特許第6442197号(P6442197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442197
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】受信装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/0413 20170101AFI20181210BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   H04B7/0413 200
   H04L27/26 114
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-178251(P2014-178251)
(22)【出願日】2014年9月2日
(65)【公開番号】特開2016-52108(P2016-52108A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年7月31日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(72)【発明者】
【氏名】本田 円香
(72)【発明者】
【氏名】成清 善一
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 宏明
(72)【発明者】
【氏名】実井 仁
(72)【発明者】
【氏名】高田 政幸
(72)【発明者】
【氏名】中村 直義
【審査官】 吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】 中村 円香 他,基底展開モデルによる伝搬路推定を用いたOFDMキャリア間干渉補償に関する検討 ,映像情報メディア学会技術報告 Vol.38 No.5 ,日本,(一社)映像情報メディア学会 ,2014年 4月30日,第38巻,pp.109-112
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/0413
H04L 27/26
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信アンテナ数を2本、受信アンテナ数を2本とする2×2MIMOシステムにおいてOFDM信号を受信する受信装置であって、
SP信号の両側に隣接する複数のキャリアシンボルをヌル信号としたクラスターパイロットを含むOFDM信号を複数の受信アンテナを介して受信し、該OFDM信号をフーリエ変換して複素ベースバンド信号を生成するフーリエ変換部と、
前記複素ベースバンド信号に含まれるクラスターパイロットを抽出するパイロット信号抽出部と、
前記パイロット信号抽出部により抽出されたクラスターパイロットをもとに時間領域の伝搬路行列を算出した後、周波数領域の伝搬路行列を算出する伝送路応答推定部と、
前記周波数領域の伝路行列を用いて、前記複素ベースバンド信号のMIMO分離を行うMIMO検出部と、
前記MIMO検出部によりMIMO分離されたデータを用いて、送信された各ビットの尤度比を算出する尤度比算出部と、
前記尤度比を用いて、送信されたビットの推定値を復号する誤り訂正復号部と、
を備え、
第1の送信アンテナから送信されるOFDM信号は、中央にSP信号を有する第1のクラスターパイロットと、ヌル信号のみからなる第2のクラスターパイロットが所定の間隔に交互に配置されており、
第2の送信アンテナから送信されるOFDM信号は、中央にSP信号を有する第3のクラスターパイロットが前記第2のクラスターパイロットと同位置に配置され、ヌル信号のみからなる第4のクラスターパイロットが前記第1のクラスターパイロットと同位置に配置されていることを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記伝送路応答推定部は、前記時間領域の伝搬路行列を基底関数行列と係数の積で表現できると仮定して算出することを特徴とする、請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
コンピュータを、請求項1又は2に記載の受信装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)信号を伝送するMIMO(Multiple Input Multiple Output)システムにおける受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
OFDM信号の伝送システムにおいて、送信装置又は受信装置が移動する場合、ドップラー効果により各キャリアの中心周波数がそれぞれシフトする。キャリア間の周波数間隔が狭い場合(FFTサイズが大きい場合)、隣接のサブキャリアの信号と干渉するキャリア間干渉(ICI:Inter Carrier Interference)が生じる。ドップラー効果によるサブキャリアの周波数のシフト量は移動速度に応じて大きくなるため、サブキャリア間の周波数間隔が狭く、移動速度が大きい場合にICIの影響を受けやすい。ICIを除去するためには、移動送信又は移動受信時のICI成分を推定する必要がある。
【0003】
これまでに、送受信アンテナがそれぞれ1本のSISO(Single Input Single Output)システムにおいて、ICI成分を推定する手法が提案されている(例えば、非特許文献1)。これは、OFDM信号のパイロット信号の両側に隣接する複数のキャリアシンボルをヌル信号としたクラスターパイロットを含んだ送信信号を伝送し、基底展開モデル(BEM:Basis Expansion Model)を用いてクラスターパイロットで生じるキャリア間干渉成分を推定することで、キャリア自身の伝搬路応答と隣接キャリアへの干渉成分を推定する手法である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Z. Tang, R. C. Cannizzaro, G. Leus and P. Banelli : “Pilot-Assisted Time-Varying Channel Estimation for OFDM Systems”, IEEE Trans. Signal Proccesing, vol. 51, No.5, pp.2226-2238(May 2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に開示された手法は、SISOシステムにおけるICI補償に有効であるが、MIMOシステムについては言及されておらず、そのままMIMO伝送に適用することはできない。
【0006】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、MIMOシステムにおいてICI成分を推定することが可能な受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る受信装置は、送信アンテナ数を2本、受信アンテナ数を2本とする2×2MIMOシステムにおいてOFDM信号を受信する受信装置であって、SP信号の両隣のキャリアシンボルをヌル信号としたクラスターパイロットを含むOFDM信号を複数の受信アンテナを介して受信し、該OFDM信号をフーリエ変換して複素ベースバンド信号を生成するフーリエ変換部と、前記複素ベースバンド信号に含まれるクラスターパイロットを抽出するパイロット信号抽出部と、前記パイロット信号抽出部により抽出されたクラスターパイロットをもとに時間領域の伝搬路行列を算出した後、周波数領域の伝搬路行列を算出する伝送路応答推定部と、前記周波数領域の伝路行列を用いて、前記複素ベースバンド信号のMIMO分離を行うMIMO検出部と、前記MIMO検出部によりMIMO分離されたデータを用いて、送信された各ビットの尤度比を算出する尤度比算出部と、前記尤度比を用いて、送信されたビットの推定値を復号する誤り訂正復号部と、を備え、第1の送信アンテナから送信されるOFDM信号は、中央にSP信号を有する第1のクラスターパイロットと、ヌル信号のみからなる第2のクラスターパイロットが所定の間隔に交互に配置されており、第2の送信アンテナから送信されるOFDM信号は、中央にSP信号を有する第3のクラスターパイロットが前記第2のクラスターパイロットと同位置に配置され、ヌル信号のみからなる第4のクラスターパイロットが前記第1のクラスターパイロットと同位置に配置されていることを特徴とする。

【0008】
さらに、本発明に係る受信装置において、前記伝送路応答推定部は、前記時間領域の伝搬路行列を基底関数行列と係数の積で表現できると仮定して算出することを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、上記受信装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、MIMOシステムにおいて、OFDM信号を移動受信したときに生じるICI成分を推定できるようになる。これにより、ICI補償を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る受信装置の構成例を示すブロック図である。
図2】OFDM信号におけるクラスターパイロットの第1の配置例を示す図である。
図3】OFDM信号におけるクラスターパイロットの第2の配置例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る受信装置に対してOFDM信号を伝送する送信装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、送信アンテナ数を2本、受信アンテナ数を2本とする2×2MIMOシステムについて説明するが、本発明は2×2MIMOシステムに限定されるものではない。
【0014】
[送信装置]
本発明の一実施形態に係る受信装置については後述し、まず該受信装置に対してOFDM信号を送信する送信装置について説明する。図4は、送信装置の構成例を示すブロック図である。図4に示す例では、送信装置1は、エネルギー拡散部111と、誤り訂正符号化部112と、ビットインターリーブ部113と、マッピング部114と、時間・周波数インターリーブ部115と、空間/時空間符号化部116と、パイロット信号生成部117と、OFDMフレーム構成部118(118−1及び118−2)と、逆フーリエ変換部119(119−1及び119−2)と、GI(Guard interval)付加部120(120−1及び120−2)と、送信アンテナ121(121−1及び121−2)と、を備える。
【0015】
エネルギー拡散部111は、伝送信号のエネルギー集中を防止するために、入力データに対して擬似ランダム符号系列を用いてエネルギー拡散を行う。
【0016】
誤り訂正符号化部112は、受信側で伝送誤りを訂正可能とするために、エネルギー拡散部111から入力されるデータをLDPC符号化方式などにより符号化して誤り訂正符号を生成し、ビットインターリーブ部113に出力する。
【0017】
ビットインターリーブ部113は、誤り訂正符号の性能を高めるために、誤り訂正符号化部112により生成された誤り訂正符号をビット単位で並べ替えるインターリーブ処理を行い、マッピング部114に出力する。
【0018】
マッピング部114は、ビットインターリーブ部113により並べ替えられたデータを、mビット/シンボルとしてIQ平面へのマッピングを行い、多値変調方式に応じてキャリア変調を施したキャリアシンボルを生成し、時間・周波数インターリーブ部115に出力する。
【0019】
時間・周波数インターリーブ部115は、マッピング部114により生成されたキャリアシンボルの順序を、時間方向及び周波数方向に並べ替えるインターリーブ処理を行い、空間/時空間符号化部116に出力する。
【0020】
空間/時空間符号化部116は、時間・周波数インターリーブ部115から入力されるデータを空間符号化又は時空間符号化して2系統のデータストリームを生成し、OFDMフレーム構成部118に出力する。時空間符号化としては、例えばAlamoutiのSTBC(Space-Time Block Coding)を適用することができる。
【0021】
パイロット信号生成部117は、スキャッタードパイロット(SP:Scattered Pilot)信号、無信号のパイロット信号であるヌル信号、制御情報を示すTMCC信号、及び付加情報を示すAC信号などのパイロット信号を生成する。本発明では、ICI成分を推定するため、クラスターパイロットを用いる。クラスターパイロットは、SP信号の両側に隣接する複数のキャリアシンボルをヌル信号としたパイロットである。
【0022】
図2は、OFDM信号におけるクラスターパイロットの第1の配置例を示す図であり、図2(a)は第1の送信アンテナ121−1から送信されるOFDM信号におけるクラスターパイロットの配置を示しており、図2(b)は第2の送信アンテナ121−2から送信されるOFDM信号におけるクラスターパイロットの配置を示している。
【0023】
図2で丸印はキャリアシンボルを表しており、丸印に+又は−が表記されたキャリアシンボルはSP信号であり、−が表記されたSP信号は、+が表記されたSP信号を反転させた信号であることを意味する。図2ではSP信号は周波数方向に24キャリアごと、時間方向に4シンボルごとに挿入されるが、SP信号の間隔(周波数方向、時間方向)はこれに限られるものではない。また、網掛け表記されたキャリアシンボルはヌル信号である。なお、ヌル信号の数を増やしてSP信号の両隣の各2キャリアシンボル以上をヌル信号としてもよい。残りのキャリアシンボルはデータキャリアである。
【0024】
つまり、図2(a)は、第1の送信アンテナから送信されるOFDM信号として、中央に第1のSP信号を有する第1のクラスターパイロットを所定の間隔に配置する例を示している。また、図2(b)は、第2の送信アンテナから送信されるOFDM信号として、中央に第2のSP信号を有する第2のクラスターパイロットを第1のクラスターパイロットと同位置に配置し、第2のSP信号を交互に、第1のSP信号と同一の信号、又は第1のSP信号を反転させた信号とする例を示している。
【0025】
図3は、OFDM信号におけるクラスターパイロットの第2の配置例を示す図であり、図3(a)は一方の送信アンテナ121−1から送信されるOFDM信号におけるクラスターパイロットの配置を示しており、図3(b)は他方の送信アンテナ121−2から送信されるOFDM信号におけるクラスターパイロットの配置を示している。
【0026】
図2と同様に、丸印に+が表記されたキャリアシンボルはSP信号である。図3ではSP信号は周波数方向に24キャリアごと、時間方向に4シンボルごとに挿入されるが、SP信号の間隔(周波数方向、時間方向)はこれに限られるものではない。また、網掛け表記されたキャリアシンボルはヌル信号である。なお、ヌル信号の数を増やしてもよい。残りのキャリアシンボルはデータキャリアである。
【0027】
つまり、図3(a)は、第1の送信アンテナから送信されるOFDM信号として、中央にSP信号を有する第1のクラスターパイロットと、ヌル信号のみからなる第2のクラスターパイロットを所定の間隔に交互に配置する例を示している。また、図3(b)は、第2の送信アンテナから送信されるOFDM信号として、中央にSP信号を有する第3のクラスターパイロットを第2のクラスターパイロットと同位置に配置し、ヌル信号のみからなる第4のクラスターパイロットを第1のクラスターパイロットと同位置に配置する例を示している。
【0028】
OFDMフレーム構成部118は、空間/時空間符号化部116により生成された信号に、パイロット信号生成部117により生成されたパイロット信号(SP信号、TMCC信号、及びAC信号)を挿入し、全キャリアを1 OFDMシンボルとして、所定数のOFDMシンボルのブロックでOFDMフレームを構成し、逆フーリエ変換部119に出力する。
【0029】
逆フーリエ変換部119は、OFDMフレーム構成部118により生成されたOFDMシンボルに対して、逆フーリエ変換処理を施して時間領域の有効シンボル信号を生成し、GI付加部120に出力する。
【0030】
GI付加部120は、逆フーリエ変換部119により生成された有効シンボル信号の先頭に、有効シンボル信号の後半部分をコピーしたガードインターバルを挿入し、直交変調処理及びD/A変換を施したアナログ信号を、送信アンテナ121を介して外部に送信する。
【0031】
送信アンテナ121は、例えば偏波間の直交性を利用した偏波MIMOの場合には、水平偏波用アンテナ及び垂直偏波用アンテナ、又は右旋円偏波用アンテナ及び左旋円偏波用アンテナである。
【0032】
[受信装置]
次に、本発明に係る受信装置について説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る受信装置の構成例を示すブロック図である。図2に示す例では、受信装置2は、受信アンテナ200と、GI除去部201と、フーリエ変換部202と、パイロット信号抽出部203と、伝送路応答推定部204と、MIMO検出部205と、時間・周波数デインターリーブ部206と、尤度比算出部207と、ビットデインターリーブ部208と、誤り訂正符号復号部209と、エネルギー逆拡散部210と、を備える。受信装置2は、送信装置1から、SP信号の両側に隣接する複数のキャリアシンボルをヌル信号としたクラスターパイロットを含むOFDM信号を受信する。
【0033】
GI除去部201は、受信アンテナ200を介して受信したOFDM信号を直交復調処理してベースバンド信号を生成し、A/D変換によりアナログ信号を生成する。そして、GI除去部201は、ガードインターバルを除去して有効シンボル信号を抽出する。
【0034】
フーリエ変換部202は、GI除去部201から入力される有効シンボル信号に対して、フーリエ変換処理を施して複素ベースバンド信号を生成し、パイロット信号抽出部203及びMIMO検出部205に出力する。
【0035】
パイロット信号抽出部203は、フーリエ変換部202から入力される複素ベースバンド信号からパイロット信号を抽出し、伝送路応答推定部204に出力する。
【0036】
伝送路応答推定部204は、複素ベースバンド信号に含まれるクラスターパイロットをもとに時間領域の伝搬路行列を算出した後、周波数領域の伝搬路行列を算出し、MIMO検出部205に出力する。具体的な演算については後述する。
【0037】
MIMO検出部205は、フーリエ変換部202から入力される複素ベースバンド信号を、伝送路応答推定部204で推定された伝送路応答を用いて波形等化及びMIMO分離を行い、時間・周波数デインターリーブ部206に出力する。
【0038】
時間・周波数デインターリーブ部206は、MIMO検出部205によりMIMO分離されたデータの順序を、時間方向及び周波数方向に、送信装置1の時間・周波数インターリーブ部115と逆方向に並べ替えるデインターリーブ処理を行い、尤度比算出部207に出力する。
【0039】
尤度比算出部207は、時間・周波数デインターリーブ部206から入力されるデータから、送信された各ビットのLLR(Log Likelihood Ratio:対数尤度比)を雑音分散を用いて算出し、ビットデインターリーブ部208に出力する。
【0040】
ビットデインターリーブ部208は、尤度比算出部207から入力されるLLRの順序を、ビット単位で、送信装置1のビットインターリーブ部113と逆方向に並べ替えるデインターリーブ処理を行い、誤り訂正符号復号部209に出力する。
【0041】
誤り訂正符号復号部209は、ビットデインターリーブ部208から入力されるLLRを用いて、既知の手法(例えば、sum-product復号法)により、送信されたビットの推定値を復号し、エネルギー逆拡散部210に出力する。
【0042】
エネルギー逆拡散部210は、誤り訂正符号復号部209から入力されるデータを、送信装置1のエネルギー拡散部111と逆方向に拡散させるエネルギー逆拡散処理を行い、最終的な受信データとして外部に出力する。
【0043】
伝送路応答推定部204によりICI成分の推定が行われ、ICIの補償は、例えばMIMO検出部205で行うことができる。あるいは、尤度比算出部207で確率伝搬法(BP:Belief Propagation)を適用して受信シンボルの尤度関数を算出し、最大事後確率(MAP:Maximum a posteriori probability)復号によりICIを考慮したLLRを算出することでICIを補償することができる。なお、確率伝搬法の詳細については、P.Ochandiano, H. Wymeersch, I. Sobr'on, L. Mart'inez, M. Mendicute : “Novel ICI Suppressing Receiver for High-Mobility DVB-T2 Reception with Large FFT Modes”, IEEE International Symposium on Broadband Multimedia Systems and Broadcasting (BMSB), mm11-66 (June 2011)を参照されたい。
【0044】
[伝送路応答推定]
次に、伝送路応答推定部204の具体的な推定方法について説明する。周波数領域での送信信号をxj(j=1,2)、受信信号をyi(i=1,2)とする。また、2×2MIMOの周波数領域の伝搬路行列をHij、受信信号に加わる雑音をziとすると、受信信号yiは、式(1)で示される。
【0045】
【数1】
【0046】
ij(t)は式(2)で示される時間領域の伝搬路行列、Fは式(3)で示される要素を持つフーリエ変換行列、FHは逆フーリエ変換行列を示す。時間領域の伝搬路行列Hij(t)の要素中のLは、推定する伝搬路応答において考慮する、遅延波の直接波に対する最大遅延時間にFFTサンプル速度をかけた数を示す。NはFFTサイズを示し、時間領域の伝搬路行列Hij(t)はN×Nの行列となる。このようにして伝搬路行列を時間領域で表すことにより、隣接するサブキャリア間のICI成分を算出することができる。
【0047】
【数2】
【0048】
【数3】
【0049】
本実施形態では、4つの時間領域の伝搬路行列H11(t),H12(t),H21(t),H22(t)それぞれに対して基底展開モデルを適用する。基底展開モデルは、時間領域の伝搬路行列を基底関数行列と係数の積で表現できると仮定し、その係数を求める推定法である。式(2)のHij(t)のl行目のゼロではないL個の要素hij,l(t)を(hij,l,0,・・・,hij,l,L-1)と表すと、hij,l(t)は式(5)の要素を持つ基底関数行列B=[b0,・・・,bq]を用いて、式(4)で表すことができる。bqは基底関数と呼ばれており、bq=[bq,0,・・・,bq,N-1Tで示され、各要素ba,bは式(5)で表される。なお、Qは基底関数bqの数を設定するための正の整数であり、例えばQ=2とする。
【0050】
【数4】
【0051】
式(4)を拡張すると、単位行列Iを用いて、時間領域の伝搬路行列Hij(t)は式(6)で表すことができる。
【0052】
【数5】
【0053】
よって、基底展開モデルを用いることにより、伝搬路行列Hij(t)は行列hij,rを求めることで算出でき、行列hij,rのサイズはL×(Q+1)であるため、演算量を大幅に減らすことができる。
【0054】
次に、行列hij,rを求める方法を示す。式(6)を式(1)に代入すると、式(1)は、基底関数bqの周波数応答である巡回行列Dqと、基底展開した周波数応答をフーリエ変換したΔij,qとを用いて、式(7)で表すことができる。FLはフーリエ変換行列Fの最初のL列を示す。ここで、巡回行列Dqは式(8)で表され、Δij,qは式(9)で表される。
【0055】
【数6】
【0056】
クラスターパイロットにデータキャリアからの干渉成分がないと仮定すると、クラスターパイロット部分の受信信号yi,m(p)(m=0,…,C)は、データ信号と分離することができ、クラスターパイロットの送信信号xj,m(p)と雑音zi,m(p)からなる式(10)で表すことができる。ここで、CはOFDM 1シンボルあたりのクラスターパイロット数を示し、上付きの(p)はクラスターパイロット部分を示す。
【0057】
【数7】
【0058】
さらに式(10)は、式(12)を用いると式(11)で表すことができる。
【0059】
【数8】
【0060】
[伝送路応答推定の第1の具体例]
第1の具体例として、図2で示したクラスターパイロットを有するOFDM信号を伝送するMIMOシステムにおいて、ICI成分の推定を含めた伝搬路特性を推定する例を示す。図2(a)に示す送信信号をx1図2(b)に示す送信信号をx2とすると、クラスターパイロットの中央にあるSP信号は、半数が送信信号x1とx2で同じ信号となり、残る半数が送信信号x2のSP信号のみ反転した信号である。また、隣接するクラスターパイロット間は十分な周波数間隔があるため、分離して考えることができる。よって、式(11)は式(13)の2つの式に分離することができる。
【0061】
【数9】
【0062】
式(13)の上付きの(p1)は同じSP信号を持つクラスターパイロットの集合を示し、上付きの(p2)は送信信号x2のSP信号が反転しているクラスターパイロットの集合を示す。同じSP信号を持つクラスターパイロットの場合はX2(p1)=X1(p1)となり、送信信号x2のSP信号が反転している場合はX2(p2)=−X1(p1)となる。これを式(13)に代入すると式(14)となる。
【0063】
【数10】
【0064】
式(14)にMMSE(Minimum Mean Squared Error)を適用すると、式(15)によりhi1,r+hi2,rと、hi1,r−hi2,rを求められ、hi1,rとhi2,rは式(16)となる。
【0065】
【数11】
【0066】
式(15)及び式(16)のWMMSEは式(17)により表される。ここで、E{}は期待値を示す。
【0067】
【数12】
【0068】
式(14)〜(16)に受信信号y1,y2をそれぞれ代入すると、h11,r,h12,r,h21,r,h22,rを求められる。その後、式(6)から時間領域の伝搬路行列Hij(t)を算出し、最後に式(1)により周波数領域の伝搬路行列Hij(=H11、H12、H21、H22)を算出することができる。以上により、キャリア間干渉成分の推定を含めた伝搬路特性を推定できる。
【0069】
[伝送路応答推定の第2の具体例]
次に、第2の具体例として、図3で示したクラスターパイロットを有するOFDM信号を伝送するMIMOシステムにおいて、ICI成分の推定を含めた伝搬路特性を推定する例を示す。図3(a)に示す送信信号をx1図3(b)に示す送信信号をx2とすると、2つの送信信号x1とx2のクラスターパイロットの中央にあるキャリアは、送信信号x1がSP信号の場合は送信信号x2はヌル信号であり、送信信号x2がSP信号の場合は送信信号x1はヌル信号である。
【0070】
第2の具体例についても、第1の具体例と同様にパイロット信号の集合を2つに分離して考える。(p1)を送信信号x1がSP信号の場合のクラスターパイロットの集合、(p2)を送信信号x2がSP信号の場合のクラスターパイロットの集合とすると、式(11)は式(18)の2つの式に分離することができる。
【0071】
【数13】
【0072】
式(18)にMMSEを適用すると、式(19)によりhi1,rとhi2,rを求めることができる。
【0073】
【数14】
【0074】
式(19)のWMMSEは式(20)により表される。
【0075】
【数15】
【0076】
式(19)に受信信号y1,y2をそれぞれ代入すると、h11,r,h12,r,h21,r,h22,rを求められる。その後、式(6)から時間領域の伝搬路行列Hij(t)を算出し、最後に式(1)により周波数領域の伝搬路行列Hij(=H11、H12、H21、H22)を算出することができる。以上により、キャリア間干渉成分の推定を含めた伝搬路特性を推定できる。
【0077】
上述したように、本発明に係る受信装置2は、クラスターパイロットを含むOFDM信号を受信し、クラスターパイロットをもとに時間領域の伝搬路行列Hij(t)を算出した後、周波数領域の伝搬路行列Hijを算出するため、ICI成分を考慮した伝搬路特性を推定することができる。また、伝送路応答推定部204は、時間領域の伝搬路行列Hij(t)を基底関数行列Bと係数の積で表現できると仮定して算出することにより、演算量を大幅に減らすことができる。
【0078】
なお、上述した受信装置2として機能させるためにコンピュータを好適に用いることができ、そのようなコンピュータは、受信装置2の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを該コンピュータの記憶部に格納しておき、該コンピュータのCPUによってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。なお、このプログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録可能である。
【0079】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、実施形態に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【0080】
また、上述した実施形態では2×2MIMOシステムを例に説明したが、送信アンテナ数及び受信アンテナ数がさらに多いMIMOシステムについても同様に、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
2 受信装置
200 受信アンテナ
201 GI除去部
202 フーリエ変換部
203 パイロット信号抽出部
204 伝送路応答推定部
205 MIMO検出部
206 時間・周波数デインターリーブ部
207 尤度比算出部
208 ビットデインターリーブ部
209 誤り訂正符号復号部
210 エネルギー逆拡散部
図1
図2
図3
図4