特許第6438704号(P6438704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6438704立体映像表示装置の製造方法、及び、その位置ずれ調整装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6438704
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】立体映像表示装置の製造方法、及び、その位置ずれ調整装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 13/307 20180101AFI20181210BHJP
   G03B 35/24 20060101ALI20181210BHJP
   G02B 27/22 20060101ALI20181210BHJP
   G09F 19/12 20060101ALI20181210BHJP
   G03B 35/00 20060101ALI20181210BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   H04N13/307
   G03B35/24
   G02B27/22
   G09F19/12 Z
   G03B35/00 A
   G02B3/00 A
【請求項の数】9
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2014-168692(P2014-168692)
(22)【出願日】2014年8月21日
(65)【公開番号】特開2016-46645(P2016-46645A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年6月30日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、総務省、戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)「複合撮像面による空間情報取得システムの研究開発」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】日浦 人誌
(72)【発明者】
【氏名】洗井 淳
(72)【発明者】
【氏名】三科 智之
【審査官】 秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−8740(JP,A)
【文献】 特開2004−333691(JP,A)
【文献】 特開2008−52010(JP,A)
【文献】 特開2012−118564(JP,A)
【文献】 特開2009−69850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 13/00−13/398
G03B 35/00−35/36
G02B 27/22
G09F 19/12
G02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
要素画像が印刷された印刷部材と、要素レンズが2次元状に配列されたレンズアレイとを備える立体映像表示装置の製造方法であって、
所定の撮像位置から、調整用ラインパターンが複数の前記要素画像に重ねられた前記印刷部材と前記レンズアレイとを撮像することで、撮像画像を生成する撮像工程と、
前記撮像画像に含まれる前記要素レンズで前記調整用ラインパターンが拡大されているか否かを判定する判定工程と、
前記調整用ラインパターンが拡大されていない場合、前記調整用ラインパターンが前記要素レンズの直径まで拡大されると判定されるまで、前記撮像位置を移動させ、前記撮像工程及び前記判定工程の処理を再実行する撮像位置制御工程と、
前記調整用ラインパターンが拡大されている場合、前記撮像位置の移動方向の反対方向を位置ずれ方向として算出し、相似関係により前記撮像位置の移動量から位置ずれ量を算出する位置ずれ算出工程と、
前記位置ずれ算出工程で算出した位置ずれ方向及び位置ずれ量に基づいて、前記印刷部材又は前記レンズアレイの何れか一方を移動させる調整工程と、
を順に実行することを特徴とする立体映像表示装置の製造方法。
【請求項2】
要素画像が印刷された印刷部材と、要素レンズが2次元状に配列されたレンズアレイとを備える立体映像表示装置の位置ずれ調整装置であって、
所定の撮像位置から、調整用ラインパターンが複数の前記要素画像に重ねられた前記印刷部材と前記レンズアレイとを撮像することで、第1撮像画像を生成する第1撮像手段と、
前記第1撮像手段の前記撮像位置を移動させる第1移動手段と、
前記第1撮像画像に含まれる前記要素レンズで前記調整用ラインパターンが拡大されているか否かを判定する判定手段と、
前記調整用ラインパターンが拡大されていない場合、前記調整用ラインパターンが前記要素レンズの直径まで拡大されると判定されるまで、前記第1移動手段に前記撮像位置を移動させ、前記第1撮像手段及び前記判定手段に処理を再実行させる撮像位置制御手段と、
前記調整用ラインパターンが拡大されている場合、前記第1撮像手段の移動方向の反対方向を位置ずれ方向として算出し、相似関係により前記第1撮像手段の移動量から位置ずれ量を算出する位置ずれ算出手段と、
前記印刷部材又は前記レンズアレイの何れか一方を移動させる第2移動手段と、
前記位置ずれ算出手段が算出した位置ずれ方向及び位置ずれ量に基づいて、前記第2移動手段に前記印刷部材又は前記レンズアレイの何れか一方を移動させる調整手段と、
を備えることを特徴とする位置ずれ調整装置。
【請求項3】
前記第1撮像手段は、1画素幅の前記調整用ラインパターンが含まれる前記第1撮像画像を撮像することを特徴とする請求項2に記載の位置ずれ調整装置。
【請求項4】
要素画像が印刷された印刷部材と、要素レンズが2次元状に配列されたレンズアレイとを備える立体映像表示装置の位置ずれ調整装置であって、
所定の撮像位置から、調整用ラインパターンが複数の前記要素画像に重ねられた前記印刷部材と前記レンズアレイとを撮像することで、第1撮像画像を生成する第1撮像手段と、
前記第1撮像手段の前記撮像位置を移動させる第1移動手段と、
前記第1撮像画像に含まれる前記要素レンズで前記調整用ラインパターンが拡大されているか否かを判定する判定手段と、
前記調整用ラインパターンが拡大されていない場合、前記調整用ラインパターンが前記要素レンズの直径まで拡大されると判定されるまで、前記第1移動手段に前記撮像位置を移動させ、前記第1撮像手段及び前記判定手段に処理を再実行させる撮像位置制御手段と、
前記調整用ラインパターンが拡大されている場合、前記印刷部材と前記レンズアレイとの位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出する位置ずれ算出手段と、
前記印刷部材又は前記レンズアレイの何れか一方を移動させる第2移動手段と、
前記位置ずれ算出手段が算出した位置ずれ方向及び位置ずれ量に基づいて、前記第2移動手段に前記印刷部材又は前記レンズアレイの何れか一方を移動させる調整手段と、
を備え、
前記第1撮像手段は、2画素以上の線幅を有し、かつ、線幅方向で階調値が異なる前記調整用ラインパターンが含まれる前記第1撮像画像を生成し、
前記位置ずれ算出手段は、前記調整用ラインパターンが拡大されている場合、当該調整用ラインパターンの階調値を比較することで前記位置ずれ方向を算出し、当該調整用ラインパターンの階調値の分散が最小となるように前記位置ずれ量を算出することを特徴とする位置ずれ調整装置。
【請求項5】
前記要素画像以外の領域に調整用印刷パターンが印刷された前記印刷部材と、前記要素レンズ以外の領域に調整用印刷パターンが印刷された前記レンズアレイとを撮像することで、第2撮像画像を生成する第2撮像手段と、
前記第2撮像画像から、前記印刷部材と前記レンズアレイとの調整用印刷パターンを検出する検出手段と、
前記検出手段で検出された前記印刷部材と前記レンズアレイとの調整用印刷パターンの位置に基づいて、前記印刷部材の伸縮量を算出する伸縮量算出手段と、
伸縮が無い前記印刷部材に投射される調整用ラインパターンが予め設定され、前記予め設定された調整用ラインパターンを前記伸縮量に応じて変形する変形手段と、
前記変形手段で変形された調整用ラインパターンを前記印刷部材に投射する投射手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項2から請求項4の何れか一項に記載の位置ずれ調整装置。
【請求項6】
前記第2撮像画像から前記要素画像を検出し、検出した前記要素画像の輝度値を算出する輝度値算出手段と、
前記輝度値算出手段で算出された輝度値が予め設定された閾値以上であるか否かを判定し、前記輝度値が前記閾値以上の要素画像を選択する選択手段と、をさらに備え、
前記変形手段は、前記選択手段で選択された要素画像に重ねる前記調整用ラインパターンを変形することを特徴とする請求項5に記載の位置ずれ調整装置。
【請求項7】
要素画像が印刷された印刷部材と、要素レンズが2次元状に配列されたレンズアレイとを備える立体映像表示装置の製造方法であって、
全ての前記要素画像を囲う枠線を有し、前記枠線に直交する線分を複数有する調整用矩形パターンが印刷された前記印刷部材と、全ての前記要素レンズを囲う枠線を有し、前記枠線に直交する線分を複数有する調整用矩形パターンが印刷された前記レンズアレイとを撮像することで、撮像画像を生成する撮像工程と、
前記撮像画像から、前記印刷部材と前記レンズアレイとに印刷された調整用矩形パターンを検出する検出工程と、
前記検出工程で検出された前記印刷部材と前記レンズアレイとの調整用矩形パターンの位置ずれ量を算出する位置ずれ算出工程と、
前記位置ずれ算出工程で算出された位置ずれ量が最小となる位置に、前記印刷部材又は前記レンズアレイの何れか一方を移動させる調整工程と、
を順に実行することを特徴とする立体映像表示装置の製造方法。
【請求項8】
要素画像が印刷された印刷部材と、要素レンズが2次元状に配列されたレンズアレイとを備える立体映像表示装置の位置ずれ調整装置であって、
全ての前記要素画像を囲う枠線を有し、前記枠線に直交する線分を複数有する調整用矩形パターンが印刷された前記印刷部材と、全ての前記要素レンズを囲う枠線を有し、前記枠線に直交する線分を複数有する調整用矩形パターンが印刷された前記レンズアレイとを撮像することで、撮像画像を生成する撮像手段と、
前記印刷部材又は前記レンズアレイの何れか一方を移動させる移動手段と、
前記撮像画像から、前記印刷部材と前記レンズアレイとに印刷された調整用矩形パターンを検出する検出手段と、
前記検出手段で検出された前記印刷部材と前記レンズアレイとの調整用矩形パターンの位置ずれ量を算出する位置ずれ算出手段と、
前記位置ずれ算出手段で算出された位置ずれ量が最小となる位置に、前記移動手段に前記印刷部材又は前記レンズアレイの何れか一方を移動させる調整手段と、
を備えることを特徴とする位置ずれ調整装置。
【請求項9】
前記立体映像表示装置が、前記レンズアレイの出射面側に配置され、所定角度の範囲内の光を透過する光透過制限部材、をさらに備えることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6又は請求項8に記載の位置ずれ調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、要素画像が印刷された印刷部材と、要素レンズが2次元状に配列されたレンズアレイとを備える立体映像表示装置の製造方法及びその位置ずれ調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインテグラルフォトグラフィ(IP:Integral Photography)方式では、1台のカメラで複数の微小レンズが配列されたレンズアレイを通して被写体を撮像する。このとき、カメラがレンズアレイの焦平面を撮像するため、レンズアレイを構成する各微小レンズは、微小なカメラと同じ働きをする。その結果、レンズアレイ越しに被写体を撮像した画像は、微小レンズの位置に応じた微小画像(要素画像)が並んだ要素画像群となる。この要素画像群は、被写体からの光線情報を記録した画像であり、記録できる光線数がカメラの解像度に依存する。
【0003】
従来のカメラでは、撮像用レンズの色収差による歪みを含めた幾何学歪みを補正する技術が提案されている(非特許文献1)。この非特許文献1に記載の技術では、白黒パターンが規則正しく並んだ測定用パターン(例えば、チェスボードパターン)や、規則正しい間隔で表示された格子状の測定用パターンを用いる。そして、非特許文献1に記載の技術は、白黒パターンの頂点が隣接する点又は格子の交点を測定ポイントとして、撮像用レンズの中心から端までの範囲をRGBの各撮像素子によって撮像し、各測定ポイントが直線状に配置されるように幾何学歪みを補正する。要するに、非特許文献1に記載の技術では、既知の測定用パターンを用いて、色収差による歪みを含む幾何学歪みの補正を行う。
【0004】
光学系の幾何学歪みは、位置ずれの要因の一つである。このことから、再生立体映像の劣化が、幾何学歪みに起因して大きくなる。そこで、IP方式においても、立体撮像装置の位置ずれを補正する発明が提案されている(特許文献1)。この特許文献1に記載の発明は、撮像系レンズアレイ及び表示系レンズアレイにおける各要素レンズの位置を検出して、立体撮像装置で撮像された撮像画像の各要素画像の位置を、表示系レンズアレイの要素レンズの位置に合わせて補正するものである。
【0005】
前記した非特許文献1に記載の技術は、表示装置としてプロジェクタを用いた場合にも適用できる。この場合、プロジェクタが既知の測定用パターンを表示し、その測定用パターンを歪みのないカメラが再撮像する。そして、再撮像した画像からプロジェクタの表示画像の位置ずれを検出及び修正することで、設計通りの測定用パターンを表示することができる。
【0006】
また、前記した特許文献1に記載の発明は、直視型の電子ディスプレイにも適用できる。この場合、電子ディスプレイによる歪みは生じにくいため、表示系レンズアレイの配列誤差に応じて表示位置を修正するために用いられる。すなわち、表示系レンズアレイと電子ディスプレイを接合した立体表示装置を一度製作すると、表示系レンズアレイと電子ディスプレイとの位置ずれを修正できないため、それらの位置ずれ及び表示系レンズアレイの配列誤差を打ち消すように電子ディスプレイの画像を修正する。
【0007】
ここで、IP立体映像の解像度は、表示画像の画素間隔に依存する。従って、IP方式では、画素間隔が狭いほど高画質な立体映像を表示することが可能になる。IPでは、電子ディスプレイ及びプロジェクタよりも高精細な映像表現が可能な方法として、フィルム映像を用いる手法が知られている。
【0008】
図24及び図25のように、従来のIP立体映像表示パネル900は、フィルム920を保護するアクリル板910と、要素画像922が描画されたフィルム920と、要素レンズ932が配列されたレンズアレイ930とを備える。
【0009】
以下、IP立体映像表示パネル900の製造について、簡単に説明する。
フィルム920及びレンズアレイ930は、フィルム920及びレンズアレイ930の位置を調整するため、調整用パターン940A,940Bが印刷されている。具体的には、フィルム920は、十字状の調整用パターン(調整用クロスパターン)940Aが4隅に印刷されている。また、レンズアレイ930は、要素レンズ932が形成されたレンズ面の4隅に、4つの四角形からなる調整用パターン(調整用スクエアパターン)940Bが4隅に印刷されている。
【0010】
そして、IP立体映像表示パネル900は、調整用パターン940A,940Bを用いて、フィルム920及びレンズアレイ930の位置を調整し、フィルム920及びレンズアレイ930を接着剤で貼り合わせる。
【0011】
ここで、フィルム920及びレンズアレイ930が同一サイズの場合を考える。この場合、フィルム920及びレンズアレイ930は、互いの位置が一致すれば、調整用クロスパターン940Aが調整用スクエアパターン940Bの隙間に収まる。すなわち、IP立体映像表示パネル900では、調整用パターン940A,940Bを基準として、位置ずれが発生しないように、フィルム920とレンズアレイ930とを貼り合わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−336239号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】「A flexible new technique for camera calibration」,http://opencv.jp/sample/camera_calibration.html,IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence,22(11),1330-1334,2000.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、フィルム920は、電子ディスプレイ等の固体デバイスと異なり、熱などによって物理的に伸縮することがある。フィルム920の伸縮が原因で、調整用パターン940Aは、図26のように本来の位置からずれることがある。この場合、調整用パターン940A,940Bを完全に一致させる(調整用パターン940Aの十字を調整用パターン940Bの四角の隙間に収める)ことが困難である。
【0015】
図27のように、フィルム920に伸縮がある状態で、右上の調整用パターン940A,940Bを一致させた場合を考える。この場合、右上の調整用パターン940A,940Bを一致させても、残りの調整用パターン940A,940Bが一致しない。つまり、フィルム920及びレンズアレイ930には、全体的に大きな位置ずれが発生する。
なお、図27では、図面を見やすくするため、フィルム920を破線で図示した。
【0016】
各フィルム920の伸縮量が異なるため、複数枚のフィルム920を同時に印刷しても等しくなるとは限らない。従って、前記した特許文献1及び非特許文献1に記載の技術は、IP立体映像表示パネル900に適用することが困難である。
【0017】
本願発明は、印刷部材の伸縮を考慮して、印刷部材とレンズアレイとの位置を精度よく調整できる立体映像表示装置の製造方法及びその位置ずれ調整装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記した課題に鑑みて、本願第1発明に係る製造方法は、要素画像が印刷された印刷部材と、要素レンズが2次元状に配列されたレンズアレイとを備える立体映像表示装置の製造方法であって、撮像工程と、判定工程と、撮像位置制御工程と、位置ずれ算出工程と、調整工程とを順に実行することを特徴とする。
【0019】
かかる手順によれば、当該製造方法は、撮像工程において、所定の撮像位置から、調整用ラインパターンが複数の要素画像に重ねられた印刷部材とレンズアレイとを撮像することで、撮像画像を生成する。
【0020】
ここで、調整用ラインパターンと要素レンズの主点とを通過する軸線上では、調整用ラインパターンが要素レンズで拡大される。そこで、撮像位置は、印刷部材とレンズアレイとの位置ずれが無く、かつ、印刷部材が伸縮していないとき、要素レンズで拡大された調整用ラインパターンを撮像できる位置に予め設定(初期設定)する。
【0021】
従って、初期設定された撮像位置において、調整用ラインパターンが要素レンズで拡大される場合、印刷部材とレンズアレイとの位置ずれが無いと言える。一方、初期設定された撮像位置において、調整用ラインパターンが要素レンズで拡大されない場合、印刷部材とレンズアレイとの位置ずれが有ると言える。
【0022】
そこで、当該製造方法は、判定工程において、撮像画像に含まれる要素レンズで調整用ラインパターンが拡大されているか否かを判定する。このとき、撮像画像に調整用ラインパターンが拡大されているか否かが明確に表れるので、判定工程での判定精度が向上する。
【0023】
当該製造方法は、撮像位置制御工程において、調整用ラインパターンが拡大されていない場合、調整用ラインパターンが要素レンズの直径まで拡大されると判定されるまで、撮像位置を移動させ、撮像工程及び判定工程の処理を再実行する。すなわち、当該製造方法は、初期設定された撮像位置から、撮像位置が調整用ラインパターンと要素レンズの主点とを通過する軸線上に到達するまで、撮像工程と判定工程と撮像位置制御工程との処理を繰り返す。
【0024】
ここで、撮像位置は、印刷部材とレンズアレイとの位置ずれが有る場合、初期位置から移動することになる。つまり、撮像位置の移動方向及び移動量から、印刷部材とレンズアレイとの位置ずれ方向及び位置ずれ量を求めることができる。
【0025】
そこで、当該製造方法は、位置ずれ算出工程において、調整用ラインパターンが拡大されている場合、撮像位置の移動方向の反対方向を位置ずれ方向として算出し、相似関係により撮像位置の移動量から位置ずれ量を算出する。そして、当該製造方法は、調整工程において、位置ずれ算出工程で算出した位置ずれ方向及び位置ずれ量に基づいて、印刷部材又はレンズアレイの何れか一方を移動させる。
【0026】
また、本願第2発明に係る位置ずれ調整装置は、要素画像が印刷された印刷部材と、要素レンズが2次元状に配列されたレンズアレイとを備える立体映像表示装置の位置ずれ調整装置であって、第1撮像手段と、第1移動手段と、判定手段と、撮像位置制御手段と、位置ずれ算出手段と、第2移動手段と、調整手段とを備えることを特徴とする。
【0027】
かかる構成によれば、位置ずれ調整装置は、第1撮像手段によって、所定の撮像位置から、調整用ラインパターンが複数の要素画像に重ねられた印刷部材とレンズアレイとを撮像することで、第1撮像画像を生成する。
【0028】
位置ずれ調整装置は、第1移動手段によって、第1撮像手段の撮像位置を移動させる。そして、位置ずれ調整装置は、判定手段によって、第1撮像画像に含まれる要素レンズで調整用ラインパターンが拡大されているか否かを判定する。このとき、第1撮像画像に調整用ラインパターンが拡大されているか否かが明確に表れるので、判定手段での判定精度が向上する。
【0029】
位置ずれ調整装置は、撮像位置制御手段によって、調整用ラインパターンが拡大されていない場合、調整用ラインパターンが要素レンズの直径まで拡大されると判定されるまで、第1移動手段に撮像位置を移動させ、第1撮像手段及び判定手段に処理を再実行させる。すなわち、位置ずれ調整装置は、初期設定された撮像位置から、撮像位置が調整用ラインパターンと要素レンズの主点とを通過する軸線上に到達するまで、第1撮像手段と判定手段と撮像位置制御手段との処理を繰り返す。
【0030】
位置ずれ調整装置は、位置ずれ算出手段によって、調整用ラインパターンが拡大されている場合、第1撮像手段の移動方向の反対方向を位置ずれ方向として算出し、相似関係により第1撮像手段の移動量から位置ずれ量を算出する。そして、位置ずれ調整装置は、第2移動手段によって、印刷部材又はレンズアレイの何れか一方を移動させる。さらに、位置ずれ調整装置は、調整手段によって、位置ずれ算出手段が算出した位置ずれ方向及び位置ずれ量に基づいて、第2移動手段に印刷部材又はレンズアレイの何れか一方を移動させる。
【0031】
また、本願第3発明に係る製造方法は、要素画像が印刷された印刷部材と、要素レンズが2次元状に配列されたレンズアレイとを備える立体映像表示装置の製造方法であって、撮像工程と、検出工程と、位置ずれ算出工程と、調整工程とを順に実行することを特徴とする。
【0032】
かかる手順によれば、当該製造方法は、撮像工程において、全ての要素画像を囲う枠線を有し、枠線に直交する線分を複数有する調整用矩形パターンが印刷された印刷部材と、全ての要素レンズを囲う枠線を有し、枠線に直交する線分を複数有する調整用矩形パターンが印刷されたレンズアレイとを撮像することで、撮像画像を生成する。
【0033】
当該製造方法は、検出工程によって、撮像画像から、印刷部材とレンズアレイとに印刷された調整用矩形パターンを検出する。この調整用矩形パターンの4辺には、検出工程で調整用矩形パターンを検出する際の基準となる検出基準を多く設けられるので、検出工程での検出精度が向上する。
【0034】
当該製造方法は、位置ずれ算出工程において、検出工程で検出された印刷部材とレンズアレイとの調整用矩形パターンの位置ずれ量を算出する。そして、当該製造方法は、調整工程において、位置ずれ算出工程で算出された位置ずれ量が最小となる位置に、印刷部材又はレンズアレイの何れか一方を移動させる。
【0035】
また、本願第4発明に係る位置ずれ調整装置は、要素画像が印刷された印刷部材と、要素レンズが2次元状に配列されたレンズアレイとを備える立体映像表示装置の位置ずれ調整装置であって、撮像手段と、移動手段と、検出手段と、位置ずれ算出手段と、調整手段とを備えることを特徴とする。
【0036】
かかる構成によれば、位置ずれ調整装置は、撮像手段によって、全ての要素画像を囲う枠線を有し、枠線に直交する線分を複数有する調整用矩形パターンが印刷された印刷部材と、全ての要素レンズを囲う枠線を有し、枠線に直交する線分を複数有する調整用矩形パターンが印刷されたレンズアレイとを撮像することで、撮像画像を生成する。そして、位置ずれ調整装置は、移動手段によって、印刷部材又はレンズアレイの何れか一方を移動させる。
【0037】
位置ずれ調整装置は、検出手段によって、撮像画像から、印刷部材とレンズアレイとに印刷された調整用矩形パターンを検出する。この調整用矩形パターンの4辺に検出基準を多く設けられるので、検出手段での検出精度が向上する。
【0038】
位置ずれ調整装置は、位置ずれ算出手段によって、検出手段で検出された印刷部材とレンズアレイとの調整用矩形パターンの位置ずれ量を算出する。そして、位置ずれ調整装置は、調整手段によって、位置ずれ算出手段で算出された位置ずれ量が最小となる位置に、移動手段に印刷部材又はレンズアレイの何れか一方を移動させる。
【発明の効果】
【0042】
本願発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
本願第1,2発明によれば、撮像画像に調整用ラインパターンが拡大されているか否かが明確に表れるので、その判定精度が向上し、正確な位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出できる。これによって、本願第1,2発明によれば、印刷部材が伸縮する場合でも、印刷部材とレンズアレイとの位置を精度よく調整できるので、立体映像表示装置の画質を向上させることができる。
【0043】
本願第3,4発明によれば、調整用矩形パターンの4辺に多くの検出基準を設けられるので、その検出精度が向上する。従って、本願第3,4発明によれば、印刷部材が伸縮する場合でも、印刷部材とレンズアレイとの位置を精度よく調整できるので、立体映像表示装置の画質を向上させることができる。
本願第5発明によれば、サイドローブからの立体映像が表示されないので、立体映像表示装置の画質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】(a)は本願発明の第1実施形態に係るIP立体映像表示パネルの構成を示す側面図であり、(b)はIP立体映像表示パネルの製造を説明する側面図である。
図2図1のフィルム及びレンズアレイの正面図である。
図3】本願発明の第1実施形態に係る位置ずれ調整装置の構成を示すブロック図である。
図4図3の位置ずれ調整装置の説明図であり、位置ずれが無い場合の撮像位置と要素レンズの主点と調整用パターンとの位置関係を表す。
図5図3の位置ずれ調整装置の説明図であり、(a)は位置ずれが有る場合の位置関係を表し、(b)は撮像位置を移動した後の位置関係を表す。
図6図3の位置ずれ調整装置による位置ずれ量の算出を説明する説明図である。
図7図3の位置ずれ調整装置の動作を示すフローチャートである。
図8】本願発明の変形例1におけるフィルムの正面図である。
図9】本願発明の変形例2におけるフィルムの正面図である。
図10】本願発明の変形例2において、調整用ラインパターンの印刷位置を説明する説明図である。
図11】(a)は本願発明の第2実施形態におけるフィルム及びレンズアレイの正面図であり、(b)は(a)の調整用ラインパターンの拡大図である。
図12】本願発明の第2実施形態に係る位置ずれ調整装置の構成を示すブロック図である。
図13図12の位置ずれ調整装置の説明図であり、(a)は位置ずれが無い場合の位置関係を表し、(b)は1画素だけ位置ずれした場合の位置関係を表し、(c)は(b)と反対方向に1画素だけ位置ずれした場合の位置関係を表す。
図14図12の位置ずれ調整装置の説明図であり、(a)は回転方向に位置ずれしている場合のフィルム及びレンズアレイの正面図であり、(b)は位置ずれが無い場合のフィルム及びレンズアレイの正面図である。
図15】本願発明の第3実施形態に係る位置ずれ調整装置の構成を示すブロック図である。
図16図15のフィルム及びレンズアレイの正面図である。
図17】本願発明の第4実施形態に係る位置ずれ調整装置の構成を示すブロック図である。
図18】本願発明の変形例3を説明する説明図である。
図19】本願発明の第5実施形態に係る位置ずれ調整装置の構成を示すブロック図である。
図20図19のフィルム及びレンズアレイの正面図であり、(a)はフィルムに伸縮が無い場合であり、(b)は回転方向に位置ずれしている場合であり、(c)は位置ずれを調整した後である。
図21図19のフィルム及びレンズアレイの正面図であり、(a)はフィルムに伸縮がある場合であり、(b)は位置ずれを調整した後である。
図22図19の位置ずれ調整装置の動作を示すフローチャートである。
図23】(a)は本願発明の第6実施形態に係るIP立体映像表示パネルの構成を示す側面図であり、(b)はIP立体映像表示パネルの製造を説明する側面図である。
図24】従来のIP立体映像表示パネルの構成を示す側面図である。
図25図24のフィルム及びレンズアレイの正面図であり、フィルムが伸縮していない場合を表す。
図26図24のフィルム及びレンズアレイの正面図であり、フィルムが伸縮している場合を表す。
図27】従来技術における位置ずれの調整を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本願発明の各実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各実施形態において、同一の機能を有する手段には同一の符号を付し、説明を省略した。
【0046】
(第1実施形態)
[IP立体映像表示パネルの構成]
図1図2を参照して、本願発明の第1実施形態に係るIP立体映像表示パネル(立体映像表示装置)1の構成について説明する。
図1(a)のように、IP立体映像表示パネル1は、IP立体映像を表示するものであり、アクリル板10と、フィルム(印刷部材)20と、レンズアレイ30とを備える。
【0047】
アクリル板10は、フィルム20に傷がつくことや、外部からの圧力でフィルム20がレンズアレイ30から剥がれることを防止するものである。なお、アクリル板10のような保護部材は、IP立体映像表示パネル1に必須の構成要素ではない。
【0048】
フィルム20は、IP立体映像表示パネル1で表示するIP立体映像(要素画像群)が印刷(描画)されたものである。図2のように、フィルム20は、後記する要素レンズ32と同一位置及び同一サイズの要素画像22が印刷されている。
【0049】
ここで、IP立体映像表示パネル1の製造時にフィルム20とレンズアレイ30との位置を調整する。このため、フィルム20は、複数の要素画像22に重なるように調整用ラインパターン50が印刷されている。本実施形態では、フィルム20は、垂直方向及び水平方向にそれぞれ2本の調整用ラインパターン50が、外縁側の要素画像22の中心を通過するように印刷されている。各調整用ラインパターン50は、フィルム20の1画素分の幅を有する直線であり、所定の色(例えば、黒色)となっている。
【0050】
なお、調整用ラインパターン50は、要素画像22の領域に印刷すればよく、要素画像22以外の領域に印刷せずともよい。
また、フィルム20の画素とは、フィルム20に要素画像22を印刷するときのドットのことである。
【0051】
レンズアレイ30は、デルタ配置、正方配列等の2次元配列で要素レンズ32を配列したものである。本実施形態では、レンズアレイ30は、一方が凸状のレンズ面、かつ、他方が平坦面の平凸レンズをデルタ配列した平凸レンズアレイである。
【0052】
この他、レンズアレイ30としては、凸レンズを配列した凸レンズアレイ、凹レンズを配列した凹レンズアレイ、波長の3/4周期のGRINレンズ(屈折率分布レンズ)を配列したGRINレンズアレイがあげられる。また、レンズアレイ30は、水平方向に縦長のレンズを並べたレンチキュラレンズアレイであってもよい。レンズアレイ30がレンチキュラレンズアレイの場合、垂直方向の調整用ラインパターン50のみ印刷される。
なお、図2では、図面を見やすくするために要素画像22及び要素レンズ32を18個図示したが、要素画像22及び要素レンズ32の個数は任意である。
【0053】
図1(b)のように、IP立体映像表示パネル1は、その製造時、アクリル板10及びフィルム20と、フィルム20及びレンズアレイ30とを接着材40で貼り合わせる。例えば、接着材40としては、紫外線硬化型接着剤などの光透過型接着材があげられる。
【0054】
ここで、IP立体映像表示パネル1は、接着剤40がフィルム20に接する面から要素レンズ32の主点までの光学距離と、要素レンズ32の焦点距離とが等しくなるように設計される。そして、IP立体映像表示パネル1は、要素レンズ32の焦点位置にフィルム20が位置するように、フィルム20とレンズアレイ30とを貼り合わせる。これにより、IP立体映像表示パネル1は、要素レンズ32が無限遠に焦点を合わせるので、レンズアレイ30が平行光を出射する。
【0055】
なお、IP立体映像表示パネル1は、要素レンズ32の焦点位置にフィルム20を配置せずともよい。この場合、IP立体映像表示パネル1では、レンズアレイ30の前面又は背面に光が収束する。
【0056】
<IP立体映像表示パネルでの位置ずれ>
以下、IP立体映像表示パネル1で発生する位置ずれについて説明する。
IP立体映像表示パネル1は、アクリル板10とフィルム20との間や、フィルム20とレンズアレイ30との間で位置ずれを起こす可能性がある。
【0057】
フィルム20とレンズアレイ30との位置ずれは、IP立体映像の画質及び視域(IP立体映像を観察できる範囲)に影響を及ぼす。
一方、アクリル板10とフィルム20との位置ずれは、IP立体映像の画質及び視域に殆ど影響を及ぼさない。具体的には、アクリル板10とフィルム20とを貼り合わせた接着剤40の厚みにムラがある場合や、アクリル板10の光透過率にムラがある場合、IP立体映像の明るさが均一にならない程度の軽微な影響に留まる。
そこで、前記影響の程度をふまえ、本実施形態では、フィルム20とレンズアレイ30との位置ずれに着目する。
【0058】
フィルム20とレンズアレイ30との貼り合わせ距離に誤差がある場合、再生される立体映像の画質にも影響する。このため、貼り合わせ距離は、貼り合わせ面において一定であることが望ましい。しかし実際には、貼り合わせ距離は、レンズアレイ30の表面の面精度や接着剤40の塗布ムラといった理由で、完全に均一にすることが困難である。
【0059】
また、要素レンズ32が許容錯乱円を有しているので、貼り合わせ距離に誤差があったとしても、フィルム20の画素サイズが許容錯乱円よりも小さければ、立体映像の画質に対する位置ずれの実質的な影響がない。つまり、立体映像の画質に対する位置ずれの影響の有無は、要素レンズ32が持つ錯乱円の大きさとフィルム20の画素サイズとによって決まる。
【0060】
なお、貼り合わせ距離とは、レンズアレイ30の平坦面からフィルム20までの距離である。
また、許容錯乱円とは、要素レンズ32の焦点を結ぶ領域(錯乱円)が許容される大きさのことである。
【0061】
ここで、フィルム20及びレンズアレイ30が、互いの貼り合わせ面で水平方向又は垂直方向に位置ずれした場合を考える。この場合、IP立体映像は、位置ずれした方向に応じた歪みを生じる。このとき、IP立体映像は、位置ずれ量が要素画像の画素数に対して僅かな場合、位置ずれした方向に僅かに移動したように観察されるため、位置ずれの影響が少ない。
【0062】
一方、フィルム20及びレンズアレイ30が、互いの貼り合わせ面で回転方向に位置ずれした状態を考える。この場合、IP立体映像は、その観察できる範囲(視域)が狭くなると共に、回転して表示される。このとき、IP立体映像は、IP立体映像表示パネル1が大きくなるか、その表示位置がレンズアレイ30から離れる程、位置ずれの影響が大きくなる。
【0063】
以上のように、IP立体映像は、フィルム20とレンズアレイ30との位置ずれが大きくなる程、画質が劣化する。そこで、IP立体映像表示パネル1を製造する際、フィルム20とレンズアレイ30との位置ずれを最小限に抑えることが重要となる。
【0064】
[位置ずれ調整装置の構成]
図3を参照し、本願発明の第1実施形態に係る位置ずれ調整装置100の構成について説明する(適宜図2参照)。
なお、図3では、アクリル板10の図示を省略した(図12図15図17図19も同様)。
【0065】
位置ずれ調整装置100は、IP立体映像表示パネル1を製造する際、調整用ラインパターン50に基づいて、フィルム20とレンズアレイ30との位置ずれを最小限に抑えるものである。図3のように、位置ずれ調整装置100は、撮像装置(第1撮像手段)110と、位置ずれ算出装置120と、撮像装置用ステージ(第1移動手段)130と、フィルム用ステージ(第2移動手段)140とを備える。
【0066】
撮像装置110は、所定の撮像位置から、フィルム20とレンズアレイ30とを撮像することで、撮像画像(第1撮像画像)を生成するものである。例えば、撮像装置110としては、一般的なデジタルカメラがあげられる。また、撮像装置110は、位置ずれ算出装置120から撮像指令が入力されたとき、撮像を行う。そして、撮像装置110は、生成した撮像画像を位置ずれ算出装置120に出力する。
【0067】
ここで、撮像装置110は、その撮像位置を、フィルム20とレンズアレイ30との位置ずれが無く、かつ、フィルム20が伸縮していないとき、要素レンズ32で拡大された調整用ラインパターン50を撮像できる位置に予め設定(初期設定)しておく。
【0068】
位置ずれ算出装置120は、撮像装置110から入力された撮像画像を用いて、位置ずれ量を算出するものである。ここで、位置ずれ算出装置120は、撮像装置110の撮像位置を移動させるため、撮像装置用ステージ130に駆動信号を出力する。ここで、位置ずれ算出装置120は、移動後の撮像位置で撮像を行うため、撮像装置110に撮像指令を出力する。さらに、位置ずれ算出装置120は、フィルム20とレンズアレイ30との位置を調整するため、フィルム用ステージ140に駆動信号を出力する。
なお、位置ずれ算出装置120の詳細は、後記する。
【0069】
撮像装置用ステージ130は、位置ずれ算出装置120から入力された駆動信号に応じて、撮像装置110の撮像位置を移動させるものである。この撮像装置用ステージ130は、撮像装置110を載置する台座132を備える。そして、撮像装置用ステージ130は、台座132を水平方向、垂直方向及び奥行方向に駆動することで、撮像装置110を任意の撮像位置に移動可能である。
【0070】
フィルム用ステージ140は、位置ずれ算出装置120から入力された駆動信号に応じて、フィルム20を移動させるものである。このフィルム用ステージ140は、フィルム20を載置する台座142を備える。そして、フィルム用ステージ140は、台座142を水平方向、垂直方向及び奥行方向に駆動することができる。さらに、フィルム用ステージ140は、このフィルム20の中心位置(中心画素)を回転軸として、台座142を回転させることもできる。このようにして、フィルム用ステージ140は、フィルム20を任意の位置に移動可能である。
【0071】
[位置ずれ算出装置の構成]
位置ずれ算出装置120は、拡大判定手段(判定手段)121と、撮像位置制御手段123と、位置ずれ算出手段125と、位置ずれ調整手段(調整手段)127とを備える。
【0072】
拡大判定手段121は、撮像装置110からの撮像画像に含まれる要素レンズ32で調整用ラインパターン50が拡大されているか否かを判定するものである。この拡大判定手段121は、後記する撮像位置制御手段123から判定指令が入力されたとき、判定を行う。
【0073】
ここで、調整用ラインパターン50が拡大されていない場合、拡大判定手段121は、撮像位置制御手段123に撮像位置移動指令を出力する。
一方、調整用ラインパターン50が拡大されている場合、拡大判定手段121は、位置ずれ算出手段125に位置ずれ算出指令を出力する。
【0074】
撮像位置制御手段123は、調整用ラインパターン50が拡大されていない場合、撮像装置用ステージ130に撮像装置110の撮像位置を移動させ、撮像装置110及び拡大判定手段121に処理を再実行させるものである。
【0075】
具体的には、撮像位置制御手段123は、拡大判定手段121から撮像位置移動指令が入力されたとき、撮像装置用ステージ130に駆動信号を出力する。駆動信号の出力後、撮像位置制御手段123は、撮像装置110に撮像指令を出力すると共に、拡大判定手段121に判定指令を出力する。
【0076】
位置ずれ算出手段125は、フィルム20とレンズアレイ30との位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出するものである。
具体的には、位置ずれ算出手段125は、拡大判定手段121から位置ずれ算出指令が入力されたとき、撮像装置110の移動方向に対応した位置ずれ方向を算出し、相似関係により撮像装置110の移動量から位置ずれ量を算出する。そして、位置ずれ算出手段125は、算出した位置ずれ方向及び位置ずれ量を位置ずれ調整手段127に出力する。
【0077】
位置ずれ調整手段127は、位置ずれ算出手段125から入力された位置ずれ方向及び位置ずれ量に基づいて、フィルム用ステージ140にフィルム20を移動させるものである。この位置ずれ調整手段127は、位置ずれ方向及び位置ずれ量に応じた駆動信号を生成し、フィルム用ステージ140に出力する。
【0078】
<位置の調整>
図4図6を参照し、位置ずれ調整装置100による位置の調整を具体的に説明する(適宜図1図3参照)。
図4では、撮像位置は、要素レンズ32の主点P1からの垂線上に初期設定されていることとする。また、図4では、フィルム20とレンズアレイ30との位置ずれが無いこととする。
【0079】
図4のように、調整用ラインパターン50は、要素画像22の中心(要素レンズ32の主点P1からの垂線上に位置する画素)に印刷されている。従って、撮像装置110の光軸は、要素レンズ32の主点P1を通過し、調整用ラインパターン50に達する。つまり、撮像位置と要素レンズ32の主点P1と調整用ラインパターン50とが一直線上に位置する。
【0080】
この場合、要素レンズ32は、要素画像22に印刷された調整用ラインパターン50を要素レンズ32の直径まで拡大して表示する。従って、撮像装置110は、初期設定された撮像位置において、調整用ラインパターン50が拡大された状態の要素レンズ32を撮像できる。このとき、フィルム20とレンズアレイ30との位置ずれが無いと言える。
【0081】
図5のように、フィルム20とレンズアレイ30との位置ずれが有る場合、位置ずれ調整装置100は、以下のように位置を調整する。
撮像装置110は、初期設定された撮像位置でフィルム20とレンズアレイ30とを撮像し、撮像画像を拡大判定手段121に出力する。
【0082】
拡大判定手段121は、初期設定された撮像位置で撮像された撮像画像から、要素レンズ32を検出する。そして、拡大判定手段121は、検出した要素レンズ32に調整用ラインパターン50が拡大されているか否かを判定する。例えば、拡大判定手段121は、検出した要素レンズ32の色が調整用ラインパターン50の色に一致するか否かにより、調整用ラインパターン50が拡大されているか否かを判定できる。
【0083】
図5(a)に一点鎖線で図示したように、撮像位置が調整用ラインパターン50と要素レンズ32の主点P1とを通過する軸線上にない。このため、撮像画像では、要素レンズ32に調整用ラインパターン50が拡大されていない。従って、拡大判定手段121は、調整用ラインパターン50が拡大されていないと判定し、撮像位置制御手段123に撮像位置移動指令を出力する。
【0084】
撮像位置制御手段123は、拡大判定手段121から入力された撮像位置移動指令に応じて、撮像装置用ステージ130に駆動信号を出力する。すると、撮像装置用ステージ130は、この駆動信号に応じて、撮像装置110を移動させる。
【0085】
なお、要素レンズ32の出射角、及び、要素レンズ32の主点P1と撮像位置との距離から、撮像位置の移動範囲が定まる。そこで、撮像位置制御手段123は、初期設定された撮像位置を起点として、その移動範囲内でラスタスキャンを行うように移動させるとよい。このとき、撮像位置制御手段123は、撮像装置110とフィルム20との距離が一定となるように撮像装置110を垂直方向及び水平方向に移動させ、奥行き方向では移動させない。
【0086】
続いて、撮像位置制御手段123は、撮像装置110に撮像指令を出力する。すると、撮像装置110は、この撮像指令に応じて、移動後の撮像位置でフィルム20とレンズアレイ30とを撮像し、撮像画像を拡大判定手段121に出力する。
【0087】
続いて、拡大判定手段121は、移動後の撮像位置で撮像された撮像画像から、要素レンズ32を検出する。そして、拡大判定手段121は、検出した要素レンズ32に調整用ラインパターン50が拡大されているか否かを判定する。
【0088】
図5(b)のように、撮像位置が調整用ラインパターン50と要素レンズ32の主点P1とを通過する軸線上に到達するまで、位置ずれ調整装置100は、撮像装置110と拡大判定手段121と撮像位置制御手段123との処理を繰り返す。
なお、図5(b)では、初期設定された撮像位置の撮像装置110を点線で図示した。
【0089】
この場合、撮像画像では、要素レンズ32に調整用ラインパターン50が拡大されている。従って、拡大判定手段121は、調整用ラインパターン50が拡大されていると判定し、位置ずれ算出手段125に位置ずれ算出指令を出力する。
【0090】
位置ずれ算出手段125は、この位置ずれ算出指令に応じて、フィルム20とレンズアレイ30との位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出する。例えば、位置ずれ算出手段125は、撮像装置110の移動方向Dの反対方向を、位置ずれ方向D´として算出する。
【0091】
また、位置ずれ算出手段125は、図6のように、三角形P1〜P3と三角形P1,P4,P5との相似を利用して、位置ずれ量を算出できる。この三角形P1〜P3は、要素レンズ32の主点P1を頂点とし、フィルム20とレンズアレイ30との位置ずれ量dを表す線分P2,P3を底辺とした直角三角形である。また、三角形P1,P4,P5は、要素レンズ32の主点P1を頂点とし、撮像装置110の移動量xを表す線分P4,P5を底辺とした直角三角形である。
【0092】
ここで、要素レンズ32の焦点距離f、要素レンズ32の主点P1から撮像装置110までの距離zが既知である。そこで、位置ずれ算出手段125は、下記の式(1)を用いて、撮像装置110の移動量xから位置ずれ量dを算出する。
z:f=x:d …式(1)
【0093】
なお、図6では、要素画像22の中心をP2、要素レンズ32の光軸と要素画像22との交点をP3、調整用ラインパターン50が拡大されていると判定したときの撮像位置をP4、初期設定された撮像位置をP5とする。
【0094】
以上のように、位置ずれ算出手段125は、ある要素画像22について、位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出する。そして、前記と同様の手順を繰り返し、位置ずれ算出手段125は、調整用ラインパターン50が印刷された要素画像22毎に、位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出する。
【0095】
ここで、フィルム20が伸縮していると、各要素画像22の位置ずれ方向及び位置ずれ量が異なる場合がある。この場合、位置ずれ算出手段125は、4隅の要素画像22の位置ずれ方向から、フィルム20全体の位置ずれ方向を算出する。そして、位置ずれ算出手段125は、各要素画像22の位置ずれ量の総和が最小となるように、フィルム20全体の位置ずれ量を算出できる。その後、位置ずれ算出手段125は、フィルム20全体の位置ずれ方向及び位置ずれ量を、位置ずれ調整手段127に出力する。
【0096】
[位置ずれ調整装置の動作]
図7を参照し、図3の位置ずれ調整装置100の動作について説明する(適宜図3参照)。
位置ずれ調整装置100は、撮像装置110による撮像を行い、撮像画像を生成する(撮像工程:ステップS1)。
位置ずれ調整装置100は、拡大判定手段121によって、ステップS1で生成した撮像画像に含まれる要素レンズ32で調整用ラインパターン50が拡大されているか否かを判定する(判定工程:ステップS2)。
【0097】
調整用ラインパターン50が拡大されていない場合(ステップS2でNo)、位置ずれ調整装置100は、撮像位置制御手段123によって、撮像装置用ステージ130に撮像位置を移動させ(撮像位置制御工程:ステップS3)、撮像工程S1に戻る。
つまり、位置ずれ調整装置100は、ステップS2で調整用ラインパターン50が拡大されていると判定されるまで(ステップS2でYes)、ステップS1〜S3を繰り返す。
【0098】
位置ずれ調整装置100は、位置ずれ算出手段125によって、フィルム20とレンズアレイ30との位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出する(位置ずれ算出工程:ステップS4)。
位置ずれ調整装置100は、位置ずれ調整手段127によって、ステップS4で算出された位置ずれ方向及び位置ずれ量に基づいて、フィルム用ステージ140にフィルム20を移動させる(調整工程:ステップS5)。
【0099】
なお、位置ずれ調整装置100の動作説明では、本願発明とは直接関係がないIP立体表示パネル1の一般的な製造工程は省略した。
例えば、アクリル板10をフィルム20に貼り合わせた後、フィルム20とレンズアレイ30との位置を調整してもよい。また、フィルム20とレンズアレイ30との位置を調整した後、アクリル板10をフィルム20に貼り合わせてもよい。
【0100】
また、フィルム20とレンズアレイ30との位置を調整する際、フィルム20とレンズアレイ30との間には接着剤40を塗布しないことが好ましい。具体的には、位置ずれ算出装置120は、接着材40の屈折率から算出される空気中での距離だけレンズアレイ30から離した位置にフィルム20を固定して、フィルム20とレンズアレイ30との位置を調整する。位置ずれ調整後、位置ずれ算出装置120は、フィルム20とレンズアレイ30との貼り合わせ位置を記憶する(貼り合わせ位置記憶工程)。そして、フィルム20又はレンズアレイ30に接着剤40を塗布した後、位置ずれ算出装置120は、記憶した貼り合わせ位置でフィルム20とレンズアレイ30とを貼り合わせる(貼り合わせ工程)。
【0101】
[作用・効果]
本願発明の第1実施形態に係る位置ずれ調整装置100は、撮像画像に調整用ラインパターン50が拡大されているか否かが明確に表れる。このため、位置ずれ調整装置100は、従来技術のように調整用パターンをそのまま検出する場合に比べて、拡大判定手段121の判定精度が向上し、正確な位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出できる。その結果、位置ずれ調整装置100は、フィルム20が伸縮する場合でも、フィルム20とレンズアレイ30との位置を精度よく調整することができる。従って、位置ずれ調整装置100で製造されたIP立体表示パネル1は、その画質が向上する。
【0102】
(変形例1)
図8を参照し、本願発明の変形例1について、第1実施形態と異なる点を説明する(適宜図3参照)。
第1実施形態では、調整用ラインパターン50を拡大する全ての要素レンズ32について(例えば、10個の要素レンズ32)、撮像装置110の撮像位置を初期設定した。
変形例1では、2本の調整用ラインパターン50の交点を拡大する要素レンズ32について(例えば、2個の要素レンズ32)、撮像装置110の撮像位置を初期設定する点が第1実施形態と異なる。
【0103】
図8のように、2本の調整用ラインパターン50の交点をP6,P7とする。この撮像位置は、交点P6と、交点P6が印刷された要素画像22に対応する要素レンズ32の主点とを通過する軸線上に位置する。
なお、交点P6の対角線上に位置する交点P7についても、交点P6と同様に撮像位置を初期設定する。
【0104】
ここでは、フィルム20の伸縮や、フィルム20とレンズアレイ30との位置ずれが無いこととする。この撮像位置(図8では交点P6又はP7に相当する位置)から見て、2本の調整用ラインパターン50がそれぞれ水平及び垂直になる。従って、この撮像位置では、右上の要素レンズ32だけでなく、2本の調整用ラインパターン50が通過する4個の要素レンズ32でも、調整用ラインパターン50が拡大される。
【0105】
そして、撮像装置110は、2本の調整用ラインパターン50が通過する計5個の要素レンズ32が収まる画角で撮像を行う。従って、拡大判定手段121は、交点P6を通過する2本の調整用ラインパターン50を拡大する5個の要素レンズ32に対して、調整用ラインパターン50が拡大されているか否かを1回で判定できる。その結果、位置ずれ調整装置100は、撮像装置110の撮像回数を低減することができる。
【0106】
(変形例2)
図9図10を参照し、本願発明の変形例2について、第1実施形態と異なる点を説明する(適宜図3参照)。
【0107】
変形例2では、3次元空間内で任意の一点に撮像装置110の撮像位置を初期設定する点が第1実施形態と異なる。例えば、図9のように、フィルム20の中心P8からの垂線上に撮像位置を初期設定する。
【0108】
前記したように、撮像位置と要素レンズ32の主点と調整用ラインパターン50とが一直線上に位置する必要がある。そこで、調整用ラインパターン50は、第1実施形態のように要素画像22の中心に印刷せずに、要素画像22の中心から予めシフトして印刷する必要がある。
【0109】
図10のように、調整用ラインパターン50のシフト量eは、三角形P1,P3,P9と三角形P1,P10,P5との相似を利用して、算出できる。この三角形P1,P3,P9は、要素レンズ32の主点P1を頂点とし、調整用ラインパターン50のシフト量eを表す線分P3,P9を底辺とした直角三角形である。また、三角形P1,P10,P5は、要素レンズ32の主点P1を頂点とし、撮像装置110の移動量lを表す線分P10,P5を底辺とした直角三角形である。
【0110】
ここで、焦点距離f及び距離zが既知である。そこで、調整用ラインパターン50のシフト量eは、下記の式(2)を用いて、距離lから算出できる。
z:f=l:e …式(2)
【0111】
なお、図10では、要素画像22の中心と要素レンズ32の主点P1との軸線上に位置する撮像装置110を点線で図示した。つまり、点線の撮像装置110は、第1実施形態で初期設定された撮像位置の撮像装置110を表す。
また、シフトした調整用ラインパターン50の位置をP9、点線の撮像装置110の撮像位置をP10とする。
また、距離lは、撮像位置P10,P5の距離を表す。
【0112】
変形例2によれば、位置ずれ調整装置100は、撮像装置110の撮像回数をより低減することができる。さらに、位置ずれ調整装置100は、フィルム20における伸縮の有無に関わらず、撮像位置を僅かに移動させるだけで、フィルム20とレンズアレイ30との位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出できる。
なお、変形例1,2では、位置ずれ算出装置120の処理自体は、第1実施形態と同様のため、これ以上の説明を省略する。
【0113】
(第2実施形態)
[IP立体映像表示パネルの構成]
図11図12を参照して、本願発明の第2実施形態に係るIP立体映像表示パネル1Bの構成について、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0114】
第1実施形態では、調整用ラインパターン50が1画素の線幅のため(図2)、レンズアレイ30に対してフィルム20が1画素以上ずれていた場合、調整用ラインパターン50を撮像するために、撮像装置110を移動させる必要がある。
【0115】
本実施形態では、調整用ラインパターン52が、少なくとも2画素以上の線幅であり、かつ、線幅方向で異なる階調値を有する点が、第1実施形態と異なる(図11)。従って、位置ずれ調整装置100Bは、フィルム20Bとレンズアレイ30とに位置ずれ量が調整用ラインパターン52の線幅以内であれば、その階調値から位置ずれ量を算出できる。図12のように、IP立体映像表示パネル1Bは、アクリル板10と、フィルム(印刷部材)20Bと、レンズアレイ30とを備える。
【0116】
図11(a)のように、フィルム20Bは、垂直方向及び水平方向にそれぞれ2本の調整用ラインパターン52が、外縁側の要素画像22の中心を通過するように印刷されている。例えば、図11(b)のように、調整用ラインパターン52は、5画素幅の直線であり、上側から下側に5つの階調値を有する。つまり、調整用ラインパターン52は、線幅方向で画素毎に異なる階調値を有する。
他の点、IP立体映像表示パネル1Bは、第1実施形態と同様のため、これ以上の説明を省略する。
【0117】
[位置ずれ調整装置の構成]
本願発明の第2実施形態に係る位置ずれ調整装置100Bの構成について、第1実施形態と異なる点を説明する。
位置ずれ調整装置100Bは、撮像装置110と、位置ずれ算出装置120Bと、撮像装置用ステージ130と、フィルム用ステージ140とを備える。
位置ずれ算出装置120Bは、拡大判定手段(判定手段)121Bと、撮像位置制御手段123と、位置ずれ算出手段125Bと、位置ずれ調整手段127とを備える。
【0118】
拡大判定手段121Bは、撮像装置110からの撮像画像に含まれる要素レンズ32で調整用ラインパターン52が拡大されているか否かを判定するものである。例えば、拡大判定手段121Bは、撮像画像から要素レンズ32を検出する。そして、拡大判定手段121Bは、検出した要素レンズ32の階調値が、調整用ラインパターン52に含まれる階調値の何れに一致するか否かを判定する。このようにして、拡大判定手段121Bは、調整用ラインパターン52が拡大されているか否かを判定できる。
他の点、拡大判定手段121Bは、第1実施形態と同様のため、これ以上の説明を省略する。
【0119】
位置ずれ算出手段125Bは、拡大判定手段121Bから位置ずれ算出指令が入力された場合、要素レンズ32で拡大された調整用ラインパターン52の階調値を比較することで位置ずれ方向を算出するものである。また、位置ずれ算出手段125Bは、要素レンズ32で拡大された調整用ラインパターン32の階調値の分散が最小となるように位置ずれ量を算出する。
他の点、位置ずれ算出手段125Bは、第1実施形態と同様のため、これ以上の説明を省略する。
【0120】
<位置ずれの調整>
図13図14を参照し、位置ずれ調整装置100Bによる位置ずれの調整を具体的に説明する(適宜図11図12参照)。
図13では、説明を簡易にするために、調整用ラインパターン52が、3画素幅であり、線幅方向に3つの階調値を有することとする。
また、図14は、図面を見やすくするため、レンズアレイ30を破線で図示した。
【0121】
図13(a)のように、フィルム20Bとレンズアレイ30との位置ずれが無い場合を考える。この場合、撮像装置110の撮像位置と、要素レンズ32の主点P1と、調整用ラインパターン52で中間の階調値を有する画素とが一直線上に並ぶ。従って、要素レンズ32は、調整用ラインパターン52のうち、中間の階調値を有する画素を拡大することになる。
【0122】
図13(b)のように、フィルム20Bとレンズアレイ30とが1画素だけ位置ずれしている場合を考える。この場合、要素レンズ32は、調整用ラインパターン52のうち、最小の階調値を有する画素を拡大することになる。
図13(c)のように、フィルム20Bとレンズアレイ30とが、図13(b)と反対側に1画素だけ位置ずれしている場合を考える。この場合、要素レンズ32は、調整用ラインパターン52のうち、最大の階調値を有する画素を拡大することになる。
【0123】
このように、要素レンズ32は、フィルム20Bとレンズアレイ30との位置ずれが調整用ラインパターン52の線幅内の場合、その位置ずれ量に応じた階調値の像が拡大される。従って、拡大判定手段121Bは、要素レンズ32で拡大された調整用ラインパターン52の階調値に基づいて、調整用ラインパターン52が拡大されているか否かの判定を行うことができる。
【0124】
なお、フィルム20Bとレンズアレイ30との位置ずれが調整用ラインパターン52の線幅を超えている場合、要素レンズ32には、調整用ラインパターン52が拡大されない。この場合、位置ずれ調整装置100Bは、要素レンズ32に調整用ラインパターン52が拡大されるまで、撮像装置110と、拡大判定手段121Bと、撮像位置制御手段123との処理を繰り返すことになる。
【0125】
図14(a)のように、フィルム20Bとレンズアレイ30とが回転方向に位置ずれしている場合を考える。この場合、各要素レンズ32では、拡大される調整用ラインパターン52の階調値が異なる。
【0126】
例えば、階調値の平均値が100であり、ある要素レンズ32の階調値が100未満であり、隣接する要素レンズ32の階調値が100を超えることとする。この場合、隣接する要素レンズ32が異なる方向に位置ずれしているので、フィルム20全体が回転方向の位置ずれを生じていると言える。そこで、位置ずれ算出手段125Bは、隣接する要素レンズ32で拡大された調整用ラインパターン52の階調値を比較することで、位置ずれ方向を算出できる。
【0127】
また、位置ずれ算出手段125Bは、位置ずれ量を最小限に抑えるため、調整用ラインパターン52の階調値の平均及び分散を算出する。そして位置ずれ算出手段125Bは、算出した分散値が最小になるような位置ずれ量を求める。
【0128】
位置ずれ調整手段127は、算出した位置ずれ方向及び位置ずれ量でフィルム20Bを移動させれば、図14(b)のように、フィルム20Bとレンズアレイ30との位置ずれを最小限に抑えることができる。
【0129】
[作用・効果]
本願発明の第2実施形態に係る位置ずれ調整装置100Bは、第1実施形態と同様の理由により、フィルム20Bとレンズアレイ30との位置を精度よく調整することができる。従って、位置ずれ調整装置100Bで製造されたIP立体表示パネル1Bは、その画質が向上する。
さらに、位置ずれ調整装置100Bは、撮像装置110の撮像回数をより低減できるので、フィルム20Bとレンズアレイ30との位置を素早く調整できる。これにより、位置ずれ調整装置100Bは、IP立体表示パネル1Bの低コスト化を図ることができる。
【0130】
(第3実施形態)
[位置ずれ調整装置の構成]
図15図16を参照し、本願発明の第3実施形態に係る位置ずれ調整装置100Cの構成について、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0131】
第1実施形態では、調整用ラインパターン50をフィルム20に印刷するため、調整用ラインパターン50を拡大する要素画像32がIP立体映像を表示できない。そこで、第3実施形態では、調整用ラインパターン50をフィルム20Cに投射する点が、第1実施形態と異なる。
【0132】
図15のように、IP立体映像表示パネル1Cは、アクリル板10と、フィルム(印刷部材)20Cと、レンズアレイ30Cとを備える。
図16のように、フィルム20C及びレンズアレイ30Cは、フィルム20Cの伸縮量を算出するため、図25と同様の調整用印刷パターン54A,54Bが印刷されている。
具体的には、フィルム20Cは、十字状の調整用印刷パターン54Aが、要素画像22以外の領域に印刷されている。また、レンズアレイ30Cは、4つの四角形からなる調整用印刷パターン54Bが、要素レンズ32以外の領域(例えば、レンズ面の4隅)に印刷されている。
他の点、IP立体映像表示パネル1Cは、第1実施形態と同様のため、これ以上の説明を省略する。
【0133】
図15のように、位置ずれ調整装置100Cは、撮像装置110と、位置ずれ算出装置120と、撮像装置用ステージ130と、フィルム用ステージ140と、撮像装置(第2撮像手段)210と、伸縮量算出装置220と、投射装置(投射手段)230と、ハーフミラー240とを備える。
【0134】
撮像装置210は、調整用印刷パターン54Aが印刷されたフィルム20Cと、調整用印刷パターン54Bが印刷されたレンズアレイ30Cとを撮像するものである。この撮像装置210は、フィルム20Cの側からIP立体映像表示パネル1Cを撮像することで、撮像画像(第2撮像画像)を生成する。そして、撮像装置210は、生成した撮像画像を伸縮量算出装置220に出力する。
【0135】
伸縮量算出装置220は、撮像装置210から入力された撮像画像を用いて、フィルム20Cの伸縮量を算出するものである。そして、伸縮量算出装置220は、算出した伸縮量に基づいて、投射表示装置230で投射される調整用ラインパターン50を生成し、投射装置230に出力する。
なお、伸縮量算出装置220の詳細は、後記する。
【0136】
投射装置230は、ハーフミラー240を介して、伸縮量算出装置220から入力された調整用ラインパターン50をフィルム20Cに投射するものである。例えば、投射装置230としては、一般的なプロジェクタをあげることができる。
つまり、フィルム20Cには、元々印刷されていた調整用印刷パターン54A,54Bと、投射装置230から投射された調整用ラインパターン50とが写ることになる。
【0137】
ここで、撮像装置210及び投射装置230は、画像に歪みが生じないように予め歪み補正のためのキャリブレーションを行うことが好ましい。例えば、このキャリブレーションの手法は、下記の参考文献1に記載されている。
参考文献1:「A flexible new technique for camera calibration」,http://opencv.jp/sample/camera_calibration.html,IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence,22(11),1330-1334,2000.
【0138】
ハーフミラー240は、フィルム20Cからの光を透過して、撮像装置210に入射させる光学素子である。また、ハーフミラー240は、投射装置230からの光をフィルム20Cに向けて反射する。
【0139】
[伸縮量算出装置の構成]
伸縮量算出装置220は、調整用印刷パターン検出手段(検出手段)221と、伸縮量算出手段223と、調整用ラインパターン変形手段(変形手段)225とを備える。
【0140】
調整用印刷パターン検出手段221は、撮像装置210より入力された撮像画像から、調整用印刷パターン54A,54Bを検出するものである。例えば、調整用印刷パターン検出手段221は、撮像画像にパターンマッチングを施し、調整用印刷パターン54A,54Bを検出する。そして、調整用印刷パターン検出手段221は、検出した調整用印刷パターン54A,54Bを伸縮量算出手段223に出力する。
【0141】
伸縮量算出手段223は、調整用印刷パターン検出手段221から入力された調整用印刷パターン54A,54Bの位置に基づいて、フィルム20Cの伸縮量を算出するものである。そして、伸縮量算出手段223は、算出したフィルム20Cの伸縮量を調整用ラインパターン変形手段225に出力する。
【0142】
具体的には、伸縮量算出手段223は、4隅の調整用印刷パターン54A,54Bの位置関係から、フィルム20C全体の伸縮量を算出する。例えば、上側に位置する2個の調整用印刷パターン54Aの間隔が、上側の調整用印刷パターン54Bの間隔よりも短くなる程、フィルム20Cの上側が大きく縮んでいる。また、下側に位置する2個の調整用印刷パターン54Aの間隔が、下側の調整用印刷パターン54Bの間隔よりも長くなる程、フィルム20Cの下側が大きく伸びている。この場合、伸縮量算出手段223は、上側の調整用印刷パターン54Aの間隔と、下側の調整用印刷パターン54Aの間隔とに応じた伸縮量だけ、フィルム20C全体が台形状に変形していると算出する。
【0143】
調整用ラインパターン変形手段225は、伸縮が無いフィルム20Cに投射される調整用ラインパターン50が予め設定され、伸縮量算出手段223から入力されたフィルム20Cの伸縮量に応じて、この調整用ラインパターン50を変形するものである。そして、調整用ラインパターン変形手段225は、変形した調整用ラインパターン50を投射装置230に出力する。
【0144】
例えば、フィルム20Cが台形状に変形している場合を考える。この場合、調整用ラインパターン変形手段225は、水平方向に2本の調整用ラインパターン50のうち、上側の調整用ラインパターン50を短くし、下側の調整用ラインパターン50を長くする。また、調整用ラインパターン変形手段225は、垂直方向に2本の調整用ラインパターン50の間隔を上側から下側になるにつれて広くする。つまり、垂直方向に2本の調整用ラインパターン50は、ハの字状に開くことになる。
【0145】
[作用・効果]
本願発明の第3実施形態に係る位置ずれ調整装置100Cは、フィルム20Cの伸縮に応じて調整用ラインパターン50を変形させるので、第1実施形態と同様、フィルム20Cとレンズアレイ30Cとの位置を精度よく調整することができる。従って、位置ずれ調整装置100Cで製造されたIP立体表示パネル1Cは、その画質が向上する。
【0146】
さらに、位置ずれ調整装置100Cは、フィルム20Cとレンズアレイ30Cとの位置を調整した後に調整用ラインパターン50の投射を終了すれば、調整用ラインパターン50がフィルム20Cに残らない。このように、位置ずれ調整装置100Cで製造されたIP立体表示パネル1Cは、IP立体映像が調整用ラインパターン50で妨害されないので、IP立体映像を見易くできる。
【0147】
なお、位置ずれ調整装置100Cは、調整用ラインパターン50を投射することとしたが、図11の調整用ラインパターン52を投影してもよい。この場合、位置ずれ調整装置100Cは、図3の位置ずれ算出装置120の代わりに、図12の位置ずれ算出装置120Bを備えればよい。
また、図15では、位置ずれ算出装置120及び伸縮量算出装置220を別々のハードウェアとして図示したが、一体化してもよい。
【0148】
(第4実施形態)
[位置ずれ調整装置の構成]
図17を参照し、本願発明の第4実施形態に係る位置ずれ調整装置100Dの構成について、第3実施形態と異なる点を説明する(適宜図15参照)。
位置ずれ調整装置100Dは、調整用印刷パターン54A,54Bだけでなく、フィルム20Cに印刷された要素画像22も取得する点が、第3実施形態と異なる。
【0149】
第3実施形態では、調整用ラインパターン50が投射された要素画像22は、IP立体映像を表示するための画像情報が無い場合、黒色で表示される。この場合、フィルム20Cの光透過率によっては、調整用ラインパターン50がフィルム20Cを透過することが困難になり、調整用ラインパターン50の検出率が低下する場合がある。
【0150】
そこで、位置ずれ調整装置100Dは、フィルム20Cに印刷された要素画像22の画像情報を用いて、フィルム20Cに印刷された要素画像22の内、光が透過しやすい要素画像22を選択し、選択した要素画像22に調整用ラインパターン50を投射する。
【0151】
[伸縮量算出装置の構成]
伸縮量算出装置220Dは、調整用印刷パターン検出手段221と、伸縮量算出手段223と、調整用ラインパターン変形手段(変形手段)225Dと、輝度値算出手段227と、要素画像選択手段(選択手段)229とを備える。
【0152】
輝度値算出手段227は、撮像装置210より入力された撮像画像から要素画像22を全て検出し、検出した要素画像22の輝度値を算出するものである。例えば、輝度値算出手段227は、検出した要素画像22に含まれる全画素の輝度値を平均又は総和し、要素画像22の輝度値として算出する。そして、輝度値算出手段227は、算出した要素画像22の輝度値を要素画像選択手段229に出力する。
【0153】
要素画像選択手段229は、輝度値算出手段227から入力された要素画像22の輝度値が予め設定された閾値以上であるか否かを判定し、輝度値が閾値以上の要素画像22を選択するものである。そして、要素画像選択手段229は、選択した要素画像22を表す選択情報を調整用ラインパターン変形手段225Dに出力する。
この選択情報とは、例えば、フィルム20Cの要素画像22のうち、選択された要素画像22の位置を表す情報である。
【0154】
調整用ラインパターン変形手段225Dは、要素画像選択手段229から入力された選択情報が示す要素画像22に重ねる調整用ラインパターン50を変形するものである。
つまり、調整用ラインパターン変形手段225Dは、要素画像選択手段229で選択された要素画像22に調整用ラインパターン50が表示されるように、この調整用ラインパターン50を変形する。
他の点、調整用ラインパターン変形手段225Dは、第3実施形態と同様のため、これ以上の説明を省略する。
【0155】
[作用・効果]
本願発明の第4実施形態に係る位置ずれ調整装置100Dは、調整用ラインパターン50がフィルム20Cを透過しない事態を低減することから、調整用ラインパターン50の検出率を向上させることができる。これにより、位置ずれ調整装置100Dは、第3実施形態と比べて、フィルム20Cとレンズアレイ30Cとの位置を精度よく調整することができる。従って、位置ずれ調整装置100Dで製造されたIP立体表示パネル1Cは、その画質が向上する。
【0156】
(変形例3)
図18を参照し、本願発明の変形例3について、第4実施形態と異なる点を説明する(適宜図17参照)。
変形例3では、調整用ラインパターン50の代わりに、奥行き情報を持つ任意のIP立体映像を調整用立体パターン60として用いる点が、第4実施形態と異なる。
【0157】
図18のように、位置ずれ調整装置100Dは、投射装置230によって、調整用立体パターン60を表示できるような立体パターン用画像62を投射する。すると、位置ずれ調整装置100Dでは、レンズアレイ30により立体パターン用画像62が調整用立体パターン60として表示される。
なお、立体パターン用画像62は、位置ずれ算出装置120Dでの誤検出を防止するため、IP立体映像と大きく異なる調整用立体パターン60を形成できる情報であることが好ましい。
【0158】
ここで、位置を調整するためには、調整用立体パターン60の奥行き情報及び形状情報が必要となる。そこで、伸縮量算出装置220Dは、調整用立体パターン60の奥行き情報及び形状情報が設定されている。そして、伸縮量算出装置220Dは、調整用立体パターン60の奥行き情報及び形状情報を位置ずれ算出装置120Dに出力する(図17に破線で図示)。この場合、位置ずれ算出装置120Dは、調整用立体パターン60の奥行き情報及び形状情報を用いて、調整用立体パターン60を検出する。さらに、撮像装置110は、位置ずれ算出装置120Dから取得した奥行き情報を用いて、調整用立体パターン60に焦点を合わせる。
【0159】
(第5実施形態)
[IP立体映像表示パネルの構成]
図19図20を参照し、本願発明の第5実施形態に係るIP立体映像表示パネル1Eの構成について、第1実施形態と異なる点を説明する。
第5実施形態では、調整用ラインパターン50の代わりに、調整用矩形パターン70A,70Bを用いる点が、第1実施形態と異なる。
【0160】
図19のように、IP立体映像表示パネル1Eは、アクリル板10と、フィルム20Eと、レンズアレイ30Eとを備える。
図20(a)のように、フィルム20Eは、要素画像22を囲う調整用矩形パターン70Aが印刷されている。また、図20では、図面を見やすくするため、フィルム20Eを破線で図示した。
レンズアレイ30Eは、要素レンズ32を囲う調整用矩形パターン70Bが印刷されている。
他の点、フィルム20E及びレンズアレイ30Eは、第1実施形態と同様である。
【0161】
<調整用矩形パターンの詳細>
以下、調整用矩形パターン70A,70Bの詳細について説明する。
調整用矩形パターン70Aは、全ての要素画像22を囲う枠線を有する。また、調整用矩形パターン70Aは、この枠線に直交する線分を複数有する。例えば、調整用パターン70Aは、一辺あたり6本の線分を有する。調整用矩形パターン70Aでは、この線分が検出基準となる。
【0162】
調整用矩形パターン70A,70Bは、フィルム20Eが伸縮していない場合、同一形状で同一サイズになる。また、調整用矩形パターン70A,70Bは、検出率を向上させるため、異なる色で印刷することが好ましい。例えば、調整用矩形パターン70Aは、フィルム20Eに赤色で印刷する。また、調整用矩形パターン70Bは、レンズアレイ30Eに青色で印刷してもよい。
【0163】
[位置ずれ調整装置の構成]
本願発明の第5実施形態に係る位置ずれ調整装置100Eの構成について説明する。
図19のように、位置ずれ調整装置100Eは、撮像装置(撮像手段)110Eと、位置ずれ算出装置120Eと、フィルム用ステージ(移動手段)140とを備える。
【0164】
撮像装置110Eは、フィルム20Eとレンズアレイ30Eとを撮像することで、撮像画像を生成するものである。この撮像装置110Eは、撮像位置が移動せず、常に一定である。また、撮像装置110Eは、生成した撮像画像を位置ずれ算出装置120Eに出力する。
【0165】
[位置ずれ算出装置の構成]
図19のように、位置ずれ算出装置120Eは、パターン検出手段(検出手段)122と、位置ずれ算出手段125Eと、位置ずれ調整手段(調整手段)127Eとを備える。
【0166】
パターン検出手段122は、撮像装置110Eより入力された撮像画像から、フィルム20Eに印刷された調整用矩形パターン70Aと、レンズアレイ30Eに印刷された調整用矩形パターン70Aとを検出するものである。例えば、パターン検出手段122は、色領域検出処理又は直線検出処理を撮像画像に施し、調整用矩形パターン70A,70Bを検出する。そして、パターン検出手段122は、検出した調整用矩形パターン70A,70Bを位置ずれ算出手段125Eに出力する。
【0167】
位置ずれ算出手段125Eは、パターン検出手段122から入力された調整用矩形パターン70A,70Bの位置ずれ量を算出するものである。例えば、位置ずれ算出手段125Eは、検出基準毎に、調整用矩形パターン70A,70Bで対応する検出基準の距離を位置ずれ量として算出する。そして、位置ずれ算出手段125Eは、算出した位置ずれ量を位置ずれ調整手段127Eに出力する。
【0168】
位置ずれ調整手段127Eは、位置ずれ算出手段125Eから入力された位置ずれ量が最小となる位置に、フィルム用ステージ140にフィルム20Eを移動させるものである。この位置ずれ調整手段127Eは、位置ずれ量に応じた駆動信号を生成し、フィルム用ステージ140に出力する。
【0169】
<位置ずれの調整>
図20図21を参照し、位置ずれ調整装置100Eによる位置ずれの調整を具体的に説明する(適宜図19参照)。
なお、図20図21では、図面を見やすくするため、フィルム20Eを破線で図示した。
【0170】
まず、図20(b)のように、フィルム20Eに伸縮がなく、回転方向に位置ずれしている場合を考える。
この場合、位置ずれ算出手段125Eは、水平ラインパターン及び垂直ラインパターンに含まれる検出基準毎に位置ずれ量を算出する。この水平ラインパターンとは、調整用矩形パターン70A,70Bで上下に位置する横線部分のことである。また、垂直ラインパターンとは、調整用矩形パターン70A,70Bで左右に位置する縦線部分のことである。
【0171】
そして、位置ずれ調整手段127Eは、垂直方向及び水平方向の位置ずれ量のそれぞれが、最小となるように位置合わせを行う。この場合、位置ずれ調整手段127Eは、図20(c)のように、調整用パターン70A,70Bが完全に一致する位置までフィルム20Eを移動させる。
【0172】
次に、図21(a)のように、フィルム20Eに伸縮があり、回転方向の位置ずれがない場合を考える。この場合、位置ずれ調整手段127Eは、図21(b)のように、調整用パターン70A,70Bの位置ずれ量が最も少なくなるように位置を調整する。
【0173】
[位置ずれ調整装置の動作]
図22を参照し、図19の位置ずれ調整装置100Eの動作について説明する(適宜図19参照)。
位置ずれ調整装置100Eは、撮像装置110Eによる撮像を行い、撮像画像を生成する(撮像工程:ステップS10)。
【0174】
位置ずれ調整装置100Eは、パターン検出手段122によって、ステップS10で生成した撮像画像から、フィルム20Eに印刷された調整用矩形パターン70Aと、レンズアレイ30Eに印刷された調整用矩形パターン70Aとを検出する(検出工程:ステップS11)。
【0175】
位置ずれ調整装置100Eは、位置ずれ算出手段125Eによって、ステップS11で検出された調整用矩形パターン70A,70Bの位置ずれ量を算出する(位置ずれ算出工程:ステップS12)。
位置ずれ調整装置100Eは、位置ずれ調整手段127Eによって、ステップS12で算出された位置ずれ量に基づいて、フィルム用ステージ140にフィルム20Eを移動させる(調整工程:ステップS13)。
【0176】
[作用・効果]
本願発明の第5実施形態に係る位置ずれ調整装置100Eは、調整用矩形パターン70A,70Bの4辺に検出基準を多く設けられる。これにより、位置ずれ調整装置100Eは、調整用矩形パターン70A,70Bの検出精度が向上し、フィルム20Eとレンズアレイ30Eとの位置を精度よく調整することができる。従って、位置ずれ調整装置100Eで製造されたIP立体表示パネル1Eは、その画質が向上する。
【0177】
(第6実施形態)
[IP立体映像表示パネルの構成]
図23を参照し、本願発明の第6実施形態に係るIP立体映像表示パネル1Fの構成について、第1実施形態と異なる点を説明する。
図23のように、IP立体映像表示パネル1Fは、レンズアレイ30の凸面側に光透過制限フィルム(光透過制限部材)80を備える点が第1実施形態と異なる。
【0178】
光透過制限フィルム80は、一定の角度からの光のみを通過させるフィルムである。この光透過制限フィルム80が光を透過させる角度は、レンズアレイ30の光の射出角と同一か、この光の射出角よりも狭くなる。本実施形態では、レンズアレイ30の光の射出角とIP立体映像を観察できる範囲とを等しくし、この範囲を視域とする。
【0179】
また、光透過制限フィルム80は、レンズアレイ30に任意の方法で固定できる。例えば、光透過制限フィルム80は、光透過型接着材を用いて、レンズアレイ30に貼り合わせることができる。
【0180】
光透過制限フィルム80を備えない場合、レンズアレイ30の射出角を超えた範囲では、サイドローブのIP立体映像が観察されることになる。一方、光透過制限フィルム80を備える場合、レンズアレイ30の射出角を超えた範囲では、光透過制限フィルム80の表面の色のみが観察されるため、サイドローブのIP立体映像を観察できない。
【0181】
ここで、光透過制限フィルム80の表面に2次元画像を印刷してもよい。すると、レンズアレイ30の射出角を超えた範囲では、光透過制限フィルム80に印刷された2次元画像が観察される。また、レンズアレイ30の射出角の範囲内では、2次元画像とIP立体映像との両方を観察できる。
【0182】
[作用・効果]
本願発明の第6実施形態に係るIP立体映像表示パネル1Fは、サイドローブからのIP立体映像が表示されないので、その画質を向上させることができる。
【0183】
なお、光透過制限フィルム80は、レンズアレイ30の凸面側ではなく、フィルム20の背面側(アクリル板10の側)に配置してもよい。
また、光透過制限フィルム80をレンズアレイ30に貼り合わせた後、フィルム20とレンズアレイ30との位置ずれを調整してもよい。また、フィルム20とレンズアレイ30との位置ずれを調整した後、光透過制限フィルム80をレンズアレイ30に貼り合わせてもよい。
また、IP立体映像表示パネル1Fは、第2実施形態から第5実施形態にも適用できることは言うまでもない。
【0184】
(その他変形例)
以上、本願発明の各実施形態を詳述してきたが、本願発明は前記した各実施形態に限られるものではなく、本願発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
前記した各実施形態では、接着剤を用いて、フィルムとレンズアレイとを貼り合わせることとして説明したが、これに限定されない。
【0185】
前記した各実施形態では、印刷部材としてフィルムを説明したが、印刷部材は、光の透過を問わず、要素画像を印刷できれば何でもよい。例えば、印刷部材としては、紙、ガラス、アクリルなどの光を透過する部材があげられる。また、印刷部材は、金属などの光を透過しない部材であってもよい。ただし、印刷部材が光を全く透過しない部材の場合、第3,4実施形態には適用できない。
【0186】
前記した各実施形態では、第2移動手段がフィルムを移動させることとして説明したが、これに限定されない。例えば、第2移動手段がフィルムの代わりにレンズアレイを移動させてもよい。この場合、レンズアレイと連動して、第1撮像手段も移動させる必要がある。
【符号の説明】
【0187】
1,1B,1C,1E,1F IP立体映像表示パネル(立体映像表示装置)
10 アクリル板
20,20B,20C,20E フィルム(印刷部材)
22 要素画像
30,30C,30E レンズアレイ
32 要素レンズ
40 接着剤
50,52,54A,54B 調整用ラインパターン
70A,70B 調整用矩形パターン
80 光透過制限フィルム(光透過制限部材)
100,100B,100C,100D,100E 位置ずれ調整装置
110,110E 撮像装置(第1撮像手段,撮像手段)
120,120B,120D,120E 位置ずれ算出装置
121,121B 拡大判定手段(判定手段)
122 パターン検出手段(検出手段)
123 撮像位置制御手段
125,125B,125E 位置ずれ算出手段
127,127E 位置ずれ調整手段(調整手段)
130 撮像装置用ステージ(第1移動手段)
140 フィルム用ステージ(第2移動手段,移動手段)
210 撮像装置(第2撮像手段)
220,220D 伸縮量算出装置
221 調整用印刷パターン検出手段(検出手段)
223 伸縮量算出手段
225,225D 調整用ラインパターン変形手段(変形手段)
227 輝度値算出手段
229 要素画像選択手段(選択手段)
230 投射装置(投射手段)
240 ハーフミラー
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