(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の方向転換経路と前記第2の方向転換経路とが、それぞれ一対のガイド部材を前記基板保持器の第1の被駆動軸の直径より若干大きな隙間を設けて対向するように近接して配置することによって設けられている請求項2記載の真空処理装置。
前記基板保持器の第1及び第2の被駆動部が前記第1及び第2の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、当該第1及び第2の被駆動部の長さが異なる請求項1乃至3のいずれか1項記載の真空処理装置。
前記基板保持器は、前記第1及び第2の搬送方向に対して直交する方向に複数の成膜対象基板を並べて保持するように構成されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の真空処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る真空処理装置の実施の形態の全体を示す概略構成図である。
また、
図2(a)(b)は、本実施の形態における基板保持器搬送機構及び方向転換機構の基本構成を示すもので、
図2(a)は平面図、
図2(b)は正面図である。
【0013】
さらに、
図3(a)(b)は、本実施の形態に用いる基板保持器の構成を示すもので、
図3(a)は平面図、
図3(b)は正面図である。
さらにまた、
図4(a)〜(d)は、本実施の形態の搬送駆動部材に設けられる第1の駆動部の構成を示すもので、
図4(a)は搬送方向下流側から見た側面図、
図4(b)は正面図、
図4(c)は搬送方向上流側から見た側面図、
図4(d)は斜視図である。
さらにまた、
図5は、本実施の形態における方向転換機構の構成を示す正面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態の真空処理装置1は、真空排気装置1aに接続された単一の真空雰囲気が形成される真空槽2を有している。
真空槽2の内部には、後述する基板保持器11を搬送経路に沿って搬送する基板保持器搬送機構3が設けられている。
【0015】
この基板保持器搬送機構3は、基板10を保持する複数の基板保持器11を連続して搬送するように構成されている。
ここで、基板保持器搬送機構3は、例えばスプロケット等からなり駆動機構(図示せず)から回転駆動力が伝達されて動作する同一径の円形の第1及び第2の駆動輪31、32を有し、これら第1及び第2の駆動輪31、32が、それぞれの回転軸線を平行にした状態で所定距離をおいて配置されている。
【0016】
そして、第1及び第2の駆動輪31、32には例えばチェーン等からなる一連の搬送駆動部材33が架け渡されている。
さらに、これら第1及び第2の駆動輪31、32に搬送駆動部材33が架け渡された構造体が所定の距離をおいて平行に配置され(
図2(a)参照)、これら一対の搬送駆動部材33により鉛直面に対して一連の環状となる搬送経路が形成されている。
【0017】
本実施の形態では、搬送経路を構成する搬送駆動部材33のうち上側の部分に、第1の駆動輪31から第2の駆動輪32に向って移動して基板保持器11を第1の搬送方向P1に搬送する往路側搬送部(第1の搬送部)33aが形成されるとともに、第2の駆動輪32の周囲の部分の搬送駆動部材33によって基板保持器11の搬送方向を折り返して反対方向に転換する折り返し部33bが形成され、さらに、搬送駆動部材33のうち下側の部分に、第2の駆動輪32から第1の駆動輪31に向って移動して基板保持器11を第2の搬送方向P2に搬送する復路側搬送部(第2の搬送部)33cが形成されている。
【0018】
本実施の形態の基板保持器搬送機構3は、各搬送駆動部材33の上側に位置する往路側搬送部33aと、各搬送駆動部材33の下側に位置する復路側搬送部33cとがそれぞれ対向し、鉛直方向に関して重なるように構成されている。
【0019】
また、基板保持器搬送機構3には、基板保持器11を導入する基板保持器導入部30Aと、基板保持器11を折り返して搬送する搬送折り返し部30Bと、基板保持器11を排出する基板保持器排出部30Cが設けられている。
ここで、搬送折り返し部30Bの近傍には、後述する方向転換機構40が設けられている。
【0020】
真空槽2内には、第1及び第2の処理領域4、5が設けられている。
本実施の形態では、真空槽2内において、基板保持器搬送機構3の上部に、例えばスパッタ源4Tを有する第1の処理領域4が設けられ、基板保持器搬送機構3の下部に、例えばスパッタ源5Tを有する第2の処理領域5が設けられている。
【0021】
本実施の形態では、上述した搬送駆動部材33の往路側搬送部33aが、上記第1の処理領域4を直線的に水平方向に通過するように構成され、復路側搬送部33cが、上記第2の処理領域5を直線的に水平方向に通過するように構成されている。
【0022】
そして、搬送経路を構成するこれら搬送駆動部材33の往路側搬送部33a及び復路側搬送部33cを基板保持器11が通過する場合に、基板保持器11に保持された複数の基板10(
図2(a)参照)が水平状態で搬送されるようになっている。
【0023】
真空槽2内の基板保持器搬送機構3の近傍の位置、例えば第1の駆動輪31に隣接する位置には、基板保持器搬送機構3との間で基板保持器11を受け渡し且つ受け取るための基板搬入搬出機構6が設けられている。
【0024】
本実施の形態の基板搬入搬出機構6は、昇降機構60によって例えば鉛直上下方向に駆動される駆動ロッド61の先(上)端部に設けられた支持部62を有している。
【0025】
本実施の形態では、基板搬入搬出機構6の支持部62上に搬送ロボット64が設けられ、この搬送ロボット64上に上述した基板保持器11を支持して基板保持器11を鉛直上下方向に移動させ、かつ、搬送ロボット64によって基板保持器搬送機構3との間で基板保持器11を受け渡し且つ受け取るように構成されている。
【0026】
この場合、後述するように、基板搬入搬出機構6から基板保持器搬送機構3の往路側搬送部33aの基板保持器導入部30Aに基板保持器11を受け渡し(この位置を「基板保持器受け渡し位置」という。)、かつ、基板保持器搬送機構3の復路側搬送部33cの基板保持器排出部30Cから基板保持器11を取り出す(この位置を「基板保持器取り出し位置」という。)ように構成されている。
【0027】
真空槽2の例えば上部には、真空槽2内に基板10を搬入し且つ真空槽2から基板10を搬出するための基板搬入搬出室2Aが設けられている。
この基板搬入搬出室2Aは、例えば上述した基板搬入搬出機構6の支持部62の上方の位置に連通口2Bを介して設けられており、例えば基板搬入搬出室2Aの上部には、開閉可能な蓋部2aが設けられている。
【0028】
そして、後述するように、基板搬入搬出室2A内に搬入された処理前の基板10aを基板搬入搬出機構6の支持部62の搬送ロボット64上の基板保持器11に受け渡して保持させ、かつ、処理済の基板10bを基板搬入搬出機構6の支持部62の搬送ロボット64上の基板保持器11から例えば真空槽2の外部の大気中に搬出するように構成されている。
【0029】
なお、本実施の形態の場合、基板搬入搬出機構6の支持部62の上部の縁部に、基板10を搬入及び搬出する際に基板搬入搬出室2Aと真空槽2内の雰囲気を隔離するための例えばOリング等のシール部材63が設けられている。
【0030】
この場合、基板搬入搬出機構6の支持部62を基板搬入搬出室2A側に向って上昇させ、支持部62上のシール部材63を真空槽2の内壁に密着させて連通口2Bを塞ぐことにより、真空槽2内の雰囲気に対して基板搬入搬出室2A内の雰囲気を隔離するように構成されている。
【0031】
図2(a)(b)に示すように、本実施の形態の基板保持器搬送機構3の一対の搬送駆動部材33には、それぞれ所定の間隔をおいて複数の第1の駆動部36が搬送駆動部材33の外方側に突出するように設けられている。
【0032】
第1の駆動部36は、例えば
図2(b)に示すように、Jフック形状(搬送方向下流側の第1の突部36aの高さが搬送方向上流側の第2の突部36bの高さより低くなるような溝部が形成された形状)に形成され、以下に説明する基板保持器支持機構18によって支持された基板保持器11の後述する第1の被駆動軸12と接触して当該基板保持器11を第1又は第2の搬送方向P1、P2に駆動するように構成されている。
【0033】
一対の搬送駆動部材33の内側には、搬送する基板保持器11を支持する一対の基板保持器支持機構18が設けられている。
基板保持器支持機構18は、例えば複数のローラ等の回転可能な部材からなるもので、それぞれ搬送駆動部材33の近傍に設けられている。
【0034】
本実施の形態では、搬送駆動部材33の往路側搬送部33aの上方近傍に往路側基板保持器支持機構18aが設けられるとともに、搬送駆動部材33の復路側搬送部33cの下方近傍に復路側基板保持器支持機構18cが設けられ、搬送される基板保持器11の下面の両縁部を支持するように配置構成されている。
【0035】
なお、往路側基板保持器支持機構18aは、後述する方向転換機構40の第1の方向転換経路51の進入口の近傍まで設けられ、復路側基板保持器支持機構18cは、後述する方向転換機構40の第2の方向転換経路52の排出口の近傍まで設けられている。
【0036】
本実施の形態に用いる基板保持器11は、基板10の両面上に真空処理を行うためのもので、開口部を有するトレイ状のものからなる。
図2(a)及び
図3(a)に示すように、本実施の形態の基板保持器11は、例えば長尺矩形の平板状に形成され、その長手方向即ち第1及び第2の搬送方向P1、P2に対して直交する方向に例えば矩形状の複数の基板10を一列に並べてそれぞれ保持する複数の保持部14が設けられている。
【0037】
ここで、各保持部14には、各基板10と同等の大きさ及び形状で各基板10の両面が全面的に露出する例えば矩形状の開口部が設けられ、図示しない保持部材によって各基板10を保持するように構成されている。
【0038】
本発明では、特に限定されることはないが、設置面積を小さくし且つ処理能力を向上させる観点からは、基板保持器11について、本実施の形態のように、搬送方向に対して直交する方向に複数の基板10を一列に並べてそれぞれ保持するように構成することが好ましい。
ただし、処理効率を向上させる観点からは、搬送方向に対して直交する方向に複数の基板10を複数列に並べることも可能である。
【0039】
一方、基板保持器11の長手方向の両端部で第1の搬送方向P1の上流側の端部に第1の被駆動軸(第1の被駆動部)12がそれぞれ設けられ、また、第1の搬送方向P1の下流側の端部に第2の被駆動軸(第2の被駆動部)13がそれぞれ設けられている。
【0040】
これら第1及び第2の被駆動軸12、13は、それぞれ基板保持器11の長手方向即ち第1及び第2の搬送方向P1、P2に対して直交する方向に延びる回転軸線を中心として断面円形状に形成されている(
図3(a)(b)参照)。
本実施の形態では、第2の被駆動軸13の長さが第1の被駆動軸12の長さより長くなるようにその寸法が定められている。
【0041】
具体的には、
図2(a)に示すように、基板保持器11を基板保持器搬送機構3に配置した場合に基板保持器11の両側部の第1の被駆動軸12が基板保持器搬送機構3の第1の駆動部36と接触し、かつ、基板保持器11を後述する方向転換機構40に配置した場合に第2の被駆動軸13が後述する第2の駆動部46と接触するように第1及び第2の被駆動軸12、13の寸法が定められている。
【0042】
一対の搬送駆動部材33の第1の搬送方向P1の下流側には、同一構成の一対の方向転換機構40が設けられている。
本実施の形態の場合、一対の方向転換機構40は、それぞれ第1及び第2の搬送方向P1、P2に関して一対の搬送駆動部材33の外側の位置に配置されている。
【0043】
また、これら一対の方向転換機構40は、それぞれ第1の搬送方向P1の上流側の部分が各搬送駆動部材33の第1の搬送方向P1の下流側の部分と若干重なるように設けられている。
【0044】
図2(b)及び
図4(a)〜(d)に示すように、本実施の形態の搬送駆動部材33に設けられる第1の駆動部36には、第1の突部36aの平面状に形成された側方部分(搬送方向に対して側方側の部分)で、かつ、その先端部分(搬送方向外方側の部分)に、基板保持器11を搬送方向に対して直交する方向についてアライメントを行うための第1のテーパ部36cが設けられている。
【0045】
また、第2の突部36bの平面状に形成された側方部分(搬送方向に対して側方側の部分)で、かつ、その先端部分(搬送方向外方側の部分)に、基板保持器11を搬送方向に対して直交する方向についてアライメントを行うための第2のテーパ部36dが設けられている。
【0046】
これら第1及び第2のテーパ部36c、36dは、第1及び第2の突部36a、36bの幅方向即ち搬送方向に対して直交する方向の寸法が、先端部側即ち搬送方向外方側に向ってそれぞれ小さくなるように形成されている。
本実施の形態では、第1及び第2のテーパ部36c、36dは、それぞれ第1の突部36a及び第2の突部36bの搬送方向に対して側方側の部分の両方に設けられている。
【0047】
本発明の場合、第1の駆動部36において、第1の突部36aに設ける第1のテーパ部36cの寸法については特に限定されることはないが、基板保持器11を搬送方向に対して直交する方向についてアライメントを確実に行う観点からは、第1の突部36aの平面状に形成された側方部分360に対してそれぞれ10〜45°の角度で形成することが好ましい。
【0048】
この場合、具体的には、第1の突部36aの第1のテーパ部36cの搬送方向外方側に向かう方向の長さは、それぞれ1〜3mmに設定することが好ましく、この第1のテーパ部36cの搬送方向に対して直交する方向(
図4(a)(c)中Y方向で示す方向)についての加工寸法は、それぞれ1〜15mmに設定することが好ましい。
【0049】
また、第1の駆動部36において、第2の突部36bに設ける第2のテーパ部36dの寸法については特に限定されることはないが、基板保持器11を搬送方向に対して直交する方向についてアライメントを確実に行う観点からは、第2の突部36bの平面状に形成された側方部分361に対してそれぞれ5〜45°の角度で形成することが好ましい。
【0050】
この場合、具体的には、第2の突部36bの第2のテーパ部36dの搬送方向外方側に向かう方向の長さは、1〜5mmに設定することが好ましく、この第2のテーパ部36dの搬送方向に対して直交する方向(
図4(a)(c)中Y方向で示す方向)についての加工寸法は、それぞれ1〜50mmに設定することが好ましい。
【0051】
なお、本実施の形態では、部品の共通化による部分点数の削減のため、それぞれ第1及び第2のテーパ部36c、36dを、第1の突部36a及び第2の突部36bの両方の側方部分に設けるようにしたが、本発明はこれに限られず、第1及び第2の突部36a、36bの側方部分のうち基板保持器11側(搬送方向に対して内方側の側方部分)にのみ第1及び第2のテーパ部36c、36dを設けることもできる。
【0052】
一方、本実施の形態では、
図4(b)〜(d)に示すように、第1の駆動部36の第2の突部36bの先端部(搬送方向外方側の端部)に、第3のテーパ部36eが設けられている。
【0053】
この第3のテーパ部36eは、第2の突部36bの先端部の搬送方向上流側の部分が、搬送方向内方側に傾斜するように形成されている(
図4(b)(d)に示す例では第1の搬送方向P1の上流側の部分)。
この場合、第3のテーパ部36eは、その搬送方向上流側及び下流側の縁部にアール加工が施され、その中央部分は平面状に形成されている。
【0054】
本発明の場合、第1の駆動部36において、第2の突部36bに設ける第3のテーパ部36eの寸法については特に限定されることはないが、後述するように、基板保持器11を基板保持器搬送機構3から基板搬入搬出機構6に受け渡す際に、第1の駆動部36の第2の突部36bと基板保持器11の第1の被駆動軸12との接触(係合)状態をできるだけ早く外す観点からは、第2の突部36bの平面状に形成された搬送方向下流側の部分36f(
図4(b)参照)に対して45〜80°の角度で形成することが好ましい。
【0055】
図5に示すように、本実施の形態の方向転換機構40は、第1のガイド部材41、第2のガイド部材42、第3のガイド部材43を有し、これら第1〜第3のガイド部材41〜43は、第1の搬送方向P1の上流側からこの順で配置されている。
【0056】
本実施の形態では、第1〜第3のガイド部材41〜43は、一対の搬送駆動部材33の外側近傍の位置にそれぞれ配置され、さらに、第1〜第3のガイド部材41〜43の外側近傍の位置に、後述する搬送駆動部材45がそれぞれ配置されている。
【0057】
なお、
図2(b)では、方向転換機構40の一部を省略するとともに、部材の重なり関係を無視して搬送方向についての部材間の位置関係が明確になるように示されている。
【0058】
図2(a)及び
図5に示すように、第1〜第3のガイド部材41〜43は、例えば板状の部材からなり、それぞれ鉛直方向に向けて設けられている。
ここで、第1のガイド部材41の第1の搬送方向P1の下流側の部分は、第1の搬送方向P1の下流側に向って凸となる曲面形状に形成され、また、第2のガイド部材42の第1の搬送方向P1の上流側の部分は、第1の搬送方向P1の下流側に向って凹となる曲面形状に形成されている。
【0059】
第1及び第2のガイド部材41、42は、第1のガイド部材41の第1の搬送方向P1の下流側の部分と第2のガイド部材42の第1の搬送方向P1の上流側の部分が同等の曲面形状に形成され、これらの部分が基板保持器11の第1の被駆動軸12の直径より若干大きな隙間を設けて対向するように近接配置されている。そして、この隙間によって基板保持器11の第1の被駆動軸12を案内する第1の方向転換経路51が設けられている。
【0060】
また、第2のガイド部材42の第1の搬送方向P1の下流側の部分は、第1の搬送方向P1の下流側に向って凸となる曲面形状に形成され、また、第3のガイド部材43の第1の搬送方向P1の上流側の部分は、第1の搬送方向P1の下流側に向って凹となる曲面形状に形成されている。
【0061】
第2及び第3のガイド部材42、43は、第2のガイド部材42の第1の搬送方向P1の下流側の部分と第3のガイド部材43の第1の搬送方向P1の上流側の部分が同等の曲面形状に形成され、これらの部分が基板保持器11の第2の被駆動軸13の直径より若干大きな隙間を設けて対向するように近接配置されている。そして、この隙間によって基板保持器11の第2の被駆動軸13を案内する第2の方向転換経路52が設けられている。
【0062】
本実施の形態では、第2のガイド部材42の第1の搬送方向P1の下流側の部分が、第1のガイド部材41の第1の搬送方向P1の下流側の部分と同等の曲面形状に形成され、さらに、第3のガイド部材43の第1の搬送方向P1の上流側の部分が、第2のガイド部材42の第1の搬送方向P1の上流側の部分と同等の曲面形状に形成されている。
【0063】
そして、このような構成により、第1の方向転換経路51と第2の方向転換経路52とが同等の曲面形状に形成されている。
さらに、本実施の形態では、第1及び第2の方向転換経路51、52の各部分の水平方向についての距離が、基板保持器11の第1及び第2の被駆動軸12、13の間の距離と同等となるようにその寸法が定められている。
【0064】
また、本実施の形態では、第1の方向転換経路51の上側の口が基板保持器11の第1の被駆動軸12の進入口となっており、その高さ位置が、往路側基板保持器支持機構18aに支持された基板保持器11の第2の被駆動軸13の高さ位置より低い位置となるように構成されている(
図2(b)参照)。
【0065】
さらに、第1の方向転換経路51の下側の口が基板保持器11の第1の被駆動軸12の排出口となっており、その高さ位置が、復路側基板保持器支持機構18cに支持された基板保持器11の第2の被駆動軸13の高さ位置より高い位置となるように構成されている(
図2(b)参照)。
【0066】
また、第2の方向転換経路52については、その上側の口が基板保持器11の第2の被駆動軸13の進入口となっており、その高さ位置が、往路側基板保持器支持機構18aに支持された基板保持器11の第2の被駆動軸13の高さ位置と同等の位置となるように構成されている(
図2(b)参照)。
【0067】
一方、第2の方向転換経路52の下側の口が基板保持器11の第2の被駆動軸13の排出口となっており、その高さ位置が、復路側基板保持器支持機構18cに支持された基板保持器11の第2の被駆動軸13の高さ位置と同等の位置となるように構成されている(
図2(b)参照)。
【0068】
本実施の形態の方向転換機構40は、例えば一対のスプロケットと、これら一対のスプロケットに架け渡されたチェーンからなる搬送駆動部材45を有し、この搬送駆動部材45は鉛直面に対して一連の環状となるように構成されている。
【0069】
この搬送駆動部材45は、その折り返し部分の曲率半径が、基板保持器搬送機構3の搬送駆動部材33の折り返し部33bの曲率半径と同等となるように構成されている。
また、搬送駆動部材45の上側の部分が第1の搬送方向P1に移動し、下側の部分が第2の搬送方向P2に移動するように駆動される。
【0070】
搬送駆動部材45には、所定の間隔をおいて複数の第2の駆動部46が搬送駆動部材45の外方側に突出するように設けられている。
第2の駆動部46は、搬送駆動部材45の外方側の部分に凹部が形成され、この凹部の縁部が基板保持器11の第2の被駆動軸13と接触して当該基板保持器11を第2の方向転換経路52に沿って支持駆動するように構成されている。
【0071】
また、本実施の形態の第2の駆動部46は、後述するように、第2の方向転換経路52の進入口及び排出口の位置に到達した場合にその凹部側の端部が第2の方向転換経路52から退避するように搬送駆動部材45の経路及び第2の駆動部46の寸法が設定されている(
図2(b)参照)。
【0072】
本実施の形態では、後述するように、第2の駆動部46が基板保持器搬送機構3の第1の駆動部36と同期して動作するように基板保持器搬送機構3の搬送駆動部材33と方向転換機構40の搬送駆動部材45の動作を制御する。
【0073】
そして、本実施の形態では、基板保持器搬送機構3の第1の駆動部36によって基板保持器11を第1の搬送方向P1に駆動して第1及び第2の被駆動軸12、13を第1及び第2の方向転換経路51、52内に進入させた場合に、基板保持器11が水平状態を保持しつつ第1及び第2の駆動部36、46によって第1及び第2の被駆動軸12、13が支持されて移動し、円滑に第1及び第2の方向転換経路51、52から排出されるように、第1及び第2の駆動部36、46、並びに、第1及び第2の方向転換経路51、52の形状及び寸法がそれぞれ設定されている。
【0074】
一方、第1のガイド部材41と第2のガイド部材42の下方で第1の方向転換経路51の排出口の近傍には、基板保持器11を方向転換機構40から基板保持器支持機構18の復路側基板保持器支持機構18cへ円滑に受け渡すための受け渡し部材47が設けられている。
【0075】
この受け渡し部材47は、例えば水平方向に延びる細長の部材からなり、その第2の搬送方向P2側の端部で復路側基板保持器支持機構18cの下方の位置に設けられた回転軸48を中心として上下方向に回転移動するように構成されている。そして、受け渡し部材47は、第1の搬送方向P1側の部分が図示しない弾性部材によって上方に付勢されている。
【0076】
受け渡し部材47の上部には、第1の方向転換経路51の排出口の第2の搬送方向P2側の近傍の部分に、第1の方向転換経路51と連続し、かつ、基板保持器支持機構18の復路側基板保持器支持機構18cと連続するように曲面形状に形成された受け渡し部47aが設けられている(
図2(b)参照)。
【0077】
また、受け渡し部材47の上部には、第1の搬送方向P1側の部分に、第1の搬送方向P1に向って下側に傾斜する傾斜面47bが設けられている。この傾斜面47bは、第2の方向転換経路52の排出口と対向する高さ位置に設けられている。
【0078】
以下、本実施の形態の真空処理装置1の動作を
図6〜
図16を参照して説明する。
本実施の形態では、まず、
図6に示すように、基板搬入搬出機構6の支持部62上のシール部材63を真空槽2の内壁に密着させて真空槽2内の雰囲気に対して基板搬入搬出室2A内の雰囲気を隔離した状態で、大気圧までベントした後、基板搬入搬出室2Aの蓋部2aを開ける。
その後、図示しない搬送ロボットを用いて処理前の基板10aを基板搬入搬出機構6の支持部62の搬送ロボット64上の基板保持器11に装着して保持させる。
【0079】
そして、
図7に示すように、基板搬入搬出室2Aの蓋部2aを閉じて所定の圧力となるまで真空排気した後、基板搬入搬出機構6の支持部62を上述した基板保持器受け渡し位置まで下降させ、基板保持器11の高さが搬送駆動部材33の往路側搬送部33aと同等の高さ位置となるようにする。
【0080】
さらに、
図8に示すように、基板搬入搬出機構6の支持部62に設けた搬送ロボット64によって基板保持器11を基板保持器搬送機構3の基板保持器導入部30Aに配置する。
【0081】
この場合、
図9(a)に示すように、基板保持器11の第1の被駆動軸12を第1の駆動部36の溝部内に配置されるように位置決めして往路側基板保持器支持機構18a上に載置する。
この動作の際、基板保持器11が第1の搬送方向P1に対して直交する方向にずれ(
図9(b)参照)、基板保持器11の搬送方向に対して直交する方向側の縁部が第1の駆動部36に接触する場合があるが、本実施の形態では、上述したように、第1の駆動部36の第1の突部36a及び第2の突部36bにそれぞれ第1及び第2のテーパ部36c、36dが設けられているから、基板保持器11の搬送方向に対して直交する方向側の縁部が第1の駆動部36の第1及び第2の突部36a、36bに当接し、これにより基板保持器11が搬送方向に対して直交する方向にアライメントされて位置ずれが補正され、その結果、基板保持器11の第1の被駆動軸12を第1の駆動部36の溝部内に円滑に配置することができる。
その後、この状態で、
図9(b)に示すように、基板保持器搬送機構3の搬送駆動部材33の往路側搬送部33aを第1の搬送方向P1に移動させる。
【0082】
これにより、搬送駆動部材33の往路側搬送部33a上の第1の駆動部36によって基板保持器11の第1の被駆動軸12が第1の搬送方向P1に駆動され、基板保持器11が搬送駆動部材33の往路側搬送部33a上を搬送折り返し部30Bに向って搬送される。
【0083】
この場合、
図8に示す第1の処理領域4の位置を通過する際に、基板保持器11に保持された処理前の基板10a(
図6参照)の第1の処理領域4側の第一面に対して所定の真空処理(例えばスパッタリングによる成膜)を行う。
【0084】
図10(a)〜(c)並びに
図11(a)〜(c)は、本実施の形態における基板保持器搬送機構及び方向転換機構の動作を示す説明図である。
本実施の形態では、基板保持器搬送機構3の第1の駆動部36を第1の搬送方向P1に移動させることにより、
図10(a)に示すように、基板保持器搬送機構3の搬送折り返し部30Bに到達した基板保持器11を更に第1の搬送方向P1に移動させ、基板保持器11の第2の被駆動軸13を方向転換機構40の第2の方向転換経路52の進入口の位置に配置する。
【0085】
この場合、方向転換機構40の第2の駆動部46が基板保持器11の第2の被駆動軸13の下方に位置するように搬送駆動部材45の動作を制御する。
そして、基板保持器搬送機構3の搬送駆動部材33を駆動して第1の駆動部36を第1の搬送方向P1に移動させるとともに、方向転換機構40の搬送駆動部材45を駆動して第2の駆動部46を第1の搬送方向P1に移動させる。この場合、第1の駆動部36と第2の駆動部46の動作が同期するように制御する。
【0086】
これにより、
図10(b)に示すように、基板保持器11の第1及び第2の被駆動軸12、13が第1及び第2の駆動部36、46によってそれぞれ支持駆動され、第1及び第2の方向転換経路51、52内を下方に向ってそれぞれ移動する。
【0087】
なお、この過程においては、基板保持器11の第1の被駆動軸12は第1の方向転換経路51内において同時に接触することはないが第1のガイド部材41と第2のガイド部材42の縁部にも接触し、また第2の被駆動軸13は第2の方向転換経路52内において同時に接触することはないが第2のガイド部材42と第3のガイド部材43の縁部にも接触する。この場合、基板保持器11は上下関係を維持している。
【0088】
そして、第1及び第2の被駆動軸12、13が第1及び第2の方向転換経路51、52の中腹部分をそれぞれ通過した付近から、第1及び第2の被駆動軸12、13の搬送方向が、基板保持器11の上下関係を維持した状態で第1の搬送方向P1と反対方向の第2の搬送方向P2にそれぞれ転換される。
【0089】
なお、この過程においては、基板保持器11の第1の被駆動軸12は第1の方向転換経路51内において同時に接触することはないが第1のガイド部材41と第2のガイド部材42の縁部にも接触し、また第2の被駆動軸13は第2の方向転換経路52内において同時に接触することはないが第2のガイド部材42と第3のガイド部材43の縁部にも接触する。
【0090】
さらに、基板保持器搬送機構3の搬送駆動部材33と方向転換機構40の搬送駆動部材45の駆動を継続すると、
図10(c)に示すように、基板保持器11の第1の被駆動軸12が第1の方向転換経路51の排出口並びに受け渡し部材47の受け渡し部47aを経由して受け渡し部材47の上方の位置に配置されるとともに、基板保持器11の第2の被駆動軸13が第2の方向転換経路52の排出口の位置に配置され、その後、
図11(a)に示すように、基板保持器11は、基板保持器支持機構18の復路側基板保持器支持機構18cに受け渡される。
【0091】
なお、
図10(c)に示す時点で方向転換機構40の第2の駆動部46と基板保持器11の第2の被駆動軸13は接触しておらず、基板保持器11は、基板保持器搬送機構3の第1の駆動部36と第1の被駆動軸12との接触による駆動によって第2の搬送方向P2へ移動する。
【0092】
そして、更なる基板保持器搬送機構3の搬送駆動部材33の駆動により、
図11(b)に示すように、基板保持器11の第2の被駆動軸13が受け渡し部材47の傾斜面47bに接触して受け渡し部材47が下方に回転移動し、
図11(c)に示すように、基板保持器11の第2の被駆動軸13が受け渡し部材47の上方を通過して基板保持器11が第2の搬送方向P2へ移動する。
なお、受け渡し部材47は、この過程の後に図示しない弾性部材の付勢力によって元の位置に戻る。
【0093】
その後、
図12(a)に示すように、基板保持器搬送機構3の搬送駆動部材33の復路側搬送部33cを第2の搬送方向P2に移動させ、第1の駆動部36によって第1の被駆動軸12を同方向に駆動することにより、基板保持器11を基板保持器排出部30Cに向って搬送する。
【0094】
この場合、
図8に示す第2の処理領域5の位置を通過する際に、基板保持器11に保持された処理前の基板10a(
図6参照)の第2の処理領域5側の第二面に対して所定の真空処理(例えばスパッタリングによる成膜)を行う。
【0095】
そして、基板保持器11が基板保持器排出部30Cに到達した後、搬送駆動部材33の復路側搬送部33cを第2の搬送方向P2に移動させ、第1の駆動部36によって第1の駆動部36を同方向に駆動すると、復路側搬送部33cの移動に伴って第1の駆動部36が鉛直方向から傾斜した状態になるに従い、
図12(b)に示すように、第1の駆動部36と、第1の被駆動軸12との接触が外れ、これにより基板保持器11は推進力を失う。
【0096】
図13(a)〜(d)は、本実施の形態における搬送駆動部材の第1の駆動部と基板保持器の第1の被駆動軸との接触を外す動作を示す説明図である。
基板保持器11が基板保持器排出部30Cに到達した時点では、
図13(a)に示すように、第1の駆動部36の第2の突部36bが、鉛直方向に向けられた状態で、その搬送方向下流側の部分36fが基板保持器11の第1の被駆動軸12に接触している。
【0097】
この状態から搬送駆動部材33の復路側搬送部33cを第2の搬送方向P2に移動させると、基板保持器11が復路側基板保持器支持機構18c上を第2の搬送方向P2に移動し、
図13(b)に示すように、第1の駆動部36が、第1の駆動輪31(
図1参照)に沿って上方に移動するとともにその第2の突部36bが水平に近づく方向に傾斜し、これにより基板保持器11の第1の被駆動軸12は、第1の駆動部36の第2の突部36bの先端部で搬送方向下流側のアール加工を施した部分に接触する。
【0098】
引き続き搬送駆動部材33の復路側搬送部33cを第2の搬送方向P2に移動させると、
図13(c)に示すように、第1の駆動部36は、上記第1の駆動輪31に沿って更に上方に移動し、これにより第1の駆動部36の第2の突部36bの先端部が基板保持器11の第1の被駆動軸12と接触しながら第1の被駆動軸12の上部を乗り越える。
【0099】
本実施の形態では、上述したように、第2の突部36bの先端部に、その搬送方向上流側の部分が搬送方向内方側に傾斜するように形成された第3のテーパ部36eが設けられており、第1の駆動部36の第2の突部36bの先端部が基板保持器11の第1の被駆動軸12の上部を乗り越える際には、第3のテーパ部36eの表面がほぼ水平になる。
【0100】
そして、この状態から搬送駆動部材33の復路側搬送部33cを第2の搬送方向P2に僅かに移動させると、
図13(d)に示すように、第3のテーパ部36eを有する第1の駆動部36は第1の被駆動軸12と接触(干渉)することはなく第1の駆動部36の第2の突部36bと基板保持器11の第1の被駆動軸12との接触が外れ、また第1の駆動部36の第2の突部36bと基板保持器11の第2の被駆動軸13とを接触させることなく、基板保持器11を第2の搬送方向P2へ移動させることができるようになる。
【0101】
このような本実施の形態によれば、搬送駆動部材33によって移動する第1の駆動部36の第2の突部36bの先端部に、その搬送方向上流側の部分が搬送方向内方側に傾斜するように形成された第3のテーパ部36eを設けることにより、第3のテーパ部36eを有しない従来技術と比べて第1の駆動部36と第1の被駆動軸12との接触を外す動作時の移動距離を短くし、また当該動作時間を短縮することができ、これにより基板保持器11を基板搬入搬出機構6に受け渡すタイミングを大幅に早めることができる。
【0102】
以上の動作を行った後、
図14に示す基板搬入搬出機構6の搬送ロボット64によって基板保持器11を第2の搬送方向P2に移動させて第1の駆動部36に対して離間させる。
【0103】
さらに、基板搬入搬出機構6の搬送ロボット64を用いて基板保持器11の取り出し動作を行い、
図14に示すように、基板保持器11を搬送ロボット64と共に支持部62上に配置する。
【0104】
その後、
図15に示すように、基板搬入搬出機構6の支持部62を上昇させ、支持部62上のシール部材63を真空槽2の内壁に密着させて真空槽2内の雰囲気に対して基板搬入搬出室2A内の雰囲気を隔離した状態で、大気圧までベントを行う。
【0105】
そして、
図16に示すように、基板搬入搬出室2Aの蓋部2aを開け、図示しない搬送ロボットを用い、処理済の基板10bを基板保持器11から大気中に取り出す。
その後、
図6に示す状態に戻り、上述した動作を繰り返すことにより、複数の基板10に対してそれぞれ両面に上述した真空処理を行う。
【0106】
以上述べた本実施の形態にあっては、単一の真空雰囲気が形成される真空槽2内において、搬送経路が鉛直面に対する投影形状が一連の環状となるように形成されるとともに、複数の基板保持器11を搬送経路に沿って搬送する基板保持器搬送機構3を備えていることから、従来技術と比較して搬送経路が占有するスペースを大幅に削減することができ、これにより装置の大幅な省スペース化を達成することができるので、小型且つ簡素な構成の真空処理装置を提供することができる。
【0107】
また、本実施の形態では、導入された基板保持器11を水平にした状態で搬送経路に沿って第1の搬送方向P1に搬送する搬送駆動部材33の往路側搬送部33aが第1の処理領域4を通過し、かつ、基板保持器11を水平にした状態で搬送経路に沿って第1の搬送方向P1と反対方向の第2の搬送方向P2に搬送して排出する搬送駆動部材33の復路側搬送部33cが第2の処理領域5を通過するように構成されている。また、基板保持器搬送機構3の第1の駆動部36と方向転換機構40の第2の駆動部46とを同期して動作させ、基板保持器11の第1及び第2の被駆動軸12、13を方向転換機構40の第1及び第2の方向転換経路51、52に沿ってそれぞれ案内して搬送することにより、基板保持器11を上下関係を維持した状態で搬送駆動部材33の往路側搬送部33aから復路側搬送部33cに受け渡すように構成されているいる。このような構成を有する本実施の形態によれば、基板10の両面に効率良く処理が可能な通過型の真空処理装置を提供することができる。
【0108】
また、本実施の形態においては、基板保持器11が当該搬送方向に対して直交する方向に複数の基板10を並べて保持するように構成されていることから、従来技術のような基板の搬送方向に複数の基板を並べて保持する基板保持器を搬送して処理を行う場合と比較して、基板保持器の長さ及びこれに伴う余剰スペースを削減することができるので、真空処理装置のより省スペース化を達成することができる。
【0109】
なお、本発明は上述した実施の形態に限られず、種々の変更を行うことができる。
例えば上記実施の形態においては、搬送駆動部材33のうち上側の部分を第1の搬送部である往路側搬送部33aとするとともに、搬送駆動部材33のうち下側の部分を第2の搬送部である復路側搬送部33cとするようにしたが、本発明はこれに限られず、これらの上下関係を逆にすることもできる。
【0110】
また、上記実施の形態では、基板保持器搬送機構3及び方向転換機構40について、一対のスプロケットと、これら一対のスプロケットに架け渡されたチェーンから構成するようにしたが、例えばベルトやレールを用いた環状形状の搬送駆動機構を用いることもできる。
さらに、基板保持器支持機構18については、ローラではなくベルトやレールを用いて構成することもできる。
【0111】
一方、方向転換機構40については、上述した第1〜第3のガイド部材41〜43によって構成する上記実施の形態のものには限られず、以下のように変形することもできる。
【0112】
例えば、
図17に示す変形例では、上記第2のガイド部材42に対応するガイド部材44と、上記第3のガイド部材43に対応するガイド部材43Aとを有し、これら一対のガイド部材44、43Aによって第1及び第2の方向転換経路が形成されるように構成されている。
【0113】
ここで、ガイド部材44は、例えば平仮名の「て」(Tに類似する形状)字状に形成され、その第1の搬送方向P1の上流側の部分44aが上記第2のガイド部材42の第1の搬送方向P1の上流側の部分と同等の曲面形状に形成されている。
【0114】
そして、上述した第1の駆動部36によって駆動される基板保持器11の第1の被駆動軸12を、ガイド部材44の第1の搬送方向P1の上流側の部分44aに接触させて当該部分44aに沿って上方から下方に案内するように構成されている。
【0115】
一方、ガイド部材43Aは、その第1の搬送方向P1の上流側の部分43aが上記第3のガイド部材43の第1の搬送方向P1の上流側の部分と同等の曲面形状に形成されている。
【0116】
そして、上述した第2の駆動部46によって駆動される基板保持器11の第2の被駆動軸13を、ガイド部材43Aの第1の搬送方向P1の上流側の部分43aと接触させて当該部分43aに沿って上方から下方に案内するように構成されている。
【0117】
このような構成を有する本例によれば、上述した第1のガイド部材41が不要になるとともに、上記第2のガイド部材42に対応するガイド部材44の材料を少なくすることができるので、方向転換機構40の構成の簡素化ひいては装置構成簡素化及びコストダウンを図ることができる。
【0118】
また、第1及び第2の駆動部36、46の形状については、上記実施の形態に限られず、基板保持器11の第1及び第2の被駆動軸12、13と確実に接触して支持駆動することができる限り、種々の形状のものを採用することができる。
【0119】
さらに、上記実施の形態では、真空中における処理として、スパッタリングを行う装置を例にとって説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、プラズマ処理、イオン注入処理、蒸着処理、化学気相成長処理、集束イオンビーム処理、エッチング処理等の種々の処理を行う真空処理装置に適用することができる。
この場合、第1及び第2の処理領域4、5には、異なる処理を行う処理源を設けることもできる。
【0120】
さらに、本発明は、上記実施の形態のように、処理前の基板10aを真空槽2内に搬入し、処理済の基板10bを真空槽2から搬出する場合のみならず、処理前の基板10aを基板保持器11と共に真空槽2内に搬入し、処理済の基板10bを基板保持器11と共に真空槽2から搬出する場合にも適用することができる。
複数の基板保持器を用いる通過型の真空処理装置において、基板の両面に処理を効率良く行い、装置の小型化及び構成の簡素化を達成する。搬送経路は、基板保持器11をそれぞれ水平状態で第1の搬送方向P1に搬送する往路側搬送部33aと、第1の搬送方向P1と反対の第2の搬送方向P2に搬送する復路側搬送部33cと、往路側搬送部33aから復路側搬送部33cに向かう搬送折り返し部30Bとを有し、基板保持器搬送機構3の第1の駆動部36によって基板保持器11を搬送する。第2の駆動部46を有する方向転換機構40を搬送折り返し部30Bの近傍に設ける。基板保持器搬送機構3の第1の駆動部36と方向転換機構40の第2の駆動部46とを同期して動作させ、基板保持器11を、第1及び第2の被駆動軸12、13を方向転換機構40の第1及び第2の方向転換経路51、52に沿ってそれぞれ案内搬送し、上下関係を維持した状態で往路側搬送部33aから復路側搬送部33cに受け渡す。