(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷却液組成物を得るための自動車用エンジン濃縮冷却液組成物であって、水性基剤を用いて2〜10質量倍に希釈されて用いられる、上記濃縮冷却液組成物。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車エンジン等を冷却するための冷却液としては様々なものが知られており、その中でも水は冷却性能が最も高いためにエンジン用冷却液として多用されてきた。しかしながら、電解質等を含まないいわゆる純水は、摂氏0℃以下となると凍結し、体積が増大するため、エンジンやラジエーターに損傷を与えるおそれがあるという問題があった。そのため、純水のみでは使用せず、不凍性を目的としてエチレングリコール等のグリコール類をベースとし、これを必要な凍結温度を得るように水を用いて希釈し、必要によりエンジンやラジエーター等に使用される金属、ゴム及び樹脂等の劣化を保護するための各種添加剤を配合した冷却液組成物が使用されてきた。
【0003】
しかしながら、エチレングリコール等のグリコール類を使用した場合、特に低温において冷却液組成物の粘度が著しく上昇してしまうという問題があった。そこで、冷却液の粘度調整のために、粘度特性調整剤として界面活性剤が配合されるようになった。このように、冷却液に界面活性剤を配合することにより適度に高粘度化してエンジンの早期暖機を促し、燃費向上を図る技術が行われてきた。
【0004】
例えば、特許文献1には、アルキル基の炭素数とエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの平均付加モル数が異なる3種類のアルキルエーテルと、水及び/又は水溶性有機溶媒を含有する冷却液組成物が開示されている。また特許文献2には、2種類のアルキルエーテルと、水及び/又は水溶性有機溶媒を含有する冷却液組成物が開示されている。さらに、特許文献3には、エチレングリコール、イオン交換水、消泡剤及び添加剤からなる冷却不凍液の組成物において、前記添加剤が、0.5〜2.0重量%のオクタン酸、0.5〜2.0重量%の安息香酸、0.1〜1.0重量%の燐酸ナトリウム、0.1〜1.0重量%の硝酸ナトリウム、0.3〜1.0重量%のベンゾトリアゾール、0.2〜1.0重量%のトリトリアゾール、0.1〜1.5重量%の水酸化ナトリウム及び0.1〜0.8重量%のモリブデン酸ソーダである冷却不凍液組成物が開示されている。
【0005】
しかしながら、上記のような界面活性剤には強い発泡性があるため、実用において冷却液の車両充填性や冷却性能に著しい影響を与えるおそれがあった。上記特許文献1〜3においては、界面活性剤の発泡性を防止するための任意の消泡剤を配合することも記載されているが、実際に消泡剤を配合することにより界面活性剤の発泡を抑制したことは記載されていない。よって、消泡剤の種類によっては、(1)粘度特性調整剤としての界面活性剤の増粘効果が著しく低下する、(2)高温又は低温のいずれか一方においては消泡効果があるものの、高温と低温との両方において消泡効果が得られない、という問題点があった。具体的には、粘度特性調整剤として界面活性剤を使用する場合、界面活性剤同士の疎水性部分(アルキル基等)の会合によりミセルを形成し、増粘効果を発揮している。しかしながら、消泡剤が界面活性剤の疎水性部分(アルキル基等)との結合が強い場合、上記ミセルの形成を妨害し、増粘効果を発揮できなくなる。このような問題は、消泡剤がポリオキシエチレンアルキルエーテル、高級アルコール、鉱油系の場合に特に顕著であった。また、界面活性剤の強い発泡性を抑制するためには、消泡剤に強い表面張力降下性が求められ、高温でも低温でも消泡性の効果が必要となる。
【0006】
一方、界面活性剤の発泡性を防止するための一般的な消泡剤としては様々なものが開発されている。例えば特許文献4には、(イ)疎水性のオルガノポリシロキサンと微粉末シリカとよりなるオイルコンパウンド0.1〜40重量%、(ロ)ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル1〜60重量%、(ハ)ポリオキシアルキレン重合体0〜55重量%、(ニ)長鎖アルキル基含有ポリ(メタ)アクリル酸塩又はキサンタンガム0.01〜2重量%、(ホ)水残部よりなる消泡剤組成物が開示されている。また特許文献5には、(イ)疎水性で、25℃における粘度が10〜500,000cStであるオルガノポリシロキサン100重量部とBET法による比表面積が100m
2/g以上の微粉末シリカ0.1〜20重量部よりなるオイルコンパウンド5〜60重量%、(ロ)1%水溶液の曇点が40℃以上であり、25℃における粘度が10〜100,000cStである親水性ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル5〜95重量%、(ハ)分子量が500〜5,000であるポリオキシアルキレン重合体0〜90重量%よりなる泡抑制剤組成物が開示されている。さらに特許文献6には、(イ)一般式:R
3R
12SiO−(R
12SiO)
x−(R
1R
2SiO)
y−SiR
1R
3で示されるポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル5〜90重量%、(ロ)一般式:(R
6R
7R
8SiO
1/2)
l(R
9R
10SiO
2/2)
m(R
11SiO
3/2)
nで示されるシリコーンオイル100重量部と微粉末シリカ0.1〜20重量部よりなるオイルコンパウンド5〜60重量%、(ハ)ポリオキシアルキレン重合体5〜90重量%、よりなる泡抑制剤組成物が開示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献4〜6においては、上記(1)及び(2)のような自動車用エンジン冷却液特有の課題を解決することについては検討されておらず、よって特許文献4〜6はこのような課題に対する解決策を提示できるものではなかった。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の自動車用エンジン冷却液組成物(以下、本発明の冷却液組成物ともいう)は、特定のシリコーン系オイルコンパウンド(A)、特定のポリエーテル変性シリコーン(B)、非シリコーン系界面活性剤(C)及び水性基剤(D)を含有することを特徴とする。本発明者らは、非シリコーン系界面活性剤及び水性基剤を含有する冷却液組成物に、特定のシリコーン類を組み合わせることにより、(1)界面活性剤(粘度特性調整剤)の増粘効果の著しい低下を防止し、(2)高温と低温の両方で消泡効果が得られることを見出した。ここで本明細書において、「低温」は例えば25℃を意味し、「高温」は例えば90℃を意味する。理論に拘泥されるものではないが、シリコーン系オイルコンパウンド(A)は、増粘効果を発揮する上で重要な界面活性剤(粘度特性調整剤)の疎水性部分(アルキル基等)との親和力が弱いために、界面活性剤の増粘効果を維持でき、水系で消泡効果を発揮することができる。また、シリコーン系オイルコンパウンド(A)に対して、これを分散させる分散剤として、ポリエーテル変性シリコーン(B)を含有することで、消泡剤であるシリコーン系オイルコンパウンド(A)の分離を抑制することができる。
【0014】
本発明の冷却液組成物に用いるシリコーン系オイルコンパウンド(A)は、本発明の冷却液組成物に消泡性を付与するための主成分となるものであり、オルガノポリシロキサン(A1)とフィラー(A2)を含有するものである。シリコーン系オイルコンパウンド(A)は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0015】
上記オルガノポリシロキサン(A1)は、下記一般式(1):
【化4】
[式中、
Rは、互いに独立して、置換若しくは非置換の一価炭化水素基であり;
mは、1.9〜2.2の数である。]
で表される。オルガノポリシロキサン(A1)は本質的に疎水性である。オルガノポリシロキサン(A1)は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。オルガノポリシロキサン(A1)は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0016】
上記一般式(1)おけるRは、好ましくは、互いに独立して、置換若しくは非置換の、炭素数1〜18の一価炭化水素基である。非置換の一価炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基及びオクタデシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基及びアリル基等のアルケニル基、フェニル基及びトリル基等のアリール基、スチリル基及びα−メチルスチリル基等のアリールアルケニル基等が挙げられ、置換の一価炭化水素基としては、上記基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基、アミノ基及び水酸基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基及び3−アミノプロピル基、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基等が挙げられる。
【0017】
上記一般式(1)において、消泡性及び経済性の面から、Rで表される基の合計個数のうち80%以上、特に90%以上がメチル基であることが好ましい。
【0018】
上記一般式(1)におけるmは、消泡性及び作業性の観点から、1.9≦m≦2.2を満たす数であり、1.95≦m≦2.15を満たすことが好ましい。
【0019】
上記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンの末端は、R
3Si−(Rは上記式(1)において定義したものである)で表されるトリオルガノシリル基で封鎖されていても、HOR
2Si−(Rは上記式(1)において定義したものである)で表されるジオルガノヒドロキシシリル基で封鎖されていてもよい。
【0020】
上記オルガノポリシロキサン(A1)は、消泡性及び作業性の面から、オストワルド粘度計により測定した25℃における粘度が10〜100,000mm
2/sであることが好ましく、50〜30,000mm
2/sであることがさらに好ましい。上記下限値未満ではシリコーン系オイルコンパウンド(A)の消泡性能が劣り、上記上限値を超えるとシリコーン系オイルコンパウンド(A)の粘度が増大して作業性が悪くなる。
【0021】
上記フィラー(A2)は、オルガノポリシロキサン(A1)の消泡効果を高める目的で配合し、具体的には微粉末シリカ、チタニア、粉砕石英、アルミナ、アルミノ珪酸塩、有機系ワックス(例えばポリエチレンワックス及びマイクロクリスタリンワックス)、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、脂肪族カルボン酸の塩(例えばシクロヘキシルアミンとイソシアネートの反応生成物)及びアルキルアミド(例えばエチレンビスステアルアミド又はメチレンビスステアリルアミド)等が挙げられ、オルガノポリシロキサンとの親和性と入手の容易さの観点から、微粉末シリカであることが好ましい。上記フィラー(A2)は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0022】
上記微粉末シリカとしては、公知のものを用いることができ、例えば煙霧質シリカ、沈降シリカ及び焼成シリカ等が挙げられる。これらは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。上記微粉末シリカの比表面積(BET法)は、消泡性及び作業性の面から、好ましくは50m
2/g以上、さらに好ましくは50〜700m
2/g、特に好ましくは80〜500m
2/gである。比表面積が50m
2/g未満では消泡性能に劣るおそれがあり、700m
2/gを超えるとシリコーン系オイルコンパウンド(A)の粘度が増大して作業性が低下する。
【0023】
さらに、上記微粉末シリカは、表面未処理シリカであっても、表面を疎水化処理したシリカであってもよい。シリカ表面の疎水化処理は、従来公知の方法、即ち、オルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノジシラザン、オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン等の有機ケイ素化合物による親水性シリカの処理によって行うことができる。
【0024】
上記オルガノポリシロキサン(A1)の添加量は、消泡性及び作業性の面から、シリコーン系オイルコンパウンド(A)100質量部に対して、好ましくは70〜99質量部、さらに好ましくは80〜97質量部である。
【0025】
上記フィラー(A2)の添加量は、消泡性及び作業性の面から、シリコーン系オイルコンパウンド(A)100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部、さらに好ましくは3〜15質量部である。添加量が1質量部未満では消泡性能が劣り、20質量部より多いと、シリコーン系オイルコンパウンド(A)の粘度が増加して作業性が悪くなる。
【0026】
本発明の冷却液組成物に用いるシリコーン系オイルコンパウンド(A)は、公知の方法に従い調製することができ、例えば、オルガノポリシロキサン(A1)とフィラー(A2)を混合し、80〜200℃の温度で加熱処理した後、必要に応じて中和及び/又は低沸点留分を除く方法により調製することができる。
【0027】
本発明の冷却液組成物に用いるシリコーン系オイルコンパウンド(A)には、消泡剤の消泡持続性、高温特性、希釈安定性及び耐アルカリ性等の向上のために、無機質アンモニウム塩、有機ケイ素化合物、成分(A1)、(A2)及び(B)以外のシロキサン樹脂、及びアルカリ触媒等が添加されていてもよい。本明細書において、本発明の冷却液組成物に含まれる当該成分は、後述するその他の添加剤として定義されるものとする。
【0028】
本発明の冷却液組成物に用いるポリエーテル変性シリコーン(B)は、下記一般式(2):
【化5】
[式中、
R
1は、互いに同一又は異なる、置換若しくは非置換の炭素数1〜18の一価炭化水素基であり;
R
2は、下記一般式(3):
【化6】
(式中、
R
4は、炭素数2〜6の二価炭化水素基であり;
R
5は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基、アセチル基及びイソシアン基からなる群より選択される一価の有機基であり;
aは正数であり、bは0又は正数であり、a及びbは、2≦a+b≦80、かつ、b/a=0〜4を満たす。)
で表される一価の有機基であり;
R
3は、R
1又はR
2として挙げた上記基、水酸基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基であり;
xは、3〜200の整数であり;
yは、1〜60の整数である。]
で表されるポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンであり、これによりシリコーン系オイルコンパウンド(A)を後述する水性基剤(D)に分散させることができる。
【0029】
上記一般式(2)中のR
1は、互いに同一又は異なる置換若しくは非置換の炭素数1〜18の一価炭化水素基であり、非置換の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基及びオクタデシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基及びアリル基等のアルケニル基、フェニル基及びトリル基等のアリール基、スチリル基及びα−メチルスチリル基等のアリールアルケニル基等が挙げられ、置換の一価炭化水素基としては、上記基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基及びアミノ基等で置換したクロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基、3−アミノプロピル基及びN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基等が挙げられる。
【0030】
上記一般式(2)中のxは3〜200であり、シリコーン系オイルコンパウンド(A)の分散性及び作業性の観点から、好ましくは10〜150の整数である。上記一般式(2)中のyは1〜60であり、シリコーン系オイルコンパウンド(A)の分散性及び作業性の観点から、好ましくは1〜30の整数である。
【0031】
上記一般式(3)中のR
4は、原料入手の容易さの観点から、炭素数2〜6の二価炭化水素基であり、具体的には、アルキレン基及びアルケニレン基等、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンテン基及びヘキセン基等が挙げられる。
【0032】
上記一般式(3)中のR
5は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基、アセチル基又はイソシアン基からなる群より選択される一価の有機基である。当該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基等が挙げられる。
【0033】
上記一般式(3)中、aは正数であり、bは0又は正数であり、a及びbは2≦a+b≦80、好ましくは3≦a+b≦60、特に好ましくは5≦a+b≦50を満たす正数である。a及びbが上記範囲を満たすことにより、シリコーン系オイルコンパウンド(A)の水溶性があまり高くない場合にもこれを冷却液組成物中により容易に分散させることができる。上記下限値未満ではシリコーン系オイルコンパウンド(A)を冷却液組成物へ分散する性能が劣り、上記上限値を超えると、シリコーン系オイルコンパウンド(A)とポリエーテル変性シリコーン(B)との相溶性が低下し、同じく冷却液組成物へ分散する性能が劣る。
【0034】
上記一般式(3)中、a及びbは、b/a=0〜4(0/10〜8/2)、好ましくはb/a=0〜6/4、特に好ましくはb/a=0〜4/6を満たす。a及びbが上記範囲を満たすことにより、シリコーン系オイルコンパウンド(A)の水溶性があまり高くない場合にもこれを冷却液組成物中により容易に分散させることができ、また、消泡剤の熱耐久性と消泡効果の持続性をより良好とすることができる。上記上限値を超えるとシリコーン系オイルコンパウンド(A)を冷却液組成物中に分散する性能が劣る。
【0035】
上記一般式(2)中のR
3は、R
1又はR
2として挙げた上記基、水酸基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基である。上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基等が挙げられる。
【0036】
本発明の冷却液組成物に用いるポリエーテル変性シリコーン(B)は、シリコーン系オイルコンパウンド(A)の分散性及び作業性の観点から、オストワルド粘度計により測定した25℃における粘度が、10〜10,000mm
2/sであることが好ましく、50〜8,000mm
2/sであることがさらに好ましく、200〜5,000mm
2/sであることが特に好ましい。ポリエーテル変性シリコーン(B)は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0037】
本発明の冷却液組成物に用いるポリエーテル変性シリコーン(B)の具体例としては、例えば以下の化合物:
【化7】
を挙げることができる。これらの化合物は、シリコーン系オイルコンパウンド(A)の分散性及び作業性に優れるという点でポリエーテル変性シリコーン(B)として好ましく使用することができる。
【0038】
本発明の冷却液組成物における、シリコーン系オイルコンパウンド(A)とポリエーテル変性シリコーン(B)との質量比は、9:1〜1:9であることが好ましく、8:2〜2:8であることがさらに好ましく、7:3〜3:7であることが特に好ましい。配合比率を上記範囲とすることで、(1)界面活性剤(粘度特性調整剤)の増粘効果の著しい低下をより防止し、(2)高温と低温の両方での消泡効果をより高めることができる。
【0039】
本発明の冷却液組成物に用いる非シリコーン系界面活性剤(C)としては、通常粘度特性調整剤として冷却液組成物に使用でき、本発明の効果が得られるものであれば特に限定されず、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれであってもよい。非シリコーン系界面活性剤(C)としては、界面活性剤同士の疎水性部分(アルキル基等)の会合によりミセルを形成し、増粘効果を発揮するものが好ましい。非シリコーン系界面活性剤(C)は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0040】
非イオン界面活性剤としては、具体的には、ポリエチレングリコール鎖を有する化合物、エチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び脂肪酸アルカノールアミド等を挙げることができるが、耐熱性及び水溶性の観点から、ポリエチレングリコール鎖を有する化合物が好ましい。ポリエチレングリコール鎖を有する化合物としては、例えばポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレン脂肪酸アミド等を挙げることができる。これらの中で、低配合量で25℃における動粘度上昇が高い、つまりはミセル形成しやすい、脂肪酸アルカノールアミド、ポリエチレングリコールジ脂肪酸エステル及びポリオキシエチレン脂肪酸アミドが好ましい。
【0041】
アニオン界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキルリン酸エステル塩及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩等を挙げることができる。
【0042】
カチオン界面活性剤としては、例えばエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0043】
両性界面活性剤としては、例えばアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0044】
本発明の冷却液組成物に用いる非シリコーン系界面活性剤(C)としては、通常粘度特性調整剤として冷却液組成物に使用でき、本発明の効果が得られるものであれば特に限定されないが、アルキルの炭素数が10〜30であることが好ましく、12〜25であることがさらに好ましく、15〜22であることが特に好ましい。
【0045】
本発明の冷却液組成物に用いる水性基剤(D)としては、水及び有機溶剤が挙げられ、水単独、有機溶剤単独、水と有機溶剤との混合物として用いることができるが、不凍性を考慮し、水と有機溶剤との混合物を用いることが好ましい。本発明の冷却液組成物において、水性基剤(D)は主たる成分として含まれていることが好ましい。ここで、「主たる成分」とは、冷却液組成物のベースとなる成分であり、最も多く含まれている成分を示す。また、水性基剤(D)は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で添加剤等を配合して用いてもよい。本明細書において、本発明の冷却液組成物に含まれる当該成分は、後述するその他の添加剤として定義されるものとする。
【0046】
上記有機溶剤としては、通常冷却液組成物に使用でき、本発明の効果が得られるものであれば特に限定されないが、水性のものが好ましく、例えば、一価アルコール、二価アルコール、三価アルコール及びグリコールモノアルキルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類を挙げることができる。
【0047】
一価アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノールの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物からなるものを挙げることができる。
【0048】
二価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコールの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物からなるものを挙げることができる。
【0049】
三価アルコールとしては、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、5−メチル−1,2,4−ヘプタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物からなるものを挙げることができる。
【0050】
グリコールモノアルキルエーテルとしては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物からなるものを挙げることができる。
【0051】
上記有機溶剤の中でもエチレングリコール、プロピレングリコール及び1,3−プロパンジオールが、取り扱い性、価格、入手容易性の観点から好ましい。
【0052】
従って、基剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール及び水からなる群から選ばれる一種以上を含むことが好ましく、エチレングリコールと水とを含むことが更に好ましい。また、基剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール及び水からなる群から選ばれる一種以上からなることが好ましく、エチレングリコールと水とからなることが更に好ましい。上記基剤として用いる水としてはイオン交換水が好ましい。
【0053】
本発明の冷却液組成物100質量部中、基剤の含有量は、冷却液として機能する観点から、好ましくは50質量部以上、より好ましくは75質量部以上、より好ましくは80質量部以上、更に好ましくは90質量部以上であり、上記成分(A)〜(D)を配合する観点から、好ましくは99.92質量部以下であり、より好ましくは99.9質量部以下であり、更に好ましくは99.8質量部以下、より更に好ましくは99.7質量部以下であり、これらの観点から、50〜99.92質量部であることが好ましく、80〜99.9質量部であることがより好ましく、90〜99.9質量部であることが更に好ましく、90〜99.8質量部であることが更に好ましく、90〜99.7質量部であることが更に好ましい。
【0054】
基剤が水とアルコール類を含む場合、水とアルコール類の配合割合については不凍性・引火性を考慮し、任意に調整できる。基剤中の水とアルコール類の質量割合は、引火点を発生することを回避する観点から20:80〜90:10(水:アルコール類)であることが好ましく、40:60〜75:25であることが好ましい。
【0055】
本発明の冷却液組成物におけるシリコーン系オイルコンパウンド(A)の含有量は、界面活性剤(粘度特性調整剤)の増粘効果と消泡効果をよりバランスよくする観点から、冷却液組成物100質量部に対して、好ましくは0.001〜1.0質量部であり、さらに好ましくは0.005〜1.0質量部であり、特に好ましくは0.01〜0.5質量部である。
【0056】
本発明の冷却液組成物におけるポリエーテル変性シリコーン(B)の含有量は、界面活性剤(粘度特性調整剤)の増粘効果と消泡効果をよりバランスよくする観点から、冷却液組成物100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部であり、さらに好ましくは0.005〜5.0質量部であり、特に好ましくは0.01〜1.0質量部である。
【0057】
本発明の冷却液組成物における非シリコーン系界面活性剤(C)の含有量は、界面活性剤(粘度特性調整剤)の増粘効果と消泡効果をよりバランスよくする観点から、冷却組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部であり、さらに好ましくは0.01〜8.0質量部であり、特に好ましくは0.1〜5.0質量部である。
【0058】
本発明の冷却組成物には、必要に応じて、上記成分(A)〜(D)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の添加剤を配合することができる。
【0059】
例えば、本発明の冷却組成物には、エンジン冷却液経路に使用されている金属の腐食を効果的に抑制するため、少なくとも1種以上の防錆剤を本発明の効果を損なわない範囲で含ませることができる。防錆剤としては、リン酸及び/又はその塩、脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、芳香族カルボン酸及び/又はその塩、トリアゾール類、チアゾール類、ケイ酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、ホウ酸塩、モリブテン酸塩、及びアミン塩のいずれか1種又は2種以上の混合物を挙げることができる。
【0060】
また、本発明の冷却組成物には、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のpH調整剤、着色剤、染料又は分散剤等を動粘度に影響を与えない範囲で適宜添加することができる。
【0061】
上記その他の添加剤の合計配合量は、組成物100質量部に対して、通常10質量部以下、好ましくは5質量部以下である。
【0062】
本発明において、冷却液組成物の製造方法は、本発明の効果が得られれば、特に限定されず、通常の冷却液組成物の製造方法を用いることができる。例えば、低温で均一に撹拌することで製造できる。
【0063】
本発明は、自動車用エンジン濃縮冷却液組成物(以下、本発明の濃縮冷却液組成物ともいう)にも関する。本発明の濃縮冷却液組成物は、本発明の冷却液組成物の成分(A)〜(C)及び必要により水性溶媒(D’)を含有する組成物である。本発明の濃縮冷却液組成物は、水性基剤(D)を用いて、例えば2〜10質量倍に希釈して本発明の冷却液組成物を得るために用いることができる。上記水性溶媒は、水やグリコール類等の通常冷却液組成物に使用できる液体であり、具体例は、水性基剤(D)について説明した上述の記載を引用するものとする。また上記水性溶媒は、水性基剤(D)と同一であっても異なっていてもよい。本発明の濃縮冷却液組成物は、予めシリコーン系オイルコンパウンド(A)、ポリエーテル変性シリコーン(B)及び非シリコーン系界面活性剤(C)が濃縮されていた場合でも希釈後に発泡性を抑制することが可能であるため、エンジンに充填する直前に水性基剤(D)で希釈することで、上記冷却液組成物として使用することができる。また、本発明の濃縮冷却液組成物には、得られる冷却液組成物について本発明の効果を損なわない範囲で、その他の添加剤を配合することができる。当該その他の添加剤としては、本発明の冷却液組成物について説明した上述の記載を引用するものとする。また当該添加剤は、水性溶媒(D’)に配合して用いてもよい。
【0064】
本発明の濃縮冷却液組成物の一実施形態としては、濃縮冷却液組成物100質量部に対して、下記成分:
(A)シリコーン系オイルコンパウンド:0.002〜10質量部;
(B)ポリエーテル変性シリコーン:0.002〜90質量部;
(C)非シリコーン系界面活性剤:0.02〜99.98質量部;及び
(D’)水性溶媒:0〜99.8質量部
を含有するものが挙げられる。
【0065】
以下、本発明について、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下、処方中の数値は質量部を示す。
【実施例】
【0066】
[1.冷却液1の調製]
下記表1に示す処方の材料を添加し、撹拌・混合して冷却液1を作製した。表1中、防錆剤として小倉合成工業社製のセバシン酸、pH調整剤としてダイソー社製の苛性カリ、非シリコーン系界面活性剤(C)(粘度特性調整剤)として花王社製のジステアリン酸PEG250を使用した。JIS K2283に基づき測定した、冷却液1の25℃の動粘度は21mm
2/sであった。
【0067】
【表1】
【0068】
[2.シリコーン系オイルコンパウンド(A)の調製]
本質的に疎水性のオルガノポリシロキサンとして粘度が10,000mm
2/sの分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサンを100質量部、微粉末シリカとしてアエロジル(Aerosil)R812[日本アエロジル社製、比表面積260m
2/g]を5質量部、アルカリ性触媒として水酸化カリウムを3質量%含有するカリウムシリコネート1質量部を、窒素ガス雰囲気下、ゲートミキサーを用いて150℃で3時間混練した。これを100℃以下に冷却した後、2−クロロエタノールで中和し、次いで低沸点留分を除去してシリコーン系オイルコンパウンド(A)を得た。
【0069】
[3.ポリエーテル変性シリコーン(B)]
ポリエーテル変性シリコーン(B)として以下(B−1)〜(B−3)及び(B’−1)を用いた。
【0070】
EO変性シリコーン(B−1):平均組成が下記式:
【化8】
で表され、粘度が400mm
2/sであるポリオキシエチレン変性オルガノシロキサン。
【0071】
EO・PO変性シリコーン(B−2):平均組成が下記式:
【化9】
で表され、粘度が1000mm
2/sであるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン変性オルガノシロキサン。
【0072】
EO・PO変性シリコーン(B−3):平均組成が下記式:
【化10】
で表され、粘度が1000mm
2/sであるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン変性オルガノシロキサン。
【0073】
EO・PO変性シリコーン(B’−1):平均組成が下記式:
【化11】
で表され、粘度が1000mm
2/sであるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン変性オルガノシロキサン(b/a=10)。
【0074】
[実施例1〜4及び比較例1〜7]
下記表2〜4に記載のシリコーン系消泡剤又は消泡剤を、表2〜4に記載の配合量(質量部)で冷却液1に合計が100質量部となるように混合し、実施例1〜4の冷却液組成物及び比較例1〜7の冷却液組成物を作製した。表2〜4中、ポリプロピレングリコールとして(ADEKA社製のP−2000)、POEアルキルエーテルとしてニューコール2309−FZ(日本乳化剤社製)、高級アルコールとしてSN デフォーマー573(サンノプコ社製)、鉱油としてノプコNXZ(サンノプコ社製)を使用した。
【0075】
<評価試験>
得られた冷却液組成物について下記評価試験を行った。
<1.粘度特性への影響試験>
JIS K2283に基づき、25℃の動粘度を測定した。冷却液組成物の25℃における動粘度が、冷却液1の動粘度に対し、80%以上維持される場合を「粘度特性への影響なし」と評価した。
<2.低温での消泡性評価試験>
JIS K2234の泡立ち性試験を、液温25℃で希釈せずに実施し、泡の体積が4mL以下の場合を「良好」と評価した。
<3.高温での消泡性評価試験>
JIS K2234の泡立ち性試験を、液温90℃で希釈せずに実施し、泡の体積が4mL以下の場合を「良好」と評価した。
結果を下記表2〜4に示す。
【0076】
【表2】
【0077】
表2より、シリコーン系オイルコンパウンド(A)とポリエーテル変性シリコーン(B−1)(EO変性ジメチルシリコーン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体)とが9:1〜1:9の比で配合された実施例1〜4の冷却液組成物においては、消泡剤添加による動粘度への影響がなく、よって早期暖機性能への消泡剤添加の悪影響がないことがわかる。また実施例1〜4の冷却液組成物は、低温及び高温での消泡性、高温での消泡性の維持も良好であった。
【0078】
【表3】
【0079】
表3より、消泡剤を配合しない比較例1の冷却液組成物においては、消泡剤添加による動粘度への影響はないが、低温及び高温での消泡性が悪化していた。また、一般に消泡剤として使用されているポリプロピレングリコールを配合した比較例2の冷却液組成物においては、動粘度への影響はないが、低温及び高温での消泡性が良好ではない。さらに、POEアルキルエーテルを配合した比較例3、及び高級アルコールを配合した比較例4の冷却液組成物は、動粘度が低下しており、よって早期暖機性能への悪影響を示し、低温及び高温での消泡性も良好ではない。
【0080】
【表4】
【0081】
表4より、シリコーン系オイルコンパウンド(A)が配合されておらず、ポリエーテル変性シリコーン(B−1)(EO変性ジメチルシリコーン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体)が配合された比較例5の冷却液組成物は、動粘度への影響はないが、低温及び高温での消泡性が十分な効果を有しなかった。また、シリコーン系オイルコンパウンド(A)が配合され、ポリエーテル変性シリコーン(B)を含まない比較例6の冷却液組成物は冷却液1に分散させることができなかった。また、PO比率が高い(b/a=10)ポリエーテル変性シリコーン(B’−1)を配合した比較例7の冷却液組成物は冷却液1に分散させることができなかった。
【0082】
[実施例5〜6]
下記表5記載のシリコーン系消泡剤を、表5に記載の配合量(質量部)で合計が100質量部となるように冷却液1に混合し、実施例5〜6の冷却液組成物を作製した。
得られた冷却液組成物について上記1〜3に記載の評価試験を行った。結果を下記表5に示す。
【0083】
【表5】
【0084】
表5より、シリコーン系オイルコンパウンド(A)とポリエーテル変性シリコーン(B−2)(EO・PO変性ジメチルシリコーン、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体)を配合した実施例5及び6の冷却液組成物は、動粘度への影響がなく、よって早期暖機性能への悪影響がないものであった。低温及び高温での消泡性も良好であった。
【0085】
[4.冷却液2の調製]
下記表6に示す処方の材料を添加し、撹拌・混合して、冷却液2を作製した。また、JIS K2283に基づき、25℃の動粘度を測定したところ、40mm
2/sであり100℃の動粘度は1.2mm
2/sであった。なお、表6中、防錆剤としては小倉合成工業社製のセバシン酸、pH調整としてはダイソー社製の苛性カリ、粘度調整剤としてはジステアリン酸PEG250を使用した。
【0086】
【表6】
【0087】
[5.冷却液3の調製]
下記表7に示す処方の材料を添加し、撹拌・混合して、冷却液3を作製した。また、JIS K2283に基づき、25℃の動粘度を測定したところ、250mm
2/sであり、100℃の動粘度は1.6mm
2/sであった。なお、表7中、防錆剤としては小倉合成工業社製のセバシン酸、pH調整としてはダイソー社製の苛性カリ、粘度調整剤としてはジステアリン酸PEG250を使用した。
【0088】
【表7】
【0089】
[実施例7〜10]
下表8記載のシリコーン系消泡剤(表8記載の配合量(質量部))と冷却液2を混合し、合計が100質量部となるように、配合して、実施例7〜8の冷却液組成物を作製した。下表9記載シリコーン系消泡剤(表9記載の配合量(質量部))と、冷却液3を混合し、合計が100質量部となるように、配合して、実施例9〜10の冷却液組成物を作製した。得られた冷却液組成物について、上記1〜3の評価試験を行い、結果を下記表8及び9に併記した。
【0090】
【表8】
【0091】
【表9】
【0092】
(A)シリコーン系オイルコンパウンドと(B−1)ポリエーテル変性シリコーン(EO変性ジメチルシリコーン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体)とを、9:1〜1:9で配合された実施例7〜10の冷却液組成物は、動粘度への影響がなく、早期暖機性能への悪影響がないものであった。また、低温および高温での消泡性、高温での消泡性の維持も良好であった。