(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
潜像を担持する潜像担持体と、前記潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備える画像形成装置における少なくとも前記潜像担持体と前記現像手段とを一つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して着脱可能にしたプロセスカートリッジにおいて、
前記現像手段として、請求項1乃至3の何れかに記載の現像装置を用いたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図2は、本発明を適用可能な画像形成装置としての複写機500の概略構成を説明する構成図である。複写機500はプリンタ部100、これを載せる給紙装置200、プリンタ部100の上に固定されたスキャナ300等を備えている。また、このスキャナ300の上に固定された原稿自動搬送装置400等も備えている。
【0016】
プリンタ部100は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための四つの画像形成ユニット20(Y,M,C,K)を備えている。各符号の数字の後に付されたY,M,C,Kは、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラック用の部材であることを示している(以下同様)。画像形成ユニット20(Y,M,C,K)の他には、光書込ユニット21、中間転写ユニット17、二次転写装置22、レジストローラ対49、ベルト定着方式の定着装置25等が配設されている。
【0017】
光書込ユニット21は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて四つの感光体1(Y,M,C,K)の表面にレーザー光を照射する。
図3は、四つの画像形成ユニット20(Y,M,C,K)のうちの一つが備える現像装置2を
図2の紙面手前から見た拡大断面図である。また、
図4は、現像装置2を、
図2の紙面手前側の斜め上方から見た斜視図であり、
図5は、
図4に示す現像装置2から現像ローラ上カバー220を取り外した状態の斜視図である。以下、
図2及び
図3中の紙面に直行する方向を「軸方向」と呼び、
図2及び
図3における紙面手前側を「軸方向手前側」、紙面奥側を「軸方向奥側」と呼ぶ。
【0018】
画像形成ユニット20(Y,M,C,K)は、それぞれドラム状の感光体1(Y,M,C,K)と、その周囲に配置された帯電装置、現像装置2(Y,M,C,K)、ドラムクリーニング装置、除電器等を一つのユニットとして、共通の支持体に支持している。画像形成ユニット20(Y,M,C,K)は、一つのユニットとして共通の支持体に支持してプロセスカートリッジを構成し、四つのプロセスカートリッジのそれぞれが複写機500本体に対して着脱可能になっている。本実施形態の複写機500は、プロセスカートリッジである四つの画像形成ユニット20(Y,M,C,K)をプリンタ部100に並べて配置する構成である。プロセスカートリッジとすることで、画像形成ユニット20の交換性が向上する。
【0019】
四つの画像形成ユニット20(Y,M,C,K)は、それぞれ扱うトナーの色が異なる点の他がほぼ同様の構成になっているので、以下、使用するトナーの色を示す「Y」、「M」、「C」、「K」という添字は適宜省略する。
感光体1は
図2中の反時計回り方向に回転しながら、その表面を帯電装置により帯電される。帯電された感光体1の表面は露光装置である光書込ユニット21より照射されたレーザー光により静電潜像を形成され、この静電潜像に現像装置2からトナーを供給され、トナー像が形成される。
【0020】
現像装置2は、磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を用いる二成分現像装置である。
図3に示すように、現像装置2は、
図3中の時計回り方向に回転して表面移動しながら感光体1の表面の潜像にトナーを供給し、現像する現像剤担持体としての現像スリーブ3aと、その内部に配置されたマグネットローラ3bと、からなる現像ローラ3を有している。また、現像ローラ3の表面に現像剤を供給しながら
図3の手前方向に現像剤を搬送する供給搬送部材としての供給スクリュ8を有している。供給スクリュ8は、回転軸とこの回転軸に設けられた羽部とを備え、回転することにより軸方向に現像剤を搬送する現像剤搬送スクリュである。
【0021】
現像ローラ3と供給スクリュ8との対向部から現像ローラ3の表面移動方向下流側には、現像ローラ3に供給された現像剤を現像に適した厚さに規制する現像剤規制部材としての現像ドクタ12を備えている。
現像ローラ3の感光体1との対向部である現像領域から表面移動方向下流側には、現像領域を通過した現像済みの現像剤を回収し、回収した回収現像剤を供給スクリュ8と同方向に搬送する回収搬送部材としての回収スクリュ6を備えている。供給スクリュ8を備えた供給搬送路9は現像ローラ3の横方向に、回収スクリュ6を備えた回収搬送路7は現像ローラ3の下方に並設されている。
【0022】
現像装置2は、供給搬送路9の下方で回収搬送路7に並列するように攪拌搬送路10を設けている。攪拌搬送路10は、現像剤を攪拌しながら供給スクリュ8とは逆方向である
図3中手前側から奥側に搬送する攪拌搬送部材としての攪拌スクリュ11を備えている。
供給搬送路9と攪拌搬送路10とは仕切り部材としての第一仕切り壁133によって仕切られている。第一仕切り壁133の供給搬送路9と攪拌搬送路10とを仕切る箇所は図中手前側と奥側との軸方向両端は開口部となっており、供給搬送路9と攪拌搬送路10とが連通している。
【0023】
図3は、軸方向の中央部近傍の断面であるが、第一仕切り壁133の軸方向の奥側端部近傍には、供給搬送路9と攪拌搬送路10とを連通し、攪拌搬送路10から供給搬送路9に現像剤を受け渡す不図示の攪拌下流側端部開口部が設けられている。
図3に示すように、供給搬送路9と回収搬送路7とも第一仕切り壁133によって仕切られているが、第一仕切り壁133の供給搬送路9と回収搬送路7とを仕切る箇所には開口部を設けていない。すなわち、供給搬送路9と回収搬送路7との間で現像剤を直接受け渡す経路は設けられていない構成である。
【0024】
また、攪拌搬送路10と回収搬送路7との二つの搬送路は仕切り部材としての第二仕切り壁134によって仕切られている。第二仕切り壁134は、軸方向の手前側端部近傍の断面の位置では、開口部となっており、攪拌搬送路10と回収搬送路7とを連通し、回収搬送路7から攪拌搬送路10に現像剤を受け渡す不図示の回収下流側端部開口部が設けられている。
【0025】
現像装置2では、現像ローラ3の表面上に担持され、現像ドクタ12によって薄層化された現像剤を、感光体1との対抗部である現像領域まで搬送し現像を行う。
現像後の現像剤は回収搬送路7にて回収を行い、軸方向手前側に搬送され、第二仕切り壁134における非画像領域部に設けられた不図示の回収下流側端部開口部を通過して、攪拌搬送路10へ供給される。なお、攪拌搬送路10における現像剤搬送方向上流側端部(軸方向手前側端部)付近で攪拌搬送路10の上側に設けられたトナー補給口201から攪拌搬送路10にトナーが補給される。
【0026】
次に、三つの現像剤搬送路内での現像剤の循環について説明する。
攪拌搬送路10から現像剤の供給を受けた供給搬送路9では、現像ローラ3に現像剤を供給しながら、供給スクリュ8の搬送方向下流側(軸方向手前側)に現像剤を搬送する。そして、現像ローラ3に供給された現像剤のうち、現像領域を通過して現像に用いられた現像剤は回収搬送路7に送られる。一方、現像に用いられず供給搬送路9の搬送方向下流端まで搬送された余剰現像剤は、第一仕切り壁133における軸方向手前側端部近傍に設けられた不図示の供給下流側端部開口部から攪拌搬送路10に供給される。
【0027】
現像ローラ3から回収搬送路7に送られ、回収スクリュ6によって回収搬送路7の搬送方向下流側端部(軸方向手前側端部)まで搬送された回収現像剤は、第二仕切り壁134の回収下流側端部開口部より攪拌搬送路10に供給される。
そして、攪拌搬送路10では、上流側端部で供給された余剰現像剤と、回収現像剤と、トナー補給口201から供給されたトナーとを攪拌しながら攪拌スクリュ11の搬送方向下流側端部(軸方向奥側端部)に向けて搬送する。攪拌搬送路10における攪拌スクリュ11の搬送方向下流側端部に到達した現像剤は、第一仕切り壁133に設けられた不図示の攪拌下流側端部開口部を通って供給搬送路9に供給される。
【0028】
攪拌搬送路10では攪拌スクリュ11によって、回収現像剤、余剰現像剤及び必要に応じてトナー補給口201から補給されるトナーを、回収搬送路7及び供給搬送路9内を搬送される現像剤とは逆方向に攪拌搬送する。そして、搬送方向下流側端部で連通している供給搬送路9の搬送方向上流側端部に攪拌した現像剤を供給する。なお、攪拌搬送路10の下方には、不図示のトナー濃度センサが設けられ、このトナー濃度センサのセンサ出力に基づいて不図示のトナー補給制御装置を作動し、不図示のトナー収容部からトナー補給口201へのトナー補給の制御を行っている。
【0029】
図3に示す現像装置2では、供給搬送路9と回収搬送路7とを備え、現像剤の供給と回収とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が供給搬送路9に混入することがない。よって、供給搬送路9内における搬送方向下流側(軸方向手前側)ほど現像ローラ3に供給される現像剤のトナー濃度が低下することを防止することができる。また、回収搬送路7と攪拌搬送路10とを備え、現像剤の回収と攪拌とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が攪拌の途中に落ちることがない。よって、十分に攪拌がなされた現像剤を供給搬送路9に供給することができ、供給搬送路9に供給されるの現像剤が攪拌不足となることを防止することができる。このように、供給搬送路9内の現像剤のトナー濃度が低下することを防止し、供給搬送路9内の現像剤が攪拌不足となることを防止することができるので現像時の画像濃度を一定に保つことができる。
【0030】
また、供給搬送路9の搬送方向上流側端部(軸方向奥側端部)近傍には、不図示の現像剤排出口が形成されており、供給搬送路9と排出搬送路18とを連通する。供給搬送路9の上流側端部に到達した現像剤の量が所定量よりも多くなると、現像剤排出口の高さまで現像剤が到達し、現像剤排出口を通過して排出搬送路18へと現像剤が受け渡される。排出搬送路18に受け渡された現像剤は、排出スクリュ18bによって現像装置2の外部に設けられた不図示の排出現像剤回収部に回収される。このように現像剤を排出する構成を備えることにより、現像装置2内の現像剤の量を一定に保つことができる。また、現像装置2に補給するトナーとして、キャリアを含有するプレミックストナーを補給する場合は、劣化したキャリアがトナーとともに排出搬送路18に排出され、キャリアが入れ替わることで、現像装置2内の現像剤の劣化を抑制することができる。
【0031】
以下、イエロー用画像形成ユニット20Yについて説明する。帯電手段である帯電装置によって、イエロー用感光体1Yの表面は一様帯電される。帯電処理が施されたイエロー用感光体1Yの表面には、光書込ユニット21によって変調及び偏向されたレーザー光が照射され、照射部(露光部)の電位が減衰する。この電位の減衰により、イエロー用感光体1Y表面にY用の静電潜像が形成される。形成されたY用の静電潜像は現像手段であるイエロー用現像装置2Yによって現像されてYトナー像となる。
【0032】
イエロー用感光体1Y上に形成されたYトナー像は、後述の中間転写ベルト110に一次転写される。一次転写後のイエロー用感光体1Yの表面は、イエロー用のドラムクリーニング装置によって転写残トナーがクリーニングされる。イエロー用画像形成ユニット20Yにおいて、イエロー用のドラムクリーニング装置によってクリーニングされたイエロー用感光体1Yは、除電器によって除電される。そして、再び帯電装置によって一様帯電せしめられて、初期状態に戻る。
以上のような一連のプロセスは、他の三つの画像形成ユニット20(M,C,K)についても同様である。
【0033】
次に、中間転写ユニット17について説明する。
中間転写ユニット17は、中間転写ベルト110やベルトクリーニング装置90等を有している。また、張架ローラ14、駆動ローラ15、二次転写バックアップローラ16、四つの一次転写バイアスローラ62(Y,M,C,K)等も有している。中間転写ベルト110は、張架ローラ14を含む複数のローラによってテンション張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ15の回転によって
図2中の時計回り方向に無端移動する。
【0034】
四つの一次転写バイアスローラ62(Y,M,C,K)は、それぞれ中間転写ベルト110の内周面側に接触するように配設され、図示しない電源から一次転写バイアスの印加を受ける。また、四つの一次転写バイアスローラ62(Y,M,C,K)は、中間転写ベルト110をその内周面側から四つの感光体1(Y,M,C,K)に向けて押圧し、それぞれ一次転写ニップを形成する。各一次転写ニップには、一次転写バイアスの影響により、感光体1(Y,M,C,K)と一次転写バイアスローラ62(Y,M,C,K)との間に一次転写電界が形成される。
【0035】
イエロー用感光体1Y上に形成された上述のYトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト110上に一次転写される。このYトナー像の上には、M,C,K用の感光体1(M,C,K)上に形成されたM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト110上には四色のトナー像が重ね合わせられたトナー像(以下、四色トナー像という)が形成される。中間転写ベルト110上に形成された四色トナー像は、後述の二次転写ニップで図示しない記録媒体たる転写紙に二次転写される。二次転写ニップ通過後の中間転写ベルト110の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の駆動ローラ15との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置90によってクリーニングされる。
【0036】
次に、二次転写装置22について説明する。
中間転写ユニット17の図中下方には、二本の紙搬送張架ローラ23によって紙搬送ベルト24を張架している二次転写装置22が設けられている。紙搬送ベルト24は、少なくとも何れか一方の紙搬送張架ローラ23の回転駆動に伴って、図中反時計回りに無端移動する。二本の紙搬送張架ローラ23のうち、図中右側に配設された一方のローラは、中間転写ユニット17の二次転写バックアップローラ16との間に、中間転写ベルト110及び紙搬送ベルト24を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ユニット17の中間転写ベルト110と、二次転写装置22の紙搬送ベルト24とが接触する二次転写ニップが形成されている。
【0037】
二次転写ニップを形成する紙搬送張架ローラ23には、トナーと逆極性の二次転写バイアスが図示しない電源によって印加される。この二次転写バイアスの印加により、二次転写ニップでは中間転写ベルト110上の四色トナー像を二次転写バックアップローラ16側から二次転写ニップを形成するこの一方の紙搬送張架ローラ23側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。
二次転写ニップでは、中間転写ベルト110上の四色トナー像に同期するように後述するレジストローラ対49によって送り込まれた転写紙に対して、二次転写電界やニップ圧の影響を受けた四色トナー像が二次転写される。なお、二次転写手段としては、ローラ部材に二次転写バイアスを印加する二次転写方式に代えて、転写紙を非接触でチャージさせるチャージャを設ける方式としてもよい。
【0038】
複写機500本体の下部に設けられた給紙装置200には、ペーパーバンク43内に複数の給紙カセット44が鉛直方向に多段に配置されている。各給紙カセット44内には、複数の転写紙が紙束の状態で重ねて収容されている。それぞれの給紙カセット44は、紙束の一番上の転写紙に給紙ローラ42を押し当てている。そして、給紙ローラ42が回転することにより、一番上の転写紙を給紙路46に向けて送り出す。給紙カセット44から送り出された転写紙を受け入れる給紙路46には、複数の搬送ローラ対47が配置されており、給紙路46における転写紙の搬送方向下流側端部にはレジストローラ対49が設けられている。そして、給紙路46では受け入れた転写紙を搬送ローラ対47によってレジストローラ対49に向けて搬送する。
【0039】
レジストローラ対49に向けて搬送された転写紙は、レジストローラ対49のローラ間に挟まれ、停止する。一方、中間転写ユニット17において、中間転写ベルト110上に形成された四色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って上述した二次転写ニップに進入する。レジストローラ対49は、ローラ間に挟み込んだ転写紙を二次転写ニップにて四色トナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。これにより、二次転写ニップでは、中間転写ベルト110上の四色トナー像が転写紙に密着する。そして、転写紙に密着した四色トナー像が転写紙上に二次転写され、白色の転写紙上でフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された転写紙は、紙搬送ベルト24の無端移動に伴って二次転写ニップを出た後、紙搬送ベルト24上から定着装置25に受け渡される。
【0040】
定着装置25は、定着ベルト26を二本のローラによって張架しながら無端移動せしめるベルトユニットと、このベルトユニットの一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ27とを備えている。これら定着ベルト26と加圧ローラ27とが当接して定着ニップを形成しており、紙搬送ベルト24から受け取った転写紙をここに挟み込む。ベルトユニットにおける二本のローラのうち、加圧ローラ27から押圧される方のローラは、内部に図示しない熱源を有しており、この熱源の発熱によって定着ベルト26を加熱する。加熱された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれた転写紙を加熱する。この加熱や定着ニップでのニップ圧の影響により、フルカラー画像が転写紙に定着される。
【0041】
定着装置25内で定着処理が施された転写紙は、排出ローラ56に到達し、複写機500の筐体における
図2中の左側板に設けられたスタック部57上に排出ローラ56によって排出される。なお、もう一方の面にもトナー像を形成する場合は、定着後の転写紙は排出ローラ56へは搬送されず、上述した二次転写ニップに戻される。
【0042】
図示しない原稿のコピーがとられるときには、例えばシート原稿の束が原稿自動搬送装置400の原稿台30上セットされる。但し、その原稿が本のように閉じられている片綴じ原稿である場合には、コンタクトガラス32上にセットされる。このセットに先立ち、複写機500本体に対して原稿自動搬送装置400が開かれ、スキャナ300のコンタクトガラス32が露出される。この後、閉じられた原稿自動搬送装置400によって片綴じ原稿が押さえられる。
【0043】
このようにして原稿がセットされた後、図示しないコピースタートスイッチが押下されると、スキャナ300による原稿読取動作がスタートする。但し、原稿自動搬送装置400にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、原稿自動搬送装置400がシート原稿をコンタクトガラス32まで自動移動させる。原稿読取動作では、まず、第一走行体33と第二走行体34とがともに走行を開始し、第一走行体33に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第一走行体33及び第二走行体34内に設けられたミラーに反射して、結像レンズ35を通過した後、読取センサ36に入射する。読取センサ36は、入射した光に基づいて画像情報を構築する。
【0044】
このような原稿読取動作と並行して、各画像形成ユニット20(Y,M,C,K)内の各機器や、中間転写ユニット17、二次転写装置22、定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、読取センサ36によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット21が駆動制御されて、各感光体1(Y,M,C,K)上に、Y,M,C,Kトナー像が形成される。これらのトナー像は、中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写されることで四色トナー像となる。
【0045】
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙装置200内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、給紙ローラ42の一つが選択されて回転駆動を開始し、回転駆動を介した給紙ローラ42に対応する給紙カセット44から転写紙が送り出される。送り出された転写紙は、分離ローラ45で一枚ずつ分離されて給紙路46に進入した後、搬送ローラ対47によって二次転写ニップに向けて搬送される。このような給紙カセット44からの給紙に代えて、手差しトレイ51からの給紙が行われる場合もある。この場合、手差し給紙ローラ50が選択されて回転駆動を開始し、手差しトレイ51上の転写紙を送り出した後、手差し分離ローラ52が転写紙を一枚ずつ分離してプリンタ部100の手差し給紙路53に給紙され、二次転写ニップに向けて搬送される。
【0046】
複写機500は、二色以上のトナーからなる多色画像を形成する場合には、中間転写ベルト110をその上部張架面がほぼ水平になる姿勢で張架して、上部張架面に四つの感光体1(Y,M,C,K)の全てを接触させる。これに対し、Kトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示しない機構により、中間転写ベルト110を
図2中の左側が下がるように傾けた姿勢にして、その上部張架面をY,M,C用の感光体1(Y,M,C)から離間させる。そして、四つの感光体1(Y,M,C,K)のうち、黒用感光体1Kだけを
図2中の反時計回り方向に回転させて、Kトナー像だけを作像する。この際、Y,M,Cについては、感光体1だけでなく、現像装置2も駆動を停止させることで、感光体1や現像剤の不要な消耗を防止することができる。
【0047】
図6は、
図3に示す現像装置2について、現像剤収容部である三つの現像剤搬送路を形成するケーシング121のみを示す断面図である。
図3、
図4及び
図5に示すように、現像装置2は、ケーシング121と、搬送路上部カバー230と、現像ローラ上カバー220と、奥側端部側板250と、手前側端部側板240とによって内部に現像剤を収容する現像ハウジングを形成する。
【0048】
現像装置2は、この現像ハウジングによって形成された三つの現像剤搬送路の現像剤を攪拌・搬送させるための三つの現像剤搬送スクリュとを備える。また、三つの現像剤搬送路のうちの供給搬送路9内の現像剤を担持して感光体1との最近接部である現像領域まで搬送する現像ローラ3を備える。さらに、現像ローラ3が現像剤を担持・搬送するに際し、現像ローラ3上の現像剤の層厚を長手方向(軸方向)に渡り均一に規制し、均すための現像剤規制部材である現像ドクタ12を備える。
【0049】
現像ローラ3を構成する現像スリーブ3aの内部にはマグネットローラ3bが設けられており、この磁力によって現像剤を担持することができる。また、磁性キャリアとトナーとは攪拌されることで、それぞれ逆極性に帯電しており、この帯電による静電気力によってそれぞれ付着し合っている。磁力によって現像ローラ3の表面に磁性キャリアを担持し、静電気力によって磁性キャリアにトナーが付着することによって、現像ローラ3の表面上には磁気ブラシ状の現像剤層が形成される。
【0050】
現像ローラ3に担持され、現像ドクタ12により均一に均された現像剤層は、現像ローラ3の表面移動に伴って現像領域まで搬送される。そして、現像バイアスのかけられた現像ローラ3と、静電気潜像の形成された感光体1の表面との電位差によって生じた電界(現像電界)により、トナーが感光体1上に移動し、現像される。その後、現像領域を通過した現像剤は再度ハウジングによって形成される現像剤搬送路内に回収され、現像剤搬送路内を循環しつつ、トナー補給口201から新しいトナーが供給され、攪拌・搬送されて、再度現像に使用される。
【0051】
上述したように、感光体1上の静電潜像を現像装置2によりトナーで現像すると、感光体1上に静電潜像に応じたトナー像が形成される。このトナー像を中間転写装置である中間転写ユニット17が備える中間転写ベルト110に転写し、その後、二次転写装置22によって転写紙などの印刷媒体上に転写する。そして、印刷媒体上に転写されたトナー像に熱や圧力を加えてトナーを溶融、定着させる定着装置25を通過させることで、印刷媒体上に画像が形成される。
【0052】
現像装置2のハウジングは、長手方向(軸方向)の長さが印刷媒体への印刷幅以上である。ハウジングの一部であるケーシング121は、現像ローラ3に現像剤を供給する供給搬送路9と、現像に使用された現像剤を回収して搬送する回収搬送路7と、回収された現像剤と新しく供給されたトナーを攪拌する攪拌搬送路10と、を形成する。また、
図4及び
図5に示すように、ハウジングの一部である奥側端部側板250及び手前側端部側板240は、ケーシング121の軸方向両端と、現像ローラ3及び三つの現像剤搬送スクリュの回転軸の両端部とを支持する部材である。さらに、搬送路上部カバー230は、ケーシング121の上方を覆うようにケーシング121に固定されて供給搬送路9を形成するとともに、現像ドクタ12が固定される部材である。また、現像ローラ上カバー220は、現像ドクタ12よりも現像領域側の現像ローラ3の表面を覆う部材である。
【0053】
ケーシング121について、上述した供給搬送路9、回収搬送路7及び攪拌搬送路10が、それぞれの間で現像剤を受け渡しする開口部以外においては空間が仕切られている必要がある。そして現像剤搬送路の長さが印刷媒体の横幅以上であることを考えると、例えば、A3サイズの用紙を対象とした画像形成装置に用いる現像装置2であれば、ケーシング121の軸方向の長さは、297[mm]以上の長さが必要となる。
【0054】
ケーシング121はこのように、軸方向にある程度のサイズがある部材であり、さらに、軸方向に同一の断面形状(
図6に示す断面形状)を持たせる必要がある。さらに、本実施形態の現像装置2では、三つの現像剤搬送路のうちの一つである攪拌搬送路10となる部分が、現像剤を収容するために周囲を壁面に囲まれた筒状の形状となっている。このような形状のケーシング121を一般的なプラスチック材料の射出成型品の単品にて作製することは困難である。
【0055】
単品にて作製することが困難な形状を、プラスチック成型品の二部品を溶着して上述したケーシング121の形状を作製することも考えられる。しかし、株式会社リコー製の「ProC750」のように一分間あたりの画像出力枚数がA4サイズの用紙で換算して60枚を超える高スピードかつ高画質なハイエンド機では、次のような問題が生じるおそれがある。
すなわち、このようなハイエンド機では、一台の現像装置2に400〜800[g]の二成分現像剤を収容する必要が有る。この量の現像剤を収容するケーシング121がプラスチック製では、帯電した現像剤の電荷がケーシング121をチャージアップさせ、これが画像上の不具合を引き起こすことがある。
【0056】
たとえば、ケーシング121自体のチャージアップによって内部で循環しているトナーをひきつけて壁面固着を引き起こし、この固着が剥がれ落ちて現像に使用されると画像上黒斑点や白抜けといった異常画像を発生させてしまう。
また、複写機500ように現像装置2の下方に中間転写ベルト110が位置している構成では、チャージアップしたケーシング121が中間転写ベルト110上に転写されたトナー像との間で電気的な力が働くおそれがある。このような電気的な力が働くと、トナー増を乱して画像上チリやかすれとなって現れることがある。
【0057】
本実施形態の現像装置2では、ケーシング121の材料としてアルミニウムの押し出し材を用いている。押し出し材を用いることで、ある程度の長さがある筒状の部分を有するケーシング121として、長手方向について同一の断面形状のものを作製することができる。また、ケーシング121の材料としてアルミニウムのような金属材質を用い、これを画像形成装置本体と電気的に導通させてアースに落とすことでケーシング121がチャージアップすることに起因する不具合の発生を防止することができる。
【0058】
現像装置2の現像領域では、現像ローラ3の表面に担持された現像剤が一時的に現像装置2の外側へ搬送されることになる。現像剤は磁気力及び静電気力によって現像ローラ3の表面上に担持されており、現像領域を通過した後は、再び現像装置2内に回収される。しかし、現像ローラ3の現像スリーブ3aが回転しているため、その遠心力によって現像ローラ3の表面上の現像剤が一部が遊離して、飛散してしまうことは不可避である。このように飛散する現像剤の量が増えてくると、画像形成装置内外の汚れの原因となったり、画像形成装置内の他部分の故障の原因となったりする。また、現像装置2における現像領域に対して現像スリーブ3aの回転方向下流側の
図3中の「α」で示す領域の周辺に、飛散した現像剤がたまってしまうと、これが画像上に落下して黒斑点や白抜けといった異常画像を引き起こす要因となる。
【0059】
こうした現像剤の飛散を少しでも抑制するため、現像領域に対して現像スリーブ3aの回転方向下流側で、現像領域を通過した現像剤を現像装置2内に回収する部分において、現像装置2内に向かう気流を生じさせることが有効である。この気流は、現像ローラ3とケーシング121とを所定の範囲で、所定のギャップを持たせて対向、近接させることで、現像スリーブ3aとともに回転しながら搬送される現像剤が空気と共に現像装置2内に向かうことで発生する。
このような気流を発生させることにより、現像ローラ3の保持力から遊離してしまった現像剤も、現像装置2内に向かう気流に乗せることで、現像装置2の外へ飛散させることなく現像装置2内に回収することが可能となる。
【0060】
このとき、現像剤の飛散を抑えるための気流を最適化するには、現像領域を通過した現像スリーブ3aの表面がケーシング121内に進入する部分のケーシング121と現像ローラ3との最近接部であるケーシングギャップ領域を最適に設計する必要がある。
上述した現像装置2内に向かう気流(以下、「吸い込み気流」という。)は、現像ローラ3に保持されて搬送される現像剤の磁気ブラシの流れによって生じる。しかし、この磁気ブラシとケーシング121との間が広すぎると、ケーシングギャップ領域の全域で吸い込み気流を生じさせることができなくなり、現像剤の飛散を抑制する効果が十分に得られなくなる。
これは、現像剤の流れにより、磁気ブラシの表面近傍には現像剤の移動方向と同じ方向の気流が生じるが、この気流により現像装置2の内部の圧力が上昇するため、上昇した圧力が磁気ブラシとケーシング121との隙間から抜けてしまうためである。よって、吸い込み気流による現像剤の飛散抑制効果を得るためには、現像剤の磁気ブラシとケーシング121が接触していることが望ましい。
【0061】
一方、ケーシングギャップ領域の隙間が狭すぎると、搬送された現像剤の全量がケーシングギャップ領域を通過できず、現像領域に対して現像スリーブ3aの表面移動方向下流側で現像剤があふれ、現像剤の循環が成立しなくなる。
【0062】
したがって、ケーシングギャップ領域の隙間は、現像剤の循環を妨げない最低限の幅を確保しつつ、現像剤の磁気ブラシとケーシング121が接触できる範囲で、使用する現像装置の各種条件に応じて最適に設計することが求められる。磁気ブラシとケーシング121が接触できる範囲の中では、使用する現像剤の特性、現像スリーブ3aの回転数、現像装置2内部の構成によって最適なケーシングギャップは異なってくる。このため、現像装置2の構成において最適な隙間の値、ケーシングギャップ領域の形状をチューニングするのが良い。
【0063】
このとき、製品の量産性を考慮した場合に、ケーシングギャップ領域は長手方向(軸方向)に一定以上の長さを持つため、量産機の全てにおいて精度よくケーシングギャップ領域の隙間の大きさを保証することは困難である。本発明者らが株式会社リコー製の「ProC750」の現像装置を用いた評価実験を行ったところ、ケーシングギャップ領域の隙間を0.7〜0.8[mm]の範囲に調整することで、現像剤の飛散の量が最も低減できるという結果が得られた。
【0064】
しかし、ケーシングギャップ領域をアルミニウムの押し出し材であるケーシング121と現像ローラ3の表面とで形成しようとすると、隙間の調整範囲を±0.05[mm]とすることを保証することは困難である。これは次の理由による。すなわち、現像ローラ3は軸方向の両端が奥側端部側板250と手前側端部側板240とに保持されており、ケーシング121もこれら二つの端部側板に保持されている。このため、ケーシングギャップ領域の隙間は、現像ローラ3と二つの端部側板との寸法公差、及び、二つの端部側板とケーシング121との寸法公差との積み上がりによって精度が決まる。このように寸法公差が積み上がるため、隙間の調整範囲を±0.05[mm]とすることを保証することは困難である。
さらに、本実施形態の現像装置2ではケーシング121にはアルミニウムの押し出し材を用いているが、アルミニウムの押し出し材は加工精度上、寸法を決めるのが難しいという問題もある。
【0065】
ケーシングギャップ領域の隙間を所望の範囲とする構成として、奥側端部側板250及び手前側端部側板240に対するケーシング121の組み付け位置を調節可能とする構成が考えられる。この構成では、現像ローラ3を保持する奥側端部側板250及び手前側端部側板240に対してケーシング121をある一方向に移動可能な構成とする。そして、現像ローラ3との最近接部であるケーシングギャップ領域の隙間の寸法を所定の突き当て法で管理して組みたて、固定することで、ケーシングギャップ領域の隙間の精度を保証するものである。
【0066】
しかし、この構成では、現像装置2の奥側端部側板250及び手前側端部側板240に対して、現像剤収容部を形成するメイン部材であるケーシング121が可動であることが求められる。一方、奥側端部側板250及び手前側端部側板240では、現像ローラ3以外にも、現像剤搬送スクリュを保持している。このため、ケーシングギャップ領域の隙間の寸法のみを優先してケーシング121の位置決めを行った場合、ケーシング121の内壁面と現像剤搬送スクリュの外周部とのクリアランスを必要な精度で保証することが困難となる。
【0067】
このクリアランスが広すぎると、現像装置2内での現像剤の循環性が悪くなり、トナー濃度の均一性が損なわれて画像濃度が不安定になる。また、現像装置2内で滞留した現像剤が凝集、または固着してしまい、こうした現像剤が剥がれ落ちて現像に使用されると画像上の黒斑点やしろ抜けといった異常画像となって現れる。
一方、上記クリアランスが狭すぎると、回転する現像剤搬送スクリュとケーシング121の内壁面との間に現像剤が挟まれ、加圧されることで、凝集や固着を生じてしまう。さらに、クリアランスが全くなくなる、すなわち、現像剤搬送スクリュがケーシング121の内壁面に接触する状態となると、回転する現像剤搬送スクリュがケーシング121の内壁面をこすって、破損等の種々の不具合を引き起こすことは自明である。
【0068】
また、この構成では、現像剤収容部を形成するメイン部材であるケーシング121と、奥側端部側板250及び手前側端部側板240との位置関係が、位置決め基準ではなく、ケーシングギャップ領域の隙間の寸法を調整した後のネジ止めによってのみ定められる。これにより、奥側端部側板250と手前側端部側板240との相対的な位置関係が現像装置2ごとにわずかに異なるという不具合が生じる。その結果、現像スリーブ3aや現像剤搬送スクリュを支持する軸方向両端の軸受部材の軸心ずれが生じ、軸受部での負荷トルク増大、及び発熱によるトナー固着といった弊害を生じる。
特に、近年の画像形成装置にて省エネ化が求められるにつれ、画像形成装置で最もエネルギを消費する定着プロセスで必要な熱量を下げるため、トナーの低融点化が進められている。その結果、現像装置2の軸受部での発熱があると、トナーの凝集、固着が発生しやすくなるため、軸受部での負荷トルクは極力抑えることが求められる。
【0069】
本実施形態の現像装置2では、
図3に示すように、現像領域を通過した現像スリーブ3aの表面がケーシング121の内側に入る部分に、ケーシング121と現像スリーブ3aとの隙間の大きさを調整するギャップ部材112を設けている。ギャップ部材112はケーシング121とは別部材であり、ケーシング121に対する組み付け位置を所定の範囲内で任意に調節することができる。この調節より、現像領域を通過した現像スリーブ3aの表面がケーシング121の内側に入る部分であるケーシングギャップ領域の隙間の広さを任意に調整することができる。また、形状が異なるギャップ部材112を取り替えることで、ケーシングギャップ領域で現像ローラ3と対向するハウジング側の対向面を任意に調節することも可能である。
【0070】
図1は、
図5と同様に現像ローラ上カバー220を取り外した状態の現像装置2を
図3中の右側から見た側面図である。
図1の現像ローラ3の表面上のクロスハッチングとした領域は、現像剤を搬送するための凹凸加工が施された現像剤担持搬送領域3cである。また、
図1中の現像剤担持搬送領域3cよりもの軸方向両端外側の破線は、現像スリーブ3aの内側に配置されたマグネットローラ3bの軸方向の両端部を示している。
【0071】
ケーシング121に対してギャップ部材112を別部材とする構成では、必ず両者の合わさり目に隙間が生じる。
図1に示す構成では、ケーシング121の一部であるギャップ調整軸方向端部対向部120と、ギャップ部材112との境目となる境目部4が現像剤担持搬送領域3cの軸方向端部よりも軸方向外側に位置している。さらに、マグネットローラ3bの磁力が作用して、現像剤を現像ローラの表面に保持し得る領域(以下、「着磁領域」とよぶ。)の軸方向の端部に対して、境目部4が軸方向内側に位置している。
【0072】
図7は、境目部4の位置が
図1の本実施形態の現像装置2とは異なる参考構成例の現像装置2の側面図である。参考構成例の現像装置2は、境目部4が、マグネットローラ3bの磁力が作用する領域の軸方向の端部に対して、軸方向外側に位置する点で本実施形態の現像装置2とは異なり、他の点は共通する。
【0073】
図8は、
図3に示す現像装置2の断面図のケーシングギャップ領域近傍の拡大断面図である。ギャップ部材112は、ケーシング121とは別部材であり、ケーシング121の一部であるギャップ部材固定部113に対してギャップ部材112を固定する構成である。
図8に示すようにギャップ部材112の現像ローラ3と対向する面は、現像ローラ3の表面に沿うような曲面となっている。ケーシングギャップ領域近傍では現像スリーブ3aは、
図8中の矢印Aで示すように表面移動し、ケーシング121の外から内側に向かうように表面が移動する。
【0074】
ギャップ部材112は、ギャップ部材固定部113の斜面に沿って、現像ローラ3の中心に向かう方向に移動可能な構成となっている。そして、ギャップ部材112と現像ローラ3との隙間を所定のケーシングギャップG1に調整した後、軸方向の三箇所でネジによってギャップ部材112とギャップ部材固定部113とを固定する。
また、ギャップ部材112をギャップ部材固定部113に固定するときには、境目部4の全体が空間とならないように、後述するスポンジシール部材13を挟むように配置する。
【0075】
図9は、
図3に示す現像装置2からギャップ部材112とスポンジシール部材13とを取り外した状態の現像装置2の断面説明図である。
図10は、
図9に示す現像装置2の断面図のケーシングギャップ領域近傍の拡大断面図である。
図11は、
図9と同様に、ギャップ部材112とスポンジシール部材13とを取り外した状態の現像装置2の奥側端部近傍の拡大斜視図であり、
図12は、同じ現像装置2の手前側端部近傍の拡大斜視図である。
図13は、参考構成例の現像装置2の境目部4におけるケーシングギャップ領域近傍の拡大断面図である。
【0076】
ギャップ部材112とスポンジシール部材13とを取り付けると、境目部4では
図9乃至
図12に示されるギャップ調整軸方向端部対向部120の軸方向内側の面と、ギャップ部材112の軸方向外側の面とに挟まれた隙間が形成される。この隙間は
図9及び
図10に示すように、現像剤収容部である回収搬送路7まで繋がっているため、回収搬送路7内の現像剤が漏れ出るおそれがある。この隙間から現像剤が漏れ出ることを抑制するために、
図13に示すように、境目部4には、弾性変形するスポンジシール部材13が配置されている。
【0077】
ギャップ部材112は、ケーシング121に対して移動可能であるため、その組み付け位置によって境目部4の隙間の形状は異なるが、スポンジシール部材13が境目部4の形状に合わせて弾性変形することである程度隙間を埋めることができる。
しかし、
図13に示すように、境目部4ではスポンジシール部材13と現像ローラ3との間に隙間(以下、「境目部ギャップG3」とよぶ)が形成されている。
図7に示す参考構成の現像装置2は、境目部4は着磁領域よりも外側であるため、境目部ギャップG3を形成する部分の現像ローラ3の表面には現像剤は担持されず、隙間が形成されたままの状態となる。
【0078】
この状態で現像装置2を駆動させると、現像剤担持搬送領域3cにおける現像剤が発生させる吸い込み気流によって現像装置2内の気圧が上昇し、
図13中の矢印Bで示すように境目部ギャップG3を通って外部に向かう気流が発生する。この気流によって回収搬送路7内の現像剤が徐々に外部に向かって押し出され、現像装置2から現像剤が漏れ出る状態となる。
【0079】
このように境目部4から現像剤が漏れ出ることを防止する構成として、現像ローラ3に対してスポンジシール部材13を接触させることが考えられる。しかし、表面移動する現像ローラ3に弾性材料からなるスポンジシール部材13が接触すると、摺擦による負荷や摩擦熱でスポンジシール部材13が劣化して千切れてしまうおそれがある。スポンジシール部材13が千切れると、現像装置2の内部に向かい現像ローラ3の表面と共に千切れたスポンジが現像装置2内の現像剤に混入するおそれがある。千切れたスポンジが現像装置2内の現像剤に混入すると、現像装置2内を現像剤とともに搬送されて現像ドクタ12と現像ローラ3との対向部であるドクタギャップに到達し、このドクタギャップで詰まってしまい、白スジの原因となるおそれがある。
【0080】
また、スポンジシール部材13はケーシング121とギャップ部材112とに挟まれることで、境目部4の隙間の中を現像ローラ3に向かって盛り上がるように変形し、この変形量を予め予測することは困難である。よって、スポンジシール部材13は現像ローラ3の対して十分に離れた位置に配置する必要があり、境目部ギャップG3が形成されることは不可避である。
【0081】
境目部4から現像剤が漏れ出ることを防止する他の構成として、
図13に示すように、境目部ギャップG3の出口側にフィルム状の入口シール5を設けることが考えられる。境目部4をまたぐように、ギャップ部材112とギャップ調整軸方向端部対向部120との感光体1と対向する側の面に入口シール5を貼り付けることで、境目部ギャップG3の出口に到達した現像剤がそのまま現像装置2の外に出てしまうことを防止できる。
しかし、このような入口シール5を設けても境目部ギャップG3から現像剤が漏れ出ることを十分に抑制することが出来なかった。これは以下の理由による。
【0082】
図14は、ギャップ部材112とギャップ調整軸方向端部対向部120とに入口シール5を貼り付けた状態の境目部4近傍を上方から見た拡大断面図である。ギャップ部材112、ギャップ調整軸方向端部対向部120及びスポンジシール部材13はそれぞれ別部材であり、境目部4では複数の部材が組み合わさることで段差が生じてしまう。
図14(a)は、スポンジシール部材13が他の二つの部材よりも外側に突き出た状態の説明図であり、
図14(b)は、スポンジシール部材13が他の二つの部材よりも内側に引っ込んだ状態の説明図である。
図14に示すように、段差が生じる限り、ギャップ部材112、ギャップ調整軸方向端部対向部120及びスポンジシール部材13の三つの部材と入口シール5との間には
図14中の「β」で示す隙間が生じてしまう。
そして、このような隙間があると、境目部ギャップG3を通過して、入口シール5の位置まで到達した現像剤は、
図14中の「β」で示すような隙間を通過して、現像装置2の外部へと漏れ出てしまう。
【0083】
一方、
図1に示す本実施形態の現像装置2では、軸方向について、ギャップ部材112と二つの境目部4とが着磁領域の軸方向の幅内に収まっている。
図15は、本実施形態の現像装置2における各部の軸方向の長さの説明図である。
【0084】
図15に示すように、現像装置2の長手方向(軸方向)の長さの関係は、印刷物の最大幅によって最小範囲である印刷幅L1が決定される。これは、少なくとも印刷幅L1の全域に渡って均一な現像剤を供給することが、感光体1上の静電潜像を忠実に現像するために必要だからである。
【0085】
また、現像ローラ3上の現像剤は、現像ローラ3の内部に設けられた磁力発生源であるマグネットローラ3bの磁力によって現像ローラ表面に保持される。しかし、実際に現像剤を現像スリーブ3aの回転によって搬送するのは、現像スリーブ3aの表面の現像剤担持搬送領域3cに設けられた溝形状による摩擦力である。この溝形状はV溝タイプ、サンドブラストタイプ、溶射タイプ、小窪配置タイプなど様々であるが、これらは使用する現像剤や現像装置2のコスト等を総合的に判断して設定されるのが良い。そして、印刷幅L1の全域に現像剤を供給するため、溝加工がされた現像剤担持搬送領域3cの長手方向の長さで溝加工幅L2は印刷幅L1よりも長く、その長手方向両端が印刷幅L1となる領域の長手方向両端よりも外側に位置することが必要である。
【0086】
また、上述した着磁領域の長手方向の長さである着磁力幅L4は、溝加工幅L2よりも長く、着磁領域の長手方向両端は現像剤担持搬送領域3cよりも外側に位置することが望ましい。なぜなら、着磁領域の長手方向の端部が現像剤担持搬送領域3cの内側に位置していると、マグネットローラ3bの長手方向端部の磁界の回りこみによって、現像剤担持搬送領域3cにおける着磁領域の長手方向の端部近傍にて現像剤をひきつける力が強くなる。そして、単位長さ辺りの現像剤搬送量が増え、磁気ブラシの高さが高くなってしまう。
【0087】
その結果、現像剤搬送量の初期的なばらつきや、画像形成装置を使用しているうちの経時的な変動が生じる。これにより、ある所定の量よりも現像剤搬送量が多くなってしまった場合、着磁領域の長手方向の端部近傍にて搬送された現像剤がケーシングギャップ領域を通過できずにあふれてしまうといった弊害が生じてしまう。このような着磁領域の長手方向の端部近傍での現像剤搬送量に合わせてケーシングギャップG1を設定すると、本来現像剤の飛散に対して最適なケーシングギャップG1よりも広くなり、現像剤の飛散が悪化するという不具合がある。
【0088】
本実施形態の現像装置2ではギャップ部材112の長手方向の長さであるギャップ部材幅L3が、溝加工幅L2よりも広く、着磁力幅L4よりも狭い構成である。そして、ギャップ部材112の長手方向の両端に形成される境目部4の位置が、現像剤担持搬送領域3cよりも長手方向外側で、且つ、着磁領域の長手方向両端部よりも内側となっている。
これにより、ギャップ部材112により最適化されたケーシングギャップG1が、現像剤が搬送される現像剤担持搬送領域3c全域に渡って保証される。
【0089】
さらに、本実施形態の現像装置2では、
図1に示すように、着磁領域の長手方向両端部よりも内側に境目部4が位置している。
図16は、本実施形態の現像装置2の境目部4におけるケーシングギャップ領域近傍の拡大断面図である。
【0090】
境目部4が現像剤担持搬送領域3cよりも長手方向外側に位置することで、境目部4と対向する現像ローラ3の表面は現像剤の積極的な搬送は行われない。しかし、境目部4が着磁領域の長手方向両端部よりも内側に位置することで、境目部4におけるスポンジシール部材13と現像ローラ3との隙間である境目部ギャップG3に存在する現像剤には、マグネットローラ3bの磁力が作用する。これにより、境目部ギャップG3を通過しようとする現像剤は現像ローラ3に引き付けられ、
図16中に「現像剤D」として示すように、現像ローラ3の表面に保持された状態となる。現像ローラ3の表面上に保持された現像剤Dによって境目部ギャップG3を塞ぐことにより、境目部ギャップG3から現像剤が漏れ出ることを抑制できる。
【0091】
また、境目部4が現像剤担持搬送領域3cよりも長手方向外側に位置するため、感光体1と対向する領域を通過して境目部ギャップG3に到達する現像スリーブ3aの表面には現像剤がほとんど担持されていない。このため、軸方向について境目部4と対向する位置となる現像スリーブ3aの表面は、ケーシング121の外部に露出しても遠心力によって現像剤が飛散するおそれがほとんどない。よって、境目部ギャップG3は、現像剤の飛散を抑制するための吸い込み気流を考慮したり、感光体1と対向する領域を通過した現像剤を全て通過させることを考慮したりする必要がない。このため、ギャップ部材112とケーシング121との間で押し潰されて変形するスポンジシール部材13の変形量のバラツキによって境目部ギャップG3の値がばらついても問題とはならない。
【0092】
なお、本実施形態及び参考構成例の現像装置2では、奥側端部側板250及び手前側端部側板240は、樹脂材料で成型され、ケーシング121及びギャップ部材112はアルミニウム製である。また、本実施形態の現像装置2では現像剤の循環を成立させつつ、現像剤の飛散を最大限抑制できるケーシングギャップG1は、0.7〜0.8[mm]である。本実施形態では、ギャップ部材112を現像装置2に対して調整して組み付けることで、適切なケーシングギャップG1を実現している。
【0093】
図1に示すように、着磁領域の軸方向端部は、ギャップ調整軸方向端部対向部120と対向する位置となっている。また、
図10に示すように、ギャップ調整軸方向端部対向部120と現像ローラとの間に隙間(以下、「端部ギャップG2」とよぶ)が形成されている。
【0094】
現像装置2内の現像剤は、この端部ギャップG2からも漏れ出るおそれがある。しかし、端部ギャップG2は現像剤担持搬送領域3cよりも長手方向外側に位置するため、現像剤の飛散を抑制するための吸い込み気流を考慮したり、感光体1と対向する領域を通過した現像剤を全て通過させることを考慮したりする必要がない。また、端部ギャップG2を形成するギャップ調整軸方向端部対向部120はスポンジシール部材13と異なり、形状が定まったケーシング121の一部である。よって、現像ローラ3の表面にギャップ調整軸方向端部対向部120を接触しない程度まで近づけ、端部ギャップG2を狭める設定が可能である。そして、端部ギャップG2を狭めることで、現像装置2内の現像剤が、端部ギャップG2から漏れ出ることを抑制できる。
【0095】
また、端部ギャップG2のうち着磁領域と対向する範囲では、上述した境目部ギャップG3と同様に現像ローラ3の表面上に保持された現像剤によって端部ギャップG2を塞ぐことにより、端部ギャップG2から現像剤が漏れ出ることを抑制できる。
一方、端部ギャップG2のうち着磁領域よりも軸方向外側と対向する範囲では、端部ギャップG2ものはなく、現像装置2内の現像剤が端部ギャップG2を通過して端部ギャップG2の出口まで到達するおそれがある。端部ギャップG2の出口まで到達した現像剤は、境目部4をまたぐように、ギャップ部材112とギャップ調整軸方向端部対向部120との感光体1と対向する側の面に貼り付けた入口シール5によって漏れ出ることが防止される。
【0096】
入口シール5がギャップ調整軸方向端部対向部120にのみ貼り付いている範囲では隙間が生じないため、漏れ出ることを防止できる。入口シール5に到達した現像剤はギャップ調整軸方向端部対向部120及び入口シール5に沿って軸方向に移動し、
図14中の「β」で示した段差によって生じる隙間に向かうことが考えられる。しかし、この段差によって隙間が生じる境目部4の近傍は、着磁領域となっており、ギャップ調整軸方向端部対向部120と現像ローラ3との隙間を通過しようとする現像剤は現像ローラ3の磁力によって保持される。このため、端部ギャップG2の出口まで到達した現像剤が、段差によって生じる入口シール5の貼り付け面の隙間に到達することを抑制でき、現像装置2内の現像剤が、端部ギャップG2から漏れ出ることを抑制できる。
【0097】
また、
図15に示す長手方向の長さ関係として、印刷領域の中心から見て、ギャップ部材112の長手方向端部までの長さ(L3/2)は、170[mm]である。そして、そこから1[mm]の隙間(境目部4)を挟んでギャップ調整軸方向端部対向部120が設けられている。
同様に印刷領域の中心から見て、現像剤担持搬送領域3cの長手方向端部までの長さ(L2/2)は、167[mm]であり、着磁領域の長手方向端部までの長さ(L4/2)は、175[mm]である。さらに、印刷領域の中心から見て、現像ローラ3の長手方向端部までの長さ(L5/2)は、185[mm]である。
【0098】
このような長手方向の長さの関係により、ケーシング121の一部であるギャップ調整軸方向端部対向部120と、ギャップ部材112との隙間である境目部4の全てが着磁領域の範囲内に収まる。これにより、境目部4の周辺の現像剤を現像ローラ3の磁力によって保持することができ、境目部4からの現像剤漏れを抑制することができる。
【0099】
本実施形態の現像装置2では、現像領域を通過した現像剤を回収する回収搬送路7内の現像剤は
図1中の左側へと搬送され、
図1中の右側が回収搬送路7における現像剤の搬送方向上流側となる。
そして、上述した境目部4を着磁領域の範囲内に収める構成は、回収搬送路7における現像剤の搬送方向下流側端部よりも上流側端部に適用する方かより効果が高いと考えられる。これは以下の理由による。
【0100】
すなわち、回収搬送路7では、現像剤を搬送しながら現像領域を通過した現像スリーブ3a上の現像剤が供給されるため、搬送方向下流側ほど現像剤の嵩が高くなる。現像剤の嵩が高くなる搬送方向下流側では、現像剤の一部が一時的に舞い上がったとしても、下流側に向かう流れを形成する現像剤の剤面に飲み込まれるため、回収搬送路7内で発生する気流の影響は受け難い。
【0101】
一方、現像剤の嵩が低くなる搬送方向上流側では、現像剤の一部が一時的に舞い上がると、下流側に向かう流れを形成する現像剤の剤面に飲み込まれ難く、舞い上がったままの状態では回収搬送路7内で発生する気流の影響を受け易くなる。そして、舞い上がった現像剤が、
図13中の矢印Bで示した外部に向かう気流に乗ってしまうと、現像剤が漏れ出てしまう。よって、現像剤が舞い上がった状態のままとなり易い回収搬送路7の現像剤搬送方向上流側ほど、境目部4を着磁領域の範囲内に収める構成を適用したときの効果が高くなると考えられる。
よって、設計上の都合等により、ギャップ部材112の長手方向の両端部の内の一方の端部の境目部4のみを着磁領域の範囲内に収める場合は、長手方向に平行な回収搬送路7の搬送方向上流側となる側の境目部4を着磁領域の範囲内に収めることが望ましい。
【0102】
入口シール5を備える構成では、境目部4におけるギャップ部材112、ケーシング121及びスポンジシール部材13と入口シール5との隙間に充填剤を充填する構成が考えられる。この構成であれば、境目部4と現像ローラ3との隙間を通過して入口シール5の位置まで到達した現像剤は漏れ出る隙間がないため、現像装置2の外部に現像剤が漏れ出ることを抑制できる。しかし、ギャップ部材112、ケーシング121及びスポンジシール部材13と入口シール5との隙間が埋まるように充填剤を充填する工程は時間と手間とを要する。これに対して、本実施形態の現像装置2では、ケーシング121及びスポンジシール部材13と入口シール5との隙間に充填剤を充填しなくても十分に現像剤が漏れ出ることを抑制することができる。
【0103】
上記実施形態では、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤を用いる現像装置について説明したが、本発明は、磁力によって現像剤を現像剤担持体上に担持する構成であれば磁性一成分現像剤を用いる現像装置についても適用可能である。
【0104】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
内部に配置されたマグネットローラ3b等の磁界発生手段が発生させる磁界の作用により磁性キャリア等の磁性体を含有する現像剤を外周面上に担持して回転する円筒状の現像スリーブ3a等の現像剤担持体と、現像剤担持体の表面に供給する現像剤を収容する三つの現像剤搬送路等の現像剤収容部を形成するケーシング121等の現像ケーシングとを有し、現像剤担持体の外周面上に担持された現像剤中のトナー等の画像形成成分を感光体1等の潜像担持体上に形成された静電潜像に付着させることにより静電潜像を現像する現像装置2等の現像装置において、現像剤担持体と潜像担持体とが対向する現像領域に対して現像剤担持体の表面移動方向下流側に配置され、現像剤担持体の表面との間に隙間を形成するギャップ部材112等のギャップ形成部材を備え、ギャップ形成部材は現像ケーシングとは別部材であり、現像剤担持体の回転軸に平行な軸方向について、ギャップ形成部材の軸方向の少なくとも一方の端部と、この端部に対して軸方向外側に位置する現像ケーシングの一部との境目(境目部4等)が、磁界発生手段の軸方向の端部よりも軸方向内側に位置している。
これによれば、上記実施形態について説明したように、現像領域の下流側における現像剤の飛散と現像剤が溢れることとを抑制しつつ、軸方向端部から現像剤が漏れ出ることを抑制できる、これは以下の理由による。
すなわち、別部材であるので組み付けの際に、ギャップ形成部材と現像剤担持体とのギャップが軸方向の全域に渡って所定の範囲の隙間となるように、現像ケーシングに対するギャップ形成部材の組み付け位置を調節することができる。これにより、現像剤の飛散と現像剤が溢れることとを抑制することができる。
また、軸方向端部から現像剤が漏れ出る不具合について、本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、ギャップ形成部材の端部と現像ケーシングの一部との境目と、現像剤担持体の表面との隙間を通過した現像剤が軸方向端部から漏れ出ていることを見出した。
態様Aでは、上記境目が、磁界発生手段の軸方向の端部よりも軸方向内側に位置することで、磁界発生手段の磁力によって現像剤担持体に現像剤が担持される領域内に上記境目が位置することになる。このため、現像剤収容部内の現像剤が、上記境目と現像剤担持体の表面との隙間を通過しようとしたときに、この隙間に作用する磁界発生手段の磁力によって通過しようとする現像剤が現像剤担持体の表面上に保持される。これにより、上記隙間を現像剤が通過することを妨げることができ、上記境目で現像剤が漏れ出ることを抑制することができる。
このように態様Aでは、現像領域の下流側における現像剤の飛散と現像剤が溢れることとを抑制しつつ、軸方向端部から現像剤が漏れ出ることを抑制できる。
【0105】
(態様B)
態様Aにおいて、現像スリーブ3a等の現像剤担持体の表面には、磁界によって表面上に担持された現像剤を表面移動に伴って搬送するために現像剤との間の摩擦力を高める溝形状等の表面加工を施した現像剤担持搬送領域3c等の摩擦力向上領域が設けられており、摩擦力向上領域はマグネットローラ3b等の磁界発生手段の軸方向の端部よりも軸方向の内側に設けられ、ギャップ部材112等のギャップ形成部材の軸方向の端部は摩擦力向上領域よりも軸方向の外側に位置する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、遠心力によって現像剤が飛散することを抑制することが可能となる。なぜなら、遠心力によって現像剤担持体上の現像剤の一部が遊離して飛散してしまうおそれがあるのは、現像剤が担持されて搬送される摩擦力向上領域内である。ここで、ギャップ形成部材の軸方向の端部を摩擦力向上領域よりも軸方向の外側に位置することで、摩擦力向上領域ではギャップ形成部材によってケーシングギャップ領域のギャップを所定の範囲とすることが可能となる。これにより、現像剤担持体の表面上の摩擦力向上領域に担持された現像剤に対して吸い込み気流を作用させて、遠心力によって現像剤が飛散することを抑制することが可能となる。
【0106】
(態様C)
少なくとも感光体1等の潜像担持体と、潜像担持体表面を帯電させる帯電装置等の帯電手段と、潜像担持体上に静電潜像を形成する光書込ユニット21等の潜像形成手段と、静電潜像を現像する現像手段とを有する複写機500等の画像形成装置において、現像手段として、態様AまたはBの何れかに係る現像装置2等の現像装置を用いる。
これによれば、上記実施形態について説明したように、現像剤の飛散と現像剤が溢れること、及び、現像剤が漏れ出ることを抑制することができるため、現像装置の外に現像剤が出てくることを防止できる。これにより、現像装置の外に出てきた現像剤による異常画像の発生を抑制することができ、画質の向上を図ることができる。また、装置内汚れの発生も抑制することができる。
【0107】
(態様D)
潜像を担持する感光体1等の潜像担持体と、潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備える複写機500等の画像形成装置における少なくとも潜像担持体と現像手段とを一つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して着脱可能にした画像形成ユニット20等のプロセスカートリッジにおいて、現像手段として、態様Aまたは2の何れかに記載の現像装置2等の現像装置を用いる。
これによれば、上記実施形態について説明したように、現像領域の下流側における現像剤の飛散と現像剤が溢れることとを抑制しつつ、軸方向端部から現像剤が漏れ出ることを抑制できる現像装置の交換性の向上を図ることができる。