特許第6435175号(P6435175)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6435175分解検出装置、分解検出方法、分解検出装置用プログラム、濃度測定装置、及び、濃度制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6435175
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】分解検出装置、分解検出方法、分解検出装置用プログラム、濃度測定装置、及び、濃度制御装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20181126BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20181126BHJP
   G01N 21/61 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
   H01L21/205
   C23C16/52
   G01N21/61
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-244540(P2014-244540)
(22)【出願日】2014年12月2日
(65)【公開番号】特開2016-111068(P2016-111068A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000127961
【氏名又は名称】株式会社堀場エステック
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】南 雅和
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−027136(JP,A)
【文献】 特開2009−049196(JP,A)
【文献】 特開平07−302759(JP,A)
【文献】 特開2002−055047(JP,A)
【文献】 特開2011−134916(JP,A)
【文献】 特開2002−005831(JP,A)
【文献】 特開2000−074830(JP,A)
【文献】 特開2001−284336(JP,A)
【文献】 特開2004−091917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205、21/31−21/32、21/365、
21/469−21/475、21/86、
C23C 16/00−16/56、
G01N 21/00−21/01、21/17−21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料が気化した材料ガスを含む混合ガスについて、前記半導体材料が吸収する波長の吸光度である第1吸光度と、前記半導体材料が分解した際に生じる物質が吸収する波長の吸光度である第2吸光度とを測定するNDIR方式又はレーザ吸収分光方式の吸光度測定機構と、
前記第1吸光度と前記第2吸光度とに基づいて、前記半導体材料の分解を検出する分解検出部とを備えたことを特徴とする分解検出装置。
【請求項2】
前記分解検出部が、前記半導体材料に分解が生じていない状態で測定された前記第1吸光度と前記第2吸光度の比と、現在の第1吸光度と第2吸光度の比との比較結果に基づいて前記半導体材料の分解を検出するように構成されている請求項1記載の分解検出装置。
【請求項3】
前記分解検出部が、前記半導体材料に分解が生じていない状態で測定された前記第1吸光度と前記第2吸光度の差と、現在の第1吸光度と第2吸光度の差との比較結果に基づいて前記半導体材料の分解を検出するように構成されている請求項1又は2記載の分解検出装置。
【請求項4】
前記分解検出部が、同時刻における前記第1吸光度の増減傾向と前記第2吸光度の増減傾向が異なっている場合に前記半導体材料に分解を検出するように構成されている請求項1乃至3いずれかに記載の分解検出装置。
【請求項5】
前記吸光度測定機構が、
混合ガスが通過する測定セルと、
所定の波長帯域幅を有する光を前記測定セルへ射出する光源部と、
前記測定セルを通過した光のうち前記半導体材料が吸収する波長の光を通過させる第1フィルタと、
前記測定セルを通過した光のうち前記半導体材料が分解した際に生じる物質が吸収する波長の光を通過させる第2フィルタと、
前記第1フィルタ又は前記第2フィルタを通過した光を検出する光検出部とを備えたNDIR方式のガス分析計である請求項1乃至4いずれかに記載の分解検出装置。
【請求項6】
前記吸光度測定機構が、
混合ガスが通過する測定セルと、
前記半導体材料が吸収する波長のレーザ光と、前記半導体材料が分解した際に生じる物質が吸収する波長のレーザ光とを前記測定セルへ射出する光源部と、
前記測定セルを通過した光を検出する光検出部とを備えたレーザ吸収分光方式のガス分析計である請求項1乃至4いずれかに記載の分解検出装置。
【請求項7】
前記半導体材料が、有機金属である請求項1乃至6いずれかに記載の分解検出装置。
【請求項8】
請求項1乃至7に記載の分解検出装置と、
前記第1吸光度に基づいて、前記混合ガス中の前記材料ガスの濃度を算出する濃度算出部と、を備えた濃度測定装置。
【請求項9】
前記半導体材料が収容されるタンクと、前記タンク内にキャリアガスを導入する導入管と、前記タンクから前記材料ガスと前記キャリアガスを含む混合ガスを導出する導出管とを備えたバブリングシステムに用いられる濃度制御装置であって、
請求項8記載の濃度測定装置と、
前記導出管に設けられる調整バルブと、
予め設定される目標濃度と、前記濃度測定装置で測定される材料ガスの測定濃度とに基づいて前記調整バルブを制御するバルブ制御部とを備えた濃度制御装置。
【請求項10】
半導体材料が気化した材料ガスを含む混合ガスについて、前記半導体材料が吸収する波長の吸光度である第1吸光度と、前記半導体材料が分解した際に生じる物質が吸収する波長の吸光度である第2吸光度とを測定するNDIR方式又はレーザ吸収分光方式の吸光度測定機構を用いた分解検出方法であって、
前記第1吸光度と前記第2吸光度とに基づいて、前記半導体材料の分解を検出することを特徴とする分解検出方法。
【請求項11】
半導体材料が気化した材料ガスを含む混合ガスについて、前記半導体材料が吸収する波長の吸光度である第1吸光度と、前記半導体材料が分解した際に生じる物質が吸収する波長の吸光度である第2吸光度とを測定するNDIR方式又はレーザ吸収分光方式の吸光度測定機構を備えた分解検出装置に用いられる分解検出装置用プログラムであって、
前記第1吸光度と前記第2吸光度とに基づいて、前記半導体材料の分解を検出する分解検出部としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とする分解検出装置用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体材料が気化した材料ガスにおいて生じる分解を検出する分解検出装置、この分解検出装置を用いた濃度測定装置、及び、濃度制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスでは、固体又は液体の半導体材料をバブリングシステムにより気化させて真空チャンバ等に気化された材料ガスを導入することが行われている。
【0003】
このバブリングシステムは、前記半導体材料が収容されるタンクと、前記タンクにキャリアガスを導入する導入管と、前記タンクからキャリアガスと前記半導体材料が気化した材料ガスの混合ガスを導出するための導出管とを備えている。
【0004】
製造される半導体の性能や品質は、真空チャンバ内に導入される混合ガス中における材料ガスの濃度の影響を受ける。このため、混合ガス中の材料ガスの濃度を前記導出管に設けた例えば超音波方式や非分散型赤外線吸収(NDIR)方式等の濃度計により測定し、その測定される濃度が所定の値で一定に保たれるように前記導出管に設けられたバルブによって濃度制御が行われる(特許文献1参照)。
【0005】
ところで、従来TEOS等の比較的安定な半導体材料がバブリングにより気化されていたが、LEDや最先端のSi半導体プロセスでは化合物半導体を成膜する必要があるため有機金属からなる分解の生じやすい不安定な半導体材料も用いられるようになってきている。
【0006】
例えば、前記導出管内において材料ガスに自己分解が生じてしまうと、本来意図していない種類の物質が真空チャンバに導入されることになり、製造される半導体の性能や品質に何らかの影響がある虞がある。
【0007】
また、前記濃度計で測定される濃度は混合ガスがキャリアガスと材料ガスのみで構成されていることを前提としているので、材料ガスの自己分解により別の物質が生成されると濃度測定や濃度制御にも誤差が発生する可能性も考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−145887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上述したような問題を鑑みてなされたものであり、簡易な構成でありながら半導体材料が気化した材料ガス中において半導体材料の分解が生じているかどうかを検出できる分解検出装置、及び、これを用いた濃度測定装置、濃度制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の分解検出装置は、半導体材料が気化した材料ガスを含む混合ガスについて、前記半導体材料が吸収する波長の吸光度である第1吸光度と、前記半導体材料が分解した際に生じる物質が吸収する波長の吸光度である第2吸光度とを測定するNDIR方式又はレーザ吸収分光方式の吸光度測定機構と、前記第1吸光度と前記第2吸光度とに基づいて、前記半導体材料の分解を検出する分解検出部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
このようなものであれば、前記分解検出部は前記第1吸光度と前記第2吸光度とに基づいて前記半導体材料の分解を検出するように構成されているので、材料ガスの濃度変化と分解の発生を切り分けて分解のみを正確に検出する事が可能となる。
【0012】
より具体的には、半導体材料自体が複数の波長の光を吸収し、分解時に生じる物質と同じ波長の光を吸収する場合には、前記第2吸光度は材料ガスの濃度が上昇しているときと分解が生じているときの両方でその値が大きくなってしまう。したがって、第2吸光度の値だけを監視しても本当に分解が生じているかどうかを検出できないことがある。
【0013】
このような問題を解決することができる前記分解検出部の具体的な構成例としては、前記分解検出部が、前記半導体材料に分解が生じていない状態で測定された前記第1吸光度と前記第2吸光度の比と、現在の第1吸光度と第2吸光度の比との比較結果に基づいて前記半導体材料の分解を検出するように構成されているものが挙げられる。
【0014】
ここで、前記第1吸光度と前記第2吸光度の比とは、前記第2吸光度がゼロの場合を含む概念である。具体的には前記第1吸光度と前記第2吸光度の比が1:0等であっても構わない。また、前記第1吸光度と前記第2吸光度の比は、吸光度から1対1に換算可能な値の比であっても構わない。例えば吸光度から換算される濃度同士の比を含んでもよい。
【0015】
さらに別の前記分解検出部の具体的な構成例としては、前記分解検出部が、前記半導体材料に分解が生じていない状態で測定された前記第1吸光度と前記第2吸光度の差と、現在の第1吸光度と第2吸光度の差との比較結果に基づいて前記半導体材料の分解を検出するように構成されているものが挙げられる。
【0016】
また、前記分解検出部が、同時刻における前記第1吸光度の増減傾向と前記第2吸光度の増減傾向が異なっている場合に前記半導体材料に分解を検出するように構成されているものであってもよい。
【0017】
これらのようなものであれば、前記分解検出部は前記第1吸光度と前記第2吸光度の比又は差、あるいは、前記第1吸光度の増減傾向と前記第2吸光度の増減傾向の比較結果を監視しているので、材料ガスの濃度変化と分解が同時に発生しているような場合でも、半導体材料の分解を検出することが可能である。より具体的には、材料ガスの濃度が上昇しているときには前記第1吸光度と前記第2吸光度の比は保たれるのに対して、分解が生じている場合には第2吸光度だけが大きく変化するので、前記第1吸光度と前記第2吸光度の比に変化が表れる。したがって、前記第1吸光度と前記第2吸光度の比を監視することで前記分解検出部は材料ガスの分解を検出することができる。これは各吸光度の差や前記第1吸光度の増減傾向と前記第2吸光度の増減傾向の比較結果を監視している場合でも同様である。
【0018】
前記吸光度測定機構が熱の影響を受けにくくするとともに、前記吸光度測定機構の構成を簡単なものにする具体的な構成例としては、前記吸光度測定機構が、混合ガスが通過する測定セルと、所定の波長帯域幅を有する光を前記測定セルへ射出する光源部と、前記測定セルを通過した光のうち前記半導体材料が吸収する波長の光を通過させる第1フィルタと、前記測定セルを通過した光のうち前記半導体材料が分解した際に生じる物質が吸収する波長の光を通過させる第2フィルタと、前記第1フィルタ又は前記第2フィルタを通過した光を検出する光検出部とを備えたNDIR方式のガス分析計であるものが挙げられる。このようなものであれば、FTIR等のように大型かつ高価なものを用いなくても、半導体材料の分解を検出することが可能となる。
【0019】
前記吸光度測定機構の別の構成例としては、前記吸光度測定機構が、混合ガスが通過する測定セルと、前記半導体材料が吸収する波長のレーザ光と、前記半導体材料が分解した際に生じる物質が吸収する波長のレーザ光とを前記測定セルへ射出する光源部と、前記測定セルを通過した光を検出する光検出部とを備えたレーザ吸収分光方式のガス分析計であるものが挙げられる。
【0020】
従来と比較して分解が生じやすく、分解の有無にかかわらず第2吸光度が測定される可能性のある半導体材料としては、前記半導体材料が、有機金属であるものが挙げられる。このようなものに対して本発明を用いれば、材料ガスの濃度変化と分解が生じているどうかとを切り分けて検出できるので特にその効果が顕著となる。
【0021】
例えば半導体プロセスにおいて、分解の有無を検出できるようにして測定されている材料ガスの濃度が信頼できる値かどうかを判定できるように濃度測定装置を構成するには、本発明の分解検出装置と、前記第1吸光度に基づいて、前記混合ガス中の前記材料ガスの濃度である前記第1濃度を算出する濃度算出部と、を備えた濃度測定装置であればよい。
【0022】
材料ガスに分解が生じている場合には念のため濃度制御を停止させる、あるいは、分解が生じている状態に応じた濃度制御へ変更できるようにするには、前記半導体材料が収容されるタンクと、前記タンク内にキャリアガスを導入する導入管と、前記タンクから前記材料ガスと前記キャリアガスを含む混合ガスを導出する導出管とを備えたバブリングシステムに用いられる濃度制御装置であって、前述した濃度測定装置と、前記導出管に設けられる調整バルブと、予め設定される目標濃度と、前記濃度測定装置で測定される材料ガスの測定濃度とに基づいて前記調整バルブを制御するバルブ制御部とを備えた濃度制御装置であればよい。
【0023】
既存の半導体プロセスに設けられているセンサ等を用いて材料ガスに分解が生じているかどうかを検出できる機能を付加するには、半導体材料が気化した材料ガスを含む混合ガスについて、前記半導体材料に対応する波長の吸光度である第1吸光度と、前記半導体材料が分解した際に生じる物質に対応する波長の吸光度である第2吸光度とを測定するNDIR方式又はレーザ吸収分光方式の吸光度測定機構を備えた装置に用いられるプログラムであって、前記第1吸光度と前記第2吸光度とに基づいて、前記半導体材料の分解を検出する分解検出部としての機能をコンピュータに実現させることを特徴とする分解検出装置用プログラムを用いればよい。なお、このプログラムはCD、DVD、フラッシュメモリ等の記憶媒体に記憶されているものでもよいし、インターネット等を介して電子的に配信されるものであっても構わない。
【発明の効果】
【0024】
このように本発明の分解検出装置は、2つの波長の吸光度を測定するだけで半導体材料の分解を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係るバブリングシステムに用いられる濃度制御装置を示す模式図。
図2】同実施形態における濃度制御装置の模式的機能ブロック図。
図3】同実施形態における吸光度測定機構の詳細を示す模式図。
図4】同実施形態における吸光度と分解との関係を説明するための模式的グラフ。
図5】同実施形態における濃度制御装置の動作を示すフローチャート。
図6】その他の実施形態における吸光度と分解との関係を説明するための模式的グラフ。
図7】その他の実施形態における吸光度測定機構の詳細を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の一実施形態に係る分解検出装置100、濃度測定装置200、及び、濃度制御装置300について図1乃至図5を参照しながら説明する。
【0027】
本実施形態の濃度制御装置300は、半導体製造プロセスに用いられるものであって、例えばMOCVD(有機金属気相成長法)によって半導体結晶が製造される真空チャンバに気化された半導体材料を所定の濃度で供給するものである。より具体的には、有機金属からなる半導体材料に対してキャリアガスを供給してバブリングし、半導体材料が気化された材料ガスとキャリアガスの混合ガスを真空チャンバへと供給するバブリングシステムBに対して前記濃度制御装置300は用いられる。
【0028】
図1に示すように前記バブリングシステムBは、半導体材料が収容されるタンクB1と、前記タンクB1に対してキャリアガスを供給する導入管B2と、前記タンクB1と真空チャンバとの間を接続するように設けられ、材料ガスとキャリアガスの混合ガスを前記タンクB1から外部へ導出し、真空チャンバへと供給する導出管B3と、を備えている。
【0029】
前記タンクB1は、本実施形態では液体の半導体材料が収容してあり、前記導入管B2は半導体材料の液面よりも低い位置に設置されるようにしてある。すなわち、キャリアガスによって半導体材料内が泡立つようにしてある。
【0030】
前記導入管B2は窒素や水素等のキャリアガスの供給源と接続してあるとともに、前記タンクB1内に供給されるキャリアガスの流量を一定に保つためのマスフローコントローラを備えている。
【0031】
前記導出管B3には、上流側から順番に圧力センサP、吸光度測定機構1、調整バルブ2が設けてあり、これらの機器と各機器の制御、演算を司る制御機構COMとで前記濃度制御装置300を構成している。なお、前記制御機構COMはCPU、メモリ、A/D・D/Aコンバータ、入出力手段等を備えたいわゆるコンピュータであって、メモリに格納されたプログラムが実行され、各機器が協業することにより少なくとも濃度算出部3、分解検出部4、バルブ制御部5としての機能を発揮するように構成してある。
【0032】
以下では、図2の機能ブロック図に基づき、前記濃度制御装置300の詳細について説明する。
【0033】
前記濃度制御装置300は、前記導出管B3を流れる混合ガス中の材料ガスの濃度を測定する濃度測定装置200と、前記濃度制御装置300で測定される測定濃度、及び、目標濃度に基づいて前記調整バルブ2の開度を制御するバルブ制御部5とを備えている。
【0034】
前記濃度測定装置200は、材料ガスを構成する半導体材料の分解を検出する分解検出装置100と、前記分解検出装置100の出力に基づき混合ガス中の材料ガスの濃度を算出する前記濃度算出部3とを備えている。
【0035】
より具体的には前記分解検出装置100は、前記吸光度測定機構1と、前記吸光度測定機構1で測定される吸光度に基づき、材料ガスの自己分解を検出する分解検出部4とを備えている。
【0036】
前記吸光度測定機構1は、2つの波長又は波長域における吸光度を測定するNDIR方式のガス分析計であり、波長ごとに吸光度の大きさに応じた信号を出力するように構成してある。本実施形態では、図3に示すように前記吸光度測定機構1は、測定セル1Aと、光源部1Bと、第1フィルタ1Cと、第2フィルタ1Dと、光検出部1Eとを備えたものである。
【0037】
前記測定セル1Aは、前記導出管B1上に設けられ混合ガスが通過する箱体である。このものは、前記光源部1Bから射出された光が導入される導入窓と、導入された光を前記光検出部1E側へ導出させる導出窓とを具備し、光の進行方向を長手方向として延びるように形成してある。
【0038】
前記光源部1Bは、所定の波長帯域幅を有する赤外光を前記測定セル1Aへ射出するランプであり、前記測定セル1Bの導入窓に対して離間させて設けてある。
【0039】
前記第1フィルタ1Cは、前記測定セルを通過した光のうち前記半導体材料が吸収する波長の光を通過させるものである。
【0040】
前記第2フィルタ1Dは、前記測定セルを通過した光のうち前記半導体材料が分解した際に生じる物質が吸収する波長の光を通過させるものである。
【0041】
前記光検出部1Eは、前記第1フィルタ1Cを通過した光の強度を検出する第1検出器11と、前記第2フィルタ1Dを通過した光の強度を検出する第2検出器12とを備えるものである。前記検出部1Eは第1検出器11と第2検出器12との出力に基づき、前記半導体材料が吸収する第1波長の吸光度である第1吸光度と、前記半導体材料が分解した際に生じる物質が吸収する第2波長の吸光度である第2吸光度を出力するように構成してある。
【0042】
より具体的には半導体材料として有機金属であるトリメチルガリウムを用いている場合で説明すると、前記吸光度測定機構1は、前記第1検出器11の出力に基づき、トリメチルガリウムの主の吸収波長である第1波長に対応する第1吸光度を測定するようにしてある。また、前記吸光度測定機構1は、前記第2検出器12の出力に基づきはトリメチルガリウムが自己分解した際に生じるメタンの吸収波長である第2波長に対応する第2吸光度を測定するようにしてある。
【0043】
トリメチルガリウムのような有機金属からなる半導体材料の吸収波長のピークは自己分解が生じていない場合でも図4(a)のスペクトルに示すように2つ存在することがある。これはトリメチルガリウムにおいてガリウムと接続されているメチル基が振動することで主の吸収波長とは別の副の吸収波長が発生するためである。また、メチル基とトリメチルガリウムの自己分解により生じるメタンは略同じ吸収波長を有している。
【0044】
図4(b)は半導体材料に自己分解が生じていない状態で材料ガスの濃度がある濃度から別の濃度へ変更された場合に測定される第1吸光度と第2吸光度の時系列データのグラフを示している。自己分解が生じていない場合には有機金属であるトリメチルガリウムの吸収波長に対応する第1吸光度と、メチル基等に腕の吸収波長に対応する第2吸光度とは図4(b)のグラフに示すように材料ガスの濃度によらず所定の比1:1/nが保たれる。すなわち、材料ガスの濃度が高濃度で一定に保たれている初期状態区間、材料ガスの濃度が高濃度から低濃度へ変化している変化区間、材料ガスの濃度が低濃度で一定に保たれている最終状態区間のいずれにおいても、第1吸光度と第2吸光度の比は各時刻において1:1/nで保たれている。
【0045】
これは、1つの有機金属に対してメチル基等の腕の数は固定されているからである。例えばトリメチルガリウムの場合には、ガリウム1つに対して3つのメチル基があるので、この関係が崩れない限り、第1吸光度と第2吸光度の比は一定の関係が保たれながら、材料ガスの濃度に応じて吸光度の値自体は変化することになる。
【0046】
図4(c)は材料ガスの濃度が一定に保たれている状態において途中で半導体材料に自己分解が生じた場合に測定される第1吸光度と第2吸光度の時系列データのグラフを示している。初期状態区間では半導体材料に自己分解が生じていないため、図4(b)と同様に第1吸光度と第2吸光度の比は1:1/nで保たれている。一方、半導体材料に自己分解が生じると半導体材料よりも第2波長を吸収しやすいメタンが生成されるため、第2吸光度の値が大きくなる。このとき材料ガスの濃度が一定に保たれるように濃度制御が行われていることや分解後の半導体材料の生成物であるガリウム化合物も第1波長に近い波長で光を吸収するため第1吸光度は自己分解が生じても略一定に保たれる。つまり、自己分解が生じている場合には第1吸光度と第2吸光度の増減傾向が一致せず、その結果、各時刻における第1吸光度と第2吸光度の比も変化することになる。
【0047】
このように半導体材料において自己分解が生じるとガリウム1つに対して3つのメチル基があるという関係が崩れるため、図4(c)に示されるように第1吸光度が一定に保たれていても、第2吸光度のみが変化することになる。この場合、第1吸光度と第2吸光度の比は1:1/mのように異なる比に変化する。
【0048】
図2に示す前記分解検出部4は、上述したような第1吸光度と第2吸光度の比に関する特性に基づき、材料ガスの濃度を変化させたのか、材料ガスにおいて半導体材料の自己分解が生じているのか検出するものである。より具体的には前記分解検出部4は、自己分解が生じていない状態で測定された第1吸光度と第2吸光度との比の値nと、現在の第1吸光度と第2吸光度の比の値を比較して自己分解が生じているかどうかを検出するように構成してある。本実施形態では、自己分解が生じていない状態で定めた第1吸光度と第2吸光度の比の値nを基準として定めた許容範囲内に現在の第1吸光度と第2吸光度の比の値が入っていない場合に自己分解が生じていると判定して検出するように前記分解検出部4は構成してある。もし、自己分解が生じている場合にはユーザに対して、バブリングシステムBや各種設定に問題が生じていないか確認するように注意喚起が前記分解検出部4により行われる。
【0049】
前記濃度算出部3は、ランバード・ベールの法則に基づき、測定された第1吸光度から混合ガス中の材料ガスの濃度を算出するものである。具体的には以下のような式に基づき、材料ガスの測定濃度は算出される。
【0050】
A(λ)=ε(λ)×C×Lここで、A(λ):波長λにおける吸光度、ε(λ):波長λにおける吸光係数、C:材料ガスの濃度、L:混合ガス中の光路長である。
【0051】
次に前記バルブ制御部5の詳細について説明する。
【0052】
前記バルブ制御部5は、混合ガス中の材料ガスの濃度が目標濃度で一定に保たれるように前記調整バルブ2の開度を制御するものである。ここで、前記調整バルブ2が制御できるのは材料ガスの濃度そのものではなく混合ガスの全圧のみである。また、材料ガスの濃度C、材料ガスの分圧P、混合ガスの全圧Pとの間には以下の式のような関係がある。
【0053】
=P/P
【0054】
この関係式と前記調整バルブ2は全圧Pを制御できることを利用して、前記バルブ制御部5は調整バルブ2の開度を制御して全圧Pを制御し、結果として材料ガスの濃度Cを制御するように構成してある。
【0055】
より具体的には前記バルブ制御部5は目標濃度に対して測定濃度が低い場合には、濃度を上昇させるために分母である全圧Pが小さくなるように前記調整バルブ2の開度を現状よりも大きくする。前記調整バルブ2の開度が大きくなると混合ガスが前記調整バルブ2を通過しやすくなるため、前記タンクB1及び前記導出管B3内の混合ガスの量が減少し、全圧Pは低下する。材料ガスの分圧Pは蒸気圧であるため略一定であるから全圧Pが低下すると材料ガスの濃度は上昇することは濃度式から明らかである。
【0056】
逆に前記バルブ制御部5は目標濃度に対して測定濃度が高い場合には、濃度を低下させるために分母であるPが大きくなるよう前記調整バルブ2の開度を現状よりも小さくする。
【0057】
このような動作を前記バルブ制御部5で実現するために、前記バルブ制御部5は、目標濃度、測定濃度、及び、測定全圧に基づき目標全圧を設定する目標全圧設定部51と、前記目標全圧設定部51で設定された目標全圧と、前記圧力センサPで測定される測定全圧の偏差が小さくなるように操作量である電圧印加量を算出する操作量算出部52と、前記操作量算出部52で算出された操作量に応じた分だけ前記調整バルブ2に印加される電圧を変更する電圧印加部53と、を備えている。
【0058】
次に本実施形態の濃度制御装置300の動作について図5のフローチャートを参照しながら説明する。ここで、バルブ制御部5を構成する各部の構成及び動作の詳細についても詳述する。
【0059】
まず、前記分解検出装置100において第1吸光度と第2吸光度の比の値が予め定められた閾値の範囲内にあるかどうかに基づき、材料ガスに自己分解が生じていないかどうかの判定が行われる(ステップS1)。
【0060】
前記分解検出装置100において材料ガスの自己分解が検出された場合には、バブリングシステムBの異常、又は、タンクB1内の設定温度等の設定値に誤りがないか確認するようにユーザに通知が行われる(ステップS2)。そしてユーザにより確認が行われた後に濃度制御開始の指令が入力されるまで、前記濃度制御装置300は濃度制御に関する動作を停止している。
【0061】
前記分解検出装置100において材料ガスの自己分解が検出されていない場合には、濃度制御のためのルーチンが繰り返される。
【0062】
より具体的には前記濃度測定装置200は前記吸光度測定機構1で測定される第1吸光度から混合ガス中の材料ガスの濃度Cを算出する(ステップS3)。
【0063】
次に前記目標全圧設定部51は、下記の式に基づき目標全圧を算出し、前記操作量算出部52に算出された目標全圧を設定する(ステップS4)。
【0064】
tr=P×(C/C
【0065】
ここで、Ptr:目標全圧、P:前記圧力センサPで測定される測定全圧、C:前記濃度算出部3で算出される測定濃度、C:目標濃度である。
【0066】
さらに前記操作量算出部52は、目標全圧と前記圧力センサPで測定される測定全圧Pの偏差に対してフィードバック演算を行い、前記調整バルブ2の印加電圧に対する操作量を算出する(ステップS5)。前記電圧印加部53は算出された操作量に応じて現状から印加電圧を相対的に変化させ、前記調整バルブ2の開度を変化させる。
【0067】
また、前記目標全圧設定部51は、所定制御サイクルごとに目標濃度と測定濃度が一致しているかどうかを判定し、一致している場合には現状の制御を維持し、一致していない場合にはステップS3〜S5の動作が繰り返されて、開度の再調整が行われる(ステップS6)。
【0068】
このように構成された前記濃度制御装置300及び前記分解検出装置100によれば、第1吸光度と第2吸光度の比に基づいて前記分解検出部4が材料ガスに自己分解が生じているかどうかを検出するように構成されているので、有機金属のように自己分解の有無にかかわらず第2吸光度が測定されるような半導体材料であっても材料ガスの濃度の変化と自己分解を切りわけて自己分解のみを検出することができる。
【0069】
したがって、材料ガスにおいて半導体材料の自己分解が生じており、濃度測定又は制御に何らかの不具合が生じる虞がある場合には、ユーザにその旨を通知し、対策を行ってもらうことができるようになる。このため、真空チャンバに供給される混合ガス中の材料ガスの濃度を有機金属等の自己分解しやすい半導体材料であっても正確な濃度供給することを保証でき、信頼性を向上させることができる。
【0070】
また、自己分解の有無を2つの波長における吸光度を測定するだけで検出できるので、例えばFTIRのような大型で効果な測定器を用いる必要がない。また、濃度測定装置200や濃度制御装置300であれば、材料ガスの濃度を測定するために少なくとも1波長の吸光度を測定できるように構成されているので、さらにもう1波長測定できるように追加するだけで本実施形態の分解検出装置100をバブリングシステムBに追加することができる。
【0071】
また、前記吸光度測定機構1の光源部1B及び光検出部1Eは前記導出管B3及び前記測定セル1Aに非接触で設けることができるので、材料ガスの凝縮を防ぐために前記導出管B3を加熱している場合でもその熱の影響が前記吸光度測定機構1に現れないようにできる。したがって、熱の影響により材料ガスの自己分解を誤検出することなども好適に防ぐことができる。
【0072】
その他の実施形態について説明する。
【0073】
半導体材料は有機金属に限られるものではなく、その他の半導体材料であっても構わない。要するに半導体製造工程において気化されて用いられる半導体材料であって、分解が生じえるものであれば本発明を適用することができる。また、半導体材料は液体のものに限られず、固体のものであってもよい。
【0074】
前記実施形態では、第1吸光度と第2吸光度の比に基づいて前記分解検出部は材料ガスの分解の有無を検出していたが、前記第1吸光度から算出される第1濃度と第2吸光度から算出される第2濃度の比に基づいて前記分解検出部が分解の有無を検出するように構成しても構わない。また、前記分解検出部は比の値を用いるのではなく、比そのものを比較して分解の有無を検出するように構成してもよい。さらに、半導体材料の吸収波長は1つであってもよく、分解後に生じる物質の吸収波長と重なっていなくてもよい。すなわち、第1吸光度と第2吸光度との比を考えた場合に、分解が生じておらず、第2吸光度がゼロとなっているような場合も比として定義してもよい。
【0075】
以下では図6に示す第1吸光度と第2吸光度の時系列データのグラフを参照しながら前記分解検出部による前記実施形態とは別の半導体材料の分解検出についてより詳細に説明する。図6(a)及び図6(b)は半導体材料と自己分解の結果生じる物質の光の吸収波長が一致していない場合の吸光度のグラフを示すものである。図6(a)は、材料ガスの濃度が高濃度の状態から低濃度の状態へと濃度制御されている状態であり、かつ、自己分解が生じていない場合の第1吸光度と第2吸光度の変化を示す。
【0076】
図6(a)に示すように分解が生じていない状態では、第2波長を吸収する物質が存在しないため第2吸光度は前記吸光度測定機構において測定されない。したがって、第1吸光度のみが材料ガスの濃度に応じて変化する。例えば、材料ガスの濃度が一定に保たれている区間においては、第1吸光度と第2吸光度の比は1:0で保たれているので前記分解検出部は、半導体材料の分解は生じていないと判定する。
【0077】
図6(b)は、材料ガスの濃度が常に一定に保たれている状態の途中で半導体材料の分解が生じた場合を示す。半導体材料の分解が発生すると、第1吸光度は保たれる一方、新たに生成された第2波長を吸収する物質の寄与により第2吸光度は分解が進むにつれて大きくなる。このように第1吸光度の増減傾向と第2吸光度の増減傾向は異なっており、第1吸光度の第2吸光度の比も変化するので前記分解検出部は、第1吸光度と第2吸光度に基づいて分解を検出できる。
【0078】
また、上述したのとはまた別の半導体材料を気化させて材料ガスの濃度が一定となるように濃度制御を行っている状態で、半導体材料に分解が生じた場合の第1吸光度と第2吸光度の変化を図6(c)、(d)に示す。なお、図6(c)、(d)では第2吸光度が増加している中央区間においてのみ半導体材料の分解が生じている。
【0079】
半導体材料によっては図4(c)、図6(b)に示されるように分解が生じている間に材料ガスの濃度を一定に保つ濃度制御を行っていても第1吸光度も低下する場合もある。このような場合でも、分解が生じると第1吸光度と第2吸光度の比、差、増減傾向は半導体材料の分解が生じる前と比較して変化していることが図6(c)、(d)から分かる。したがって、前記分解検出部は、第1吸光度と第2吸光度を比較することにより半導体材料の分解を検出することができる。
【0080】
前記分解検出部は第1吸光度と第2吸光度の比を比較して半導体材料の分解を検出しているものに限られず、第1吸光度と第2吸光度とに基づいて半導体材料の分解を検出するものであればよい。
【0081】
例えば、前記分解検出部が、前記半導体材料に分解が生じていない状態で測定された前記第1吸光度と前記第2吸光度の差と、現在の第1吸光度と第2吸光度の差との比較結果に基づいて前記半導体材料の分解を検出するように構成されていてもよい。このように第1吸光度と第2吸光度の差を比較するものであっても、図4及び図6の例から分かるように分解時にはその差が大きく変化するため分解を検出することができる。
【0082】
また、前記分解検出部が、同時刻における前記第1吸光度の増減傾向と前記第2吸光度の増減傾向が異なっている場合に前記半導体材料に分解を検出するように構成されていてもよい。例えば、第1吸光度の時系列データと第2吸光度の時系列データのそれぞれについて微分を取り、それぞれの符号が不一致であり増加傾向が異なっている場合には分解が生じていると判定するように前記分解検出部を構成すればよい。このようなものであっても、例えば図4(c)の例から分かるように分解が発生した場合には、第1吸光度の増減なしであるのに対して、第2吸光度は増加傾向にあり、増減傾向に不一致であることから分解が生じていることを検出できる。
【0083】
前記吸光度測定機構についてはNDIR方式のものに限られず、例えばレーザ吸収分光方式のものであっても構わない。より具体的には、図7に示すように前記吸光度測定機構1が、混合ガスが通過する測定セル1Aと、前記半導体材料が吸収する波長のレーザ光と、前記半導体材料が分解した際に生じる物質が吸収する波長のレーザ光とを前記測定セルへ射出する光源部1Bと、前記測定セル1Aを通過した光を検出する光検出部1Eとを備えたレーザ吸収分光方式のガス分析計であっても構わない。前記光源部1Bについては複数のレーザ光源を用意してもよいし、1つのレーザ光源で複数の波長のレーザ光を射出できるものを用いてもよい。
【0084】
同様に、NDIR方式の吸光度測定機構であったとしても複数の光源を用いて第1吸光度と第2吸光度を測定するようにしても構わない。なお、半導体材料によっては3つ以上の吸光度を測定するようにして、分解を検出するようにしても構わない。
【0085】
前記濃度制御装置は、目標濃度と測定濃度の偏差に基づいて前記調整バルブの開度を制御するように構成しても構わない。
【0086】
前記実施形態における濃度測定装置、分解検出装置はバブリングシステム用に限定されるものではなく、様々な用途に用いることができる。すなわち、半導体材料が気化した材料ガスを少なくとも含む混合ガスにおいて材料ガスに分解が生じているかどうかを前記分解検出装置で検出してもよい。
【0087】
材料ガスの分解とは、自己分解に限られず、様々な態様の分解を含んでもよい。例えば半導体材料としてフッ化タングステンを用いている場合には、水と反応してフッ化水素が生成される分解反応があるが、このような分解を本発明の分解検出装置で検出するようにしても構わない。
【0088】
前記吸光度測定機構については、NDIRに限られるものではなく、2つの波長の吸光度を測定できる測定器であればよい。予算やスペースが許されるならばFTIRを用いても構わない。
【0089】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0090】
300・・・濃度制御装置
200・・・濃度測定装置
100・・・分解検出装置
1 ・・・吸光度測定機構
2 ・・・調整バルブ
P ・・・圧力センサ
COM・・・制御機構
3 ・・・濃度算出部
4 ・・・分解検出部
5 ・・・バルブ制御部
51 ・・・目標全圧設定部
52 ・・・操作量算出部
53 ・・・電圧印加部
B ・・・バブリングシステム
B1 ・・・タンク
B2 ・・・導入管
B3 ・・・導出管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7