特許第6441731号(P6441731)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441731
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】レーザー加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/38 20140101AFI20181210BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20181210BHJP
   B23K 26/067 20060101ALI20181210BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20181210BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   B23K26/38 Z
   B23K26/00 N
   B23K26/067
   H01L21/78 B
   H01L21/66 S
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-76513(P2015-76513)
(22)【出願日】2015年4月3日
(65)【公開番号】特開2016-196018(P2016-196018A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2018年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】岩本 拓
(72)【発明者】
【氏名】小川 雄輝
(72)【発明者】
【氏名】吉川 敏行
【審査官】 竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−173160(JP,A)
【文献】 特開2001−121279(JP,A)
【文献】 特開2005−131645(JP,A)
【文献】 特開平9−108866(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0021177(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 − 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物にパルスレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段と、該被加工物保持手段と該レーザー光線照射手段とを加工送り方向に相対的に移動せしめる加工送り手段と、を具備するレーザー加工装置であって、
該レーザー光線照射手段は、被加工物に対して吸収性を有する波長のレーザー光線を発振するレーザー光線発振手段と、該レーザー光線発振手段から発振されたレーザー光線の出力を調整する出力調整手段と、該レーザー光線発振手段から発振され該出力調整手段によって出力が調整されたレーザー光線を集光して該被加工物保持手段に保持された被加工物に照射する集光器と、該パルスレーザー光線発振手段と該集光器との間に配設され該レーザー光線発振手段から発振されたレーザー光線を加工送り方向に複数のレーザー光線に分岐する分岐手段とを具備しており、
該複数のレーザー光線の照射によって被加工物が発するプラズマを検出するプラズマ検出手段と、該プラズマ検出手段からの検出信号に基づいて被加工物の加工状態を判定する制御手段と、を具備し、
該制御手段は、該プラズマ検出手段からの検出信号に基づいて、該複数のレーザー光線における先行して照射される先行レーザー光線の照射によってプラズマが検出され、先行レーザー光線に追随して照射される後続レーザー光線の照射によってはプラズマが検出されない場合には被加工物が完全切断されたと判定し、後続レーザー光線の照射によってプラズマが検出された場合には被加工物が完全切断されていないと判定する、
ことを特徴とするレーザー加工装置。
【請求項2】
該制御手段は、完全切断されていないと判定した場合には、該出力調整手段を制御してレーザー光線の出力を所定量上昇せしめる、請求項1記載のレーザー加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物にレーザー光線を照射してアブレーション加工を施すレーザー加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列された分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハを分割予定ラインに沿って切断することによりデバイスが形成された領域を分割して個々の半導体デバイスを製造している。
【0003】
半導体ウエーハ等のウエーハを分割予定ラインに沿って分割する方法として、ウエーハに対して吸収性を有する波長のパルスレーザー光線を分割予定ラインに沿って照射することによりアブレーション加工を施してウエーハにレーザー加工溝を形成し、この破断起点となるレーザー加工溝が形成された分割予定ラインに沿って外力を付与することにより割断する技術が実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、ウエーハを分割予定ラインに沿ってアブレーション加工することにより、ウエーハを分割予定ラインに沿って完全切断して個々のデバイスに分割する技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−305420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したウエーハを分割予定ラインに沿ってアブレーション加工することにより、ウエーハを分割予定ラインに沿って完全切断する技術を実施するに際しては、ウエーハの厚みや種類によって加工条件が異なることから、ウエーハが完全切断されたか否かの確認は加工が終了した後に行われている。
しかるに、加工条件を決定するために加工条件を変えながら何度もウエーハに加工を施さなければならず、生産性が悪いという問題がある。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、アブレーション加工によって被加工物が完全切断されたか否かを加工中にリアルタイムで確認することができるレーザー加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物にパルスレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段と、該被加工物保持手段と該レーザー光線照射手段とを加工送り方向に相対的に移動せしめる加工送り手段と、を具備するレーザー加工装置であって、
該レーザー光線照射手段は、被加工物に対して吸収性を有する波長のレーザー光線を発振するレーザー光線発振手段と、該レーザー光線発振手段から発振されたレーザー光線の出力を調整する出力調整手段と、該レーザー光線発振手段から発振され該出力調整手段によって出力が調整されたレーザー光線を集光して該被加工物保持手段に保持された被加工物に照射する集光器と、該パルスレーザー光線発振手段と該集光器との間に配設され該レーザー光線発振手段から発振されたレーザー光線を加工送り方向に複数のレーザー光線に分岐する分岐手段とを具備しており、
該複数のレーザー光線の照射によって被加工物が発するプラズマを検出するプラズマ検出手段と、該プラズマ検出手段からの検出信号に基づいて被加工物の加工状態を判定する制御手段と、を具備し、
該制御手段は、該プラズマ検出手段からの検出信号に基づいて、該複数のレーザー光線における先行して照射される先行レーザー光線の照射によってプラズマが検出され、先行レーザー光線に追随して照射される後続レーザー光線の照射によってはプラズマが検出されない場合には被加工物が完全切断されたと判定し、後続レーザー光線の照射によってプラズマが検出された場合には被加工物が完全切断されていないと判定する、
ことを特徴とするレーザー加工装置が提供される。
【0009】
上記制御手段は、完全切断されていないと判定した場合には、出力調整手段を制御してレーザー光線の出力を所定量上昇せしめる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるレーザー加工装置においては、レーザー光線照射手段は、被加工物に対して吸収性を有する波長のレーザー光線を発振するレーザー光線発振手段と、該レーザー光線発振手段から発振されたレーザー光線の出力を調整する出力調整手段と、レーザー光線発振手段から発振され出力調整手段によって出力が調整されたレーザー光線を集光して被加工物保持手段に保持された被加工物に照射する集光器と、パルスレーザー光線発振手段と集光器との間に配設されレーザー光線発振手段から発振されたレーザー光線を加工送り方向に複数のレーザー光線に分岐する分岐手段とを具備しており、複数のレーザー光線の照射によって被加工物が発するプラズマを検出するプラズマ検出手段と、該プラズマ検出手段からの検出信号に基づいて被加工物の加工状態を判定する制御手段とを具備し、制御手段は、プラズマ検出手段からの検出信号に基づいて、複数のレーザー光線における先行して照射される先行レーザー光線の照射によってプラズマが検出され、先行レーザー光線に追随して照射される後続レーザー光線の照射によってはプラズマが検出されない場合には被加工物が完全切断されたと判定し、後続レーザー光線の照射によってプラズマが検出された場合には被加工物が完全切断されていないと判定するので、アブレーション加工によって被加工部材が完全切断されたか否かを加工中にリアルタイムで確認することができる。従って、レーザー光線の平均出力等の加工条件を迅速かつ容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に従って構成されたレーザー加工装置の斜視図。
図2図1に示すレーザー加工装置に装備されるレーザー光線照射手段およびプラズマ検出手段のブロック構成図。
図3図1に示すレーザー加工装置に装備される制御手段のブロック構成図。
図4】被加工物としての半導体ウエーハの斜視図。
図5図4に示す半導体ウエーハを環状のフレームに装着されたダイシングテープの表面に貼着した状態を示す斜視図。
図6図1に示すレーザー加工装置によって実施するレーザー加工工程の説明図。
図7図1に示すレーザー加工装置が実施するレーザー加工工程における加工条件としての平均出力を決定する手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従って構成されたレーザー加工装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1には、本発明に従って構成されたレーザー加工装置の斜視図が示されている。図1に示すレーザー加工装置は、静止基台2と、該静止基台2に矢印Xで示す加工送り方向であるX軸方向に移動可能に配設され被加工物を保持するチャックテーブル機構3と、静止基台2上に配設されたレーザー光線照射手段としてのレーザー光線照射ユニット4とを具備している。
【0014】
上記チャックテーブル機構3は、静止基台2上にX軸方向に沿って平行に配設された一対の案内レール31、31と、該案内レール31、31上にX軸方向に移動可能に配設された第1の滑動ブロック32と、該第1の滑動ブロック32上にX軸方向と直交する矢印Yで示す割り出し送り方向であるY軸方向に移動可能に配設された第2の滑動ブロック33と、該第2の滑動ブロック33上に円筒部材34によって支持された支持テーブル35と、被加工物保持手段としてのチャックテーブル36を具備している。このチャックテーブル36は多孔性材料から形成された吸着チャック361を具備しており、吸着チャック361の上面である保持面上に被加工物である例えば円形状の半導体ウエーハを図示しない吸引手段によって保持するようになっている。このように構成されたチャックテーブル36は、円筒部材34内に配設された図示しないパルスモータによって回転せしめられる。なお、チャックテーブル36には、半導体ウエーハ等の被加工物を保護テープを介して支持する環状のフレームを固定するためのクランプ362が配設されている。
【0015】
上記第1の滑動ブロック32は、その下面に上記一対の案内レール31、31と嵌合する一対の被案内溝321、321が設けられているとともに、その上面にY軸方向に沿って平行に形成された一対の案内レール322、322が設けられている。このように構成された第1の滑動ブロック32は、被案内溝321、321が一対の案内レール31、31に嵌合することにより、一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第1の滑動ブロック32を一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動させるためのX軸方向移動手段37を具備している。X軸方向移動手段37は、上記一対の案内レール31と31の間に平行に配設された雄ネジロッド371と、該雄ネジロッド371を回転駆動するためのパルスモータ372等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド371は、その一端が上記静止基台2に固定された軸受ブロック373に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ372の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド371は、第1の滑動ブロック32の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ372によって雄ネジロッド371を正転および逆転駆動することにより、第1の滑動ブロック32は案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動せしめられる。
【0016】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、上記チャックテーブル36のX軸方向位置を検出するためのX軸方向位置検出手段374を備えている。X軸方向位置検出手段374は、案内レール31に沿って配設されたリニアスケール374aと、第1の滑動ブロック32に配設され第1の滑動ブロック32とともにリニアスケール374aに沿って移動する読み取りヘッド374bとからなっている。このX軸方向位置検出手段374の読み取りヘッド374bは、図示の実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。そして後述する制御手段は、入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36のX軸方向位置を検出する。なお、上記加工送り手段37の駆動源としてパルスモータ372を用いた場合には、パルスモータ372に駆動信号を出力する後述する制御手段の駆動パルスをカウントすることにより、チャックテーブル36のX軸方向位置を検出することもできる。また、上記X軸方向移動手段37の駆動源としてサーボモータを用いた場合には、サーボモータの回転数を検出するロータリーエンコーダが出力するパルス信号を後述する制御手段に送り、制御手段が入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36のX軸方向位置を検出することもできる。
【0017】
上記第2の滑動ブロック33は、その下面に上記第1の滑動ブロック32の上面に設けられた一対の案内レール322、322と嵌合する一対の被案内溝331、331が設けられており、この被案内溝331、331を一対の案内レール322、322に嵌合することにより、Y軸方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第2の滑動ブロック33を第1の滑動ブロック32に設けられた一対の案内レール322、322に沿ってY軸方向に移動させるためのY軸方向移動手段38を具備している。Y軸方向移動手段38は、上記一対の案内レール322と322の間に平行に配設された雄ネジロッド381と、該雄ネジロッド381を回転駆動するためのパルスモータ382等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド381は、その一端が上記第1の滑動ブロック32の上面に固定された軸受ブロック383に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ382の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド381は、第2の滑動ブロック33の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ382によって雄ネジロッド381を正転および逆転駆動することにより、第2の滑動ブロック33は案内レール322、322に沿ってY軸方向に移動せしめられる。
【0018】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、上記第2の滑動ブロック33のY軸方向位置を検出するためのY軸方向位置検出手段384を備えている。Y軸方向位置検出手段384は、案内レール322に沿って配設されたリニアスケール384aと、第2の滑動ブロック33に配設され第2の滑動ブロック33とともにリニアスケール384aに沿って移動する読み取りヘッド384bとからなっている。このY軸方向位置検出手段384の読み取りヘッド384bは、図示の実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。そして後述する制御手段は、入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36のY軸方向位置を検出する。なお、上記Y軸方向移動手段38の駆動源としてパルスモータ382を用いた場合には、パルスモータ382に駆動信号を出力する後述する制御手段の駆動パルスをカウントすることにより、チャックテーブル36のY軸方向位置を検出することもできる。また、上記Y軸方向移動手段38の駆動源としてサーボモータを用いた場合には、サーボモータの回転数を検出するロータリーエンコーダが出力するパルス信号を後述する制御手段に送り、制御手段が入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36のY軸方向位置を検出することもできる。
【0019】
上記レーザー光線照射ユニット4は、上記静止基台2上に配設された支持部材41と、該支持部材41によって支持され実質上水平に延出するケーシング42と、該ケーシング42に配設されたレーザー光線照射手段5と、ケーシング42の前端部に配設されレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント手段6を具備している。なお、アライメント手段6は、被加工物を照明する照明手段と、該照明手段によって照明された領域を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた像を撮像する撮像素子(CCD)等を備え、撮像した画像信号を後述する制御手段に送る。
【0020】
上記レーザー光線照射手段5について、図2を参照して説明する。
レーザー光線照射手段5は、パルスレーザー光線発振手段51と、該パルスレーザー光線発振手段51から発振されたパルスレーザー光線の出力を調整する出力調整手段52と、レーザー光線発振手段51から発振され出力調整手段52によって出力が調整されたパルスレーザー光線を集光してチャックテーブル36に保持された被加工物Wに照射する集光器53と、出力調整手段52と集光器53との間に配設され出力調整手段52が調整されたパルスレーザー光線を集光器53に導くダイクロイックミラー54と、出力調整手段52によって調整されたパルスレーザー光線を加工送り方向(X軸方向)に複数のレーザー光線に分岐する分岐手段55を具備している。パルスレーザー光線発振手段51は、パルスレーザー光線発振器511と、これに付設された繰り返し周波数設定手段512とから構成されている。なお、パルスレーザー光線発振手段51のパルスレーザー光線発振器511は、図示の実施形態においては波長が355nmのパルスレーザー光線LBを発振する。上記出力調整手段52は、パルスレーザー光線発振手段51から発振されたパルスレーザー光線LBの出力を後述する制御手段によって設定された出力に調整して出力する。上記集光器53は、上記パルスレーザー光線発振手段51から発振され出力調整手段52によって所定の出力に調整されたパルスレーザー光線LBを集光するfθレンズからなる集光レンズ531を具備している。
【0021】
上記パルスレーザー光線発振手段51と集光器53との間に配設されたダイクロイックミラー54は、パルスレーザー光線発振手段51から発振され出力調整手段52によって所定の出力に調整されたパルスレーザー光線LBを反射して集光器53に導くとともにパルスレーザー光線LBの波長(図示の実施形態においては355nm)以外の波長の光を透過する機能を有している。上記分岐手段55は、ウォラストンプリズム、DOE、キューブプリズム等からなっており、図示の実施形態においてはダイクロイックミラー54によって導かれた波長が355nmのパルスレーザー光線LBを加工送り方向(X軸方向)に第1のパルスレーザー光線LB1と第2のパルスレーザー光線LB2に分岐する。この第1のパルスレーザー光線LB1と第2のパルスレーザー光線LB2の加工送り方向(X軸方向)の間隔Lは、0.1〜1.0mmに設定される。なお、分岐手段としては、ダイクロイックミラー54によって導かれたパルスレーザー光線LBを加工送り方向(X軸方向)に3本または4本のパルスレーザー光線、或いは必要に応じて更に多数のパルスレーザー光線に分岐するようにしてもよい。
【0022】
図2を参照して説明を続けると、図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、上記第1のパルスレーザー光線LB1と第2のパルスレーザー光線LB2の照射によって被加工物が発するプラズマを検出するプラズマ検出手段50を具備している。このプラズマ検出手段50は、図示の実施形態においては、バンドパスフィルター501と、該バンドパスフィルター501を通過した光を検知する第1の光検知器502aおよび第2の光検知器502bとからなっている。バンドパスフィルター501は、被加工物Wに第1のパルスレーザー光線LB1と第2のパルスレーザー光線LB2が照射されることによって発せられ集光レンズ531、分岐手段55、ダイクロイックミラー54を介して導かれたプラズマを通過させるようになっており、図示の実施形態においてはシリコンが発するプラズマ(波長が251nm)が通過するように、波長が200〜300nmの光を通過させるように設定されている。上記第1の光検知器502aは被加工物Wに第1のパルスレーザー光線LB1が照射されることによって発せられたプラズマを検出し、第2の光検知器502bは被加工物Wに第2のパルスレーザー光線LB2が照射されることによって発せられたプラズマを検出するように構成されている。なお、第1の光検知器502aおよび第2の光検知器502bは、CCDまたはホトデテクターを用いることができる。このように構成された第1の光検知器502aおよび第2の光検知器502bは、プラズマを検出した場合にはそれぞれプラズマ信号PR1およびPR2を後述する制御手段に送る。
【0023】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、図3に示す制御手段7を具備している。制御手段7はコンピュータによって構成されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)71と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)72と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)73と、入力インターフェース74および出力インターフェース75とを備えている。制御手段7の入力インターフェース74には、上記X軸方向位置検出手段374、Y軸方向位置検出手段384、第1の光検知器502a、第2の光検知器502b、アライメント手段6等からの検出信号が入力される。そして、制御手段7の出力インターフェース75からは、上記X軸方向移動手段37、Y軸方向移動手段38、レーザー光線照射手段5のパルスレーザー光線発振手段51、出力調整手段52等に制御信号を出力する。
【0024】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
図4には、上述したレーザー加工装置によって加工される被加工物としての半導体ウエーハ10の斜視図が示されている。図4に示す半導体ウエーハ10は、厚みが100μmのシリコンウエーハからなっており、表面10aに複数の分割予定ライン101が格子状に形成されているとともに、該複数の分割予定ライン101によって区画された複数の領域にIC、LSI等のデバイス102が形成されている。
【0025】
以下、上述した半導体ウエーハ10を分割予定ライン101に沿って分割するための加工条件を決定する手順について説明する。
先ず、半導体ウエーハ10の裏面10bに合成樹脂からなる粘着テープの表面を貼着するとともに粘着テープの外周部を環状のフレームによって支持する被加工物支持工程を実施する。即ち、図5に示すように、環状のフレームFの内側開口部を覆うように外周部が装着された粘着テープTの表面に半導体ウエーハ10の裏面10bを貼着する。なお、粘着テープTは、図示の実施形態においては塩化ビニール(PVC)シートによって形成されている。
【0026】
上述した被加工物支持工程を実施したならば、図1に示すレーザー加工装置のチャックテーブル36上に半導体ウエーハ10の粘着テープT側を載置する。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、半導体ウエーハ10を粘着テープTを介してチャックテーブル36上に吸引保持する(被加工物保持工程)。なお、半導体ウエーハ10を粘着テープTを介して支持した環状のフレームFは、チャックテーブル36に配設されたクランプ362によって固定される。
【0027】
上述した被加工物保持工程を実施したならば、X軸方向移動手段37を作動して半導体ウエーハ10を吸引保持したチャックテーブル36をアライメント手段6の直下に位置付ける。チャックテーブル36がアライメント手段6の直下に位置付けられると、アライメント手段6および制御手段7によって半導体ウエーハ10のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、アライメント手段6および制御手段7は、半導体ウエーハ10の所定方向に形成されている分割予定ライン101に沿ってレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段5の集光器53との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、レーザー光線照射位置のアライメントを遂行する。また、半導体ウエーハ10に形成されている所定方向と直交する方向に形成されている分割予定ライン101に対しても、同様にレーザー光線照射位置のアライメントが遂行される。
【0028】
以上のようにしてチャックテーブル36上に保持された半導体ウエーハ10に形成されている分割予定ラインを検出し、レーザー光線照射位置のアライメントが行われたならば、図6の(a)で示すようにチャックテーブル36をレーザー光線照射手段5の集光器53が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定の分割予定ライン101の一端(図6の(a)において左端)を集光器53の直下に位置付ける。そして、集光器53から照射される第1のパルスレーザー光線LB1の集光点P1と第2のパルスレーザー光線LB2の集光点P2を半導体ウエーハ10の表面(上面)付近に位置付ける。次に、レーザー光線照射手段5の集光器53からシリコンウエーハに対して吸収性を有する波長(図示の実施形態においては355nm)の第1のパルスレーザー光線LB1と第2のパルスレーザー光線LB2を照射しつつチャックテーブル36を図6の(a)において矢印X1で示す方向に所定の移動速度で移動せしめる(レーザー加工工程)。
【0029】
上記レーザー加工工程は、先ず加工条件を次のように設定している。
波長 :355nm
繰り返し周波数 :10kHz
平均出力 :5W
集光スポット径 :φ10μm
加工送り速度 :100mm/秒
この加工条件は、ランダムアクセスメモリ(RAM)73に格納されている。
【0030】
上述した加工条件によってレーザー加工工程を開始したならば、制御手段7はプラズマ検出手段50の第1の光検知器502aおよび第2の光検知器502bから検出信号を入力している。以下、第1の光検知器502aおよび第2の光検知器502bから検出信号に基づいて照射するパルスレーザー光線の平均出力を決定する手順について、図7に示すフローチャートを参照して説明する。
制御手段7は、先ず第1の光検知器502aからプラズマ信号PR1を入力したか否かを確認する(ステップS1)。ステップS1においてプラズマ信号PR1が入力されていない場合には、制御手段7は第1のパルスレーザー光線LB1の照射によってシリコンウエーハからなる半導体ウエーハ10のアブレーション加工が行われておらず出力不足であると判断し、ステップS2に進んで照射するパルスレーザー光線の出力を例えば1W上昇させるように出力調整手段52を制御する。そして制御手段7は、ステップS1に戻って再度第1の光検知器502aからプラズマ信号PR1を入力したか否かを確認し、プラズマ信号PR1が入力されていない場合にはステップS1およびステップS2を繰り返し実施する。
【0031】
上記ステップS1において、第1の光検知器502aからプラズマ信号PR1を入力した場合には、制御手段7は第1のパルスレーザー光線LB1の照射によってシリコンウエーハからなる半導体ウエーハ10のアブレーション加工が行われシリコンが発するプラズマ(波長が251nm)が発生したものと判断し、ステップS3に進む。ステップS3において制御手段7は、第2の光検知器502bからプラズマ信号PR2を入力したか否かを確認する。ステップS3においてプラズマ信号PR2が入力されていない場合には、制御手段7は第2のパルスレーザー光線LB2の照射によってシリコンウエーハからなる半導体ウエーハ10のアブレーション加工が行われておらず、図6の(b)に示すようにシリコンウエーハからなる半導体ウエーハ10が第1のパルスレーザー光線LB1の照射によって分割予定ライン101に沿って形成されるレーザー加工溝110により完全切断されていると判断し、ステップS4に進む。そして、制御手段7はステップS4において現在照射しているパルスレーザー光線の平均出力を適正出力として決定し、ランダムアクセスメモリ(RAM)73の格納されている平均出力を決定された出力に書き換える。
【0032】
上記ステップS3において、第2の光検知器502bからプラズマ信号PR2を入力した場合には、制御手段7は第2のパルスレーザー光線LB2の照射によってシリコンウエーハからなる半導体ウエーハ10の加工が行われており、図6の(c)に示すようにシリコンウエーハからなる半導体ウエーハ10が第1のパルスレーザー光線LB1の照射によって分割予定ライン101に沿って形成されるレーザー加工溝110により完全切断されていないと判断し、ステップS5に進んで照射するパルスレーザー光線の出力を例えば1W上昇させるように出力調整手段52を制御する。そして制御手段7は、ステップS3に戻って再度第2の光検知器502bからプラズマ信号PR2を入力したか否かを確認し、プラズマ信号PR2が入力された場合にはステップS3およびステップS5を繰り返し実施する。そして制御手段は、ステップS3においてプラズマ信号PR2が入力されないことを確認したならば、第2のパルスレーザー光線LB2の照射によってシリコンウエーハからなる半導体ウエーハ10のアブレーション加工が行われておらず、図6の(b)に示すようにシリコンウエーハからなる半導体ウエーハ10が分割予定ライン101に沿って形成されるレーザー加工溝110により完全切断されていると判断し、ステップS4に進んで現在照射しているパルスレーザー光線の平均出力を適正出力として決定し、ランダムアクセスメモリ(RAM)73の格納されている平均出力を決定された出力に書き換える。
【0033】
以上、レーザー加工工程における加工条件としての平均出力を決定する手順について説明したが、繰り返し周波数や加工送り速度も、平均出力と加工送り速度または繰り返し周波数を所定の値に固定して、上述した手順によって半導体ウエーハ10が分割予定ライン101に沿って完全切断される条件を求めることができる。なお、シリコンウエーハからなる半導体ウエーハ10の上記レーザー加工工程における加工条件としては、繰り返し周波数が5〜20kHz、平均出力が5〜10W、加工送り速度が10〜500mm/秒の範囲で設定することが望ましい。
【0034】
以上のように、図示の実施形態におけるレーザー加工装置においては、アブレーション加工によって半導体ウエーハ10が分割予定ライン101に沿って完全切断されたか否かを加工中にリアルタイムで確認することができる。従って、レーザー光線の平均出力等の加工条件を迅速かつ容易に調整することができる。
【0035】
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で種々の変形は可能である。例えば、上述した実施形態においては、パルスレーザー光線発振手段51から発振され出力調整手段52によって所定の出力に調整されたパルスレーザー光線LBを分岐手段55によって第1のパルスレーザー光線LB1と第2のパルスレーザー光線LB2に分岐する例を示したが、分岐手段によって多数のパルスレーザー光線に分岐し、加工時に分岐された最後続のレーザー光線の照射によってはプラズマが検出されない場合に被加工物が完全切断されたと判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
2:静止基台
3:チャックテーブル機構
36:チャックテーブル
37:X軸方向移動手段
374:X軸方向位置検出手段
38:Y軸方向移動手段
384:Y軸方向位置検出手段
4:レーザー光線照射ユニット
5:レーザー光線照射手段
51:パルスレーザー光線発振手段
52:出力調整手段
53:集光器
54:ダイクロイックミラー
55:分岐手段
50:プラズマ検出手段
501:バンドパスフィルター
502a:第1の光検知器
502b:第2の光検知器
6:アライメント手段
7:制御手段
10:半導体ウエーハ
F:環状のフレーム
T:粘着テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7