【実施例】
【0058】
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0059】
[比較例] 従来法(Usual法)による塩化ヘミンの合成
塩化ヘミンはSigma社より入手した(カタログ番号:51280、HPLCで測定した純度は98%以上)。
【0060】
45mgの塩化ヘミンを4.5mLのNaOH溶液に溶解し、1N 塩酸を0.45mL添加した。その後、60℃で攪拌しながら酢酸をpHが4.8になるまで添加した。混合物を室温で一晩静置し、βヘマチン結晶を形成させた。次に遠心分離により沈殿を得、これを2%SDSを含む0.1M 重炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.1)で3回遠心洗浄し、さらに精製水で6〜8回遠心洗浄し、精製水で置換した。
【0061】
Usual法のプロトコールを
図4に示す。Usual法においては、
図4に示すように、精製水で遠心洗浄したときの上清(Usual-supと呼ぶ)及び沈殿(Usual(pellet)と呼ぶ)、並びに該沈殿をオートクレーブ(121℃、20分間)を用いて滅菌して得られたもの(Usual-ACと呼ぶ)を製品として得て特性を検定した。
【0062】
[実施例1] 本発明のHeat法によるβヘマチンの合成
塩化ヘミンは東京化成工業(TCI)社より入手した(カタログ番号:H 0 0 0 8 、キレート法で測定した純度は95%以上)。また、sigma社より入手した塩化ヘミン(HPLCで測定した純度:>98%)も使用し、東京化成工業社より入手したものと同等のβヘマチンを製造できることを確認した。以下、東京化成工業社より入手したものを用いた検討について記載する。
【0063】
塩化ヘミン100mgを1NのNaOH水溶液10mLに溶解し、1NのHCl水溶液1mLを添加した。さらに、酢酸を滴下し、pHを4.5〜4.8に調整した。次いで、塩化ヘミンを含む混合液を80℃以上で、1〜3時間加熱した。加熱はウォーターバスを用いて行った。加熱後、pH9.0のリン酸2Na水溶液で1回遠心洗浄し、さらに精製水で3〜4回遠心洗浄及び置換した。このようにして、βヘマチンを結晶として得た。得られたβヘマチンをHeat-TCIと呼ぶ。オートクレーブ(121℃、20分間)を用いて滅菌してもよい。
【0064】
Heat法のプロトコールを
図3に示す。
【0065】
[実施例2] 本発明のHeat法と従来のUsual法の比較
本発明のHeat法及び従来のUsual法によるβヘマチン合成における、原料の反応率、遠心分離による回収率、原料として用いた塩化ヘミンの残存率を算出した。それぞれの値の算出法は以下のとおりであった。
【0066】
原料の反応率:
薄層クロマトグラフ法でサンプル中のβヘマチンと塩化ヘミンを分離し、別にスポットした塩化ヘミンとの比較で確認した。
【0067】
遠心分離による回収率:
沈殿物を上記2%SDS+0.1M-NaOHを用いて溶解、塩化ヘミンを標準品として吸光度法で定量し算出した。
【0068】
塩化ヘミンの残存率:
薄層クロマトグラフ法でβヘマチンと塩化ヘミンを分離し、別にスポットした塩化ヘミンとの比較で算出した。
【0069】
さらに、Heat法とUsual法で得られたβヘマチン懸濁液の色を目視で確認し、合成したβヘマチン結晶の1次粒子の形状及び径(最長の径)をSEMにより測定し、粒度分布をレーザー回折散乱方式粒度分布計により測定した。粒子の径はポリ-L-リジンでコートしたスライドガラスにβヘマチンを吸着させ、ultra-high resolution FESEM(電界放射型走査電子顕微鏡)(S-4800、日立製作所)を用いて画像を撮影した。βヘマチン懸濁液の粒度分布は、湿式レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(LA-950V2、堀場製作所)を用いて測定した。
【0070】
図5にHeat法及びUsual法における原料の反応率、遠心分離による回収率、塩化ヘミンの残存率、得られたβヘマチンの色、βヘマチンの1次粒子の最長の径及び粒度分布を示す。
【0071】
従来のUsual法における原料の反応率が50〜60%であるのに対して、本発明のHeat法では95%を超えていた。また、遠心回収率はUsual法で得られたUsual(pellet)及びUsual-supではそれぞれ10〜30%及び10〜20%であるのに対して、本発明のHeat法では90〜98%であった。さらに、Usual法で得られたUsual(pellet)、Usual-sup及びUsual-AC中の塩化ヘミンの残存率がそれぞれ、20〜30%、10%前後及び10%前後であるのに対して、本発明のHeat法では2%未満であった。
【0072】
この結果が示すように、Heat法ではβヘマチンを高収率で合成することができ、純度も高かった。
【0073】
一次粒子最長の径は、Usual法で得られたUsual(pellet)が0.2〜0.8μm、Usual-supが0.1〜0.5μm、Usual-ACが0.3〜2μmであるのに対し、本発明のHeat法で得られたβヘマチンは0.5〜5μmと若干大きかった。粒度分布における粒度範囲はUsual法で得られたUsual(pellet)が1〜50μm、Usual-supが0.05〜2μm、Usual-ACが0.1〜1μmであるのに対し、本発明のHeat法で得られたβヘマチンは0.2〜5μmであった。また、メジアン径(平均粒子径)は、Usual法で得られたUsual(pellet)が5〜15μm、Usual-supが0.1〜0.6μm、Usual-ACが0.1〜0.5μmであるのに対し、本発明のHeat法で得られたβヘマチンは0.6〜1.2μmであった。Heat法で得られたβヘマチンはUsual法で得られたβヘマチンよりも分散状態がよく、均一の粒度分布で安定し凝集が起こり難かった。
【0074】
Heat法で得られたβヘマチン、Usual法で得られたβヘマチンであるUsual(pellet)、Usual-sup及びUsual-ACの顕微鏡(倍率200倍)写真を
図6に示す。
図6中、A及びBはUsual法で作製したβヘマチンを示し、E及びFはHeat法で作製したβヘマチンを示す。また、CはUsual-ACを、DはUsual-supを示す。走査型電子顕微鏡による結晶の写真を
図7に示す。
図7中、A及びBはHeat法で作製したβヘマチンを示し、C及びDはUsual法で作製したβヘマチンを示す。また、E及びFはUsual-supを示し、G及びHはUsual-ACを示す。
図7中には、スケールバーでサイズを示してある。
図7A及びB中のスケールバーは500μm、
図7Cのスケールバーは200nm、
図7Dのスケールバーは250nm、
図7Eのスケールバーは300nm、
図7Fのスケールバーは200nm、
図7Gのスケールバーは1μm、
図7Hのスケールバーは300nmである。
【0075】
さらに、
図8にHeat法及びUsual法で作製したβヘマチンの懸濁液の色の差を示す。
図8Aと
図8Bは粒子の濃度が異なっている得られたβヘマチンの懸濁液の色は、Heat法で作製したものが灰茶色から黒色であったのに対して、Usual法で作製したものは赤茶色から黒色であった。この色の違いはHeat法で作製したβヘマチンとUsual法で作製したβヘマチンの構造の違い、つまり鉄原子への配位状態や結晶性の違いを反映しているものと思われる。
【0076】
[実施例3] 本発明のHeat法で作製したβヘマチン(Usual(pellet)の、赤外分光法(IR)、粉末X線回折、固体核磁気共鳴(
1H-NMR)分光法、ラマン分光法、電子スピン共鳴(ESR)、近赤外分光法(NIR)及び紫外可視分光法(UV-Vis)による構造解析、熱重量示差熱分析(TG-DTA)による特性解析
赤外分光法による構造解析
乾燥させた試料を臭化カリウムと混合して、圧縮成型後、ペレット状としてフーリエ変換赤外分光法により透過スペクトルの測定を実施した(KBr錠剤法)。また粉末のまま、Geプリズム及び入射角45°条件下におけるATR法(減衰全反射法)によりスペクトルを測定した。測定には窒素雰囲気下Varian-7000(Varian 社製、特殊セラミックス光源、DTGS(重水素化硫酸三グリシン)検出器)を用いた。結果は
図9(KBr錠剤法)及び
図10(ATR法)に示した。
【0077】
Heat法及びUsual法により作製されたβヘマチンは、1710cm
-1、1662cm
-1、1297cm
-1、1280cm
-1、1209cm
-1、939cm
-1及び714cm
-1付近に特徴的な主ピークが検出され一次構造はほぼ同等であった。しかしHeat法のほうが主吸収帯のピーク幅がシャープに認められ、結晶密度や単結晶の割合が多い、結晶性が高い状態であると考えられた。またUsual法で作製したβヘマチンには1600〜1500cm
-1付近、1420〜1350cm
-1付近にブロードに検出されており、Fe-COO結合以外のカルボン酸又はカルボン酸が多く存在していた。なおUsual法で作製したβヘマチンは、試料の色により、スペクトルのベースラインが右下がりとなり、Heat法で作製したβヘマチンと比較して、主ピークがいずれも約2 cm
-1程度低波数側に認められるなど分散が悪く、スペクトルに歪みが見られた。
【0078】
粉末X線回折による結晶構造解析
乾燥させた試料をSi無反射板に乗せ、広角X線回折法で測定を行った。測定にはD8 ADVANCE(封入管型、Bruker AXS 社製、CuK線(Ni フィルター使用)X線原、LynxEye検出器)を用い、出力40kV/40mA、スリット系 Div. Slit: 0.3°の条件で実施した。結果は
図11に示した。
【0079】
Heat法により作製したβヘマチン結晶は7.4°、12.2°、21.6°及び24.1°付近に回折角2θの特徴的な主ピークが観測され、Usual法により作製したβヘマチン結晶も同様のピークを示し、2本の強い2θのピークは文献上のhemozoinの文献上の値と一致した。しかしピーク強度はHeat法により作製したβヘマチン結晶の方が大きく、バンド幅もシャープであった。Heat法で合成したβヘマチンはUsual法で合成したβヘマチンよりも結晶子サイズが大きく、結晶形はほぼ同等ではあるが結晶性が高い状態であることが示された。
【0080】
固体NMR分光法による構造解析
3.2φ(回転数20K)のセルに乾燥させた試料を入れ高速固体
1H−NMRによる測定を行った。測定にはVarian NMRJ600MHzを用いた。結果は
図12に示した。
【0081】
Heat法により作製したβヘマチン結晶は6.8及び-1.4ppmに、Usual法で作製したβヘマチン結晶は6.5及び-4.0ppmに主なピークが観測された。鉄の磁性のため分離度の高いスペクトルは得られず、帰属が難しいものの、両者のスペクトル形状は違いを示した。
【0082】
IRによる構造差はほとんど現れなかった事を考慮し、Heat法で作製したβヘマチンは、鉄原子の第六座に水酸基等の配位結合などの構造差があると考えられた。
【0083】
ラマン分光法による構造解析
乾燥させた試料をレーザーラマン分光法による測定を行った。測定にはPDP-320(フォトンデザイン製)を用い、励起波長514.4nm(光源Ar+、ビーム径1μm、レーザーパワー8〜12mW/NDF・35mW/20% + NDF、CCD検出器)及び1064nm(光源YAG、ビーム径1μm、レーザーパワー200 mW/80°、InGaAs検出器)の条件で実施した。結果は
図13(514.4nm)及び
図14(1064nm)に示した。
【0084】
Heat法及びUsual法で作製したβヘマチン結晶は、励起波長514.4nm(
図13)及び1064nm(
図14)におけるラマン分光スペクトルにおいて、ほぼ同様のピーク位置が観測された。ピーク強度に関してはHeat法で作製したβヘマチンとUsual法で作製したβヘマチンとでピーク同士の強度比に違いがあった。これは分子間相互作用や鉄原子への配位状態や結晶状態が異なっていることに伴う電子状態の変化を反映したものと考えられた。
【0085】
ESRによるスピン状態の解析
外径5 mmの円筒型石英セルに乾燥させた試料を入れ、ESR測定を実施した。測定にはJES RE-2X ESR分光計(日本電子製)を用いた。測定は室温、-50℃及び-150℃で行った。室温測定の結果は
図15に示し、室温、-50℃及び-150℃の結果を並べて
図16に示した。
【0086】
Heat法により作製したβヘマチン結晶は、0-200 mT付近( g = 6.122)と200-400 mT付近(g = 2.005)に二つの明確なシグナルがみられた。Usual法により作製したβヘマチンでは低磁場側の0-200 mT付近のシグナルがほとんど見られなかった。またシグナル強度の絶対値にも差があり、200-400 mT付近に幅広く表れているシグナルの積分値は、Usual法で作製したβヘマチンはHeat法で作製したβヘマチンよりも約13倍大きかった。また−50℃での測定ではUsual法で作製したβヘマチンの低磁場側(0-100 mT付近)の変化がわずかなのに対しHeat法で作製したβヘマチンは高磁場側(200-300 mT付近)のシグナルに対して大きく増大した。すなわち、-50℃のESR分析で0-100 mT付近のシグナルが200-300 mT付近のシグナルに対して大きくなった。-150℃ではその差が顕著になり、Usual法で作製したβヘマチンでは高磁場側(200-300 mT付近)で変化無く低磁場側(0-100 mT付近)が増大したのに対し、Heat法で作製したβヘマチンでは低磁場側(0-100 mT付近)の増大に対し高磁場側(200-300 mT付近)のシグナルは低下した。すなわち、-150℃のESR分析で0-100 mT付近のシグナルが200-300 mT付近のシグナルに対して2倍以上になった。この結果より、常磁性種の種類と濃度が大きく異なっていることが示された。Usual法で作製したβヘマチンでは3価の鉄の低スピン状態を観測し、Heat法で作製したβヘマチンはUsual法で作製したβヘマチンよりもシグナル強度が低く低スピンと高スピンの混合と思われる複雑なスペクトルが示された。これは鉄原子への配位の状態やFe(III)-Fe(III)相互作用が異なるためと考えられた。
【0087】
NIR(近赤外分光法)測定による解析
試料の近赤外分光スペクトルを測定した。測定にはフーリエ変換型近赤外分析計NIRFlex N-500(ビュッヒ製)を用いた。結果は
図17に示した。
【0088】
Heat法で作製したβヘマチン結晶より得られた近赤外分光スペクトルは、Usual法で作製したβヘマチンのスペクトルより波数領域全体の反射率が低かった。また4440cm
-1、5780cm
-1及び5960cm
-1のピークはUsual法で作製したβヘマチンで観測されたがHeat法で作製したβヘマチンではほぼ観測されなかった。これはOH及びCHの変化を反映していると考えられ、スペクトル形状が全体的に違うことから結晶構造や粒子径などの状態が違うことが示された。
【0089】
紫外可視分光光度計による解析(UV-vis)
試料の紫外可視分光スペクトルを測定した。測定には紫外可視分光光度計V-630DS(日本分光製)を用いた。結果は
図18に示した。
【0090】
Heat法で作製したβヘマチン結晶からは、493nm及び670nmにピークが観測され、200nmから1000nmまで吸光度に起伏の少ないスペクトルが得られた。Usual法で作製したβヘマチン結晶からは368nm、436nm及び645nmにピークが観測され、300nmから500nmにかけて強い吸収のあるスペクトルが得られた。この結果より、粒子又は懸濁液の色が違うことが示され、構造に差があることが考えられた。
【0091】
TG-DTA(熱重量示差熱分析)による解析
乾燥した試料の熱重量分析及び示差熱分析を実施した。測定にはThermo plus EvoII TG-DTA(リガク製)を用いた。結果は
図19に示した。
図19A、B、C及びDは、それぞれ、空気中の熱質量測定(TG)の比較の結果(TG(Air))、窒素中の熱質量測定(TG)の比較の結果(TG(N
2))、空気中の熱重量DTAの比較の結果(DTA(Air))及び窒素中の熱重量DTAの比較の結果(DTA(N
2))を示す。
【0092】
Heat法で作製したβヘマチン結晶は、空気中での熱重量示差熱分析においては250℃付近で発熱し400℃までに一気に酸化分解した。窒素中では360℃及び440℃付近で吸熱をともなう熱分解、700℃付近で発熱をともなう熱分解が起こった。
【0093】
Usual法で作製したβヘマチン結晶の挙動はHeat法とほぼ同等であったが、空気中では2段階の分解で、かつ500℃付近まで酸化分解が続いた。窒素中では1段階目の熱分解は300℃付近でHeat法で作製したβヘマチンより速く起こるが2段階目以降の分解に対する重量低下はHeat法で作製したβヘマチンよりも少なかった。この結果より、Usual法で作製したβヘマチンには不純物又は結晶形の違う(あるいはアモルファスな)粒子の割合がHeat法で作製したβヘマチンより多いことが考えられた。
【0094】
図9〜19中の「Heat」はHeat法で作製したβヘマチンの分析結果を示し、「Usual」はUsual法で作製したβヘマチン(Usual(pellet))の分析結果を示す。
【0095】
[実施例4] Heat法における合成温度の差による反応率及び反応速度の違いの確認
βヘマチンのHeat法において、反応温度を室温から100℃まで設定し、原料である塩化ヘミンの反応率(減少率)及び反応の速度の違いを確認した。結果は
図20に示した。90℃以上に関しては反応開始後30分で、80度に関しては反応開始後1時間で原料がほぼ消失した。また原料とβヘマチンのスポット以外に他のスポットは観測されず、80℃以上の反応温度に関しては、ほぼすべての原料がβヘマチンに変換されたと考えられた。75℃以下では反応がほとんど進行しなかった。
【0096】
[実施例5] 本発明のHeat法で合成したβヘマチンのアジュバント効果の検定
マウスを3匹以上準備した。Heat法で作製したβヘマチン及びUsual法で作製したβヘマチン(Usual(pellet)及びUsual-sup)をPBSで1〜4mMに希釈したサンプル200μLに抗原としての卵白アルブミン(OVA)を加え、10日間隔で2回投与した。投与後1週間及び3週間目で採血を行い、得られた血清中の抗OVA IgG抗体産生量をELISA法にて測定した。
【0097】
図21に結果を示す。図に示すように、Heat法で作製したβヘマチンをアジュバントとして用いたときの抗体価の上昇は、1週間目及び3週間目のいずれの時点でもUsual法で作製したβヘマチンをアジュバントとして用いたときの抗体価の上昇より高く、特に3週間目では顕著に高かった。
【0098】
また、その後、最長50週目まで血中抗体価を測定した。
図22に結果を示す。
図22AはHeat法で作製したβヘマチンを用いた場合の結果を示し、
図22BはUsual法で作製したβヘマチンを用いた場合の結果を示す。
図22Aには、東京化成工業(TCI)社の塩化へミンを原料として作製したβヘマチンを用いた場合の結果及びsigma社の塩化へミンを原料として作製したβヘマチンを用いた場合の結果を示す。また、
図22Bには、Usual法でβヘマチンを作製した場合に得られる上清(Usual-sup)及び沈殿(Usual(pellet))をアジュバントとして用いた場合とβヘマチンを用いずOVAのみを投与した場合の結果を示す。
図22に示すように、Usual法で作製したβヘマチンを用いた場合、Usual-supで抗体価の上昇が認められたが、投与後3週間で抗体価はピークを示し、以降は低下した。一方、Heat法で作製したβヘマチンを用いた場合、少なくとも投与後50週まで高い抗体価を維持した。
【0099】
この結果は、本発明のHeat法で作製したβヘマチンをアジュバントとして用いた場合、高い抗体価が持続することを示している。