(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記偏光子における前記保護フィルムが積層されている側とは反対側の面、及び、前記保護フィルムにおける前記偏光子が積層されている側とは反対側の面の少なくとも一方の面に積層された粘着剤層を更に備える、請求項1又は2記載の偏光板。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、各図面の寸法比率は必ずしも実際のものとは一致せず、特に、フィルムの厚さに関しては誇張して描いてある。
【0014】
<第1の実施形態>
図1及び
図2に示されているとおり、本実施形態の偏光板1Aは、薄膜状に形成された偏光フィルム(偏光子)2の片面に、接着剤層4を介して保護フィルム3が積層されて成っている。偏光フィルム2及び保護フィルム3は平面視長方形に成形されており、この形状が偏光板1Aの外観形状ともなっている。
【0015】
偏光板1Aは、液晶セル等の表示用セル(画像表示素子)の片面又は両面に貼合されるものである。偏光板1は、表示用セルの背面側に貼合されることが好ましい。背面側の偏光板は視認側の偏光板に比べて結露等が生じやすく偏光フィルムにクラックが入りやすいところ、本実施形態の偏光板1によれば偏光フィルム2にクラックが入ることを顕著に抑制することができる。
【0016】
偏光フィルム2の端部2aは、その全周に亘って、保護フィルム3の端部3aよりも内側(偏光板1の主面の中央側)に凹んで位置している。すなわち、
図2に示された断面図において、偏光板1Aの側面は、偏光フィルム2の側面が保護フィルム3の側面に対して凹んだ形状をなしている。
【0017】
ここで「偏光フィルム2の端部2a」とは、偏光フィルム2の端面を構成する辺のうち保護フィルム3から遠い側にあって偏光板1の厚さ方向に垂直な辺をいう。また、「保護フィルム3の端部3a」とは、保護フィルム3の端面を構成する辺のうち偏光フィルム2から遠い側にあって偏光板1の厚さ方向に垂直な辺をいう。
【0018】
偏光フィルム2の端部2aは、保護フィルム3の端部3aよりも1〜500μm内側に位置していることが好ましく、2〜300μm内側に位置していることがより好ましく、5〜50μm内側に位置していることが更に好ましい。なかでも、本実施形態のように、偏光フィルム2の全周に亘って同じ長さで内側に位置していることが好ましい。偏光フィルム2の端部2aがこれらの範囲に位置していると、偏光フィルム2の端部2aを物理的に保護する効果が特に高く、液晶表示装置を構成した場合にも表示面を広く確保することができる。
【0019】
偏光フィルム2と保護フィルム3とは、接着剤層4を介して貼合して積層されている。
【0020】
偏光フィルム2の材料としては、従来から偏光板の製造に使用されている公知の材料を用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル(EVA)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。なかでもポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。保護フィルム3と貼合するためにフィルム状に成形する場合は、一軸延伸したフィルムにヨウ素又は二色性染料による染色を施し、ついでホウ酸処理することが好ましい。後述するとおり、フィルム状の偏光子は、偏光板の製造時に任意の大きさに切り出して用いることができる。
【0021】
偏光フィルム2の厚さは、2〜30μmであることが好ましく、2〜15μmであることがより好ましく、2〜10μmであることが更に好ましい。一般に偏光フィルムは薄いほどクラックが入りやすいが、本実施形態では偏光フィルム2が10μm以下であっても顕著にクラックを防止し得る。
【0022】
保護フィルム3は、偏光フィルム2の主面や端部の割れや傷つきを防止するフィルムである。ここで「保護フィルム」とは、偏光フィルム2に種々積層され得るフィルムのなかでも、偏光フィルム2に最も近い位置に物理的に積層されたフィルムを指している。
【0023】
保護フィルム3は、偏光板の分野で知られている各種の透明樹脂フィルムで構成することができる。例えば、トリアセチルセルロースを代表例とするセルロース系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を代表例とするポリオレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂を代表例とする環状オレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂を代表例とするアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を代表例とするポリエステル系樹脂等が挙げられる。なかでも、セルロース系樹脂が代表的である。
【0024】
保護フィルム3の厚さは、5〜90μmであることが好ましく、5〜80μmであることがより好ましく、5〜50μmであることが更に好ましい。
【0025】
接着剤層4を構成する接着剤としては、従来から偏光板の製造に使用されている各種の接着剤を使用することができる。例えば、耐候性や屈折率、カチオン重合性等の観点から、分子内に芳香環を含まないエポキシ樹脂が好ましい。また、活性エネルギー線(紫外線又は熱線)の照射によって硬化するものが好ましく、カチオン系紫外線硬化性接着剤、ラジカル系紫外線硬化性接着剤が特に好ましい。
【0026】
エポキシ樹脂としては、例えば水素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等が好ましい。エポキシ樹脂に対して、重合開始剤(例えば紫外線照射で重合させるための光カチオン重合開始剤、熱線照射によって重合させるための熱カチオン重合開始剤)や、更に他の添加剤(増感剤等)を添加して、塗布用のエポキシ樹脂組成物を調製して使用することができる。
【0027】
ラジカル系紫外線硬化性接着剤を構成する樹脂としては、分子中に1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリル系化合物を含有し、重合開始剤の存在下において活性エネルギー線(たとえば、紫外線、可視光、電子線、X線など)の照射により重合可能な(メタ)アクリル系化合物が挙げられる。
【0028】
また、接着剤としては、アクリルアミド、アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリル系樹脂を含む組成物や、ポリビニルアルコール系樹脂を含む水系接着剤を使用することもできる。
【0029】
偏光フィルム2、接着剤層4、及び保護フィルム3の三層からなる偏光板1Aの厚さは、7〜120μmであることが好ましく、10〜70μmであることがより好ましく、10〜55μmであることが更に好ましい。
【0030】
偏光板1Aは、例えば以下のようにして製造することができる。まず、保護フィルム3を構成する材料からなる長尺のフィルムロールから、保護フィルム3を長方形に切り出す。切り出す長方形の大きさや縦横比は、偏光板1Aの適用対象に応じて決めたものとする。保護フィルム3の片面に接着剤を塗布する。接着剤を塗布する領域は保護フィルム3の全面ではなく、偏光フィルム2が積層される領域とする。
【0031】
次に、偏光フィルム2を構成する材料からなる長尺のフィルムロールから、偏光フィルム2を長方形に切り出す。切り出す長方形の大きさは、保護フィルム3の大きさよりも小さくする。小さくする分量としては、偏光フィルム2の端部2aを保護フィルム3の端部3aよりも内側に凹ませたい分とする。切り出したフィルム状の偏光フィルム2を、接着剤を塗布した保護フィルム3の面に、例えば貼合ロールを用いて積層する。ここでの積層は、偏光フィルム2の片面の全面が保護フィルム3の面の内側に入るように行う。ここで保護フィルム3側から見れば、偏光フィルム2は保護フィルム3に覆われている。接着剤として活性エネルギー線硬化性樹脂を用いた場合は、ここで活性エネルギー線を照射して接着剤を硬化させる。
【0032】
以上の手順によって、偏光板1Aが製造される。
【0033】
以上に説明した偏光板1Aは、偏光フィルム2の端部2aが保護フィルム3の端部3aよりも内側に位置しているため、偏光フィルム2の端部2aが物理的に保護される。従って、偏光板1Aを例えば液晶セルに貼り付ける場合のようなハンドリングにおいて、偏光板1Aの側面が衝撃を受けた場合に、保護フィルム3の端部3aのみが衝撃を受けることとなり、偏光フィルム2の端部に傷やクラックが生じることが防止される。この効果は、偏光板1Aを液晶セル等に貼り付けた後の更なるハンドリングにおいても奏される。また、偏光板1Aはヒートショック試験等の耐久試験において偏光フィルム2にクラックが入りにくい。
【0034】
また、偏光板1Aは、保護フィルム3の端部3aによって偏光フィルム2の端部2aが保護されているため、特に近年の液晶セルの狭額縁化傾向において、その効果が良好に奏される。すなわち、偏光板1Aが貼着された液晶セルの額縁が通常幅である場合は、偏光フィルム2に物理的衝撃が加わることを液晶セル自体が保護する働きがあるが、液晶セルが狭額縁であると、その保護の効果が小さくなる。この場合、液晶セル側の保護フィルム3の端部3aが偏光フィルム2の端部2aの保護に寄与する割合が大きくなる。
【0035】
偏光フィルム2の端部2aは全周に亘って保護フィルム3の端部3aよりも内側にあるため、上記の効果は、偏光板1Aの全周に亘って奏される。
【0036】
また、偏光板1Aは平面視長方形であるため、液晶表示装置等、種々の物品に適用しやすい。
【0037】
<第2の実施形態>
偏光板1Aは、他の光学機能フィルムを更に備えていてもよい。他の光学機能フィルムとしては、ある種の偏光を透過し、それと逆の性質を示す偏光を反射する反射型偏光子;表面に凹凸形状を有する防眩機能付フィルム;表面反射防止機能付フィルム;表面に反射機能を有する反射フィルム;反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルム;視野角補償フィルム;位相差フィルム等が挙げられる。以下では反射型偏光子を備える態様について説明する。
【0038】
図3に示されているとおり、偏光板1Bは、偏光フィルム2、接着剤層4及び保護フィルム3からなる偏光板の偏光フィルム2側の面に、粘着剤層5を介して反射型偏光子6が積層されている。
【0039】
反射型偏光子6の大きさ及び形状は、保護フィルム3の大きさ及び形状と同一とされており、その端部は偏光フィルム2の端部から張り出している。反射型偏光子6としては、任意のものを用いることができる。
【0040】
粘着剤層5は、アクリル系樹脂や、シリコーン系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル等で構成することができる。
【0041】
粘着剤層5の厚さは、2〜50μmであることが好ましく、2〜40μmであることがより好ましく、2〜30μmであることが更に好ましい。
【0042】
粘着剤層5を偏光フィルム2に積層する方法としては、例えば、偏光フィルム2に上記樹脂や任意の添加成分を含む溶液を塗布する方法でもよく、別途用意したセパレータ上に当該溶液で粘着剤層5を形成した後にこれを偏光フィルム2に転写する方法でもよい。
【0043】
偏光板1Bは、他の物品に貼着する目的のために、反射型偏光子6上に更に別の粘着剤層(図示せず)を備え、これにセパレータ(図示せず)が積層されていてもよい。
【0044】
セパレータは、粘着剤層の保護や異物の付着防止等を目的として貼着される剥離可能なフィルムであって、偏光板1Bの使用時に剥がされて粘着剤層が露出される。セパレータは、例えばポリエチレンのようなポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンのようなポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂等で構成することができる。中でも、ポリエチレンテレフタレートの延伸フィルムが好ましい。
【0045】
偏光板1Bによれば、偏光フィルム2が損傷、摩損することが防止される。また、反射型偏光子6の端部が偏光フィルム2の端部2aよりも張り出していることによって、偏光フィルム2の端部2aが一層保護されている。
【0046】
なお、反射型偏光子6の大きさ及び形状は、
図4に示されている偏光板1Cのように、偏光フィルム2の大きさ及び形状と同一としてもよい。
【0047】
また、保護フィルム3上に更に粘着剤層5を備えている場合は、
図5に示されているとおり、例えば偏光板1Bを液晶セル8の背面側(図示下側)に貼着し、他方、偏光フィルム2側の表面に粘着剤層5を備えた偏光板1Aを液晶セル8の視認側(図示上側)に貼着して液晶パネル9を構成し、これにバックライト(面光源装置;図示省略)その他の部材を組み合わせることで、液晶表示装置10を作製することができる。なお、液晶表示装置には、通常2枚の偏光板が組み込まれるが、本実施形態の液晶表示装置としては、偏光板を少なくとも1枚備えていればよい。
【0048】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、上記実施形態では偏光フィルム2の端部2aがその全周に亘って保護フィルム3の端部3aよりも内側に位置している態様を示したが、内側に位置する部分が偏光フィルム2の全周に亘っていなくてもよい。この場合、偏光フィルム2の端部2aは、保護フィルム3の端部3aよりも内側に位置している部分のみが保護される。
【0049】
また、上記実施形態では偏光フィルム2の全周に亘って同じ長さで内側に位置している様子を示したが、場所によって偏光フィルム2の凹みの程度を変えてもよい。例えば、偏光板のハンドリング時に衝撃を受けやすい部分があらかじめ分かっている場合は、その部分の偏光フィルムの端部の凹み幅を大きくしておくことが好ましい。
【0050】
また、上記実施形態では偏光板1A,1Bが平面視長方形である例を示したが、他の四角形、例えば台形、平行四辺形、正方形等であってもよいほか、円形や楕円形であってもよい。すなわち偏光板1A,1Bは、偏光板1A,1Bを貼着する物品の形状に合わせて任意の形状とすることができる。
【0051】
また、第2の実施形態では粘着剤層5が偏光フィルム2側に積層された態様を示したが、保護フィルム3側にも粘着剤層5が積層し、他の光学機能層を積層した態様としてもよい。
【実施例】
【0052】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0053】
(1)偏光フィルムの作製
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上で厚み20μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約4倍に一軸延伸した。延伸の緊張状態を保ったまま、40℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.1/5/100である水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が10.5/7.5/100である水溶液に68℃で300秒間浸漬した。引き続き、5℃の純水で5秒間洗浄した後、70℃で180秒間乾燥して、一軸延伸されたポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向された偏光フィルム(偏光子)を得た。偏光フィルムの厚さは7μmであった。
【0054】
(2)接着剤の調製
(2−1)水系接着剤
ポリビニルアルコール粉末(株式会社クラレ製の商品名「KL−318」、平均重合度1800)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(田岡化学工業株式会社製の商品名「スミレーズレジン650」〕をポリビニルアルコール粉末2質量部に対して1質量部の割合で混合して、水系接着剤とした。
【0055】
(2−2)カチオン系紫外線硬化性接着剤
以下の各成分を混合し、脱泡して紫外線硬化性接着剤を調製した。なお、光カチオン重合開始剤は、50%プロピレンカーボネート溶液の形で入手したものを使用した。以下に示す配合量(2.25質量部)は、固形分量である。
・3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート … 75質量部
・1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル … 20質量部
・2−エチルヘキシルグリシジルエーテル … 5質量部
・トリアリールスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート系の光カチオン重合開始剤 … 2.25質量部
【0056】
(2−3)ラジカル系紫外線硬化性接着剤
以下の各成分を混合し、脱泡して紫外線硬化性接着剤を調製した。
・ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(アロンオキセタン OXT−221、東亞合成株式会社製) … 15質量部
・トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP、新中村化学工業株式会社製) … 50質量部
・2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCUR 1173、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)(光ラジカル重合開始剤) … 2.25質量部
【0057】
(3)片面保護偏光板の作製(水系接着剤を用いる場合)
次の手順で剥離フィルム付片面保護偏光板を作製した。上記(1)で得られた偏光フィルムと、保護フィルム(日本ゼオン株式会社製 ゼオノアフィルム ゼオノアフィルムZF14−023、厚さ23μm)のロールから保護フィルムを1枚ずつ120mm×70mmのサイズで切り出した。このとき、偏光フィルムが保護フィルムよりもわずかに小さくなるように調整した(「わずかに」の程度については後述する)。保護フィルムにはコロナ処理を施し、また、剥離フィルム(コニカミノルタオプト(株)製のTACフィルムである商品名「KC8UX2MW」、厚み80μm、ケン化処理なし)を別途切り出して、保護フィルム、偏光フィルム、剥離フィルムの順に積層した。
【0058】
次いで、偏光フィルムと保護フィルムとの間に上記(2−1)で得られた水系接着剤を注入するとともに、偏光フィルムと剥離フィルムとの間に純水を注入し、貼合ロール間に通して保護フィルム/水系接着剤層/偏光フィルム/純水/剥離フィルムからなる積層フィルムとした。引き続き、積層フィルムを、乾燥装置内で80℃、300秒の加熱処理を行うことにより、水系接着剤層を乾燥するとともに、偏光フィルムと剥離フィルムの間に介在する純水を揮発除去して、剥離フィルム付片面保護偏光板を得た。剥離フィルム付片面保護偏光板から剥離フィルムを剥離し、片面保護偏光板を得た。
【0059】
(4)片面保護偏光板の作製(紫外線硬化性接着剤を用いる場合)
上記(1)で得られた偏光フィルムと、保護フィルム(日本ゼオン株式会社製 ゼオノアフィルム ゼオノアフィルムZF14−023、厚さ23μm)のロールから保護フィルムを1枚ずつ切り出した。このとき、偏光フィルムが保護フィルムよりも小さくなるように調整した。保護フィルムにはコロナ処理を施し、保護フィルム、偏光フィルムの順に積層した。
【0060】
次いで、偏光フィルムと保護フィルムとの間に上記(2−2)又は(2−3)で得られた紫外線硬化性接着剤を注入し、貼合ロール間に通して保護フィルム/紫外線硬化性接着剤/偏光フィルムからなる積層フィルムとした。引き続き、UV照射装置を用いて、保護フィルム側からUV照射を行うことにより、紫外線硬化性接着剤を硬化させて、片面保護偏光板を得た。
【0061】
(5)輝度向上フィルム付片面保護偏光板の作製
上記(3)及び(4)で得られた片面保護偏光板の偏光フィルム面にアクリル系感圧式粘着剤を介して、輝度向上フィルム(3M株式会社製の反射型偏光子である商品名「APF」)を貼合して輝度向上フィルム付片面保護偏光板を得た。このとき、輝度向上フィルムのサイズは偏光板のサイズと同じとし、偏光フィルムの延伸方向に対して、輝度向上フィルムの延伸軸を平行にして貼合した。
【0062】
(6)アクリル系感圧式粘着剤付偏光板の作製
上記(5)で得られた輝度向上フィルム付片面保護偏光板の輝度向上フィルム面にセパレータフィルム付きアクリル系感圧式粘着剤を貼合してアクリル系感圧式粘着剤付偏光板を得た。
【0063】
(7)ヒートショック試験
耐久試験として、ヒートショック試験を行った。ヒートショック試験用のサンプルは以下の手順で作製した。
【0064】
上記(6)で得られたサンプルを無アルカリガラス板(コーニング株式会社製「Eagle−XG」)に貼着した後、オートクレーブ中、温度50℃、圧力5MPaの条件下で20分間加圧処理を行ない、引き続き温度23℃、相対湿度60%の雰囲気下で1日放置した。その後、株式会社エスペック製の冷熱衝撃試験器「TSA−301L−W」にて、低温側−40℃〔保持時間30分〕、常温23℃〔保持時間5分〕、高温側85℃〔保持時間30分〕の順で試験槽ないが変化するように設定した条件で12サイクル保存する耐久性試験を行なった。その後、サンプルを取り出し、クラック状の外観不具合の有無を確認した。
【0065】
(8)実施例及び比較例
以下、上記(1)〜(6)の実施手順に従って作製した偏光板について、「(7)ヒートショック試験」を実施した結果を示す。
【0066】
[実施例1]
偏光フィルムのサイズが保護フィルムのサイズよりも縦方向及び横方向の全幅がいずれも0.1mm小さくなるように切り出し、各辺において偏光フィルムの端部が保護フィルムの端部に対して、それぞれ0.05mm内側に位置するように調整して、水系接着剤を使用して偏光板を作製し、ヒートショック試験を実施した。その結果、偏光フィルムのクラックは見られなかった。
【0067】
[実施例2]
偏光フィルムのサイズが保護フィルムのサイズよりも縦方向及び横方向の全幅がいずれも0.1mm小さくなるように切り出し、各辺において偏光フィルムの端部が保護フィルムの端部に対して、それぞれ0.05mm内側に位置するように調整して、カチオン系紫外線硬化性接着剤を使用して偏光板を作製し、ヒートショック試験を実施した。その結果、偏光フィルムのクラックは見られなかった。
【0068】
[実施例3]
偏光フィルムのサイズが保護フィルムのサイズよりも縦方向及び横方向の全幅がいずれも0.1mm小さくなるように切り出し、各辺において偏光フィルムの端部が保護フィルムの端部に対して、それぞれ0.05mm内側に位置するように調整して、ラジカル系紫外線硬化性接着剤を使用して偏光板を作製し、ヒートショック試験を実施した。その結果、偏光フィルムのクラックは見られなかった。
【0069】
[実施例4]
保護フィルムをケン化処理したトリアセチルセルロース(コニカミノルタオプト株式会社製、ゼロタック、厚さ20μm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製し、ヒートショック試験を実施した。その結果、偏光フィルムのクラックは見られなかった。
【0070】
[実施例5]
保護フィルムをケン化処理したトリアセチルセルロース(コニカミノルタオプト株式会社製、ゼロタック、厚さ20μm)を使用したこと以外は実施例2と同様にして偏光板を作製し、ヒートショック試験を実施した。その結果、偏光フィルムのクラックは見られなかった。
【0071】
[実施例6]
保護フィルムをケン化処理したトリアセチルセルロース(コニカミノルタオプト株式会社製、ゼロタック、厚さ20μm)を使用したこと以外は実施例3と同様にして偏光板を作製し、ヒートショック試験を実施した。その結果、偏光フィルムのクラックは見られなかった。
【0072】
[比較例1]
偏光フィルムと保護フィルムをいずれも130mm×80mmで切り出し、水系接着剤を使用して偏光板を作製したのち、スーパーカッターで各辺を5mmずつ裁断し、120mm×70mmに成形し、ヒートショック試験を実施した。その結果、偏光フィルムの端部にクラックが発生した。
【0073】
[比較例2]
偏光フィルムと保護フィルムをいずれも130mm×80mmで切り出し、カチオン系紫外線硬化性接着剤を使用して偏光板を作製したのち、スーパーカッターで各辺を5mmずつ裁断し、120mm×70mmに成形し、ヒートショック試験を実施した。その結果、その結果、偏光フィルムの端部にクラックが発生した。
【0074】
[比較例3]
偏光フィルムと保護フィルムをいずれも130mm×80mmで切り出し、ラジカル系紫外線硬化性接着剤を使用して偏光板を作製したのち、スーパーカッターで各辺を5mmずつ裁断し、120mm×70mmに成形し、ヒートショック試験を実施した。その結果、偏光フィルムの端部にクラックが多数発生した。
【0075】
[比較例4]
偏光フィルムのサイズが保護フィルムのサイズよりも縦方向及び横方向の全幅がいずれも0.1mm大きくなるように切り出し、各辺において、偏光フィルムの端部が保護フィルムの端部に対して、0.05mm外側に位置するように調整して、水系接着剤を使用して偏光板を作製し、ヒートショック試験を実施した。その結果、偏光フィルムの端部にクラックが発生した。
【0076】
[比較例5]
偏光フィルムのサイズが保護フィルムのサイズよりも縦方向及び横方向の全幅がいずれも0.1mm大きくなるように切り出し、各辺において、偏光フィルムの端部が保護フィルムの端部に対して、0.05mm外側に位置するように調整して、カチオン系紫外線硬化性接着剤を使用して偏光板を作製し、ヒートショック試験を実施した。その結果、偏光フィルムの端部にクラックが発生した。
【0077】
[比較例6]
偏光フィルムのサイズが保護フィルムのサイズよりも縦方向及び横方向の全幅がいずれも0.1mm大きくなるように切り出し、各辺において、偏光フィルムの端部が保護フィルムの端部に対して、0.05mm外側に位置するように調整して、ラジカル系紫外線硬化性接着剤を使用して偏光板を作製し、ヒートショック試験を実施した。その結果、偏光フィルムの端部にクラックが多数発生した。