特許第6440518号(P6440518)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6440518
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】回転固定具及び回転コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 35/04 20060101AFI20181210BHJP
   B60R 16/027 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   H01R35/04 T
   B60R16/027 A
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-26316(P2015-26316)
(22)【出願日】2015年2月13日
(65)【公開番号】特開2016-149291(P2016-149291A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2017年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】金沢 政志
【審査官】 杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−178861(JP,A)
【文献】 特開平11−097141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 35/04
B60R 16/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のステータと、前記ステータに対し相対回転する環状のロテータと、前記ステータと前記ロテータの間に形成される環状のケーブル収容空間内に巻き回して収容する帯状のケーブルとで構成する回転コネクタ装置における前記ステータ及び前記ロテータに当接して、前記ステータ及び前記ロテータの相対回転位置を固定する回転固定具であって、
前記回転コネクタ装置の内部に挿入する挿入部と、挿着状態において前記回転コネクタ装置の外部に突出し、挿抜操作する操作部とで構成するとともに、
前記操作部に、外力が作用した前記操作部が前記挿入部に対して傾倒する薄肉部を備え、
前記操作部を、
一部が開放された開環状の操作部本体と、該操作部本体における開放部を連結する、前記操作部本体より変形性の高い連結部とで構成し、
前記操作部本体に薄肉部を配置した
回転固定具。
【請求項2】
前記操作部を、
前記挿入部が前記回転コネクタ装置の内部に挿入される挿入方向に交差する交差方向に直交する直交方向及び前記挿入方向で構成する仮想平面に沿うとともに、前記交差方向の所定の厚みを有し、
前記交差方向の凹部によって前記薄肉部を構成するとともに、
前記連結部を、前記交差方向に薄肉な薄肉連結部で構成した
請求項に記載の回転固定具。
【請求項3】
前記薄肉連結部及び前記薄肉部を、厚みにおける前記交差方向の一方側に配置した
請求項に記載の回転固定具。
【請求項4】
前記挿着状態において、前記回転コネクタ装置の外面に対して前記挿入方向に当接し、前記交差方向の両側に突出して支持する突出支持部を備えた
請求項2または3に記載の回転固定具。
【請求項5】
挿着状態において、前記突出支持部が、
環状の底板体と、該底板の外縁に沿う円筒状の側壁体とで構成するステータ及び該側壁体の内側に配置される略円盤状のロテータの両方に当接する
請求項に記載の回転固定具。
【請求項6】
前記挿入部に、
前記回転コネクタ装置の内部の被係止部に対して離脱方向に係止する係止部を備えるとともに、
該係止部に、係止部が弾性変形可能なスリットを設けた
請求項1乃至のうちいずれかに記載の回転固定具。
【請求項7】
環状のステータと、
前記ステータに対し相対回転する環状のロテータと、
前記ステータと前記ロテータの間に形成される環状のケーブル収容空間内に巻き回して収容する帯状のケーブルと、
請求項1乃至のうちいずれかに記載の回転固定具とで構成する
回転コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、自動車のステアリングホイール側と車体側との間を電気的に接続するような回転コネクタ装置においてステータとロテータとの相対回転位置を固定する回転固定具、及び回転固定具を備えた回転コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に装着される回転コネクタ装置は、主に車体側に固定するステータと、ステアリングホイール側に組み付けるロテータとを相対的に回転可能に同軸上に組み付けて構成している。さらに、ステータとロテータとで構成する収容空間内に、フレキシブルフラットケーブル(以下においてFFCという)をステアリングホイールの回転に追従して巻き締め及び巻き戻し可能に収容している。
【0003】
このような回転コネクタ装置は、車体に組み付ける際、あるいはステアリングホイールを組み付ける際に、ロテータがステータに対して相対回転してFFCの巻き付け状態に偏りが生じることがあった。このため、ステアリングホイールの回転方向の中立位置と、回転コネクタ装置の中立位置とにズレが生じたまま組み付けられると、ステアリングホイールを操舵した際、FFCが破断するおそれがあった。
【0004】
そのため、例えば、特許文献1に示すように、ステータとロテータとを中立位置に仮固定するために仮固定ピンを挿抜可能に設け、車体やステアリングホイールに対して組付けるまで中立位置を維持できるように仮固定ピンを挿着しておき、組み付けする際に仮固定ピンを取り外すことで、ステアリングホイールの中立位置と、回転コネクタ装置の中立位置とにズレが生じることなく組み付けることができるとされている。
【0005】
このように回転コネクタ装置の中立位置を組み付け前まで仮に固定する仮固定ピンは、車体への組み付け状態においては必ず取り外さなければならず、取り外し忘れがあってはならない。また、作業性の観点から容易に取外しができる必要がある。そのため、仮固定ピンが挿着されていることが外部から明らかに目視できるとともに、容易に取り外しできるように、仮固定ピンは回転コネクタ装置の上面から大きく突出するように構成されている。
【0006】
しかしながら、例えば、回転コネクタ装置の組み付け作業中に、回転コネクタ装置の上面から大きく突出する仮固定ピンが何かと接触するなどによって予期せぬ外力が作用すると、仮固定ピンが不用意に外れて、中立位置を維持できなくなるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−32324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、この発明は、挿着状態において回転コネクタ装置の外部に突出する操作部に予期せぬ外力が作用して不用意に外れることを防止できる回転固定具及び回転コネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、環状のステータと、前記ステータに対し相対回転する環状のロテータと、前記ステータと前記ロテータの間に形成される環状のケーブル収容空間内に巻き回して収容する帯状のケーブルとで構成する回転コネクタ装置における前記ステータ及び前記ロテータに当接して、前記ステータ及び前記ロテータの相対回転位置を固定する回転固定具であって、前記回転コネクタ装置の内部に挿入する挿入部と、挿着状態において前記回転コネクタ装置の外部に突出し、挿抜操作する操作部とで構成するとともに、前記操作部に、外力が作用した前記操作部が前記挿入部に対して傾倒する薄肉部を備え、前記操作部を、一部が開放された開環状の操作部本体と、該操作部本体における開放部を連結する、前記操作部本体より変形性の高い連結部とで構成し、前記操作部本体に薄肉部を配置したことを特徴とする。
【0010】
また、この発明は、環状のステータと、前記ステータに対し相対回転する環状のロテータと、前記ステータと前記ロテータの間に形成される環状のケーブル収容空間内に巻き回して収容する帯状のケーブルと、上述の回転固定具とで構成する回転コネクタ装置であることを特徴とする。
【0011】
上述の前記ステータ及び前記ロテータに当接して、前記ステータ及び前記ロテータの相対回転位置を固定は、組み付け前まで中立位置を維持するための仮固定を含めば、いずれの固定状態を含む概念である。
この発明により、挿着状態において回転コネクタ装置の外部に突出する操作部に予期せぬ外力が作用して不用意に回転固定具が外れることを防止できる。
【0012】
より詳しく以下で説明する。挿入部を回転コネクタ装置の内部に挿入する挿着状態において、回転固定具の挿抜操作する操作部は回転コネクタ装置の外部に突出するため、回転固定具が挿着されていることが外部から明らかに目視できるとともに、取り外し操作がしやすい。
【0013】
このように、回転コネクタ装置の外部に突出する操作部に対して、例えば、回転コネクタ装置の組み付け作業中に何かと接触するなどによって予期せぬ外力が作用すると、操作部の根元部、つまり操作部における回転コネクタ装置の外面位置部分を支点とした回転力として前記挿入部に離脱方向の力が作用し、前記回転固定具が外れる。これに対し、前記操作部に、外力が作用した前記操作部が前記挿入部に対して傾倒する薄肉部を備えたことにより、外力が作用した操作部は薄肉部で外力が作用した方向に傾倒するため、上述のような操作部における回転コネクタ装置の外面位置部分を支点とした回転力として前記挿入部に離脱方向の力が作用することを防止できる。
【0014】
力が作用しても、外力が作用した方向に傾倒するため、上述のような操作部における回転コネクタ装置の外面位置部分を支点とした回転力として前記挿入部に離脱方向の力が作用して、不用意に離脱することを防止できるが、傾倒性の高い薄肉部のみで構成した操作部は自立できず、取り外し操作がしにくくなる。
【0015】
したがって、この発明は、挿着状態の回転固定具を明らかに目視できるとともに、取り外し操作がしやすく、さらには、回転コネクタ装置の外部に突出する操作部に予期せぬ外力が作用した場合であっても、不用意に回転固定具が外れることを防止できる。
【0016】
また、この発明により、回転コネクタ装置に対して回転固定具を容易に離脱することができる。
詳述すると、操作部を一部が開放された開環状の操作部本体のみで構成した場合、回転コネクタ装置に対する回転固定具の離脱操作のために離脱方向の力を作用させると、開環状の操作部本体が変形し、離脱操作のための力が偏心して挿脱方向に十分な力を作用させることができず、離脱操作のために余分な力が必要になるとともに、変形によって操作距離が大きくなる。これに対し、一部が開放された開環状の操作部本体と、該操作部本体における開放部を連結する連結部とで前記操作部を構成するため、離脱操作による操作部の変形を低減でき、容易に離脱することができる。
【0017】
また、もともと閉環状の操作部本体のみで操作部を構成する場合に比べて、一部が開放された開環状の操作部本体と、該操作部本体における開放部を連結する、前記操作部本体より変形性の高い連結部とで操作部を構成しているため、薄肉部を操作部本体に設けた操作部の傾倒性(予期せぬ外力に対する操作部の傾倒しやすさ)が向上し、操作部に予期せぬ外力が作用した場合、確実に傾倒させることができる。
【0018】
の発明の態様として、前記操作部を、前記挿入部が前記回転コネクタ装置の内部に挿入される挿入方向に交差する交差方向に直交する直交方向及び前記挿入方向で構成する仮想平面に沿うとともに、前記交差方向の所定の厚みを有し、前記交差方向の凹部によって前記薄肉部を構成するとともに、前記連結部を、前記交差方向に薄肉な薄肉連結部で構成することができる。
【0019】
この発明により、離脱操作に要する所望の強度を有する操作部を構成し、予期せぬ外力に対して確実に操作部を交差方向に傾倒させることができる。また、連結部を前記交差方向に薄肉な薄肉連結部で構成することで、交差方向において操作部本体に対してより変形性の高い連結部を容易に構成することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記薄肉連結部及び前記薄肉部を、厚みにおける前記交差方向の一方側に配置することができる。
この発明により、傾倒性の高い回転固定具を構成することができる。仮に、薄肉部を厚みにおける一方側に配置し、薄肉連結部を厚みにおける他方側に配置した場合において、薄肉部を支点として操作部本体が傾倒すると、傾倒方向において支点から厚み分さらにシフトした位置にある薄肉連結部によって操作部本体の傾倒に抗する負荷が増大し傾倒性が低下するが、薄肉部及び薄肉連結部を厚みにおける一方側に配置することで、傾倒方向における傾倒中心となる薄肉部と薄肉連結部との距離を近接させることができるため、操作部の傾倒性を向上することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記挿着状態において、前記回転コネクタ装置の外面に対して前記挿入方向に当接し、前記交差方向の両側に突出して支持する突出支持部を備えることができる。
この発明により、薄肉部を支点として操作部を傾倒させ、挿入部に離脱方向の力が作用することを確実に防止することができる。
【0022】
詳述すると、回転コネクタ装置の外部に突出する操作部に予期せぬ外力が作用した場合であっても、突出支持部が回転コネクタ装置の外面に対して突っ張るように当接するため、突出支持部より内部側の挿入部に外力が作用することを防止できる。したがって、予期せぬ外力は操作部のみに作用し、薄肉部を支点として確実に傾倒させ、回転固定具が不用意に外れることをさらに確実に防止することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、挿着状態において、前記突出支持部が、環状の底板体と、該底板の外縁に沿う円筒状の側壁体とで構成するステータ及び該側壁体の内側に配置される略円盤状のロテータの両方に当接することができる。
この発明により、ステータとロテータの両方に突出支持部が当接するため、より確実に傾倒させることができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記挿入部に、前記回転コネクタ装置の内部の被係止部に対して離脱方向に係止する係止部を備えるとともに、該係止部に、係止部が弾性変形可能なスリットを設けることができる。
【0025】
この発明により、挿着状態において前記回転コネクタ装置の内部の被係止部に対して離脱方向に係止する係止部が弾性変形できるため、挿脱操作による被係止部に対する係脱時に塑性変形することなく、挿脱を繰り返しても、被係止部に対して係止部を確実に係止させることができ、複数回挿脱できる回転固定具を構成することができる。
【発明の効果】
【0026】
この発明により、挿着状態において回転コネクタ装置の外部に突出する操作部に予期せぬ外力が作用して不用意に外れることを防止できる回転固定具及び回転コネクタ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】中立固定ピンの正面側及び底面側からの斜視図。
図2】中立固定ピンの背面側及び平面側からの斜視図。
図3】中立固定ピンのA−A断面図。
図4】中立固定ピンのB−B断面図。
図5】中立固定ピンが挿着された状態の回転コネクタの斜視図。
図6】取外し状態の回転コネクタの斜視図。
図7】回転コネクタの分解斜視図。
図8】挿着状態の回転コネクタの一部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1は中立固定ピン1の正面側及び底面側からの斜視図を示している。また、
図2は中立固定ピン1の背面側及び平面側からの斜視図を示し、図3は中立固定ピン1のA−A断面図を示し、図4は中立固定ピン1のB−B断面図を示している。さらに、図5は中立固定ピン1が挿着された状態の回転コネクタ100(ステアリングロールコネクタ、以下においてSRC100という)の斜視図を示し、図6は取外し状態のSRC100の斜視図を示し、図7はSRC100の分解斜視図を示し、図8は挿着状態のSRC100の一部拡大断面図を示している。
詳述すると、図8は、挿着状態の中立固定ピン1を通る法線方向の拡大断面図を示している。
【0029】
SRC100を構成するステータ110とロテータ130との相対回転を固定する中立固定ピン1は、図1、2に示すように、SRC100に対して中立固定ピン1を挿脱するために操作者が操作するための操作部10と、操作部10より厚み方向Xの両側に突出して支持する突出支持部20と、高さ方向Zの略棒状の挿入部30とをこの順で配置して、正面視略逆J字状に構成している。
【0030】
操作部10は、正面視倒位の略C字状、つまり下側の一部が開放された開環状の操作部本体11と、操作部本体11の開放部分を幅方向Yに連結する薄肉連結部40とで構成している。
【0031】
正面視倒位の略C字状の操作部本体11は、幅方向Yの一部が後述する挿入部30と一直線上となる本体基部11aと円弧部11bとで構成し、幅方向Y及び高さ方向Zで構成する仮想平面(図示省略)に沿うとともに、厚み方向Xに所定の厚みを有している。
【0032】
また、操作部本体11を構成する本体基部11aと円弧部11bとの境界付近に、厚み方向Xの正面から厚み方向後方Xbに向かうとともに、所定の高さを有する凹状の凹部12を設け、凹部12によって厚み方向Xに薄肉化された薄肉部13によって、本体基部11aと円弧部11bとを背面側Xbで連結している。
また、薄肉部13より下方の本体基部11aは、正面視略三角形状となり、中立固定ピン1を挿着する際に、操作者によって握持して挿入操作を行う握持部14として機能している。
【0033】
薄肉連結部40は、操作部本体11と厚み方向後方Xbが面一となり、厚み方向Xの厚さが高さ方向Zの高さに比べて薄い薄肉で構成している。そのため、薄肉部13と薄肉連結部40とは、操作部10において厚み方向後方Xbに配置されることとなる。
【0034】
突出支持部20は、操作部本体11の本体基部11aの下端と、後述する挿入部30の上端との間において、操作部10の背面より厚み方向後方Xbに延びる背面側突出支持部21と、操作部10の正面より厚み方向前方Xaに延びる正面側突出支持部22とがある。
【0035】
背面側突出支持部21は、操作部10の背面より厚み方向後方Xbに延びる、下向きに開口する逆凹状であり、高さ方向Zにおいて、上面21aが操作部10の下端10aの位置となるように配置されている。
【0036】
正面側突出支持部22は、操作部10の正面より厚み方向前方Xaに延びる、下向きに開口する逆凹状であり、高さ方向Zにおいて、上面22aが操作部10の下端の位置となるように配置されるとともに、厚み方向Xにおいて背面側突出支持部21と直線状となるように構成している。
【0037】
正面側突出支持部22の正面側において、下側が凹状となる下側凹部22bが形成されるとともに、正面側の端部に褄壁22cを備え、褄壁22cの下端から下方に延びる嵌合凸部22dを備えている。なお、嵌合凸部22dの下端は、背面側突出支持部21の下端面21b及び正面側突出支持部22における背面側の下端面22eと、高さ方向Zにおいて対応する高さに形成している。
また、正面側突出支持部22は、背面側突出支持部21に比べて、厚み方向Xにおいて2倍程度の長さで形成している。
【0038】
突出支持部20より高さ方向Zの下方に延びる挿入部30は、後述するSRC100の内部に挿入され、固定される部分であり、厚み方向前方Xaが開放された断面凹字状の直線棒状であり、下端にSRC100への挿入を容易にするための幅方向Yのテーパー部31を形成している。
【0039】
さらに、挿入部30の厚み方向前方Xaの面における下方に、厚み方向前方Xaに突出し、幅方向Yの直線状に形成した係止部32を備えている。
なお、係止部32における幅方向Yの中央部分には、係止部32を分断する高さ方向Zのスリット33が形成されている。
【0040】
このように各要素(10,20,30)が構成された中立固定ピン1を挿着して回転固定するSRC100は、コンビネーションスイッチ側(下方側)に固定するステータ110と、ステアリングホイール側(上方側)に位置し、ステータ110に対して相対回転可能なロテータ130と、ステータ110とロテータ130とによって内部に形成された環状の収容空間Sに巻き回して配置されたFFC(図示省略)とで構成するとともに、平面視中央に図示省略するステアリングシャフトを貫通する貫通孔Hを有した円筒状に形成している。
【0041】
図示省略するFFCは、所定間隔を隔てて幅方向Wに一列に配置した複数の平角導体と、これら複数の平角導体を並列配置し、表裏方向の両側から絶縁被覆で覆って構成している。
【0042】
ステータ110は、ステアリングコラムに取り付けたコンビネーションスイッチ(図示省略)に固定され、中央に円形の孔を有した略円環状に形成し、SRC100の底面を構成するリング状のステータ本体111と、軸方向の上下方向で開口する筒状に構成し、SRC100の円筒状の外周面を構成するサブステータ120とを組付けて構成している。
【0043】
ステータ本体111は、サブステータ120を固定する位置よりも外周側においてステータ側コネクタ部112を下方へ突出するように備えるとともに、ステータ側コネクタ部112を含めてステータ本体111の外縁に沿って所定の高さの側周部113を備え、側周部113から上方に突出するように、所定間隔を隔てて、サブステータ120と係合して固定する係合枠体114を複数備えている。
【0044】
ステータ側コネクタ部112は、収容空間Sにおいて巻き回した状態のFFCの外周側の端部と接続され、コンビネーションスイッチ側の外部コネクタと接続可能に形成している。
【0045】
サブステータ120は、円筒状の側壁本体121と、上述のステータ側コネクタ部112の上部をカバーするカバー部122とで構成している。
側壁本体121の外周面には、ステータ本体111の側周部113の上面に当接する外周当接部123を、上述の係合枠体114同士の間に対応する箇所に備え、係合枠体114に対応する箇所には、係合枠体114に係合する係合爪124を備えている。
【0046】
また、カバー部122には、側壁本体121の中心に対して接線方向の平面視矩形状で、中立固定ピン1の挿入部30が挿入される挿入開口125を設け、挿入開口125の下方となるカバー部122の内部には、挿入部30の係止部32が係止する被係止突部126を、挿着状態の係止部32に対応する位置に備えている(図8参照)。
【0047】
ロテータ130は、ステータ110との間に、図示しないFFCを収容するための環状の収容空間Sを形成できるように、ステータ110のサブステータ120の上端に被さる平面視リング状の天板部131と、この天板部131の内周縁から軸方向の下方に向かって突設された内周部132とで片断面L字状となるように、一体に構成している。
【0048】
また、ロテータ130の天板部131の上面には、ロテータ側コネクタ133が高さ方向Zの上方に向けて突設され、ロテータ側コネクタ133は、収容空間SにおいてFFCの内周側の端部と接続されるとともに、ステアリングホイール側のホーンやエアーバックシステムなどに接続された外部コネクタと接続可能に形成している。
【0049】
また、天板部131の上面におけるロテータ側コネクタ133と対向する位置には、挿着状態の中立固定ピン1の突出支持部20の嵌合凸部22dが嵌合する嵌合凹部134を設けている。
なお、ロテータ130は、ステータ本体111の下方に配置された、円筒状の固定リング140によって、ステータ本体111の貫通孔Hを介して、ステータ110を上下から挟み込むようにして、相対回転可能に固定されている。
【0050】
このように各要素が構成されたステータ110とロテータ130とを相対回転可能に組付けて構成するSRC100は、ステータ側コネクタ部112及びロテータ側コネクタ133と接続したFFCを巻き回して収容空間Sに収容しているため、ステータ側コネクタ部112に対してロテータ側コネクタ133は電気的に接続された状態で相対回転することができる。
【0051】
しかし、SRC100は、車体に組み付ける際、あるいはステアリングホイールを組み付ける際に、ロテータ130がステータ110に対して相対回転すると、FFCの巻き付け状態に偏りが生じるため、ステアリングホイールの回転方向の中立位置と、回転コネクタ装置の中立位置とにズレが生じたまま組み付けられると、ステアリングホイールを操舵した際、FFCが破断するおそれがある。
【0052】
そこで、SRC100において、ステータ110に対してロテータ130が中立位置となるように配置した状態で、握持部14を握持して、挿入開口125から中立固定ピン1の挿入部30を挿入するとともに、正面側突出支持部22の嵌合凸部22dをロテータ130の上面に設けた嵌合凹部134に嵌合させることでSRC100を中立位置で固定することができる。
【0053】
このとき、サブステータ120におけるカバー部122の内部において、挿入部30の係止部32は、カバー部122の内部に形成した被係止突部126と係止する。
【0054】
詳述すると、挿入開口125を通り、Z方向の上方から下方に向かってカバー部122の内部に挿入された挿入部30の係止部32は、被係止突部126を押し付けながら被係止突部126を乗り越えて下方移動し、被係止突部126に対して高さ方向Zに係止する。このとき、挿入部30に形成した係止部32の中間にスリット33を設けているため、係止部32は、スリット33に向かって弾性変形するため、被係止突部126を乗り越えて係止する係止部32は、元の形状に戻り確実に係止することができる。
【0055】
このように、カバー部122内部において被係止突部126に対して係止部32が上下方向に係止して、サブステータ120に対して挿入部30が高さ方向Zに位置固定された挿着状態では、突出支持部20がサブステータ120の中心を通る法線方向に沿って配置されるとともに、背面側突出支持部21が挿入開口125より径外側でカバー部122の上面122aに当接する。
【0056】
さらに、正面側突出支持部22は挿入開口125より径内側で側壁本体121の外縁上面に当接するとともに、ロテータ130の嵌合凹部134に嵌合凸部22dが嵌合する(図5参照)。これにより、ロテータ130はサブステータ120に対して回転固定され、サブステータ120を介してステータ110に対して回転固定され、SRC100の中立位置を固定することができる。
【0057】
なお、このようにしてSRC100に対して挿着された中立固定ピン1の操作部10は、SRC100の中心に対する接線方向に沿った向きとなり、SRC100の上面、つまりロテータ130及びサブステータ120の上面から大きく突出する。
【0058】
したがって、挿入部30をSRC100の内部に挿入する挿着状態において、SRC100の外部に突出する操作部10により、中立固定ピン1が挿着されていることを外部から明らかに目視できるとともに、取り外し操作がしやすい。
【0059】
しかしながら、このように、SRC100の外部に突出する操作部10に対して、例えば、SRC100の組み付け作業中に何かと接触するなどによって予期せぬ厚み方向Xの外力Fが作用すると、操作部10の根元部、つまり操作部10におけるSRC100の上面置部分を支点とした回転力として挿入部30に離脱方向(高さ方向Zの上向き)の力が作用して中立固定ピンが外れるが、本実施例の中立固定ピン1の操作部10に厚み方向Xの予期せぬ厚み方向Xの外力Fが作用しても、薄肉部13によって、操作部10は厚み方向Xに傾倒するため(図5参照)、上述のような操作部10におけるSRC100の薄肉部130の上面位置を支点とした回転力として挿入部30に離脱方向の力が作用して、中立固定ピン1が不用意に離脱することを防止できる。
【0060】
仮に、傾倒性の高い薄肉部13と同じ厚みで操作部本体11を構成した場合において、予期せぬ外力Fが作用しても、外力Fが作用した方向に傾倒するため、上述のような操作部10におけるSRC100の外面位置部分を支点とした回転力として薄肉部13に離脱方向の力が作用して、不用意に離脱することを防止できるが、傾倒性の高い薄肉部13と同じ厚みの操作部本体11は自立できず、取り外し操作がしにくくなる。
【0061】
したがって、この発明は、挿着状態の中立固定ピン1を明らかに目視できるとともに、取り外し操作がしやすく、さらには、SRC100の外部に突出する操作部に予期せぬ外力が作用した場合であっても、不用意に回転固定具が外れることを防止できる。
【0062】
逆に、図5で示す厚み方向Xの外力Fとは逆向きの外力が作用した場合であっても、薄肉部13を構成する凹部12の空間を変形空間として、傾倒することができる。
【0063】
また、操作部10を、一部が開放された開環状の操作部本体11と、操作部本体11における開放部を連結する、操作部本体11より変形性の高い薄肉連結部40とで構成し、操作部本体11に薄肉部13を配置しているため、SRC100に対して中立固定ピン1を容易に離脱することができる。
【0064】
詳述すると、操作部10を一部が開放された開環状の操作部本体のみで構成した場合、SRC100に対する中立固定ピンの離脱操作のために離脱方向の力を作用させると、開環状の操作部本体が変形し、離脱操作のための力が偏心して挿脱方向に十分な力を作用させることができず、離脱操作のために余分な力が必要になるとともに、変形によって操作距離が大きくなる。これに対し、一部が開放された開環状の操作部本体11と、操作部本体11における開放部を連結する薄肉連結部40とで構成する操作部10は離脱操作による変形を低減でき、容易に離脱することができる。
【0065】
また、薄肉部13を操作部本体11に設けているが、もともと閉環状の操作部本体のみで操作部を構成する場合に比べて、一部が開放された開環状の操作部本体11と、操作部本体11における開放部を連結する、操作部本体11より変形性の高い薄肉連結部40とで構成する操作部10は傾倒性が向上し、操作部10に予期せぬ厚み方向Xの外力Fが作用しても確実に傾倒することができる。
【0066】
また、幅方向Y及び高さ方向Zで構成する仮想平面に沿うとともに、所定の厚みを有する操作部本体11に、厚み方向Xに凹む凹部12によって薄肉部13を設けるとともに、厚み方向Xに薄肉な薄肉連結部40を設けることで、離脱操作に要する所望の強度を有する操作部10を構成し、予期せぬ厚み方向Xの外力Fに対して確実に操作部10を厚み方向Xに傾倒させることができる。また、薄肉連結部40を厚み方向Xに薄肉に構成しているため、厚み方向Xにおいて操作部本体11と比べてより変形性を向上している。
【0067】
また、薄肉連結部40及び薄肉部13を、操作部10における厚み方向後方Xbに配置しているため、傾倒性の高い中立固定ピン1を構成することができる。仮に、薄肉部13を厚み方向後方Xbに配置し、薄肉連結部40を厚み方向前方Xaに配置した場合において、薄肉部13を支点として操作部本体11が傾倒すると、傾倒方向において支点から厚み分さらにシフトした位置にある薄肉連結部40によって操作部本体11の傾倒に抗する負荷が増大し傾倒性が低下するが、薄肉部13及び薄肉連結部40をともに厚み方向後方Xbに配置することで、傾倒方向における傾倒中心となる薄肉部13と薄肉連結部40との距離を近接させることができるため、操作部10の傾倒性を向上することができる。
【0068】
また、挿着状態において、SRC100の外面に対して高さ方向Zに当接し、厚み方向Xの両側に突出して支持する突出支持部20(21,22)を備えることにより、薄肉部13を支点として操作部10を傾倒させ、挿入部30に離脱方向の力が作用することを確実に防止することができる。
【0069】
詳述すると、SRC100の外部に突出する操作部10に予期せぬ厚み方向Xの外力Fが作用しても、突出支持部20がSRC100の上面に対して突っ張るように当接するため、突出支持部20より内部側の挿入部30に外力Fが作用することを防止できる。したがって、予期せぬ厚み方向Xの外力Fは操作部10のみに作用し、薄肉部13を支点として操作部10を確実に傾倒させ、中立固定ピン1が不用意に外れることをさらに確実に防止することができる。
【0070】
また、挿着状態において、突出支持部20が、サブステータ120の内側に配置される略円盤状のロテータ130と、ステータ110との両方に当接することにより、より確実に傾倒させることができる。
【0071】
また、挿入部30に、SRC100の内部の被係止突部126に対して離脱方向に係止する係止部32を備えるとともに、係止部32に、係止部32が弾性変形可能なスリット33を設けることにより、挿着状態においてSRC100の内部の被係止突部126に対して離脱方向に係止する係止部32が弾性変形できるため、挿脱操作による被係止突部126に対する係脱時に塑性変形することなく、挿脱を繰り返しても、被係止突部126に対して係止部32を確実に係止させることができ、中立固定ピン1を複数回挿脱して使用することができる。
【0072】
この発明の構成と、実施形態との対応において、この発明のケーブル収容空間は、収容空間Sに対応し、
以下同様に、
帯状のケーブルは、FFCに対応し、
回転コネクタ装置は、SRC100に対応し、
回転固定具は、中立固定ピン1に対応し、
連結部は、薄肉連結部40に対応し、
挿入方向は、高さ方向Zに対応し、
交差方向は、厚み方向Xに対応し、
交差方向の一方は、厚み方向前方Xaに対応し、
直交方向は、幅方向Yに対応し、
底板体は、ステータ本体111に対応し、
側壁体は、サブステータ120に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。例えば、上述の説明において、操作部10に対して厚み方向Xの外力Fが作用して厚み方向Xに傾倒するように説明したが、厚み方向Xの外力Fのみならず、厚み方向Xに交差する方向や、厚み方向Xに対して高さ方向Zに傾倒する方向の外力Fであっても、薄肉部13及び薄肉連結部40よって、操作部10を傾倒させることができる。
【0073】
また、上述の説明におけるSRC100では、収容空間SにFFCのみを収容するように説明したが、自転可能なローラを有するリテーナをステータ110に対して相対回転可能に収容空間Sに収容し、リテーナにFFCを巻き付けて構成してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…中立固定ピン
10…操作部
11…操作部本体
12…凹部
13…薄肉部
20…突出支持部
30…挿入部
32…係止部
33…スリット
40…薄肉連結部
100…SRC
110…ステータ
111…ステータ本体
120…サブステータ
125…挿入開口
130…ロテータ
S…収容空間
X…厚み方向
Xa…厚み方向前方
Y…幅方向
Z…高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8