特許第6442963号(P6442963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442963
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/30 20060101AFI20181217BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20181217BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   G06F1/30 A
   B41J29/38 Z
   H04N1/00 J
   H04N1/00 L
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-204969(P2014-204969)
(22)【出願日】2014年10月3日
(65)【公開番号】特開2016-76033(P2016-76033A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】砂川 勇輝
【審査官】 佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−213042(JP,A)
【文献】 特開2013−149128(JP,A)
【文献】 特開2001−014069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26− 1/32
B41J 29/38
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源が供給されて、所定の情報処理を行う処理部と、
第2電源が供給されて前記第1電源の供給制御を行う電力制御部と、
前記第2電源の供給及び前記電力制御部の制御下で前記第1電源の供給を行う電源部と、
ユーザが前記第1電源の供給の指示操作を行う自動復帰型スイッチと、
前記処理部が異常終了してから所定時間が経過した場合に自動復帰禁止信号を出力する自動復帰禁止部と、を備え、
前記電力制御部は、
前記第2電源の供給が再開された場合であって、前記処理部が前回異常終了しており、前記自動復帰禁止部から前記自動復帰禁止信号が出力されている場合には、前記自動復帰型スイッチを介し電源供給の指示操作がなされるまで、前記第1電源の供給を停止し、
前記第2電源の供給が再開された場合であって、前記処理部が前回異常終了しており、前記自動復帰禁止部から前記自動復帰禁止信号が出力されていない場合には、前記第1電源の供給を行う、
情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、正常時に第1の所定時間毎にタイマリセット信号を前記自動復帰禁止部へ出力し、
前記自動復帰禁止部は、前記第1電源及び前記第2電源とは独立した第3電源が供給されて、前記タイマリセット信号によるリセットから所定時間が経過した場合に前記自動復帰禁止信号を前記電力制御部へ出力する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、一または複数の被制御部と、
前記タイマリセット信号を生成し出力するとともに、前記被制御部の制御を行う制御ユニットと、を備える、
請求項記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記電力制御部は、前記処理部が、前回異常終了したか否かを示す情報を記憶する記憶部を備えている、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記電源部は、供給された交流電力を直流電力に変換して、前記第1電源及び前記第2電源とするコンバータと、
前記電力制御部の制御により前記第1電源の供給及び遮断を制御するための電源制御スイッチと、
を備えた請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記コンバータの前段に設けられ、前記電力制御部の制御により前記交流電力の供給及び遮断を制御するリレーと、
前記直流電力を蓄えて、前記第2電源として供給する二次電池と、
前記二次電池の充電及び放電の制御を行う電池制御部と、
を備えた請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記電源部は、直流電力を発電する発電部を有し、
前記電池制御部は、前記コンバータにより変換された直流電力よりも前記発電部が発電した直流電力を優先して前記第2電源として供給し、余剰電力を前記二次電池に蓄電するよう制御する、
請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記電力制御部は、ネットワークを介して外部機器と通信を行う通信部を有する、
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記処理部は、前記被制御部としてのファックスを含み、前記ファックスの制御を行う第2の制御ユニットと、を備える、
請求項3記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
主電源のみをオフにする待機状態に移行可能な情報処理装置では、主電源のオン・オフを電気信号によって制御する必要がある。この主電源のオン・オフを切替えるスイッチとしてシンプルな構成のプッシュスイッチを用いると、情報処理装置の動作中に停電が発生した場合、自動的に復帰させることができないという課題が生じる。
【0003】
このため、例えば、特許文献1には、運用中に停電が発生しても、給電部からの電力供給がなされた時に商用電源からの電力供給が絶たれる前の動作状態に応じて、停電前の状態に復帰させる情報処理装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、停電となった後に停電前の状態に復帰させるためには、電力供給が絶たれる前の動作状態が異常であること(正常終了がなされなかったこと)及び電力が非供給状態から供給状態に移行したことの二つの条件が満たされることが必要である。
しかしながら、情報処理装置の製造工程において正常終了がなされず、ユーザに情報処理装置が納品されてプラグがコンセントに差し込まれて商用電源が供給された場合にも、上記二つの条件を満たしてしまい、情報処理装置の電源がオンされてしまう可能性があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、情報処理装置の製造工程において正常終了がなされずに電源が供給された場合の自動復帰を禁止しつつ、停電があった場合には、停電前の状態に自動復帰させることが可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、第1電源が供給されて、所定の情報処理を行う処理部と、第2電源が供給されて第1電源の供給制御を行う電力制御部と、第2電源の供給及び電力制御部の制御下で第1電源の供給を行う電源部と、ユーザが第1電源の供給の指示操作を行う自動復帰型スイッチと、処理部が異常終了してから所定時間が経過した場合に自動復帰禁止信号を出力する自動復帰禁止部と、を備え、電力制御部は、第2電源の供給が再開された場合であって、処理部が前回異常終了しており、自動復帰禁止部から自動復帰禁止信号が出力されている場合には、自動復帰型スイッチを介し電源供給の指示操作がなされるまで、第1電源の供給を停止し、第2電源の供給が再開された場合であって、処理部が前回異常終了しており、自動復帰禁止部から自動復帰禁止信号が出力されていない場合には、第1電源の供給を行う
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、情報処理装置の製造工程において正常終了がなされずに電源が供給された場合の自動復帰を禁止しつつ、停電があった場合には、停電前の状態に自動復帰させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態にかかる情報処理装置である画像形成装置の概要構成図である。
図2図2は、電源プラグをコンセントに接続した場合の動作処理フローチャートである。
図3図3は、停止処理時の処理フローチャートである。
図4図4は、商用電源の再供給がなされた場合の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態の画像形成装置の第1変形例の概要構成図である。
図6図6は、実施形態の画像形成装置の第2変形例の概要構成図である。
図7図7は、実施形態の画像形成装置の第3変形例の概要構成図である。
図8図8は、実施形態の画像形成装置の第4変形例の概要構成図である。
図9図9は、実施形態の画像形成装置の第5変形例の概要構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に図面を参照して実施形態について説明する。
図1は、実施形態にかかる情報処理装置である画像形成装置の概要構成図である。 画像形成装置1は、大別すると、各部への動作用電源を供給する電源部2、電源部2を制御する電力制御部(第2制御部)3、画像形成装置1全体を制御するコントローラ(第1制御部)4、パネル10、プロッタ12、スキャナ14、ファックス16及び自動復帰型スイッチであるプッシュスイッチ18を備える。
【0010】
パネル10は、いわゆるタッチパネルディスプレイとして構成されており、画像形成装置1の操作を行えるとともに、画像形成装置1に関する各種情報を表示する。
プロッタ12は、画像形成装置1が形成する画像を用紙などに出力する。
スキャナ14は、図示しないオートドキュメントフィーダ(ADF)を備え、供給された書類から画像を読み取る。
ファックス16は、外部機器(ファクシミリ装置あるいはパーソナルコンピュータ等)との間で通信回線を介して、ファクシミリによる通信を行う。
つまり、パネル10、プロッタ12、スキャナ14及びファックス16は、処理を行う処理部となっている。
プッシュスイッチ18は、例えばユーザによって押下されると、後述するマイコン30及びCPU44に対して押下を示すパルス信号SWを出力する。
【0011】
電源部2は、大別すると、コンバータ20、電源制御スイッチ22、第1リセットIC24、第2リセットIC26、第1電源PW1及び第2電源PW2を備えている。
コンバータ20は、電源プラグ200を介して供給される交流電力(AC電源)を直流電力に変換し、第1電源PW1及び第2電源PW2に直流電力を供給する。
電源制御スイッチ(切替部)22は、電力制御部3の制御下でコンバータ20からの第1電源PW1への直流電力の供給/遮断を切り替える。
【0012】
第1リセットIC24は、第1電源PW1の電圧が予め定められた第1リセット電圧VRSTA(=第1閾値)以上になった場合には、第1リセット信号RSTA_Nをアサートし、例えば、第1リセット信号RSTA_Nを“H”レベルとして、後述するCPU44を起動させる。また、第1リセットIC24は、第1電源PW1の電圧が第1リセット電圧VRSTA未満になった場合には、第1リセット信号RSTA_Nをネゲートし、例えば、第1リセット信号RSTA_Nを“L”レベルとして、CPU44を停止させる。
【0013】
第2リセットIC26は、第2電源PW2の電圧が予め定められた第2リセット電圧VRSTB(=第2閾値)以上になった場合には、第2リセット信号RSTB_Nをアサートし、例えば、第2リセット信号RSTB_Nを“H”レベルとして、後述するマイコン30を起動させる。また、第2電源PW2の電圧が第2リセット電圧VRSTB未満になった場合には、第2リセット信号RSTB_Nをネゲートし、例えば、第2リセット信号RSTB_Nを“L”レベルとして、マイコン30を停止させる。
【0014】
上記構成において、第1電源PW1は、コントローラ4、パネル10、プロッタ12、スキャナ14及びファックス16に直流電力として供給され、第2電源PW2は、電力制御部3に直流電力として供給される。さらに第1リセット電圧VRSTA及び第2リセット電圧VRSTBは、第1電源PW1の供給先の装置及び第2電源PW2の供給先の装置の推奨動作電圧以上に設定され、第2リセット電圧VRSTBは、第1リセット電圧VRSTAよりも高く設定されている。
【0015】
電力制御部3は、マイコン(microcomputer)30を備えている。
マイコン30は、マイコン30全体を制御する図示しないCPUなどのプロセッサ、ワークテーブルとして機能し、各種データを一時的に記憶するRAM31、リセット信号(第2リセット信号RSTB_N)が入力されリセット端子(RST)32、汎用入出力端子(以下、GPIO[General Purpose Input/Output]という)33,34,35,36、コントローラインタフェイス(IF)37及び各種データを不揮発的、かつ、更新可能に記憶する不揮発性メモリ38を備えた集積回路として構成されている。なお、マイコン30は、不揮発性メモリ(記憶部)38などの集積した各部がチップ外に設けられる構成であってもよい。つまり、マイコン30が第2制御部として機能してもよいし、マイコン30の図示しないCPUなどが第2制御部として機能してもよい。
【0016】
マイコン30には、リセット端子(RST)32を介して第2リセットIC26が出力した第2リセット信号RSTB_Nが入力される。
また、マイコン30は、GPIO34を介してPOWER_ON信号を電源制御スイッチ22に出力して、電源制御スイッチ22のオン/オフを制御する。
また、マイコン30には、GPIO35を介して、第1リセットIC24が出力した第1リセット信号RSTA_Nが入力される。
また、マイコン30は、GPIO36を介してプッシュスイッチ18に接続され、プッシュスイッチ18が出力したパルス信号SWに基づいて、プッシュスイッチ18の押下を検出する。ここで、画像形成装置1の主電源である第1電源PWの供給/遮断を切替えるためにユーザにより押下される。
また、マイコン30は、コントローラIFを介して後述するCPU44と通信を行う。
また、マイコン30には、GPIO39を介して、後述するRTC(Real Time Clock)45が出力したリアルタイムクロック割込信号RTC_INTが入力される。
【0017】
コントローラ4は、大別すると、コントローラ4の本体として機能するコントローラユニット40、電源部2から独立して電源供給がなされ、画像形成装置1への電源供給が絶たれていても時刻を刻み続けるRTC45及びRTC45に動作用の第3電源PW3を供給する電池46を備えている。
コントローラユニット40は、大別すると、ワークテーブルとして機能し、各種データを一時的に記憶するRAM41、基本制御プログラム(例えば、イニシャルプログラムローダ)等の各種データを不揮発的に記憶するROM42及びコントローラユニット40全体を制御するCPU44を備えている。
CPU44は、大別すると、RAMインターフェイス(IF)440、ROMインターフェイス(IF)441、ネットワークIF442、RST443、第1IF444、第2IF445、第3IF446、第4IF447、マイコンIF448及びGPIO449を備え、集積回路として構成されている。
従って、コントローラ4が第1制御部として機能してもよいし、CPU44が第1制御部として機能してもよい。また、マイコン30及びCPU44は、1チップ内に含まれていてもよい。
【0018】
ネットワークIF442は、外部装置であるPC(Personal Computer)100などと通信ネットワークを介して通信を行う通信インターフェイス動作を行う通信部である。第1IF444は、パネル10と通信を行うパネルインターフェイスである。第2IF445は、プロッタ12と通信を行うプロッタインターフェイスである。第3IF446は、スキャナ14と通信を行うスキャナインターフェイスである。第4IF447は、ファックス16と通信を行うファックスインターフェイスである。
【0019】
CPU44は、RST443を介して、第1リセットIC24が出力する第1リセット信号RSTA_Nが入力される。また、CPU44は、マイコンIF448を介してマイコン30と通信を行う。CPU44は、GPIO449を介してプッシュスイッチ18に接続され、プッシュスイッチ18が出力したパルス信号SWに基づいて、プッシュスイッチ18の押下を検出する。
【0020】
次に、実施形態の画像形成装置1の動作について説明する。
図2は、電源プラグをコンセントに接続した場合の動作処理フローチャートである。
電源プラグ200がコンセント(electrical outlet)に接続されると(ステップS11)、コンバータ20は電源プラグ200からの交流電力を直流電力に変換し、第2電源PW2としての直流電力がマイコン30に動作電源として供給される(ステップS12
)。
【0021】
この状態では、主電源である第1電源PW1は、非供給状態であり、コントローラ4は、未だ非動作状態である。
このため、第2電源PW2が供給されているマイコン30は、コントローラ4に代わって起動し、動作する(ステップS13)。
【0022】
すなわち、プッシュスイッチ18が押下され(ステップS14)、パルス信号SWが出力されると、マイコン30には、GPIO36を介してパルス信号SWが入力され、マイコン30は、プッシュスイッチ18の押下を検出する(ステップS15)。
【0023】
そして、マイコン30は、プッシュスイッチ18の押下を検出すると、GPIO34を介して、電源オン信号POWER_ONを電源制御スイッチ22に出力し、電源制御スイッチ22を第1電源PW1の供給状態とさせる(ステップS16)。第1電源PW1が供給状態とされると、コントローラ4、パネル10、プロッタ12、スキャナ14及びファックス16(処理部)に、第1電源PW1が供給される。
【0024】
そして、コントローラ4に第1電源PW1が供給されると、コントローラユニット40のCPU44が起動する。CPU44は、起動して初期化などが完了すると、マイコン30に対してマイコンインタフェース448を介して、起動完了を示す信号を出力する(ステップS17)。
【0025】
マイコン30は、CPU44の起動完了を示す信号がコントローラインタフェイス37を介して入力されると、プッシュスイッチ18の押下の検出を止める(ステップS16)。
すなわち、マイコン30がプッシュスイッチ18の押下の検出を止めた後は、CPU44がGPIO449を介して入力されるパルス信号SWに基づいてプッシュスイッチ18の押下の検出を行うこととなる。
【0026】
そして、コントローラ4のCPU44は、RTCインターフェイス450を介してRTC45を制御し、所定時間後(図2では、11時間後)に、RTC割込信号RTC_INTを“H”レベルとするように設定を行い(ステップS18)、RTC45をリセットし、経過時間のカウントを行わせる(ステップS19)。
【0027】
ここで、RTC45に設定される所定時間は、画像形成装置1に停電が起こって再起動が必要な場合と、画像形成装置1が納品されて最初に電源が供給され、再起動が必要ではない場合と、を識別するのに十分な時間に設定される。すなわち、通常の停電の復旧時に自動復旧する場合に電源が供給されるまでの時間としては、想定されないような時間に設定されている。
【0028】
続いて、コントローラ4のCPU44は、ステップS18の設定を行ってから1時間が経過したか否かを判別する(ステップS20)。
ステップS20の判別において、ステップS18の設定(カウントリセット)を行ってから1時間が経過していない場合には(ステップS20;No)、待機状態となる。
ステップS20の判別において、ステップS18の設定を行ってから1時間が経過した場合には(ステップS20;Yes)、再び処理をステップS18に移行し、コントローラ4のCPU44は、RTCインターフェイス450を介してRTC45を制御し、所定時間後(図2では、11時間後)に、RTC割込信号RTC_INTを“H”レベルとするように設定を行い(ステップS18)、設定してからの経過時間のカウントを行う(ステップS19)。
【0029】
この結果、コントローラ4が正常に動作している間は、1時間毎にRTC45の動作がリセットされ、所定時間後にRTC割込信号RTC_INTが“H”レベルとなることはない。
【0030】
換言すれば、コントローラ4が正常でなく終了した場合には、RTC45の動作がリセットされず、所定時間後にRTC割込信号RTC_INTが“H”レベルとなるということである。したがって、所定時間経過後にRTC割込信号RTC_INTが“H”レベルとなっていれば、異常終了してから所定時間以上の時間が経過しており、停電復旧に伴う電源供給再開として、自動復旧を行うべきではなく、納品後にプラグをコンセントに差し込んだこと等の自動復旧が望まれない状態であるということである。
【0031】
次に正常起動後にユーザが電源スイッチを押して画像形成装置1を停止させる場合(正常終了時)の動作について説明する。
図3は、停止処理時の処理フローチャートである。
【0032】
第1電源PW1がコントローラ4に供給された状態(画像形成装置1の動作状態)でプッシュスイッチ18が押下されると(ステップS21)、コントローラ4のCPU44は、GPIO449を介して入力されるパルス信号SWに基づいてプッシュスイッチ18の押下を検出する(ステップS22)。
これによりコントローラ4のCPU44は、ソフトウェアの動作を停止させ、図示しないHDD又は不揮発性メモリ38等の不揮発性デバイスへのアクセスを停止させるシャットダウン処理(停止処理)を行う(ステップS23)。
そして、コントローラ4のCPU44は、シャットダウン処理(停止処理)を完了すると、第1電源PW1の供給を遮断させる準備が完了したことを示す信号をマイコンインタフェース448を介してマイコン30に対して出力し、通知する(ステップS24)。
【0033】
マイコン30は、第1電源PW1の供給の遮断させる準備が完了したことを示す信号がコントローラインタフェイス37を介して入力されると、不揮発性メモリ38に画像形成装置1が所定のシャットダウン処理(停止処理)の正常な手順を踏んでなされたことを記録する(ステップS25)。
続いて、マイコン30は、GPIO34を介して、電源制御スイッチ22を遮断状態とすることにより、第1電源PWの供給を遮断する(ステップS26)。
【0034】
次に、画像形成装置1が製造工程において、正常終了がなされずに納品され、電源プラグがコンセントに差し込まれた場合の動作について説明する。
図4は、商用電源の再供給がなされた場合の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【0035】
画像形成装置1が製造工程において、正常終了がなされずにユーザに納品された場合に、電源プラグ200をコンセント(electrical outlet)に接続したとすると、コンバータ20には電源プラグ200からの交流電力が供給される(ステップS31)。
【0036】
これにより、コンバータ20は、電源プラグ200からの交流電力を直流電力に変換し、第2電源PW2としての直流電力を生成しマイコン30に動作電源として供給する(ステップS32)。
【0037】
この状態においても、主電源である第1電源PW1は、非供給状態であり、コントローラ4は、未だ非動作状態である。
このため、第2電源PW2が供給されたマイコン30は、起動し(ステップS33)、コントローラ4に代わって動作する。
そして、マイコン30は、不揮発性メモリ38にアクセスする(ステップS34)。
【0038】
続いて、マイコン30は、不揮発性メモリ38に正常終了した旨のフラグが記録されているか否かを判別し、画像形成装置1が前回正常にオフ動作を実施したか否かを判別する(ステップS35)。
【0039】
この場合においては、ステップS35の判別において、画像形成装置1が前回正常にオフ動作を実施していないと判別されるので(ステップS35;No)、GPIO39を介してRTC45から入力されているRTC割込信号RTC_INTが“H”レベルとなっているか否かを判別する(ステップS36)。
【0040】
ここで、上述したようにRTC割込信号RTC_INTが“H”レベルとなるのは、所定時間が経過した場合であるが、画像形成装置1が製造工程において、正常終了がなされずにユーザに納品された場合には、通常この所定時間を経過しているはずである。
【0041】
このため、ステップS36の判別において、RTC割込信号RTC_INTが“H”レベルとなっているので(ステップS36;Yes)、マイコン30は、処理を終了し、ユーザによるプッシュスイッチ18の押下を待つこととなる。
【0042】
これは、異常終了してから所定時間以上の時間が経過しており、停電復旧に伴う電源供給再開とは異なる状況であるので、自動復帰を行わずに、処理を終了し、ユーザによるプッシュスイッチ18の押下、すなわち、電源供給の指示を待つべきだからである。
【0043】
したがって、画像形成装置1が製造工程において、正常終了がなされずにユーザに納品された場合に、電源プラグを差し込んだだけで、電力がコントローラ4、パネル10、プロッタ12、スキャナ14及びファックス16に供給されることはなく、画像形成装置1の電源プラグをコンセントに差し込んだだけで、自動復帰機能が働いて、画像形成装置1が動作状態に移行することはない。
【0044】
次に、画像形成装置1が短時間の停電から復旧した場合の動作について説明する。ここで、短時間とは、文字通りの意味のみならず、前回RTC45を制御し、所定時間後に、RTC割込信号RTC_INTを“H”レベルとするように設定を行ってからの経過時間が所定時間未満の場合を含む概念である。
【0045】
再び、図4を参照して画像形成装置1が短時間の停電から復旧した場合の動作を説明する。
商用電源が停電から復旧した場合においては、通常、電源プラグ200がコンセント(electrical outlet)に接続されたままの状態であるので、停電復旧に伴って、コンバータ20には電源プラグ200からの交流電力が供給される(ステップS31)。
【0046】
これにより、コンバータ20は、電源プラグ200からの交流電力を直流電力に変換し、第2電源PW2としての直流電力を生成しマイコン30に動作電源として供給する(ステップS32)。
【0047】
この状態においても、主電源である第1電源PW1は、非供給状態であり、コントローラ4は、未だ非動作状態である。
このため、第2電源PW2が供給されたマイコン30は、起動し(ステップS33)、コントローラ4に代わって動作する。
そして、マイコン30は、不揮発性メモリ38にアクセスする(ステップS34)。
【0048】
続いて、マイコン30は、不揮発性メモリ38に正常終了した旨のフラグが記録されているか否かを判別し、画像形成装置1が前回正常にオフ動作を実施したか否かを判別する(ステップS35)。
【0049】
そして、ステップS35の判別において、画像形成装置1が前回正常にオフ動作を実施していないと判別されるので(ステップS35;No)、GPIO39を介してRTC45から入力されているRTC割込信号RTC_INTが“H”レベルとなっているか否かを判別する(ステップS36)。
【0050】
この場合には、ステップS36の判別において、RTC割込信号RTC_INTが“H”レベルとなっていない、すなわち、RTC割込信号RTC_INTが“L”レベルとなっているので(ステップS36;No)、マイコン30は、GPIO34を介して、電源オン信号POWER_ONを電源制御スイッチ22に出力し、電源制御スイッチ22を第1電源PW1の供給状態とさせる(ステップS37)。
【0051】
第1電源PW1が供給されると、コントローラ4、パネル10、プロッタ12、スキャナ14及びファックス16は、起動し、動作状態に移行する(ステップS38)。
そして、コントローラ4のCPU44は、起動して初期化などが完了すると、マイコン30に対してマイコンインタフェース448を介して、起動完了を示す信号を出力し、マイコン30は、CPU44の起動完了を示す信号がコントローラインタフェイス37を介して入力されると、プッシュスイッチ18の押下の検出を止め、画像形成装置1は、通常動作状態に移行することとなる。
【0052】
以上の説明のように、実施形態によれば、情報処理装置の製造工程において正常終了がなされずに電源が供給された場合の自動復帰を禁止しつつ、停電があった場合には、停電前の状態に自動復帰させることができる。
【0053】
[1]実施形態の第1変形例
次に、実施形態の画像形成装置の第1変形例について説明する。
図5は、実施形態の画像形成装置の第1変形例の概要構成図である。
第1変形例の画像形成装置1aが、図1の実施形態の画像形成装置1と異なる点は、電源部2に対し、リレー21、二次電池50及び電池制御部51が付加した点である。
【0054】
電源部2のリレー21は、オン又はオフすることにより、コンバータ20に対して交流電力を供給しあるいは遮断する。
二次電池50は、電圧(起電力)が第2電源PW2と略同じとなるように設定されている。
【0055】
電池制御部51は、リレー21がオンである間、すなわち商用電源が供給されている間に二次電池50を蓄電し、リレー21がオフである間は二次電池50から第2電源PW2に電力、すなわち、第2電源PW2を供給するよう制御する。
また、マイコン30は、電源制御スイッチ22が第1電源PW1を遮断状態に切替えた場合に、リレー21をオフにするようにGPIO33を介して制御を行う。
【0056】
また、第1電源PW1を供給している状態で停電になると、第1電源PW1の電圧は低下する。そして第1電源PW1の電圧がRSTA検知レベル未満になると、第1リセットIC24が出力する第1リセット信号RSTA_Nは、“L”レベルとなる。
【0057】
これにより、マイコン30は、第1リセット信号RSTA_Nが“L”レベルとなったことをGPIO35を介して受信し、停電などによって第1電源PW1の電圧がRSTA検知レベル未満になったと判断する。マイコン30は、停電であると判断した場合、リレー21をオフにしてもよい。
【0058】
このように、第1変形例の画像形成装置1aによれば、電源プラグ200からの交流電力をリレー21が遮断し、二次電池50が第2電源PW2を供給する場合には、交流電力の電力消費を0Wとして待機状態となることができる。
【0059】
[2]実施形態の第2変形例
次に、実施形態の画像形成装置の第2変形例について説明する。
図6は、実施形態の画像形成装置の第2変形例の概要構成図である。
第2変形例の画像形成装置1bが、図1の実施形態の画像形成装置1と異なる点は、電源部2に対し、リレー21、二次電池50及び電池制御部51aが付加された構成となっている点及び電力制御部3がGPIO61を含むマイコン30aを有している点である。
【0060】
電池制御部51aは、マイコン30aのGPIO61に対し、二次電池50の蓄電残量が予め定められた蓄電量以上であるか否かを示す蓄電量信号を出力する。マイコン30aは、蓄電量信号が示す蓄電残量が予め定められた蓄電量未満である場合には、GPIO33を介してリレー制御信号Relay_ONを出力し、リレー21をオンにする。
【0061】
リレー21がオンになると、コンバータ20が交流電力を直流電力に変換し、電池制御部51aが二次電池50の蓄電を行う。また、電池制御部51aは、二次電池50に予め定められた電力が蓄積されると、二次電池50への蓄電を停止する。マイコン30aは、二次電池50への蓄電が停止されると、GPIO33を介してリレー制御信号Relay_ONを出力し、リレー21をオフにする。
従って、本第2変形例によれば、二次電池50の蓄電残量不足によってマイコン30aが動作しなくなることを防止できる。
【0062】
[3]実施形態の第3変形例
次に、実施形態の画像形成装置の第3変形例について説明する。
図7は、実施形態の画像形成装置の第3変形例の概要構成図である。
第3変形例の画像形成装置1cが、図6の第2変形例と異なる点は、電源部2に対し、発電部52が付加された構成となっている点及び電池制御部51aに代えて発電部52の発電電力の供給制御を行う電池制御部51bが設けられている点である。
【0063】
第3変形例の画像形成装置1cの電池制御部51bは、コンバータ20が出力する直流電圧を第2電源PW2に印加しつつ、二次電池50に蓄電を行う。また、電池制御部51bは、コンバータ20が変換した直流電圧よりも発電部52が発電した電力を優先して第2電源PW2に電力供給し、余剰電力を二次電池50に蓄電するよう制御する。
従って、本第3変形例によれば、第1電源PW1がオフの状態で二次電池50の蓄電量が不足してしまうことを防止できる。
【0064】
[4]実施形態の第4変形例
次に、実施形態の画像形成装置の第4変形例について説明する。
図8は、実施形態の画像形成装置の第4変形例の概要構成図である。
第4変形例の画像形成装置1dが、図6の第2変形例と異なる点は、電源部2に対し、発電部52が付加された構成となっている点及び電池制御部51aに代えて発電部52の発電電力の供給制御を行う電池制御部51bが設けられている点及び図9に示したコントローラ4が有するネットワークIF442をマイコン30bが有する構成となっている点である。
【0065】
従って、本第4変形例によれば、コントローラ4に対して第1電源PW1の供給が遮断され、コントローラ4がオフにされた状態であっても、第2電源PW2が供給する電力により動作するマイコン30bによってPC100との通信を行うことができる。
【0066】
[5]実施形態の第5変形例
次に、実施形態の画像形成装置の第5変形例について説明する。
図9は、実施形態の画像形成装置の第5変形例の概要構成図である。
第5変形例の画像形成装置1eが、図8の第4変形例と異なる点は、図8の第4変形例に示したファックス16が第2マイコン6に含まれるファックス60に置き換えられた構成となっている。
また、第2マイコン6は、ファックス60の他に、RAM62、GPIO64及び不揮発性メモリ66を有する。第2マイコン6は、GPIO64がマイコン30bのGPIO71と通信を行うことにより外部の公衆回線からのファクシミリの着呼を受入れる。
したがって、本第5変形例によれば、画像形成装置1eは、マイコン30bを介してファクシミリの着呼を受けることが可能にされ、より省エネルギー化を図ることができる。
【0067】
なお、上記実施形態では、本発明の情報処理装置について画像形成装置1を例に挙げて説明したが、これに限定されることなく、第1制御部及び第2制御部を有する他の情報処理装置についても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1、1a〜1e 画像形成装置
2 電源部
3 電力制御部
4 コントローラ(処理部)
6 第2マイコン
10 パネル(処理部)
12 プロッタ(処理部)
14 スキャナ(処理部)
16 ファックス(処理部)
18 プッシュスイッチ
20 コンバータ
21 リレー
22 電源制御スイッチ
24 第1リセットIC
26 第2リセットIC
30、30a、30b マイコン
38 不揮発性メモリ
40 コントローラユニット
45 RTC(タイマ部)
46 電池
50 二次電池
51、51a、51b 電池制御部
52 発電部
60 ファックス
200 電源プラグ
450 RTCインターフェイス
PW1 第1電源
PW2 第2電源
PW3 第3電源
POWER_ON 電源オン信号
RSTA 第1リセット信号
RSTB 第2リセット信号
RTC_INT RTC割込信号(自動復帰禁止信号)
Relay_ON リレー制御信号
SW パルス信号
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特開2014−123345号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9