特許第6440626号(P6440626)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6440626端子、ワイヤハーネスおよびワイヤハーネス構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6440626
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】端子、ワイヤハーネスおよびワイヤハーネス構造体
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/18 20060101AFI20181210BHJP
   H01R 4/62 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   H01R4/18 A
   H01R4/62 A
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-542626(P2015-542626)
(86)(22)【出願日】2014年10月15日
(86)【国際出願番号】JP2014077385
(87)【国際公開番号】WO2015056691
(87)【国際公開日】20150423
【審査請求日】2017年7月13日
(31)【優先権主張番号】特願2013-214652(P2013-214652)
(32)【優先日】2013年10月15日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-214672(P2013-214672)
(32)【優先日】2013年10月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】川村 幸大
(72)【発明者】
【氏名】外池 翔
(72)【発明者】
【氏名】桑原 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】寺島 隆介
【審査官】 板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/122622(WO,A1)
【文献】 特開2013−062206(JP,A)
【文献】 特開2010−186692(JP,A)
【文献】 特開2002−184479(JP,A)
【文献】 特開2004−071437(JP,A)
【文献】 特開2013−048078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/18
H01R 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆導線と圧着により接続される端子であって、
端子本体と筒状の圧着部とがトランジション部を介して一体に形成され、
前記被覆導線と圧着される前の前記圧着部は、前記被覆導線が挿入される部位を除き、他の部位が封止されており、
前記トランジション部の少なくとも一部には、前記圧着部の前記トランジション部側に設けられる封止部から前記端子本体の側部に向かって連続する面が形成され、前記封止部から前記端子本体の側部に向かって、前記トランジション部の底部と、前記面とが離れていくことを特徴とする端子。
【請求項2】
被覆導線と接続される端子であって、
端子本体と筒状の圧着部とがトランジション部を介して一体に形成され、
前記圧着部は、前記被覆導線が挿入される部位を除き、他の部位が封止されており、
前記端子本体の側部であって、前記端子本体の前記トランジション部との接続部と、前記端子本体の上部との間の少なくとも一部に、切欠きが形成されており、
前記トランジション部の少なくとも一部には、前記圧着部の前記トランジション部側に設けられる封止部から前記端子本体の側部に向かって連続する面が形成されており
前記封止部は、下板と上板とが重ね合わさって形成されており、
前記面は、前記封止部から前記端子本体に向かって、前記トランジション部の底部から徐々に離れるとともに、縁部が徐々に外側に開いていき、前記切欠きへつながって、前記封止部の上板が前記端子本体の側部に一体で連続することを特徴とする端子。
【請求項3】
前記封止部は、側部の板材が折り曲げられ、底部と上面側とが重なるように封止されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の端子。
【請求項4】
前記封止部は、下板と上板とが重ね合わさって形成されており、
前記封止部を構成する前記上板が前記端子本体の側部まで連続して一体に形成されたことで前記面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の端子。
【請求項5】
前記面は、断面において上方に向かって湾曲する湾曲面であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の端子。
【請求項6】
前記圧着部の端部であって、前記トランジション部側に設けられる前記封止部は、前記圧着部の全幅にわたって封止され、
平面視において、前記封止部の前記トランジション部側の縁部は、前記封止部の幅方向中央が、前記封止部の幅方向の両側に対して、前記トランジション部側に張り出すように形成されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の端子。
【請求項7】
前記端子本体の側部であって、前記端子本体の前記トランジション部との接続部と、前記端子本体の上部との間の少なくとも一部に、切欠きが形成されることを特徴とする請求項1記載の端子。
【請求項8】
前記切欠きは、前記端子本体の側部において、前記端子本体の上部に達する部位まで形成されることを特徴とする請求項2または請求項7記載の端子。
【請求項9】
前記端子本体の上部の一部に切欠きを有し、前記端子本体の側面から前記端子本体の上面まで連続して切欠きが形成されることを特徴とする請求項2または請求項7記載の端子。
【請求項10】
被覆導線と端子とが接続されるワイヤハーネスであって、
前記端子は、端子本体と筒状の圧着部とがトランジション部を介して一体に形成され、
前記圧着部は、前記被覆導線が挿入される部位を除き、他の部位が封止され、前記圧着部に、前記被覆導線が圧着されており、
前記端子本体の側部であって、前記端子本体の前記トランジション部との接続部と、前記端子本体の上部との間の少なくとも一部に、切欠きが形成されており、
前記トランジション部の少なくとも一部には、前記圧着部の前記トランジション部側に設けられる封止部から前記端子本体の側部に向かって連続する湾曲面が形成されており
前記封止部は、下板と上板とが重ね合わさって形成されており、
前記湾曲面は、前記封止部から前記端子本体に向かって、前記トランジション部の底部から徐々に離れるとともに、縁部が徐々に外側に開いていき、前記切欠きへつながって、前記封止部の上板が前記端子本体の側部に一体で連続することを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項11】
被覆導線と端子とが接続されるワイヤハーネスであって、
前記端子は、端子本体と筒状の圧着部とがトランジション部を介して一体に形成され、
前記圧着部は、前記被覆導線が挿入される部位を除き、他の部位が封止され、前記圧着部に、前記被覆導線が圧着されており、
前記トランジション部の少なくとも一部には、前記トランジション部側に設けられる封止部から前記端子本体の側部に向かって連続する湾曲面が形成され、前記封止部から前記端子本体の側部に向かって、前記トランジション部の底部と、前記湾曲面とが離れていき
前記圧着部の端部であって、前記トランジション部側に設けられる前記封止部は、前記圧着部の全幅にわたって封止され、
平面視において、前記封止部の前記トランジション部側の縁部は、前記封止部の幅方向中央が、前記封止部の幅方向の両側に対して、前記トランジション部側に張り出すように形成されることを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項12】
前記被覆導線の導線がアルミニウム系材料で構成されることを特徴とする請求項10または請求項11記載のワイヤハーネス。
【請求項13】
前記封止部は、側部の板材が折り曲げられ、底部と上面側とが重なるように封止されることを特徴とする請求項10または請求項11記載のワイヤハーネス。
【請求項14】
前記切欠きは、前記端子本体の側部において、前記端子本体の上部に達する部位まで形成されることを特徴とする請求項10記載のワイヤハーネス。
【請求項15】
前記端子本体の上部の一部に切欠きを有し、前記端子本体の側面から前記端子本体の上面まで連続して切欠きが形成されることを特徴とする請求項10記載のワイヤハーネス。
【請求項16】
請求項10から請求項15のいずれかに記載のワイヤハーネスが複数本束ねられたこと特徴とするワイヤハーネス構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車等に用いられるワイヤハーネス等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用ワイヤハーネスにおける電線と端子との接続は、オープンバレル型と呼ばれる端子で電線をかしめて圧着する圧着接合が一般的である。しかし、このようなワイヤハーネスでは、電線と端子の接続部分に水分等が付着してしまうと、電線に用いられる金属表面の酸化が進み、接合部における抵抗が増加してしまう。また電線と端子に用いられる金属が異なる場合、異種金属間腐食が進んでしまう。当該接続部分における金属材料の腐食の進行は、接続部分の割れや接触不良の原因となり、製品寿命への影響を免れない。特に近年では、電線をアルミニウム合金とし、端子を銅合金とするワイヤハーネスが実用化されつつあり、接合部の腐食の課題が顕著になってきている。
【0003】
ここで、例えばアルミニウムと銅のような異種金属の接触部分に水分が付着すると、腐食電位の違いから、いわゆる電食が発生する恐れがある。特に、アルミニウムと銅との電位差は大きいから、電気的に卑であるアルミニウム側の腐食が進行する。このため、導線と圧着端子との接続状態が不安定となり、接触抵抗の増加や線径の減少による電気抵抗の増大、さらには断線が生じて電装部品の誤動作、機能停止に至る恐れがある。
【0004】
このような異種金属が接触するワイヤハーネスにおいて、電線と圧着端子との接続部を覆うように樹脂材を充填したものがある(特許文献1)。樹脂材を充填することによって、電線と圧着端子との接触部分に水分が付着するのを防止する。
【0005】
また、一端閉塞型の筒状圧着部を有する端子を用い、この筒状圧着部内に電線の端部を挿入した後、該筒状圧着部をかしめ加工により圧着して、芯線端部を雨水や海水等の付着から保護する方法が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−111058号公報
【特許文献2】特開2006−331931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の方法では、樹脂材を別途充填しなければならないので、製造工程が複雑になり、その分、製造工程における管理も複雑化するという問題が生じる。また、工程が複雑になった分、ワイヤハーネス全体のコストも上がってしまう。
【0008】
また、特許文献2のように、圧着部の端部を封止すると、端子部と圧着部との間の強度が不足し、製造時または使用時において破損の恐れがある。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、トランジション部の強度を向上することが可能な端子、これを用いたワイヤハーネスおよびワイヤハーネス構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために第1の発明は、被覆導線と圧着により接続される端子であって、端子本体と筒状の圧着部とがトランジション部を介して一体に形成され、前記被覆導線と圧着される前の前記圧着部は、前記被覆導線が挿入される部位を除き、他の部位が封止されており、前記トランジション部の少なくとも一部には、前記圧着部の前記トランジション部側に設けられる封止部から前記端子本体の側部に向かって連続する面が形成され、前記封止部から前記端子本体の側部に向かって、前記トランジション部の底部と、前記面とが離れていくことを特徴とする端子である。
また第2の発明は、被覆導線と接続される端子であって、端子本体と筒状の圧着部とがトランジション部を介して一体に形成され、前記圧着部は、前記被覆導線が挿入される部位を除き、他の部位が封止されており、前記端子本体の側部であって、前記端子本体の前記トランジション部との接続部と、前記端子本体の上部との間の少なくとも一部に、切欠きが形成されており、前記トランジション部の少なくとも一部には、前記圧着部の前記トランジション部側に設けられる封止部から前記端子本体の側部に向かって連続する面が形成されており、前記封止部は、下板と上板とが重ね合わさって形成されており、前記面は、前記封止部側から前記端子本体側に向かって、前記トランジション部の底部から徐々に離れるとともに、縁部が徐々に外側に開いていき、前記切欠きへつながって、前記封止部の上板が前記端子本体の側部に一体で連続することを特徴とする端子である。
【0011】
前記封止部は、下板と上板とが重ね合わさって形成されており、前記封止部を構成する前記上板が前記端子本体の側部まで連続して一体に形成されたことで前記面が形成されることが望ましい。前記面は、断面において上方に向かって湾曲する湾曲面であることが望ましい。
【0012】
前記圧着部の端部であって、前記トランジション部側に設けられる封止部は、前記圧着部の全幅にわたって封止され、平面視において、前記封止部の前記トランジション部側の縁部は、前記封止部の幅方向中央が、前記封止部の幅方向の両側に対して、前記トランジション部側に張り出すように形成されてもよい。
【0013】
前記端子本体の側部であって、前記端子本体の前記トランジション部との接続部と、前記端子本体の上部との間の少なくとも一部に、切欠きが形成されてもよい。
【0014】
前記切欠きは、前記端子本体の側面から前記端子本体の上面まで連続して形成されてもよい。
【0015】
第1、第2の発明によれば、トランジション部に、封止部から端子本体の側面まで連続する面を形成し、トランジション部底部から徐々に離れていくように立ち上げることで、トランジション部の強度を向上することができる。
【0016】
この際、面の形状を、上方または下方に湾曲するように形成することで、応力集中部が形成されにくく、強度向上の効果を確実に得ることができる。
【0017】
また、封止部の形状を、中央部がトランジション部側に張り出すように形成することで、前述した面の立ち上がりをなだらかに形成することができる。
【0018】
また、トランジション部から端子本体への接続部において、端子本体の側面に切欠きを形成するため、トランジション部の側面の急激な立ち上がり部をなくすことができる。このため、端子本体の上縁部と封止部との距離が長くなり、応力集中を緩和することができる。また、切欠きを形成することで、トランジション部の長さを長くする必要がなく、端子全体の長さが長くなることを防止することができる。
【0019】
このような切欠きは、端子本体の上部まで連続させてもよい。このようにすることで、成形時または使用時の応力集中をより緩和することができる。
【0020】
の発明は、被覆導線と端子とが接続されるワイヤハーネスであって、前記端子は、端子本体と筒状の圧着部とがトランジション部を介して一体に形成され、前記圧着部は、前記被覆導線が挿入される部位を除き、他の部位が封止され、前記圧着部に、前記被覆導線が圧着されており、前記端子本体の側部であって、前記端子本体の前記トランジション部との接続部と、前記端子本体の上部との間の少なくとも一部に、切欠きが形成されており、前記トランジション部の少なくとも一部には、前記圧着部の前記トランジション部側に設けられる封止部から前記端子本体の側部に向かって連続する湾曲面が形成されており前記封止部は、下板と上板とが重ね合わさって形成されており、前記湾曲面は、前記封止部から前記端子本体に向かって、前記トランジション部の底部から徐々に離れるともに、縁部が徐々に外側に開いていき、前記切欠きへつながって、前記封止部の上板が前記端子本体の側部に一体で連続することを特徴とするワイヤハーネスである。
【0021】
第4の発明は、被覆導線と端子とが接続されるワイヤハーネスであって、前記端子は、端子本体と筒状の圧着部とがトランジション部を介して一体に形成され、前記圧着部は、前記被覆導線が挿入される部位を除き、他の部位が封止され、前記圧着部に、前記被覆導線が圧着されており、前記トランジション部の少なくとも一部には、前記トランジション部側に設けられる封止部から前記端子本体の側部に向かって連続する湾曲面が形成され、前記封止部から前記端子本体の側部に向かって、前記トランジション部の底部と、前記湾曲面とが離れていき、前記圧着部の端部であって、前記トランジション部側に設けられる前記封止部は、前記圧着部の全幅にわたって封止され、平面視において、前記封止部の前記トランジション部側の縁部は、前記封止部の幅方向中央が、前記封止部の幅方向の両側に対して、前記トランジション部側に張り出すように形成されることを特徴とするワイヤハーネスである
【0022】
前記端子本体の側部であって、前記端子本体の前記トランジション部との接続部と、前記端子本体の上部との間の少なくとも一部に、切欠きが形成されてもよい。
【0023】
前記被覆導線の導線がアルミニウム系材料で構成されてもよい。
【0024】
3、第4の発明によれば、トランジション部に、封止部から端子本体の側面まで連続する面を形成し、トランジション部底部から徐々に離れていくように立ち上げることで、トランジション部の強度を向上し、端子の破損を抑制することができる。
【0025】
また、封止部の形状を、中央部がトランジション部側に張り出すように形成することで、前述した面の立ち上がりをなだらかに形成し、端子の破損を抑制することができる。
【0026】
また、切欠きによって、端子長さを長くすることなく、封止部から端子本体までの立ち上がり部に応力が集中することを防止することができる。
【0027】
の発明は、第3、第4の発明によるワイヤハーネスが複数本束ねられたことを特徴とするワイヤハーネス構造体。
【0028】
本発明では、複数本のワイヤハーネスを束ねて用いることもできる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、トランジション部の強度を向上することが可能な端子、これを用いたワイヤハーネスおよびワイヤハーネス構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】端子1を示す斜視図。
図2】(a)は、端子1の縦断面図であり、(b)は(a)のC−C線断面図。
図3】(a)、(b)は、トランジション部4の平面図。
図4】ワイヤハーネスの圧着工程を示す図で、(a)は圧着前、(b)は圧着後を示す斜視図。
図5】端子1aを示す斜視図。
図6】(a)は、端子1aの縦断面図であり、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(a)のB−B線断面図。
図7】端子1bを示す縦断面図。
図8】端子1cを示す斜視図。
図9】端子1dを示す縦断面図。
図10】端子1eを示す縦断面図。
図11】(a)、(b)は、トランジション部4の平面図であって、封止部22の他の形態を示す図。
図12】端子1fを示す斜視図。
図13】(a)は、端子1fの縦断面図であり、(b)は(a)のD−D線断面図、(c)は(a)のE−E線断面図。
図14】(a)、(b)は、切欠き12の他の態様を示す図。
図15】端子1fの他の態様を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1の実施の形態)
以下、図面に基づいて、本発明の第1の実施の形態について詳細に説明する。図1は、端子1の斜視図であり、図2(a)は、端子1の縦断面図である。
【0032】
図1図2(a)に示すように、端子1は、端子本体3と圧着部5とからなる。端子本体3と圧着部5との間がトランジション部4となる。トランジション部4は、封止部22から、少なくとも端子本体3の底部および側部に連続するように形成される。
【0033】
端子1は、銅製である。端子本体3は、所定の形状の板材を、断面が矩形の筒体に形成したものである。端子本体3は、前端部17に、板材を矩形の筒体内に折り込んで形成される弾性接触片15を有する。端子本体3は、前端部17から雄端子などが挿入されて接続される。
【0034】
圧着部5は、断面が円形の筒体となるように丸められ、側縁部同士を突き合わせて接合部21で接合して一体化することにより形成される。なお、以下の説明において、圧着部5の縁端部同士を接合した側(図2(a)の上側)を端子の上方とし、その対向面側(図2(a)の下側)を端子の下方とする。筒状に形成された圧着部5の後端部19から、後述する被覆導線23が挿入される。また、圧着部5の前端部(端子本体3側)には封止部22が設けられる。封止部22は、端子本体3の底部(下板)と、上面側(上板)の板部が重なるように封止される。すなわち、圧着部5は、被覆導線23が挿入される後端部19以外は、封止される。なお、接合部21および封止部22は、例えばレーザ溶接等によって溶接される。
【0035】
トランジション部4は、上方に向けて形成された面14を有する。図2(b)は図2(a)のC−C線断面図である。面14は、底部6aに対向するように上方(上側方)に向けて形成された面(湾曲面)である。すなわち、トランジション部4は、断面において、側部8aの上縁部が内側に折り曲げられた形状となる。
【0036】
面14は、封止部22側から、端子本体3側に行くにつれて、底部6a(下板)から上板が徐々に離れていくとともに(距離を広げながら)、縁部が外側に徐々に開いていき、封止部22の上板が端子本体3の側部8bに一体で連続する。すなわち、封止部22との境界部において面14は上面を向いている状態であり、側部8bとの境界部において面14は側方に向く(面14の面(法線)方向は、封止部22から側部8bまでの間で約90度回転する)。言い換えると、封止部22における上板の面方向を基準とすると、封止部22の境界部からの面14の面方向の回転角度は、封止部22からの距離に応じて単調に変化(増加)する。また、断面において、面14は、封止部22の端部から上方に向けて湾曲するように傾斜して形成される。このように上方に向けて湾曲させるためには、封止部22の上板と下板とをつぶすための金型31a、31bの一部に、面14の形状に応じた切欠き33を形成すればよい(図2(a))。
【0037】
図3は、トランジション部4の部分平面図である。面14は、封止部22の端部から端子本体3側(図中下側)に向かって、底部から徐々に離れながら、外側に徐々に広がる。この際、図3(a)に示すように、面14の端部(封止部22との接続部)は、封止部22の中央から外側にずれた位置としてもよく、図3(b)に示すように、封止部22の略中央とすることもできる。
【0038】
このように、面14の形態は特に限定されず、封止部22の端部では、底部6aと面14とが接触しており、端子本体3側に行くにつれて、底部6aの上面と面14の下面とが徐々に離れていけばよい。また、封止部22の端部では、面14と底部6aがほぼ平行であり、端子本体3側に行くにつれて、面14の縁部が外側に徐々に立ち上がって側部8bに連続すればよい。
【0039】
次に、ワイヤハーネスを形成する工程について説明する。図4は、端子1と被覆導線23との接続工程を示す図である。まず、図4(a)に示すように、筒状の圧着部5に被覆導線23を挿入する。前述したように、圧着部5は、略筒状に丸められて、縁部同士が接合部21で接合される。また、圧着部5の前端部(端子本体3側)には封止部22が設けられる。すなわち、圧着部5は、被覆導線23が挿入される後端部19以外は、封止される。
【0040】
被覆導線23は、導線25が絶縁性の被覆部27によって被覆される。導線25は、例えばアルミニウム系材料製である。被覆導線23を圧着部5に挿入する際には、被覆導線23の先端の一部の被覆部27が剥離され、導線25を露出させておく。なお、被覆部27としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン等、この技術の分野において通常用いられるものを選択することができる。
【0041】
次に、図4(b)に示すように、図示を省略した金型によって、圧着部5を圧縮する。これにより、圧着部5が導線25および被覆部27と圧着される。圧着後には、圧着部5と被覆部27との密着によって圧着部5を封止することができる。この際、圧着部5の後端部19以外の他の部位は、接合部21および封止部22によって水密に封止されるため、圧着部5への水分の浸入を防止することができる。以上により、ワイヤハーネス30が製造される。
【0042】
本実施の形態によれば、封止部22から端子本体3までの間に、面14が設けられるため、トランジション部4の強度が向上する。このため、端子1の成形時や使用時に、トランジション部4が破損することを防止することができる。
【0043】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。図5は、第2の実施の形態にかかる端子1aを示す斜視図であり、図6(a)は、端子1aの縦断面図である。なお、以下の説明において、端子1と同一の機能を奏する構成については、図1等と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0044】
端子1aは、端子1と略同様の構成であるが、端子本体3の側面の一部に切欠き12が形成される点で異なる。トランジション部4は、封止部22の端部(トランジション部4側)から面14を介して切欠き12へつながるように形成される。すなわち、トランジション部4の底部は、端子本体3の底部に連続し、トランジション部4の封止部22から立ち上がる側部の少なくとも一部および面14が、端子本体3の側部8bに連続する。
【0045】
図6(b)は、図6(a)のA−A線断面図であり、図6(c)は、図6(a)のB−B線断面図である。図示した例では、トランジション部4の底部6aと端子本体3の底部6bとが連続する。また、トランジション部4の側部8aおよび面14が封止部22側から徐々に立ち上がり、端子本体3の側部8bに形成された切欠き12と連続する。
【0046】
ここで、トランジション部4の側面(壁面)が、封止部22から急激に立ち上がり、端子本体3の側面または上面に接続すると、トランジション部4の側面の急激な立ち上がり部には、端子の成形時や、使用時において、大きな応力が生じる恐れがある。
【0047】
一方、封止部22から端子本体3までのトランジション部4をなだらかに立ち上げることで、封止部22から端子本体3までの距離を長くすれば、トランジション部4における応力集中を緩和することができる。しかし、端子本体3と圧着部5の必要な長さは規定されており、接続性を考慮すると、端子本体3の上面は規定の長さが必要である。すなわち、端子本体3のみを短くすることができない。したがって、トランジション部4をなだらかに立ち上げると、端子の全長が長くなるという問題がある。
【0048】
これに対し、切欠き12を設けることで、封止部22の端部(トランジション部4側の端部)から、端子本体3へつながる部位の急激な立ち上がりをなだらかにすることができる。このため、端子1の成形時や使用時において、端子本体3に生じた力によって、トランジション部4と端子本体3の境界に生じる応力集中を緩和することができる。
【0049】
また、端子本体3の側部8bに切欠き12が形成されることで、トランジション部4の立ち上がりをなだらかにしても、端子1の全長が長くなることを防止することができる。
【0050】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、端子本体3の側部8bに切欠き12を設けたため、トランジション部4において、側部8aから側部8bまでの立ち上がりをなだらかにすることができる。すなわち、封止部22の端部から端子本体3の上部に向けた急激な立ち上がり(底部6aに対して例えば略垂直な立ち上がり)が形成されることがない。このため、端子本体3と封止部22との距離が離れ、端子本体3に加わった力によって、トランジション部4の基部(封止部22との境界部近傍)や、端子本体3の上部近傍に応力集中が生じることを抑制することができる。
【0051】
この際、トランジション部4のなだらかな立ち上がりは、切欠き12に連続するため、端子1の長さが長くなることがない。
【0052】
また、切欠き12を設けることで、面14の形成がより容易となる。また、面14の立ち上がりが急激になることがない。
【0053】
なお、切欠き12の形状は、図6等に示したものには限られない。すなわち、図6に示すように、側部8bの下方から端子本体の上部に達するまで側部8bに切欠き12を形成するのではなく、他の形態であってもよい。
【0054】
例えば、図7に示す端子1bのように、切欠き12を、端子本体3の上部に達するように形成せず、側部8bの一部を切欠き、端子本体3の上部の縁部(トランジション部4側の上縁部)とつながるように形成してもよい。
【0055】
また、図8に示す端子1cのように、切欠き12は側部8bのみではなく、端子本体3の上部まで連続して形成してもよい。すなわち、切欠き12は、端子本体3の側面から端子本体3の上面まで連続して形成され、端子本体3の上部の一部を切欠いてもよい。このように、端子本体3の長さを確保しつつ、側部および上部の一部に切欠き12を形成しても、同様の効果を得ることができる。このように、本発明においては、切欠き12の形態はいずれでもよい。但し、切欠き12の形状は、できるだけなだらかな曲線で形成することが望ましい。
【0056】
また、面14の形状も、図2等に示したものには限られない。例えば、図9に示す端子1dのように、面14は、下方に向かって湾曲するように形成してもよい。この場合には、湾曲形状に合わせた封止金型を使用すればよい。このような湾曲形状とすることで、より効率よくトランジション部4の強度を向上させることができる。
【0057】
また、図10に示す端子1eのように、面14のような形状を、トランジション部4の上面にのみ形成するのではなく、下面にも形成してもよい。すなわち、封止部22から端子本体3に向かうにつれて、底部6aを下方に膨らむように形成してもよい。すなわち、底部6aから底部6bはまっすぐに形成されず、封止部22を起点に、面14および底部6aが上下にそれぞれ広がるように形成してもよい。
【0058】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。図11は、トランジション部4の部分平面図である。第3の実施形態は、封止部22の封止形状が異なる。すなわち、前述した例では、図3に示すように、封止部22は、端子1の幅方向(図中左右方向)の全体にわたって形成され、封止部22の長さ(図中上下方向の長さ)は幅位置によらず略一定に矩形で形成される。
【0059】
一方、本実施形態では、封止部22の形態が、幅位置によって変化する。図11(a)、図11(b)に示す例では、封止部22の幅方向の両端部に対して、封止部22の幅方向の略中央部近傍がトランジション部4側に張り出した形態となる。すなわち、封止部22は、中央部近傍から封止長さが徐々に短くなるようにテーパ形状を有する。なお、テーパ形状は、直線であっても曲線であってもよい。
【0060】
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。また、封止部22の幅方向の両端部近傍の封止長さを短くすることで、前述した面14をより容易に形成することができる。また、封止部22の両端部近傍において、面14が封止部22側から端子本体3に向けて徐々に底部6aから離れていく形態を、よりなだらかにすることができる。
【0061】
また、封止部22の略中央部は、確実に封止が可能な長さを確保するため、圧着部5の水密性を確保することができる。
【0062】
なお、面14を形成せずに、切欠き12のみを形成することもできる。図12は、端子1fの斜視図であり、図13(a)は、端子1fの縦断面図である。図12図13(a)に示すように、端子1fは、面14が形成されない点を除き、端子1と略同様の構成であり、ワイヤハーネスを形成するための工程も同様である。
【0063】
端子本体3の側面の一部には、切欠き12が設けられる。トランジション部4は、封止部22の端部(トランジション部4側)から切欠き12へつながるように形成される。すなわち、トランジション部4の底部は、端子本体3の底部に連続し、トランジション部4の封止部22から立ち上がる側部の少なくとも一部が、端子本体3の側部に連続する。なお、封止部22の形態は、図3または図11のようにすればよい。
【0064】
図13(b)は、図13(a)のD−D線断面図であり、図13(c)は、図13(a)のE−E線断面図である。図示した例では、トランジション部4の底部6aと端子本体3の底部6bとが連続する。また、トランジション部4の側部8aが封止部22側から徐々に立ち上がり、端子本体3の側部8bに形成された切欠き12と連続する。
【0065】
このように、切欠き12を設けることで、封止部22の端部(トランジション部4側の端部)から、端子本体3へつながる部位の急激な立ち上がりをなだらかにすることができる。このため、端子1の成形時や使用時において、端子本体3に生じた力によって、トランジション部4と端子本体3の境界に生じる応力集中を緩和することができる。
【0066】
この際、端子本体3の側部8bに切欠き12が形成されることで、トランジション部4の立ち上がりをなだらかにしても、端子1の全長が長くなることを防止することができる。
【0067】
なお、切欠き12の形状は、図13等に示したものには限られない。すなわち、図13に示すように、側部8bの下方から端子本体の上部に達するまで側部8bに切欠き12を形成するのではなく、他の形態であってもよい。
【0068】
例えば、図14(a)に示すように、切欠き12を、端子本体3の上部に達するように形成せず、側部8bの一部を切欠き、端子本体3の上部の縁部(トランジション部4側の上縁部)とつながるように形成してもよい。また、図14(b)に示すように、端子本体3の上部までつなげずに、側部8bの一部のみに切欠き12を形成しても、その効果を得ることができる。
【0069】
また、図15に示すように、切欠き12は側部8bのみではなく、端子本体3の上部まで連続して形成してもよい。すなわち、切欠き12は、端子本体3の側面から端子本体3の上面まで連続して形成され、端子本体3の上部の一部を切欠いてもよい。このように、端子本体3の長さを確保しつつ、側部および上部の一部に切欠き12を形成しても、同様の効果を得ることができる。このように、本発明においては、切欠き12の形態はいずれでもよい。但し、切欠き12の形状は、できるだけなだらかな曲線で形成することが望ましい。
【0070】
このような端子1fによれば、トランジション部の応力を緩和するとともに、端子の全長を短くすることが可能となる。
【0071】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0072】
例えば、実施例は、電線にアルミニウムを使った場合を記載したが、これに限定されず、電線に銅を使っても良い。端子についても、銅製に限られず、銅合金や、それらの表面にスズなどのメッキを形成したものを用いてもよい。また、本発明では、前述した各実施形態は、互いに組み合わせることができることは言うまでもない。
【0073】
また、本発明にかかるワイヤハーネスを複数本束ねて使用することもできる。本発明では、このように複数本のワイヤハーネスが束ねられた構造体を、ワイヤハーネス構造体と称する。
【符号の説明】
【0074】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f………端子
3………端子本体
4………トランジション部
5………圧着部
6a、6b………底部
8a、8b………側部
12………切欠き
14………面
15………弾性接触片
17………前端部
19………後端部
21………接合部
22………封止部
23………被覆導線
25………導線
27………被覆部
30………ワイヤハーネス
31a、31b………金型
33………切欠き
図1
図2
図3
図4
図5
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