特許第6437529号(P6437529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6437529
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】エネルギー回収システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/06 20060101AFI20181203BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20181203BHJP
   B01D 61/02 20060101ALI20181203BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20181203BHJP
   F01K 25/00 20060101ALI20181203BHJP
   F03B 17/06 20060101ALI20181203BHJP
   F03G 7/00 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
   B01D61/06
   B01D61/58
   B01D61/02 500
   C02F1/44 G
   F01K25/00 E
   F03B17/06
   F03G7/00 G
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-510232(P2016-510232)
(86)(22)【出願日】2015年3月13日
(86)【国際出願番号】JP2015057500
(87)【国際公開番号】WO2015146639
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2017年9月15日
(31)【優先権主張番号】特願2014-65903(P2014-65903)
(32)【優先日】2014年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成22年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 委託研究:最先端PG(Mega−ton Water System)高効率エネルギー回収、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】後藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】滝田 茂雄
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−347142(JP,A)
【文献】 特開2011−083741(JP,A)
【文献】 特開2009−103109(JP,A)
【文献】 特開平11−253761(JP,A)
【文献】 特開2001−300264(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/073693(WO,A1)
【文献】 特開2001−104954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44
B01D 61/00−71/82
F01D 15/00−15/12
F04B 23/00−23/14
F01K 25/00−25/14
F03B 17/00−17/06
F03G 7/00− 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を加圧する高圧ポンプから排出された高圧水を逆浸透膜で膜処理して処理水を生成する逆浸透膜カートリッジに供給し、逆浸透膜カートリッジから排出された濃縮水を容積形エネルギー回収装置に供給して濃縮水の圧力エネルギーを回収して、前記容積形エネルギー回収装置に供給された原水の一部を加圧して原水の加圧水とし、前記原水の加圧水を前記高圧ポンプで加圧された高圧水に合流させるエネルギー回収システムであって、
前記逆浸透膜カートリッジと前記容積形エネルギー回収装置との間に設置され、前記逆浸透膜カートリッジから排出された濃縮水の昇圧を行うブースターポンプと、
前記容積形エネルギー回収装置による前記原水の加圧水と、前記高圧ポンプから排出された高圧水との圧力差を利用してエネルギー回収を行うエネルギー回収タービンとを備えたことを特徴とするエネルギー回収システム。
【請求項2】
前記ブースターポンプから排出された濃縮水を逆浸透膜で膜処理して処理水を生成する第二の逆浸透膜カートリッジを備え、
前記逆浸透膜で処理されずに前記第二の逆浸透膜カートリッジから排出された濃縮水を前記容積形エネルギー回収装置に供給することを特徴とする請求項1記載のエネルギー回収システム。
【請求項3】
前記エネルギー回収タービンは、該エネルギー回収タービンによって回収されたエネルギーを前記高圧ポンプの駆動に利用することを特徴とする請求項1または2記載のエネルギー回収システム。
【請求項4】
前記エネルギー回収タービンは、タービンと前記高圧ポンプとを一軸の回転軸上に配置した構成からなることを特徴とする請求項3記載のエネルギー回収システム。
【請求項5】
前記タービンと前記高圧ポンプとの回転を切り離す継手を備えたことを特徴とする請求項4記載のエネルギー回収システム。
【請求項6】
前記エネルギー回収タービンは、該エネルギー回収タービンによって回収されたエネルギーを前記ブースターポンプの駆動に利用することを特徴とする請求項1または2記載のエネルギー回収システム。
【請求項7】
前記エネルギー回収タービンは、タービンと前記ブースターポンプとを一軸の回転軸上に配置した構成からなることを特徴とする請求項6記載のエネルギー回収システム。
【請求項8】
前記タービンと前記ブースターポンプとの回転を切り離す継手を備えたことを特徴とする請求項7記載のエネルギー回収システム。
【請求項9】
前記逆浸透膜カートリッジと前記ブースターポンプとを接続するラインから分岐してバイパスラインを設け、該バイパスラインを前記ブースターポンプと前記容積形エネルギー回収装置とを接続するラインに接続し、前記バイパスラインにバルブを設けたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のエネルギー回収システム。
【請求項10】
前記逆浸透膜カートリッジと前記ブースターポンプとを接続するラインから分岐してバイパスラインを設け、該バイパスラインを前記第二の逆浸透膜カートリッジと前記容積形エネルギー回収装置とを接続するラインに接続し、前記バイパスラインにバルブを設けたことを特徴とする請求項乃至8のいずれか一項に記載のエネルギー回収システム。
【請求項11】
前記容積形エネルギー回収装置に濃縮水を供給するラインから分岐して該濃縮水を系外に排出するバルブを有したラインを設けたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のエネルギー回収システム。
【請求項12】
原水として海水をポンプによって昇圧して逆浸透膜カートリッジに通水し、処理水として淡水を、濃縮水として濃縮海水を分離して、海水から淡水を生成する海水淡水化システムにおいて、
前記逆浸透膜カートリッジから吐出される濃縮海水の圧力エネルギーを回収する請求項1乃至11のいずれか一項に記載のエネルギー回収システムを備えたことを特徴とする海水淡水化システム。
【請求項13】
前記海水淡水化システムの起動時に、前記逆浸透膜カートリッジとブースターポンプとを接続するラインから分岐するバイパスラインのバルブを開き、前記高圧ポンプを起動し、その後に前記ブースターポンプを起動することを特徴とする請求項12記載の海水淡水化システム。
【請求項14】
前記海水淡水化システムの起動時に、前記容積形エネルギー回収装置と前記エネルギー回収タービンとを接続するラインから分岐するタービンバイパスラインのバルブを開き、前記容積形エネルギー回収装置を安定運転状態とし、その後に前記タービンバイパスラインのバルブを閉鎖することを特徴とする請求項12記載の海水淡水化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水から塩分を除去するための逆浸透膜法を用いた海水淡水化プラントにおける、消費エネルギー削減手段としてのエネルギー回収システムとして使用するのに特に好適である。
【背景技術】
【0002】
逆浸透膜法を用いる海水淡水化プラントは、主として、前処理システム、高圧ポンプ、逆浸透膜カートリッジ、エネルギー回収システムから構成されている。この海水淡水化プラントにおいては、取水された海水は、前処理システムにより一定水質の条件に整えられたのち、高圧ポンプにより加圧され、逆浸透膜カートリッジへと圧送される。逆浸透膜カートリッジ内の高圧海水の一部は、浸透圧力に打ち勝って膜を通過し、塩分が除去された淡水として取り出される。その他の海水は、塩濃度が高くなり濃縮された状態で逆浸透膜カートリッジからリジェクトとして排出される。海水淡水化プラントにおける最大の運用コストである電力費の半分以上は、高圧ポンプによる海水の加圧に費やされるとされている。そこで、逆浸透膜カートリッジから排出される高塩濃度で高圧のリジェクトが保有する圧力エネルギーを有効に回収する様々な方法が提案されている。
【0003】
例えば、高圧のリジェクトをノズルなどにより高速噴流とし、その運動エネルギーをタービンによりエネルギー回収し、高圧ポンプを駆動するモータ動力の補助とするエネルギー回収タービンがある。このシステムでは、圧力エネルギーをタービン動力に変換し、さらにそのタービン動力を高圧ポンプの羽根車の駆動に利用することで海水の圧力エネルギーに再変換する形でリジェクトの圧力エネルギーを回収している。図1はこうしたシステムを示しており、従来技術Aと呼称する。このシステムでは、流体のエネルギーは流体エネルギーから軸動力へ、そして軸動力から流体エネルギーへという二度のエネルギー変換を経て回収される形となり、仮にタービンや高圧ポンプの各々の効率が90%であったとしても、総合的なエネルギー回収効率は両者の掛け算(90%×90%=81%)となり低い効率になってしまうという問題がある。また、ポンプ羽根車とタービン翼車は同軸上に配置されるため、運転条件の変化に追随して常にタービンを最適な条件で運転することは困難で、さらに効率低下を生じるという問題もあった。
【0004】
上記の問題を解決するエネルギー回収システムとして、高圧リジェクトによりチャンバ内のピストンを介して低圧の前処理海水を直接に押し引きすることで昇圧し、容積形ピストンポンプ的な作用によりエネルギー回収を行う容積形エネルギー回収装置を採用するシステムがある。このシステムは、リジェクトが保有する圧力エネルギーは、容積形エネルギー回収装置により一度のエネルギー変換で流体エネルギーとして回収されるため、総合的なエネルギー回収効率が90〜98%と高い効率になるという特徴がある。なお、チャンバ内のピストンは円筒状の物体として物理的に前処理海水とリジェクトとの間に隔壁を設けることもあれば、前処理海水とリジェクトとの界面という仮想的な流体ピストンの形態をとることもある。このシステムでは、システム内において生ずる圧力損失を補償した上で、昇圧した前処理海水を高圧ラインに合流させるので、容積形エネルギー回収装置の下流にブースターポンプを設置する必要がある。図2はこうしたシステムを示しており、従来技術Bと呼称する。このシステムでは、温度や塩濃度などの環境変化や、膜のスケーリングなど、システム内の圧力損失の変化に追随して圧力を補償する必要があるため、ブースターポンプの駆動には可変速電動モータを採用し、インバータ制御を行うといった工夫が必要となる。ブースターポンプの入口圧は高圧ポンプの吐出圧に近い高圧条件となるため、ブースターポンプとしてはシール構造に配慮した特殊仕様のポンプが必要になるという欠点がある。さらに、起動時や停止時など、運転条件が変化する過渡的な運転条件では制御に注意する必要がある。
【0005】
さて、海水淡水化プラントで生産する淡水の造水コストを低減するには、回収率を向上させ、同量の取水海水からより多くの淡水を取り出すことが効果的である。このため、上記の逆浸透膜カートリッジからのリジェクトをさらに第二の逆浸透膜カートリッジで処理する、二段逆浸透膜システムが提案されている。第一の逆浸透膜カートリッジからのリジェクトは、取水海水よりも高い塩濃度となるので、その浸透圧増大に打ち勝てるように、第二の逆浸透膜カートリッジの手前に第二の高圧ポンプを配置し、第一の逆浸透膜カートリッジからのリジェクトをさらに昇圧する場合がある。この場合も、第二の逆浸透膜カートリッジからのリジェクトは高い圧力エネルギーを持っており、それを第一および第二の逆浸透膜カートリッジへ向かう高圧海水の圧力エネルギーとして回収し、システム全体のエネルギー消費量を低減することが重要であることは、一段逆浸透膜システムの場合と同じである。
【0006】
以下に、従来技術について詳細に説明する。
(従来技術A)
逆浸透膜法を用いる海水淡水化プラントを取り上げ、具体的に従来技術の課題を説明する。
【0007】
図1に示すように、送水ポンプ2によりシステムに供給された海水1は、前処理装置3により所定の水質条件に整えられたのち、電動モータ6により駆動される高圧ポンプ5により加圧され、逆浸透膜カートリッジ8へと圧送される。逆浸透膜カートリッジ内の高圧室9の海水の一部は、浸透圧力に打ち勝って逆浸透膜10を通過し、塩分が除去された脱塩水12として低圧室11から取り出される。その他の海水は、塩濃度が高くなり濃縮されたリジェクトとして、逆浸透膜カートリッジ8からリジェクトライン13へ排出される。逆浸透膜カートリッジ8から排出された高圧のリジェクトが保有する圧力エネルギーは、回転する翼車を有するエネルギー回収タービン14により軸動力として回収される。回収された動力は、タービン翼車と同軸で結合された電動モータ6の軸駆動動力の低減に寄与する。タービンの作用により圧力エネルギーを失ったリジェクトは、排出ライン15からシステム外へ廃棄される。
【0008】
(従来技術B)
容積形のエネルギー回収装置を採用する従来技術Bについて図2により説明する。この従来技術Bでは、逆浸透膜カートリッジからのリジェクトが保有する高圧エネルギーを利用し、複数の圧力変換チャンバー内でリジェクトによりチャンバー内のピストンを押し引きすることで、前処理海水を加圧したのち順次チャンバーから排出するという、容積形ピストンポンプ的な作用により、前処理海水を昇圧する。
【0009】
送水ポンプ2によりシステムに供給された海水1は、前処理装置3により所定の水質条件に整えられたのち、電動モータ6により駆動される高圧ポンプ5により加圧され、高圧ライン7を経て逆浸透膜カートリッジ8へと圧送される。一方、逆浸透膜カートリッジ内の高圧室9の海水の一部は、浸透圧力に打ち勝って逆浸透膜10を通過し、塩分が除去された脱塩水12として低圧室11から取り出される。その他の海水は、塩濃度が高くなり濃縮されたリジェクトとして、逆浸透膜カートリッジ8からリジェクトライン13へ排出される。カートリッジから排出された高圧のリジェクトが保有する圧力エネルギーは、制御弁19を介して順次圧力変換チャンバー20へと導入され、同チャンバー内のピストンを駆動しチャンバー20内の前処理海水を加圧する。ピストンを駆動した後のチャンバー内のリジェクトは、制御弁19によりリジェクトライン13から切り離され、給水ライン4からチャンバー20へ供給される前処理水により置換されるかたちで、低圧のリジェクトとしてチャンバー20から排出ライン15を経由してシステム外へ廃棄される。リジェクトを置換したチャンバー20内の低圧の前処理海水は、制御弁19でチャンバー20へ新たに導入される高圧リジェクトで加圧され、上記のサイクルを繰り返す。このようにして構成された容積形エネルギー回収装置21により、給水ライン4の海水の一部がポンプアップされ、吐出ライン22へと排出され、最終的には高圧ポンプ5の出口からの高圧ライン7に合流する。しかしながら、逆浸透膜カートリッジ8や配管の圧力損失、制御弁19における損失などにより、吐出ライン22内の流体は高圧ライン7の流体よりも低い圧力となっている。そこで、この両者を合流させるために、吐出ライン22と高圧ライン7との間には、可変速電動モータ18で駆動されるブースターポンプ17が設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−284642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、海水淡水化プラントにおけるトータル消費エネルギーを低減し、かつ流体物性の変化やプロセス環境の変化などに自己追随性を有するエネルギー回収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成するために、本発明のエネルギー回収システムは、原水を加圧する高圧ポンプから排出された高圧水を逆浸透膜で膜処理して処理水を生成する逆浸透膜カートリッジに供給し、逆浸透膜カートリッジから排出された濃縮水を容積形エネルギー回収装置に供給して濃縮水の圧力エネルギーを回収して、前記容積形エネルギー回収装置に供給された原水の一部を加圧して原水の加圧水とし、前記原水の加圧水を前記高圧ポンプで加圧された高圧水に合流させるエネルギー回収システムであって、前記逆浸透膜カートリッジと前記容積形エネルギー回収装置との間に設置され、前記逆浸透膜カートリッジから排出された濃縮水の昇圧を行うブースターポンプと、前記容積形エネルギー回収装置による前記原水の加圧水と、前記高圧ポンプから排出された高圧水との圧力差を利用してエネルギー回収を行うエネルギー回収タービンとを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の好ましい態様は、前記ブースターポンプから排出された濃縮水を逆浸透膜で膜処理して処理水を生成する第二の逆浸透膜カートリッジを備え、前記逆浸透膜で処理されずに前記第二の逆浸透膜カートリッジから排出された濃縮水を前記容積形エネルギー回収装置に供給することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記エネルギー回収タービンは、該エネルギー回収タービンによって回収されたエネルギーを前記高圧ポンプの駆動に利用することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記エネルギー回収タービンは、タービンと前記高圧ポンプとを一軸の回転軸上に配置した構成からなることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記タービンと前記高圧ポンプとの回転を切り離す継手を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の好ましい態様は、前記エネルギー回収タービンは、該エネルギー回収タービンによって回収されたエネルギーを前記ブースターポンプの駆動に利用することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記エネルギー回収タービンは、タービンと前記ブースターポンプとを一軸の回転軸上に配置した構成からなることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記タービンと前記ブースターポンプとの回転を切り離す継手を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の好ましい態様は、前記逆浸透膜カートリッジと前記ブースターポンプとを接続するラインから分岐してバイパスラインを設け、該バイパスラインを前記ブースターポンプと前記容積形エネルギー回収装置とを接続するラインに接続し、前記バイパスラインにバルブを設けたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記逆浸透膜カートリッジと前記ブースターポンプとを接続するラインから分岐してバイパスラインを設け、該バイパスラインを前記第二の逆浸透膜カートリッジと前記容積形エネルギー回収装置とを接続するラインに接続し、前記バイパスラインにバルブを設けたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記容積形エネルギー回収装置に濃縮水を供給するラインから分岐して該濃縮水を系外に排出するバルブを有したラインを設けたことを特徴とする。
【0016】
本発明の海水淡水化システムは、原水として海水をポンプによって昇圧して逆浸透膜カートリッジに通水し、処理水として淡水を、濃縮水として濃縮海水を分離して、海水から淡水を生成する海水淡水化システムにおいて、前記逆浸透膜カートリッジから吐出される濃縮海水の圧力エネルギーを回収する上記エネルギー回収システムを備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明の好ましい態様は、前記海水淡水化システムの起動時に、前記逆浸透膜カートリッジとブースターポンプとを接続するラインから分岐するバイパスラインのバルブを開き、前記高圧ポンプを起動し、その後に前記ブースターポンプを起動することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記海水淡水化システムの起動時に、前記容積形エネルギー回収装置と前記エネルギー回収タービンとを接続するラインから分岐するタービンバイパスラインのバルブを開き、前記容積形エネルギー回収装置を安定運転状態とし、その後に前記タービンバイパスラインのバルブを閉鎖することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、容積形エネルギー回収装置で昇圧された原水の加圧水を、高圧ポンプにより昇圧された高圧水に合流させるに際し、容積形エネルギー回収装置のラインと高圧ポンプのラインの間にタービンを配置することで、逆浸透膜や配管、容積形エネルギー回収装置内の制御バルブ等において生ずる圧力損失を、環境条件の変化による損失の変化に自己調整的に追随する形で補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、一段の逆浸透膜カートリッジとエネルギー回収タービンを具備するエネルギー回収システムの従来技術の基本的構成を示す模式図である。
図2図2は、一段の逆浸透膜カートリッジと容積形エネルギー回収装置を具備するエネルギー回収システムの従来技術の基本的構成を示す模式図である。
図3図3は、本発明のエネルギー回収システムの第1の態様を示す図である。
図4図4は、本発明のエネルギー回収システムの第2の態様を示す図である。
図5図5は、本発明のエネルギー回収システムの第2の態様の各種バルブの設置形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るエネルギー回収システムの実施形態を図3により説明する。送水ポンプ2によりシステムに供給された海水1は、前処理装置3により所定の水質条件に整えられたのち、電動モータ6により駆動される高圧ポンプ5により加圧され、高圧ライン7を経て逆浸透膜カートリッジ8へと圧送される。逆浸透膜カートリッジ内の高圧室9の海水の一部は、浸透圧力に打ち勝って逆浸透膜10を通過し、塩分が除去された脱塩水12として低圧室11から取り出される。その他の海水は、塩濃度が高くなり濃縮されたリジェクトとして、逆浸透膜カートリッジ8からリジェクトライン13へ排出される。リジェクトは電動モータ45により駆動されるブースターポンプ44でさらに昇圧されたのち、制御弁19を介して圧力変換チャンバー20へと導入され、同チャンバー内のピストンを駆動する。ピストンを駆動しエネルギー変換を終えたリジェクトは、排出ライン15からシステム外へ廃棄される。このようにして構成された容積形エネルギー回収装置21により、給水ライン4の前処理海水の一部がポンプアップされ、吐出ライン22へと排出され、最終的には高圧ポンプ5の出口からの高圧ライン7に合流する。吐出ライン22の流体はブースターポンプ44の作用により、高圧ライン7の流体よりも圧力が高くなるように設定され、吐出ライン22と高圧ライン7の間にエネルギー回収タービン14を配置することで、両ライン間の落差エネルギーを有効にタービン翼車の軸動力に変換する。エネルギー回収タービン14において回収された動力は、回転軸16を介してタービン翼車と同軸で結合された電動モータ6の軸駆動動力の低減に寄与する。なお、エネルギー回収タービン14と高圧ポンプ5との回転を切り離す継手を設けてもよい。回転を切り離すことで、高圧ポンプ5の円滑な起動が可能となり、定常運転時には回転を結合することで電動モータ6の動力を低減することが可能となる。
【0021】
本発明のシステムでは、高圧ライン7から容積形エネルギー回収装置21の吐出ライン22との間で生じる圧力損失を、ブースターポンプ44で補償し、かつ海水温や膜のスケーリングなどによる経時変化を含む運転条件の変化に対して、システムを自己調整的に追随させることができるという特徴を有する。従来技術Bで必要であった、容積形エネルギー回収装置特有のブースターポンプ17の可変速モータ制御なども不要となり、制御フリーなシステム構成を実現できるという大きなメリットが得られる。例えば、海水温変化や膜のスケーリングに際し、所定の脱塩水量を維持するために逆浸透膜カートリッジ8へ向かう高圧ライン7の圧力を変化させ調整する場合においても、高圧ライン7から吐出ライン22までのライン圧力全体がほぼ一様に変化するので、高圧ライン7と吐出ライン22との間の落差エネルギーは設計値から大きく変化することは無く、タービン14は自己調整的に良好な効率での運転を維持できる。なお、両ライン間の落差エネルギーを回収したタービン翼車の軸動力に変換された落差エネルギーは電力に変換して高圧ポンプ5やブースターポンプ44を運転してもよいし、前記ブースターポンプ44と同軸にしてブースターポンプ44の運転に寄与してもよい。また、逆浸透膜カートリッジ8とブースターポンプ44とを接続するラインから分岐してバイパスライン40を設けることが好ましく、このバイパスライン40をブースターポンプ44と容積形エネルギー回収装置21とを接続するラインに接続し、バイパスライン40にバルブ41を設けることが好ましい。これは、海水淡水化システムを起動する際に、ブースターポンプ44の連れ回りを回避してシステムを起動するために有効であるからである。更に、容積形エネルギー回収装置21とタービン14とを接続するラインから分岐してタービンバイパスライン47を設けることが好ましく、このタービンバイパスライン47を高圧ライン7に接続し、タービンバイパスライン47にバルブ48を設けることが好ましい。これは、海水淡水化システムを起動する際に、容積形エネルギー回収装置21による十分な圧力変換流量を確保できるようにして安定運転状態としたのちにタービン運転を行うことにより、タービン14による閉塞を回避してシステムを起動するために有効であるからである。
【0022】
本発明に係るエネルギー回収システムのさらに望ましい第2の態様を図4により説明する。送水ポンプ2によりシステムに供給された海水1は、前処理装置3により所定の水質条件に整えられたのち、電動モータ6により駆動される高圧ポンプ5により加圧され、高圧ライン7を経て第一の逆浸透膜カートリッジ8へと圧送される。逆浸透膜カートリッジ内の高圧室9の海水の一部は、浸透圧力に打ち勝って逆浸透膜10を通過し、塩分が除去された脱塩水12として低圧室11から取り出される。その他の海水は、塩濃度が高くなり濃縮されたリジェクトとして、逆浸透膜カートリッジ8からリジェクトライン13へ排出される。リジェクトは電動モータ45により駆動されるブースターポンプ44でさらに昇圧されたのち、高圧ライン25を経て第二の逆浸透膜カートリッジ26へと圧送される。第二の逆浸透膜カートリッジ内の高圧室27の海水の一部は、浸透圧力に打ち勝って逆浸透膜28を通過し、塩分が除去された脱塩水12として低圧室29から取り出される。その他の海水は、塩濃度が高くなりさらに濃縮されたリジェクトとして、第二の逆浸透膜カートリッジ26からリジェクトライン30へ排出される。
【0023】
第二の逆浸透膜カートリッジ26からリジェクトライン30に排出された高圧のリジェクトが保有する圧力エネルギーは、制御弁19を介して圧力変換チャンバー20へと導入され、同チャンバー内のピストンを駆動する。ピストンを駆動することでエネルギー変換を終えたリジェクトは、排出ライン15からシステム外へ廃棄される。このようにして構成された容積形エネルギー回収装置21により、給水ライン4の前処理海水の一部がポンプアップされ、吐出ライン22へと排出され、最終的には高圧ポンプ5の出口からの高圧ライン7に合流する。しかしながら、吐出ライン22は二段昇圧の効果で、高圧ライン7よりも圧力が高いため、吐出ライン22と高圧ライン7の間にエネルギー回収タービン14を配置することで、両ライン間の落差エネルギーをタービン翼車の軸動力に変換する。エネルギー回収タービン14において回収された動力は、回転軸16を介してタービン翼車と同軸で結合された電動モータ6の軸駆動動力の低減に寄与する。なお、エネルギー回収タービン14と高圧ポンプ5との回転を切り離す継手を設けてもよい。回転を切り離すことで、高圧ポンプ5の円滑な起動が可能となり、定常運転時には回転を結合することで電動モータ6の動力を低減することが可能となる。
【0024】
本発明のシステムでは、高効率である容積形エネルギー回収装置21を採用し、かつ、従来必要とされた可変速電動モータ18で駆動され吸込み圧が高い特殊ポンプとなるブースターポンプ17を排することができ、また海水温や膜のスケーリングなどによる経時変化を含むシステム全体の運転条件の変化に対して自己調整的にシステムを追随させることができる。容積形エネルギー回収装置特有の可変速モータ制御は不要であり、制御フリーなシステム構成を実現できるという大きなメリットが得られる。本発明によれば、造水量を増やすために採用される2段昇圧逆浸透膜法を採用するシステムなど、過渡的な運転などで複雑な制御を必要とするシステムにおいて特に有効である。例えば、海水温変化や膜のスケーリングに際し、所定の脱塩水量を維持するために逆浸透膜カートリッジ8へ向かう高圧ライン7の圧力を変化させ調整する場合においても、高圧ライン7から吐出ライン22までのライン圧力全体がほぼ一様に変化するので、高圧ライン7と吐出ライン22との間の落差エネルギーは設計値から大きく変化することは無く、タービン14は自己調整的に良好な効率での運転を維持できる。なお、両ライン間の落差エネルギーを回収したタービン翼車の軸動力に変換された落差エネルギーは電力に変換して高圧ポンプ5やブースターポンプ44を運転してもよいし、前記ブースターポンプ44と同軸にしてブースターポンプ44の運転に寄与してもよい。また、図5に示すように、逆浸透膜カートリッジ8とブースターポンプ44とを接続するラインから分岐してバイパスライン40を設けることが好ましく、このバイパスライン40をブースターポンプ44と容積形エネルギー回収装置21とを接続するラインに接続し、バイパスライン40にバルブ41を設けることが好ましい。これは、海水淡水化システムを起動する際に、ブースターポンプ44の連れ回りを回避してシステムを起動するために有効であるからである。更に、図5に示すように、容積形エネルギー回収装置21とタービン14とを接続するラインから分岐してタービンバイパスライン47を設けることが好ましく、このタービンバイパスライン47を高圧ライン7に接続し、タービンバイパスライン47にバルブ48を設けることが好ましい。これは、海水淡水化システムを起動する際に、容積形エネルギー回収装置21による十分な圧力変換流量を確保できるようにして安定運転状態としたのちにタービン運転を行うことにより、タービン14による閉塞を回避してシステムを起動するために有効であるからである。
【0025】
次に、本発明の、海水から塩分を除去するための逆浸透膜法を用いた海水淡水化プラントの起動方法について説明する。
図5は制御システムに必要なバルブやバイパス配管を加えた第2の態様におけるシステム構成図である。
第一の逆浸透膜カートリッジ8とブースターポンプ44をつなぐリジェクトライン13と、第二の逆浸透膜カートリッジ26と容積形エネルギー回収装置21をつなぐリジェクトライン30との間にバイパスライン40と第一のバルブ41を設け、さらに第二の逆浸透膜カートリッジ26からのリジェクトライン30から濃縮海水を系外に排出する排出ライン42と第二のバルブ43を設ける。また、起動時に高圧ポンプ5の連れ廻りを回避するためのバルブ46を高圧ポンプ5の給水ライン4に設ける。
【0026】
図3乃至図5のシステムを起動するに当たり、まず、容積形エネルギー回収装置21の制御弁19により給水ライン4と排出ライン15を導通させる。また、バルブ48を開放し、タービンバイパスライン47を高圧ライン7に導通させる。尚、バルブ48はタービン14の定格運転時の落差に相当する損失となるようにしておく。低圧の送水ポンプ2を起動したのち、バイパスライン40のバルブ41と、排出ライン42のバルブ43を開放した上で、第一の高圧ポンプ5を起動する。この時、膜圧の急上昇による逆浸透膜カートリッジの損傷を避けるため、高圧ポンプ5の電動モータ6にはスロースタータを具備することが好ましい。その後、ブースターポンプ44を起動し、バイパスライン40のバルブ41を閉止する。次に、排出ライン42のバルブ43を徐々に閉止しながら、容積形エネルギー回収装置21の制御弁19の制御を開始し、バルブ43が完全に閉止した時点で容積形エネルギー回収装置21を定常運転状態へ移行する。バルブ48を徐々に閉止しながらタービンバイパスライン47を閉鎖し、通水を全量タービン14へ切り換える。この切り換えにより、吐出ライン22と高圧ライン7との間に生じる圧力差に応じエネルギー回収タービン14で回収される軸動力は自己調整されるため、本システムに使用される流体機器に対して特段の制御を加える必要は無い。
【0027】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、海水から塩分を除去するための逆浸透膜法を用いた海水淡水化プラントにおける、消費エネルギー削減手段としてのエネルギー回収システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 海水
2 送水ポンプ
3 前処理装置
4 給水ライン
5 高圧ポンプ
6 電動モータ
7 高圧ライン
8 逆浸透膜カートリッジ
9 高圧室
10 逆浸透膜
11 低圧室
12 脱塩水
13 リジェクトライン
14 タービン
15 排出ライン
16 回転軸
17 ブースターポンプ
18 可変速電動モータ
19 制御弁
20 圧力変換チャンバー
21 容積形エネルギー回収装置
22 吐出ライン
25 高圧ライン
26 第二の逆浸透膜カートリッジ
27 高圧室
28 逆浸透膜
29 低圧室
30 リジェクトライン
40 バイパスライン
41 バルブ
42 排出ライン
43 バルブ
44 ブースターポンプ
45 電動モータ
46 バルブ
47 タービンバイパスライン
48 バルブ
図1
図2
図3
図4
図5