(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記物体支持部材を前記物体と共に前記物体保持装置に受け渡す際に該物体支持部材を移動させるとともに、前記物体を前記物体交換位置から搬出する際に該物体支持部材を移動させる駆動装置を更に備える請求項6又は7に記載の物体交換システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、一実施形態について、
図1〜
図7(C)を用いて説明する。
【0015】
図1には、一実施形態に係る液晶露光装置10の構成が概略的に示されている。液晶露光装置10は、例えば液晶表示装置(フラットパネルディスプレイ)などに用いられる矩形(角型)のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とするステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。
【0016】
液晶露光装置10は、照明系12、マスクMを保持するマスクステージ装置14、投影光学系16、表面(
図1で+Z側を向いた面)にレジスト(感応剤)が塗布された基板Pを保持する基板ステージ装置20、基板交換装置40、懸垂支持装置50、及びこれらの制御系等を有している。以下、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系16に対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向とし、水平面内でX軸に直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向として説明を行う。また、X軸、Y軸、及びZ軸方向に関する位置をそれぞれX位置、Y位置、及びZ位置として説明を行う。
【0017】
照明系12は、例えば米国特許第5,729,331号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。照明系12は、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、それぞれ図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光(あるいは、上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。
【0018】
マスクステージ装置14は、マスクMを、例えば真空吸着により保持している。マスクステージ装置14は、例えばリニアモータを含むマスクステージ駆動系(不図示)により走査方向(X軸方向)に所定の長ストロークで駆動される。マスクステージ装置14のXY平面内の位置情報は、不図示のレーザ干渉計を含むマスク干渉計システムにより求められる。
【0019】
投影光学系16は、マスクステージ装置14の下方に配置されている。投影光学系16は、例えば米国特許第6,552,775号明細書などに開示される投影光学系と同様な構成の、いわゆるマルチレンズ投影光学系であり、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成する複数の投影光学系を備えている。
【0020】
液晶露光装置10では、照明系12からの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、マスクMを通過した照明光により、投影光学系16を介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、基板P上の照明領域に共役な照明光の照射領域(露光領域)に形成される。そして、照明領域(照明光IL)に対してマスクMが走査方向に相対移動するとともに、露光領域(照明光IL)に対して基板Pが走査方向に相対移動することで、基板P上の1つのショット領域の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMに形成されたパターンが転写される。
【0021】
基板ステージ装置20は、XY粗動ステージ22、及び基板ホルダ30を備えている。
【0022】
XY粗動ステージ22は、基板ホルダ30をX軸方向、及びY軸方向に所定の長ストローク駆動するための装置である。XY粗動ステージ22としては、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されるような、X軸方向に所定の長ストロークで移動可能なX粗動ステージと、Y軸方向に所定の長ストロークで移動可能なY粗動ステージとを組み合わせた、いわゆるガントリタイプの2軸ステージ装置(X、Y粗動ステージは、図示省略)を用いることができる。
【0023】
基板ホルダ30は、平面視矩形の板状(あるいは高さの低い直方体状)の部材から成り、上記XY粗動ステージ22の上方に配置されている。基板ホルダ30は、XY粗動ステージ22に誘導されることにより、投影光学系16(照明光IL)に対してX軸方向、及び/又はY軸方向に所定の長ストロークで移動する。基板ホルダ30(すなわち基板P)のXY平面内の位置情報は、不図示のレーザ干渉計を含む基板干渉計システムにより求められる。なお、XY粗動ステージ22の構成は、少なくとも基板Pを走査方向に所定の長ストロークで駆動することができれば、特に限定されない。
【0024】
基板ホルダ30の上面(+Z側を向いた面)には、不図示の微少な孔部が複数形成されている。基板ホルダ30には、基板ステージ装置20の外部に設置された真空吸引装置(不図示)が接続されている。基板ホルダ30は、上記真空吸引装置から上記複数の孔部を介して供給される真空吸引力により、その上面に載置された基板Pを吸着保持することができるようになっている。
【0025】
基板ホルダ30のX軸及びY軸方向それぞれの寸法は、
図3(C)に示されるように、基板PのX軸及びY軸方向それぞれの寸法よりも幾分短く設定され、基板ホルダ30上に基板Pが載置された状態で、基板Pの端部が基板ホルダ30の端部から幾分はみ出すようになっている。これは、基板Pの裏面にレジストが付着する可能性があり、そのレジストが基板ホルダ30に付着しないようにするためである。
【0026】
ここで、液晶露光装置10において、基板ホルダ30への基板Pの搬入動作(ローディング)、及び基板ホルダ30からの基板Pの搬出動作(アンローディング)は、基板Pを
図3(A)に示される基板トレイ90と称される部材上に載置した状態で行われる。
【0027】
基板トレイ90は、X軸方向に延びる棒状の部分であるX支持部92xと、Y軸方向に延びる棒状の部分であるY支持部92yとを、それぞれ複数(本実施形態では、X支持部92xを、例えば7本、Y支持部92yを、例えば5本)備えている。X支持部92xは、Y軸方向に所定間隔で、Y支持部92yは、X軸方向に所定間隔で、それぞれ基板Pを下面から均等に支持できるように(自重による撓みを抑制できるように)互いに平行に配置されている。基板トレイ90を形成するX支持部92xとY支持部92yとは、例えばCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)などの材料により一体的に形成されており、基板トレイ90は、基板Pに比べ剛性(及び/又は靱性)が高く構成されている。
【0028】
基板トレイ90の上面における四隅部(最も外側(+Y側及び−Y側)の2本のX支持部92xそれぞれの両端部近傍)それぞれには、テーパ部材94が固定されている。テーパ部材94は、−Z側から+Z側に向けて細くなるテーパ面を有する円錐台状(
図3(B)参照)の部材から成る。また、最も外側の2本のX支持部92xそれぞれの下面には、一対の凹部96がX軸方向に離間して形成されている。凹部96は、−Z側から+Z側に向けて狭くなるテーパ面(
図3(B)参照)により規定される。なお、基板トレイ90において、X支持部92x及びY支持部92yの本数は、特に限定されず適宜変更が可能である。また、本実施形態のX支持部92x及びY支持部92yそれぞれは、長手方向に直交する断面が矩形であるが、断面形状は、特に限定されず、例えば円形でも良い。X支持部92x及びY支持部92yは、互いに断面形状(厚さ、太さなど)が異なっていても良い。また、X支持部92xとY支持部92yとは、別部材であっても良い。
【0029】
これに対し、
図2に示されるように、基板ホルダ30の上面には、X軸に平行な複数本(例えば、5本)のX溝32xがY軸方向に所定の間隔で形成されている。さらに、基板ホルダ30の上面には、Y軸に平行な複数本(例えば、3本)のY溝32yがX軸方向に所定の間隔で形成されている。X溝32xは、基板ホルダ30の+X側及び−X側それぞれの側面に、Y溝32yは、基板ホルダ30の+Y側及び−Y側それぞれの側面に開口している。複数のX溝32xのY軸方向に関する間隔は、基板トレイ90が有する複数のX支持部92x(ただし、最も外側の2本のX支持部92xを除く)のY軸方向に関する間隔と概ね一致している。また、複数のY溝32yのX軸方向に関する間隔は、基板トレイ90が有する複数のY支持部92yのX軸方向に関する間隔と概ね一致している。これにより、
図3(C)に示されるように、基板ホルダ30は、X溝32x内に基板トレイ90のX支持部92xを、Y溝32y内に基板トレイ90のY支持部92yをそれぞれ収容することが可能となっている。
【0030】
ここで、X支持部92xの厚さ方向寸法は、X溝32xの深さ方向寸法よりも小さく(薄く)、Y支持部92yの厚さ方向寸法は、Y溝32yの深さ方向寸法よりも小さく(薄く)設定されている。これにより、X支持部92xがX溝32x内に、Y支持部92yがY溝32y内にそれぞれ収容された状態で、基板ホルダ30上に載置された基板Pの下面と基板トレイ90の上面が離間する(
図4(A)など参照)。
【0031】
また、基板トレイ90において、最も外側(+Y側及び−Y側)の2本のX支持部92x間の間隔は、基板ホルダ30のY軸方向の寸法よりも長く設定されており、
図3(C)に示される基板ホルダ30と基板トレイ90とを組み合わせた状態で、上記最も外側(+Y側及び−Y側)の2本のX支持部92xは、基板ホルダ30の外側に配置される。同様に、最も外側(+X側及び−X側)の2本のY支持部92y間の間隔は、基板ホルダ30のX軸方向の寸法よりも長く設定されており、基板ホルダ30と基板トレイ90とを組み合わせた状態で、上記最も外側(+X側及び−X側)の2本のY支持部92yは、基板ホルダ30の外側に配置される。
【0032】
図1に戻り、基板交換装置40は、基板ホルダ30に保持された基板Pの基板ホルダ30からの搬出、及び空の(基板Pを保持していない)基板ホルダ30に対する基板Pの搬入を行う。基板交換装置40は、
図1に示されるように、基板ステージ装置20の+X側の領域に配置され、基板ステージ装置20と共に液晶露光装置10が有する不図示のチャンバ内に収容されている。
【0033】
基板交換装置40は、
図2に示されるように、一対の搬送ハンド42(
図1では紙面奥行き方向に重なっている)を備えている。一対の搬送ハンド42は、それぞれX軸方向に延びる部材から成り、Y軸方向に所定間隔で互いに平行に配置されている。搬送ハンド42の長手方向寸法は、基板トレイ90のX支持部92xの長手方向寸法と同程度に設定されている。基板交換装置40では、+Y側の搬送ハンド42が最も+Y側のX支持部92xを、−Y側の搬送ハンド42が最も−Y側のX支持部92xを、それぞれ下方から支持することにより、基板トレイ90を下方から支持する。
【0034】
ここで、一対の搬送ハンド42のY軸方向の間隔は、
図2では、基板トレイ90の最も外側(+Y側及び−Y側)の2本のX支持部92x間の間隔と概ね同じとなっているが、一対の搬送ハンド42は、不図示の駆動装置により、独立してY軸方向に移動可能となっている。これにより、基板交換装置40では、一対の搬送ハンド42間の間隔を基板トレイ90のY軸方向の寸法よりも広くすることができる。また、一対の搬送ハンド42は、上記駆動装置により、X軸方向に所定の長ストロークで同期駆動される。一対の搬送ハンド42を駆動する駆動装置の構成は、特に限定されず、例えばリニアガイド装置に沿って駆動されるようにしても良いし、多関節ロボットアームにより駆動されるようにしても良い。
【0035】
搬送ハンド42の上面には、一対の半球状の突起44がX軸方向に離間して配置されている。一対の突起44間の間隔は、上記基板トレイ90に形成された一対の凹部96間の間隔とほぼ同じに設定されており、基板交換装置40は、突起44を対応する凹部96に嵌合させることにより、基板トレイ90を安定して支持することができるようになっている。
【0036】
図1に戻り、懸垂支持装置50は、基板ステージ装置20よりも+Z側の領域に配置されている。懸垂支持装置50は、複数(本実施形態では、例えば4つ)のチャック装置52、及び該複数のチャック装置52に対応して配置された複数(例えば4つ)のZアクチュエータ54を備えている。なお、
図1では、例えば4つのチャック装置52(及び対応するZアクチュエータ54)のうち、2つのみが図示され、該2つのチャック装置52の紙面奥側に他の2つのチャック装置52(及び対応するZアクチュエータ54)が隠れている。
【0037】
懸垂支持装置50では、
図2に示されるように、X軸方向に離間して配置された一対のチャック装置52が、Y軸方向に離間して、例えば2列配置されている。上記一対のチャック装置52のX軸方向の間隔は、基板トレイ90が有する一対のテーパ部材94のX軸方向の間隔と概ね同じに設定されている。また、チャック装置52のY軸方向の間隔は、基板トレイ90が有するテーパ部材94のY軸方向の間隔と概ね同じに設定されている。すなわち、例えば4つのチャック装置52は、基板トレイ90が有する、例えば4つのテーパ部材94に対応する位置関係で配置されている。
【0038】
チャック装置52の下面には、凹部52aが形成されている。凹部52aは、上記基板トレイ90のテーパ部材94の外周面(テーパ面)に対応するテーパ面(−Z側から+Z側に向けて狭くなるテーパ面)により規定され(
図1など参照)ており、対応するテーパ部材94の先端部が挿入可能となっている。また、チャック装置52には、不図示の真空吸引装置が接続されている。チャック装置52は、凹部52aを規定する面に形成された微少な孔部(不図示)を介して上記真空吸引装置から供給される真空吸引力により、凹部52aに挿入されたテーパ部材94を吸着保持することが可能となっている。
【0039】
図1に戻り、Zアクチュエータ54は、対応するチャック装置52をZ軸方向に所定のストロークで駆動する。Zアクチュエータ54の種類は、特に限定されないが、チャック装置52のZ位置を任意に位置決めできることが望ましく、例えば送りネジ装置、エアシリンダなどを用いると良い。本実施形態において、複数のZアクチュエータ54は、マスクステージ装置14、及び投影光学系16を支持する装置本体フレーム56に形成された孔部56a内に収容されている。なお、複数のZアクチュエータ54は、装置本体フレーム56とは別の部材(例えば架台など)に取り付けられていても良い。また、チャック装置52をZ軸方向に直進案内するZリニアガイド装置を配置することが好ましい。
【0040】
上述のようにして構成された液晶露光装置10(
図1参照)では、不図示の主制御装置の管理の下、不図示のマスクローダによって、マスクステージ装置14上へのマスクMのロードが行われるとともに、基板交換装置40によって、基板ホルダ30上への基板のロードが行なわれる。その後、主制御装置により、不図示のアライメント検出系を用いてアライメント計測が実行され、そのアライメント計測の終了後、基板P上に設定された複数のショット領域に逐次ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。なお、この露光動作は従来から行われているステップ・アンド・スキャン方式の露光動作と同様であるので、その詳細な説明は省略するものとする。そして、露光処理が終了した基板Pが基板交換装置40により基板ホルダ30上から搬出されるとともに、次に露光される別の基板Pが基板ホルダ30に搬送されることにより、基板ホルダ30上の基板Pの交換が行われ、複数の基板Pに対し、露光動作などが連続して行われる。
【0041】
以下、液晶露光装置10における基板ホルダ30からの基板Pの搬出動作、及び基板ホルダ30への基板Pの搬入動作(以下、まとめて基板Pの交換動作と称する)について、
図4(A)〜
図7(C)を用いて説明する。以下の基板交換動作は、不図示の主制御装置の管理の下に行われる。なお、図面の簡略化のため、
図4(A)〜
図7(C)では、基板ステージ装置20は、基板ホルダ30のみが図示されている。
【0042】
以下、便宜上、複数の基板Pを基板P
1、及び基板P
2として説明を行う。また、本実施形態の基板交換動作では、例えば2つの基板トレイ90が用いられる。以下、便宜上、例えば2つの基板トレイ90を基板トレイ90
1、及び基板トレイ90
2として説明を行う。基板トレイ90
1と基板トレイ90
2とは、実質的に同じ構造である。
【0043】
図4(A)には、基板ホルダ30上に露光済みの基板P
1が載置された基板ステージ装置20が、露光動作終了位置から基板交換位置に向けて移動している状態が示されている。この状態で、基板ホルダ30には、基板トレイ90
1が収容(ただし、最も外側のX支持部92x、Y支持部92y(それぞれ
図3(C)参照)は除く。以下同じ)されている。
【0044】
基板ステージ装置20が基板交換位置に位置決めされると、
図4(B)に示されるように、懸垂支持装置50の複数のチャック装置52が同期して下降駆動される。これにより、複数のテーパ部材94それぞれが対応するチャック装置52に吸着保持される。すなわち、基板交換位置とは、複数のチャック装置52のXY平面内の位置と、基板トレイ90
1の複数のテーパ部材94のXY平面内の位置とが概ね一致する位置を意味する。この際、チャック装置52とテーパ部材94とは、互いのテーパ面に案内されるので、仮に基板トレイ90
1が所望の位置から幾分ずれていたとしても、チャック装置52は、確実にテーパ部材94を吸着保持できる。
【0045】
複数のチャック装置52それぞれが対応するテーパ部材94を吸着保持すると、懸垂支持装置50では、
図5(A)に示されるように、複数のチャック装置52が同期して上昇駆動される。これにより、基板トレイ90
1が懸垂支持装置に懸垂支持(吊り下げ支持)された状態で+Z方向に移動し、複数のX支持部92x、Y支持部92y(それぞれ
図3(A)参照)が、基板ホルダ30の対応するX溝32x、Y溝32y(ぞれぞれ
図2参照)から抜き取られる(離脱する)。また、基板ステージ装置20では、基板ホルダ30による基板P
1の吸着保持が解除される。これにより、基板トレイ90
1の+Z方向への移動に伴い、該基板トレイ90
1上に基板P
1が載置される。
【0046】
この後、
図5(B)に示されるように、基板交換装置40の一対の搬送ハンド42(一方は他方の紙面奥側に隠れている)が−X方向に駆動される。一対の搬送ハンド42上には、基板トレイ90
2が載置され、該基板トレイ90
2は、基板P
1の次に露光処理が行われる予定の基板P
2を下方から支持している。一対の搬送ハンド42のZ位置は、基板トレイ90
2の下面が基板ホルダ30の上面よりも幾分+Z側となるように位置決めされている。なお、搬送ハンド42自体のZ位置は、基板ホルダ30のZ位置と重複しているが、
図2に示されるように、基板トレイ90を支持した状態で一対の搬送ハンド42間の間隔は、基板ホルダ30のY軸方向の寸法よりも広くなっているので、搬送ハンド42と基板ホルダ30とは接触しない(一対の搬送ハンド42間に基板ホルダ30が挿入される)。
【0047】
これにより、基板P
2を下方から支持する基板トレイ90
2が、基板ホルダ30の上方で懸垂支持装置50により懸垂支持されている基板トレイ90
1と基板ホルダ30の上面との間の空間に挿入される。
【0048】
基板交換装置40の一対の搬送ハンド42は、
図3(C)に示されるような基板トレイ90
2のY支持部92yのX位置が基板ホルダ30の対応するY溝32yのX位置と概ね一致する位置に位置決めされる。これに対し、一対の搬送ハンド42のY位置は、基板トレイ90
2のX支持部92xのY位置が対応する基板ホルダ30のX溝32xのY位置と概ね一致するように、予め位置決めされている。
【0049】
この後、
図6(A)に示されるように、一対の搬送ハンド42が下降駆動される。これにより、一対の搬送ハンド42に下方から支持された基板トレイ90
2、及び該基板トレイ90
2上に載置された基板P
2がそれぞれ−Z方向に移動する。これにより、
図3(C)に示されるように、基板トレイ90
2は、複数のX支持部92xが対応するX溝32x内に、複数のY支持部92yが対応するY溝32y内にそれぞれ挿入される。
【0050】
この際、X支持部92x、Y支持部92yそれぞれの厚さ方向寸法がX溝32x、Y溝32yそれぞれの深さ方向寸法よりも小さいことから、最初に基板P
2の下面が基板ホルダ30の上面に当接する。これにより、基板トレイ90
2と基板P
2とが離間し、基板P
2が基板ホルダ30上に載置される。また、基板トレイ90
2は、X溝32x、Y溝32yそれぞれを規定する底面に当接し、これにより基板ホルダ30に保持される。また、基板トレイ90
2が基板ホルダ30に保持された後、一対の搬送ハンド42は、
図6(A)に示されるように、さらに下降駆動される。これにより、突起44が凹部96から離脱する。上記基板P
2、及び基板トレイ90
2の基板ホルダ30への受け渡し動作時において、基板トレイ90
1(及び露光済みの基板P
1)は、懸垂支持装置50に懸垂支持された状態で、基板交換位置に待機している。
【0051】
次いで、
図6(B)に示されるように、一対の搬送ハンド42それぞれが互いに離間する方向(+Y側の搬送ハンド42が+Y方向、−Y側の搬送ハンド42が−Y方向)に駆動され、基板トレイ90
2と上下方向に重ならない位置に配置される。
【0052】
この後、
図7(A)に示されるように、一対の搬送ハンド42が上昇駆動される。この際の搬送ハンド42のZ位置は、搬送ハンド42を基板トレイ90
1と基板トレイ90
2との間に挿入可能な位置に位置決めされる。なお、
図4(A)〜
図7(C)(
図6(B)を除く)は、
図2のA−A線断面に相当する図であるため、
図7(A)において、−Y側(紙面手前側)の搬送ハンド42は、不図示となっている。
【0053】
以下、一対の搬送ハンド42それぞれが互いに接近する方向(+Y側の搬送ハンド42が−Y方向、−Y側の搬送ハンド42が+Y方向)に駆動され、懸垂支持装置50に吊り下げ支持された基板トレイ90
1の最も外側のX支持部92x(
図2参照)の下方に挿入される。この後、一対の搬送ハンド42それぞれが上昇駆動(あるいは基板トレイ90
1が下降駆動)されることにより、基板トレイ90
1が一対の搬送ハンド42に下方から支持される。基板トレイ90
1が一対の搬送ハンド42に下方から支持されると、懸垂支持装置50では、チャック装置52による基板トレイ90
1のテーパ部材94の吸着保持が解除される。
【0054】
そして、
図7(B)に示されるように、複数の
チャック装置52それぞれが同期して上昇駆動される。これにより、チャック装置52とテーパ部材94(基板トレイ90
1)とが離間する。この後、
図7(C)に示されるように、基板トレイ90
1を支持した一対の搬送ハンド42が+X方向に駆動され、基板P
1を基板交換位置から搬出する。基板ステージ装置20では、基板ホルダ30上で基板P
2に対するプリアライメント動作(基板ホルダ30に対する基板P
2のおおよその位置決め動作)が行われた後、その基板P
2が基板ホルダ30に吸着保持される。そして、基板ステージ装置20は、基板交換位置から所定の露光動作開始位置に向けて移動する。これにより、
図4(A)に示される状態に戻る(ただし、基板P
1が基板P
2に入れ替わっている)。また、不図示であるが、基板トレイ90
1(及び基板P
1)は、基板交換装置40により、チャンバ内に設けられた不図示のポート部と称される領域に搬送される。基板トレイ90
1上の基板P
1は、チャンバ外に配置された不図示の基板交換装置によりチャンバ外に搬出される。また、チャンバ外からは、基板P
2の次に露光処理が行われる予定の別の基板(不図示)が上記基板交換装置により搬入され、基板トレイ90
1上に載置される。以上のポート部における基板Pの交換動作は、基板P
2に対する露光動作中に行われる。
【0055】
以上説明した本実施形態によれば、露光済み基板P
1(及び該基板P
1を下方から支持した基板トレイ90
1)を基板交換位置で待機(次に露光予定の基板P
2の搬入経路から退避)させた状態で、基板P
2の搬入動作を行い、該基板P
2の基板ステージ装置20への受け渡しを行った後に、基板P
1を上記待機位置から搬出するので、例えば露光済みの基板P
1の搬出動作が完了した後に、基板P
2の基板ステージ装置20への搬入動作を開始する場合に比べ、基板交換のサイクルタイムを短縮できる。
【0056】
また、通常は、基板P
2への露光動作完了までに要する時間に比べると、ポート部で露光済みの基板P
1に換えて、基板トレイ90
1上に別の基板(基板P
2の次に露光処理される予定の基板)を載置する動作に要する時間は短くて済む(基板P
2への露光動作完了までには別の基板の用意ができる)ので、本実施形態のように露光済みの基板P
1の搬出動作に優先して基板P
2の搬入動作を行っても複数(例えば3枚以上)の基板Pに連続して露光処理を行う際の全体的なスループットには、影響はない。
【0057】
また、複数の基板トレイ90(基板トレイ90
1、90
2)を駆動するための駆動系(本実施形態では、基板交換装置40)が一系統で良く、搬入用の駆動系と搬出用の駆動系とを独立に設ける必要がない。従って、液晶露光装置10の構成が簡単になり、コストも下げることができる。
【0058】
なお、上記実施形態の液晶露光装置10の構成、及び動作は、適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態において、懸垂支持装置50は、チャック装置52により基板トレイ90のテーパ部材94を吸着保持したが、これに限られず、例えばテーパ部材94を機械的に把持しても良い。また、チャック装置52が、例えばX支持部92x(あるいはY支持部92y)を直接吸着保持(あるいは機械的に把持)する構成であっても良いし、あるいは例えば断面L字状のフックを用いて基板トレイ90を下方から支持しても良い。要は、懸垂支持装置50に懸垂支持された基板トレイ90と基板ホルダ30の上面とが離間した状態で、その隙間が広くなるように基板P及び基板トレイ90の撓みを小さくできれば良い。また、チャック装置52の数、及び配置も適宜変更が可能であり、例えば基板P(すなわち基板トレイ90)の大きさに応じて、上記実施形態よりも多く(あるいは少なく)配置しても良い。また、複数のチャック装置52が個別にZ軸方向に駆動されたが、ひとつのZアクチュエータでまとめて駆動しても良い。
【0059】
また、上記実施形態では、懸垂支持装置50の複数のチャック装置52を上下動させることにより、基板トレイ90と基板Pとを一体的に基板ホルダ30から持ち上げる構成であったが、これに限られず、例えば基板ステージ装置20側にリフトピン装置などを配置して基板トレイ90側を上下動させても良い。この場合、懸垂支持装置50は、チャック装置52を上下動させる装置(上記実施形態ではZアクチュエータ54)を有していなくても良い。
【0060】
また、上記実施形態の基板交換動作において、
図6(A)に示される基板トレイ90
1と搬送ハンド42とが離間した状態で、基板ステージ装置20を基板交換位置から退避させても良く、この場合、一対の搬送ハンド42をY軸方向に移動させなくても良い。また、
図6(A)に示される基板トレイ90
1と搬送ハンド42とが離間した状態で、一対の搬送ハンド42を+X方向に移動させて基板トレイ90
1の下方から退避させた後、+Z方向、及び−X方向に順次移動させても良い。この場合も一対の搬送ハンド42をY軸方向に移動させなくても良い。また、
図7(B)に示される基板トレイ90
1と懸垂支持装置50とを離間させる動作では、基板ステージ装置20を基板交換位置から退避させた後に一対の搬送ハンド42を上昇駆動しても良い。
【0061】
また、基板ステージ装置20との間で基板トレイ90(及び基板P)の受け渡し動作(基板ステージ装置20への基板トレイ90の搬送、及び基板トレイ90の基板ステージ装置20から回収)を行う受け渡し装置(上記実施形態では、基板交換装置40)は、例えば基板ステージ装置20を収容するチャンバの外側に配置されていても良い。この場合、上記受け渡し動作は、チャンバに形成された開口部を介して行われる。また、基板トレイ90の受け渡し装置(上記実施形態では基板交換装置40)は、必ずしも液晶露光装置10の一部でなくても良い。
【0062】
また、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F
2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
【0063】
また、投影光学系16が複数本の光学系を備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学系の本数はこれに限らず、1本以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、オフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。また、投影光学系16としては、拡大系、又は縮小系であっても良い。
【0064】
また、露光装置の用途としては角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば有機EL(Electro-Luminescence)パネル製造用の露光装置、半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも適用できる。
【0065】
また、露光対象となる物体はガラスプレートに限られず、例えばウエハ、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。また、露光対象物がフラットパネルディスプレイ用の基板である場合、その基板の厚さは特に限定されず、例えばフィルム状(可撓性を有するシート状の部材)のものも含まれる。なお、本実施形態の露光装置は、一辺の長さ、又は対角長が500mm以上の基板が露光対象物である場合に特に有効である。
【0066】
液晶表示素子(あるいは半導体素子)などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたマスク(あるいはレチクル)を製作するステップ、ガラス基板(あるいはウエハ)を製作するステップ、上述した実施形態の露光装置、及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをガラス基板に転写するリソグラフィステップ、露光されたガラス基板を現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ガラス基板上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。