特許第6441704号(P6441704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ディスコの特許一覧

<>
  • 特許6441704-切削装置 図000002
  • 特許6441704-切削装置 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441704
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20181210BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20181210BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   H01L21/78 F
   B23Q11/00 U
   B23Q11/10 E
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-24392(P2015-24392)
(22)【出願日】2015年2月10日
(65)【公開番号】特開2016-149403(P2016-149403A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2017年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】関家 一馬
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/054576(WO,A1)
【文献】 特開2014−094431(JP,A)
【文献】 特開2010−253619(JP,A)
【文献】 特開2006−150494(JP,A)
【文献】 特開2003−117766(JP,A)
【文献】 特開2002−103177(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/054577(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/058004(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/057992(WO,A1)
【文献】 特開2001−044149(JP,A)
【文献】 特開2014−233684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B23Q 11/00
B23Q 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物を切削する回転可能に構成された切削ブレードを備えた切削手段と、該切削手段の切削ブレードによる切削加工部に切削水を供給する切削水供給機構と、を具備する切削装置であって、
該切削手段の該切削ブレードによる切削加工部に供給された切削水を受け止める切削水受け止め手段と、該切削水受け止め手段によって受け止められた切削水に混入されている屑を、切削水を渦状に回転させ遠心力によって屑と水とを分離する遠心分離機により除去する屑除去手段と、該遠心分離機により除去される屑よりも微細な屑を含む切削水を濾過し純水に生成する純水生成手段と、該屑除去手段によって比較的大きな屑を除去した後、該屑除去手段によって除去された屑よりも微細な切削屑が残存する切削水の流れを、該純水生成手段を経由せずに切削水貯留タンクに向けて流す経路又は該純水生成手段を介して切削水貯留タンクに向けて流す経路に切り換える切り替え手段と、該屑除去手段によって屑が除去された切削水を該切削水供給機構に送るポンプと、を備えていることを特徴とする切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物に切削加工を施すための切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に形成された分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。このように複数のデバイスが形成された半導体ウエーハを分割予定ラインに沿って切断することによりデバイスが形成された領域を分割して個々の半導体デバイスを製造している。
【0003】
半導体ウエーハを分割予定ラインに沿って切断する切削装置は、被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物を切削する回転可能に構成された切削ブレードを備えた切削手段と、該切削手段の切削ブレードによる切削加工部に切削水を供給する切削水供給手段と、被加工物保持手段と切削手段とを加工送り方向に相対的に加工送りする加工送り手段と、を具備している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−173002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、切削手段の切削ブレードによる切削加工部に供給される切削水は純水が使用されており、コストが高く生産性が悪いという問題がある。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、切削手段の切削ブレードによる切削加工部に供給される切削水を回収して被加工物に対して害を及ぼさない水に再生して使用することができる切削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記主たる技術的課題を解決するため、本発明によれば、被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物を切削する回転可能に構成された切削ブレードを備えた切削手段と、該切削手段の切削ブレードによる切削加工部に切削水を供給する切削水供給機構と、を具備する切削装置であって、該切削手段の該切削ブレードによる切削加工部に供給された切削水を受け止める切削水受け止め手段と、該切削水受け止め手段によって受け止められた切削水に混入されている屑を、切削水を渦状に回転させ遠心力によって屑と水とを分離する遠心分離機により除去する屑除去手段と、該遠心分離機により除去される屑よりも微細な屑を含む切削水を濾過し純水に生成する純水生成手段と、該屑除去手段によって比較的大きな屑を除去した後、該屑除去手段によって除去された屑よりも微細な切削屑が残存する切削水の流れを、該純水生成手段を経由せずに切削水貯留タンクに向けて流す経路又は該純水生成手段を介して切削水貯留タンクに向けて流す経路に切り換える切り替え手段と、該屑除去手段によって屑が除去された切削水を該切削水供給機構に送るポンプと、を備えている、
ことを特徴とする切削装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明による切削装置は、被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物を切削する回転可能に構成された切削ブレードを備えた切削手段と、該切削手段の切削ブレードによる切削加工部に切削水を供給する切削水供給機構と、を具備し、切削手段の切削ブレードによる切削加工部に供給された切削水を受け止める切削水受け止め手段と、該切削水受け止め手段によって受け止められた切削水に混入されている屑を、切削水を渦状に回転させ遠心力によって屑と水とを分離する遠心分離機により除去する屑除去手段と、該遠心分離機により除去される屑よりも微細な屑を含む切削水を濾過し純水に生成する純水生成手段と、該屑除去手段によって比較的大きな屑を除去した後、該屑除去手段によって除去された屑よりも微細な切削屑が残存する切削水の流れを、該純水生成手段を経由せずに切削水貯留タンクに向けて流す経路又は該純水生成手段を介して切削水貯留タンクに向けて流す経路に切り換える切り替え手段と、該屑除去手段によって屑が除去された切削水を切削水供給機構に送るポンプと、を備えているので、切削ブレードによる切削加工部に供給された切削水は切削水受け止め手段によって受け止められ屑除去手段に導入される。そして、屑除去手段において導入された切削水に混入されている屑を分離し、屑が除去され半導体ウエーハ等の被加工物に対して害のない水を切削水として循環するので、純水の供給を抑制でき、切削水のコストを下げて生産性の向上を図ることができ、さらに、屑除去手段は切削水を渦状に回転させ遠心力によって屑と水とを分離するので、切削水に混入されている比較的大きい屑を除去することができるものの微細な屑が切削水に残存することになるが、半導体ウエーハ等の被加工物を構成する素材が混入しているので弊害を与えることはない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に従って構成された切削装置の斜視図。
図2図1に示す切削装置に装備される切削水供給機構を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に従って構成された切削装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0012】
図1には、本発明に従って構成された切削装置の斜視図が示されている。図1に示す切削装置は、略直方体状の装置ハウジング2を具備している。この装置ハウジング2内には、被加工物を保持する被加工物保持手段としてのチャックテーブル3が切削送り方向である矢印Xで示す方向(X軸方向)に移動可能に配設されている。チャックテーブル3は、吸着チャック支持台31と、該吸着チャック支持台31上に配設された吸着チャック32を具備しており、該吸着チャック32の上面である保持面上に被加工物を図示しない吸引手段を作動することによって吸引保持するようになっている。また、チャックテーブル3は、図示しない回転機構によって回転可能に構成されている。なお、チャックテーブル3には、被加工物として後述するウエーハをダイシングテープを介して支持する環状のフレームを固定するためのクランプ33が配設されている。このように構成されたチャックテーブル3は、図示しない切削送り手段によって、矢印Xで示す加工送り方向(X軸方向)に移動せしめられるようになっている。
【0013】
図1に示す切削装置は、切削手段としてのスピンドルユニット4を具備している。スピンドルユニット4は、加工送り方向(X軸方向)と直交する矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に沿って配設されている。スピンドルユニット4は、図示しない割り出し送り手段によって割り出し送り方向(Y軸方向)に移動せしめられるとともに、図示しない切り込み送り手段によって図1において矢印Zで示す切り込み送り方向(Z軸方向)に移動せしめられるようになっている。このスピンドルユニット4は、図示しない移動基台に装着され割り出し方向(Y軸方向)および切り込み方向(Z軸方向)に移動調整されるスピンドルハウジング41と、該スピンドルハウジング41に回転自在に支持された回転スピンドル42と、該回転スピンドル42の前端部に装着された切削ブレード43とを具備している。回転スピンドル42は、図示しないサーボモータによって回転せしめられるように構成されている。上記切削ブレード43は、例えば図2に示すようにアルミニウムによって形成された円盤状の基台431と、該基台431の外周部側面にダイヤモンド砥粒をニッケルメッキで固めて厚さが例えば50μmに形成された環状の切刃432からなっている。
【0014】
上記スピンドルハウジング41の前端部には、切削ブレード43の上半部を覆うブレードカバー44が取り付けられている。ブレードカバー44は、図示の実施形態においてはスピンドルハウジング41に装着された第1のカバー部材441と、該第1のカバー部材441に装着される第2のカバー部材442とからなっている。第1のカバー部材441は、一端部が切削ブレード43側に突出して形成された前カバー部441aを備えている。また、第1のカバー部材441の側面には雌ネジ穴441bと2個の位置決めピン441cが設けられており、第2のカバー部材442には上記雌ネジ穴441bと対応する位置に挿通穴442aが設けられている。また、第2のカバー部材442の第1のカバー部材441と対向する面には、上記2個の位置決めピン441cが嵌合する図示しない2個の凹部が形成されている。このように構成された第1のカバー部材441と第2のカバー部材442は、第2のカバー部材442に形成された図示しない2個の凹部を第1のカバー部材441に設けられた2個の位置決めピン441cに嵌合することによって位置決めする。そして、締結ボルト443を第2のカバー部材442の挿通穴442aに挿通し、第1のカバー部材441に設けられた雌ネジ穴441bと螺合することにより、第2のカバー部材442を第1のカバー部材441に装着する。
【0015】
図2を参照して説明を続けると、図示の実施形態における切削装置は、上記切削ブレード43の環状の切刃432による切削加工部に切削水を供給する切削水供給機構5を具備している。この切削水供給機構5は、上記ブレードカバー44を構成する第1のカバー部材441および第2のカバー部材442に配設された第1の切削水供給管511および第2の切削水供給管512と、該第1の切削水供給管511および第2の切削水供給管512に切削水を送給する切削水送給手段52と、上記第1の切削水供給管511および第2の切削水供給管512にそれぞれ接続された第1の切削水供給ノズル513および第2の切削水供給ノズル514を具備している。
【0016】
第1の切削水供給管511および第2の切削水供給管512は、それぞれ上記ブレードカバー44を構成する第1のカバー部材441および第2のカバー部材442に配設されており、その上端が切削水送給手段52に接続され、その下端にはそれぞれ第1の切削水供給ノズル513および第2の切削水供給ノズル514が接続される。
【0017】
上記切削水送給手段52は、切削水を貯留する切削水貯留タンク521と、該切削水貯留タンク521と上記第1の切削水供給管511および第2の切削水供給管512とを接続する配管に配設された切削水送給ポンプ522とからなっている。また、図示の切削水供給機構5は、上記第1の切削水供給管511および第2の切削水供給管512に純水を供給する純水供給手段53を備えている。この純水供給手段53は、純水を貯留する純水貯留タンク531と、該純水貯留タンク531と上記第1の切削水供給管511および第2の切削水供給管512とを接続する配管に配設された純水送給ポンプ532とからなっている。
【0018】
図2を参照して説明を続けると、図示の実施形態における切削装置は、上記第1の切削水供給ノズル513および第2の切削水供給ノズル514から噴出され上記切削ブレード43の切刃432による切削領域に供給された切削水を受ける切削水受け止め手段54と、該切削水受け止め手段54に受け入れられた切削水を送り出す第1の循環ポンプ55と、該第1の循環ポンプ55によって送られた切削水に混入されている屑を除去する屑除去手段56と、屑除去手段56によって屑が除去された切削水を上記切削水供給機構5に送る第2の循環ポンプ57を具備している。切削水受け止め手段54は切削水受け容器からなり、排水口541を備えている。この切削水受け止め手段54に受け入れられた切削水は、第1の循環ポンプ55によって屑除去手段56に送られる。
【0019】
屑除去手段56は、図示の実施形態においては切削水を渦状に回転させ遠心力によって屑と水とを分離する遠心分離機で構成されている。即ち、屑除去手段56は、円錐形状のハウジング561と、該ハウジング561内に配設された三角形状の回転羽562と、該回転羽562を回転せしめる電動モーター563を備えている。ハウジング561の下部には上記第1の循環ポンプ55によって送られた切削水を導入する導入口561aが設けられ、ハウジング561の上端には送出口561bが設けられている。また、ハウジング561の下端部には屑収容室561cが設けられている。この屑収容室561cには排水管564が接続されており、該排水管564に電磁開閉弁565が配設されている。このように構成された屑除去手段56は、電動モーター563を作動して回転羽562を回転することにより導入口561aからハウジング561内に導入された切削水に渦状の回転を与える。この結果、切削水には遠心力が与えられるので、切削水に混入されている重量が重い屑がハウジング561の内周面側に移動して、ハウジング561の下端部に設けられた屑収容室561cに落下せしめられる。このようにして屑が分離された切削水は、ハウジング561の上端に形成された送出口561bから切削水循環経路570に配設された第2の循環ポンプ57によって上記切削水供給機構5に循環せしめられる。一方、屑収容室561cに収容された屑は、定期的に電磁開閉弁565を開路することにより切削水とともに排出される。
【0020】
図2を参照して説明を続けると、図示の実施形態における切削装置は、上記切削水循環経路570に循環された切削水を純水に生成する純水生成手段58と、切削水循環経路570に循環された切削水を上記切削水供給機構5の切削水貯留タンク521と純水生成手段58に向けて切り替える切り替え手段59を具備している。純水生成手段58は、濾過フィルター581と紫外線照射器582およびイオン交換樹脂583とからなっており、切削水循環経路570に循環された切削水を純水に生成して切削水貯留タンク521に送る。上記切り替え手段59は、図示の実施形態においては通常は切削水循環経路570に循環された切削水を切削水供給機構5の切削水貯留タンク521に向けて流し、必要に応じて純水生成手段58に向けて流すように構成されている。
【0021】
図1に戻って説明を続けると、図示の実施形態における切削装置は、上記チャックテーブル3上に保持された被加工物の表面を撮像し、上記切削ブレード43によって切削すべき領域を検出するための撮像手段7を具備している。この撮像手段7は、顕微鏡やCCDカメラ等の光学手段からなっている。また、切削装置は、撮像手段7によって撮像された画像を表示する表示手段8を具備している。
【0022】
上記装置ハウジング2におけるカセット載置領域9aには、被加工物を収容するカセットを載置するカセット載置テーブル9が配設されている。このカセット載置テーブル9は、図示しない昇降手段によって上下方向に移動可能に構成されている。カセット載置テーブル9上には、被加工物としての半導体ウエーハWを収容するカセット11が載置される。カセット11に収容される半導体ウエーハWは、表面に格子状の分割予定ラインが形成されており、この格子状の分割予定ラインによって区画された複数の矩形領域にIC、LSI等のデバイスが形成されている。このように形成された半導体ウエーハWは、環状のフレームFに装着されたダイシングテープTの表面に塗布された粘着層に裏面が貼着された状態でカセット11に収容される。
【0023】
また、図示の実施形態における切削装置は、カセット載置テーブル9上に載置されたカセット11に収容されている半導体ウエーハWを仮置きテーブル12に搬出する搬出するするとともに切削加工され仮置きテーブル12に搬送された半導体ウエーハWをカセット11に搬入する搬出・搬入手段13と、仮置きテーブル12に搬出された半導体ウエーハWを上記チャックテーブル3上に搬送するするとともに切削加工された半導体ウエーハWを仮置きテーブル12に搬送する第1の搬送手段14と、チャックテーブル3上で切削加工された半導体ウエーハWを洗浄する洗浄手段15と、チャックテーブル3上で切削加工された半導体ウエーハWを洗浄手段15へ搬送する第2の搬送手段16を具備している。
【0024】
図示の実施形態における切削装置は以上のように構成されており、以下その作用について主に図1を参照して説明する。
カセット載置テーブル9上に載置されたカセット11の所定位置に収容されている半導体ウエーハW(環状のフレームFにダイシングテープTを介して支持されている状態)は、図示しない昇降手段によってカセット載置テーブル9が上下動することにより搬出位置に位置付けられる。次に、搬出・搬入手段13が進退作動して搬出位置に位置付けられた半導体ウエーハWを仮置きテーブル12上に搬出する。仮置きテーブル12に搬出された半導体ウエーハWは、第1の搬送手段14の旋回動作によって上記チャックテーブル3上に搬送される。
【0025】
チャックテーブル3上に半導体ウエーハWが載置されたならば、図示しない吸引手段が作動して半導体ウエーハWをチャックテーブル3上に吸引保持する。また、半導体ウエーハWをダイシングテープTを介して支持する環状のフレームFは、上記クランプ33によって固定される。このようにして半導体ウエーハWを吸引保持したチャックテーブル3は、撮像手段7の直下まで移動せしめられる。チャックテーブル3が撮像手段7の直下に位置付けられると、撮像手段7によって半導体ウエーハWに形成されている分割予定ラインを検出するとともに、スピンドルユニット4を割り出し方向である矢印Y方向に移動調整して分割予定ラインと切削ブレード43との精密位置合わせ作業を実施する(アライメント工程)。
【0026】
その後、切削ブレード43を矢印Zで示す方向に所定量切り込み送りし所定の方向に回転させつつ、半導体ウエーハWを保持したチャックテーブル3を切削送り方向である矢印Xで示す方向(切削ブレード43の回転軸と直交する方向)に所定の切削送り速度で移動することにより、チャックテーブル3に保持された半導体ウエーハWは切削ブレード43により所定の分割予定ラインに沿って切断される(切削工程)。この切削工程においては、上記切削水供給機構5が作動して切削ブレード43の環状の切刃432による切削加工部に切削水を供給する。なお、切削ブレード43の環状の切刃432による切削加工部への切削水の供給については、後で詳細に説明する。このようにして、半導体ウエーハWを所定の分割予定ラインに沿って切断したら、チャックテーブル3を矢印Yで示す方向に分割予定ラインの間隔だけ割り出し送りし、上記切削工程を実施する。そして、半導体ウエーハWの所定方向に延在する全ての分割予定ラインに沿って切削工程を実施したならば、チャックテーブル3を90度回転させて、半導体ウエーハWの所定方向と直交する方向に延在する分割予定ラインに沿って切削工程を実行することにより、半導体ウエーハWに格子状に形成された全ての分割予定ラインが切削されて個々のデバイスに分割される。なお、分割された個々のデバイスは、ダイシングテープTの作用によってバラバラにはならず、環状のフレームFに支持されたウエーハの状態が維持されている。
【0027】
次に、上記切削工程における切削ブレード43の環状の切刃432による切削加工部への切削水の供給について、図2を参照して説明する。
上記切削工程を最初に実施する際には、切削水供給機構5の切削水貯留タンク521には切削水が貯留されていないので、純水供給手段53の純水送給ポンプ532を作動して純水貯留タンク531に貯留されている純水を切削水として切削ブレード43の環状の切刃432による切削加工部に供給する。このようにして切削ブレード43の環状の切刃432による切削加工部に供給された切削水は、切削水受け止め手段54によって受け止められる。切削水受け止め手段54によって受け止められた切削水は、第1の循環ポンプ55の作動により屑除去手段56に導入される。屑除去手段56に導入された切削水は、電動モーター563を作動して回転羽562を回転することにより上述したように混入されている屑が遠心分離され屑収容室561cに収容される。このようにして屑が分離され除去された切削水は、第2の循環ポンプ57の作動により切り替え手段59を介して切削水貯留タンク521に送られる。そして、切削水貯留タンク521に送られた切削水の貯水量が循環可能な量に達したら、純水供給手段53の純水送給ポンプ532の作動を停止する。このようにして、切削水貯留タンク521の貯水量が循環可能な量に達し純水供給手段53の純水送給ポンプ532の作動を停止したならば、切削水送給手段52の切削水送給ポンプ522を作動して切削水貯留タンク521に貯留された切削水を切削水として切削ブレード43の環状の切刃432による切削加工部に供給する。なお、必要に応じて例えば循環する切削水の汚れが増した場合、切り替え手段59を切り替えて第2の循環ポンプ57によって送られる切削水を純水生成手段58に送る。純水生成手段58に送られた切削水は、濾過フィルター581と紫外線照射器582およびイオン交換樹脂583を通ることにより純水に生成されて切削水貯留タンク521に送られる。また、定期的に屑除去手段56の電磁開閉弁565を開路することにより、屑収容室561cに収容された屑を切削水とともに排出する。
そして、蒸発等によって循環する切削水が減少した場合は、純水供給手段53の純水送給ポンプ532を作動して純水貯留タンク531に貯留されている純水を切削水循環経路570に導入する。
【0028】
以上のように図示の実施形態における切削水供給機構5は、切削ブレード43の環状の切刃432による切削加工部に供給された切削水を切削水受け止め手段54によって受け止め、切削水受け止め手段54によって受け止められた切削水を屑除去手段56に導入する。そして、屑除去手段56において導入された切削水に混入されている屑を分離し、屑が除去され半導体ウエーハ等の被加工物に対して害のない水を切削水として循環するので、純水の供給を抑制でき、切削水のコストを下げて生産性の向上を図ることができる。なお、屑除去手段56は切削水を渦状に回転させ遠心力によって屑と水とを分離するので、切削水に混入されている比較的大きい屑を除去することができるものの微細な屑が切削水に残存することになるが、半導体ウエーハ等の被加工物を構成する素材が混入しているので弊害を与えることはない。また、実施形態における切削水供給機構5は、屑除去手段56によって屑を除去した切削水の一部を純水生成手段58に送り純水を生成して切削水に混入するようにしているので、純水生成手段58を構成する濾過フィルター581やイオン交換樹脂583の寿命を延ばすことができる。
【符号の説明】
【0029】
2:装置ハウジング
3:チャックテーブル+
4:スピンドルユニット
43:切削ブレード
44:ブレードカバー
5:切削水供給機構
52:切削水送給手段
521:切削水貯留タンク
522:切削水送給ポンプ
53:純水供給手段
531:純水貯留タンク
532:純水送給ポンプ
54:切削水受け止め手段
55:第1の循環ポンプ
56:屑除去手段
57:第2の循環ポンプ
58:純水生成手段
59:切り替え手段
7:撮像手段
11:カセット
12:仮置きテーブル
13:搬出・搬入手段
14:第1の搬送手段
15:洗浄手段
16:第2の搬送手段
W:半導体ウエーハ
F:環状のフレーム
T:ダイシングテープ
図1
図2