特許第6435036号(P6435036)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6435036
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】回転保持装置及び基板洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20181126BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
   H01L21/304 648Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-216354(P2017-216354)
(22)【出願日】2017年11月9日
(62)【分割の表示】特願2014-5150(P2014-5150)の分割
【原出願日】2014年1月15日
(65)【公開番号】特開2018-29207(P2018-29207A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2017年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】八嶋 哲也
【審査官】 山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−335287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持装置であって、
回転する回転部材と、
前記回転部材により回転し、前記基板の縁部を基板の第1面から押さえるための第1チャック部材と、
前記回転部材により回転し、前記基板の縁部を基板の第2面から支持するための第2チャック部材と、
前記基板を保持する前記第1チャック部材と前記第2チャック部材との間の距離を変更して、前記基板の縁部を弾性的に保持するための弾性手段を有する可動機構と、
を備え、
前記第1チャック部材は、円錐の上側部分を切除して逆さにした形状を有し、斜めに傾斜したテーパ状の基板保持面が形成されており、
前記第2チャック部材は、円錐の上側部分を切除した形状を有し、斜めに傾斜したテーパ状の基板保持面が形成されていることを特徴とする基板保持装置。
【請求項2】
前記第1チャック部材の基板の第1面に対する距離を検出する位置センサをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の基板保持装置。
【請求項3】
前記可動機構は、前記回転部材に固定され、前記第1チャック部材の移動を案内するための案内手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の基板保持装置。
【請求項4】
前記第1チャック部材および前記第2チャック部材は、樹脂又はウレタンから構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の基板保持装置。
【請求項5】
前記第1チャック部材および前記第2チャック部材の間には破損防止リングが設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の基板保持装置。
【請求項6】
請求項1ないしのいずれか一項に記載の基板保持装置と、該基板保持装置に保持された基板を洗浄するための洗浄手段と、を備えた、基板洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の円板状の基板を保持して回転させるための回転保持装置、及びそのような回転保持装置を用いて円板状の基板を回転させながら洗浄する基板洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ等の円板状の基板(以下単に「基板」という。)に対して洗浄処理を行う基板洗浄装置は、通常、円板状の基板を保持して回転させる回転保持装置を備えている。洗浄装置は、例えば、基板の縁部を保持して自転することにより基板の縁部を連続的に送り出し、それによって基板を回転させる回転保持装置を備えている。
【0003】
図6は、従来の洗浄装置の構成を示す模式図である。洗浄装置500は、表面に銅めっき処理やCMP(化学的機械的研磨)処理がされた半導体ウエハ基板Sを洗浄する。円板状の基板Sは、回転保持装置としての複数の基板回転ローラ501,501に保持される。基板回転ローラ501は、回転部材5011とコマ5012とからなり、コマ5012で基板Sの縁部を保持する。回転部材5011がコマ5012を回転させることで、基板Sはその場で回転する。なお、図6には2つの基板回転ローラ501が図示されているが、基板回転ローラ501は、基板Sの周囲を囲むように等角度間隔で3つ以上(例えば4つ)設けられている。
【0004】
このように保持された基板Sの上面側には、基板Sの上面に薬液を供給する薬液ノズル502、基板Sの上面に洗浄液を供給する洗浄液ノズル503、基板Sの上面に押し当てられることにより基板Sの上面を洗浄するロールスポンジ504、及び基板Sの上面にメガソニック水を提供するメガソニックジェットノズル505が設けられている。また、基板Sの下面側にも同様に、基板Sの下面に薬液を供給する薬液ノズル502、基板Sの下面に洗浄液を供給する洗浄液ノズル503、基板Sの下面に押し当てられることにより基板Sの下面を洗浄するロールスポンジ504が設けられている。
【0005】
図2は、基板回転ローラ501の側面図である。回転部材5011は円柱形上を有している。コマ5012は、回転部材5011の上に、回転部材5011に対して固定されて設けられている。コマ5012は、回転部材5011に固定されるベース部分5012a、ベース部分5012aの上に位置し、上に行くにしたがって径が小さくなる傾斜部分5012b、傾斜部分5012bの上端から連続して上に延びる基板受け部分5012c、及び基板受け部分5012cの上に位置し、基板受け部分5012cより大きな径を有する基板押さえ部分5012dからなる。
【0006】
保持される基板Sは、その側面が基板受け部分5012cに接触する。回転部材5011の回転によってコマ5012が回転すると、この基板受け部分5012cと基板Sの側面との間の摩擦力によって基板Sが回転する。基板受け部分5012cの高さは基板Sの厚さに等しく、基板押さえ部5012dは、基板受け部5012cに当接する基板Sの縁部を上から押さえることで、基板回転ローラ501に保持されて回転する基板Sがコマ5012から外れることを防止している。
【0007】
なお、本発明に関連する先行技術として、以下の先行技術文献がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第01/084621号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の基板回転ローラのコマは、形状が固定されているため、厚さや径の異なる円板状基板について、1種類のコマで対応することはできず、異なる形状のコマを用いなければならないという問題がある。即ち、保持する円板状基板の厚さや径に応じて、それに対応する形状のコマを回転部材に付け替えなければならない。
【0010】
また、コマを長時間使用することによって種々の問題が生じる。例えば、コマが摩耗して、コマから発生したパーティクルが、基板の欠陥の原因となる。また、コマの基板受け部分が摩耗して基板との間の摩擦力が弱くなり、基板を正しく回転させることができなくなって、洗浄性能が低下する。さらに、コマの基板押さえ部分が摩耗や疲労によって破損(破断)すると、基板が保持できずに、基板が割れてしまうことにもなる。
【0011】
基板回転ローラのコマは、定期消耗品として工程管理が必要であり、また、回転保持装置は、1つの基板を保持するために複数の基板回転ローラを備えるので、コマの寿命が短いと消耗品の交換コストや管理コストが増大する。
【0012】
さらに、基板の周辺には位置合わせのためのノッチ(切欠き)が形成されることがあるが、従来の基板回転ローラのコマは、回転する基板のノッチによる周期的な振動を受けて、それを洗浄装置に伝えてしまう。そうすると、基板の受け渡しを行う搬送系が振動して受け渡しエラーが生じたり、インライン膜圧測定器に振動が伝播して測定異常が生じたりする。また、振動によるメカ機構への影響の背反不具合として、寿命が短くなる。
【0013】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、厚さの異なる複数種類の基板について使用できる回転保持装置を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、径の異なる複数種類の基板について使用できる回転保持装置を提供することである。本発明のさらに他の目的は、振動の伝播を低減した回転保持装置を提供することである。本発明のさらに他の目的は、寿命が長くランニングコストが低減された回転保持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の回転保持装置は、円板状の基板の縁部を保持して自転することにより前記基板の縁部を連続的に送り出し、それによって前記基板を回転させる回転保持装置であって、回転する回転部材と、前記回転部材とともに回転し、前記基板の縁部を上から押さえるための上チャック部材と、前記回転部材とともに回転し、前記基板の縁部を下から支持するための下チャック部材と、前記基板を保持する前記上チャック部材と前記下チャック部材との間の上下方向の距離を変更するための可動機構とを備えた構成を有している。
【0015】
この構成により、上チャック部材と下チャック部材とで基板の縁部を上下に挟んで保持することができる。両部材の間の上下方向の距離が可変であるため、厚さの異なる基板に対応でき、上チャック部材や下チャック部材が摩耗により擦り減った場合にも基板を保持することができる。また、基板の縁部を上下に挟んで支持するので、径の大きさが異なる基板にも対応できる。なお、回転部材は、駆動源によって回転駆動されてよく、駆動源によって駆動されずに単に回転自在なものであってもよい。
【0016】
上記の回転保持装置において、前記上チャック部材は、前記基板の縁部を上から押さえるための斜め下向きに傾斜した基板保持面を有し、前記下チャック部材は、前記基板の縁部を下から支持するための斜め上向きに傾斜した基板保持面を有し、前記上チャック部材の前記基板保持面と前記下チャック部材の前記基板保持面とで、前記基板の縁部に対して開口するテーパ形状が形成されてよい。
【0017】
この構成により、基板の縁部が曲面形状の傾斜面となっている場合に、その傾斜面と上チャック部材の基板保持面及び下チャック部材の基板保持面との接触面積が増え、基板の縁部を確実に送り出すことができる。
【0018】
上記の回転保持装置において、前記可動機構は、前記回転部材に固定され、前記上チャック部材の上下方向の移動を案内するための案内手段を備えていてよい。
【0019】
この構成により、上チャック部材は、案内手段に案内されて上下方向に移動できる。
【0020】
上記の回転保持装置において、前記可動機構は、前記上チャック部材に対して下向きに弾性力を与える弾性手段を備えていてよい。
【0021】
この構成により、基板のノッチによる衝撃を弾性手段が吸収でき、他の部分に伝播する振動を軽減できる。
【0022】
上記の回転保持装置において、前記可動機構は、前記弾性手段を上から押さえる可動板と、前記可動板を上から押さえるように前記回転部材に固定される調整ネジとを備え、前記調整ネジの前記回転部材に対する高さを調整することで前記弾性手段による弾性力を調整可能であってよい。
【0023】
この構成により、基板の縁部を上チャック部材と下チャック部材で挟む際のクランプ力を調整することができ、基板の縁部に適度な摩擦力を与えるとともに、過度のクランプ力によって基板に与えるストレスを抑えることができる。
【0024】
上記の回転保持装置は、前記上チャック部材の上下方向の位置を検出する位置センサをさらに備えていてよい。
【0025】
この構成により、上チャック部材や下チャック部材が摩耗により擦り減り、基板を保持する両部材の間の距離が小さくなったことを検知でき、それによって上チャック部材や下チャック部材の交換時期を知ることができる。
【0026】
本発明の別の態様は、円板状の基板を回転させながら洗浄する基板洗浄装置であって、この基板洗浄装置は、前記基板の縁部を保持する複数の回転保持装置を備え、前記回転保持装置は、前記基板の縁部を保持して自転することにより前記基板の縁部を連続的に送り出し、それによって前記基板を回転させる回転保持装置であって、回転する回転部材と、前記回転部材とともに回転し、前記基板の縁部を上から押さえるための上チャック部材と、前記回転部材とともに回転し、前記基板の縁部を下から支持するための下チャック部材と、前記基板を保持する前記上チャック部材と前記下チャック部材との間の上下方向の距離を変更するための可動機構とを備えた構成を有している。
【0027】
この構成によっても、上チャック部材と下チャック部材とで基板の縁部を上下に挟んで保持するとともに、両部材の間の上下方向の距離が可変であるため、厚さの異なる基板に対応でき、上チャック部材や下チャック部材が摩耗により擦り減った場合にも基板を保持することができ、さらに、径の大きさが異なる基板にも対応できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、上チャック部材と下チャック部材とで基板の縁部を上下に挟んで保持するとともに、両部材の間の上下方向の距離が可変であるため、厚さの異なる基板に対応でき、上チャック部材や下チャック部材が摩耗により擦り減った場合にも基板を保持することができ、さらに、径の大きさが異なる基板にも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施の形態の回転保持装置の構成(基板を保持している状態)を示す図
図2】本発明の実施の形態の回転保持装置の構成(基板を保持していない状態)を示す図
図3】本発明の実施の形態の回転保持装置の構成(厚い基板を保持している状態)を示す図
図4】本発明の実施の形態の回転保持装置の構成(径の大きい基板を保持している状態)を示す図
図5】本発明の実施の形態の回転保持装置の構成(上チャック部材及び下チャック部材が摩耗した状態)を示す図
図6】従来の洗浄装置の構成を示す模式図
図7】従来の回転保持装置の構成を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態の回転保持装置及びそれを備えた基板洗浄装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態の回転保持装置の構成を模式的に表した側面図である。回転保持装置としての可動式ローラチャック100は、従来の回転保持装置と同様に、円板状の基板Sの縁部を保持する。基板Sの縁部は、縁に行くほど厚さが薄くなる先細り形状を有しており、基板Sの縁部には曲面状の傾斜面が形成されている。なお、本実施の形態の可動式ローラチャック100が保持する基板Sはこのような形状に限られず、表面と側面との間に角が形成されてものであってよく、その角が面取りされて傾斜面が形成されていてもよい。
【0032】
可動式ローラチャック100は、回転部材11、ベース部材12、下チャック部材13、上チャック部材14、上チャックベース15、可動レール筒16、可動板17、調整ネジ18、ばね19、破損防止リング20、及び位置センサ21を備えている。回転部材11は、円柱形上を有しており、モータによってその中心軸線周りに回転(自転)する。また、別の態様の可動式ローラチャック100の回転部材11は、その軸線周りに回転可能であるのみで、モータ等によって回転駆動されないものであってよい。すなわち、洗浄装置は基板Sを保持するために、複数の可動式ローラチャック100を備えているが、そのうちの少なくとも1つの可動式ローラチャック100が駆動源によって回転するものであればよく、他の可動式ローラチャック100は、基板Sの回転に伴って回転するものであってよい。
【0033】
回転部材11の上部に備えられたベース部材12、下チャック部材13、上チャック部材14、上チャックベース15、可動レール筒16、可動板17、調整ネジ18、ばね19、破損防止リング20、及び位置センサ21は、すべて回転部材11と一体となって回転する。そのうちの可動レール筒16、可動板17、調整ネジ18、ばね19、及び破損防止リング20は、上チャック部材14を上下に可動とすることで、上チャック部材14と下チャック部材13との間の上下方向の距離を変更する可動機構を構成し、可動レール筒16は、上チャック部材14の上下方向の移動を案内する案内手段に相当する。
【0034】
ベース部材12は、回転部材11の上面に固定されている。可動レール筒16は、円管形状を有し、その軸線と回転部材11の回転軸線とが一致するように、その下端がインローでベース部材12に組みつけられている。可動レール筒16は金属製である。
【0035】
下チャック部材13は、円錐の上側部分を切除した形状を有し、上面13aが下面13bよりも小さく、上面13aと下面13bとの間には、斜め上向きに傾斜したリング状の基板保持面13cが形成されている。また、下チャック部材13は、中央に可動レール筒16の挿入孔が形成されており、この挿入孔に可動レール筒16が挿し込まれている。下チャック部材13が可動レール筒16に取り付けられた状態で、下チャック部材13の中心軸と回転部材11の回転軸とは一致している。
【0036】
下チャック部材13の上には、破損防止リング20が設けられている。破損防止リングは、可動レール筒16に挿入されるリング形状を有し、樹脂、弾性材、又は緩衝材料で構成される。破損防止リング20は、可動レール筒16に取り付けられて、下チャック部材13の上面13aに当接する。
【0037】
破損防止リング20の上には、上チャック部材14が設けられている。上チャック部材14は、円錐の上側部分を切除して逆さにした形状を有し、下面14bが上面14aよりも小さく、下面14bと上面14aとの間には、斜め下向きに傾斜したリング状の基板保持面14cが形成されている。また、上チャック部材14は、中央に可動レール筒16の挿入孔が形成されており、この挿入孔に可動レール筒16が挿し込まれている。上チャック部材14が可動レール筒16に取り付けられた状態で、上チャック部材14の中心軸と回転部材11の回転軸とは一致している。
【0038】
上チャック部材14は、可動レール筒16に対して、その軸線方向に移動可能である。すなわち、上チャック部材14は、下チャック部材13に対して可動であり、下チャック部材13と上チャック部材14との間の距離は可変である。上チャック部材14は、破損防止リング20に当接することで、下方向への移動を制限される。即ち、破損防止リング20は、上チャック部材14の下限位置を決定するストッパとして機能する。
【0039】
上チャック部材14の上面14aは、上チャックベース15の下面に固定されている。上チャックベース15の上面には位置センサ21が固定されている。上チャック部材14、上チャックベース15、及び位置センサ21は、一体となって、可動レール筒16の長手方向に沿って上下動する。可動レール筒16の内部であって、上チャックベース15の上方には、可動レール筒16の軸方向に弾性変形するばね19が設けられている。ばね19の上には、可動レール筒16の内径と同一ないしは若干小さい径を有する可動板17が設けられている。ばね19の下端は上チャック部材14に固定された上チャックベース15の上面に支持されている。ばね19は、上チャックベース15を介して上チャック部材14に弾性力を与える弾性部材に相当する。
【0040】
このように、本実施の形態の可動式ローラチャック100は、上チャック部材14と下チャック部材13とで基板Sの縁部を上下に挟み込む構成を有しており、上チャック部材14及び下チャック部材13からなる構成は、それらの基板保持面14c、13cによって、挿入される基板Sに対して開口するテーパ形状を有している。上チャック部材14及び下チャック部材13は、いずれもPVC(ポリ塩化ビニル)、テフロン(登録商標)等の樹脂、又はウレタン等によって構成される。
【0041】
可動板17、上チャックベース15、ベース部材12には、それぞれ調整ネジ18を貫通させるための孔が形成されている。これらの孔を貫通した調整ネジ18が、可動板17をばね19の弾性力に抗して下に押し付けるように、回転部材11に螺合して固定される。調整ネジ18を回転部材11から外すことで、可動板17、ばね19、上チャック部材14、破損防止リング20、下チャック部材13は、取り外して新たなものに交換することができる。特に、上チャック部材14及び下チャック部材13は、摩耗したときに新たなものに交換される。
【0042】
位置センサ21は、可動レール筒16に対する高さ方向の位置を検出する。上述のように、上チャック部材14及び上チャックベース15は、位置センサ21と一体となって可動レール筒16の軸方向に沿った上下動をするので、この位置センサ21の検出値は、上チャック部材14、上チャックベース15、位置検出センサ21自体、又はそれらの組み合わせの上下方向の位置を示している。位置センサ21の検出値は、図示しない制御装置に出力される。
【0043】
上記のように構成された可動式ローラチャック100の作用を説明する。基板Sが保持されていない状態では、図2に示すように、上チャックベース15がばね19に押し付けられて、上チャック部材14は、下限位置で破損防止リング20に当接している。このとき、上チャック部材14の基板保持面14cと下チャック部材13の基板保持面13cは、基板Sに向かって広がっている。
【0044】
基板Sを保持するために可動式ローラチャック100が基板Sに向かうように相対的に移動すると、上チャック部材14と下チャック部材13との間に基板Sの縁部が挿し込まれる。基板Sが上チャック部材14と下チャック部材13との間に挿し込まれると、上チャック部材14がばね19の弾性力に抗して可動レール筒16に沿って上昇し、図1に示すように基板Sが可動式ローラチャック100に保持される。
【0045】
このとき、上チャック部材14は、基板Sの縁部を上から押さえ、下チャック部材13は、上チャック部材14の下で、基板Sの当該縁部を下から支持し、基板Sの曲面状の傾斜面が上チャック部材14の基板保持面14c及び下チャック部材13の基板保持面13cに挟まれて保持される。この状態で回転部材11が回転すると、上チャック部材14及び下チャック部材13も回転し、それによって上チャック部材14と下チャック部材13に挟持されている基板Sの縁部が周方向に連続的に送り出され、基板Sが回転する。
【0046】
このように、従来の基板保持装置は、基板の縁に対して半径方向の押しつけ力を付与して自転することにより基板を回転させていたのに対して、本実施の形態の可動式ローラチャック100は、基板の縁部を上下の傾斜面で挟み込む構造を使用しているので、基板との接触面積が従来と比べて大きくすることができ、摩耗や滑りに有効であり、かつ性能を持続的確保することができる。
【0047】
上チャック部材14と下チャック部材13とで基板Sの縁部を挟む力(クランプ力)を強化するには、調整ネジ18を回転部材11に向けてねじ込み、可動板17を下方向に移動させることでばね19が上チャックベース15に与える下向きの弾性力を強めればよい。逆に、調整ネジ18を回転部材11から離す方向に回すと、可動板17が上方向に移動して、ばね19が上チャックベース15に与える下向きの弾性力が弱まり、基板Sの縁部を挟むクランプ力が弱まる。このように、可動式ローラチャック100は、調整ネジ18によって基板Sの縁部を挟む力を調整することで、基板Sの縁部に対する過度のクランプ力によって基板Sに与えるストレスを抑え、クランプ力によって基板Sが割れることを回避し、また、製品へのストレスによる影響を抑えることができる。
【0048】
すなわち、本実施の形態の可動式ローラチャック100は、上チャック部材14の傾斜した基板保持面14cと下チャック部材13の傾斜した基板保持面13cとで基板Sの縁部の上下の傾斜面をそれぞれ保持して、自転することによって基板Sの縁部を連続的に送り出す。基板Sを挟む力はばね19によって与えることができ、その力の大きさは調整ネジ18を回転部材11に対して進退させることで調整できる。
【0049】
このように、可動式ローラチャック100は、基板Sの縁部を弾性的に保持しているので、基板Sのノッチが通過する場合にも、その衝撃がばね19によって吸収されて、洗浄装置の他の部分に伝わる振動を軽減できる。このように振動の伝搬を軽減できるので、ノッチを有する基板Sをより高速に回転させることができる。
【0050】
また、可動式ローラチャック100は、基板Sの縁部を弾性的に保持しているので、基板Sの厚さが多少厚くなった場合にも対応できる。典型的な基板Sは、例えば厚さ1mmであるが、1mm±0.02〜0.03mm程度の厚さを有する場合もある。従来は、厚さの違いが0.02〜0.03mm程度である場合にも、それぞれの厚さに適合するコマに付け替えなければならなかったが、可動式ローラチャック100は、この程度の厚さの範囲内であれば、交換することなく対応できる。
【0051】
図3は、図1の場合よりも厚い基板Sを保持する場合を示している。図3に示すように、基板Sの厚さが増すと、基板Sを保持するときの上チャック部材14と下チャック部材13との間の距離が大きくなるが、依然として、上チャック部材14の傾斜した基板保持面14cと下チャック部材13の傾斜した基板保持面13cとで基板Sの縁部の上下の傾斜面を挟み込んで基板Sを保持することが可能である。
【0052】
さらに、可動式ローラチャック100が基板Sの縁部を弾性的に保持していることで、基板Sの径が大きくなった場合にも対応できる。典型的な基板Sは、例えば直径300mmであるが、直径300mm±2〜3mm程度の大きさの基板Sも存在する。従来は、径の違いが2〜3mm程度である場合にも、それぞれの径に適合するコマに付け替えなければならなかったが、可動式ローラチャック100は、この程度の径の範囲内であれば、交換することなく対応できる。
【0053】
図4は、図1の場合よりも径が大きい基板Sを保持する場合を示している。図4に示すように、基板Sの径が大きくなると、基板Sの縁がより奥に(可動レール筒16に向かう方向に)入り込むことになり、基板を保持するときの上チャック部材14と下チャック部材134との間の距離が大きくなるが、依然として、上チャック部材14の傾斜した基板保持面14cと下チャック部材13の傾斜した基板保持面13cとで基板Sの上下の傾斜面を挟み込んで基板Sを保持することが可能である。
【0054】
さらに、可動式ローラチャック100が基板Sの縁部を弾性的に保持していることで、上チャック部材14の基板保持面14cや下チャック部材13の基板保持面13cが摩耗して擦り減った場合にも基板Sを保持できる。すなわち、可動式ローラチャック100は、上チャック部材14と下チャック部材13が摩耗によってクリアランスが小さくなったとしても、それに自動的に対応するセルフアライメント機能を有している。
【0055】
図5は、図1の場合よりも基板保持面14c及び基板保持面13cが擦り減った場合を示している。図5に示すように、基板保持面14c及び基板保持面13cが擦り減ると、上チャック部材14と下チャック部材13との距離が小さくなるが、依然として、上チャック部材14の傾斜した基板保持面14cと下チャック部材13の傾斜した基板保持面13cとで基板Sの上下の傾斜面を挟み込んで基板Sを保持することが可能である。
【0056】
このような上チャック部材14の基板保持面14c及び下チャック部材13の基板保持面13cの擦り減りは、所定の厚さ及び径を有する基板Sを保持する両部材の距離が縮まったことで知ることができ、この距離の変化は位置センサ21の検出値から知ることができる。即ち、ユーザは、位置センサ21の検出値から、上チャック部材14や下チャック部材13を交換すべきであることを知ることができる。
【0057】
また、上チャック部材14の基板保持面14c及び下チャック部材13の基板保持面13cがさらに摩耗して、基板Sの縁が破損防止リング20の側面に接触しても、破損防止リング20は、上述のように、樹脂、弾性材、緩衝材料でできているため、基板Sの縁を破損することがなく、基板Sの縁との摩擦によって基板Sの縁部を送り出すことができる。
【0058】
なお、上記の実施の形態では、上チャック部材14に下向きの力を与える弾性手段としてばね19を採用したが、弾性手段は、エアダンパー等の他の手段であってもよい。また、位置センサ21は、上チャックベース15の上に取り付けられたが、上チャックベース15又は上チャック部材14の上下方向の位置を検出できる他の位置に取り付けられてもよく、洗浄装置における図1に示した可動式ローラチャック100とは別の部分に取り付けられて、上チャックベース15又は上チャック部材14の上下方向の位置を検出してもよい。
【0059】
さらに、上記の実施の形態では、破損防止リング20は、樹脂等の材料で構成され、上チャック部材14の下向きの移動を制限するストッパとしての機能及び基板Sの縁が接触した場合にも基板Sを破損させないようにする破損防止の機能を有していたが、いずれかの機能のみを有するものであってもよい。
【0060】
また、上記の実施の形態では、調整ネジ18によってばね19が上チャックベース15に与える力を調整可能とし、クランプ力を調整可能としたが、クランプ力を調整するための構成がなくてもよく、例えば、本実施の形態の可動板17に相当する部材(ばね19を上から押さえる部材)が可動レール筒16に固定されていてもよい。
【0061】
また、上記の実施の形態では、上チャック部材14の上下動を案内する案内手段として、筒状の可動レール筒16を採用し、上チャック部材14は中央に可動レール筒16を挿入するための孔を有し、その孔に可動レール筒16が挿入されたが、案内手段はこれに限られず、上チャック部材14の上下動を案内する任意の機構が採用されてよい。
【0062】
また、上記の実施の形態は、下チャック部材13の上下方向の位置を固定として、上チャック部材14を上下動可能としたが、逆に上チャック部材14の上下方向の位置を固定して、下チャック部材13を上下方向に可動としてもよく、上チャック部材14及び下チャック部材13の両部材がいずれも可動であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、厚さの異なる基板に対応でき、上チャック部材や下チャック部材が摩耗により擦り減った場合にも基板を保持することができ、さらに、径の大きさが異なる基板にも対応できるという効果を有し、円板状の基板を保持して回転させるための回転保持装置、そのような回転保持装置を用いて円板状の基板を回転させながら洗浄する基板洗浄装置等として有用である。
【符号の説明】
【0064】
11 回転部材
12 ベース部材
13 下チャック部材
13a 上面
13b 下面
13c 基板保持面
14 上チャック部材
14a 上面
14b 下面
14c 基板保持面
15 上チャックベース
16 可動レール筒
17 可動板
18 調整ネジ
19 ばね(弾性手段)
20 破損防止リング
21 位置センサ
100 可動式ローラチャック(回転保持装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7