特許第6440364号(P6440364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 古河電気工業株式会社の特許一覧
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6440364
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】圧着端子、接続構造体及びコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/18 20060101AFI20181210BHJP
   H01R 4/62 20060101ALI20181210BHJP
   H01R 43/048 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   H01R4/18 A
   H01R4/62 A
   H01R43/048 Z
【請求項の数】8
【全頁数】67
(21)【出願番号】特願2014-29407(P2014-29407)
(22)【出願日】2014年2月19日
(62)【分割の表示】特願2013-544899(P2013-544899)の分割
【原出願日】2013年7月9日
(65)【公開番号】特開2014-89988(P2014-89988A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2016年5月13日
【審判番号】不服-13230(P-13230/J1)
【審判請求日】2017年9月6日
(31)【優先権主張番号】特願2012-153607(P2012-153607)
(32)【優先日】2012年7月9日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-162075(P2012-162075)
(32)【優先日】2012年7月20日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-222112(P2012-222112)
(32)【優先日】2012年10月4日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-222113(P2012-222113)
(32)【優先日】2012年10月4日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-222114(P2012-222114)
(32)【優先日】2012年10月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(72)【発明者】
【氏名】川村 幸大
(72)【発明者】
【氏名】高村 聡
(72)【発明者】
【氏名】外池 翔
(72)【発明者】
【氏名】木原 泰
(72)【発明者】
【氏名】八木 三郎
(72)【発明者】
【氏名】繁松 孝
(72)【発明者】
【氏名】水戸瀬 賢悟
(72)【発明者】
【氏名】茅原 崇
【合議体】
【審判長】 大町 真義
【審判官】 藤田 和英
【審判官】 小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−71437(JP,A)
【文献】 特許第4739075(JP,B2)
【文献】 特開2012−9358(JP,A)
【文献】 特開2004−200094(JP,A)
【文献】 特開2010−73486(JP,A)
【文献】 米国特許第3364460(US,A)
【文献】 国際公開第2011/122622(WO,A1)
【文献】 実開昭64−9361(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R4/18
H01R4/62
H01R43/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆電線の導体部分に対する圧着接続を許容する圧着部を少なくとも備えた圧着端子であって、
前記圧着部
被覆電線の絶縁被覆を圧着する被覆圧着部と、芯線の電線露出部を圧着する電線圧着部とが一体で構成され、断面中空形状となるように、板材を幅方向に曲げるとともに、前記板材の幅方向における端部同士を突合せし、前記端部同士を突合せした長手方向の突合せ箇所を長手方向に溶接し、長手方向に溶接した溶接箇所のうち、前記圧着部の長手方向の一端側から他端側まで前記板材の表裏両側に貫通する第1の溶接ビードが形成され、
前記断面中空形状における前記圧着部の長手方向の一端側に、前記板材同士が面状に重合するように封止する封止部を備えるとともに、
前記断面中空形状における前記圧着部の長手方向の他端側に、前記被覆電線を挿入可能な開口部を有し、
前記封止部の前記板材同士が面状に重合した領域における長手方向の両端部の間において、前記長手方向に形成された第1の溶接ビードに対して交差する方向に第2の溶接ビードが形成された
圧着端子。
【請求項2】
被覆電線の導体部分に対する圧着接続を許容する圧着部を少なくとも備えた圧着端子であって、
前記圧着部
被覆電線の絶縁被覆を圧着する被覆圧着部と、芯線の電線露出部を圧着する電線圧着部とで構成されるとともに、
前記被覆圧着部が、
クローズドバレル型圧着部と、
周方向の一部が開口したオープンバレル型圧着部とで構成され、
前記電線圧着部と前記クローズドバレル型圧着部とが一体で構成され、断面中空形状となるように、板材を幅方向に曲げるとともに、前記板材の幅方向における端部同士を突合せし、前記端部同士を突合せした長手方向の突合せ箇所を長手方向に溶接し、
前記断面中空形状における前記圧着部の長手方向の一端側に、前記板材同士が面状に重合するように封止する封止部が備えられ、前記封止部の前記板材同士が面状に重合した領域における長手方向の両端部の間において、前記長手方向に対して交差する方向に溶接され、
前記オープンバレル型圧着部を、
前記クローズドバレル型圧着部に対して基部側へ所定間隔を隔てて配置するとともに、該クローズドバレル型圧着部と長手方向に一体に形成された
圧着端子
【請求項3】
前記導体部分を、アルミ系材料で構成するとともに、
少なくとも前記圧着部を、銅系材料で構成した
請求項1または2に記載の圧着端子。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれか一つに記載の圧着端子における圧着部によって、前記被覆電線と前記圧着端子とを接続した
接続構造体。
【請求項5】
請求項に記載の接続構造体における圧着端子をコネクタハウジング内に配置した
コネクタ。
【請求項6】
被覆電線の導体部分に対する圧着接続を許容する圧着部を少なくとも備える圧着端子の製造方法であって、
被覆電線の絶縁被覆を圧着する被覆圧着部と、芯線の電線露出部を圧着する電線圧着部とを一体で構成し、長手方向の他端側に前記被覆電線を挿入可能な開口部を有する断面中空形状となるように、板材を幅方向に曲げるとともに、前記板材の幅方向における端部同士を突合せするとともに、前記断面中空形状における前記圧着部の長手方向の一端側を、前記板材同士が面状に重合するように封止する封止形状に形状加工し、
断面中空形状を構成する前記板材の前記端部同士を突合せした長手方向の突合せ箇所を長手方向に溶接し、長手方向に溶接した溶接箇所のうち、前記圧着部の長手方向の一端側から他端側まで前記板材の表裏両側に貫通する第1の溶接ビードを形成し
封止形状に形状加工した前記板材同士が面状に重合した領域における長手方向の両端部の間において、前記長手方向に形成された第1の溶接ビードに対して交差する方向に溶接して第2の溶接ビード形成して前記圧着部を構成する
圧着端子の製造方法。
【請求項7】
被覆電線の導体部分に対する圧着接続を許容する圧着部を少なくとも備える圧着端子の製造方法であって、
被覆電線の絶縁被覆を圧着する被覆圧着部と、芯線の電線露出部を圧着する電線圧着部とを一体で構成し、長手方向の他端側に前記被覆電線を挿入可能な開口部を有する断面中空形状となるように、板材を幅方向に曲げるとともに、前記板材の幅方向における端部同士を突合せし、前記端部同士を突合せした長手方向の突合せ箇所を長手方向に溶接し、長手方向に溶接した溶接箇所のうち、前記圧着部の長手方向の一端側から他端側まで前記板材の表裏両側に貫通する第1の溶接ビードを形成し
前記断面中空形状における前記圧着部の長手方向の一端側を、前記板材同士が面状に重合するように封止する封止形状に形状加工するとともに、
封止形状に形状加工した前記板材同士が面状に重合した領域における長手方向の両端部の間において、前記長手方向に形成された第1の溶接ビードに対して交差する方向に溶接して第2の溶接ビード形成して前記圧着部を構成する
圧着端子の製造方法。
【請求項8】
前記溶接を、ファイバーレーザ溶接で行
請求項6または7に記載の圧着端子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、自動車用ワイヤーハーネスの接続を担うコネクタ等に装着される圧着端子や、圧着端子を用いた接続構造体、さらには、このような接続構造体を装着したコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の自動車には、様々な電装機器が装備されており、各機器の電気回路が複雑化する傾向にあるため、安定した電気的接続状態の確保が必要不可欠となっている。このような様々な電装機器の電気回路は、複数本の被覆電線を束ねてなるワイヤーハーネスを自動車に配索するとともに、ワイヤーハーネス同士をコネクタで接続して構成している。また、コネクタの内部には、ワイヤーハーネスの被覆電線を圧着部に圧着接続した圧着端子を装着している。
【0003】
しかし、被覆電線を圧着端子に接続する場合、被覆電線の絶縁被覆部の先端より露出する導体部分の露出部分と、圧着端子の圧着部との間に隙間が生じやすく、導体部分が外気に曝される状態に露出しているため、コネクタ内部に装着した圧着端子の圧着部に水分が侵入した際、圧着部に圧着された導体部分の表面に腐食が発生し、導電性が低下するといった問題があった。
【0004】
水分の浸入による圧着部における導電性の低下を防止する方法として、例えば、
圧着部で導体部分を圧着した圧着状態において、導体部分における露出する部分を粘度の高い樹脂製の絶縁被覆部で閉塞した接続構造体(特許文献1参照)を提案している。
【0005】
しかし、特許文献1の接続構造体では、被覆電線の導体部分を圧着部で圧着してから、導体部分における露出する部分を絶縁被覆部で覆うため、圧着工程後に露出する部分を絶縁被覆部で被覆する工程が必要となり、接続構造体の生産効率のさらなる向上を図ることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−233328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、圧着部で導体部分を圧着した圧着状態において、圧着部の内部への水分の浸入を防止できる圧着状態を効率よく実現できる圧着端子、接続構造体およびコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、被覆電線の導体部分に対する圧着接続を許容する圧着部を少なくとも備えた圧着端子であって、前記圧着部被覆電線の絶縁被覆を圧着する被覆圧着部と、芯線の電線露出部を圧着する電線圧着部とが一体で構成され、断面中空形状となるように、板材を幅方向に曲げるとともに、前記板材の幅方向における端部同士を突合せし、前記端部同士を突合せした長手方向の突合せ箇所を長手方向に溶接し、長手方向に溶接した溶接箇所のうち、前記圧着部の長手方向の一端側から他端側まで前記板材の表裏両側に貫通する第1の溶接ビードが形成され、前記断面中空形状における前記圧着部の長手方向の一端側に、前記板材同士が面状に重合するように封止する封止部を備えるとともに、前記断面中空形状における前記圧着部の長手方向の他端側に、前記被覆電線を挿入可能な開口部を有し、前記封止部の前記板材同士が面状に重合した領域における長手方向の両端部の間において、前記長手方向に形成された第1の溶接ビードに対して交差する方向に第2の溶接ビードが形成されたことを特徴とする。
【0009】
上述の前記断面中空形状における長手方向の一端側とは、圧着部に導体部分を挿入する挿入側とは反対側の端部側であることを意味している。
上述の前記長手方向に対して交差する方向の溶接は、例えば、長手方向に略直交する幅方向の溶接であり、長手方向の溶接と連続する溶接、あるいは長手方向の溶接が連続しなくとも、交差する溶接とすることができる。
【0010】
この発明によれば、例えば、断面中空形状の圧着部の長手方向の一端側を封止することで、圧着部で導体部分を圧着する圧着状態において、内部に水分が浸入することを防止して確実な止水性を確保することができる。また、圧着部内の導体部分が外気に曝されることがなく、劣化や経年変化が起きることを抑制できる。したがって、導体部分に腐食が発生することがなく、その腐食を原因とする電気抵抗の上昇も防止できるので、安定した導電性が得られる。つまり、安定した電気的接続状態を確保することができる。
【0011】
詳述すると、前記圧着部を、板材で断面中空形状を構成するとともに、前記断面中空形状において前記板材を長手方向に溶接するため、圧着部で導体部分を圧着する際において、断面中空形状の圧着部の長手方向の一端側を封止することで、被覆電線の導体部分や、導体部分を圧着部の外部に露出することがなく、止水性のある包み込んだ状態に圧着することができる。
【0012】
また、前記断面中空形状における長手方向の一端側を、封止する封止形状とするとともに、封止する封止形状に形成した前記長手方向の一端側において、前記長手方向に対して交差する方向に溶接することにより、導体部分が挿入された圧着部を圧着するだけで、被覆電線の導体部分や、導体部分を圧着部の外部に露出することがなく、止水性のある包み込んだ状態に圧着することができる。
【0013】
詳しくは、予め、前記断面中空形状における長手方向の一端側を、封止する封止形状とするとともに、封止する封止形状に形成した前記長手方向の一端側において、前記長手方向に対して交差する方向に溶接するため、断面中空形状の圧着部へ導体部分を挿入する挿入箇所以外が封止されており、導体部分が挿入された圧着部を圧着するだけで、被覆電線の導体部分や、導体部分を圧着部の外部に露出することがなく、止水性のある包み込んだ状態に圧着することができる。
【0014】
また、前記圧着部を、端部同士を突き合せし、突き合せ箇所を長手方向に溶接することにより、確実に封止された圧着部を構成することができる。したがって、被覆電線の導体部分や、導体部分を圧着部の外部に露出することがなく、止水性のある包み込んだ状態に圧着することができる。
【0015】
またこの発明は、被覆電線の導体部分に対する圧着接続を許容する圧着部を少なくとも備えた圧着端子であって、前記圧着部被覆電線の絶縁被覆を圧着する被覆圧着部と、芯線の電線露出部を圧着する電線圧着部とで構成されるとともに、前記被覆圧着部が、クローズドバレル型圧着部と、周方向の一部が開口したオープンバレル型圧着部とで構成され、前記電線圧着部と前記クローズドバレル型圧着部とが一体で構成され、断面中空形状となるように、板材を幅方向に曲げるとともに、前記板材の幅方向における端部同士を突合せし、前記端部同士を突合せした長手方向の突合せ箇所を長手方向に溶接し、前記断面中空形状における前記圧着部の長手方向の一端側に、前記板材同士が面状に重合するように封止する封止部が備えられ、前記封止部の前記板材同士が面状に重合した領域における長手方向の両端部の間において、前記長手方向に対して交差する方向に溶接され、前記オープンバレル型圧着部を、前記クローズドバレル型圧着部に対して基部側へ所定間隔を隔てて配置するとともに、該クローズドバレル型圧着部と長手方向に一体に形成されたことを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、例えば、断面中空形状の圧着部の長手方向の一端側を封止することで、圧着部で導体部分を圧着する圧着状態において、内部に水分が浸入することを防止して確実な止水性を確保することができる。また、圧着部内の導体部分が外気に曝されることがなく、劣化や経年変化が起きることを抑制できる。したがって、導体部分に腐食が発生することがなく、その腐食を原因とする電気抵抗の上昇も防止できるので、安定した導電性が得られる。つまり、安定した電気的接続状態を確保することができる。
【0017】
詳述すると、前記圧着部を、板材で断面中空形状を構成するとともに、前記断面中空形状において前記板材を長手方向に溶接するため、圧着部で導体部分を圧着する際において、断面中空形状の圧着部の長手方向の一端側を封止することで、被覆電線の導体部分や、導体部分を圧着部の外部に露出することがなく、止水性のある包み込んだ状態に圧着することができる。
【0018】
また、前記断面中空形状における長手方向の一端側を、封止する封止形状とするとともに、封止する封止形状に形成した前記長手方向の一端側において、前記長手方向に対して交差する方向に溶接することにより、導体部分が挿入された圧着部を圧着するだけで、被覆電線の導体部分や、導体部分を圧着部の外部に露出することがなく、止水性のある包み込んだ状態に圧着することができる。
【0019】
詳しくは、予め、前記断面中空形状における長手方向の一端側を、封止する封止形状とするとともに、封止する封止形状に形成した前記長手方向の一端側において、前記長手方向に対して交差する方向に溶接するため、断面中空形状の圧着部へ導体部分を挿入する挿入箇所以外が封止されており、導体部分が挿入された圧着部を圧着するだけで、被覆電線の導体部分や、導体部分を圧着部の外部に露出することがなく、止水性のある包み込んだ状態に圧着することができる。
【0020】
また、前記圧着部を、端部同士を突き合せし、突き合せ箇所を長手方向に溶接することにより、確実に封止された圧着部を構成することができる。したがって、被覆電線の導体部分や、導体部分を圧着部の外部に露出することがなく、止水性のある包み込んだ状態に圧着することができる。
【0021】
また、前記被覆圧着部が、クローズドバレル型圧着部と、周方向の一部が開口したオープンバレル型圧着部とで構成され、前記電線圧着部と前記クローズドバレル型圧着部とが一体で構成され、前記オープンバレル型圧着部を、前記クローズドバレル型圧着部に対して基部側へ所定間隔を隔てて配置するとともに、該クローズドバレル型圧着部と長手方向に一体に形成されたことにより、前記被覆圧着部を、クローズドバレル型圧着部と、該クローズドバレル型圧着部よりも後方側に配置したオープンバレル型圧着部とを、それぞれ別々の圧着力で絶縁被覆に対して圧着した圧着状態とすることができる
【0022】
これにより、電線における電線先端部よりも後方側で電線を曲げた場合においては、電線先端部を圧着する圧着部の特に、基端部が絶縁被覆に食い込んで破損し易くなるが、絶縁被覆に対する圧着力を、クローズドバレル型圧着部よりも後方側に配置したオープンバレル型圧着部の圧着力よりも絶縁被覆に対して低い圧着力で圧着することで、絶縁被覆がオープンバレル型圧着部の基端部にめり込むことを防ぐことができる。
【0023】
さらに、圧着部により電線先端部を圧着した状態において、クローズドバレル型圧着部に加わる圧着力をオープンバレル型圧着部にも分散することができる。
従って、クローズドバレル型圧着部に圧着に伴う応力が集中することがないため、クローズドバレル型圧着部の長手方向の自由端としの基端部が絶縁被覆を圧着しても、該圧着によって絶縁被覆が破損することがない。
【0024】
またこの発明の態様として、前記導体部分を、アルミ系材料で構成するとともに、少なくとも前記圧着部を、銅系材料で構成することができる。
この発明により、銅線による導体部分を有する被覆電線に比べて軽量化できるとともに、上述した確実な止水性により、いわゆる異種金属腐食(以下において電食という)を防止することができる。
【0025】
詳しくは、被覆電線の導体部分に従来用いられていた銅系材料をアルミニウムあるいはアルミニウム合金などのアルミ系材料に置き換え、そのアルミ系材料製の導体部分を圧着端子に圧着した場合においては、端子材料の錫めっき、金めっき、銅合金等の貴な金属との接触により、卑な金属であるアルミ系材料が腐食される現象、すなわち電食が問題となる。
【0026】
なお、電食とは、貴な金属と卑な金属とが接触している部位に水分が付着すると、腐食電流が生じ、卑な金属が腐食、溶解、消失等する現象である。この現象により、圧着端子の圧着部に圧着されたアルミ系材料製の導体部分が腐食、溶解、消失し、やがては電気抵抗が上昇する。その結果、十分な導電機能を果たせなくなるという問題があった。
しかしながら、上述した確実な止水性により、銅系材料による導体部分を有する被覆電線に比べて軽量化を図りながら、いわゆる電食を防止することができる。
【0027】
またこの発明は、上述の圧着端子における圧着部によって、前記被覆電線と前記圧着端子とを接続した接続構造体であることを特徴とする。
この発明によれば、圧着端子の圧着部により囲繞して圧着するだけで確実な止水性を確保できる接続構造体を構成することができる。したがって、安定した導電性を確保することができる。なお、上述の接続構造体は、圧着端子における圧着部によって、前記被覆電線と前記圧着端子とを接続した1本の接続構造体、あるいは、複数本の接続構造体を束ねて構成したワイヤーハーネスであることを含むものとする。
【0028】
さらにまたこの発明は、上述の接続構造体における圧着端子をコネクタハウジング内に配置したコネクタであることを特徴とする。
この発明によれば、圧着端子と導体部分を構成する金属種によらず、安定した導電性を確保したまま圧着端子を接続することができる。
【0029】
詳述すると、例えば、雌型のコネクタと雄型のコネクタを互いに嵌合して、各コネクタのコネクタハウジング内に配置した圧着端子を互いに接続する際、止水性を確保したまま各コネクタの圧着端子を互いに接続することができる。
この結果、確実な導電性を備えた接続状態を確保することができる。
【0030】
またこの発明は、被覆電線の導体部分に対する圧着接続を許容する圧着部を少なくとも備える圧着端子の製造方法であって、被覆電線の絶縁被覆を圧着する被覆圧着部と、芯線の電線露出部を圧着する電線圧着部とを一体で構成し、長手方向の他端側に前記被覆電線を挿入可能な開口部を有する断面中空形状となるように、板材を幅方向に曲げるとともに、前記板材の幅方向における端部同士を突合せするとともに、前記断面中空形状における前記圧着部の長手方向の一端側を、前記板材同士が面状に重合するように封止する封止形状に形状加工し、断面中空形状を構成する前記板材の前記端部同士を突合せした長手方向の突合せ箇所を長手方向に溶接し、長手方向に溶接した溶接箇所のうち、前記圧着部の長手方向の一端側から他端側まで前記板材の表裏両側に貫通する第1の溶接ビードを形成し、封止形状に形状加工した前記板材同士が面状に重合した領域における長手方向の両端部の間において、前記長手方向に形成された第1の溶接ビードに対して交差する方向に溶接して第2の溶接ビード形成して前記圧着部を構成することを特徴とする。
【0031】
この発明により、板材を曲げて断面中空形状を構成するとともに、前記断面中空形状における長手方向の一端側を封止する封止形状に形状加工するプレス加工工程と、長手方向及び長手方向に対して交差する方向の溶接工程とをこの順で行うため、より効率よく圧着端子を製造することができる。
【0032】
またこの発明は、被覆電線の導体部分に対する圧着接続を許容する圧着部を少なくとも備える圧着端子の製造方法であって、被覆電線の絶縁被覆を圧着する被覆圧着部と、芯線の電線露出部を圧着する電線圧着部とを一体で構成し、長手方向の他端側に前記被覆電線を挿入可能な開口部を有する断面中空形状となるように、板材を幅方向に曲げるとともに、前記板材の幅方向における端部同士を突合せし、前記端部同士を突合せした長手方向の突合せ箇所を長手方向に溶接し、長手方向に溶接した溶接箇所のうち、前記圧着部の長手方向の一端側から他端側まで前記板材の表裏両側に貫通する第1の溶接ビードを形成し、前記断面中空形状における前記圧着部の長手方向の一端側を、前記板材同士が面状に重合するように封止する封止形状に形状加工するとともに、封止形状に形状加工した前記板材同士が面状に重合した領域における長手方向の両端部の間において、前記長手方向に形成された第1の溶接ビードに対して交差する方向に溶接して第2の溶接ビード形成して前記圧着部を構成することを特徴とする。
【0033】
この発明により、板材を曲げて断面中空形状を構成するとともに、板材の端部を長手方向に溶接してから、長手方向の一端側を封止する封止形状に形状加工するとともに長手方向に対して交差する方向に溶接するため、様々な封止形状の圧着端子を製造することができる。
【0034】
またこの発明の態様として、前記溶接を、ファイバーレーザ溶接で行うことができる。
この発明によれば、隙間の無い圧着部を構成し、圧着状態において圧着部の内部に水分が浸入することを確実に防止できる圧着端子を製造することができる。詳しくは、ファイバーレーザは高集光性、高ビーム品質を有するため、従来のレーザと比較してもより低出力で、高アスペクト比の深溶け込み溶接(キーホール溶接)を高速で行うことができる。また熱影響が少なく、金属材料の変形も少ない加工を行うことができる。したがって、確実な止水性を有する溶接を行い、圧着状態において、十分な止水性を確保できる圧着端子を製造することができる。
【発明の効果】
【0035】
この発明によれば、圧着部で導体部分を圧着した圧着状態において、圧着部の内部への水分の浸入を防止できる圧着状態を効率よく実現できる圧着端子、接続構造体およびコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】被覆電線を圧着接続する雌型圧着端子についての説明図。
図2】圧着部における溶接について説明する説明図。
図3】溶接状況の斜視図。
図4】バレル構成片の対向端部についての説明図。
図5】溶接方法についての説明図。
図6】圧着部における別の実施形態の溶接について説明する説明図。
図7】圧着部における別の実施形態の溶接について説明する説明図。
図9】別のバレル構成片の端面についての説明図。
図8】別の溶接方法についての説明図。
図10】別の実施形態の圧着部についての説明図。
図11】バレル部における別の溶接方法について説明する説明図。
図12】被覆電線を圧着接続する突合せ圧着部を有する雌型圧着端子についての説明図。
図13】突合せ圧着部における突合せ溶接について説明する説明図。
図14】突合せ溶接状況の斜視図。
図15】突合せ圧着部を構成するバレル構成片の対向端部についての説明図。
図16】突合せ溶接における掃引方法についての説明図。
図17】コネクタの斜視図。
図18】突合せ圧着部における別の実施形態について説明する説明図。
図19】バレル部における別の溶接方法について説明する説明図。
図20】被覆電線を圧着接続する重ね合せ圧着部を有する雌型圧着端子についての説明図。
図21】重ね合せ圧着部における重ね合せ溶接について説明する説明図。
図22】重ね合せ溶接状況の斜視図。
図23】重ね合せ圧着部を構成するバレル構成片の構成片端部についての説明図。
図24】重ね合せ溶接における掃引方法についての説明図。
図25】コネクタの斜視図。
図26】重ね合せ圧着部における別の実施形態について説明する説明図。
図27】バレル部における別の溶接方法について説明する説明図。
図28】被覆電線を圧着接続する突合せ圧着部を有する雌型圧着端子についての説明図。
図29】突合せ圧着部における突合せ溶接について説明する説明図。
図30】突合せ溶接状況の斜視図。
図31】突合せ圧着部を構成するバレル構成片の対向端部についての説明図。
図32】突合せ溶接における掃引方法についての説明図。
図33】被覆電線を圧着接続する重ね合せ圧着部を有する雌型圧着端子についての説明図。
図34】重ね合せ圧着部における重ね合せ溶接について説明する説明図。
図35】重ね合せ溶接状況の斜視図。
図36】重ね合せ圧着部を構成するバレル構成片の対向端部についての説明図。
図37】重ね合せ溶接における掃引方法についての説明図。
図38】コネクタの斜視図。
図39】圧着部における別の実施形態について説明する説明図。
図40】バレル部における別の溶接方法について説明する説明図。
図41】第5実施形態の圧着端子付き電線の説明図。
図42】圧着端子付き電線の先端部分の幅方向中央縦断面図。
図43】圧着部における溶接について説明する説明図。
図44】電線先端部に対して圧着部を圧着する様子を示す説明図。
図45】第6実施形態、及び、他の実施形態の圧着端子付き電線の説明図。
図46】第7実施形態の圧着端子付き電線の説明図。
図47】電線先端部に対して圧着部を圧着する様子を示す説明図。
図48】従来の圧着端子付き電線の説明図。
図49】バレル部における別の溶接方法について説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(第1実施形態)
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1は被覆電線200を圧着接続する雌型圧着端子10についての説明図を示し、図2は圧着部30における溶接について説明する説明図を示し、図3は溶接状況の斜視図を示し、図4はバレル構成片32の対向端部32aについての説明図を示し、図5は溶接方法についての説明図を示している。
【0038】
また、図6図7は溶接形態が異なる圧着部30についての説明する説明図を示し、図8は別のバレル構成片32の端部についての説明図を示し、図9は別の溶接手順についての説明図を示し、図10は別の実施形態の圧着部30についての説明図を示している。
【0039】
なお、図1(a)は幅方向中央で分断した雌型圧着端子10の縦断斜視図、図1(b)は雌型圧着端子10と被覆電線200の圧着前の斜視図、図1(c)は圧着部30で被覆電線200を圧着した圧着状態である圧着接続構造体1の斜視図を示している。
【0040】
図2(a)は、ボックス部20を透過状態とした雌型圧着端子10の底面側の概略斜視図を示し、図2(b)は図2(a)におけるa部拡大図を示し、図2(c)は図2(b)におけるA−A線断面図による溶接状況による説明図を示している。
【0041】
図4(a)は、ボックス部20を透過状態とし、圧着部30を構成するバレル構成片32の対向端部32aが別の形状である雌型圧着端子10の底面側の概略斜視図を示し、図4(b)は図4(a)におけるA−A線断面図を示し、図4(c)は対向端部32aがさらに異なる形状であるA−A線断面図を示している。
【0042】
図5(a)は図3に示す溶接方法とは異なる方法である場合の概略拡大底面図を示し、図5(b)はさらに異なる溶接方法である場合の概略拡大底面図を示している。
【0043】
本実施形態の圧着接続構造体1は、被覆電線200を雌型圧着端子10に接続して構成している。つまり、被覆電線200における絶縁被覆202の被覆先端202aより露出するアルミニウム芯線201の電線露出部201aを、雌型圧着端子10の圧着部30に圧着接続している。
【0044】
雌型圧着端子10に圧着接続する被覆電線200は、アルミニウム素線を束ねたアルミニウム芯線201を、絶縁樹脂で構成する絶縁被覆202で被覆して構成している。詳しくは、アルミニウム芯線201は、断面が0.75mmとなるように、アルミニウム合金線を撚って構成している。
【0045】
以下において、雌型圧着端子10について詳述する。
雌型圧着端子10は、長手方向Xの先端側である前方から後方に向かって、図示省略する雄型端子における挿入タブの挿入を許容するボックス部20と、ボックス部20の後方で、所定の長さのトランジション部40を介して配置された圧着部30とを一体に構成している。
【0046】
なお、本実施形態では、上述したように、ボックス部20と圧着部30で構成する雌型圧着端子10で構成したが、圧着部30を有する圧着端子であれば、上述の雌型圧着端子10におけるボックス部20に挿入接続する挿入タブと圧着部30とで構成する雄型圧着端子でもよく、また、圧着部30のみで構成し、複数本の被覆電線200のアルミニウム芯線201を束ねて接続するための圧着端子であってもよい。
【0047】
また、長手方向Xとは、図1に示すように、圧着部30を圧着して接続する被覆電線200の長手方向と一致する方向であり、幅方向Yは長手方向Xに対して略水平な平面方向において交差する方向である。また、圧着部30に対するボックス部20の側を前方とし、逆に、ボックス部20に対する圧着部30の側を後方としている。
【0048】
また、雌型圧着端子10は、表面が錫メッキ(Snメッキ)された黄銅等の銅合金条(図示せず)を、平面展開した端子形状に打ち抜いた後、中空四角柱体のボックス部20と後方視略O型の圧着部30とからなる立体的な端子形状に曲げ加工するとともに、圧着部30を溶接して構成したクローズバレル形式の端子である。なお、本実施形態において、板厚0.1〜0.6mmの銅合金条を用いている。
【0049】
ボックス部20は、倒位の中空四角柱体で構成され、内部に、長手方向Xの後方に向かって折り曲げられ、挿入される雄型コネクタの挿入タブ(図示省略)に接触する弾性接触片21を備えている。
【0050】
また、中空四角柱体であるボックス部20は、底面部22の長手方向Xと直交する幅方向Yの両側部に連設された側面部23を重なり合うように折り曲げて、長手方向Xの先端側から見て略矩形状に構成している。
【0051】
圧着前の圧着部30は、図1(b)に示すように、圧着面31及び圧着面31の幅方向Yの両側に延出したバレル構成片32を丸めて端部32a同士を突き合せし、溶接して後方視略O型に形成している。
【0052】
なお、バレル構成片32の長手方向長さは、絶縁被覆202の長手方向X前方側の先端である被覆先端202aから、長手方向Xの前方で露出する電線露出部201aの長手方向Xの露出長さより長く形成している。
【0053】
圧着部30は、絶縁被覆202を圧着する被覆圧着範囲30aと、アルミニウム芯線201の電線露出部201aを圧着する電線圧着範囲30bとを一体で構成するとともに、電線圧着範囲30bより前方端部を略平板状に押しつぶすように変形させた封止部30c(図2参照)を構成している。
【0054】
さらに、圧着部30の内面には、幅方向Yの溝である係止溝33(33a,33b)を、長手方向Xに所定間隔を隔てて複数本形成している。
詳述すると、被覆圧着範囲30aの内面には、圧着状態において、絶縁被覆202が食い込む、幅方向Yの溝である被覆用係止溝33aを、長手方向Xに所定間隔を隔てて3本形成している。
なお、被覆用係止溝33aは、断面円弧状に構成し、長手方向に連続することで波状をなすとともに、圧着面31と、圧着面31の幅方向Yの両側から延出するバレル構成片32まで連続し、圧着部30内で環状の溝を形成している。
【0055】
また、電線圧着範囲30bの内面には、圧着状態において、被覆電線200のアルミニウム芯線201が食い込む、幅方向Yの溝である電線用係止溝33bを、長手方向Xに所定間隔を隔てて3本形成している。
なお、電線用係止溝33bは、断面矩形凹に構成するとともに、圧着面31と、圧着面31の幅方向Yの両側から延出するバレル構成片32の途中まで形成し、電線用係止溝33bにアルミニウム芯線201が食い込むことで圧着部30とアルミニウム芯線201との導通性を向上している。
【0056】
このように構成された圧着部30を形成する溶接について、図3とともに説明する。
上述したように、圧着面31及びバレル構成片32を丸めてバレル構成片32の端部32a同士を突き合せし、溶接して後方視略O型に形成する圧着部30は、図3に示すように、バレル構成片32の対向端部32a同士を突き合わせた長手方向Xの長手方向溶接箇所W1と、封止部30cにおいて圧着部30の前方を完全に封止する幅方向Yの幅方向溶接箇所W2を溶接して圧着部30を構成している。
【0057】
詳しくは、圧着部30の圧着面31及びバレル構成片32を、対向端部32a同士が底面側で突き合わさるようにして丸めて円筒状に構成するとともに、円筒状の前方部分を上面側から底面側に押し付けて略平板状となるように変形させる。そして、円筒状の対向端部32a同士を突き合わせた長手方向Xの長手方向溶接箇所W1を溶接し(図2(c)参照)、その後、幅方向Yの幅方向溶接箇所W2を溶接して圧着部30を完成する。
このとき、長手方向溶接箇所W1及び幅方向溶接箇所W2は、図3に示す仮想平面Pにおける同一平面上となるように配置されているため、単一焦点のレーザ溶接で溶接することができる。
【0058】
なお、長手方向溶接箇所W1及び幅方向溶接箇所W2のレーザ溶接には、ファイバーレーザ溶接装置Fwを用いた。ファイバーレーザ溶接は、約1.06〜1.08μmの波長のファイバーレーザ光を用いた溶接である。ファイバーレーザは高い集光性を有していることから、エネルギー密度の高い溶接を容易に実現することができる。
【0059】
このように、圧着面31及びバレル構成片32を曲げて円筒状に形成するとともに、封止部30cを略平板状に変形させた圧着部30は、ファイバーレーザ溶接によって長手方向溶接箇所W1及び幅方向溶接箇所W2を溶接しているため、止水性のある圧着部30を構成することができる。
【0060】
具体的には、被覆電線200のアルミニウム芯線201に対する圧着接続を許容する圧着部30を少なくとも備えた雌型圧着端子10は、圧着部30を、板材で円筒状に構成するとともに、板材を長手方向Xの長手方向溶接箇所W1を溶接したことによれば、圧着部30でアルミニウム芯線201を圧着する圧着状態において、円筒状の圧着部30の長手方向Xの前端側を封止することで、内部に水分が浸入することを防止して確実な止水性を確保することができる。
【0061】
また、圧着部30内のアルミニウム芯線201が外気に曝されることがなく、劣化や経年変化が起きることを抑制できる。したがって、アルミニウム芯線201に電食が発生することがなく、その電食を原因とする電気抵抗の上昇も防止できるので、安定した導電性が得られる。
【0062】
詳述すると、圧着部30を、圧着面31及びバレル構成片32を曲げて円筒状に構成するとともに、バレル構成片32の対向端部32aを長手方向Xの長手方向溶接箇所W1を溶接するとともに、円筒状の圧着部30の長手方向Xの前端側を封止して封止部30cを構成することで、被覆電線200のアルミニウム芯線201を圧着部30の外部に露出することがなく、止水性のある包み込んだ状態に圧着することができる。
【0063】
また、圧着部30における長手方向Xの前方を、封止する略平板状とするとともに、幅方向Yの幅方向溶接箇所W2を溶接することにより、アルミニウム芯線201が挿入された圧着部30を圧着するだけで、被覆電線200のアルミニウム芯線201を圧着部30の外部に露出することがなく、止水性のある包み込んだ状態に圧着することができる。
【0064】
詳しくは、予め、圧着部30における長手方向Xの前方を、封止する略平板状とするとともに、幅方向Yの幅方向溶接箇所W2を溶接して封止部30cを構成するため、円筒状の圧着部30へアルミニウム芯線201を挿入する挿入箇所以外、つまり圧着部30の後方開口部以外が封止されおり、アルミニウム芯線201が挿入された圧着部30を圧着するだけで、被覆電線200のアルミニウム芯線201を圧着部30の外部に露出することがなく、止水性のある包み込んだ状態に圧着することができる。
【0065】
なお、被覆電線200のアルミニウム芯線201に対する圧着接続を許容する圧着部30を備える雌型圧着端子10の製造方法として、圧着面31及びバレル構成片32を曲げて円筒状に構成するとともに、長手方向Xの前方を封止する略平板状に変形し、円筒状に構成するバレル構成片32の対向端部32aを突き合わせて長手方向Xの長手方向溶接箇所W1を溶接するとともに、略平板状に変形した封止部30cを幅方向Yの幅方向溶接箇所W2として溶接して圧着部30を構成することにより、圧着面31及びバレル構成片32を曲げて円筒状に構成するとともに、長手方向Xの前方を封止する略平板状に形状加工するプレス加工工程と、長手方向X及び幅方向Yの溶接工程とをこの順で行うため、より効率よく雌型圧着端子10を製造することができる。
【0066】
また、長手方向Xの長手方向溶接箇所W1と、幅方向Yの幅方向溶接箇所W2とを仮想平面P上に設定することにより、例えばレーザ溶接などの溶接装置が容易に移動して、確実に溶接することができる。
【0067】
さらに、圧着部30を、圧着面31と、圧着面31の幅方向両側から延出するバレル構成片32とで構成し、バレル構成片32を曲げて断面環状に構成するとともに、バレル構成片32の対向する対向端部32a同士を突き合せし、突き合せ箇所を長手方向Xの長手方向溶接箇所W1を溶接することにより、圧着面31とバレル構成片32とで断面環状の圧着部30を構成するとともに、バレル構成片32の対向する対向端部32a同士による突き合せ箇所を長手方向Xの長手方向溶接箇所W1として溶接することで確実に封止された圧着部30を構成することができる。
【0068】
また上記溶接を、ファイバーレーザ溶接で行うことにより、隙間の無い圧着部30を構成し、圧着状態において圧着部30の内部に水分が浸入することを確実に防止できる。また、ファイバーレーザ溶接は他のレーザ溶接と比べ、焦点を極小なスポットに合わせることができ、高出力密度なレーザ溶接を実現することができるとともに、連続照射可能である。したがって、確実な止水性を有する溶接を行うことができる。
【0069】
次に、上述のように構成した雌型圧着端子10に被覆電線200を接続して構成した圧着接続構造体1について説明する。圧着接続構造体1は、上述のように曲げ加工するとともに、前端部を略平板状に変形させた封止部30cにより前方が封止された圧着部30に被覆電線200のアルミニウム芯線201を圧着して構成している(図1(c)参照)。
【0070】
詳しくは、被覆電線200の絶縁被覆202より先端側で露出するアルミニウム芯線201の電線露出部201aを、電線露出部201aの先端201aaの長手方向Xの位置が圧着部30における封止部30cより後方となるように、被覆電線200を圧着部30に配置する。
【0071】
そして、電線露出部201aの先端201aaから、絶縁被覆202の被覆先端202aより後方までを、図1(c)に示すように、一旦、圧着部30で圧着して一体的に囲繞する。
これにより、圧着部30は、被覆電線200の絶縁被覆202及びアルミニウム芯線201の電線露出部201aの周面に対して密着した状態に圧着する。
【0072】
なお、圧着部30の長手方向溶接箇所W1を長手方向Xに溶接するとともに、圧着部30の封止部30cを略平板状に変形し、幅方向溶接箇所W2を溶接しているため、この圧着状態では、圧着部30の前方及び外部から圧着部30内部に水が浸入することのない止水性を実現している。
また、被覆圧着範囲30aの内側に形成した被覆用係止溝33aに、被覆電線200の絶縁被覆202が食い込むため、圧着部30の後方からの止水性も向上している。
【0073】
したがって、圧着状態では、圧着部30の高い止水性により、アルミニウム芯線201の電線露出部201aと圧着部30内面と密着した接触箇所に水が触れることがない。
【0074】
また、アルミニウム芯線201を、アルミ系材料で構成するとともに、圧着部30を、銅系材料で構成しているため、銅線による芯線を有する被覆電線に比べて軽量化できる。
【0075】
この結果、アルミニウム芯線201に電食が発生することがなく、その電食を原因として電気抵抗が上昇することもないので、アルミニウム芯線201の導電性が安定する。結果として、例えば、撚線、単線、平角線等のアルミニウム芯線201を、雌型圧着端子10の圧着部30に対して確実かつ強固に接続することができる。
【0076】
このように構成した圧着接続構造体1は、図示省略するコネクタハウジングに雌型圧着端子10を装着することによって、確実な導電性を有するコネクタを構成することができる。
【0077】
詳しくは、雌型圧着端子10で構成した圧着接続構造体1を、雌型のコネクタハウジングに装着し、雌型コネクタを備えたワイヤーハーネスを構成するとともに、雄型圧着端子(図示省略)で構成した圧着接続構造体(図示省略)を雄型のコネクタハウジング(図示省略)に装着し、雄型コネクタを備えたワイヤーハーネスを構成する。そして、雌型コネクタと雄型コネクタとを嵌合することによって、ワイヤーハーネス同士を電気的かつ物理的に接続することができる。
【0078】
このとき、コネクタハウジングには、圧着端子10と被覆電線200とを接続した圧着接続構造体1を装着しているため、確実な導電性を備えたワイヤーハーネスの接続を実現することができる。
【0079】
つまり、アルミニウム芯線201は圧着部30によって一体的に囲繞されており、外部に露出しないため、コネクタハウジング内部において外気に曝されても、圧着部30内部におけるアルミニウム芯線201と圧着端子10との電気的接続状態を維持することができるため、確実に導電性を維持することができる。
【0080】
また、雌型圧着端子10における圧着部30によって、被覆電線200と雌型圧着端子10とを接続した圧着接続構造体1は、雌型圧着端子10の圧着部30により囲繞して圧着するだけで確実な止水性を確保することのできる圧着接続構造体1を構成することができるため、安定した導電性を確保することができる。
【0081】
さらにまた圧着接続構造体1における雌型圧着端子10をコネクタハウジング内に配置したコネクタは、雌型圧着端子10とアルミニウム芯線201を構成する金属種によらず、安定した導電性を確保したまま雌型圧着端子10を接続することができる。
【0082】
詳述すると、例えば、雌型のコネクタと雄型のコネクタを互いに嵌合して、各コネクタのコネクタハウジング内に配置した雌型圧着端子10を互いに接続する際、止水性を確保したまま各コネクタの雌型圧着端子10を互いに接続することができる。
【0083】
なお、上述の雌型圧着端子10についての説明においてバレル構成片32の対向端部32aは、バレル構成片32の表裏面に対して直角な端面であり、対向端部32a同士を突き合わせて長手方向溶接箇所W1を溶接したが、図4に示すように、バレル構成片32の表裏面に対して同方向に傾斜した傾斜端面32bを対向させて突き合せし、長手方向溶接箇所W1を溶接してもよい。この場合、傾斜端面32b同士が幅方向に広がっても傾斜端面32b同士の一部は、バレル構成片32の表裏方向に重なっているため、確実に長手方向溶接箇所W1を溶接することができる。
【0084】
さらには、図4(b)に示すように、バレル構成片32の板厚の半分の厚みの凹部を備えた鉤状に形成した鉤状端面32c同士を突き合せして溶接しても同様の効果を奏することができる。
【0085】
また、上述の説明では、長手方向Xの長手方向溶接箇所W1を溶接した後、幅方向Yの幅方向溶接箇所W2を溶接して封止部30cを封止したが、図5(a)に示すように、長手方向Xの長手方向溶接箇所W1と、幅方向Yの幅方向溶接箇所W2とを連続し、一筆書きのように、溶接してもよい。
【0086】
このように溶接することで、長手方向溶接箇所W1と幅方向溶接箇所W2とを連続的に溶接できるため、効率よく溶接することができる。また、長手方向溶接箇所W1と幅方向溶接箇所W2とを連続的に溶接することにより溶接開始箇所数が減るため、溶接ビード初期形成時、つまり溶け込みが始まった時は、ビードがまだ、板厚に対して貫通に至っていない場合があるため、その時は長手方向溶接箇所W1に対して線対称な2本の幅方向溶接箇所W2aを溶接するなどの工夫をする。
その他の方法としては、出力波形制御を行い、最初だけ出力を高める方法や掃引速度制御を行い、最初だけ速度を落とす方法などが想定される。
【0087】
さらには、図5(b)に示すように、長手方向Xの長手方向溶接箇所W1を溶接した後に幅方向Yの幅方向溶接箇所W2を溶接する際に、長手方向溶接箇所W1を跨ぐように、幅方向Yの中央側から幅方向外側に向う、長手方向溶接箇所W1に対して線対称な2本の幅方向溶接箇所W2aを溶接してもよい。このように、幅方向Yの幅方向溶接箇所W2の代わりに、長手方向溶接箇所W1に対して線対称な2本の幅方向溶接箇所W2aを溶接することによって、溶接不足の発生のおそれが少なくなり、止水性を確保できる確実な溶接を実現することができる。
【0088】
同様の理由により、図示省略するが、長手方向溶接箇所W1も、長手方向Xの中央付近から一端側に向かって溶接し、その後長手方向Xの中央付近から他端側に向かって溶接してもよい。このとき、溶接開始位置をラップさせることにより、溶接不足の発生のおそれが少なくなり、止水性を確保できる確実な溶接を実現することができる。
【0089】
さらにまた、図6(a)、(b)に示すように、バレル構成片32の端部に形成した対向当接面部32d同士を突き合せして、対向当接面部32dの突き合せ部分を長手方向溶接箇所W1として長手方向Xに溶接してもよい。なお、対向当接面部32dは、バレル構成片32の他の部分の断面積より広い対向面である。この場合、図6(c)に示すように、面接触する対向当接面部32dはファイバーレーザ溶接によって、一体化するため、長手方向溶接箇所W1における止水性を向上することができる。なお、対向当接面部32dは、バレル構成片32の端部を径外側に折り曲げ加工して形成してもよく、予め、バレル構成片32の他の部分より厚く形成してもよい。
【0090】
このように、突き合せ箇所を、バレル構成片32の他の部分の断面積より大きな面積を有する対向当接面部32d同士の突き合せとすることにより、仮に、突き合せ溶接によって突き合せ部分が薄肉化した場合であっても、溶接箇所が十分な強度を有するため、例えば、アルミニウム芯線201の圧着などによって溶接箇所が変形しても十分な溶接強度、すなわち十分な止水性を確保することができる。さらに、例えば、他の部分より径内側に突出する対向当接面部32dである場合、圧着状態において、対向当接面部32dの他の部分より径内側に突出する部分がアルミニウム芯線201に食い込み、導通性を向上することができる。
【0091】
また、図8(a)に示すように、圧着部30を構成するバレル構成片32の他の部分より径内側に突出する態様の対向当接面部32dであってもよく、逆に径外側に突出する態様の対向当接面部32d(図8(b)参照)、あるいは、径内側と径外側の両方に突出する態様の対向当接面部32d(図8(c)参照)であってもよい。このように、様々な態様の対向当接面部32dであっても上述の対向当接面部32dによる効果を奏することができる。
【0092】
また、上述の説明ではバレル構成片32の対向端部32aを突き合せし、対向端部32aの突き合せ箇所を長手方向溶接箇所W1として長手方向Xに溶接したが、図7(a)、(b)に示すように、バレル構成片32の対向端部32a同士が重なり合うようにして、対向端部32aの重なり部分を長手方向溶接箇所W1として長手方向Xに溶接してもよい。この場合、図7(c)に示すように、重なり合った対向端部32aはファイバーレーザ溶接によって、一体化するため、長手方向溶接箇所W1における止水性を向上することができる。
【0093】
このように、圧着部30を、アルミニウム芯線201を載置する圧着面31と、圧着面31の幅方向両側から延出するバレル構成片32とで構成し、バレル構成片32を曲げて断面環状に構成するとともに、バレル構成片32の対向する対向端部32a同士を重ね合わせし、重ね合わせ箇所を長手方向Xの長手方向溶接箇所W1を溶接することにより、圧着面31とバレル構成片32とで断面環状の圧着部30を構成するとともに、バレル構成片32の対向する対向端部32a同士を重ね合わせた重ね合わせ箇所を長手方向Xの長手方向溶接箇所W1を溶接することで確実に封止された圧着部30を構成することができる。
【0094】
さらにまた、バレル構成片32の両端部のうち一方の端部の径外側面と、他方の端部の径内側面とにテーパ面を形成したテーパ端部32eとし、図8(d),(e)に示すように、テーパ端部32eにおけるテーパ面同士を径方向に突き合せし、換言するとテーパ端部32eを重ね合わせ、長手方向Xの長手方向溶接箇所W1として溶接してもよい。テーパ端部32eによる長手方向溶接箇所W1は、図8(f)に示すように、バレル構成片32の板厚に対して1枚より厚く、2枚より薄い厚みで一体化される。
【0095】
このように、バレル構成片32の他の部分の厚みより薄い傾斜端面32bで重ね合わせ箇所を構成することにより、重ね合わせた厚みが厚すぎて十分に溶接できないというおそれを低減し、確実に溶接して、止水性を確保することができる。
【0096】
また、バレル構成片32の他の部分の厚みより薄いテーパ端部32eを重ね合わせるとともに、重ね合わせ箇所を、バレル構成片32の他の部分の厚みより厚く構成することにより、溶接によって重ね合わせ部分が薄肉化した場合であっても、溶接箇所が十分な強度を有するため、例えば、アルミニウム芯線201の圧着などによって溶接箇所が変形しても十分な溶接強度、すなわち十分な止水性を確保することができる。
【0097】
なお、上述の説明では、雌型圧着端子10の底面側において、長手方向溶接箇所W1及び幅方向溶接箇所W2を、仮想平面P上で溶接したが、雌型圧着端子10の上面側で長手方向溶接箇所W1及び幅方向溶接箇所W2を溶接する場合、図9(a)に示すように、圧着面31及びバレル構成片32を丸めて円筒状に形成し、円筒状の頂部を長手方向溶接箇所W1として一旦溶接する。そして、円筒状の前方を底面側に向かって押しつぶすようにして、略平板状に変形させて封止部30cを形作り、封止部30cの上方より幅方向溶接箇所W2を溶接する(図9(b)参照)。このように、一旦円筒状の頂部を長手方向溶接箇所W1として長手方向Xに溶接することで、図9(b)に示すように、高さ方向に変形した長手方向Xの長手方向溶接箇所W1を溶接する場合に比べて、レーザ溶接における焦点の調整が容易となり、効率よく圧着部30を溶接して、封止することができる。
【0098】
このような被覆電線200のアルミニウム芯線201に対する圧着接続を許容する圧着部30を備える雌型圧着端子10の製造方法として、圧着面31及びバレル構成片32を曲げて円筒状に構成した後、バレル構成片32の対向端部32aを突き合わせた長手方向Xの長手方向溶接箇所W1を溶接し、さらに長手方向Xの前方を封止する略平板状に変形した後、略平板状に変形した封止部30cを幅方向Yの幅方向溶接箇所W2を溶接することにより、止水性の高い圧着状態を実現できる雌型圧着端子10を製造することができる。
【0099】
なお、長手方向溶接箇所W1が高さ方向に変化する溶接を行ってもよく、この場合、様々な形状の止水性のある圧着部30を構成することができ、汎用性が向上する。
詳述すると、図11(a)に示すように、端子形状に打ち抜いた銅合金条を丸めるとともに、長手方向Xの前端部分をつぶして、封止部133を含むバレル部130の形状にあらかじめ形成する。
【0100】
そして、丸めて突き合わさる端部130a同士を長手方向Xの溶接個所W3に沿って溶接するとともに、封止部133において幅方向Yの溶接個所W4に沿って溶接して封止してバレル部130を完成させる。
【0101】
また、図2に示すように、バレル部130の底面側で端部130a同士を突き合わせて溶接してもよいし、図11(a),(b)に示すように、バレル部130上面側で端部130a同士を突き合わせて溶接してもよい。
【0102】
さらには、図11(c)に示すように、圧着状態において、バレル部130の被覆圧着部131を、被覆電線200の絶縁被覆202に対して正面視円形状に圧着し、芯線圧着部132を、アルミニウム芯線に対して正面視略U字状に圧着してもよい。
【0103】
また、圧着端子100は、図11に示すように、帯状のキャリアKに取り付けられたままの状態でバレル部130を溶接してから、被覆電線200を圧着接続する際、あるいは被覆電線200を圧着接続した後、キャリアKから分離してもよいが、キャリアKから分離された状態で圧着端子100を形成し、被覆電線200を圧着接続してもよい。
【0104】
さらにまた、平板状の圧着面31及びバレル構成片32を曲げ加工して円筒状に構成してから、円筒状の前方を略平板状に変形させて封止部30cを構成せずとも、図10に示すように、圧着部30に対応する箇所に、後方が開放された後方視略半円状で、平面視砲弾状の中空凸部34を有する2枚の板材を、中空凸部34の中空部分が対向する向きで重ね合わせ、中空凸部34の平面視外側を、中空凸部34を囲むように、長手方向X及び幅方向Yを組み合わせた連続溶接箇所W3を溶接して、圧着部30を構成してもよい。
【0105】
なお、重ね合わせる板材は、図示省略する部分で連結されており、折り曲げて板材部分を重ね合わせる構成でもよく、別部品の板材を重ね合わせて構成してもよい。さらには、中空凸部34は、少なくとも一方の板材に有していれば、圧着部30を構成することができる。
【0106】
このように、被覆電線200のアルミニウム芯線201に対する圧着接続を許容する圧着部30を備える雌型圧着端子10の製造方法として、少なくとも一方に、長手方向Xの前方が封止された中空の中空凸部34を有する板材を重ね合わせ、中空凸部34の外側において、中空凸部34を囲うように、長手方向X及び幅方向Yの連続溶接箇所W3を溶接して圧着部30を構成することにより、例えば、中空の凹部の形状をアルミニウム芯線201の径に応じた形状に形成することができ、アルミニウム芯線201を圧着部30に挿入した圧着状態において、隙間が少なく止水性の高い圧着状態を実現できる雌型圧着端子10を製造することができる。
したがって、例えば、細径のアルミニウム芯線201であっても、隙間が少なく止水性の高い圧着状態を実現できる雌型圧着端子10を製造することができる。
【0107】
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の導体部分は、アルミニウム芯線201に対応し、
以下同様に、
圧着端子は、雌型圧着端子10に対応し、
断面中空形状は、円筒状に対応し、
断面中空形状における長手方向の一端側は、長手方向Xの前方に対応し、
封止形状は、略平板状に対応し、
長手方向に対して交差する方向は、幅方向Yに対応し、
長手方向の溶接箇所は、長手方向溶接箇所W1に対応し、
長手方向に対して交差する方向の溶接箇所は、幅方向溶接箇所W2(W2a)に対応し、
略同一平面上は、仮想平面Pに対応し、
延出圧着片は、バレル構成片32に対応し、
端部は、対向端部32aに対応し、
端面は、対向当接面部32dに対応し、
接続構造体は、圧着接続構造体1に対応し、
凸部は、中空凸部34に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0108】
本実施形態では、雌型圧着端子10の圧着部30を、アルミニウムやアルミニウム合金等の卑な金属からなるアルミニウム芯線201に圧着接続する例を説明したが、その卑な金属以外に、例えば、銅や銅合金等の貴な金属からなる導体部分に圧着接続してもよく、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0109】
詳しくは、上述の構成の圧着部30は、圧着状態において、水の浸入を防止できるため、例えば、これまで線間止水のために圧着後にシールなどが必要であった銅や銅合金等の芯線で構成する被覆電線を接続してもよい。
【0110】
また、圧着面31の幅方向Yの両側に配置したバレル構成片32と、圧着面31とを丸めてバレル構成片32の対向端部32a同士を溶接して円筒状に構成したが、圧着面31の幅方向Yの片側のみにバレル構成片32を配置し、圧着面31及びバレル構成片32を丸めて円筒状に構成し、圧着面31とバレル構成片32の端部同士を溶接してもよい。
【0111】
(第2実施形態)
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図12は被覆電線200を圧着接続する突合せ圧着部430を有する雌型圧着端子410についての説明図を示し、図13は突合せ圧着部430における突合せ溶接について説明する説明図を示し、図14は突合せ溶接状況の斜視図を示している。
【0112】
また、図15は突合せ圧着部430を構成するバレル構成片432の対向端部432aについての説明図を示し、図16は突合せ溶接における掃引方法についての説明図を示している。
【0113】
なお、図12(a)は幅方向中央で分断した雌型圧着端子410の縦断斜視図、図12(b)は雌型圧着端子410と被覆電線200の圧着前の斜視図、図12(c)は突合せ圧着部430で被覆電線200を圧着した圧着状態である圧着接続構造体401の斜視図、図12(d)は封止部430cを形成していない雌型圧着端子410と被覆電線200の圧着前の斜視図を示している。
【0114】
図13(a)は、ボックス部420を透過状態とした雌型圧着端子410の底面側の概略斜視図を示し、図13(b)は図13(a)におけるa部拡大図を示している。
図15(a)は突合せ溶接が完了した突合せ圧着部430の断面図を示し、図15(b)は突合せ溶接が完了した突合せ圧着部430における長手方向溶接箇所W1の拡大断面図を示し、図15(c)は突合せ溶接が不完全な長手方向溶接箇所W1の拡大断面図を示している。
【0115】
また、図16(a)は突合せ溶接する突合せ圧着部430における長手方向溶接箇所W1の拡大平面図を示し、図16(b)は幅方向Yに対する突合せ溶接における一回掃引についての拡大平面図を示し、図16(c)は幅方向Yに対する突合せ溶接における二回掃引についての拡大平面図を示し、図16(d)は幅方向Yに対する突合せ溶接における矩形掃引についての拡大平面図を示し、図16(e)は幅方向Yに対する突合せ溶接における三角掃引についての拡大平面図を示し、図16(f)は幅方向Yに対する突合せ溶接における螺旋掃引についての拡大平面図を示している。
【0116】
本実施形態の圧着接続構造体401は、被覆電線200を雌型圧着端子410に接続して構成している。つまり、被覆電線200における絶縁被覆202の被覆先端202aより露出するアルミニウム芯線201の電線露出部201aを、雌型圧着端子410の突合せ圧着部430に圧着接続している。
【0117】
雌型圧着端子410に圧着接続する被覆電線200は、アルミニウム素線を束ねたアルミニウム芯線201を、絶縁樹脂で構成する絶縁被覆202で被覆して構成している。詳しくは、アルミニウム芯線201は、断面が0.75mmとなるように、アルミニウム合金線を撚って構成している。
【0118】
以下において、雌型圧着端子410について詳述する。
雌型圧着端子410は、長手方向Xの先端側である前方から後方に向かって、図示省略する雄型端子における挿入タブの挿入を許容するボックス部420と、ボックス部420の後方で、所定の長さのトランジション部440を介して配置された突合せ圧着部430とを一体に構成している。
【0119】
なお、本実施形態では、上述したように、ボックス部420と突合せ圧着部430で構成する雌型圧着端子410としたが、突合せ圧着部430を有する圧着端子であれば、上述の雌型圧着端子410におけるボックス部420に挿入接続する挿入タブと突合せ圧着部430とで構成する雄型圧着端子でもよく、また、突合せ圧着部430のみで構成し、複数本の被覆電線200のアルミニウム芯線201を束ねて接続するための圧着端子であってもよい。
【0120】
また、長手方向Xとは、図12に示すように、突合せ圧着部430を圧着して接続する被覆電線200の長手方向と一致する方向であり、幅方向Yは長手方向Xに対して略水平な平面方向において交差する方向である。また、突合せ圧着部430に対するボックス部420の側を前方とし、逆に、ボックス部420に対する突合せ圧着部430の側を後方としている。
【0121】
また、雌型圧着端子410は、表面が錫メッキ(Snメッキ)された、0.1〜0.6mmの板厚の黄銅等の銅合金条(図示せず)を、平面展開した端子形状に打ち抜いた後、中空四角柱体のボックス部420と後方視略O型の突合せ圧着部430とからなる立体的な端子形状に曲げ加工するとともに、突合せ圧着部430の長手方向溶接箇所W1を溶接して構成したクローズバレル形式の端子である。なお、本実施形態においては、0.25mmの板厚の銅合金条の表面を錫メッキ(Snメッキ)して用い、突合せ圧着部430は内径φ3mmの筒状に構成している。
【0122】
ボックス部420は、倒位の中空四角柱体で構成され、内部に、長手方向Xの後方に向かって折り曲げられ、挿入される雄型コネクタの挿入タブ(図示省略)に接触する弾性接触片421を備えている。
【0123】
また、中空四角柱体であるボックス部420は、底面部422の長手方向Xと直交する幅方向Yの両側部に連設された側面部423を折り曲げて、長手方向Xの先端側から見て略矩形状に構成している。
【0124】
圧着前の突合せ圧着部430は、図12(b)に示すように、圧着底面431及び圧着底面431の幅方向Yの両側に延出したバレル構成片432を丸めて対向端部432a同士を突合せし、溶接して後方視略O型に形成している。
【0125】
なお、バレル構成片432の長手方向長さは、絶縁被覆202の長手方向X前方側の先端である被覆先端202aから、長手方向Xの前方で露出する電線露出部201aの長手方向Xの露出長さより長く形成している。
【0126】
突合せ圧着部430は、絶縁被覆202を圧着する被覆圧着範囲430aと、アルミニウム芯線201の電線露出部201aを圧着する電線圧着範囲430bとを一体で構成するとともに、電線圧着範囲430bより前方端部を略平板状に押しつぶすように変形させ、幅方向Yに溶接して封止部430c(図13参照)を構成している。
【0127】
このように構成された突合せ圧着部430を形成する溶接について、図14とともに説明する。
上述したように、圧着底面431及びバレル構成片432を丸めてバレル構成片432の対向端部432a同士を突合せし、溶接して後方視略O型に形成する突合せ圧着部430は、図14に示すように、バレル構成片432の対向端部432a同士を突合せた長手方向Xの長手方向溶接箇所W1と、封止部430cにおいて突合せ圧着部430の前方を完全に封止する幅方向Yの幅方向溶接箇所W2を溶接して突合せ圧着部430を構成している。
【0128】
詳しくは、突合せ圧着部430の圧着底面431及びバレル構成片432を、対向端部432a同士が底面側で突き合わさるようにして丸めて円筒状に構成するとともに、円筒状の前方部分を上面側から底面側に押し付けて略平板状となるように変形させる。そして、円筒状の対向端部432a同士を突合せた長手方向Xの長手方向溶接箇所W1を溶接し(図13(a)参照)、その後、幅方向Yの幅方向溶接箇所W2を溶接して突合せ圧着部430を完成する。
このとき、長手方向溶接箇所W1及び幅方向溶接箇所W2は、図14に示す仮想平面Pにおける同一平面上となるように配置されているため、単一焦点のレーザ溶接で溶接することができる。
【0129】
長手方向溶接箇所W1及び幅方向溶接箇所W2の溶接は、ファイバーレーザ溶接装置Fwでファイバーレーザ溶接にて行う。ファイバーレーザ溶接は、約1.06〜1.08μmの波長のファイバーレーザビームを用いた溶接である。ファイバーレーザビームは、理想的なガウスビームであり、回折限界まで集光可能である、つまりファイバーレーザは高い集光性を有しているため、YAGレーザやCOレーザでは困難であった30μm以下の集光スポット径を構成することができる。したがって、エネルギー密度の高い溶接を容易に実現することができる。
【0130】
なお、本実施形態において、約1.08μmの波長のファイバーレーザビームを集光スポット径が20μmとなるようにフォーカスすることにより、出力密度が380MW/cmとなるファイバーレーザ溶接を、90〜300mm/secの掃引速度で行っている。
また、上記出力密度や掃引速度は上記値に限定されないが、例えば、出力密度と掃引速度とは密接に関係しており、例えば、出力密度を上げると、掃引速度も上げることができる。
【0131】
また、ファイバーレーザ溶接におけるファイバーレーザビームの発振形態としては、連続発振する連続発振レーザ(以下において、CWレーザという)、パルス発振するパルス発振レーザ、あるいは、連続発振するCWレーザをパルス制御するレーザとがあり、いずれの発振形態で溶接してもよいが、封止性の高いCWレーザで溶接することがより好ましい。
【0132】
このようなファイバーレーザビームを用いた長手方向溶接箇所W1及び幅方向溶接箇所W2の溶接は、図15(a)に示すように、突合せ圧着部430を構成するバレル構成片432を貫通する貫通溶接を行うことにより、突合せ圧着部430における溶接箇所W(W1,W2)の表裏両面に溶接による溶接ビードV(Va,Vb)が形成される。
【0133】
なお、長手方向溶接箇所W1の表裏両面に形成される溶接ビードVは、少なくとも、突合せ圧着部430でアルミニウム芯線201を圧着接続するために、圧着変形する電線圧着範囲430bに形成すればよいが、もちろん被覆圧着範囲430aや封止部430cに形成されてもよい。
【0134】
さらには、封止部430cにおける幅方向溶接箇所W2は、圧着後にレーザ溶接をしており、圧着応力に耐える必要がなく、未貫通溶接でも重ね合わせ部が連続的に溶接していれば密閉性が満たされるため、貫通溶接である必要が必ずしもあるわけではない。しかし、溶接箇所の表裏両面に溶接ビードVが形成される貫通溶接に対して未貫通溶接は、溶接不良を発し易く、未溶接部隙間からの水分浸入によって腐食するおそれがあり、また、重ね合わせ部を連続的に溶接しているかも外観から判断が困難である。したがって、封止部430cにおいて幅方向Yに溶接する幅方向溶接箇所W2も、溶接ビードVが表裏両面に形成される貫通溶接することが好ましい。
【0135】
また、長手方向溶接箇所W1は、突合せ圧着部430の長手方向Xに沿って後方から前方に向かう掃引方向Sで溶接する。また、ボックス部420と突合せ圧着部430との長手方向溶接箇所W1を連続して溶接を行う。詳しくは、図16(a)に示すように、バレル構成片432の対向端部432a同士が突き合わされた突合せ部分が長手方向Xに沿った長手方向溶接箇所W1となり、ファイバーレーザ溶接装置Fwから照射されたファイバーレーザビームを、対向端部432a同士の突合せ部分にフォーカスし、図16(b)に示すように、長手方向溶接箇所W1に沿って、長手方向Xの後方から前方に向かって一直線状に溶接する。
なお、ファイバーレーザ溶接装置Fwの掃引方向Sは、長手方向Xに沿う一方向であれば、後方から前方に向かう方向に限定されず、前方から後方に向かう掃引方向であってもよい。
【0136】
さらには、長手方向Xに沿う一方向であっても、図16に示すように、さまざまな掃引方法を採用することができる。
詳述すると、図16(b)に示すように、対向端部432a同士の突合せ部分上、つまり長手方向溶接箇所W1上を長手方向Xに沿って掃引してもよいが(以下において基本掃引S1という)、図16(c)に示すように、長手方向溶接箇所W1からわずかに掃引軸をずらし、長手方向溶接箇所W1を挟むように二回掃引してもよい(以下において二回掃引S2という)。なお、二回掃引S2は、図16(c)に示すように、二回の掃引ともに長手方向Xの後方から前方のように一方向に掃引してもよいが、一回目の掃引後、Uターンして、二回目を逆方向に掃引してもよい。
【0137】
また、一回の掃引であっても、長手方向溶接箇所W1に対して、幅方向Yの掃引と長手方向Xの掃引とを交互に繰り返して、全体として長手方向Xに掃引する矩形掃引S3(図16(d)参照)、長手方向X及び幅方向Yに対して斜め方向のジグザグ状に掃引して、全体として長手方向Xに掃引する三角掃引S4(図16(e)参照)、あるいは、掃引方向後方側に略円状を描きながら掃引方向前方に掃引する螺旋掃引S5(図16(f)参照)であってもよい。
【0138】
このように、上述の二回掃引S2、矩形掃引S3、三角掃引S4、あるいは螺旋掃引S5は、長手方向溶接箇所W1上を掃引する基本掃引S1に対して、幅方向Yにも掃引するため、幅方向Yにおける幅を広げた溶接ビードVを形成することができる。これにより、例えば、長手方向Xに対して突合せ部分が幅方向Yに振れるような誤差がある場合であっても、幅方向Yの所定幅を有する溶接ビードVを形成できるため、確実に長手方向溶接箇所W1を溶接することができる。
【0139】
次に、上述の雌型圧着端子410を用いた圧着接続構造体401と、雄型圧着端子(図示せず)を用いた圧着接続構造体401aとを、一対のコネクタハウジングHcにそれぞれ装着した例を、図17を用いて説明する。
なお、圧着接続構造体401は、雌型圧着端子410を用いた接続構造体であり、圧着接続構造体401aは、雄型圧着端を用いた接続構造体である。
【0140】
上述の圧着接続構造体401,401aを、コネクタハウジングHcのそれぞれに装着することによって、確実な導電性を備えた雌型コネクタCaと雄型コネクタCbとを構成することができる。
【0141】
なお、以下の説明では、雌型コネクタCaと雄型コネクタCbとの両方がワイヤーハーネスH(Ha,Hb)のコネクタである例を示すが、一方をワイヤーハーネスのコネクタ、他方を基板や部品等の補機のコネクタとしてもよい。
【0142】
詳しくは、図17に示すように、雌型圧着端子410で構成した圧着接続構造体401を、雌型のコネクタハウジングHcに装着して、雌型コネクタCaを備えたワイヤーハーネス301aを構成する。
また、雄型圧着端子で構成した圧着接続構造体401aを、雄型のコネクタハウジングHcに装着して、雄型コネクタCbを備えたワイヤーハーネス301bを構成する。
【0143】
上述のように構成した雌型コネクタCaと雄型コネクタCbとを嵌合することによって、ワイヤーハーネス301aとワイヤーハーネス301bとを接続することができる。
つまり、コネクタハウジングHcに圧着接続構造体401の雌型圧着端子410を装着したコネクタC(Ca、Cb)は、確実な導電性を備えたワイヤーハーネス301の接続を実現することができる。
【0144】
また、上述の圧着接続構造体401の雌型圧着端子410と、圧着接続構造体401aの雄型圧着端子は、被覆電線200におけるアルミニウム芯線201の導体先端部201aが突合せ圧着部430によって一体的に覆われており、外部に露出しない封止構造を備えている。
【0145】
このため、コネクタハウジングHcの内部において外気に曝されても、電食によって導電性が低下することなく、圧着部430の内部におけるアルミニウム芯線201と雌型圧着端子410との電気的接続状態を維持することができ、確実な導電性を備えた接続状態を確保することができる。
【0146】
このように、被覆電線200のアルミニウム芯線201に対する圧着接続を許容する突合せ圧着部430を備えた雌型圧着端子410における突合せ圧着部430を、断面中空形状となるように、板材を幅方向に曲げるとともに、板材の幅方向における対向端部432a同士を突合せし、対向端部432a同士を突合せした長手方向溶接箇所W1を長手方向Xに溶接し、長手方向Xに溶接した溶接箇所のうち、アルミニウム芯線201に対する圧着接続のために圧着変形する電線圧着範囲430bの表裏両側に溶接による溶接ビードVを形成しているため、突合せ圧着部430でアルミニウム芯線201を確実に圧着して、安定した導電性が得ることができる雌型圧着端子410を構成できる。
【0147】
詳述すると、圧着変形する電線圧着範囲430bの表裏両側に溶接による溶接ビードVが形成されるということは、溶接箇所の表裏方向における断面の少なくとも大部分が溶接されていることとなる。したがって、断面中空形状となるように、板材を幅方向に曲げるとともに、その対向端部432a同士を長手方向Xに溶接した突合せ圧着部430の溶接箇所は、突合せ圧着部430でアルミニウム芯線201を圧着する圧着力に対する十分な耐力を有し、圧着変形によって破断することがない。よって、突合せ圧着部430で確実に被覆電線200のアルミニウム芯線201を圧着し、安定した導電性が得られる。つまり、安定した電気的接続状態を確保することができる。
【0148】
また、表裏両側に形成される溶接ビードVを、貫通溶接によって形成することにより、長手方向溶接箇所W1の表裏方向における断面全域において溶接されるため、突合せ圧着部430でアルミニウム芯線201を圧着する圧着力に対して、より十分な耐力を有するとともに、割れの起点のない長手方向溶接箇所W1を構成することができる。
【0149】
詳しくは、長手方向溶接箇所W1の断面において、図15(c)に示すように、未溶接箇所が形成されると、圧着時に応力が集中するため、長手方向溶接箇所W1の中央垂直方向下部から上部に向かうような割れの起点となり易いが、貫通溶接により、長手方向溶接箇所W1の断面が連続的に溶接され、割れの起点が生じず、十分な耐力を有する溶接を行うことができる。よって、突合せ圧着部430でより確実に被覆電線200のアルミニウム芯線201を圧着し、より安定した導電性が得られる。
【0150】
また、断面中空形状における長手方向Xの前方側に封止部430cを形成するとともに、封止部430cを、幅方向Yに溶接して幅方向溶接箇所W2を形成することにより、アルミニウム芯線201が挿入された突合せ圧着部430を圧着するだけで、被覆電線200のアルミニウム芯線201や、アルミニウム芯線201を突合せ圧着部430の外部に露出することがなく、止水性のある包み込んだ状態に圧着することができる。
【0151】
詳しくは、アルミニウム芯線201を圧着するために突合せ圧着部430を圧着変形させても、長手方向Xに溶接した長手方向溶接箇所W1のうち、少なくとも、アルミニウム芯線201に対する圧着接続のために圧着変形する電線圧着範囲430bの表裏両側に溶接による溶接ビードVが形成され、圧着変形によって溶接が破断せず、また記断面中空形状における長手方向Xの前方側を、封止する封止形状とするとともに、幅方向Yに溶接するため、断面中空形状の突合せ圧着部430へアルミニウム芯線201を挿入する挿入箇所以外が封止されおり、突合せ圧着部430内のアルミニウム芯線201が外気に曝されることがなく内部に水分が浸入することを防止し、劣化や経年変化が起きることを抑制できる。したがって、アルミニウム芯線201に腐食が発生することがなく、その腐食を原因とする電気抵抗の上昇も防止できるので、安定した導電性が得られる。
【0152】
また、予め、断面中空形状における長手方向Xの前方側に形成した封止部430cを幅方向Yに溶接して幅方向溶接箇所W2を形成するため、断面中空形状の突合せ圧着部430へアルミニウム芯線201を挿入する挿入箇所以外が封止されおり、アルミニウム芯線201が挿入された突合せ圧着部430を圧着するだけで、被覆電線200のアルミニウム芯線201や、アルミニウム芯線201を突合せ圧着部430の外部に露出することがなく、止水性のある包み込んだ状態に圧着することができる。したがって、止水性を確保するために、アルミニウム芯線201に別部品で構成するキャップ等を用いることなく、確実に、突合せ圧着部430に圧着されたアルミニウム芯線201が外気に曝されることがない。
【0153】
また、長手方向Xの長手方向溶接箇所W1と、幅方向Yの幅方向溶接箇所W2とを略同一平面上に設定することにより、例えばファイバーレーザ溶接装置Fwを容易に移動させて、確実に溶接することができる。詳しくは、ファイバーレーザ溶接装置Fwと、長手方向溶接箇所W1及び幅方向溶接箇所W2との距離が一定となるため、安定した溶接状態で溶接することができ、確実に溶接することができる。
【0154】
また、上記溶接を、高エネルギー密度ビームであるファイバーレーザビームを用いて行うため、アスペクト比の高い高精度な溶接を行うことができる。したがって、端子材料の変形の少ない溶接状態を実現することができる。詳しくは、ファイバーレーザは集光性が高く、平均出力密度が高い。したがって、確実な溶接状態を効率よく行うことができる。
【0155】
さらには、長手方向溶接箇所W1周辺の母材の材料組織が材料自体の強度(硬さ)であった場合、柔らかい組織である溶接部分と母材組織(硬い組織)の界面に応力が集中して、割れが生じるおそれがあるが、長手方向溶接箇所W1の周囲はファイバーレーザビームを用いたレーザ溶接による熱影響によって、母材よりも柔らかい組織になっており、また、長手方向溶接箇所W1の周辺が底面に向かって柔らかい組織から硬い組織というなだらかな配向となるため、圧着時における長手方向溶接箇所W1の破断をより確実に防止することができる。
【0156】
また、雌型圧着端子410を、表面がSnメッキされた銅合金条で構成しているため、表面のSnメッキがファイバーレーザ溶接を行う際の吸光材の役割を果たし、レーザビームの吸収が増加し、効率よく溶接することができる。
【0157】
また、雌型圧着端子410における突合せ圧着部430によって、被覆電線200と雌型圧着端子410とを接続した圧着接続構造体401は、雌型圧着端子410の突合せ圧着部430により囲繞して圧着するだけで確実な止水性を確保でき、安定した導電性を確保することができる。
【0158】
なお、アルミ系材料で構成するアルミニウム芯線201を用いるため、銅系材料で構成した被覆電線に比べて軽量化できるとともに、上述した確実な止水性により、いわゆる電食を防止し、十分な導電機能を確保することができる。
【0159】
さらにまた、上記圧着接続構造体401における雌型圧着端子410をコネクタハウジングHc内に配置したコネクタCは、安定した導電性を確保したまま圧着接続構造体401を接続することができる。
【0160】
詳述すると、例えば、雌型のコネクタCと雄型のコネクタCを互いに嵌合して、各コネクタCのコネクタハウジングHc内に配置した雌型圧着端子410を互いに接続する際、止水性を確保したまま各コネクタCの雌型圧着端子410を互いに接続することができる。この結果、確実な導電性を備えた接続状態を確保することができる。
【0161】
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の導体部分は、アルミニウム芯線201に対応し、
以下同様に、
圧着部は、突合せ圧着部430に対応し、
圧着端子は、雌型圧着端子410に対応し、
端部は、対向端部432aに対応し、
突合せ箇所及び長手方向の溶接箇所は、長手方向溶接箇所W1に対応し、
長手方向に交差する方向は、幅方向Yに対応し、
圧着変形する箇所は、電線圧着範囲430bに対応し、
交差する方向の溶接箇所は、幅方向溶接箇所W2に対応し、
接続構造体は、圧着接続構造体401に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0162】
なお、上述の説明では、ボックス部420、トランジション部440及び突合せ圧着部430がこの順で配置された雌型圧着端子410について説明したが、突合せ圧着部430のみで構成する圧着端子であってもよい。
上述の板材の幅方向における対向端部432a同士の突合せは、板材の対向端部432a側面のみならず、対向端部432a側面を傾斜させた傾斜側面、あるいは、板材の厚み以上高さを有する面を構成した側面同士の突合せとすることができる。
また、ファイバーレーザ溶接装置Fwからファイバーレーザビームを照射するファイバーレーザ溶接を行ったが、電子ビームを照射して溶接してもよい。
【0163】
さらには、図12(d)に示すように、円筒状の突合せ圧着部430にアルミニウム芯線201を挿入してから、圧着する際に、突合せ圧着部430の前方を封止形状に形成して封止部430cを形成してもよい。また、幅方向溶接箇所W2を溶接して封止部430cを構成のみならず、幅方向溶接箇所W2を溶接せず、突合せ圧着部430の前方を封止形状に形成するのみ、あるいは封止部430cの内部に樹脂等の封止材を介在させて封止してもよい。
【0164】
なお、突合せ圧着部430における別の実施形態について説明する説明図を示す図18(a)に示すように、突合せ圧着部430において、バレル構成片432の対向端部432a同士を突合せて、長手方向Xの長手方向溶接箇所W1をファイバーレーザ溶接して筒状に構成する突合せ圧着部430において、対向端部432a同士が密着せずとも、ファイバーレーザ溶接におけるスポット径以下の隙間であれば対向端部432a同士の間に隙間がある状態で突合せし、長手方向Xにファイバーレーザ溶接し、溶接ビードVを形成してもよい。
【0165】
また、図18(b)乃至(d)に示すように、を径内外方向に突出させた厚みの厚い対向端部432a同士を突合せて溶接してもよい。このように、対向端部432aの厚みを厚くすることにより、突合せ部分に形成される溶接ビードVの厚みが厚くなり、溶接部分の強度が向上する。
【0166】
さらにまた、上述の説明では、図13に示すように、端子形状に打ち抜いた銅合金条を丸めるとともに、端部432a同士を突き合わせて長手方向Xの溶接個所W1に沿って溶接して後方視略O型に形成してから、長手方向Xの前端部分をつぶすとともに、幅方向Yの溶接個所W2に沿って溶接して封止して、長手方向Xの前端が封止部430cで封止させ、長手方向Xの後方に開口を有する略筒状のバレル部430を形成したが、バレル部430における別の溶接方法について説明する説明図である図19に示すように、バレル部130の形状を形成してから、溶接個所を溶接してバレル部130を形成してもよい。
【0167】
詳述すると、図19(a)に示すように、端子形状に打ち抜いた銅合金条を丸めるとともに、長手方向Xの前端部分をつぶして、封止部133を含むバレル部130の形状にあらかじめ形成する。
【0168】
そして、丸めて突き合わさる端部130a同士を長手方向Xの溶接個所W3に沿って溶接するとともに、封止部133において幅方向Yの溶接個所W4に沿って溶接して封止してバレル部130を完成させる。
【0169】
また、図13に示すように、バレル部430の底面側で端部432a同士を突き合わせて溶接してもよいし、図19(a),(b)に示すように、バレル部130上面側で端部130a同士を突き合わせて溶接してもよい。
【0170】
さらには、図19(c)に示すように、圧着状態において、バレル部130の被覆圧着部131を、被覆電線200の絶縁被覆202に対して正面視円形状に圧着し、芯線圧着部132を、アルミニウム芯線に対して正面視略U字状に圧着してもよい。
【0171】
また、圧着端子100は、図19に示すように、帯状のキャリアKに取り付けられたままの状態でバレル部130を溶接してから、被覆電線200を圧着接続する際、あるいは被覆電線200を圧着接続した後、キャリアKから分離してもよいが、キャリアKから分離された状態で圧着端子100を形成し、被覆電線200を圧着接続してもよい。
【0172】
本実施形態では、雌型圧着端子10の圧着部30を、アルミニウムやアルミニウム合金等の卑な金属からなるアルミニウム芯線201に圧着接続する例を説明したが、その卑な金属以外に、例えば、銅や銅合金等の貴な金属からなる導体部分に圧着接続してもよく、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0173】
詳しくは、上述の構成の圧着部30は、圧着状態において、水の浸入を防止できるため、例えば、これまで線間止水のために圧着後にシールなどが必要であった銅や銅合金等の芯線で構成する被覆電線を接続してもよい。
【0174】
(第3実施形態)
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図20は被覆電線200を圧着接続する重ね合せ圧着部530を有する雌型圧着端子510についての説明図を示し、図21は重ね合せ圧着部530における重ね合せ溶接について説明する説明図を示し、図22は重ね合せ溶接状況の斜視図を示している。
【0175】
また、図23は重ね合せ圧着部530を構成するバレル構成片532の構成片端部532aについての説明図を示し、図24は重ね合せ溶接における掃引方法についての説明図を示している。
【0176】
なお、図20(a)は幅方向中央で分断した雌型圧着端子510の縦断斜視図、図20(b)は雌型圧着端子510と被覆電線200の圧着前の斜視図、図20(c)は重ね合せ圧着部530で被覆電線200を圧着した圧着状態である圧着接続構造体501の斜視図、図20(d)は封止部530cを形成していない雌型圧着端子510と被覆電線200の圧着前の斜視図を示している。
【0177】
図21(a)は、ボックス部520を透過状態とした雌型圧着端子510の底面側の概略斜視図を示し、図21(b)は図21(a)におけるa部拡大図を示している。
図23(a)は重ね合せ溶接が完了した重ね合せ圧着部530の断面図を示し、図23(b)は重ね合せ溶接が完了した重ね合せ圧着部530における長手方向溶接箇所W1の拡大断面図を示し、図23(c)は重ね合せ溶接が不完全な長手方向溶接箇所W1の拡大断面図を示している。
【0178】
また、図24(a)は重ね合せ溶接する重ね合せ圧着部530における長手方向溶接箇所W1の拡大平面図を示し、図24(b)は長手方向溶接箇所W1に対する重ね合せ溶接における一回掃引についての拡大平面図を示し、図24(c)は長手方向溶接箇所W1に対する重ね合せ溶接における二回掃引についての拡大平面図を示し、図24(d)は長手方向溶接箇所W1に対する重ね合せ溶接における矩形掃引についての拡大平面図を示し、図24(e)は長手方向溶接箇所W1に対する重ね合せ溶接における三角掃引についての拡大平面図を示し、図24(f)は長手方向溶接箇所W1に対する重ね合せ溶接における螺旋掃引についての拡大平面図を示している。
【0179】
本実施形態の圧着接続構造体501は、被覆電線200を雌型圧着端子510に接続して構成している。つまり、被覆電線200における絶縁被覆202の被覆先端202aより露出するアルミニウム芯線201の電線露出部201を、雌型圧着端子510の重ね合せ圧着部530に圧着接続している。
【0180】
雌型圧着端子510に圧着接続する被覆電線200は、アルミニウム素線を束ねたアルミニウム芯線201を、絶縁樹脂で構成する絶縁被覆202で被覆して構成している。詳しくは、アルミニウム芯線201は、断面が0.75mmとなるように、アルミニウム合金線を撚って構成している。
【0181】
以下において、雌型圧着端子510について詳述する。
雌型圧着端子510は、長手方向Xの先端側である前方から後方に向かって、図示省略する雄型端子における挿入タブの挿入を許容するボックス部520と、ボックス部520の後方で、所定の長さのトランジション部540を介して配置された重ね合せ圧着部530とを一体に構成している。
【0182】
なお、本実施形態では、上述したように、ボックス部520と重ね合せ圧着部530で構成する雌型圧着端子510としたが、重ね合せ圧着部530を有する圧着端子であれば、上述の雌型圧着端子510におけるボックス部520に挿入接続する挿入タブと重ね合せ圧着部530とで構成する雄型圧着端子でもよく、また、重ね合せ圧着部530のみで構成し、複数本の被覆電線200のアルミニウム芯線201を束ねて接続するための圧着端子であってもよい。
【0183】
また、長手方向Xとは、図20に示すように、重ね合せ圧着部530を圧着して接続する被覆電線200の長手方向と一致する方向であり、幅方向Yは長手方向Xに対して略水平な平面方向において交差する方向である。また、重ね合せ圧着部530に対するボックス部520の側を前方とし、逆に、ボックス部520に対する重ね合せ圧着部530の側を後方としている。
【0184】
また、雌型圧着端子510は、表面が錫メッキ(Snメッキ)された、0.1〜0.6mmの板厚の黄銅等の銅合金条(図示せず)を、平面展開した端子形状に打ち抜いた後、中空四角柱体のボックス部520と後方視略O型の重ね合せ圧着部530とからなる立体的な端子形状に曲げ加工するとともに、重ね合せ圧着部530の長手方向溶接箇所W1を溶接して構成したクローズバレル形式の端子である。なお、本実施形態においては、0.25mmの板厚の銅合金条の表面を錫メッキ(Snメッキ)して用い、重ね合せ圧着部530は内径φ3mmの筒状に構成している。
【0185】
ボックス部520は、倒位の中空四角柱体で構成され、内部に、長手方向Xの後方に向かって折り曲げられ、挿入される雄型コネクタの挿入タブ(図示省略)に接触する弾性接触片521を備えている。
【0186】
また、中空四角柱体であるボックス部520は、底面部522の長手方向Xと直交する幅方向Yの両側部に連設された側面部523を折り曲げて、長手方向Xの先端側から見て略矩形状に構成している。
【0187】
圧着前の重ね合せ圧着部530は、図20(b)に示すように、圧着底面531及び圧着底面531の幅方向Yの両側に延出したバレル構成片532を丸めて構成片端部532a同士を重ね合せし、溶接して後方視略O型に形成している。
【0188】
なお、バレル構成片532の長手方向長さは、絶縁被覆202の長手方向X前方側の先端である被覆先端202aから、長手方向Xの前方で露出する電線露出部201の長手方向Xの露出長さより長く形成している。
【0189】
重ね合せ圧着部530は、絶縁被覆202を圧着する被覆圧着範囲530aと、アルミニウム芯線201の電線露出部201を圧着する電線圧着範囲530bとを一体で構成するとともに、電線圧着範囲530bより前方端部を略平板状に押しつぶすように変形させ、幅方向Yに溶接して封止部530c(図21参照)を構成している。
【0190】
このように構成された重ね合せ圧着部530を形成する溶接について、図22とともに説明する。
上述したように、圧着底面531及びバレル構成片532を丸めてバレル構成片532の構成片端部532a同士を重ね合せし、溶接して後方視略O型に形成する重ね合せ圧着部530は、図22に示すように、バレル構成片532の構成片端部532a同士を重ね合せた長手方向Xの長手方向溶接箇所W1と、封止部530cにおいて重ね合せ圧着部530の前方を完全に封止する幅方向Yの幅方向溶接箇所W2を溶接して重ね合せ圧着部530を構成している。
【0191】
詳しくは、重ね合せ圧着部530の圧着底面531及びバレル構成片532を、構成片端部532a同士が底面側で重ね合わさるようにして丸めて円筒状に構成するとともに、円筒状の前方部分を上面側から底面側に押し付けて略平板状となるように変形させる。そして、円筒状の構成片端部532a同士を重ね合せた長手方向Xの重ね合せ部分を溶接し(図21(a)参照)、その後、幅方向Yの幅方向溶接箇所W2を溶接して重ね合せ圧着部530を完成する。
このとき、長手方向溶接箇所W1及び幅方向溶接箇所W2は、図22に示す仮想平面Pにおける同一平面上となるように配置されているため、単一焦点のレーザ溶接で溶接することができる。
【0192】
長手方向溶接箇所W1及び幅方向溶接箇所W2の溶接は、ファイバーレーザ溶接装置Fwでファイバーレーザ溶接にて行う。ファイバーレーザ溶接は、約1.06〜1.08μmの波長のファイバーレーザビームを用いた溶接である。ファイバーレーザビームは、理想的なガウスビームであり、回折限界まで集光可能である、つまりファイバーレーザは高い集光性を有しているため、YAGレーザやCOレーザでは困難であった30μm以下の集光スポット径を構成することができる。したがって、エネルギー密度の高い溶接を容易に実現することができる。
【0193】
なお、本実施形態において、約1.08μmの波長のファイバーレーザビームを集光スポット径が20μmとなるようにフォーカスすることにより、出力密度が240MW/cmとなるファイバーレーザ溶接を、100〜400mm/secの掃引速度で行っている。
なお、上記出力密度や掃引速度は上記値に限定されないが、例えば、出力密度と掃引速度とは密接に関係しており、例えば、出力密度を上げると、掃引速度も上げることができる。
【0194】
また、ファイバーレーザ溶接におけるファイバーレーザビームの発振形態としては、連続発振する連続発振レーザ(以下において、CWレーザという)、パルス発振するパルス発振レーザ、あるいは、連続発振するCWレーザをパルス制御するレーザとがあり、いずれの発振形態で溶接してもよいが、封止性の高いCWレーザで溶接することがより好ましい。
【0195】
このようなファイバーレーザビームを用いた長手方向溶接箇所W1及び幅方向溶接箇所W2の溶接は、図23(a)に示すように、重ね合せ圧着部530を構成するバレル構成片532を貫通する貫通溶接を行うことにより、重ね合せ圧着部530における溶接箇所Wの表裏両面に溶接による溶接ビードV(Va,Vb)が形成される。
【0196】
なお、長手方向溶接箇所W1の表裏両面に形成される溶接ビードVは、少なくとも、重ね合せ圧着部530でアルミニウム芯線201を圧着接続するために、圧着変形する電線圧着範囲530bに形成すればよいが、もちろん被覆圧着範囲530aや封止部530cに形成されてもよい。
【0197】
さらには、封止部530cにおける幅方向溶接箇所W2は、圧着後にレーザ溶接をしており、圧着応力に耐える必要がなく、未貫通溶接でも重ね合わせ部が連続的に溶接していれば密閉性が満たされるため、貫通溶接である必要が必ずしもあるわけではない。しかし、溶接箇所の表裏両面に溶接ビードVが形成される貫通溶接に対して未貫通溶接は、溶接不良を発し易く、未溶接部隙間からの水分浸入によって腐食するおそれがあり、また、重ね合わせ部を連続的に溶接しているかも外観から判断が困難である。したがって、封止部530cにおいて幅方向Yに溶接する幅方向溶接箇所W2も、溶接ビードVが表裏両面に形成される貫通溶接することが好ましい。
【0198】
また、長手方向溶接箇所W1は、重ね合せ圧着部530の長手方向Xに沿って後方から前方に向かう掃引方向Sで溶接する。また、ボックス部520と重ね合せ圧着部530との長手方向溶接箇所W1を連続して溶接を行う。詳しくは、図24(a)に示すように、バレル構成片532の構成片端部532a同士が重ね合わされた重ね合せ部分が長手方向Xに沿った長手方向溶接箇所W1となり、ファイバーレーザ溶接装置Fwから照射されたファイバーレーザビームを、構成片端部532a同士の重ね合せ部分、つまり長手方向溶接箇所W1上にフォーカスし、図24(b)に示すように、長手方向溶接箇所W1に沿って、長手方向Xの後方から前方に向かって一直線状に溶接する。
なお、ファイバーレーザ溶接装置Fwの掃引方向Sは、長手方向Xに沿う一方向であれば、後方から前方に向かう方向に限定されず、前方から後方に向かう掃引方向であってもよい。
【0199】
さらには、長手方向Xに沿う一方向であっても、図24に示すように、さまざまな掃引方法を採用することができる。
詳述すると、図24(b)に示すように、構成片端部532a同士の重ね合せ部分である長手方向溶接箇所W1上を長手方向Xに沿って掃引してもよいが(以下において基本掃引S1という)、図24(c)に示すように、長手方向溶接箇所W1からわずかに掃引軸をずらし、長手方向溶接箇所W1を挟むように二回掃引してもよい(以下において二回掃引S2という)。なお、二回掃引S2は、図24(c)に示すように、二回の掃引ともに長手方向Xの後方から前方のように一方向に掃引してもよいが、一回目の掃引後、Uターンして、二回目を逆方向に掃引してもよい。
【0200】
また、一回の掃引であっても、長手方向溶接箇所W1に対して、幅方向Yの掃引と長手方向Xの掃引とを交互に繰り返して、全体として長手方向Xに掃引する矩形掃引S3(図24(d)参照)、長手方向X及び幅方向Yに対して斜め方向のジグザグ状に掃引して、全体として長手方向Xに掃引する三角掃引S4(図24(e)参照)、あるいは、掃引方向後方側に略円状を描きながら掃引方向前方に掃引する螺旋掃引S5(図24(f)参照)であってもよい。
【0201】
このように、上述の二回掃引S2、矩形掃引S3、三角掃引S4、あるいは螺旋掃引S5は、長手方向溶接箇所W1上を掃引する基本掃引S1に対して、幅方向Yにも掃引するため、幅方向Yにおける幅を広げた溶接ビードVを形成することができる。これにより、重ね合せ部分における溶接面積が増加し、密閉性の高い確実な溶接を行うことができる。
【0202】
また、バレル構成片532の構成片端部532a同士が重ね合わされた重ね合せ部分は左右非対称断面構造であるため、圧着時に管軸方向に対して捩れるような形状となり、長手方向溶接箇所W1にせん断応力が働きやすいが、上述の二回掃引S2、矩形掃引S3、三角掃引S4、あるいは螺旋掃引S5で溶接することによって、長手方向溶接箇所W1に作用する単位面積当たりの圧着応力を軽減することができる。
【0203】
次に、上述の雌型圧着端子510を用いた圧着接続構造体501と、雄型圧着端子(図示せず)を用いた圧着接続構造体501aとを、一対のコネクタハウジングHcにそれぞれ装着した例を、図25を用いて説明する。
なお、圧着接続構造体501は、雌型圧着端子510を用いた接続構造体であり、圧着接続構造体501aは、雄型圧着端を用いた接続構造体である。
【0204】
上述の圧着接続構造体501,1aを、コネクタハウジングHcのそれぞれに装着することによって、確実な導電性を備えた雌型コネクタCaと雄型コネクタCbとを構成することができる。
【0205】
なお、以下の説明では、雌型コネクタCaと雄型コネクタCbとの両方がワイヤーハーネスH(Ha,Hb)のコネクタである例を示すが、一方をワイヤーハーネスのコネクタ、他方を基板や部品等の補機のコネクタとしてもよい。
【0206】
詳しくは、図25に示すように、雌型圧着端子510で構成した圧着接続構造体501を、雌型のコネクタハウジングHcに装着して、雌型コネクタCaを備えたワイヤーハーネス301aを構成する。
また、雄型圧着端子で構成した圧着接続構造体501aを、雄型のコネクタハウジングHcに装着して、雄型コネクタCbを備えたワイヤーハーネス301bを構成する。
【0207】
上述のように構成した雌型コネクタCaと雄型コネクタCbとを嵌合することによって、ワイヤーハーネス301aとワイヤーハーネス301bとを接続することができる。
つまり、コネクタハウジングHcに圧着接続構造体501の雌型圧着端子510を装着したコネクタC(Ca、Cb)は、確実な導電性を備えたワイヤーハーネス301の接続を実現することができる。
【0208】
また、上述の圧着接続構造体501の雌型圧着端子510と、圧着接続構造体501aの雄型圧着端子は、被覆電線200におけるアルミニウム芯線201の導体先端部201aが突合せ重ね合せ圧着部530によって一体的に覆われており、外部に露出しない封止構造を備えている。
【0209】
このため、コネクタハウジングHcの内部において外気に曝されても、電食によって導電性が低下することなく、圧着部530の内部におけるアルミニウム芯線201と雌型圧着端子510との電気的接続状態を維持することができ、確実な導電性を備えた接続状態を確保することができる。
【0210】
このように、被覆電線200のアルミニウム芯線201に対する圧着接続を許容する雌型圧着端子510の重ね合せ圧着部530を、断面中空形状となるように、板材を幅方向に曲げるとともに、板材の幅方向における構成片端部532a同士を重ね合せし、構成片端部532a同士を重ね合せした長手方向Xの重ね合せ箇所を長手方向Xに溶接し、長手方向Xに溶接した重ね合せ箇所のうち、アルミニウム芯線201に対する圧着接続のために圧着変形する電線圧着範囲530bの表裏両側に溶接による溶接ビードV(Va,Vb)を形成したことを特徴とする。
【0211】
この発明により、重ね合せ圧着部530でアルミニウム芯線201を確実に圧着して、安定した導電性が得ることができる雌型圧着端子510を構成できる。
詳述すると、電線圧着範囲530bの表裏両側に溶接による溶接ビードV(Va,Vb)が形成されるということは、長手方向溶接箇所W1の表裏方向における断面が連続的に溶接されていることとなる。したがって、断面中空形状となるように、板材を幅方向に曲げるとともに、その構成片端部532a同士を長手方向Xに溶接した重ね合せ圧着部530の長手方向溶接箇所W1は、重ね合せ圧着部530でアルミニウム芯線201を圧着する圧着力に対する十分な耐力を有し、圧着変形によって破断することがない。よって、重ね合せ圧着部530で確実に被覆電線200のアルミニウム芯線201を圧着し、安定した導電性が得られる。つまり、安定した電気的接続状態を確保することができる。
【0212】
また、表裏両側に形成される溶接ビードV(Va,Vb)を、貫通溶接によって形成することにより、長手方向溶接箇所W1の表裏方向における断面全域において溶接されるため、重ね合せ圧着部530でアルミニウム芯線201を圧着する圧着力に対して、より十分な耐力を有するとともに、応力集中しない長手方向溶接箇所W1を構成することができる。
【0213】
詳述すると、長手方向溶接箇所W1の断面において、図23(c)に示すように、溶接された箇所を母材とが存在する未貫通溶接の場合は、表裏方向において、溶接部と母材との硬度差、圧着に対する曲げ加工性等に局所的な差異が生じるため、圧着力が付加された際に溶接部分に応力が付加し、破断し易い状態となってしまうが、貫通溶接によって、表裏方向に連続的な長手方向溶接箇所W1が形成されるため、破断しにくく、十分な耐力を有する長手方向溶接箇所W1を形成することができる。
よって、重ね合せ圧着部530でより確実に被覆電線200のアルミニウム芯線201を圧着し、より安定した導電性が得られる。
【0214】
また、断面中空形状における長手方向Xの前方側を封止して封止部530cを形成するとともに、幅方向Yに溶接して幅方向溶接箇所W2を形成することにより、アルミニウム芯線201が挿入された重ね合せ圧着部530を圧着するだけで、被覆電線200のアルミニウム芯線201や、アルミニウム芯線201を重ね合せ圧着部530の外部に露出することがなく、止水性のある包み込んだ状態に圧着することができる。
【0215】
詳しくは、アルミニウム芯線201を圧着するために重ね合せ圧着部530を圧着変形させても、長手方向Xに溶接した長手方向溶接箇所W1のうち、少なくとも、アルミニウム芯線201に対する圧着接続のために圧着変形する電線圧着範囲530bの表裏両側に溶接による溶接ビードV(Va,Vb)が形成され、圧着変形によって溶接が破断せず、また記断面中空形状における長手方向Xの前方側を、封止する封止形状とするとともに、封止する封止形状に形成した長手方向Xの前方側において、長手方向Xに対して交差する方向に溶接するため、断面中空形状の重ね合せ圧着部530へアルミニウム芯線201を挿入する挿入箇所以外が封止されおり、重ね合せ圧着部530内のアルミニウム芯線201が外気に曝されることがなく内部に水分が浸入することを防止し、劣化や経年変化が起きることを抑制でき、アルミニウム芯線201に腐食が発生することがなく、その腐食を原因とする電気抵抗の上昇も防止できるので、安定した導電性が得られる。
【0216】
また、予め、断面中空形状における長手方向Xの前方側を、封止する封止形状とするとともに、封止する封止形状に形成した長手方向Xの前方側において、長手方向Xに対して交差する方向に溶接して封止部530cを形成するため、断面中空形状の重ね合せ圧着部530へアルミニウム芯線201を挿入する挿入箇所以外が封止されおり、アルミニウム芯線201が挿入された重ね合せ圧着部530を圧着するだけで、被覆電線200のアルミニウム芯線201や、アルミニウム芯線201を重ね合せ圧着部530の外部に露出することがなく、止水性のある包み込んだ状態に圧着することができる。したがって、止水性を確保するために、アルミニウム芯線201に別部品で構成するキャップ等を用いることなく、確実に、重ね合せ圧着部530に圧着されたアルミニウム芯線201が外気に曝されることがない。
【0217】
また、長手方向Xの長手方向溶接箇所W1と、幅方向Yの幅方向溶接箇所W2とを略同一平面上に設定することにより、例えばファイバーレーザ溶接装置Fwを容易に移動させて、確実に溶接することができる。詳しくは、ファイバーレーザ溶接装置Fwと、長手方向溶接箇所W1及び幅方向溶接箇所W2との距離が一定となるため、安定した溶接状態で溶接することができ、確実に溶接することができる。
【0218】
また、溶接を、高エネルギー密度ビームとして、ファイバーレーザビームを用いて行うことにより、アスペクト比の高い高精度な溶接を行うことができる。したがって、端子材料の変形の少ない溶接状態を実現することができる。
【0219】
詳しくは、高エネルギー密度ビームを、ファイバーレーザビームで構成することにより、高出力密度の溶接を行うことができる。詳しくは、ファイバーレーザは集光性が高く、平均出力密度が高い。したがって、確実な溶接状態を効率よく行うことができる。
【0220】
また、雌型圧着端子510を、表面がSnメッキされた銅合金条で構成しているため、表面のSnメッキがファイバーレーザ溶接を行う際の吸光材の役割を果たし、レーザビームの吸収が増加し、効率よく溶接することができる。
【0221】
また、上述の雌型圧着端子510における重ね合せ圧着部530によって、被覆電線200と雌型圧着端子510とを接続した圧着接続構造体501は、雌型圧着端子510の重ね合せ圧着部530により囲繞して圧着するだけで確実な止水性を確保できる。したがって、安定した導電性を確保することができる。
【0222】
なお、アルミ系材料で構成するアルミニウム芯線201を用いるため、銅系材料で構成した被覆電線に比べて軽量化できるとともに、上述した確実な止水性により、いわゆる電食を防止し、十分な導電機能を確保することができる。
【0223】
さらにまた、圧着接続構造体501における雌型圧着端子510をコネクタハウジングHc内に配置したコネクタCでは、安定した導電性を確保したまま雌型圧着端子510を接続することができる。
【0224】
詳述すると、例えば、雌型のコネクタCと雄型のコネクタCを互いに嵌合して、各コネクタCのコネクタハウジングHc内に配置した雌型圧着端子510を互いに接続する際、止水性を確保したまま各コネクタCの雌型圧着端子510を互いに接続することができる。この結果、確実な導電性を備えた接続状態を確保することができる。
【0225】
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の導体部分は、アルミニウム芯線201に対応し、
以下同様に、
圧着部は、重ね合せ圧着部530に対応し、
圧着端子は、雌型圧着端子510に対応し、
端部は、構成片端部532aに対応し、
重ね合せ箇所及び長手方向の溶接箇所は、長手方向溶接箇所W1に対応し、
長手方向に交差する方向は、幅方向Yに対応し、
圧着変形する箇所は、電線圧着範囲530bに対応し、
交差する方向の溶接箇所は、幅方向溶接箇所W2に対応し、
接続構造体は、圧着接続構造体501に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0226】
なお、上述の説明では、ボックス部520、トランジション部540及び重ね合せ圧着部530がこの順で配置された雌型圧着端子510について説明したが、重ね合せ圧着部530のみで構成する圧着端子であってもよい。
また、ファイバーレーザ溶接装置Fwからファイバーレーザビームを照射するファイバーレーザ溶接を行ったが、電子ビームを照射して溶接してもよい。
【0227】
さらには、図20(d)に示すように、円筒状の重ね合せ圧着部530にアルミニウム芯線201を挿入してから、圧着する際に、重ね合せ圧着部530の前方を封止形状に形成して封止部530cを形成してもよい。また、幅方向溶接箇所W2を溶接して封止部530cを構成のみならず、幅方向溶接箇所W2を溶接せず、重ね合せ圧着部530の前方を封止形状に形成するのみ、あるいは封止部530cの内部に樹脂等の封止材を介在させて封止してもよい。
【0228】
また、図26に示すように、重ね合せ箇所を構成する板材の構成片端部532aを、板材の他の部分の厚みより薄い薄肉で構成するとともに、重ね合せ箇所を、板材の他の部分の厚みより厚く構成することにより、重ね合せた厚みが厚すぎて十分に溶接できないというおそれを低減し、確実に溶接して、止水性を確保することができるとともに、長手方向溶接箇所W1が十分な強度を有するため、例えば、アルミニウム芯線201の圧着などによって長手方向溶接箇所W1が変形しても十分な溶接強度、すなわち十分な止水性を確保することができる。
【0229】
さらにまた、上述の説明では、図21に示すように、端子形状に打ち抜いた銅合金条を丸めるとともに、端部532a同士を突き合わせて長手方向Xの溶接個所W1に沿って溶接して後方視略O型に形成してから、長手方向Xの前端部分をつぶすとともに、幅方向Yの溶接個所W2に沿って溶接して封止して、長手方向Xの前端が封止部530cで封止させ、長手方向Xの後方に開口を有する略筒状のバレル部530を形成したが、バレル部530における別の溶接方法について説明する説明図である図27に示すように、バレル部130の形状を形成してから、溶接個所を溶接してバレル部130を形成してもよい。
【0230】
詳述すると、図27(a)に示すように、端子形状に打ち抜いた銅合金条を丸めるとともに、長手方向Xの前端部分をつぶして、封止部133を含むバレル部130の形状にあらかじめ形成する。
【0231】
そして、丸めて突き合わさる端部130a同士を長手方向Xの溶接個所W3に沿って溶接するとともに、封止部133において幅方向Yの溶接個所W4に沿って溶接して封止してバレル部130を完成させる。
【0232】
また、図21に示すように、バレル部530の底面側で端部532a同士を突き合わせて溶接してもよいし、図27(a),(b)に示すように、バレル部130上面側で端部130a同士を突き合わせて溶接してもよい。
【0233】
さらには、図27(c)に示すように、圧着状態において、バレル部130の被覆圧着部131を、被覆電線200の絶縁被覆202に対して正面視円形状に圧着し、芯線圧着部132を、アルミニウム芯線に対して正面視略U字状に圧着してもよい。
【0234】
また、圧着端子100は、図27に示すように、帯状のキャリアKに取り付けられたままの状態でバレル部130を溶接してから、被覆電線200を圧着接続する際、あるいは被覆電線200を圧着接続した後、キャリアKから分離してもよいが、キャリアKから分離された状態で圧着端子100を形成し、被覆電線200を圧着接続してもよい。
【0235】
本実施形態では、雌型圧着端子10の圧着部30を、アルミニウムやアルミニウム合金等の卑な金属からなるアルミニウム芯線201に圧着接続する例を説明したが、その卑な金属以外に、例えば、銅や銅合金等の貴な金属からなる導体部分に圧着接続してもよく、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0236】
詳しくは、上述の構成の圧着部30は、圧着状態において、水の浸入を防止できるため、例えば、これまで線間止水のために圧着後にシールなどが必要であった銅や銅合金等の芯線で構成する被覆電線を接続してもよい。
【0237】
(第4実施形態)
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図28は被覆電線200を圧着接続する突合せ圧着部630を有する雌型圧着端子610についての説明図を示し、図29は突合せ圧着部630における突合せ溶接について説明する説明図を示し、図30は突合せ溶接状況の斜視図を示している。
【0238】
また、図31は突合せ圧着部630を構成するバレル構成片632の対向端部632aについての説明図を示し、図32は突合せ溶接における掃引方法についての説明図を示している。
【0239】
なお、図28(a)は幅方向中央で分断した雌型圧着端子610の縦断斜視図、図28(b)は雌型圧着端子610と被覆電線200の圧着前の斜視図、図28(c)は突合せ圧着部630で被覆電線200を圧着した圧着状態である圧着接続構造体601の斜視図、図28(d)は封止部630cを形成していない雌型圧着端子610と被覆電線200の圧着前の斜視図を示している。
【0240】
図29(a)は、ボックス部620を透過状態とした雌型圧着端子610の底面側の概略斜視図を示し、図29(b)は図29(a)におけるa部拡大図を示している。
図31(a)は突合せ溶接が完了した突合せ圧着部630の断面図を示し、図31(b)は突合せ溶接が完了した突合せ圧着部630における長手方向溶接箇所W1の拡大断面図を示し、図31(c)は突合せ溶接が不完全な長手方向溶接箇所W1の拡大断面図を示している。
【0241】
また、図32(a)は突合せ溶接する突合せ圧着部630における長手方向溶接箇所W1の拡大平面図を示し、図32(b)は長手方向溶接箇所W1に対する突合せ溶接における一回掃引についての拡大平面図を示し、図32(c)は長手方向溶接箇所W1に対する突合せ溶接における二回掃引についての拡大平面図を示し、図32(d)は長手方向溶接箇所W1に対する突合せ溶接における矩形掃引についての拡大平面図を示し、図32(e)は長手方向溶接箇所W1に対する突合せ溶接における三角掃引についての拡大平面図を示し、図32(f)は長手方向溶接箇所W1に対する突合せ溶接における螺旋掃引についての拡大平面図を示している。
【0242】
本実施形態の圧着接続構造体601は、被覆電線200を雌型圧着端子610に接続して構成している。つまり、被覆電線200における絶縁被覆202の被覆先端202aより露出するアルミニウム芯線201の電線露出部6201aを、雌型圧着端子610の突合せ圧着部630に圧着接続している。
【0243】
雌型圧着端子610に圧着接続する被覆電線200は、アルミニウム素線を束ねたアルミニウム芯線201を、絶縁樹脂で構成する絶縁被覆202で被覆して構成している。詳しくは、アルミニウム芯線201は、断面が0.75mmとなるように、アルミニウム合金線を撚って構成している。
【0244】
以下において、雌型圧着端子610について詳述する。
雌型圧着端子610は、長手方向Xの先端側である前方から後方に向かって、図示省略する雄型端子における挿入タブの挿入を許容するボックス部620と、ボックス部620の後方で、所定の長さのトランジション部640を介して配置された突合せ圧着部630とを一体に構成している。
【0245】
なお、本実施形態では、上述したように、ボックス部620と突合せ圧着部630で構成する雌型圧着端子610としたが、突合せ圧着部630を有する圧着端子であれば、上述の雌型圧着端子610におけるボックス部620に挿入接続する挿入タブと突合せ圧着部630とで構成する雄型圧着端子でもよく、また、突合せ圧着部630のみで構成し、複数本の被覆電線200のアルミニウム芯線201を束ねて接続するための圧着端子であってもよい。
【0246】
また、長手方向Xとは、図28に示すように、突合せ圧着部630を圧着して接続する被覆電線200の長手方向と一致する方向であり、幅方向Yは長手方向Xに対して略水平な平面方向において交差する方向である。また、突合せ圧着部630に対するボックス部620の側を前方とし、逆に、ボックス部620に対する突合せ圧着部630の側を後方としている。
【0247】
また、雌型圧着端子610は、表面が錫メッキ(Snメッキ)された、0.1〜0.6mmの板厚の黄銅等の銅合金条(図示せず)を、平面展開した端子形状に打ち抜いた後、中空四角柱体のボックス部620と後方視略O型の突合せ圧着部630とからなる立体的な端子形状に曲げ加工するとともに、突合せ圧着部630の長手方向溶接箇所W1を溶接して構成したクローズバレル形式の端子である。なお、本実施形態においては、0.25mmの板厚の銅合金条の表面を錫メッキ(Snメッキ)して用い、突合せ圧着部630は内径φ3mmの筒状に構成している。
【0248】
ボックス部620は、倒位の中空四角柱体で構成され、内部に、長手方向Xの後方に向かって折り曲げられ、挿入される雄型コネクタの挿入タブ(図示省略)に接触する弾性接触片621を備えている。
【0249】
また、中空四角柱体であるボックス部620は、底面部622の長手方向Xと直交する幅方向Yの両側部に連設された側面部623を折り曲げて、長手方向Xの先端側から見て略矩形状に構成している。
【0250】
圧着前の突合せ圧着部630は、図28(a)に示すように、圧着底面31及び圧着底面31の幅方向Yの両側に延出したバレル構成片632を丸めて対向端部632a同士を突合せし、溶接して後方視略O型に形成している。
【0251】
なお、バレル構成片632の長手方向長さは、絶縁被覆202の長手方向X前方側の先端である被覆先端202aから、長手方向Xの前方で露出する電線露出部201aの長手方向Xの露出長さより長く形成している。
【0252】
突合せ圧着部630は、絶縁被覆202を圧着する被覆圧着範囲630aと、アルミニウム芯線201の電線露出部201aを圧着する電線圧着範囲630bとを一体で構成するとともに、電線圧着範囲630bより前方端部を略平板状に押しつぶすように変形させ、幅方向Yに溶接して封止部630c(図29参照)を構成している。
【0253】
このように構成された突合せ圧着部630を形成する溶接について、図30とともに説明する。
上述したように、圧着底面31及びバレル構成片632を丸めてバレル構成片632の対向端部632a同士を突合せし、溶接して後方視略O型に形成する突合せ圧着部630は、図30に示すように、バレル構成片632の対向端部632a同士を突合せた長手方向Xの長手方向溶接箇所W1と、封止部630cにおいて突合せ圧着部630の前方を完全に封止する幅方向Yの幅方向溶接箇所W2を溶接して突合せ圧着部630を構成している。
【0254】
詳しくは、突合せ圧着部630の圧着底面31及びバレル構成片632を、対向端部632a同士が底面側で突き合わさるようにして丸めて円筒状に構成するとともに、円筒状の前方部分を上面側から底面側に押し付けて略平板状となるように変形させる。そして、円筒状の対向端部632a同士を突合せた長手方向Xの長手方向溶接箇所W1を溶接し(図29(a)参照)、その後、幅方向Yの幅方向溶接箇所W2を溶接して突合せ圧着部630を完成する。
このとき、長手方向溶接箇所W1及び幅方向溶接箇所W2は、図30に示す仮想平面Pにおける同一平面上となるように配置されているため、単一焦点のレーザ溶接で溶接することができる。
【0255】
長手方向溶接箇所W1及び幅方向溶接箇所W2の溶接は、ファイバーレーザ溶接装置Fwでファイバーレーザ溶接にて行う。ファイバーレーザ溶接は、約1.06〜1.08μmの波長のファイバーレーザビームを用いた溶接である。ファイバーレーザビームは、理想的なガウスビームであり、回折限界まで集光可能である、つまりファイバーレーザは高い集光性を有しているため、YAGレーザやCOレーザでは困難であった30μm以下の集光スポット径を構成することができる。したがって、エネルギー密度の高い溶接を容易に実現することができる。
【0256】
なお、本実施形態において、約1.08μmの波長のファイバーレーザビームを集光スポット径が20μmとなるようにフォーカスすることにより、出力密度が380MW/cmとなるファイバーレーザ溶接を、90〜300mm/secの掃引速度で行っている。
また、上記出力密度や掃引速度は上記値に限定されないが、例えば、出力密度と掃引速度とは密接に関係しており、例えば、出力密度を上げると、掃引速度も上げることができる。
【0257】
また、ファイバーレーザ溶接におけるファイバーレーザビームの発振形態としては、連続発振する連続発振レーザ(以下において、CWレーザという)、パルス発振するパルス発振レーザ、あるいは、連続発振するCWレーザをパルス制御するレーザとがあり、いずれの発振形態で溶接してもよいが、封止性の高いCWレーザで溶接することがより好ましい。
【0258】
このようなファイバーレーザビームを用いた長手方向溶接箇所W1及び幅方向溶接箇所W2の溶接は、図31(a)に示すように、突合せ圧着部630を構成するバレル構成片632を貫通する貫通溶接を行うことにより、突合せ圧着部630における溶接箇所W(W1,W2)の表裏両面に溶接による溶接ビードV(Va,Vb)が形成される。
【0259】
なお、長手方向溶接箇所W1の表裏両面に形成される溶接ビードVは、少なくとも、突合せ圧着部630でアルミニウム芯線201を圧着接続するために、圧着変形する電線圧着範囲630bに形成すればよいが、もちろん被覆圧着範囲630aや封止部630cに形成されてもよい。
【0260】
さらには、封止部630cにおける幅方向溶接箇所W2は、圧着後にレーザ溶接をしており、圧着応力に耐える必要がなく、未貫通溶接でも封止部630cにおける重ね合わせ部分が連続的に溶接していれば密閉性が満たされるため、貫通溶接である必要が必ずしもあるわけではない。しかし、溶接箇所の表裏両面に溶接ビードVが形成される貫通溶接に対して未貫通溶接は、溶接不良を発し易く、未溶接部隙間からの水分浸入によって腐食するおそれがあり、また、封止部630cにおける重ね合わせ部分を連続的に溶接しているかも外観から判断が困難である。したがって、封止部630cにおいて幅方向Yに溶接する幅方向溶接箇所W2も、溶接ビードVが表裏両面に形成される貫通溶接することが好ましい。
【0261】
また、長手方向溶接箇所W1は、突合せ圧着部630の長手方向Xに沿って後方から前方に向かう掃引方向Sで溶接する。また、ボックス部620と突合せ圧着部630との長手方向溶接箇所W1を連続して溶接を行う。詳しくは、図32(a)に示すように、バレル構成片632の対向端部632a同士が突き合わされた突合せ部分が長手方向Xに沿った長手方向溶接箇所W1となり、ファイバーレーザ溶接装置Fwから照射されたファイバーレーザビームを、対向端部632a同士の突合せ部分にフォーカスし、図32(b)に示すように、長手方向溶接箇所W1に沿って、長手方向Xの後方から前方に向かって一直線状に溶接する。
なお、ファイバーレーザ溶接装置Fwの掃引方向Sは、長手方向Xに沿う一方向であれば、後方から前方に向かう方向に限定されず、前方から後方に向かう掃引方向であってもよい。
【0262】
さらには、長手方向Xに沿う一方向であっても、図32に示すように、さまざまな掃引方法を採用することができる。
詳述すると、図32(b)に示すように、対向端部632a同士の突合せ部分上、つまり長手方向溶接箇所W1上を長手方向Xに沿って掃引してもよいが(以下において基本掃引S1という)、図32(c)に示すように、長手方向溶接箇所W1からわずかに掃引軸をずらし、長手方向溶接箇所W1を挟むように二回掃引してもよい(以下において二回掃引S2という)。なお、二回掃引S2は、図32(c)に示すように、二回の掃引ともに長手方向Xの後方から前方のように一方向に掃引してもよいが、一回目の掃引後、Uターンして、二回目を逆方向に掃引してもよい。
【0263】
また、一回の掃引であっても、長手方向溶接箇所W1に対して、幅方向Yの掃引と長手方向Xの掃引とを交互に繰り返して、全体として長手方向Xに掃引する矩形掃引S3(図32(d)参照)、長手方向X及び幅方向Yに対して斜め方向のジグザグ状に掃引して、全体として長手方向Xに掃引する三角掃引S4(図32(e)参照)、あるいは、掃引方向後方側に略円状を描きながら掃引方向前方に掃引する螺旋掃引S5(図32(f)参照)であってもよい。
【0264】
このように、上述の二回掃引S2、矩形掃引S3、三角掃引S4、あるいは螺旋掃引S5は、長手方向溶接箇所W1上を掃引する基本掃引S1に対して、幅方向Yにも掃引するため、幅方向Yにおける幅を広げた溶接ビードVを形成することができる。これにより、例えば、長手方向Xに対して突合せ部分が幅方向Yに振れるような誤差がある場合であっても、幅方向Yの所定幅を有する溶接ビードVを形成できるため、確実に長手方向溶接箇所W1を溶接し密閉した状態を構成することができる。
【0265】
次に、重ね合せ圧着部730を有する雌型圧着端子710、及び雌型圧着端子710を用いた圧着接続構造体701aについて、図33乃至図38とともに説明する。
図33は被覆電線200を圧着接続する重ね合せ圧着部730を有する雌型圧着端子710についての説明図を示し、図34は重ね合せ圧着部730における重ね合せ溶接について説明する説明図を示している。
【0266】
また、図35は重ね合せ溶接状況の斜視図を示し、図36は重ね合せ圧着部730を構成するバレル構成片732の構成片端部732aについての説明図を示し、図37は重ね合せ溶接における掃引方法についての説明図を示している。
【0267】
なお、図33(a)は幅方向中央で分断した雌型圧着端子710の縦断斜視図、図33(b)は雌型圧着端子710と被覆電線200の圧着前の斜視図、図33(c)は重ね合せ圧着部730で被覆電線200を圧着した圧着状態である圧着接続構造体601の斜視図、図33(d)は封止部630cを形成していない雌型圧着端子710と被覆電線200の圧着前の斜視図を示している。
【0268】
図34(a)は、ボックス部620を透過状態とした雌型圧着端子710の底面側の概略斜視図を示し、図34(b)は図34(a)におけるa部拡大図を示し、図34(c)は図34(b)におけるA−A線断面図による溶接状況による説明図を示している。
【0269】
図36(a)は重ね合せ溶接が完了した重ね合せ圧着部730の断面図を示し、図36(b)は重ね合せ溶接が完了した重ね合せ圧着部730における長手方向溶接箇所W1aの拡大断面図を示し、図36(c)は重ね合せ溶接が不完全な長手方向溶接箇所W1aの拡大断面図を示している。
【0270】
また、図37(a)は重ね合せ溶接する重ね合せ圧着部730における長手方向溶接箇所W1aの拡大平面図を示し、図37(b)は長手方向溶接箇所W1aに対する重ね合せ溶接における一回掃引についての拡大平面図を示し、図37(c)は長手方向溶接箇所W1aに対する重ね合せ溶接における二回掃引についての拡大平面図を示し、図37(d)は長手方向溶接箇所W1aに対する重ね合せ溶接における矩形掃引についての拡大平面図を示し、図37(e)は長手方向溶接箇所W1aに対する重ね合せ溶接における三角掃引についての拡大平面図を示し、図37(f)は長手方向溶接箇所W1aに対する重ね合せ溶接における螺旋掃引についての拡大平面図を示している。
【0271】
なお、以下の説明では、本実施形態において、上述の実施形態と同じ構成については、同じ符号を用いて、詳細な説明を省略する。
本実施形態の圧着接続構造体701aは、上述の圧着接続構造体601と同様に、被覆電線200を雌型圧着端子710に接続して構成している。つまり、被覆電線200における絶縁被覆202の被覆先端202aより露出するアルミニウム芯線201の電線露出部201aを、雌型圧着端子710の重ね合せ圧着部730に圧着接続している。
【0272】
雌型圧着端子710は、長手方向Xの先端側である前方から後方に向かって、ボックス部620と、トランジション部640を介して配置された重ね合せ圧着部730とを一体に構成している。
【0273】
なお、本実施形態でも、雌型圧着端子710で構成したが、重ね合せ圧着部730を有する圧着端子であれば、上述の雌型圧着端子610と同様に、雄型圧着端子でもよく、重ね合せ圧着部730のみで構成してもよい。
【0274】
また、雌型圧着端子710も、上述の雌型圧着端子610と同様に、表面が錫メッキ(Snメッキ)された、0.4mm以下の板厚の黄銅等の銅合金条(図示せず)を、平面展開した端子形状に打ち抜いた後、中空四角柱体のボックス部620と後方視略O型の重ね合せ圧着部730とからなる立体的な端子形状に曲げ加工するとともに、重ね合せ圧着部730を溶接して構成したクローズバレル形式の端子である。なお、本実施形態においても、雌型圧着端子610と同様に0.25mmの板厚の銅合金条の表面を錫メッキ(Snメッキ)して用い、重ね合せ圧着部730は内径φ3mmの筒状に構成している。
【0275】
圧着前の重ね合せ圧着部730は、図33(b)に示すように、圧着底面731及び圧着底面731の幅方向Yの両側に延出したバレル構成片732を丸めて構成片端部732a同士を重ね合せし、溶接して後方視略O型に形成している。
【0276】
なお、バレル構成片732の長手方向長さは、絶縁被覆202の長手方向X前方側の先端である被覆先端202aから、長手方向Xの前方で露出する電線露出部201aの長手方向Xの露出長さより長く形成している。
【0277】
重ね合せ圧着部730は、絶縁被覆202を圧着する被覆圧着範囲730aと、アルミニウム芯線201の電線露出部201aを圧着する電線圧着範囲730bとを一体で構成するとともに、電線圧着範囲730bより前方端部を略平板状に押しつぶすように変形させ、幅方向Yに溶接して封止部730c(図34参照)を構成している。
【0278】
このように構成された重ね合せ圧着部730を形成する溶接について、図35とともに説明する。
上述したように、圧着底面731及びバレル構成片732を丸めてバレル構成片732の構成片端部732a同士を重ね合せし、溶接して後方視略O型に形成する重ね合せ圧着部730は、図35に示すように、バレル構成片732の構成片端部732a同士を重ね合せた長手方向Xの長手方向溶接箇所W1aと、封止部730cにおいて重ね合せ圧着部730の前方を完全に封止する幅方向Yの幅方向溶接箇所W2aを溶接して重ね合せ圧着部730を構成している。
【0279】
詳しくは、重ね合せ圧着部730の圧着底面731及びバレル構成片732を、構成片端部732a同士が底面側で重なり合うようにして丸めて円筒状に構成するとともに、円筒状の前方部分を上面側から底面側に押し付けて略平板状となるように変形させる。そして、円筒状の構成片端部732a同士を重ね合せた長手方向Xの長手方向溶接箇所W1aを溶接し(図34(a)参照)、その後、幅方向Yの幅方向溶接箇所W2aを溶接して重ね合せ圧着部730を完成する。
このとき、長手方向溶接箇所W1a及び幅方向溶接箇所W2aは、図35に示す仮想平面Pにおける同一平面上となるように配置されているため、単一焦点のレーザ溶接で溶接することができる。
【0280】
長手方向溶接箇所W1a及び幅方向溶接箇所W2aの溶接は、ァイバーレーザ溶接装置Fwにより、約1.08μmの波長のファイバーレーザビームを集光スポット径が20μmとなるようにフォーカスすることにより、出力密度が240MW/cmとなるファイバーレーザ溶接を、100〜400mm/secの掃引速度で行っている。
【0281】
なお、本実施形態におけるレーザビームの諸言等は、上述の雌型圧着端子610を溶接する際のレーザビームの諸言と同様であり、発振形態も同様である。さらに、本実施形態におけるファイバーレーザ溶接でも、貫通溶接して、重ね合せ圧着部730における溶接箇所Wa(W1a,W2a)の表裏両面に溶接による溶接ビードV(Va,Vb)を形成している。
【0282】
なお、長手方向溶接箇所W1aの表裏両面に形成される溶接ビードVは、少なくとも、重ね合せ圧着部730でアルミニウム芯線201を圧着接続するために、圧着変形する電線圧着範囲730bに形成すればよいが、もちろん被覆圧着範囲730aや封止部730cに形成されてもよい。
【0283】
さらには、封止部730cにおける幅方向溶接箇所W2aは、圧着後にレーザ溶接をしており、圧着応力に耐える必要がなく、未貫通溶接でも封止部730cにおける重ね合わせ部分が連続的に溶接していれば密閉性が満たされるため、貫通溶接である必要が必ずしもあるわけではない。しかし、溶接箇所の表裏両面に溶接ビードVが形成される貫通溶接に対して未貫通溶接は、溶接不良を発し易く、未溶接部隙間からの水分浸入によって腐食するおそれがあり、また、封止部730cにおける重ね合わせ部分を連続的に溶接しているかも外観から判断が困難である。したがって、封止部730cにおいて幅方向Yに溶接する幅方向溶接箇所W2も、溶接ビードVが表裏両面に形成される貫通溶接することが好ましい。
【0284】
また、本実施形態における掃引方向S及び掃引方法も、図37(a)乃至(f)に示すように同様であり、詳しくは、基本掃引S1、二回掃引S2、矩形掃引S3、三角掃引S4、螺旋掃引S5であってもよい。
【0285】
このように、上述の二回掃引S2、矩形掃引S3、三角掃引S4、あるいは螺旋掃引S5は、長手方向溶接箇所W1a上を掃引する基本掃引S1に対して、幅方向Yにも掃引するため、幅方向Yにおける幅を広げた溶接ビードVを形成することができる。これにより、バレル構成片732の構成片端部732a同士を重ね合わせた重ね合せ部分における溶接面積が増加し、密閉性の高い確実な溶接を行うことができる。
【0286】
また、バレル構成片732の構成片端部732a同士が重ね合わされた重ね合せ部分は左右非対称断面構造であるため、圧着時に管軸方向に対して捩れるような形状となり、長手方向溶接箇所W1aにせん断応力が働きやすいが、上述の二回掃引S2、矩形掃引S3、三角掃引S4、あるいは螺旋掃引S5で溶接することによって、長手方向溶接箇所W1aに作用する単位面積当たりの圧着応力を軽減することができる。
【0287】
次に、上述の雌型圧着端子610(710)を用いた圧着接続構造体601(701a)と、雄型圧着端子(図示せず)を用いた圧着接続構造体701bとを、一対のコネクタハウジングHcにそれぞれ装着した例を、図38を用いて説明する。
なお、圧着接続構造体601(701a)は、雌型圧着端子610(710)を用いた接続構造体であり、圧着接続構造体701bは、雄型圧着端を用いた接続構造体である。
【0288】
上述の圧着接続構造体601(701a,701b)を、コネクタハウジングHcのそれぞれに装着することによって、確実な導電性を備えた雌型コネクタCaと雄型コネクタCbとを構成することができる。
【0289】
なお、以下の説明では、雌型コネクタCaと雄型コネクタCbとの両方がワイヤーハーネスH(Ha,Hb)のコネクタである例を示すが、一方をワイヤーハーネスのコネクタ、他方を基板や部品等の補機のコネクタとしてもよい。
【0290】
詳しくは、図38に示すように、雌型圧着端子610(710)で構成した圧着接続構造体601(701a)を、雌型のコネクタハウジングHcに装着して、雌型コネクタCaを備えたワイヤーハーネス301aを構成する。
また、雄型圧着端子で構成した圧着接続構造体701bを、雄型のコネクタハウジングHcに装着して、雄型コネクタCbを備えたワイヤーハーネス301bを構成する。
【0291】
上述のように構成した雌型コネクタCaと雄型コネクタCbとを嵌合することによって、ワイヤーハーネス301aとワイヤーハーネス301bとを接続することができる。
つまり、コネクタハウジングHcに圧着接続構造体601(701a)の雌型圧着端子610(710)を装着したコネクタC(Ca、Cb)は、確実な導電性を備えたワイヤーハーネス301の接続を実現することができる。
【0292】
また、上述の圧着接続構造体601(701a)の雌型圧着端子610(710)と、圧着接続構造体の雄型圧着端子は、被覆電線200におけるアルミニウム芯線201の導体先端部201aが突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)によって一体的に覆われており、外部に露出しない封止構造を備えている。
【0293】
このため、コネクタハウジングHcの内部において外気に曝されても、電食によって導電性が低下することなく、突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)の内部におけるアルミニウム芯線201と雌型圧着端子610(710)との電気的接続状態を維持することができ、確実な導電性を備えた接続状態を確保することができる。
【0294】
このように、被覆電線200のアルミニウム芯線201に対する圧着接続を許容する突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)を少なくとも備える雌型圧着端子610(710)の製造方法として、板材を曲げて断面中空形状を構成するとともに、断面中空形状を構成する板材の対向端部632a(732a)を長手方向Xに溶接して、長手方向溶接箇所W1(W1a)のうち、少なくとも、アルミニウム芯線201に対する圧着接続のために圧着変形する電線圧着範囲630b(730b)の表裏両側に溶接による溶接ビードV(Va,Vb)が形成された突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)を構成し、長手方向Xの溶接を、長手方向Xの後方側から前方側に向かう掃引方向Sとしたことにより、突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)でアルミニウム芯線201を確実に圧着して、安定した導電性が得ることができる雌型圧着端子610(710)を構成できる。
【0295】
詳述すると、電線圧着範囲630b(730b)の表裏両側に溶接による溶接ビードV(Va,Vb)が形成されるということは、溶接箇所の表裏方向における断面の少なくとも大部分が溶接されていることとなる。したがって、断面中空形状となるように、板材を幅方向に曲げるとともに、その対向端部632a(732a)同士を長手方向Xに溶接した突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)の溶接箇所は、突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)でアルミニウム芯線201を圧着する圧着力に対する十分な耐力を有し、圧着変形によって破断することがない。よって、突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)で確実に被覆電線200のアルミニウム芯線201を圧着し、安定した導電性が得られる。つまり、安定した電気的接続状態を確保することができる。
【0296】
また、表裏両側に形成される溶接ビードV(Va,Vb)を、貫通溶接によって形成することにより、溶接箇所の表裏方向における断面全域において溶接されるため、突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)でアルミニウム芯線201を圧着する圧着力に対して、より十分な耐力を有するとともに、割れの起点のない長手方向溶接箇所W1あるいは、応力集中しない長手方向溶接箇所W1aを構成することができる。
【0297】
詳述すると、長手方向溶接箇所W1(W1a)の断面において、溶接された箇所を母材とが存在する未貫通溶接の場合は、表裏方向において、溶接部と母材との硬度差、圧着に対する曲げ加工性等に局所的な差異が生じるため、圧着力が付加された際に溶接部分に応力が付加し、破断し易い状態となってしまうが、貫通溶接によって、表裏方向に連続的な長手方向溶接箇所W1(W1a)が形成されるため、破断しにくく、十分な耐力を有する長手方向溶接箇所W1(W1a)を形成することができる。
【0298】
また、長手方向Xの溶接を、長手方向Xに対して交差する幅方向Yにおいて所定幅を有する溶接とすることにより、所定幅を有する溶接ビードを形成することができる。したがって、圧着時に応力集中しても破断しない十分な耐力と密閉性を有する溶接ビードを形成することができる。よって、例えば、長手方向溶接箇所W1が、幅方向に誤差を有する場合であっても確実に溶接することができる。
【0299】
詳しくは、所定幅を有する溶接として、幅方向にずらして二回掃引する二回掃引S2、幅方向の掃引と長手方向Xの掃引とを交互に繰り返して掃引方向Sに溶接する矩形掃引S3、幅方向Y及び長手方向Xに対して斜め方向に掃引してジグザグ状に溶接する三角掃引S4、あるいは幅方向に回転しながら長手方向Xに沿って掃引して溶接する螺旋掃引S5とすることにより、長手方向Xに進みながら、所定幅を有する溶接ビードを形成することができる。
【0300】
したがって、例えば、対向端部632a同士を突き合わせた圧着接続構造体601の長手方向溶接箇所W1aが、幅方向Yに誤差を有する場合であっても確実に溶接することができる。
また、構成片端部732a同士を重ね合わせた圧着接続構造体701aの長手方向溶接箇所W1において、重ね合わせた構成片端部732aの間の隙間によって、局所的な未溶接部が生じるおそれがあっても、溶接面積を増大させることによって、密閉性を確実に確保することができる。
【0301】
また、断面中空形状における長手方向Xの前方側を封止する封止形状に形状加工するとともに、封止形状に形状加工した前方側を長手方向Xに対して交差する交差方向に溶接して封止部630c(730c)を構成することにより、アルミニウム芯線201が挿入された突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)を圧着するだけで、被覆電線200のアルミニウム芯線201や、アルミニウム芯線201を突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)の外部に露出することがなく、止水性のある包み込んだ状態に圧着することができる。
【0302】
詳しくは、アルミニウム芯線201を圧着するために突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)を圧着変形させても、長手方向溶接箇所W1(W1a)のうち、少なくとも、アルミニウム芯線201に対する圧着接続のために圧着変形する電線圧着範囲630b(730b)の表裏両側に溶接による溶接ビードV(Va,Vb)が形成され、圧着変形によって長手方向溶接箇所W1(W1a)が破断せず、また記断面中空形状における長手方向Xの前方側を、封止する封止形状とするとともに、封止する封止形状に形成した長手方向Xの前方側において、長手方向Xに対して交差する方向に溶接するため、断面中空形状の突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)へアルミニウム芯線201を挿入する挿入箇所以外が封止されおり、突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)内のアルミニウム芯線201が外気に曝されることがなく内部に水分が浸入することを防止し、劣化や経年変化が起きることを抑制でき、アルミニウム芯線201に腐食が発生することがなく、その腐食を原因とする電気抵抗の上昇も防止できるので、安定した導電性が得られる。
【0303】
また、予め、断面中空形状における長手方向Xの前方側を、封止する封止形状とするとともに、封止する封止形状に形成した長手方向Xの前方側において、長手方向Xに対して交差する方向に溶接するため、断面中空形状の突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)へアルミニウム芯線201を挿入する挿入箇所以外が封止されおり、アルミニウム芯線201が挿入された突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)を圧着するだけで、被覆電線200のアルミニウム芯線201や、アルミニウム芯線201を突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)の外部に露出することがなく、止水性のある包み込んだ状態に圧着することができる。したがって、止水性を確保するために、アルミニウム芯線201に別部品で構成するキャップ等を用いることなく、確実に、突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)に圧着されたアルミニウム芯線201が外気に曝されることがない。
【0304】
また、長手方向溶接箇所W1(W1a)と、幅方向溶接箇所W2(W2a)とを略同一平面上に設定することにより、ファイバーレーザ溶接装置Fwを容易に移動させて、確実に溶接することができる。詳しくは、ファイバーレーザ溶接装置Fwと、長手方向溶接箇所W1(W1a)及び幅方向溶接箇所W2(W2a)との距離が一定となるため、安定した溶接状態で溶接することができ、確実に溶接することができる。
【0305】
また、溶接を、高エネルギー密度ビームであるファイバーレーザビームで構成することにより、高出力密度の溶接を行うことができる。詳しくは、ファイバーレーザはビーム品質に優れ集光性が高いため、高出力密度加工を実現可能である。したがって、高アスペクト比の深溶け込み溶接によって、材料に余分な熱影響を与えることなく、確実な溶接状態を効率よく行うことができる。したがって、容易に深い溶け込みの溶接を行うことができる。
【0306】
また、雌型圧着端子610(710)を、表面がSnメッキされた銅合金条で構成しているため、表面のSnメッキがファイバーレーザ溶接を行う際の吸光材の役割を果たし、レーザビームの吸収が増加し、効率よく溶接することができる。
【0307】
さらにまた、長手方向溶接箇所を蝋付けによって接続する場合は例えば0.7mm等の板厚を有するが、ファイバーレーザ溶接で長手方向溶接箇所を行うため、例えば、0.25mm等の薄い板厚の銅合金条で構成することができる。
【0308】
また、雌型圧着端子610(710)の製造方法で製造した雌型圧着端子610(710)における突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)によって、被覆電線200と雌型圧着端子610(710)とを接続して圧着接続構造体601(701a)を構成することにより、雌型圧着端子610(710)の突合せ圧着部630(重ね合せ圧着部730)により囲繞して圧着するだけで確実な止水性を確保できる圧着接続構造体601(701a)を構成することができる。したがって、安定した導電性を確保することができる。
【0309】
なお、アルミ系材料で構成するアルミニウム芯線201を用いるため、銅系材料で構成した被覆電線に比べて軽量化できるとともに、上述した確実な止水性により、いわゆる電食を防止し、十分な導電機能を確保することができる。
【0310】
さらにまた、圧着接続構造体601(701a)における雌型圧着端子610(710)をコネクタハウジングHc内に配置したコネクタCは、安定した導電性を確保したまま雌型圧着端子610(710)を接続することができる。
【0311】
詳述すると、例えば、雌型のコネクタCと雄型のコネクタCを互いに嵌合して、各コネクタCのコネクタハウジングHc内に配置した雌型圧着端子610(710)を互いに接続する際、止水性を確保したまま各コネクタCの雌型圧着端子610(710)を互いに接続することができる。この結果、確実な導電性を備えた接続状態を確保することができる。
【0312】
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の導体部分は、アルミニウム芯線201に対応し、
以下同様に、
圧着端子は、雌型圧着端子610,710に対応し、
端部は、対向端部632a,732aに対応し、
長手方向の溶接箇所は、長手方向溶接箇所W1,W1aに対応し、
長手方向に交差する方向は、幅方向Yに対応し、
圧着変形する箇所は、電線圧着範囲630b,730bに対応し、
交差する方向の溶接箇所は、幅方向溶接箇所W2,W2aに対応し、
接続構造体は、圧着接続構造体601,701aに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0313】
なお、上述の説明では、ボックス部620、トランジション部640及び突合せ圧着部630がこの順で配置された雌型圧着端子610について説明したが、突合せ圧着部630のみで構成する圧着端子であってもよい。
また、ファイバーレーザ溶接装置Fwからファイバーレーザビームを照射するファイバーレーザ溶接を行ったが、電子ビームを照射して溶接してもよい。
【0314】
上述の板材の幅方向Yにおける対向端部632a同士の突合せや構成片端部732a同士の重ね合せは、板材の対向端部632a側面を傾斜させた傾斜側面、あるいは、板材の厚み以上高さを有する面を構成した側面同士の突合せであってもよい。
【0315】
なお、圧着部630,730における別の実施形態について説明する説明図を示す図39(a)に示すように、バレル構成片632の対向端部632a同士を突合せて、長手方向溶接箇所W1をファイバーレーザ溶接して筒状に構成する突合せ圧着部630において、対向端部632a同士が密着せずとも、ファイバーレーザ溶接におけるスポット径以下の隙間であれば対向端部632a同士の間に隙間がある状態で突合せし、長手方向Xにファイバーレーザ溶接し、溶接ビードVを形成してもよい。
【0316】
また、図39(b)乃至(d)に示すように、径内外方向に突出させた厚みの厚い対向端部632a同士を突合せて溶接してもよい。このように、対向端部632aの厚みを厚くすることにより、突合せ部分に形成される溶接ビードVの厚みが厚くなり、溶接部分の強度が向上する。
【0317】
さらにまた、図39(e)に示すように重ね合せ箇所を構成する板材の構成片端部732aを、板材の他の部分の厚みより薄い薄肉で構成するとともに、重ね合せ箇所を、板材の他の部分の厚みより厚く構成することにより、重ね合せた厚みが厚すぎて十分に溶接できないというおそれを低減し、確実に溶接して、止水性を確保することができるとともに、溶接によって重ね合せ部分が薄肉化した場合であっても、長手方向溶接箇所W1が十分な強度を有するため、例えば、アルミニウム芯線201の圧着などによって長手方向溶接箇所W1が変形しても十分な溶接強度、すなわち十分な止水性を確保することができる。
【0318】
さらには、図28(d),図33(d)に示すように、円筒状の圧着部630,730にアルミニウム芯線201を挿入してから、圧着する際に、圧着部630,730の前方を封止形状に形成して封止部630c,730cを形成してもよい。また、幅方向溶接箇所W2を溶接して封止部630cを構成のみならず、幅方向溶接箇所W2を溶接せず、圧着部630,730の前方を封止形状に形成するのみ、あるいは封止部630cの内部に樹脂等の封止材を介在させて封止してもよい。
【0319】
さらにまた、上述の説明では、図29に示すように、端子形状に打ち抜いた銅合金条を丸めるとともに、端部632a同士を突き合わせて長手方向Xの溶接個所W1に沿って溶接して後方視略O型に形成してから、長手方向Xの前端部分をつぶすとともに、幅方向Yの溶接個所W2に沿って溶接して封止して、長手方向Xの前端が封止部630cで封止させ、長手方向Xの後方に開口を有する略筒状のバレル部630を形成したが、バレル部630における別の溶接方法について説明する説明図である図40に示すように、バレル部130の形状を形成してから、溶接個所を溶接してバレル部130を形成してもよい。
【0320】
詳述すると、図40(a)に示すように、端子形状に打ち抜いた銅合金条を丸めるとともに、長手方向Xの前端部分をつぶして、封止部133を含むバレル部130の形状にあらかじめ形成する。
【0321】
そして、丸めて突き合わさる端部130a同士を長手方向Xの溶接個所W3に沿って溶接するとともに、封止部133において幅方向Yの溶接個所W4に沿って溶接して封止してバレル部130を完成させる。
【0322】
また、図29に示すように、バレル部630の底面側で端部632a同士を突き合わせて溶接してもよいし、図40(a),(b)に示すように、バレル部130上面側で端部130a同士を突き合わせて溶接してもよい。
【0323】
さらには、図40(c)に示すように、圧着状態において、バレル部130の被覆圧着部131を、被覆電線200の絶縁被覆202に対して正面視円形状に圧着し、芯線圧着部132を、アルミニウム芯線に対して正面視略U字状に圧着してもよい。
【0324】
また、圧着端子100は、図40に示すように、帯状のキャリアKに取り付けられたままの状態でバレル部130を溶接してから、被覆電線200を圧着接続する際、あるいは被覆電線200を圧着接続した後、キャリアKから分離してもよいが、キャリアKから分離された状態で圧着端子100を形成し、被覆電線200を圧着接続してもよい。
【0325】
本実施形態では、雌型圧着端子10の圧着部30を、アルミニウムやアルミニウム合金等の卑な金属からなるアルミニウム芯線201に圧着接続する例を説明したが、その卑な金属以外に、例えば、銅や銅合金等の貴な金属からなる導体部分に圧着接続してもよく、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0326】
詳しくは、上述の構成の圧着部30は、圧着状態において、水の浸入を防止できるため、例えば、これまで線間止水のために圧着後にシールなどが必要であった銅や銅合金等の芯線で構成する被覆電線を接続してもよい。
【0327】
(第5実施形態)
図41(a)は本実施形態の圧着端子付き電線801の電線先端部200a、及びその後方部分の斜視図であり、図41(b)は本実施形態の雌型圧着端子810と電線先端部200aの斜視図であり、電線先端部200aを雌型圧着端子810に挿入する直前の様子を示している。
図42(a)は図41(a)のA−A線断面図であり、本実施形態の圧着端子付き電線801の電線先端部200a、及びその周辺部分を幅方向における中間部分において切断して示した縦断面図であり、図42(b)は図42(a)のa部拡大図である。
【0328】
本実施形態の圧着端子付き電線801は、図41(a)、及び図42に示すように、被覆電線200を雌型圧着端子810に接続して構成している。つまり、被覆電線200における電線先端部200aを、雌型圧着端子810の圧着部830に圧着接続している。
【0329】
雌型圧着端子810に圧着接続する被覆電線200は、アルミニウム素線201aaを束ねたアルミニウム芯線201を、絶縁樹脂で構成する絶縁被覆202で被覆して構成している。詳しくは、アルミニウム芯線201は、断面が0.75mmとなるように、アルミニウム合金線を撚って構成している。
【0330】
電線先端部200aは、被覆電線200の先端部分において、被覆先端部202aと導体先端部201aとを先端側へ向けてこの順に直列に備えた部分である。
【0331】
導体先端部201aは、被覆電線200の前方側の絶縁被覆202を剥がしてアルミニウム芯線201を露出させた部分である。被覆先端部202aは、被覆電線200の先端部分であるが、被覆先端部202aよりも後方側部分であって、アルミニウム芯線201を絶縁被覆202で被覆した部分である。
【0332】
以下において、雌型圧着端子810について詳述する。
雌型圧着端子810は、長手方向Xの先端側である前方から後方に向かって、図示省略する雄型端子における挿入タブの挿入を許容するボックス部820と、ボックス部820の後方で、所定の長さのトランジション部840を介して配置された圧着部830とを一体に構成している。
【0333】
なお、本実施形態では、上述したように、ボックス部820と圧着部830で構成する雌型圧着端子810で構成したが、圧着部830を有する圧着端子であれば、上述の雌型圧着端子810におけるボックス部820に挿入接続する挿入タブと圧着部830とで構成する雄型圧着端子でも、圧着部830のみで構成し、複数本の被覆電線200のアルミニウム芯線201を束ねて接続するための圧着端子であってもよい。
【0334】
また、長手方向Xとは、図41に示すように、圧着部830を圧着して接続する被覆電線200の長手方向と一致する方向であり、幅方向Yは雌型圧着端子810の幅方向に相当し、長手方向Xに対して平面方向において交差する方向である。また、圧着部830に対するボックス部820の側を前方(先端側)とし、逆に、ボックス部820に対する圧着部830の側を後方(基端側)としている。
【0335】
ボックス部820は、倒位の中空四角柱体で構成され、内部に、長手方向Xの後方に向かって折り曲げられ、挿入される雄型コネクタの挿入タブ(図示省略)に接触する弾性接触片821を備えている。
【0336】
また、中空四角柱体であるボックス部820は、底面部822の長手方向Xと直交する幅方向Yの両側部に連設された側面部823を重なり合うように折り曲げて、長手方向Xの先端側から見て略矩形状に構成している。
【0337】
圧着部830は、電線圧着部831と封止部832とを後方から前方側へこの順に配設するとともに、周方向全体において連続する連続形状で一体に形成している。
封止部832は、電線圧着部831よりも前方端部を略平板状に押し潰すように変形させて、雌型圧着端子810を構成する板状の端子基材890同士が重合する偏平形状で構成している。
【0338】
電線圧着部831は、基端側拡径部831z、被覆圧着部831a、及び導体圧着部831bを、後方から前方側へこの順に連続して直列に配設している。
電線圧着部831は、基端側拡径部831zから導体圧着部831bにかけて電線先端部200aを挿入可能に後方側のみが開口するとともに、先端側、及び周面部全体が開口していない中空形状(筒状)で構成している。
【0339】
被覆圧着部831aは、電線先端部200aを電線圧着部831に挿入した状態において、電線圧着部831の長手方向Xにおける被覆先端部202aに相当する部分であり、被覆先端部202aを囲繞可能な中空形状に形成している。
導体圧着部831bは、電線先端部200aを電線圧着部831に挿入した状態において、電線圧着部831の長手方向Xにおける導体先端部201aに相当する部分であり、導体先端部201aを囲繞可能な中空形状に形成している。
【0340】
なお、被覆圧着部831a、及び導体圧着部831bは、圧着前の状態においては互いに略同じ径をした筒状に形成している。
【0341】
基端側拡径部831zは、電線圧着部831の内部に有する挿入孔835の口縁部分に相当し、被覆圧着部831a、及び導体圧着部831bよりも外周部、及び、内周部が大径となるように、前方側から後方側へ徐々に拡径したスカート状(末広がり状)に形成している。
なお、基端側拡径部831zは、電線圧着部831の長手方向Xにおける基端側拡径部831z以外の部分と同じ肉厚で形成している(図42(a)参照)。
【0342】
続いて、上述した雌型圧着端子810の製造方法について図43を用いて説明する。
図43は圧着部830における溶接について説明する説明図を示し、詳しくは図43(a)はファイバーレーザ溶接装置Fwでファイバーレーザ溶接を行っている様子を示す作用説明図であり、図43(b)は図43(a)のa部拡大図である。
【0343】
上述した雌型圧着端子810は、端子基材890を、中空四角柱体のボックス部820と後方視略O型の圧着部830とからなる立体的な端子形状に曲げ加工するとともに、圧着部830をレーザーLにより溶接してクローズドバレル形式の雌型圧着端子810で構成している。
【0344】
なお、端子基材890は、雌型圧着端子810を構成するために、板厚が0.1〜0.6mmの板状の基材であり、表面が錫メッキ(Snメッキ)された黄銅等の銅合金条(図示せず)を、平面展開した端子形状に打ち抜いた板材であり、圧着前の圧着部830に相当する部分に、圧着面及び、該圧着面の幅方向Yの両側から延出したバレル構成片を備えて形成している。
【0345】
詳しくは、雌型圧着端子810は、端子基材890を、長手方向を中心軸とする方向に丸めて端部832a同士が底面側で突き合わさるようにして丸めて円筒状を構成する。そして、端子基材890の対向端部832a同士を突き合わせた状態でレーザー照射装置Fwを長手方向Xに沿ってスライドさせながら一対の対向端部832a同士を溶接することで長手方向溶接部W1を形成する。
その後、レーザー照射装置Fwを圧着部830の前方側で長手方向Xに沿ってスライドさせながら圧着部830の前方部分を溶接することで幅方向溶接箇所W2を形成する。
【0346】
続いて、上述した雌型圧着端子810を、電線先端部200aに圧着接続する手順について図44(a),(b),(c),(d)を用いて説明する。
図44は本実施形態の圧着端子付き電線801の圧着工程の様子を断面により示した作用説明図であり、詳しくは、図44(a)は電線先端部200aを雌型圧着端子810で圧着する直前の状態を示す縦断面図であり、図44(b)は電線先端部200aを雌型圧着端子810で圧着した直後の状態を示す縦断面図である。図44(c)は図44(b)のa部拡大図である。図44(d)は図44(b)のA−A線断面図である。
【0347】
まず、図44(a)に示すように、圧着部830における電線圧着部831に電線先端部200aを挿入する。このとき、図44(a)に示すように、被覆圧着部831aの内部に電線先端部200aの被覆先端部202aが挿入されるとともに、導体圧着部831bの内部に電線先端部200aの導体先端部201aが挿入される。
【0348】
この状態で、クリンパなどの圧着工具900により電線先端圧着部830Aに対して電線圧着部831を圧着する。
【0349】
その際、図44(a)に示すように、圧着工具900における互いに対向する一対の押圧刃901,902のうち一方の押圧片901と他方の押圧片902とを、長手方向における電線圧着部831の基端部838を除いた部分に圧着部830を隔てて互いに対向配置させる。
【0350】
この状態で一対の押圧刃901,902により圧着部830を両側から挟み込むことで図44(b),(d)に示すように、電線圧着部831を電線先端部に圧着する。
【0351】
これにより、図42に示すように、電線先端部200aに対して雌型圧着端子810を圧着接続することができる。
【0352】
また、上述した圧着によって、電線圧着部831における基端部838を除く部分が圧着され(図44(a),(b)参照)、その圧着により圧着部分が圧縮変形することによる反動により、圧着工具により圧着されていない基端部838は、図44(c)に示すように、外周全体が拡径変形することになる。
【0353】
これにより、電線圧着部831の基端部838に基端側拡径部831zを形成することができる。
【0354】
上述した圧着端子付き電線801が奏する作用効果について説明する。
圧着端子付き電線801は、上述したように、圧着部830の長手方向Xの基端部838に、該基端部838よりも前方部分に対して拡径した基端側拡径部831zを形成している。
【0355】
この構成によれば、電線先端部200aを圧着部830により圧着した状態において、被覆圧着部831aの基端部838が絶縁被覆202を強く圧着することにより絶縁被覆202が破損することを防ぐことができるため、電線先端部200aにおける優れた止水性を確保できる。
【0356】
詳しくは、従来の圧着端子付き電線850を断面であらわした図48に示すように、従来から用いられている通常の圧着端子851は、被覆圧着部853の基端部852が、後方側(基端方向)に向けて突状となる自由端であるため(図48中の一部拡大図参照)、圧着部852を電線先端部200aに圧着する際に、被覆圧着部853の基端部859が電線先端部200aにおける被覆先端部202aを圧着する圧着力が強すぎる場合には、被覆圧着部853の基端部859によって、被覆先端部202aにおける絶縁被覆202が引き伸ばされたり、被覆圧着部853の基端部859が被覆先端部202aにくい込んだりして破損するおそれがある。
【0357】
そうすると、絶縁被覆202の破損部分から水分が絶縁被覆202の内部に浸入し、浸入した水分がアルミニウム芯線201に付着してアルミニウム芯線201が腐食するという課題を有していた。
【0358】
これに対して、第5実施形態の圧着端子付き電線801は、圧着部830の長手方向Xの基端部838に、上述したように、基端側拡径部831zを形成することにより、被覆圧着部831aを被覆先端部202aに圧着した際に、被覆圧着部831aが絶縁被覆202に接触する接触部分における基端部(以下、「端子接触基端部839」という。(図42(b)参照))は、被覆圧着部831aの基端部838と、その前方側に有する被覆先端部202aとの境界部分に相当し、該端子接触基端部839が突状の自由端となることを防止できる。
【0359】
よって、圧着部830を電線先端部200aに圧着する際に、被覆圧着部831aに絶縁被覆202が接触する接触部分となる端子接触基端部839が絶縁被覆202に食い込むことにより破断するおそれがなく圧着することができる。
【0360】
従って、電線先端部200aを圧着部830により圧着した状態において、絶縁被覆202の破損部分を通じて水分が絶縁被覆202の内側に浸入し、絶縁被覆202よりも内側のアルミニウム芯線201が腐食することを防止することができる。
【0361】
さらに、基端側拡径部831zは、上述したように、圧着部830の長手方向Xの基端部838において、該基端側拡径部831zを、長手方向Xの前方側から後方側へ徐々に拡径して形成している(図42(b)参照)。
【0362】
上述した構成により、例えば、圧着部830の長手方向Xの基端部838において、長手方向Xの後方側へ進むに連れ、徐々に薄肉になるように内周部のみを拡径して形成した場合と比較して、基端側拡径部831zにおける肉厚を確保できるため、基端側拡径部831zにおける優れた強度を確保することができる。
【0363】
さらにまた、例えば、圧着部830の長手方向Xの基端部838において、長手方向Xの後方側へ進むに連れ、徐々に薄肉になるように内周部のみを拡径して形成した場合のように、圧着部830の長手方向Xの基端部838を予め、切削加工により薄肉に加工しておくなどの手間を要することがなく、拡径変形するだけで容易に形成することができる。
【0364】
また、図44に示したように、圧着工具900により電線先端圧着部830Aに対して電線圧着部831を圧着する際に、電線圧着部831の基端部838を除いた部分を一対の押圧刃901,902で挟み込むことで圧着することで、電線圧着部831を電線先端部200aに対して圧着することができるとともに、その圧着に伴う反力を利用して端子基材890を塑性変形させて、長手方向Xに略寸胴に形成した圧着部830の基端部838を拡径させることができる。
【0365】
これにより、該基端部838に、基端側拡径部831zを形成することができ、電線圧着部831を電線先端部200aに対して圧着するという一つの工程により、電線圧着部831の電線先端部200aに対する圧着と、基端側拡径部831zの形成とを同時に行うことができる。
【0366】
従って、圧着端子付き電線801の圧着工程を行うことで、基端側拡径部831zを形成するための曲げ加工工程を削減することができ、効率よく圧着端子付き電線801を製造することができる。
【0367】
以下では、他の実施形態における圧着端子付き電線801Pa,801Pbについて説明する。
但し、以下で説明する圧着端子付き電線801Pa,801Pbの構成のうち、上述した第5実施形態における圧着端子付き電線801と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0368】
(第6実施形態)
図45(a)は第6実施形態の雌型圧着端子810Pa及び圧着端子付き電線801Paを示す断面図である。
図45(a)に示すように、第6実施形態の雌型圧着端子810Paは、圧着部830の長手方向Xの少なくとも基端部838に、該基端部838の外周面に対して内周面が近接するように薄肉とした基端側薄肉部831tを形成している。
【0369】
詳しくは、電線圧着部831の外周部においては、電線圧着部831の基端部838を含めて長手方向Xの全長に沿って、寸胴に形成する一方で、電線圧着部831の内周部については、電線圧着部831の基端部838において後方側に向けて徐々に内周部が薄肉になるように基端側薄肉部831tを形成している(図45(a)の一部拡大図参照)。
換言すると、基端側薄肉部831tは、電線圧着部831の基端部838において、後方側に向けて徐々に絶縁被覆202の外周部と離間するように内周部が拡径するように形成している。
【0370】
上述した構成により、基端側薄肉部831tは、電線圧着部831を電線先端部200aに圧着した状態において、被覆圧着部831bの長手方向Xにおける前記少なくとも基端部838以外の他の部分の内径よりも大きな内径とすることができる。
【0371】
これにより、端子接触基端部839が突状の自由端となることを防ぐことができるため、圧着部830を電線先端部200aに圧着した状態において、端子接触基端部839が絶縁被覆202に対して局所的に圧接することを防ぐことができる。
【0372】
従って、絶縁被覆202が破損することを防ぐことができ、絶縁被覆202の破損部分を通じて水分が絶縁被覆202の内側に浸入し、絶縁被覆202よりも内側のアルミニウム芯線201が腐食することを防止することができる。
【0373】
さらに、電線圧着部831の基端部838に基端側薄肉部831tを形成することで、電線圧着部831の長手方向Xの基端部838含めて圧着部830の外周部が径方向に突出しないように形成できるため、例えば、電線圧着部831を図示しないコネクタハウジングの端子挿着孔に挿着する際に、電線圧着部831の基端部838がコネクタハウジングに干渉することがなく、結果的にコネクタハウジングの省スペース化を実現することができる。
【0374】
(第7実施形態)
図46は第7実施形態の雌型圧着端子810Pb及び圧着端子付き電線801Pbを示す断面図である。
図46に示すように、第7実施形態の雌型圧着端子810Pbは、電線圧着部831を、筒状に形成したクローズドバレル型圧着部831cと、該電線圧着部831の基端側に連設されたオープンバレル型圧着部831sとで構成している。
【0375】
クローズドバレル型圧着部831cは、長手方向Xの前方側から後方側へ導体圧着部831bと被覆圧着部831aとを配置して構成している。
【0376】
オープンバレル型圧着部831sは、周方向においてバレル底面部831saと該バレル底面部831saから幅方向の側に突出するバレル突出片831sbとで構成している。
【0377】
クローズドバレル型圧着部831cとオープンバレル型圧着部831sとは、バレル底面部831saにおいて長手方向Xにおいて一体に連設している。
【0378】
電線圧着部831を電線先端部200aに対して圧着する際には、まず、クローズドバレル型圧着部831cにおける導体圧着部831bに、導体先端部201aを配置するとともに、クローズドバレル型圧着部831cにおける被覆圧着部831a、及び、オープンバレル型圧着部831sに被覆先端部202aを配置する。
【0379】
この状態で圧着工具によって、クローズドバレル型圧着部831c、及び、オープンバレル型圧着部831sを一括して挟着することで、電線圧着部831を電線先端部200aに対して圧着接続し、圧着端子付き電線801Pbを構成することができる。
【0380】
上述した圧着端子付き電線801Pbは、被覆先端部202aを、クローズドバレル型圧着部831cにおける被覆圧着部831aとオープンバレル型圧着部831sとの双方によって圧着することができる。
【0381】
これにより、クローズドバレル型圧着部831cのみで圧着する場合と比較して被覆圧着部831aを圧着する圧着力を被覆圧着部831aとオープンバレル型圧着部831sとに分散することができる。
【0382】
従って、被覆圧着部831aの基端部838が絶縁被覆202を強く圧着することにより絶縁被覆202が破損することを防ぐことができるため、電線先端部200aにおける優れた止水性を確保できる。
【0383】
さらに、クローズドバレル型圧着部831cとオープンバレル型圧着部831sとは、それぞれ独立した圧着力でそれぞれに適した圧着状態に設定することができるため、例えば、特に、被覆電線200が電線先端部200aより後方側で曲がった際に、オープンバレル型圧着部831sの基端部において絶縁被覆202がくい込み易くなるため、このオープンバレル型圧着部831sをクローズドバレル型圧着部831cと比較して絶縁被覆202に対する圧着力を緩和することで、上述したように、オープンバレル型圧着部831sに絶縁被覆202がくい込むという事態を防ぐことができる。
【0384】
その一方で、クローズドバレル型圧着部831cをオープンバレル型圧着部831sと比較して絶縁被覆202に対する圧着力を強く設定することで、雌型圧着端子810の電線先端部200aに対する強固な圧着状態を得ることができる。
【0385】
この発明の構成と、実施形態との対応において、
この発明の圧着接続構造体は、実施形態の圧着端子付き電線801,801Pa,801Pbに対応し、
以下同様に、
圧着端子は、雌型圧着端子810,810Pa,810Pbに対応し、
導体は、アルミニウム芯線201に対応し、
長手方向Xの先端側は、長手方向Xの前方側に対応し、
長手方向Xの基端側は、長手方向Xの後方側に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、第5実施形態の圧着端子付き電線801の製造方法、圧着方法は、上述した製造方法、圧着方法に限定しない。
具体的には、電線先端部200aに対して電線圧着部831を圧着する前に、予め電線圧着部831における基端部838を拡径した拡径部分831z1を形成してもよい。
ここで、図47(a)は電線先端部200aを雌型圧着端子810で圧着する直前の状態を示す縦断面図であり、図47(b)は電線先端部200aを雌型圧着端子810で圧着した直後の状態を示す縦断面図である。図47(c)は図47(b)のa部拡大図である。
【0386】
この場合、図47(a)に示すように、このような電線圧着部831に対して電線先端部200aを挿入し、その状態で、電線圧着部831の基端部838を除いた部分を圧着し、この圧着による反力を利用して図47(b)に示すように、電線圧着部831の基端部838に有する拡径部分831z1が径外方向に跳ね上がるように塑性変形させて、該電線圧着部831の基端部838に、基端側拡径部831z’を形成することができる。
【0387】
上述した製造方法によれば、図47(c)に示すように、雌型圧着端子を電線先端部200aに圧着した状態において、上述した第5実施形態の電線圧着部831に形成した基端側拡径部831zよりも被覆電線に対してより高い傾斜角度で傾斜した基端側拡径部831z’を確実に形成することができる。
【0388】
また、基端側薄肉部は、上述した形状の内周部を有して形成するに限らず、他の内周部の形状としてもよい。例えば、上述した図45(a)に示す基端側薄肉部831tのように、断面視直線状に傾斜した構成に限らず、図45(b)に示す基端側薄肉部831t’のように、長手方向Xの前方側から後方側へ薄肉になる度合いが増すように、断面視後方側に向けて湾曲しながら薄肉に形成してもよい。
【0389】
さらにまた、上述の説明では、図43に示すように、端子形状に打ち抜いた銅合金条を丸めるとともに、端部832a同士を突き合わせて長手方向Xの溶接個所W1に沿って溶接して後方視略O型に形成してから、長手方向Xの前端部分をつぶすとともに、幅方向Yの溶接個所W2に沿って溶接して封止して、長手方向Xの前端が封止部832で封止させ、長手方向Xの後方に開口を有する略筒状のバレル部830を形成したが、バレル部830における別の溶接方法について説明する説明図である図49に示すように、バレル部130の形状を形成してから、溶接個所を溶接してバレル部130を形成してもよい。
【0390】
詳述すると、図49(a)に示すように、端子形状に打ち抜いた銅合金条を丸めるとともに、長手方向Xの前端部分をつぶして、封止部133を含むバレル部130の形状にあらかじめ形成する。
【0391】
そして、丸めて突き合わさる端部130a同士を長手方向Xの溶接個所W3に沿って溶接するとともに、封止部133において幅方向Yの溶接個所W4に沿って溶接して封止してバレル部130を完成させる。
【0392】
また、図43に示すように、バレル部830の底面側で端部832a同士を突き合わせて溶接してもよいし、図49(a),(b)に示すように、バレル部130上面側で端部130a同士を突き合わせて溶接してもよい。
【0393】
さらには、図49(c)に示すように、圧着状態において、バレル部130の被覆圧着部131を、被覆電線200の絶縁被覆202に対して正面視円形状に圧着し、芯線圧着部132を、アルミニウム芯線に対して正面視略U字状に圧着してもよい。
【0394】
また、圧着端子100は、図49に示すように、帯状のキャリアKに取り付けられたままの状態でバレル部130を溶接してから、被覆電線200を圧着接続する際、あるいは被覆電線200を圧着接続した後、キャリアKから分離してもよいが、キャリアKから分離された状態で圧着端子100を形成し、被覆電線200を圧着接続してもよい。
【0395】
本実施形態では、雌型圧着端子10の圧着部30を、アルミニウムやアルミニウム合金等の卑な金属からなるアルミニウム芯線201に圧着接続する例を説明したが、その卑な金属以外に、例えば、銅や銅合金等の貴な金属からなる導体部分に圧着接続してもよく、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0396】
詳しくは、上述の構成の圧着部30は、圧着状態において、水の浸入を防止できるため、例えば、これまで線間止水のために圧着後にシールなどが必要であった銅や銅合金等の芯線で構成する被覆電線を接続してもよい。
【符号の説明】
【0397】
1…圧着接続構造体
10…雌型圧着端子
30…圧着部
31…圧着面
32…バレル構成片
32a…対向端部
32c…鉤状端面
32d…対向当接面部
34…中空凸部
200…被覆電線
201…アルミニウム芯線
202…絶縁被覆
200a…電線先端部
201a…導体先端部
202a…被覆先端部
401…圧着接続構造体
410…雌型圧着端子
430…突合せ圧着部
430b…電線圧着範囲
432a…対向端部
501…圧着接続構造体
510…雌型圧着端子
530…重ね合せ圧着部
530b…電線圧着範囲
532a…構成片端部
601,701a…圧着接続構造体
610,710…雌型圧着端子
630…突合せ圧着部
630b,730b…電線圧着範囲
630c,730c…封止部
632a…対向端部
730…重ね合せ圧着部
732a…構成片端部
801,801Pa,801Pb…圧着端子付き電線
810,810Pa,810Pb…雌型圧着端子
830…圧着部
831a…導体圧着部
831b…被覆圧着部
831c…クローズドバレル型圧着部
831s…オープンバレル型圧着部
831t…基端側薄肉部
831z…基端側拡径部
838…電線圧着部の基端部
C…コネクタ
Hc…コネクタハウジング
S…掃引方向
V,Va,Vb…溶接ビード
W1,W1a…長手方向溶接箇所
W2,W2a…幅方向溶接箇所
X…長手方向
Y…幅方向
P…仮想平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49