特許第6436780号(P6436780)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6436780
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】感エネルギー性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/038 20060101AFI20181203BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20181203BHJP
   C08L 79/08 20060101ALI20181203BHJP
   C08K 5/3445 20060101ALI20181203BHJP
   C08K 5/33 20060101ALI20181203BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20181203BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20181203BHJP
   C08J 5/18 20060101ALN20181203BHJP
   C07C 323/47 20060101ALN20181203BHJP
【FI】
   G03F7/038 504
   G03F7/004 503Z
   C08L79/08 A
   C08K5/3445
   C08K5/33
   C08G73/10
   C09K3/00 K
   !C08J5/18CFG
   !C07C323/47
【請求項の数】11
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2014-554492(P2014-554492)
(86)(22)【出願日】2013年12月25日
(86)【国際出願番号】JP2013084649
(87)【国際公開番号】WO2014104090
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2016年9月12日
(31)【優先権主張番号】特願2012-288708(P2012-288708)
(32)【優先日】2012年12月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】野田 国宏
(72)【発明者】
【氏名】千坂 博樹
(72)【発明者】
【氏名】塩田 大
(72)【発明者】
【氏名】染谷 和也
【審査官】 倉本 勝利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−185211(JP,A)
【文献】 特開2013−080206(JP,A)
【文献】 特開2010−106233(JP,A)
【文献】 特開2007−249013(JP,A)
【文献】 特開2007−056196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F7/004−7/06;7/075−7/115;
7/16−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラカルボン酸二無水物及びジアミンを反応させて得られるポリアミック酸と、溶剤と、光及び熱の少なくとも一方の作用により分解して塩基及び酸の少なくとも一方を発生する化合物(A)とを含有する感エネルギー性樹脂組成物であって、
前記化合物(A)は、光及び熱の少なくとも一方の作用により分解してイミダゾール化合物を発生する化合物(A−1)、及び、オキシムエステル化合物(A−2)の少なくとも1種を含み、
前記化合物(A)は、120〜180℃で分解して塩基を発生する化合物であり、
前記感エネルギー性樹脂組成物中、光及び熱の少なくとも一方の作用により現像液に対して不溶となる成分はポリアミック酸のみからなる感エネルギー性樹脂組成物。
【請求項2】
テトラカルボン酸二無水物及びジアミンを反応させて得られるポリアミック酸と、溶剤と、光及び熱の少なくとも一方の作用により分解して塩基及び酸の少なくとも一方を発生する化合物(A)とを含有する感エネルギー性樹脂組成物であって、
前記化合物(A)は、光及び熱の少なくとも一方の作用により分解してイミダゾール化合物を発生する化合物(A−1)、及び、オキシムエステル化合物(A−2)の少なくとも1種を含み、
前記化合物(A)は、120〜180℃で分解して塩基を発生する化合物である感エネルギー性樹脂組成物(但し、前記ポリアミック酸と、前記溶剤と、前記オキシムエステル化合物(A−2)と、重量平均分子量1000未満の一〜三官能(メタ)アクリレート化合物とを含むネガ型感光性樹脂組成物を除く。)
【請求項3】
テトラカルボン酸二無水物及びジアミンを反応させて得られるポリアミック酸と、溶剤と、光及び熱の少なくとも一方の作用により分解して塩基及び酸の少なくとも一方を発生する化合物(A)とを含有する感エネルギー性樹脂組成物であって、
前記化合物(A)は、光及び熱の少なくとも一方の作用により分解してイミダゾール化合物を発生する化合物(A−1)、及び、オキシムエステル化合物(A−2)の少なくとも1種を含み、
前記オキシムエステル化合物(A−2)は、下記式(11)で表される化合物であり、
前記感エネルギー性樹脂組成物中、光及び熱の少なくとも一方の作用により現像液に対して不溶となる成分はポリアミック酸のみからなる感エネルギー性樹脂組成物。
【化1】
(式(11)中、R13は、炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基を示す。pは、0又は1である。R14は、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。R15は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。)
【請求項4】
テトラカルボン酸二無水物及びジアミンを反応させて得られるポリアミック酸と、溶剤と、光及び熱の少なくとも一方の作用により分解して塩基及び酸の少なくとも一方を発生する化合物(A)とを含有する感エネルギー性樹脂組成物であって、
前記化合物(A)は、光及び熱の少なくとも一方の作用により分解してイミダゾール化合物を発生する化合物(A−1)、及び、オキシムエステル化合物(A−2)の少なくとも1種を含み、
前記オキシムエステル化合物(A−2)は、下記式(11)で表される化合物である感エネルギー性樹脂組成物(但し、前記ポリアミック酸と、前記溶剤と、前記オキシムエステル化合物(A−2)と、重量平均分子量1000未満の一〜三官能(メタ)アクリレート化合物とを含むネガ型感光性樹脂組成物を除く。)
【化2】
(式(11)中、R13は、炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基を示す。pは、0又は1である。R14は、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。R15は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。)
【請求項5】
前記化合物(A)は、120〜180℃で分解して塩基を発生する化合物である請求項3又は4記載の感エネルギー性樹脂組成物。
【請求項6】
前記化合物(A−1)は、下記式(3)で表されるイミダゾール化合物を発生する化合物である請求項1からのいずれか1項記載の感エネルギー性樹脂組成物。
【化3】
(式中、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基を示す。)
【請求項7】
前記化合物(A−1)は、下記式(4)で表される化合物又は下記式(6)で表される化合物である請求項1からのいずれか1項記載の感エネルギー性樹脂組成物。
【化4】
(式中、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、ホスフィノ基、スルホナト基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基を示す。R及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基を示す。R、R、R、R、及びR10は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基を示す。R、R、R、R、及びR10は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。)
【化5】
(式(6)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、ホスフィノ基、スルホナト基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基を示す。R12は、置換されていてもよい炭化水素基を示す。)
【請求項8】
前記式(4)中、R及びRが水酸基となることはない、請求項記載の感エネルギー性樹脂組成物。
【請求項9】
前記化合物(A)は、少なくとも光の作用により分解して塩基及び酸の少なくとも一方を発生する化合物である請求項1からのいずれか1項記載の感エネルギー性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1からのいずれか1項記載の感エネルギー性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体を形成する形成工程と、
前記塗膜又は成形体を露光又は加熱することにより前記塗膜又は成形体中の化合物(A)を分解する分解工程とを含むポリイミド膜又はポリイミド成形体の製造方法。
【請求項11】
請求項記載の感エネルギー性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体を形成する形成工程と、
前記塗膜又は成形体を選択的に露光する露光工程と、
露光後の前記塗膜又は成形体を現像する現像工程と、
現像後の前記塗膜又は成形体を加熱する加熱工程とを含むパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミック酸を含有する感エネルギー性樹脂組成物、上記感エネルギー性樹脂組成物を用いるポリイミド膜又はポリイミド成形体の製造方法、及び上記感エネルギー性樹脂組成物を用いるパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミド樹脂は、優れた耐熱性、機械的強度、及び絶縁性や、低誘電率等の特性を有するため、種々の素子や、多層配線基板等の電子基板のような電気・電子部品において、絶縁材や保護材として広く使用されている。また、精密な電気・電子部品において、微小な個所を選択的に絶縁又は保護するためには、所望の形状にパターニングされたポリイミド樹脂が用いられている。
【0003】
一般に、ポリイミド樹脂は、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを極性有機溶剤中で重合させて得られるポリアミック酸を、300℃程度の高温で熱処理して形成される。そのため、電子材料用のポリイミド製品は、ポリアミック酸のようなポリイミド前駆体の溶液として供給されることが多い。電気・電子部品を製造する際には、ポリイミド前駆体の溶液が、絶縁材や保護材を形成する個所に、塗布や注入等の方法により供給された後、ポリイミド前駆体の溶液を300℃程度の高温で熱処理して、絶縁材や保護材が形成されている。
【0004】
ポリイミド前駆体からポリイミド樹脂からなる絶縁材や保護材を形成する従来の方法は、高温での熱処理が必要であるため、熱に弱い材料に適用できない問題がある。そこで、例えば、200℃前後の低温での処理でポリイミド樹脂を形成可能なポリイミド前駆体組成物が開発されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−19113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、低温でポリイミド樹脂を形成した場合、得られるポリイミド樹脂の耐熱性が損なわれたり、誘電率が高くなったりする問題がある。
【0007】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、低温での熱処理でも、耐熱性に優れ、誘電率の低いポリイミド樹脂を与える感エネルギー性樹脂組成物、上記感エネルギー性樹脂組成物を用いるポリイミド膜又はポリイミド成形体の製造方法、及び上記感エネルギー性樹脂組成物を用いるパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、ポリアミック酸を含有する組成物に対して、光及び熱の少なくとも一方の作用により分解して塩基及び酸の少なくとも一方を発生する化合物を添加することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0009】
本発明の第一の態様は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンを反応させて得られるポリアミック酸と、溶剤と、光及び熱の少なくとも一方の作用により分解して塩基及び酸の少なくとも一方を発生する化合物(A)とを含有する感エネルギー性樹脂組成物である。
【0010】
本発明の第二の態様は、上記感エネルギー性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体を形成する形成工程と、上記塗膜又は成形体を露光又は加熱することにより上記塗膜又は成形体中の化合物(A)を分解する分解工程とを含むポリイミド膜又はポリイミド成形体の製造方法である。
【0011】
本発明の第三の態様は、上記化合物(A)が少なくとも光の作用により分解して塩基及び酸の少なくとも一方を発生する化合物である場合において、上記感エネルギー性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体を形成する形成工程と、上記塗膜又は成形体を選択的に露光する露光工程と、露光後の上記塗膜又は成形体を現像する現像工程と、現像後の上記塗膜又は成形体を加熱する加熱工程とを含むパターン形成方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、低温での熱処理でも、耐熱性に優れ、誘電率の低いポリイミド樹脂を与える感エネルギー性樹脂組成物、上記感エネルギー性樹脂組成物を用いるポリイミド膜又はポリイミド成形体の製造方法、及び上記感エネルギー性樹脂組成物を用いるパターン形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
≪感エネルギー性樹脂組成物≫
本発明に係る感エネルギー性樹脂組成物は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンを反応させて得られるポリアミック酸、溶剤、並びに光及び熱の少なくとも一方の作用により分解して塩基及び酸の少なくとも一方を発生する化合物(A)を少なくとも含有する。
【0014】
<ポリアミック酸>
本発明において、ポリアミック酸は、特に限定されず、従来からポリイミド樹脂の前駆体として知られているポリアミック酸から適宜選択される。ポリアミック酸は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0015】
好適なポリアミック酸としては、例えば、下記式(1)で表されるポリアミック酸が挙げられる。
【化1】
(式中、R1Aは4価の有機基であり、R2Aは2価の有機基であり、nは括弧内に示される構成単位の繰り返し数である。)
【0016】
式(1)中、R1Aは4価の有機基であり、R2Aは2価の有機基であり、これら有機基の炭素数は2〜50が好ましく、2〜30がより好ましい。R1A及びR2Aは、それぞれ、脂肪族基であっても、芳香族基であっても、これらの構造を組合せた基であってもよい。R1A及びR2Aは、炭素原子、及び水素原子の他に、ハロゲン原子、酸素原子、及び硫黄原子を含んでいてもよい。R1A及びR2Aが酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を含む場合、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子は、含窒素複素環基、−CONH−、−NH−、−N=N−、−CH=N−、−COO−、−O−、−CO−、−SO−、−SO−、−S−、及び−S−S−から選択される基として、R1A及びR2Aに含まれてもよく、−O−、−CO−、−SO−、−SO−、−S−、及び−S−S−から選択される基として、R1A及びR2Aに含まれるのがより好ましい。
【0017】
上記式(1)で表されるポリアミック酸を加熱や触媒によって閉環させることにより、下記式(2)で表されるポリイミド樹脂が得られる。
【化2】
(式中、R1A及びR2Aは式(1)と同義であり、nは括弧内に示される構成単位の繰り返し数である。)
【0018】
上記式(1)で表されるポリアミック酸は、溶剤中で、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミンとを反応させることにより得られる。ポリアミック酸の合成原料となるテトラカルボン酸二無水物、及びジアミンは、酸無水物基とアミノ基との反応によりポリアミック酸を形成可能なものであれば特に限定されない。
【0019】
ポリアミック酸を合成する際の、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの使用量は特に限定されないが、テトラカルボン酸二無水物1モルに対して、ジアミンを0.50〜1.50モル用いるのが好ましく、0.60〜1.30モル用いるのがより好ましく、0.70〜1.20モル用いるのが特に好ましい。
【0020】
テトラカルボン酸二無水物は、従来からポリアミック酸の合成原料として使用されているテトラカルボン酸二無水物から適宜選択することができる。テトラカルボン酸二無水物は、芳香族テトラカルボン酸二無水物であっても、脂肪族テトラカルボン酸二無水物であってもよいが、得られるポリイミド樹脂の耐熱性の点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。テトラカルボン酸二無水物は、2種以上を組合せて用いてもよい。
【0021】
芳香族テトラカルボン酸二無水物の好適な具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、及び3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの中では、価格、入手容易性等から、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、及びピロメリット酸二無水物が好ましい。
【0022】
なお、ポリアミック酸を合成する際に、テトラカルボン酸二無水物とジカルボン酸無水物とを併用してもよい。これらのカルボン酸無水物を併用すると、得られるポリイミド樹脂の特性が更に良好となる場合がある。ジカルボン酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0023】
ジアミンは、従来からポリアミック酸の合成原料として使用されているジアミンから適宜選択することができる。ジアミンは、芳香族ジアミンであっても、脂肪族ジアミンであってもよいが、得られるポリイミド樹脂の耐熱性の点から、芳香族ジアミンが好ましい。ジアミンは、2種以上を組合せて用いてもよい。
【0024】
芳香族ジアミンの好適な具体例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、及び4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエタン−1,1−ジイル)]ジアニリン等が挙げられる。これらの中では、価格、入手容易性等から、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。
【0025】
テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応は、通常、有機溶剤中で行われる。テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応に使用される有機溶剤は、テトラカルボン酸及びジアミンを溶解させることができ、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンと反応しないものであれば特に限定されない。有機溶剤は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0026】
テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応に用いる有機溶剤の例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、及びN,N,N’,N’−テトラメチルウレア等の含窒素極性溶剤;β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、及びε−カプロラクトン等のラクトン系極性溶剤;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;乳酸エチル、及び乳酸ブチル等の脂肪酸エステル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルセルソルブアセテート、及びエチルセルソルブアセテート等のエーテル類が挙げられる。
【0027】
これらの有機溶剤の中では、生成するポリアミック酸やポリイミド樹脂の溶解性から、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、及びN,N,N’,N’−テトラメチルウレア等の含窒素極性溶剤が好ましい。
【0028】
<溶剤>
本発明に係る感エネルギー性樹脂組成物は、塗布性の点で溶剤を含有し、固体を含むペーストであってもよく、溶液であってもよく、溶液であるのが好ましい。溶剤は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。溶剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で、特に限定されない。好適な溶剤の例は、前述のテトラカルボン酸二無水物と、ジアミンとの反応に使用される溶剤の例と同様である。溶剤は、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、及びジプロピレングリコール等のアルコール系溶剤を含んでいてもよい。溶剤が、アルコール系溶剤を含む場合、耐熱性に優れるパターンを形成しやすい。
【0029】
感エネルギー性樹脂組成物中の溶剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。感エネルギー性樹脂組成物中の溶剤の含有量は、感エネルギー性樹脂組成物中の固形分含有量に応じて適宜調整される。感エネルギー性樹脂組成物中の固形分含有量は、5〜50質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。
【0030】
<光及び熱の少なくとも一方の作用により分解して塩基及び酸の少なくとも一方を発生する化合物(A)>
本発明に係る感エネルギー性樹脂組成物は、光及び熱の少なくとも一方の作用により分解して塩基及び酸の少なくとも一方を発生する化合物(A)を含有する。化合物(A)は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0031】
本発明に係る感エネルギー性樹脂組成物を露光又は加熱することにより、上記感エネルギー性樹脂組成物中の化合物(A)は分解して、塩基及び酸の少なくとも一方を発生する。このようにして発生した塩基又は酸は、イミド化触媒として作用して、上記感エネルギー性樹脂組成物中のポリアミック酸の閉環を促進する。本発明に係る感エネルギー性樹脂組成物は、化合物(A)を含有することにより、低温での熱処理でも、耐熱性に優れ、誘電率の低いポリイミド樹脂を与えることができる。
【0032】
化合物(A)は、120〜180℃で分解して塩基を発生する化合物であることが好ましい。このような化合物(A)は、その分解温度以上の加熱温度であれば、例えば、220℃以下の低い加熱温度であっても、加熱により分解して塩基を発生することができる。よって、このような化合物(A)を含有する感エネルギー性樹脂組成物を化合物(A)の分解温度以上に加熱すれば、220℃以下の低温であっても、化合物(A)の分解により発生した塩基により、上記感エネルギー性樹脂組成物中のポリアミック酸の閉環が促進されるとともに、加熱そのものによってもポリアミック酸の閉環が進行し、ポリイミド樹脂が形成される。上記の加熱によって化合物(A)は十分に分解されるため、形成されたポリイミド樹脂においては、化合物(A)の残存量が低く抑えられている。よって、上記ポリイミド樹脂は、例えば、300℃以上の高温に加熱しても、化合物(A)の分解に起因する重量の減少が抑えられており、耐熱性に優れる。
【0033】
また、化合物(A)は、少なくとも光の作用により分解して塩基及び酸の少なくとも一方を発生する化合物であることが好ましい。このような化合物(A)を含有する感エネルギー性樹脂組成物を露光すると、露光部において化合物(A)が分解して塩基及び酸の少なくとも一方を発生する。このようにして発生した塩基又は酸により、上記感エネルギー性樹脂組成物中のポリアミック酸の閉環が促進され、露光部は現像液に対して不溶となる。一方、未露光部は、現像液に対して可溶であるため、現像液に溶解させて除去することができる。よって、上記感エネルギー性樹脂組成物を選択的に露光することにより、所望のパターンを形成することができる。
【0034】
化合物(A)としては、例えば、光及び熱の少なくとも一方の作用により分解してイミダゾール化合物を発生する化合物(A−1)や、オキシムエステル化合物(A−2)が挙げられる。以下、化合物(A−1)及び(A−2)について説明する。
【0035】
[光及び熱の少なくとも一方の作用により分解してイミダゾール化合物を発生する化合物(A−1)]
化合物(A−1)が発生するイミダゾール化合物は、塩基性のイミド化触媒として、本発明に係る感エネルギー性樹脂組成物中のポリアミック酸の閉環を促進する。化合物(A−1)が発生するイミダゾール化合物は、イミダゾールであっても、イミダゾール中の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換基で置換された化合物であってもよく、下記式(3)で表されるイミダゾール化合物であることが好ましい。
【化3】
(式中、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基を示す。)
【0036】
、R、又はRにより示される有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。この有機基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。この有機基は、通常は1価であるが、環状構造を形成する場合等には、2価以上となり得る。
【0037】
及びRは、それらが結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。環状構造としては、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられ、縮合環であってもよい。
【0038】
、R、又はRにより示される有機基がヘテロ原子を含む場合、そのヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、珪素原子が挙げられる。ヘテロ原子を含む結合の具体例としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−又は−C(=NR)−(ただし、Rは水素原子又は有機基を示す)。以下、同じ)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。中でも、イミダゾール化合物の耐熱性の観点から、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
【0039】
、R、又はRにより示される、有機基以外の基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。この炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。
【0040】
、R、及びRとしては、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、及びハロゲン原子が好ましく、水素原子がより好ましい。R、R、及びRがいずれも水素原子であるイミダゾールは、立体的な障害の少ない単純な構造であるため、イミド化触媒としてポリアミック酸に容易に作用することができる。
【0041】
化合物(A−1)は、光及び熱の少なくとも一方の作用により分解してイミダゾール化合物、好ましくは上記式(3)で表されるイミダゾール化合物を発生させることができる化合物であれば特に限定されない。従来から感光性組成物に配合されている、光の作用によりアミンを発生する化合物について、露光時に発生するアミンに由来する骨格を、イミダゾール化合物、好ましくは上記式(3)で表されるイミダゾール化合物に由来する骨格に置換することにより、化合物(A−1)として使用される化合物が得られる。
【0042】
好適な化合物(A−1)としては、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
【化4】
(式中、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、ホスフィノ基、スルホナト基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基を示す。R及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基を示す。R、R、R、R、及びR10は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基を示す。R、R、R、R、及びR10は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。)
【0043】
式(4)において、R、R、及びRは、式(3)について説明したものと同様である。
【0044】
式(4)において、R又はRにより示される有機基としては、R、R、及びRについて例示したものが挙げられる。この有機基は、R、R、及びRの場合と同様に、ヘテロ原子を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
【0045】
及びRとしては、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜13のシクロアルキル基、炭素数4〜13のシクロアルケニル基、炭素数7〜16のアリールオキシアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、シアノ基を有する炭素数2〜11のアルキル基、水酸基を有する炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜11のアミド基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数2〜11のエステル基(−COOR又は−OCOR(ただし、Rは炭化水素基を示す。))、炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、メチルチオ基であることが好ましい。より好ましくは、R及びRの両方が水素原子であるか、又はRがメチル基であり、Rが水素原子である。
【0046】
式(4)において、R、R、R、R、又はR10により示される有機基としては、R、R、及びRにおいて例示したものが挙げられる。この有機基は、R及びRの場合と同様に、ヘテロ原子を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
【0047】
、R、R、R、及びR10は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。環状構造としては、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられ、縮合環であってもよい。例えば、R、R、R、R、及びR10は、それらの2つ以上が結合して、R、R、R、R、及びR10が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成してもよい。
【0048】
、R、R、R、及びR10としては、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜13のシクロアルキル基、炭素数4〜13のシクロアルケニル基、炭素数7〜16のアリールオキシアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、シアノ基を有する炭素数2〜11のアルキル基、水酸基を有する炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜11のアミド基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数2〜11のエステル基、炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、メチルチオ基、ニトロ基であることが好ましい。
【0049】
また、R、R、R、R、及びR10としては、それらの2つ以上が結合して、R、R、R、R、及びR10が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成している場合も、吸収波長が長波長化する点から好ましい。
【0050】
上記式(4)で表される化合物の中では、下記式(5)で表される化合物が好ましい。
【化5】
(式中、R、R、及びRは、式(3)及び(4)と同義である。R〜Rは式(4)と同義である。R11は、水素原子又は有機基を示す。R及びRが水酸基となることはない。R、R、R、及びRは、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。)
【0051】
式(5)で表される化合物は、置換基−O−R11を有するため、有機溶剤に対する溶解性に優れる。
【0052】
式(5)において、R11が有機基である場合、その有機基としては、R、R、及びRにおいて例示したものが挙げられる。この有機基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。R11としては、水素原子、又は炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0053】
好適な化合物(A−1)としては、下記式(6)で表される化合物も挙げられる。
【化6】
(式中、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、ホスフィノ基、スルホナト基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基を示す。R12は、置換されていてもよい炭化水素基を示す。)
【0054】
式(6)において、R、R、及びRは、式(3)について説明したものと同様である。
【0055】
式(6)において、R12としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられ、置換されていてもよい炭素数7〜20のアラルキル基が好ましい。上記アリール基又はアラルキル基が置換されている場合、置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。
【0056】
式(6)で表される化合物は、式(3)で表されるイミダゾール化合物と下記式(7)で表されるクロロギ酸エステルとの反応、式(3)で表されるイミダゾール化合物と下記式(8)で表されるジカーボネートとの反応、又は下記式(9)で表されるカルボニルジイミダゾール化合物と下記式(10)で表されるアルコールとの反応により合成することができる。
【化7】
(式(7)〜(10)中、R、R、及びRは、式(3)と同義である。R12は式(6)と同義である。)
【0057】
化合物(A−1)として特に好適な化合物の具体例を以下に示す。
【化8】
【0058】
[オキシムエステル化合物(A−2)]
オキシムエステル化合物(A−2)は、光及び熱の少なくとも一方の作用により分解して塩基及び酸の少なくとも一方を発生する。化合物(A−2)が分解して発生した塩基又は酸により、本発明に係る感エネルギー性樹脂組成物中のポリアミック酸の閉環が促進される。
【0059】
好適な化合物(A−2)としては、下記式(11)で表される化合物が挙げられる。
【化9】
【0060】
上記式(11)中、R13は、炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基を示す。pは、0又は1である。R14は、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。R15は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
【0061】
13が炭素数1〜10のアルキル基である場合、アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。この場合、アルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましい。
【0062】
13が、置換基を有してもよいフェニル基である場合、置換基の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。フェニル基が有していてもよい置換基の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。R13が、置換基を有してもよいフェニル基であり、フェニル基が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0063】
フェニル基が有する置換基がアルキル基である場合、その炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が更に好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。また、アルキル基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。フェニル基が有する置換基がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。この場合、フェニル基が有する置換基としては、例えば、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基が挙げられる。フェニル基が有する置換基がアルコキシアルキル基である場合、−R16−O−R17で表される基が好ましい。R16は、炭素数1〜10の直鎖でも分岐鎖であってもよいアルキレン基である。R17は、炭素数1〜10の直鎖でも分岐鎖であってもよいアルキル基である。R16の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。R17の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0064】
フェニル基が有する置換基がアルコキシ基である場合、その炭素数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、アルコキシ基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。フェニル基が有する置換基がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチオキシル基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、2−メトキシ−1−メチルエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0065】
フェニル基が有する置換基がシクロアルキル基、又はシクロアルコキシ基である場合、その炭素数は、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。フェニル基が有する置換基がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。フェニル基が有する置換基がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0066】
フェニル基が有する置換基が飽和脂肪族アシル基、又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、その炭素数は、2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。フェニル基が有する置換基が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。フェニル基が有する置換基が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
【0067】
フェニル基が有する置換基がアルコキシカルボニル基である場合、その炭素数は、2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。フェニル基が有する置換基がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0068】
フェニル基が有する置換基がフェニルアルキル基である場合、その炭素数は、7〜20が好ましく、7〜10がより好ましい。またフェニル基が有する置換基がナフチルアルキル基である場合、その炭素数は、11〜20が好ましく、11〜14がより好ましい。フェニル基が有する置換基がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。フェニル基が有する置換基がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。フェニル基が有する置換基がフェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、置換基は、フェニル基又はナフチル基上に更に置換基を有していてもよい。
【0069】
フェニル基が有する置換基がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。フェニル基が有する置換基がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は更に置換基を有していてもよい。
【0070】
フェニル基が有する置換基が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例としては、フェニル基が有する置換基について上記したものと同様のものが挙げられる。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、β−ナフトイルアミノ基、及びN−アセチル−N−アセチルオキシアミノ基等が挙げられる。
【0071】
フェニル基が有する置換基に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。フェニル基が有する置換基に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基が有する置換基に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0072】
以上、R13が置換基を有してもよいフェニル基である場合の置換基について説明したが、これらの置換基の中では、アルキル基又はアルコキシアルキル基が好ましい。
【0073】
13が置換基を有してもよいフェニル基である場合、置換基の数と、置換基の結合位置とは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。R13が、置換基を有してもよいフェニル基である場合、塩基の発生効率に優れる点で、置換基を有してもよいフェニル基は、置換基を有していてもよいo−トリル基であるのが好ましい。
【0074】
13が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、置換基の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カルバゾリル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルコキシ基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいフェニルカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフチルカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0075】
13が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が窒素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の中では、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
【0076】
カルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、R13が置換基を有してもよいフェニル基である場合の、フェニル基が有する置換基の例と同様である。
【0077】
13において、カルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。カルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0078】
14は、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基である。
【0079】
14が置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基である場合、アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。この場合、アルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましい。
【0080】
14において、アルキル基又はフェニル基が有する置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
アルキル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルコキシ基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
フェニル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、アルキル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基として上記で例示した基に加えて、炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。
【0081】
アルキル基又はフェニル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、R13が置換基を有してもよいフェニル基である場合の、フェニル基が有する置換基の例と同様である。
【0082】
14において、アルキル基又はフェニル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。アルキル基又はフェニル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0083】
式(11)で表される化合物の塩基発生効率の点から、R13としては、下記式(12):
【化10】
で表される基が好ましく、R14としては、下記式(13):
【化11】
で表される基が好ましい。
【0084】
式(12)中、R18及びR19は、それぞれ1価の有機基であり、qは0又は1である。式(13)中、R20は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、AはS又はOであり、rは0〜4の整数である。
【0085】
式(12)におけるR18は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。R18の好適な例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
【0086】
18の中では、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
【0087】
式(12)におけるR19は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。R19として好適な基の具体例としては、炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。R19として、これらの基の中では置換基を有してもよいフェニル基、及び置換基を有してもよいナフチル基がより好ましく、2−メチルフェニル基及びナフチル基が特に好ましい。
【0088】
18又はR19に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。R18又はR19に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。R18又はR19に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0089】
式(13)におけるR20が有機基である場合、R20は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。式(13)においてR20が有機基である場合の好適な例としては、炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基が挙げられる。
【0090】
20の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
【0091】
また、式(13)において、rは、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0又は1であるのが特に好ましい。rが1である場合、R20の結合する位置は、R20が結合するフェニル基が硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
【0092】
15は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基である。置換基を有していてもよいフェニル基である場合、フェニル基が有していてもよい置換基は、R13が置換基を有していてもよいフェニル基である場合と同様である。R15としては、メチル基、エチル基、又はフェニル基が好ましく、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
【0093】
上記式(11)で表されるオキシムエステル化合物は、pが0である場合、例えば、以下に説明する方法により合成できる。まず、R14−CO−R13で表されるケトン化合物を、ヒドロキシルアミンによりオキシム化して、R14−(C=N−OH)−R13で表されるオキシム化合物を得る。次いで、得られたオキシム化合物を、R15−CO−Hal(Halはハロゲンを示す)で表される酸ハロゲン化物や、(R15CO)Oで表される酸無水物によりアシルして、pが0である上記式(11)で表されるオキシムエステル化合物が得られる。
【0094】
また、上記式(11)で表されるオキシムエステル化合物は、pが1である場合、例えば、以下に説明する方法により合成できる。まず、R14−CO−CH−R13で表されるケトン化合物を、塩酸の存在下に亜硝酸エステルと反応させ、R14−CO−(C=N−OH)−R13で表されるオキシム化合物を得る。次いで、得られたオキシム化合物を、R15−CO−Hal(Halはハロゲンを示す)で表される酸ハロゲン化物や、(R15CO)Oで表される酸無水物によりアシルして、pが1である上記式(11)で表されるオキシムエステル化合物が得られる。
【0095】
上記式(11)で表される化合物としては、下記式(14)で表される化合物が挙げられる。
【化12】
【0096】
上記式(14)中、p及びR14は上記の通りである。R21は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、sは0〜4の整数であり、R22は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。
【0097】
上記式(14)中、R21は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、有機基である場合、種々の有機基から適宜選択される。R21の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。sが2〜4の整数である場合、R21は同一であっても異なっていてもよい。また、置換基の炭素数には、置換基が更に有する置換基の炭素数を含まない。
【0098】
21がアルキル基である場合、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。また、R21がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R21がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、R21がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0099】
21がアルコキシ基である場合、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。また、R21がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R21がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチオキシル基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、R21がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0100】
21がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、炭素数3〜10が好ましく、炭素数3〜6がより好ましい。R21がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。R21がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0101】
21が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、炭素数2〜20が好ましく、炭素数2〜7がより好ましい。R21が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。R21が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
【0102】
21がアルコキシカルボニル基である場合、炭素数2〜20が好ましく、炭素数2〜7がより好ましい。R21がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0103】
21がフェニルアルキル基である場合、炭素数7〜20が好ましく、炭素数7〜10がより好ましい。またR21がナフチルアルキル基である場合、炭素数11〜20が好ましく、炭素数11〜14がより好ましい。R21がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。R21がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。R21が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、R21は、フェニル基、又はナフチル基上に更に置換基を有していてもよい。
【0104】
21がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。R21がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は更に置換基を有していてもよい。
【0105】
21が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、R21と同様である。1又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
【0106】
21に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。R21に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。R21に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0107】
21の中では、化学的に安定であることや、立体的な障害が少なく、オキシムエステル化合物の合成が容易であること等から、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基からなる群より選択される基が好ましく、炭素数1〜6のアルキルがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0108】
21がフェニル基に結合する位置は、R21が結合するフェニル基について、フェニル基とオキシムエステル化合物の主骨格との結合手の位置を1位とし、メチル基の位置を2位とする場合に、4位、又は5位が好ましく、5位がより好ましい。また、sは、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0又は1が特に好ましい。
【0109】
上記式(14)におけるR22は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。R22としては、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0110】
化合物(A−2)として特に好適な化合物の具体例を以下に示す。
【化13】
【0111】
化合物(A)としては、化合物(A−1)と(A−2)とを併用することが好ましい。これらの化合物を併用すると、得られるポリイミド樹脂のパターニング特性が特に良好となりやすい。中でも、化合物(A−1)である実施例中の化合物E1と化合物(A−2)である実施例中の化合物E6とを併用することが好ましい。
【0112】
感エネルギー性樹脂組成物における化合物(A)の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。感エネルギー性樹脂組成物における化合物(A)の含有量は、ポリアミック酸100質量に対して1〜50質量部が好ましく、1〜25質量部がより好ましい。
【0113】
<その他の成分>
本発明に係る感エネルギー性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記成分以外にその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分の例としては、界面活性剤、可塑剤、粘度調整剤、消泡剤、及び着色剤等が挙げられる。
【0114】
≪ポリイミド膜又はポリイミド成形体の製造方法≫
本発明に係る、ポリイミド膜又はポリイミド成形体の製造方法は、本発明に係る感エネルギー性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体を形成する形成工程と、上記塗膜又は成形体を露光又は加熱することにより上記塗膜又は成形体中の化合物(A)を分解する分解工程とを含むものである。以下、各工程について説明する。
【0115】
<形成工程>
形成工程では、本発明に係る感エネルギー性樹脂組成物を被塗布体の表面に塗布したり、上記感エネルギー性樹脂組成物を適当な成形方法で成形したりして、上記感エネルギー性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体を形成する。塗布方法としては、例えば、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法等が挙げられる。塗膜の厚さは、特に限定されない。典型的には、塗膜の厚さは、2〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましい。塗膜の厚さは、塗布方法や感エネルギー性樹脂組成物の固形分濃度や粘度を調節することにより、適宜制御することができる。
【0116】
塗膜又は成形体の形成後、分解工程に移行する前に、塗膜又は成形体中の溶剤を除去する目的で、塗膜又は成形体を加熱してもよい。加熱温度や加熱時間は、感エネルギー性樹脂組成物に含まれる成分に熱劣化や熱分解が生じない限り特に限定されない。塗膜又は成形体中の溶剤の沸点が高い場合、減圧下に塗膜又は成形体を加熱してもよい。
【0117】
<分解工程>
分解工程では、上記形成工程で形成された塗膜又は成形体を露光又は加熱することにより上記塗膜又は成形体中の化合物(A)を分解する。化合物(A)が分解して発生した塩基又は酸により、上記塗膜又は成形体中のポリアミック酸の閉環が促進される。また、上記塗膜又は成形体を加熱する場合には、その加熱によってもポリアミック酸の閉環が進行する。このようなポリアミック酸の閉環の結果、ポリイミド膜又はポリイミド成形体が形成される。
【0118】
上記塗膜又は成形体を露光する場合、露光に用いられる放射線としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、g線ステッパー、i線ステッパー等から放射される紫外線、電子線、レーザー光線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の膜厚等によっても異なるが、通常、1〜1000mJ/cm、好ましくは10〜500mJ/cmである。
【0119】
上記塗膜又は成形体を加熱する場合、加熱温度は、用いる化合物(A)の分解温度に応じて、適宜、調整されるが、例えば、120〜350℃、好ましくは150〜350℃に設定される。このような範囲の温度でポリアミック酸を加熱することにより、生成するポリイミド樹脂の熱劣化や熱分解を抑制しつつ、ポリイミド樹脂を生成させることができる。
【0120】
また、ポリアミック酸の加熱を高温で行なう場合、多量のエネルギーの消費や、高温での処理設備の経時劣化が促進される場合があるため、ポリアミック酸の加熱を低めの温度で行なうことも好ましい。具体的には、ポリアミック酸を加熱する温度の上限を、220℃以下とするのが好ましく、200℃以下とするのがより好ましく、190℃以下とするのが特に好ましい。
【0121】
≪パターン形成方法≫
本発明に係るパターン形成方法は、化合物(A)が少なくとも光の作用により分解して塩基及び酸の少なくとも一方を発生する化合物である場合において、本発明に係る感エネルギー性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体を形成する形成工程と、上記塗膜又は成形体を選択的に露光する露光工程と、露光後の上記塗膜又は成形体を現像する現像工程と、現像後の上記塗膜又は成形体を加熱する加熱工程とを含むものである。
【0122】
<形成工程>
上記パターン形成方法における形成工程は、本発明に係る感エネルギー性樹脂組成物において、化合物(A)が少なくとも光の作用により分解して塩基及び酸の少なくとも一方を発生する化合物である点を除き、上記ポリイミド膜又はポリイミド成形体の製造方法における形成工程について、説明したのと同様である。
【0123】
<露光工程>
露光工程では、形成工程で得られる塗膜又は成形体を、所定のパターンに選択的に露光する。選択的露光は、通常、所定のパターンのマスクを用いて行われる。露光に用いられる放射線や露光量は、上記ポリイミド膜又はポリイミド成形体の製造方法における分解工程において、塗膜又は成形体を露光する場合について、説明したのと同様である。
【0124】
<現像工程>
現像工程では、露光工程において所定のパターンに選択的に露光された塗膜又は成形体から未露光部を除去して、上記塗膜又は成形体を現像する。未露光部は、通常、アルカリ現像液に溶解させて除去される。現像方法としては、例えば、シャワー現像法、スプレー現像法、浸漬現像法、パドル現像法等が挙げられる。アルカリ現像液としては、無機アルカリ化合物及び有機アルカリ化合物から選択される1種以上のアルカリ化合物を含有する水溶液を用いることができる。現像液中のアルカリ化合物の濃度は、露光後の塗膜又は成形体を良好に現像できる限り特に限定されない。典型的には、現像液中のアルカリ化合物の濃度は、1〜10質量%が好ましい。
【0125】
無機アルカリ化合物の例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、及びアンモニア等が挙げられる。有機アルカリ化合物の例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、エタノールアミン、及びトリエタノールアミン等が挙げられる。
【0126】
更に、現像液には、必要に応じて、メタノール、エタノール、プロパノール、又はエチレングリコール等の水溶性有機溶剤、界面活性剤、保存安定剤、及び樹脂の溶解抑止剤等を適量添加することができる。
【0127】
<加熱工程>
加熱工程では、現像工程において、未露光部が除去されることによって、所定のパターンに現像された塗膜又は成形体を加熱する。これにより、露光工程を経ても塗膜又は成形体中に残存していたポリアミック酸の閉環が更に促進され、イミド化がより十分なものとなる。加熱温度は、上記ポリイミド膜又はポリイミド成形体の製造方法における分解工程において、塗膜又は成形体を加熱する場合について、説明したのと同様である。
【実施例】
【0128】
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0129】
<実施例1〜16、比較例1〜3>
実施例及び比較例では、以下に示すテトラカルボン酸二無水物、ジアミン、溶剤、化合物E1〜E6、及び比較化合物C1〜C2を用いた。
・カルボン酸無水物
・・テトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
s−BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
a−BPDA:2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
・・ジカルボン酸無水物
THPA:cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物
・ジアミン
ODA:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
PPD:p−フェニレンジアミン
MPD:m−フェニレンジアミン
2,4−TDA:2,4−ジアミノトルエン
BAFL:9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン
BTFL:9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン
BisA−P:4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエタン−1,1−ジイル)]ジアニリン
MDA:4,4’−ジアミノジフェニルメタン
・溶剤
TMU:N,N,N’,N’−テトラメチルウレア
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
・化合物E1〜E6、比較化合物C1〜C2(化合物E3及び比較化合物C2では、それぞれE体及びZ体のホモキラリティーが成立している。)
【0130】
【化14】
【0131】
【化15】
【0132】
[感エネルギー性樹脂組成物の調製]
撹拌機、撹拌羽根、還流冷却機、窒素ガス導入管を備えた容量5Lのセパラブルフラスコに、それぞれ、表1〜3に記載の種類及び量の、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミンと、溶剤とを投入した。窒素ガス導入管よりフラスコ内に窒素を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気とした。次いで、フラスコの内容物を撹拌しながら、50℃で20時間、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミンとを反応させて、ポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液に、化合物E1〜E6及び比較化合物C1〜C3のいずれかを、表1〜3に記載の量で添加し撹拌して、感エネルギー性樹脂組成物を調製した。
【0133】
[ポリイミド膜の調製]
得られた感エネルギー性樹脂組成物を用いて、以下の方法に従って、ポリイミド膜を形成してポリイミド膜の耐熱性、誘電率、及びパターニング特性を評価した。
【0134】
(耐熱性評価)
得られた感エネルギー性樹脂組成物をウエハ基板上に、スピンコーター(ミカサ製、1H−360S)により塗布した。ウエハ基板上の塗膜を180℃で20分間加熱して、膜厚約0.9μmのポリイミド膜を形成した。得られたポリイミド膜から、耐熱性評価用の試料5μgを削り取った。耐熱性評価用のポリイミド樹脂の試料を用いて、示差熱/熱重量測定装置(TG/DTA−6200、セイコーインスツル株式会社製)により、空気気流中、昇温速度10℃/分の条件化で測定を行い、TG曲線を得た。得られたTG曲線から、試料の5%重量減少温度を求めた。5%重量減少温度が370℃以上である場合を優(◎◎)と判定し、5%重量減少温度が350℃以上370℃未満である場合を良(◎)と判定し、300℃以上350℃未満である場合をやや良(○)と判定し、300℃未満である場合を不良(×)と判定した。耐熱性の評価結果を表1〜3に示す。
【0135】
(誘電率評価)
得られた感エネルギー性樹脂組成物をウエハ基板上に、スピンコーター(ミカサ製、1H−360S)により塗布した。ウエハ基板上の塗膜を180℃で20分間加熱して、膜厚約0.9μmのポリイミド膜を形成した。得られたポリイミド膜を試料として用い、周波数0.1MHzの条件で、誘電率測定装置(SSM−495、日本セミラボ株式会社製)により、ポリイミド樹脂の比誘電率を測定した。比誘電率が3.8以下である場合を良(○)と判定し、3.8超4.2以下である場合をやや不良(△)と判定し、4.2超である場合を不良(×)と判定した。誘電率の評価結果を表1〜3に示す。
【0136】
(パターニング特性)
得られた感エネルギー性樹脂組成物をウエハ基板上に、スピンコーター(ミカサ製、1H−360S)により塗布し、80℃で5分間プリベークして、膜厚3μmの塗膜を形成した。ラインアンドスペースパターンのマスクを用いて、高圧水銀灯により100mJ/cmの条件で露光した。露光された塗膜を、120℃のホットプレート上で5分間加熱した後、現像液(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38質量%水溶液とイソプロパノールを9:1で混合した溶液)に浸漬した。その結果、露光部が現像液に溶解せず残存したパターンを得ることができた。次いで、現像された塗膜を180℃で1時間加熱して、イミド化を行った。イミド化後の塗膜を観察し、以下の基準に従い、パターニング特性を評価した。幅5μmのラインが形成可能であった場合を良(◎)と判定し、幅10μmのラインが形成可能であった場合を良(○)と判定し、幅10μmのラインが形成不可であった場合を不良(×)と判定した。パターニング特性の評価結果を表1〜3に示す。
【0137】
【表1】
【0138】
【表2】
【0139】
【表3】
【0140】
実施例1〜16によれば、光及び熱の少なくとも一方の作用により分解してイミダゾール化合物を発生する化合物(A−1)(特に式(4)又は(6)で表される化合物)又はオキシムエステル化合物(A−2)(特に式(11)で表される化合物)を添加することで、180℃という低温で熱処理した場合であっても、ポリアミック酸を含有する感エネルギー性樹脂組成物から、耐熱性に優れ、誘電率が低く、パターニング特性が良好なポリイミド樹脂が得られることが分かる。実施例1〜16で用いられた化合物E1〜E6は、120〜180℃で分解して塩基を発生する化合物に該当する。
【0141】
実施例17〜48によれば、上記化合物(A−1)である化合物E1と上記化合物(A−2)である化合物E6とを併用することで、ポリイミド樹脂のパターニング特性が特に良好となる傾向にあることが分かる。
【0142】
比較例1によれば、化合物E1〜E6を添加しない場合、耐熱性はやや良好なものの、誘電率が高くなる傾向にあり、パターニング特性には劣ることが分かる。
【0143】
比較例2及び3によれば、光又は熱の作用により分解してもイミダゾール化合物を発生しない比較化合物C1を用いた場合や、オキシムエステル化合物ではあるものの、式(11)で表される化合物ではない比較化合物C2を用いた場合には、パターニング特性が良好であるが、耐熱性に劣り、誘電率が高くなる傾向にあることが分かる。比較例2で用いられた比較化合物C1及び比較例3で用いられた比較化合物C2は、それぞれ250℃及び230℃という高温で分解して塩基を発生する化合物である。