、有利なことには10より小さく、好ましくは2より小さい酸価に到達するまで連続される。酸とアルコールが縮重合してポリエステルオールを製造するモル比は、通常、1:1〜1.8、好ましくは、1:1.05〜1.2である。
【0037】
特に、本発明の目的のためには、好ましくは、ε−カプロラクトンから製造されるポリエステルジオールを使用し、及び、ポリエステルジオールとして、アジピン酸又はセバシン酸と、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、又は1,6−ヘキサンジオールからなる群から選択される少なくとも一種のアルコールとの縮合物を使用することである。
【0038】
使用されるポリエステルジオールの数平均分子量Mnは、好ましくは、500〜4000の範囲(GPC法による)、好ましくは、650〜3500の範囲(GPC法による)、特に好ましくは、800〜3000の範囲(GPC法による)である。当業者は、GPC法により分子量を測定する好適な条件を知っている。
【0039】
本発明で使用される鎖延長剤(C)は、エチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン、及びネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一種の鎖延長剤を含む。エチレン1,2−グリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールからなる群から選択される鎖延長剤が特に好適である。
【0040】
好ましい実施形態の一つにおいては、本発明は、上述のような少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタン及び少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む組成物を提供し、少なくとも一種の鎖延長剤は、エチレン1,2−グリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールからなる群から選択される鎖延長剤である。
【0041】
好ましい実施形態の一つにおいては、特に、ジイソシアネート(a)のNCO基と、イソシアネートに対して反応性を有する化合物(b)のヒドロキシ基と、鎖延長剤(c)間の反応を速くする触媒(d)は、第三級アミン、特に、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N,N‘−ジメチルピペラジン、2−(ジメチルアミノエトキシ)エタノール又はジアザビシクロ[2.2.2]オクタンであり、他の好ましい実施形態においては、これらは有機金属化合物、例えば、チタン酸エステル、鉄化合物、好ましくは、鉄(III)アセチルアセトネート、スズ化合物、好ましくは、スズジアセテート、スズジオクトエート、スズジラウレート、又は脂肪族カルボン酸のジアルキルスズ塩、好ましくはジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート又はビスマスが、好ましくは2又は3、特に3の酸化状態で存在するビスマス塩である。
【0042】
好ましくは、カルボン酸の塩である。使用されるカルボン酸は、好ましくは、6個から14個の炭化水素、特に好ましくは、8個〜12個の炭化水素を有するカルボン酸である。好適なビスマス塩の例は、ビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス2−エチルヘキサノエート及びビスマスオクタノエートである。
【0043】
触媒(d)が使用される好ましい量は、イソシアネートに対して反応性を有する化合物(b)の100質量部に対して0.0001〜0.1質量部である。好ましくは、スズ触媒、特にスズジオクトエートを使用することである。
【0044】
構造成分(a)〜(c)に加えることのできる物質は、触媒(d)だけでなく、従来の助剤(e)である。列挙すると、例えば、界面活性物質、充填剤、他の難燃剤、造核剤、酸化安定剤、潤滑剤、離型助剤、染料、顔料、任意に例えば、加水分解、光、熱又は変色からの保護するための安定剤、無機及び/又は有機充填剤、補強剤、可塑剤である。好適な助剤及び添加剤は、例えば、プラスチックハンドブック(7巻、ViewegとHochtlenによる編集、カールハンサーフェアラーク、ミュンヘン、1966年(103〜113ページ))によって知ることができる。
【0045】
好適な熱可塑性ポリウレタンの製造方法は、例えば、EP0922552A1、DE10103424A1、又はWO2006/072461A1に記載されている。製造方法は、通常、ベルトシステム又は反応押出機内で行われるが、実験室規模では、例えば、手動鋳造法によっても行うことができる。成分の物理的特性の機能として、これらは全て直接互いに混合され、又はそれぞれの成分は予混合され、及び/又は予備反応される。例えば、プレポリマーを生成するためには、重付加反応にのみ通される。他の実施形態においては、熱可塑性ポリウレタンは、任意に触媒ともに、構造成分から最初に製造され、助剤はその後、任意にポリウレタン中に取り込まれる。TPUsの硬さを調整するために、構造成分(b)及び(c)の使用される量は比較的広い範囲のモル比で変えることができ、硬さは、通常、鎖延長剤(c)の含有量を増加するにつれて大きくなる。
【0046】
熱可塑性ポリウレタン、例えば、ショアA硬度が95未満、好ましくは、95〜75シアA、特に好ましくは約85Aを有する熱可塑性ポリウレタンを製造するためには、例えば、本質的に二官能性であるポリヒドロキシ化合物(b)及び鎖延長剤(c)は、有利なことには、1:1〜1:5、好ましくは、1:1.5〜1:4.5のモル比で使用される。これにより、得られる構造成分(b)と(c)の混合物は、200より大きい、特に230〜450の水酸基当量を有する。一方で、より硬いTPUs、例えば、ショアA硬度が98より大きく、好ましくは55〜75ショアDを有するTPUsを製造するためには、(b):(c)のモル比が、1:5.5〜1:15の範囲、好ましくは、1:6〜1:12の範囲である。これにより、(b)と(c)の得られる混合物の水酸基当量は110〜200、好ましくは120〜180である。
【0047】
本発明に係る熱可塑性ポリウレタンを製造するためには、構造成分(a)、(b)及び(c)は、構造成分(b)と(c)のヒドロキシ基の合計に対するジイソシアネート(a)のNCO基の当量比が0.9〜1.1:1、好ましくは、0.95〜1.05:1、特におおよそ0.96〜1.0:1の量で、好ましくは、触媒(d)、任意に助剤及び/又は添加剤(e)の存在下で反応する。
【0048】
本発明の組成物に含まれる熱可塑性ポリウレタンのショア硬さ(ショアA)は、70〜100の範囲である。熱可塑性ポリウレタンのショア硬さ(ショアA)は、好ましくは80〜95の範囲、より好ましくは85〜90の範囲である。
【0049】
したがって、本発明の好ましい実施形態の一つは、上述のような少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと、少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含み、熱可塑性ポリウレタンのショア硬さ(ショアA)が70〜100の範囲である組成物を提供する。
【0050】
ここでは、ショア硬さはDIN53505に従って測定される。
【0051】
さらに好ましくは、組成物に含まれる熱可塑性ポリウレタンの溶融体積流量(MVR)は、5〜200g/10分の範囲である。これは、DIN EN ISO1133に従って測定され、特に明記しない限り、測定は、試料温度が200℃で、5kgの負荷で行われる。溶融体積流量は熱可塑性ポリウレタンの分子量の尺度である。
【0052】
したがって、本発明の好ましい実施形態の一つは、上述のような少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと、少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む組成物を提供し、少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンは、DIN EN ISO1133に従って測定すると5〜200g/10分の範囲の溶融体積流量(MVR)を有する。
【0053】
本発明に係る組成物は、全組成物に対して5質量%〜60質量%の範囲の量、それぞれの場合、全組成物に対して、好ましくは10質量%〜50質量%の範囲の量、より好ましくは、15質量%〜45質量%の範囲の量、特に好ましくは、25質量%〜40質量%の範囲の量の少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンを含む。
【0054】
本発明に係る組成物は、少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む。本発明の目的のためには、ポリ(メタ)アクリレートの表示は、(メタ)アクリレートのフリーラジカル重合によって生成されるポリマーを意味する。好ましいポリ(メタ)アクリレートは、耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートである。本発明において、組成物は、様々なポリ(メタ)アクリレートの混合物、特にポリ(メタ)アクリレートの混合物と耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートの混合物を含むことも可能である。
【0055】
本発明の目的のためには、耐衝撃性が改良されたとの表示は、ISO179−1:2010による非装着耐衝撃性試験(non-instrumented impact resistance test)において向上した特性が得られるような方法で衝撃改質剤を加えることによってポリ(メタ)アクリレートの特性が変わることを意味する。
【0056】
特に、本発明において好適なポリ(メタ)アクリレートは、少なくとも40質量%の、特に好ましくは少なくとも60質量%の、非常に特に好ましくは少なくとも80質量%の(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位を含むポリ(メタ)アクリレートである。ポリ(メタ)アクリレートは、好ましくは、フリーラジカル重合によって生成される。従って、繰り返し単位の質量の割合は、ポリマーを製造するための対応するモノマーの使用される質量の割合という結果になる。
【0057】
(メタ)アクリレートの表示は、メタアクリレート、アクリレート及びこれらの二つの混合物も含む。これらのモノマーはよく知られている。モノマーの間では、とりわけ、飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレートが知られている。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、第三級ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ここで、飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、例えばオレイル(メタ)アクリレート、2−プロピニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、又はフェニル(メタ)アクリレート(ここで、それぞれのアリール部分は、置換されていないか又は、最大で4つの置換基を有する。)、シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば、3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート、例えば、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、例えば、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、エーテルアルコールの(メタ)アクリレート、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビニルオキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸のアミド及びニトリル、例えば、N−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(ジエチルホスホノ)(メタ)アクリルアミド、1−メタアクリロイルアミド−2−メチル−2−プロパノール、硫黄含有(メタ)アクリレート類、例えば、エチルスルフィニルエチル(メタ)アクリレート、4−チオシアナトブチル(メタ)アクリレート、エチルスルホニルエチル(メタ)アクリレート、チオシアナトメチル(メタ)アクリレート、メチルスルフィニルメチル(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロイルオキシエチル)スルフィド、多官能性(メタ)アクリレート、例えば、トリメチロイルプロパントリ(メタ)アクリレートである。
【0058】
本発明で使用されるポリ(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリレート
と共にコモノマーから由来する繰り返し単位を含むことができる。
【0059】
これらは、とりわけ1−アルケン、例えば、1−ヘキサン、1ヘプタン、分枝状アルケン、例えば、ビニルシクロヘキサン、3,3−ジメチル−1−プロペン、3−メチルジイソブチレン、4−メチル−1−ペンテン、アクリロニトリル、ビニルエステル、例えば、ビニルアセテート、スチレン、側鎖にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えば、アルファ−メチルスチレン、アルファ−エチルスチレン、環上にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えば、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えば、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレン、テトラブロモスチレン、ヘテロ環式ビニル化合物、例えば、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール、水素化ビニルチアゾール、ビニルオキサゾール、水素化ビニルオキサゾール、ビニル及びイソプレニルエーテル、マレイン酸誘導体、例えば、無水マレイン酸、メチル無水マレイン酸、マレイミド、メチルマレイミド、ジエン、例えば、ジビニルベンゼンである。
【0060】
ポリ(メタ)アクリレートを製造するために使用されるこれらのコモノマーの量は、一般的に、モノマーの質量に対して、0〜60質量%、好ましくは0.1〜40質量%、特に好ましくは1〜20質量%であり、化合物は、ここでは、単体で、又は混合物の状態で使用することができる。
【0061】
非常に特に好ましくは、ポリ(メタ)アクリレートとしてポリメチルメタクリレート(PMMA)を使用することである。これらのポリマーは、高い割合でメチルメタクリレートに由来する繰り返し単位を含む。ポリメチルメタクリレートを製造するための混合物は、一般的に、モノマーの質量に対して少なくとも50質量%、最大で100質量%、好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも95質量%のメチルメタクリレートを含む。
【0062】
したがって、本発明の他の実施形態は、少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリメチル(メタ)アクリレートを含む組成物も提供する。少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンは、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、少なくとも一種のジオール、エチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン及びネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一種の鎖延長剤を主原料とするポリウレタンである。
【0063】
好ましいポリ(メタ)アクリレート、特に好ましいポリメチルメタクリレートの質量平均分子量Mwは、GPC法で測定すると、20000〜1000000g/mol、好ましくは、50000〜500000、特に好ましくは、80000〜300000g/molである。
【0064】
本発明の目的のためには、原則として、任意の好適なポリ(メタ)アクリレートを使用することが可能であり、ここでは、好ましくは、2以上のポリ(メタ)アクリレートの混合物、特に、耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートを含む2以上のポリ(メタ)アクリレートの混合物を使用することである。
【0065】
本発明の特定の態様の一つにおいては、耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートの他のポリ(メタ)アクリレートに対する質量比は、1:10〜10:1の範囲とすることができる。
【0066】
本発明における少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンの少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートに対する質量比は、1:10〜1:1の範囲とすることができる。
【0067】
したがって、本発明の好ましい実施形態の一つは、上述した少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む組成物を提供する。その組成物の少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートに対する少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンの質量比は、1:5〜1:1の範囲、特に好ましくは1:4〜1:1.5の範囲、より好ましくは1:3〜1:2の範囲である。
【0068】
本発明の他の好ましい実施形態は、さらに、上述した少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含み、少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートは耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートである組成物を提供する。
【0069】
本発明の目的のためには、原則として任意の好適な耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートを使用することが可能であり、ここでは、架橋ポリ(メタ)アクリレートを主原料とする衝撃改質剤を使用することができる。
【0070】
本発明において特に好ましい耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートは、少なくとも70℃のガラス遷移温度を有するハード相と、最大で−10℃のガラス遷移温度を有するタフ相を有し、タフ相は最大で130nmの平均粒径を有し、タフ相の少なくとも一部は、ハード相との共有結合を有する。したがって、タフ相は、プラスチック混合物中において特定の状態で存在する。これらの粒子を囲む連続相は、とりわけハード相と他のポリ(メタ)アクリレート及び又は熱可塑性ポリウレタンを含むことができる。ここでは、粒子の直径は、130nm以下であり、ここでは、好ましいプラスチック混合物は、粒径が70nm以下であるタフ相を有する。ここで、前述の粒径は質量平均直径に基づく。プラスチック混合物中に含まれるタフ相の不均一性指数は、好ましくは、0.5、又はそれ以下である。特に好ましくは、不均一性指数は0.2以下である。タフ相粒子の不均一性指数が高いことにより、とりわけ、特に透明なプラスチックとなる。
【0071】
本発明において特に好ましいポリ(メタ)アクリレートのタフ相は、好ましくは、最大−10℃のガラス転移温度を有する。タフ相のガラス転移温度は、好ましくは、−20℃以下である。
【0072】
ガラス遷移温度は、タフ相を製造するために使用されるモノマーの自然の方法(way of the nature)及び割合によって影響される。ポリマーのガラス遷移温度Tgは、ここでは、示差走査熱量測定法(DSC法)による公知の方法で測定することができる。
【0073】
例えば、特に好ましいポリ(メタ)アクリレートのタフ相は、ポリ(メタ)アクリレートのタフ相の質量に対して、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%の1個〜6個の炭素原子を有するアルキルアクリレートに由来する繰り返し単位を含む。これらのモノマーの中で好ましく使用されるモノマーは、特に、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、第三級ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、特に好ましくは、ここでは、ブチルアクリレートである。
【0074】
本発明においては、少なくともタフ相の部分が、ハード相との共有結合を有することが好ましい。ハード相の少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも15質量%、特に好ましくは少なくとも20質量%がタフ相との共有結合を有していることが有利である。タフ相からハード相への共有結合は、特に、耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートのタフ相の製造時に、架橋モノマーを使用することによって実現される。架橋モノマーは、2個、3個又はそれ以上のフリーラジカル重合を可能とする基を有する化合物である。
【0075】
これらは、特に2個の二重結合を有する(メタ)アクリレートであり、例えば、不飽和アルコールに由来する(メタ)アクリレート、例えば、2−プロピニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジオール又は高官能性アルコールに由来する(メタ)アクリレート、例えば、グリコールジ(メタ)アクリレート、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラ及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ジウレタンジメタクリレート、3個以上の二重結合を有する(メタ)アクリレート、例えば、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレートである。架橋剤として知られるものとグラフト交叉剤との区別がしばしば示される。架橋剤の基は、少なくとも2種のアクリル又はメタクリル部分を有するモノマーを含む。グラフト交叉剤の用語は、アクリル又はメタクリル部分だけでなく、重合化する傾向が著しく少ないエチレン性不飽和基、一般的にアリル基を有するモノマーのために使用される。
【0076】
好ましくは、タフ相は、タフ相の質量に対して、少なくとも0.5質量%、好ましくは少なくとも1質量%の架橋モノマーを由来とする繰り返し単位を含む。ここでは、好ましくはグラフト交叉剤又は分子中に3種以上のアクリル若しくはメタクリル基を含むモノマーである。グラフト交叉剤又は分子中に3種以上のアクリル若しくはメタクリル基を有するモノマーに由来する繰り返し単位の割合は、タフ相の質量に対して、特に好ましくは、1〜4質量%の範囲である。物質は有利なことに、0.05〜2質量%の割合のモノマーを含み、そのモノマーは、タフ相の繰り返し単位の状態で分子中に2種の(メタ)アクリル基を含む。
【0077】
タフ相がハード相と共有結合する繰り返し単位は、タフ相が形成されるときに使用されるモノマーに由来するので、これらの繰り返し単位の質量は、タフ相に配分される。好ましいタフ相は、1個〜6個の炭素原子を有するアルキルアクリレート又は架橋モノマーから生成される上述の繰り返し単位だけでなく、他のモノマーから生成される繰り返し単位も含むことができる。これらのモノマーは、特に、1個〜6個の炭素原子を有するアルキルアクリレート及び架橋モノマーとは異なる上述の(メタ)アクリレートである。耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートは、タフ相のそばにタフ相と共有結合された少なくとも一種のハード相を有する。ハード相のガラス転移温度は少なくとも70℃であり、好ましくは少なくとも80℃である。上述のように、ガラス転移温度は、ハード相を形成するためのモノマーを選択することによって調整される。
【0078】
好ましい耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートのハード相は、好ましくは、ポリ(メタ)アクリレートのハード相の質量に対して少なくとも80質量%、特に少なくとも90質量%のメチルメタクリレートから生成される繰り返し単位を含む。好ましいポリ(メタ)アクリレートのハード相は、メチルメタアクリレート
と共に最大で20質量%のコモノマーを含む。
【0079】
好ましい実施形態の一つにおいては、タフ相と共有結合をしているハード相と、耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートのタフ相の質量比は、少なくとも1:10、特に少なくとも1:5、非常に特に少なくとも1:1である。
【0080】
例えば、ポリ(メタ)アクリレート、特に耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートは、ポリ(メタ)アクリレートの質量に対して、最大で0.1質量%、特に好ましくは、最大で0.05質量%の水溶性成分を含む。水溶性成分の割合の最小化は、特に、ポリ(メタ)アクリレートを生成する過程で後処理工程をすることによって実現される。個の測定によって、特に湿気に晒すことによって曇り易くなるのを減少させることができる。
【0081】
特に好適なポリ(メタ)アクリレートは、最小化された割合の芳香族基、特にスチレンを含む。特に有利な耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートは、最大で10質量、特に好ましくは最大で2質量%、非常に特に好ましくは最大で0.5質量%の芳香族基を有するモノマー、特にスチレンモノマーから生成される繰り返し単位を含む。
【0082】
本発明に係る組成物は、40〜95質量%、特に50〜90質量%、特に60〜85質量%、例えば70〜80質量%の量の少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
【0083】
したがって、本発明の好ましい実施形態の一つは、上述した少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む組成物を提供し、その組成物は、5〜60質量%の少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと、40〜95質量%の少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む。
【0084】
本発明において好適なポリ(メタ)アクリレートは、とりわけ、「Ullmannの工業化学の百科事典」(第5版)に記載されている公知の乳化重合法によって生成される。これは、一般的に、水だけでなく、従来からの添加剤、特に、乳化剤及びエマルジョンを安定化させるための保護コロイドも含む水相を形成することで実現される。
【0085】
好適な製造法は、WO2009/135702A1又はDE3842796Aに記載されている。
【0086】
本発明に係る組成物を製造するために、少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンは、公知の方法、例えば押出機の中で、少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートと混合される。ここでは、反応条件は非常に幅広い。本発明の目的のための混合は、好ましくは、200〜260℃の範囲の温度で行われる。
【0087】
したがって、本発明は、上述した少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む組成物を製造するための方法も提供する。その方法では、少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンは、200℃〜260℃の範囲の温度で少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートと混合される。
【0088】
使用されるポリ(メタ)アクリレートの全体に対する少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンの質量比は、好ましくは、1:5〜1:1の範囲、特に好ましくは、1:4〜1:1.5である。
【0089】
本発明の組成物は、少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタン及び少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレート
と共に他の化合物を含むことができる。組成物は、例えば、0〜30質量%、特に0.01〜30質量%の他の化合物を含む。
【0090】
特に明記しない限り、本発明に係る組成物の全成分の合計は100質量%である。
【0091】
本発明に係る組成物は、例えば、熱可塑性ポリウレタン及びポリ(メタ)アクリレート
に加えて、他のポリマーを含むことができる。これらは特に、ポリスチレン、アクリロニトリル又は無水マレイン酸を含むポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ここでは、特に好ましくは、ポリ(メタ)アクリレートである。
【0092】
本発明に係る組成物における少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタン及び少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレート
に加えて任意に含まれるホモ−及び/又はコポリマーの質量平均分子量Mwを、幅広く変えることができ、ここでは、分子量は、通常、意図された用途及び組成物の処理方法に従って調整される。しかし、GPC法によって測定すると、一般的に20000〜1000000g/mol、好ましくは、50000〜500000g/mol、特に好ましくは、80000〜300000g/molである。
【0093】
本発明に係る組成物は、従来の添加剤を含むことができる。これらは、例えば、染料、顔料、充填剤、強化繊維及び潤滑剤である。本発明に係る組成物の特性を変えるために、重合性UV吸収剤を使用することも可能である。これらは、例えば、ハード相のモノマーを乳化重合体に重合するときに、他のモノマーと一緒に共重合される。他の可能性は、
さらに、これらの化合物は、ポリ(メタ)アクリレートを製造するときにも使用されることである。
【0094】
特に、少なくとも一種のUV吸収剤を含む組成物は、驚くべき利点を示す。
【0095】
本発明において、好ましくは、組成物から製造される厚さ2mmの射出成形プラークが、2mmの試験片を用いてASTM D1003の工程Aに従って測定すると、25未満のヘイズ値を有する組成物である。特に好ましくは、ヘイズ値は20未満であり、特に15未満である。
【0096】
したがって、本発明の好ましい実施形態の一つは、上述した少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタン及び少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む組成物を提供し、組成物から製造された厚さ2mmの射出成形プラークは、2mmの試験片を使用するASTM D1003の工程Aに従って測定すると25未満のヘイズ値を有する。
【0097】
本発明の組成物は加工されて成形品、例えば、高透過率を有する箔となる。本発明の組成物及びそれぞれ、その組成物から製造される成型品の透過率は、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、非常に特に好ましくは、少なくとも80%、非常に好ましくは、少なくとも85%、特に少なくとも90%である。透過率は、本発明の目的のためのASTM D1003に従って測定される。
【0098】
したがって、本発明は、上述した少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む本発明の組成物を含む成型品又は、本発明の方法によって生成される組成物を含む成形品をも提供する。
【0099】
本発明の好ましい実施形態の一つにおいては、また、上述した少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む本発明に係る組成物を含む成形品又は、本発明の方法によって製造される組成物を含む成形品を提供する。その成形品は箔である。
【0100】
本発明に係る成形品、特に箔は、特に、ひび割れする傾向がほとんどなく、ひび割れの伝播に対して高い耐性を示す。
【0101】
本発明に係る組成物は、優れた特性を有する成形品を製造するために使用される。好ましい成形品は、特に箔である。この種の箔は、透明度が長く持続する性質、高い温度及び低い温度に対する耐性、耐候性、ほとんど黄変しない性質、ほとんど脆化しない性質、しわが発生したり、折り目が生じる場所においてほとんど応力白化しない性質という特徴を示す。それゆえにその箔は、例えば、下記の、防水シート、カブリオレカバー又は帆における窓として好適である。これらの箔は、さらに、キーボード、特に、本又はコンピュータキーボードの保護カバーとして、これらを環境の影響、例えば、湿った状態から保護するために使用される。この種の箔はしばしば、1mm未満、例えば、0.05〜0.5mmの厚みを有する。
【0102】
さらに、成形品を被覆するために本発明に係る組成物を使用することも可能である。重要な適用分野は、硬く、寸法安定性のある基板、例えば、金属シート、厚紙、パーティクルボード、プラスチックシート及び類似の成形品上で、例えば、0.05〜0.5mmの厚さの薄い表面層の形態で見ることができる。この場合、タフ相の割合を実質的に低くし、成形材料を結果的に硬くすることができる。この種の被覆剤を製造するために様々な方法を利用することができる:すなわち、成形材料は押し出されて箔を形成し、基板上で平滑化され、ラミネートされることができる。押出コーティング法は、基板の表面に押出成形品を塗布し、ロールによって押出成形品を平滑化することで使用される。熱可塑が実際の基質として使用されるときは、本発明に係る透明な成型材料からなる表面層を形成するために共押出する可能性がある。さらに、プラスチックは、3D成形法(膜プレス、インサート成形)で使用される。ここでは、プラスチックの特性について不適当な障害を生じることなく非常に低温で複雑な幾何学的形状を形成することもできる。特に、ウインタースポーツで使用される成形品によって一つの特定の適用分野が提供される。特に、スキー又はスノーボードは、本発明に係るプラスチックで被覆され、箔はまた、この目的のために使用される。また、何れの種類のプラカード、特に、情報プラカード、交通標識及び自動車登録プレートも、本発明に係るプラスチック混合物で被覆することができ、箔はまた、この目的のために前述の物品に適用される。本発明のための他の興味深い適用分野は、建物、例えば温室の構成として使用することができる被覆された透明なプラスチックシートによって提供される。
【0103】
本発明に係る組成物は、また、1mmを超える壁厚を有する成形品を製造するのに好適である。その成形品は、例えば、厚さが1〜10mmの押し出された織物であり、それは、スタンピング工程で首尾よく使用され、例えば、電気装置のための印刷可能なパネル又は高品質な射出成形品、例えば自動車の艶出しを製造するのに好適である。
【0104】
本発明の他の実施形態は、上述した少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む本発明に係る組成物の使用方法又は、箔を製造するための本発明に係る方法によって製造される組成物の使用方法も提供する。
【0105】
本発明の好ましい実施形態の一つは、また、上述した少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む本発明に係る組成物の使用方法又は、成形品を被覆するための本発明に係る方法によって製造される組成物の使用方法を提供する。
【0106】
本発明の目的のためには、特に好ましくは、上述の少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む本発明に係る組成物又は本発明に係る方法によって製造される組成物の、木、例えばドア、テーブル、ベンチの正面又は木材ボードを被覆するための、外側の自動車部品を被覆するための、及びフロアコーティング、例えば、スキー及び水上スキーコーティング、サーフボードコーティングのためにラミネートをするための、及び家具の表面のコーティングのための使用方法である。
【0107】
本発明の他の実施形態は、特許請求の範囲及び実施例で知ることができる。本発明に係る物品、製法、使用方法の上述の特徴及び以下に説明される特徴は、当然、それぞれ記載された組み合わせだけではなく、本発明の範囲を超えない限り、他の組み合わせでも使用することができる。したがって、例えば、本発明はまた、組み合わせが明示的に記載されていなくても、暗に、好ましい特徴と、特に好ましい特徴との組み合わせ又は、詳しく特徴付けられていない特徴と、特に好ましい特徴と組み合わせること等も含む。
【0108】
本発明の実施例を以下に示すが、これは本発明を限定するものではない。特に、本発明はまた、以下に示す依存関係から生じる実施形態を含み、したがって、本発明は、それらの組み合わせから生じる実施形態も含む。
【0109】
1.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンが、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、少なくとも一種のジオール、及び、エチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン、並びにネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一種の鎖延長剤を主原料とするポリウレタンであることを特徴とする少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む組成物。
【0110】
2.少なくとも一種のジオールが、ポリエステルジオールであることを特徴とする実施形態1に記載の組成物。
【0111】
3.実施形態1又は2に記載の組成物において、少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンは、DIN EN ISO1133に従って測定すると、5〜200g/10分の範囲の溶融体積流量(MVR)を有する。
【0112】
4.熱可塑性ポリウレタンのショア硬さ(ショアA)が、DIN53505に従って測定すると、70〜100の範囲であることを特徴とする実施形態1〜3の何れか一実施形態に記載の組成物。
【0113】
5.少なくとも一種の鎖延長剤が、エチレン1,2−グリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールからなる群から選択される鎖延長剤であることを特徴とする実施形態1〜4の何れか一実施形態に記載の組成物。
【0114】
6.少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートが耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートであることを特徴とする実施形態1〜5の何れか一実施形態に記載の組成物。
【0115】
7.少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートに対する少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンの質量比が、1:5〜1:1の範囲であることを特徴とする実施形態1〜6の何れか一実施形態に記載の組成物。
【0116】
8.組成物から製造される厚さ2mmの射出成形プラークが、2mmの試験片を使用するASTM D1003の工程Aに従って測定すると、25未満のヘイズ値を有することを特徴とする実施形態1〜7の何れか一実施形態に記載の組成物。
【0117】
9.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンを、200〜260℃の範囲の温度で、少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートと混合することを特徴とする実施形態1〜8の何れか一実施形態に記載の組成物の製造方法。
【0118】
10.実施形態1〜8の何れか一実施形態に記載の組成物を含む成形品。
【0119】
11.成形品が箔であることを特徴とする実施形態10に記載の成形品。
【0120】
12.実施形態1〜8の何れか一実施形態に記載の組成物の使用方法又は実施形態9に記載の方法によって製造される組成物の、箔を製造するための使用方法。
【0121】
13.実施形態1〜8の何れか一実施形態に記載の組成物の使用方法又は実施形態9に記載の方法によって製造される組成物の成形品を被覆するための使用方法。
【0122】
14.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンが、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、少なくとも一種のジオール及びエチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン並びにネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一種の鎖延長剤を主原料とするポリウレタンであり、DIN53505に従って測定すると、熱可塑性ポリウレタンのショア硬さ(ショアA)が、70〜100の範囲であることを特徴とする少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む組成物。
【0123】
15.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンが、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、少なくとも一種のジオール及びエチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン並びにネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一種の鎖延長剤を主原料とするポリウレタンであり、少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートが耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートであることを特徴とする少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタン及び少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む組成物。
【0124】
16.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンが、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI),少なくとも一種のジオール及びエチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン並びにネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一種の鎖延長剤を主原料とするポリウレタンであり、少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートが耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートであり、少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートに対する少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンの質量比が1:5〜1:1の範囲であることを特徴とする少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む組成物。
【0125】
17.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンが、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI),少なくとも一種のジオール及びエチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン並びにネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一種の鎖延長剤を主原料とするポリウレタンであり、熱可塑性ポリウレタンのショア硬さ(ショアA)が70〜100の範囲であり、少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートが、耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートであり、少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートに対する少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンの質量比が1:5〜1:1の範囲であることを特徴とする少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む組成物。
【0126】
18.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンが、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、少なくとも一種のポリエステルジオール及びエチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン並びにネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一種の鎖延長剤を主成分とするポリウレタンであることを特徴とする少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む組成物。
【0127】
19.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンが、DIN EN ISO1133に従って測定すると、5〜200g/10分の範囲の溶融体積流量(MVR)を有することを特徴とする実施形態18に記載の組成物。
【0128】
20.熱可塑性ポリウレタンのショア硬さ(ショアA)が、DIN53505によると、70〜100の範囲であることを特徴とする請求項18又は19に記載の組成物。
【0129】
21.少なくとも一種の鎖延長剤が、エチレン1,2−グリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールからなる群から選択される鎖延長剤であることを特徴とする実施形態18〜20の何れか一実施形態に記載の組成物。
【0130】
22.少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートが、耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートであることを特徴とする実施形態18〜21の何れか一実施形態に記載の組成物。
【0131】
23.少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートに対する少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンの質量比が、1:5〜1:1の範囲であることを特徴とする実施形態18〜22の何れか一実施形態に記載の組成物。
【0132】
24.組成物から製造される厚さ2mmの射出成形プラークが、厚さ2mmの試験片を使用するASTM D1003の工程Aに従って測定すると、ヘイズ値が25未満であることを特徴とする実施形態18〜23の何れか一実施形態に記載の組成物。
【0133】
25.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンを、200〜260℃の範囲の温度で少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートと混合することを特徴とする実施形態18〜24の何れか一実施形態に記載の組成物の製造方法。
【0134】
26.実施形態18〜24の何れか一実施形態に記載の組成物を含む成形品又は実施形態25に記載の方法によって製造される組成物。
【0135】
27.成形品が箔であることを特徴とする実施形態26に記載の成形品。
【0136】
28.実施形態18〜24の何れか一実施形態に記載の組成物を含む箔又は、実施形態25に記載の方法によって製造される組成物。
【0137】
29.実施形態18〜24の何れか一実施形態に記載の組成物の使用方法又は、実施形態25に記載の方法によって製造される組成物の使用方法。
【0138】
30.実施形態18〜24の何れか一実施形態に記載の組成物の使用方法又は、実施形態25に記載の方法によって製造される組成物の成形品を被覆するための使用方法。
【0139】
31.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンが、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、少なくとも一種のポリエステルジオール及び、エチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン並びにネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一種の鎖延長剤を主成分とするポリウレタンであり、熱可塑性ポリウレタンのショア硬さ(ショアA)が、DIN53505に従って測定すると70〜100の範囲であることを特徴とする少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む組成物。
【0140】
32.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンが、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、少なくとも一種のポリエステルジオール及び、エチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン並びにネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一種の鎖延長剤を主成分とするポリウレタンであり、少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートが耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートであることを特徴とする少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む組成物。
【0141】
33.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンが、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、少なくとも一種のポリエステルジオール及び、エチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン並びにネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一種の鎖延長剤を主成分とするポリウレタンであり、少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートが、耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートであり、少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートに対する少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンの質量比が1:5〜1:1の範囲であることを特徴とする少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む組成物。
【0142】
34.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンが、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、少なくとも一種のポリエステルジオール及び、エチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン並びにネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一種の鎖延長剤を主成分とするポリウレタンであり、熱可塑性ポリウレタンのショア硬さ(ショアA)が、70〜100の範囲であり、少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートが、耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートであり、少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートに対する少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンの質量比が1:5〜1:1の範囲であることを特徴とする少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートを含む組成物。
【0143】
35.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンが、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、少なくとも一種のジオール及び、エチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン並びにネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一種の鎖延長剤を主成分とするポリウレタンであることを特徴とする少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリメチル(メタ)アクリレートを含む組成物。
【0144】
36.少なくとも一種のジオールがポリエステルジオールであることを特徴とする実施形態35に記載の組成物。
【0145】
37.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンが、DIN EN ISO1133に従って測定すると5〜200g/10分の範囲の溶融体積流量(MVR)を有することを特徴とする実施形態35又は36に記載の組成物。
【0146】
38.熱可塑性ポリウレタンのショア硬さ(ショアA)がDIN53505に従って測定すると70〜100の範囲であることを特徴とする実施形態35〜37の何れか一実施形態に記載の組成物。
【0147】
39.少なくとも一種の鎖延長剤が、エチレン1,2−グリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールからなる群から選択される鎖延長剤であることを特徴とする実施形態35〜38の何れか一実施形態に記載の組成物。
【0148】
40.少なくとも一種のポリメチル(メタ)アクリレートが、耐衝撃性が改良されたポリ(メタ)アクリレートであることを特徴とする実施形態35〜39の何れか一実施形態に記載の組成物。
【0149】
41.少なくとも一種のポリメチル(メタ)アクリレートに対する少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンの質量比が、1:5〜1:1の範囲であることを特徴とする実施形態35〜40の何れか一実施形態に記載の組成物。
【0150】
42.組成物から製造される厚さ36mmの射出成形プラークが、厚さ36mmの試験片を使用するASTM D1003の工程Aに従って測定すると、25未満のヘイズ値を有することを特徴とする実施形態35〜41の何れか一実施形態に記載の組成物。
【0151】
43.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンを、200〜260℃の範囲の温度で、少なくとも一種のポリメチル(メタ)アクリレートと混合することを特徴とする実施形態35〜42の何れか一実施形態に記載の製造方法。
【0152】
44.実施形態35〜42の何れか一実施形態に記載の組成物を含む成形品又は、実施形態43に記載の方法によって製造される組成物。
【0153】
45.成形品が箔であることを特徴とする実施形態44に記載の成形品。
【0154】
46.実施形態35〜42の何れか一実施形態に記載の組成物の使用方法又は、実施形態43に記載の方法によって製造される組成物の箔を製造するための使用方法。
【0155】
47.実施形態35〜42の何れか一実施形態に記載の組成物の使用方法又は、実施形態43に記載の方法によって製造される組成物の成形品を被覆するための使用方法。
【0156】
48.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンが、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、少なくとも一種のジオール及び、エチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン、並びにネオペンチルグリコールを主原料とするポリウレタンであり、熱可塑性ポリウレタンのショア硬さ(ショアA)がDIN53505に従って測定すると70〜100の範囲であることを特徴とする少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリメチル(メタ)アクリレートを含む組成物。
【0157】
48.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンが、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、少なくとも一種のジオール及び、エチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン、並びにネオペンチルグリコールを主原料とするポリウレタンであり、少なくとも一種のポリメチル(メタ)アクリレートが耐衝撃性が改良されたポリメチル(メタ)アクリレートであることを特徴とする少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリメチル(メタ)アクリレートを含む組成物。
【0158】
49.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンが、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、少なくとも一種のジオール及び、エチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン、並びにネオペンチルグリコールを主原料とするポリウレタンであり、少なくとも一種のポリメチル(メタ)アクリレートが耐衝撃性が改良されたポリメチル(メタ)アクリレートであり、少なくとも一種のポリメチル(メタ)アクリレートに対する少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンの質量比が1:5〜1:1の範囲であることを特徴とする少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリメチル(メタ)アクリレートを含む組成物。
【0159】
50.少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンが、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、少なくとも一種のジオール及び、エチレン1,2−グリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメタノールシクロヘキサン、並びにネオペンチルグリコールを主原料とするポリウレタンであり、熱可塑性ポリウレタンのショア硬さ(ショアA)が70〜100の範囲であり、少なくとも一種のポリメチル(メタ)アクリレートが耐衝撃性が改良されたポリメチル(メタ)アクリレートであり、少なくとも一種のポリメチル(メタ)アクリレートに対する少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンの質量比が1:5〜1:1の範囲であることを特徴とする少なくとも一種の熱可塑性ポリウレタンと少なくとも一種のポリメチル(メタ)アクリレートを含む組成物。
【0160】
以下の実施例によって本発明について説明するが、これは、決して本発明の主題について制限するものではない。
【実施例】
【0161】
1.出発物質
1.1 以下の標準的なポリ(メタ)アクリレートグレードを使用した:
PMMA LG EG920 押出品質、MFR約1.4g/10分(ASTM D1238−230℃、3.8kg)LG製
PMMA LG EH910 押出品質、MFR約0.9g/10分(ASTM D1238−230℃、3.8kg)LG製
PMMA IF 870S 標準物質、MFR約20g/10分(ASTM D1238−230℃、3.8kg)LG製
PMMA IG 840 標準物質、MFR約5g/10分(ASTM D1238−230℃、3.8kg)LG製
耐衝撃性改良グレード:
PMMA HI 835S MFR約2.6g/10分(ASTM D1238−230℃、3.8kg)LG製
PleXiglas zk 50 MVR0.1cm
3/10分(DIN EN ISO 1133−230℃、3.8kg)レーム製
1.2 以下のTPU物質も使用する:Elastollan A〜G
【0162】
表1は、使用するTPUの組成物を対照する。
【0163】
【表1】
【0164】
表2は、使用したポリオールの組成物を示す。ここでは、それぞれのポリオールの酸価は<0.8mgKOH/gであり、ポリオール中の水含有量は、それぞれ<0.03%であり、ポリオールの官能基数は、それぞれ2である。
【0165】
ポリオール5は、PerstorpからCapa(R)2100の商標で市販されている。ポリオール4は、BASFからPolyTHF(R) 1000の商標で市販されている。
【0166】
【表2】
【0167】
2.製造例
2.1 手動鋳造法によるTPU物質の製造
ポリオール及び鎖延長剤の主な組成物において定められた量は、ブリキ容器で測定され、一時的に窒素を充満させる。容器に蓋をし、オーブンで約90℃に加熱する。
【0168】
他のオーブンを膜(skin)を整えるために80℃に予め加熱しておく。テフロン(登録商標)製の皿を125℃に保っているホットプレート上に置く。
【0169】
液体イソシアネートの計算された量は、以下のように測定される:液体イソシアネート(MDIの場合、約48度の温度)をPEビーカー内で測定し、10秒以内で他のPEビーカーに注ぎ入れる。その後、こうして空になったビーカーの容器の質量を測定し、測定された量のイソシアネートを注入する。MDIの場合には、この物質をオーブン内で約48℃で保存する。
【0170】
常温で固体の耐加水分解安定剤、酸化防止剤等の添加剤をこのシステムで直接測定する。
【0171】
予め加熱したポリオールを停止している撹拌機の下の昇降プラットフォーム上に置く。
【0172】
その後、反応容器を昇降プラットフォームによって撹拌機のブレードがポリオール中に完全に浸るまで上げる。
【0173】
撹拌機のモーターの電源を入れる前に、回転速度調節器がゼロの位置であることを確認することが不可欠である。その後、空気の混入がなく良好な混合がされていることを確かめながら回転速度をゆっくりと上げていく。
【0174】
酸化防止剤のような添加剤を、その後ポリオールに加える。
【0175】
反応混合物の温度を、温風機を使用して注意して80℃に調整する。
【0176】
必要があれば、イソシアネートを加える前に、触媒をマイクロシリンジを使用して反応混合物中に計量して入れる。その後、10分以内で、反応混合物中に、上記で得られた量を入れることで、イソシアネートを80℃で加える。質量はバックウェイニング(backweighing)によって監視する。組成物の量から+/−0.2gの誤差が記録される。ストップウォッチをイソシアネートを加えたときに開始する。110℃に達したときに、反応混合物を予め125℃に加熱してあるテフロン(登録商標)製の皿に注ぎ入れる。
【0177】
ストップウォッチが動き始めてから10分後に、ホットプレートから膜を取り、15時間、オーブンの中で80℃で保存する。冷却した膜をチョッパーミルで粉砕する。その後、粒状の物質を3時間110℃で乾燥し、乾燥条件下で保存する。この方法は、反応押出機又はベルト法でも使用することができる。
【0178】
表3は、ショア硬さ及び、生成したエラストラン生成物A〜Gの分子質量の尺度としての体積流量指数を対照する。
【0179】
【表3】
【0180】
2.2 TPU−PMMA混合物の製造
それぞれのTPU−PMMA混合物は、軸の直径が35Dであり、10個のバレル部に分かれているBerstorff ZE 40 Aの二軸押出機を使用して製造され、その後、直径が30mmの軸を有するArburg 520Sの中で射出成形する。射出成形プラークの厚さは2mmであった。
【0181】
3.混合物の試験
全透過率、ヘイズ値及び透明度値をASTM D1003(工程A)に従って測定する。この値の全て(全透過率、ヘイズ及び透明度)は、ヘイズガードプラス−BYKガードナー製の装置を使用して測定した。
【0182】
表4は、生成した混合物1〜7の組成物及び透過率、ヘイズ、並びに透明度のために測定されたそれぞれの値を対照する。混合物1〜3は、本発明に係るものであるが、混合物4〜7は、比較例(CE)である。
【0183】
【表4】
【0184】
表5は、製造された混合物1〜7の組成物及び、透過率、ヘイズ並びに透明度のために測定されたそれぞれの値を参照する。混合物8〜10は、本発明に係るものであるが、混合部11は、比較例(CE)である。
【0185】
【表5】
【0186】
表6は、製造された混合物12〜14の組成物及び透過率、ヘイズ並びに透明度のために測定したそれぞれの値を参照する。混合物12〜14は、本発明に係るものである。
【0187】
【表6】
【0188】
表7は、製造された混合物15〜18の組成物及び透過率、ヘイズ並びに透明度のために測定したそれぞれの値を参照する。混合物15〜18は本発明に係るものである。
【0189】
【表7】