(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の化粧板の場合、基板の表面から木口面にかけての化粧シートの折り返しの部分は、連続して繋がっており、見た目上の仕上がりは綺麗である。一方で基板の角部、特に木口面の角部では、どうしても化粧シートの継ぎ目が発生し、見栄えが良くない。加えて、角部に継ぎ目があると、継ぎ目をきっかけに化粧シートが剥がれやすく、問題となり易い。
【0006】
本発明は、以上の課題を解決することを目的としており、全体の意匠性を損なうことなく、角部における意匠性を向上でき、更に角部における化粧材の剥離を効果的に抑制できる化粧板、その化粧板の製造方法、及び化粧テープ補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは、上記課題を解決するため、まずは意匠性が損なわれ易い原因がどこに存在するかを鋭意検討した。まず、化粧板が矩形の場合、角部は連続した直線状の辺同士が交差して形成される不連続な部分であるため、どうしても目に付き易く、角部での仕上がりが不十分だと意匠性が損なわれ易い。更に、十字の目地を中心に化粧板を四枚配置するような壁面デザインの場合には、特に、十字の目地に視線が行き易く、角部の仕上がりが不十分だと見栄えの悪さが目立つ。逆に、角部以外の部分、例えば、直線状の辺部分は広範囲であるため、一見、目立つようにも感じるが、全体が同程度の仕上がりであれば、寧ろ目立ち難く、意匠性は損なわれ難い。これに対し、上述の従来技術は、辺部分の見た目を最優先した化粧板であり、この技術思想の延長線上において、例えば、辺部分の仕上がりの品質を犠牲にして角部の仕上がりを良好にするという着想は存在しない。本発明者らは、この従来技術に対し、化粧板の角部における木口面の化粧仕上げを優先させるという逆転の発想を行うことにより、本発明に想到した。
【0008】
つまり、本発明に係る化粧板は、少なくとも一つの角部を有する無機質基板と、無機質基板の少なくとも一方の表面に貼付された化粧シートと、無機質基板の木口面のうち、角部を跨ぐ領域に貼付された化粧テープと
、を備え、化粧テープの周縁は、化粧シートの端面に勝つように貼付され、その端面を隠していることを特徴とする。
【0009】
本発明では、無機質基板の表面に貼付された化粧シートと、木口面に貼付された化粧テープとが独立しており、更に、化粧テープが木口面の角部を跨ぐ領域に貼付されるので、この角部では化粧テープの継ぎ目などは無く、仕上げ処理としては良好に保たれる。更に、角部に継ぎ目が無いことから、この継ぎ目をきっかけとした剥がれが生じ難い。一方で、化粧シートと化粧テープとの間には、逆に継ぎ目が生じるが、この継ぎ目の仕上げ処理は角部の仕上げ処理に比べて楽であり、また、品質を高く維持し易い。その結果、化粧シートと化粧テープとの間に生じる継ぎ目では所望の品質を確保し易く、且つ継ぎ目の全体に亘ってその品質を確保し易いので意匠上の見た目を損なう可能性が少ない。以上より、上記の化粧板によれば、全体の意匠性を損なうことなく、角部における意匠性を向上でき、更に角部における化粧テープの剥離を効果的に抑制できる。
【0010】
また、化粧テープは、木口面の全周に巻かれており、且つ角部以外の箇所に設けられた継ぎ目を除いて連続していると、化粧テープが剥がれ難くなって好適である。また、角部に継ぎ目が存在しないので角部での意匠性を向上できることは勿論、木口面全体を斑なく仕上げ易くなる。
【0011】
また、木口面は、法線が互いに逆方向を向く一対の対向面を有し、角部は、木口面において、一対の対向面同士の間に存在し、化粧テープは、一対の対向面のうち、一方の対向面から他方の対向面に亘って連続すると共に、角部を跨ぐと好適である。一方の対向面に貼付された化粧テープの部分を剥がす方向に力が作用した場合には、他方の対向面に貼付された化粧テープの部分が、その力に対抗する。その結果、化粧テープの全体が剥がれてしまって意匠性を損なうという可能性が軽減される。
【0012】
また、化粧テープの基材厚さは、30μm以上、且つ180μm以下であると好適である。30μm未満であると、無機質基板の素地が透けてしまう可能性があり、また、180μmを超えると、化粧テープの可撓性が損なわれて、角部を跨ぐように貼付する際、化粧テープが無機質基板の角部に沿って曲がりにくくなり、品質の低下を招く可能性がある。つまり、化粧テープの基材厚さが上記範囲であると、化粧テープを介して無機質基板の素地が透けにくく、また、化粧テープを木口面に好適に添付できるという点で有利である。
また、無機質基板の周縁において、表面と木口面との成す角度は略90°であると好適である。
【0013】
また、本発明は、少なくとも一つの角部を有する無機質基板に化粧仕上げを施して化粧板を製造する化粧板製造方法であって、無機質基板の少なくとも一方の表面に化粧シートを貼付する表面仕上げ工程と
、表面仕上げ工程の後で、化粧シートの端面を隠すように無機質基板の木口面に化粧テープを貼付する木口面仕上げ工程と、を備え、木口面仕上げ工程では、角部を跨ぐように化粧テープを貼付することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、全体の意匠性を損なうことなく、角部における意匠性を向上でき、更に角部における化粧材の剥離を効果的に抑制できる化粧板を製造できる。特に目透かし工法で貼り付ける化粧板は角部が略直角であることが多いが、本発明によれば、直角の角部を有する化粧板においても化粧テープの剥離を好適に抑制できる。
【0015】
また、木口面仕上げ工程では、連続した化粧テープを木口面の全周に巻くと共に、角部以外の箇所に継ぎ目を形成すると、化粧テープが剥がれ難い化粧板を製造できて好適である。また、化粧板の角部に継ぎ目が存在しないので角部での意匠性を向上できることは勿論、木口面全体を斑なく仕上げ易くなる。
【0016】
また、木口面は、法線が互いに逆方向を向く一対の対向面を有し、角部は、木口面において、一対の対向面同士の間に存在し、木口面仕上げ工程では、一対の対向面のうち、一方の対向面から角部を跨ぎながら他方の対向面にかけて連続して化粧テープを貼付すると好適である。一方の対向面に貼付された化粧テープの部分を剥がす方向に力が作用した場合には、他方の対向面に貼付された化粧テープの部分が、その力に対抗する。その結果、本方法によって製造された化粧板では、化粧テープの全体が剥がれてしまって意匠性を損なうという可能性が軽減される。
【0017】
また
、表面仕上げ工程の後、木口面仕上げ工程の前に、化粧シートが貼付された無機質基板を所定形状に切断加工する工程を備えると好適である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、全体の意匠性を損なうことなく、角部における意匠性を向上でき、更に角部における化粧材の剥離を効果的に抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る化粧板、及び化粧板の製造方法の実施形態について詳細に説明する。
【0022】
図1に示されるように、本実施形態に係る化粧板1は矩形であり、四か所に略直角の角部1aを有する。また、化粧板1には、木目をあしらった化粧仕上げが施されている。なお、化粧板1は、他の形状であっても良く、例えば、出隅状の角部1aを有する形状に限定されず、入隅状の切欠きが形成された角部を有する形状であっても良い。更に、本実施形態では、表面と木口面とで同じ意匠性の木目模様が施された化粧板1を例に説明するが、外観意匠の具体的な模様や色については、様々な形態を採用でき、更に、表面と木口面とで異なる意匠性の模様等を施すようにしてもよい。
【0023】
図2、及び
図3に示されるように、化粧板1は、平面視で矩形の基板2と、基板2の一方の表面3に貼付された化粧シート5と、基板2の木口面4に巻くように貼付された化粧テープ7とを備えている。なお、本実施形態では、基板2の一方の表面3のみに化粧シート5が貼付されており、化粧シート5が貼付された側を表面と称し、貼付されていない側を裏面と称するが、両表面に化粧シート5を貼付させるようにしても良い。
【0024】
基板(無機質基板)2は、けい酸カルシウムなどの無機材料製の不燃性の板であり、厚みは3mm〜10mm程度である。また、基板2は矩形であり、四箇所の角部2a(
図5参照)を有する。
【0025】
化粧シート5は、接着剤によって基板2の表面3に貼付されており、化粧シート5の外縁は、基板2の矩形の外縁に揃っている。化粧シート5は、樹脂、オレフィン、紙などのシートに木目、石目、または抽象的な柄などが印刷されて形成されている。一例としては、PETシートと紙との積層シートのPETシート側に模様となる柄を印刷して形成されたり、PVCシートの表面に柄を印刷した上から、透明なPVCシートを貼り合わせるなどして形成される。また、化粧シート5は、厚さが30μm以上、且つ180μm以下であると好ましい。化粧シート5は、30μm未満であると、基板2の素地が透けてしまう可能性があり、また、180μmを超えると、化粧シート5を貼付して仕上げる際の加工性が損なわれ、品質の低下を招く可能性がある。
【0026】
化粧テープ7は、表側の化粧面7aと裏側の貼付面7bとを有し、貼付面7bが基板2の木口面4に貼付されている。化粧テープ7は、化粧シート5の端面を隠す程度に、木口面4から僅かにはみ出しており、所謂、化粧テープ7が化粧シート5に勝った状態で貼付されているが、化粧シート5が化粧テープ7に勝った状態で仕上げられる逆の態様であっても良い。
【0027】
化粧テープ7は、化粧面7aを有する基材に、貼付面7bを形成する粘着剤層が積層されている。化粧テープ7を構成する基材の厚さ(化粧テープ7の粘着剤層を除く厚さ)は、30μm以上、且つ180μm以下であると好ましく、70μm以上、且つ150μm以下であると更に好ましく、70μm以上、且つ120μm以下であると更に好ましい。化粧テープ7を構成する基材の厚さを上記範囲とすることで、化粧テープ7を木口面4に沿って巻くように貼付する際の良好な貼付性を確保しつつ、基板2の素地の透けを抑制しやすくなる。
【0028】
化粧テープ7の貼付面7bを構成する粘着剤層の厚さは、木口面に好適に貼付できる範囲であれば特に制限されないが、15μm以上、且つ80μm以下であると好ましく、20μm以上、且つ60μm以下であると更に好ましく、30μm以上、且つ50μm以下であると更に好ましい。粘着剤層の厚さを当該範囲とすることで、好適な接着性を確保しやすく、また、粘着剤のはみ出しを抑制しやすくなる。
【0029】
化粧テープ7は、木口面4の全周に巻かれており、両端が当接する継ぎ目8(
図1参照)を除いて連続している。また、継ぎ目8は、木口面4の角部2a以外の箇所に設けられており、その結果、一本の化粧テープ7は、四箇所の角部2a全てにおいて、各角部2aを跨ぐ領域に貼付されている。
【0030】
ここで、基板2の木口面4は、一対の長辺側の木口面(以下、「長辺面」という)2b(
図5参照)と、一対の短辺側の木口面(以下、「短辺面」という)2cとを有する。基板2は矩形であるため、一対の長辺面2b同士は、法線Naが互いに逆方向を向く一対の対向面となり、一対の短辺同士は、法線Nbが互いに逆方向を向く一対の対向面となる。なお、四箇所の角部2aは、長辺面2bを基準に考えると、一対の長辺面2b同士の間である短辺面2cとの連絡部に存在し、また、短辺面2cを基準に考えると、一対の短辺面2c同士の間である長辺面2bとの連絡部に存在することになる。
【0031】
つまり、本実施形態では、一本の連続する化粧テープ7が木口面4の全周に巻かれることで、一方の長辺面2bから他方の長辺面2bに亘って連続し、また、一方の短辺面2cから他方の短辺面2cに亘って連続して貼付された態様を具現化している。
【0032】
次に、本実施形態に係る化粧板1の作用、及び効果について説明する。
図4に示される目透し工法などでは、下地材B上の目地底Baとなる部位には予め化粧仕上げ(目地テープなど)が施されており、化粧板1は、化粧仕上げが施された所定の下地材B上に並べて設置される。ここで、複数の化粧板1は所定の間隔を空けて規則的に設置されており、その結果、化粧板1同士の間には、目地となる溝が形成される。つまり、目透し工法などで施工した場合、壁面デザイン上に直線状、あるいは十字状の目地が形成され、この目地を介して化粧板1の端面(木口面)の意匠が視認される。
【0033】
化粧板1は四箇所の角部1aを有し、角部1aは、連続した直線状の辺同士が交差して形成される不連続な部分であるため、どうしても目に付き易い。そのため、角部1aでの仕上がりが不十分だと意匠性が損なわれ易い。更に、十字の目地を有する壁面デザインでは、特に、十字の目地に視線が行き易く、角部1aの仕上がりが良くないと見栄えの悪さが際立つ。一方で、角部1a以外の部分、例えば、直線状の辺部分は広範囲であるため、一見、目立つようにも感じるが、その全体が同程度の仕上がりであれば、寧ろ目立ち難く、意匠性は損なわれ難い。
【0034】
以上に鑑み、本実施形態に係る化粧板1では、化粧シート5と化粧テープ7とが独立した状態で基板2に貼付されており、特に、基板2の角部2aを跨ぐ領域に化粧テープ7が貼付されているので、角部1aに継ぎ目8は形成されない。その結果、化粧板1の角部1a(基板2の角部2a)の仕上がりが良好に維持される。また、角部1aに継ぎ目8が無いことから、この継ぎ目8をきっかけとした剥がれが生じ難い。
【0035】
なお、化粧シート5と化粧テープ7とが独立している関係で、化粧シート5と化粧テープ7との間には基板2の周縁に沿うように継ぎ目9(
図1参照)が生じる。しかしながら、この継ぎ目9を始末するための切除処理などは、角部1aの仕上げ処理に比べて非常に楽であり、また、品質を高く維持し易い。つまり、継ぎ目9の仕上げ処理にかかる手間は相対的に少なく、作業者の慣れや熟練度に依存する程度が低くなり、所望の品質を得易い。その結果、継ぎ目9の全体に亘ってその品質を確保し易いので意匠上の見た目を損なう可能性は少ない。
【0036】
以上より、本実施形態に係る化粧板1によれば、全体の意匠性を損なうことなく、角部1aにおける意匠性を向上でき、更に角部1aにおける化粧テープ7の剥離を効果的に抑制できる。
【0037】
また、化粧テープ7は、木口面4の全周に巻かれており、且つ基板2の角部2a以外の箇所に設けられた継ぎ目8を除いて連続している。その結果、化粧テープ7が剥がれ難くなって基板2と化粧テープ7とを密着させるためのプライマー処理の省略が可能になる。また、角部2aに継ぎ目8が存在しないので角部2aでの意匠性を向上できることは勿論、木口面4全体を斑なく仕上げ易くなる。
【0038】
更に、少し視点を変えて本実施形態の化粧テープ7を把握すると、本実施形態の化粧テープ7は、一方の長辺面2bから他方の長辺面2bに亘って連続すると共に基板2の角部2aを跨いでいる。その結果、一方の長辺面2bに貼付された化粧テープ7の部分を剥がす方向に力(引っ張り力)が作用すると、他方の長辺面2bに貼付された化粧テープ7の部分が、その力に対抗する(以下、「剥がれ抑止作用」という)。つまり、化粧テープ7の全体が剥がれて意匠性が損なわれるという可能性が軽減される。なお、本実施形態では、短辺面2cに貼付された化粧テープ7の部分についても同様に剥がれ抑止作用が働く。
【0039】
なお、本実施形態では、一本の化粧テープ7が木口面4の全周に巻かれることで上記の各作用を奏するが、例えば、化粧テープが連続する一本のテープではなく、複数に分割されて貼付されている形態であってもよい。この場合、分割された複数の化粧テープのうち、少なくとも一部の化粧テープが基板2の角部2aを跨ぐ領域に貼付されていれば、その角部2aに対応する化粧板1の角部1aに継ぎ目が形成されないので、その角部1aにおける意匠性を向上でき、更に角部1aにおける化粧テープの剥離を効果的に抑制できる。但し、化粧板1全体としては、全ての角部1aにおいて化粧テープの継ぎ目が形成されないように化粧仕上げされるのが好ましい。
【0040】
更に、化粧テープが複数に分割されている場合、分割された一部の化粧テープが基板2の一方の長辺面2bから他方の長辺面2bに亘って連続していたり、また、一方の短辺面2cから他方の短辺面2cに亘って連続していたりする態様とすることができ、これらの態様とすることで、上述の剥がれ抑制作用を奏することができる。
【0041】
また、本実施形態に係る化粧テープ7の基材厚さは、30μm以上、且つ180μm以下である。ここで、基材厚さが30μm未満であると、基板2の素地が透けてしまう可能性があり、また、180μmを超えると、化粧テープ7の可撓性が損なわれて、角部2aを跨ぐように貼付する際、化粧テープ7が基板2の角部2aに沿って曲がりにくくなり、品質の低下を招く可能性がある。つまり、本実施形態によれば、化粧テープ7を介して基板2の素地が透けにくく、また、化粧テープ7を木口面4に好適に添付できるという点で有利である。
【0042】
次に、
図5、及び
図6を参照して、上述の化粧板1を製造するための化粧板製造方法について説明する。
【0043】
本実施形態に係る化粧板製造方法では、一般サイズ(例えば、規格化された標準サイズ)の基板2に化粧シート5を貼り合わせる。その後、化粧板1として必要なサイズ、及び形状となるように基板2を切断加工する。次に、切断加工された基板2の木口面4に化粧テープ7を巻いて化粧板1を完成する。その後、建築物壁面に施工するまでの工事を一括受注する仕組みを採用することで、短納期で小回りが利き、人件費等のコスト競争力に強い仕組みを実現できる。以下、化粧板製造方法について、より具体的に説明する。
【0044】
まず、一般サイズの基板2の表面3に化粧シート5を貼付する表面仕上げ工程を行う。この場合、基板2のサイズが揃っているので、例えば、一般のラミネーターで効率良く化粧シート貼りを行うことができる。なお、表面仕上げ工程において、基板2と化粧シート5との密着性を高めるために基板2の表面3の全面、あるいは部分的にプライマー処理を施しても良い。
【0045】
また、表面仕上げ工程では、建築物の壁面寸法等を採寸し、一枚毎に所望の化粧板1のサイズ及び形状を決定する。更に、決定されたサイズ及び形状となるように、化粧シート5が貼付された基板2を切断加工する。基板2の切断加工は、例えば、
図5(b)に示されるように、回転する刃物等で実施することができる。
【0046】
なお、本実施形態に係る表面仕上げ工程では、一般サイズの基板2に化粧シート5を貼付した後で、所望のサイズ及び形状に切断加工していたが、所望のサイズ及び形状に切断加工された基板2に対し、化粧シート5を貼付し、必要に応じて化粧シート5のはみ出し分などを切除するようにしてもよい。
【0047】
木口面仕上げ工程は、専用の装置を使用することもできるし、必要に応じ、後述の化粧テープ貼付補助具10を使用して手作業で実施することもできる(
図9参照)。手作業にて実施する場合、化粧テープ7の貼付面7bが剥離紙Taで保護された未剥離テープTを使用する。
【0048】
化粧テープ7の貼付に際しては、例えば、基板2の短辺面2cの途中に端部が配置されるように、先頭端部を貼り付ける。先頭端部を貼り付けた後、剥離紙Taを剥離させながら角部2aを跨ぐように木口面4に化粧テープ7を貼付させる。特に、本実施形態では、木口面4の全周を巻くように、化粧テープ7を貼付させている(
図6(a)参照)。木口面4の全周を巻くように貼付することで、一方の長辺面2bから角部2aを跨ぎながら他方の長辺面2bにかけて連続して化粧テープ7を貼付することができ、また、一方の短辺面2cから角部2aを跨ぎながら他方の短辺面2cにかけて連続して化粧テープ7を貼付することができる。
【0049】
木口面4の全周に巻くことで先頭端部まで戻ると、先頭端部に僅かに重なるように化粧テープ7を重ね、重なり合った部分で切断する。次に、重なり合った化粧テープ7の内側で切断された先頭端部を剥がし、端部同士を突き当てながら見栄えよく繋がるように貼り合わせて端部処理する。このような端部処理は、平坦で連続的な短辺面2cで行われるので、角部2aにおいて実施する場合に比べて容易であり、見栄えも良くなって意匠上の品質も高く維持できる。
【0050】
化粧テープ7は、意図的に化粧シート5側に僅かにはみ出すように貼付されており、化粧テープ7の貼付が完了すると、はみ出した余剰部分は、例えば、化粧シート5を切除する際に使用した上述の切除治具等を用いて切除処理される。この切除処理は、非常に簡単であり、作業者の慣れや熟練度に依存する程度も低く、従って、所望の品質を得易い。
【0051】
なお、本実施形態に係る木口面仕上げ工程では、化粧テープ7を化粧シート5側にはみ出させ、そのはみ出た余剰部分を切除することで化粧テープ7の端縁を処理していたが、例えば、化粧テープ7を基板2の裏面側にはみ出させ、その余剰部分を裏面に折り込んで接着することで処理するようにしてもよい。
【0052】
以上の化粧板製造方法によれば、化粧板1を簡易に、且つ好適に製造できる。特に目透かし工法で貼り付ける化粧板1は角部1aが略直角であることが多いが、本製造方法によれば、直角の角部1aを有する化粧板1においても化粧テープ7の剥離を好適に抑制できる。なお、この製造方法では、全ての角部2aが出隅状である基板2の木口面4に化粧テープ7を貼付する態様を例示しているが、入隅状の角部となる切欠きが形成された基板2であっても、入隅状の角部を跨ぐ領域に化粧テープ7を簡単に貼付させることが可能である。
【0053】
また、上記の実施形態では、表面仕上げ工程の後に木口面仕上げ工程を行った場合を例示しており、この方法で製造された化粧板1では、化粧シート5の端面が化粧テープ7の周縁によって隠されている態様、つまり、化粧テープ7が化粧シート5に勝っている態様になる。一方で、木口面仕上げ工程の後に表面仕上げ工程を行うことで製造された化粧板1では、化粧テープ7の端面が化粧シート5の周縁によって隠されている態様、つまり、化粧シート5が化粧テープ7に勝っている態様になる。
【0054】
次に、
図7、
図8、及び
図9を参照し、化粧テープ貼付補助具10について説明する。化粧テープ貼付補助具10は、作業者の手作業により、剥離紙Taを剥離しながら基板2の木口面4に化粧テープ7を貼付する場合に使用される治具であり、化粧テープ貼付補助装置の一例である。
【0055】
化粧テープ貼付補助具10は、剥離紙Taが剥離された化粧テープ7の化粧面7aに当接すると共に、木口面4と協働して剥離紙Taの剥離を促す押圧片(貼付補助部)11と、剥離紙Taが化粧テープ7から剥離される前の未剥離テープTを押圧片11が当接する化粧面7aから折り返す方向に案内する案内片(未剥離テープ案内部)12とを備えている。なお、本実施形態では、押圧片11、及び案内片12に接続された把持片13を備えており、把持片13によって剛性を高めることができるので好ましい。
【0056】
案内片12には、押圧片11との近接部に未剥離テープTが通されるスリットSが形成されている。未剥離テープTは、案内片12及び押圧片11で囲まれた内側から外側に向けて通され、外側において化粧テープ7のみが押圧片11に沿うように折り返され、剥離紙Taは折り返されることなく化粧テープ7から剥離される。ここで、押圧片11を化粧テープ7の化粧面7aに当接させながら木口面4に押圧することで、化粧テープ7は木口面4に貼付される。一方で、化粧テープ7から剥離された剥離紙Taは、化粧テープ7が貼付されていない状態の木口面4の干渉を受け、化粧テープ7から剥離した状態で木口面4に沿って延在する。
【0057】
この状態で、作業者は、把持片13を摘んで押圧片11を木口面4の長手方向に沿って進行させる。すると、押圧片11と木口面4との協働によって未剥離テープTがスリットSから引き出されると共に、剥離紙Taの剥離が促進され、剥離紙Taが剥離された化粧テープ7は進行方向の後方で木口面4に貼付される。
【0058】
なお、押圧片11の裏側には、未剥離テープTの位置決め、及び引き出しを案内するためのガイド部14が設けられている。ガイド部14は、未剥離テープTの側縁に干渉し、未剥離テープTのズレを防止する。具体的には、テーブルに載置された基板2の木口面4に化粧テープ貼付補助具10を沿わせ、且つテーブルの上面に当接させた状態で進行させると、ガイド部14は未剥離テープTを適切に案内する。その結果、未剥離テープTはズレなくスリットSから引き出され、未剥離テープTから剥離紙Taが剥離された状態の化粧テープ7は木口面4に適切に貼付される。
【0059】
本実施形態に係る化粧テープ貼付補助具10では、押圧片11を化粧テープ7の化粧面7aに当接させながら木口面4に向けて押圧することで化粧テープ7を木口面4に貼付できる。更に、剥離紙Taが化粧テープ7から剥離される前の未剥離テープTは、案内片12によって、木口面4に貼付された化粧テープ7に対して折り返される方向に案内されており、結果的に剥離紙Taが化粧テープ7から剥離し易い状況となる。ここで、押圧片11で化粧テープ7を押圧しながら木口面4に沿って進行させると、化粧テープ7から剥離された剥離紙Taは、進行方向前方の木口面4に案内されて滑らかに剥離される。つまり、押圧片11は木口面4と協働して剥離紙Taの剥離を促すことになる。
【0060】
また、本実施形態に係る化粧テープ貼付補助具10によれば、化粧板1の木口面4の下端(下辺)と化粧テープ7の側辺とを、ずれが生じないように簡易に貼り合せることが可能となる。特に、基板2を使用した化粧板1は、反りや歪みが生じやすく、化粧板1の木口面4の下辺が均質に直線上になっていない場合も多いが、化粧テープ貼付補助具10を使用することで、平らな床材や積載台上で、化粧テープ7を貼り付ける化粧板1の表面3の近傍を押圧して、化粧テープ7を貼り付けることで、好適に化粧板1の木口面4の下端と化粧テープの側辺とを、ずれが生じないように貼り合せやすくなる。
【0061】
以上の結果、この化粧テープ貼付補助具10を用いることにより、基板2の木口面4に簡単に、且つ見栄えよく化粧テープ7を貼付できる。
【0062】
なお、本実施形態では、貼付補助部として板状の押圧片11、及び未剥離テープ案内部として板状の案内片12を例示したが、貼付補助部や未剥離テープ案内部は、ピン状、またはローラ状の部材であっても良い。また、押圧片11にガイド部14を設けることなく、押圧片11の幅を木口面4の幅に対応させ、実質的に把持片13をガイド部として機能させるようにしてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、手作業で行う場合を例示したが、剥離紙Taが剥離された化粧テープ7の化粧面7aに当接すると共に、木口面4と協働して剥離紙Taの剥離を促す貼付補助部と、剥離紙Taが化粧テープ7から剥離される前の未剥離テープTを貼付補助部が当接する化粧面7aから折り返す方向に案内する未剥離テープ案内部と、を備える態様であれば、機械化された専用の装置であってもよい。
【実施例】
【0064】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、表1は、実施例1−実施例5に係る各化粧板の作成条件を示し、表2は、比較例1−比較例5に係る各化粧板の作成条件を示している。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
[実施例1]
表1に示されるように、実施例1に係る化粧板では、PETシートと紙との積層シートのPETシート側の表面に模様となる柄を印刷した厚さ100μm(0.1mm)の化粧シートを用いている。また、化粧テープとしては、上記と同様の化粧シートを基材とし、当該化粧シートの柄印刷面の他面側に厚さが約40μmの粘着剤層が付された化粧テープを用いている。基板は矩形であり、6mm厚みのけい酸カルシウム板を用いている。基板の表面には化粧シートが接着剤により貼付されている。また、基板の木口面の全面(四辺)に亘ってプライマー処理が施されている。化粧テープの貼り仕様としては、木口面の全周を一本の化粧テープで巻き、裏面まで折り込んで貼付する。化粧テープの貼り方は手貼りである。なお、実施例1にて使用された基板は矩形であるため、全ての角部が出隅状であり、例えば、入隅状となる切欠きは形成されていない。
【0068】
【表3】
【0069】
上記の表3は、後述の実施例を含む実施例1−実施例5、及び比較例1−5に係る各化粧板の木口面の化粧仕上げの簡便さ、角部の見栄え、及び化粧テープの貼付状態を評価した結果を示す表である。
【0070】
表3に示されるように、実施例1に係る化粧板によれば、木口面の化粧仕上げは非常に簡便に実施できることを確認できた(評価「〇」)。また、角部の見栄えについて、製造直後、及び寒熱繰返しの試験後の両方とも、綺麗な仕上がりが安定して維持されていることを確認できた(評価「〇」)。また、化粧テープの貼付状態について、製造直後、及び寒熱繰返しの試験後の両方とも、浮きなどはなく、化粧テープが適切に貼付されていることを確認できた(評価「〇」)。
【0071】
[実施例2]
次に、実施例2について説明する。表1に示されるように、実施例2に係る化粧板の作成条件では、化粧テープの継ぎ目となる箇所にのみプライマー処理を施した点、及び、化粧テープの貼り仕様として、木口面の全周を一本の化粧テープで巻いているものの、裏面への折り込みまでは行っていない点を除いて基本的に実施例1と共通する。
【0072】
表3に示されるように、実施例2に係る化粧板によれば、木口面の化粧仕上げは非常に簡便に実施できることを確認できた(評価「〇」)。また、角部の見栄えについて、製造直後、及び寒熱繰返しの試験後の両方とも、綺麗な仕上がりが安定して維持されていることを確認できた(評価「〇」)。また、化粧テープの貼付状態について、製造直後、及び寒熱繰返しの試験後の両方とも、浮きなどはなく、化粧テープが適切に貼付されていることを確認できた(評価「〇」)。
【0073】
[実施例3]
次に、実施例3について説明する。表1に示されるように、実施例3に係る化粧板の作成条件では、木口面にプライマー処理を施していない点を除いて基本的に実施例1と共通する。
【0074】
表3に示されるように、実施例3に係る化粧板によれば、木口面の化粧仕上げは非常に簡便に実施できることを確認できた(評価「〇」)。また、角部の見栄えについて、製造直後、及び寒熱繰返しの試験後の両方とも、綺麗な仕上がりが安定して維持されていることを確認できた(評価「〇」)。また、化粧テープの貼付状態について、製造直後、及び寒熱繰返しの試験後の両方とも、浮きなどはなく、化粧テープが適切な貼付されていることを確認できた(評価「〇」)。特に、実施例3により、木口面にプライマー処理を施さなくとも、実質的に、角部の見栄えを良好に保ち、更に、化粧テープの貼付状態を良好に保つことができることを確認できた点は意義が大きい。
【0075】
[実施例4]
次に、実施例4について説明する。表1に示されるように、実施例4に係る化粧板の作成条件では、入隅状の角部を有する切欠きが形成された6mm厚みのけい酸カルシウム板を基板として使用している。その他の作成条件は、基板の木口面の全面に亘ってプライマー処理が施されている点を除いて基本的に実施例2と共通し、化粧テープの貼り仕様としては、実施例2と同様に、木口面の全周(切欠きを含む)を一本の化粧テープで巻いて貼付させている。
【0076】
表3に示されるように、実施例4に係る化粧板によれば、木口面の化粧仕上げは非常に簡便に実施できることを確認できた(評価「〇」)。また、角部の見栄えについて、製造直後、及び寒熱繰返しの試験後の両方とも、綺麗な仕上がりが安定して維持されていることを確認できた(評価「〇」)。また、化粧テープの貼付状態について、製造直後、及び寒熱繰返しの試験後の両方とも、浮きなどはなく、化粧テープが適切に貼付されていることを確認できた(評価「〇」)。特に、実施例4により、切欠きの有無にかかわらず、実質的に、角部の見栄えを良好に保ち、更に、化粧テープの貼付状態を良好に保つことができることを確認できた点は意義が大きい。
【0077】
[実施例5]
次に、実施例5について説明する。表1に示されるように、実施例5に係る化粧板の作成条件では、模様となる柄を印刷した厚さ150μm(0.15mm)の塩ビ系シートの柄印刷面の他面側に厚さが約40μmの粘着剤層が付された化粧シートを用いている。また、化粧テープとして当該化粧シートと同様の粘着剤が付された化粧テープを用いている。基板は矩形であり、6mm厚みのけい酸カルシウム板を用いている。基板の表面には化粧シートが粘着剤層を介して貼付されている。また、基板の木口面の全面(四辺)に亘ってプライマー処理が施されている。化粧テープの貼り仕様としては、木口面の全周を一本の化粧テープで巻いている。化粧テープの貼り方は手貼りである。
【0078】
表3に示されるように、実施例5に係る化粧板によれば、木口面の化粧仕上げは非常に簡便に実施できることを確認できた(評価「〇」)。また、角部の見栄えについて、製造直後、及び寒熱繰返しの試験後の両方とも、綺麗な仕上がりが安定して維持されていることを確認できた(評価「〇」)。また、化粧テープの貼付状態について、製造直後、及び寒熱繰返しの試験後の両方とも、浮きなどはなく、化粧テープが適切な貼付されていることを確認できた(評価「〇」)。
【0079】
[比較例1]
表2に示されるように、比較例1に係る化粧板では、模様となる柄を印刷した厚さ150μm(0.15mm)の塩ビ系シートの柄印刷面の他面側に厚さが約40μmの粘着剤層が付された化粧シートを用いている。更に、この化粧シートによって木口面の化粧材を兼用させている。基板は矩形であり、6mm厚みのけい酸カルシウム板を用いている。基板の全面には、プライマー処理が施されている。基板の表面及び木口面の化粧仕上げの為の貼り仕様としては、基板の表面に貼付される化粧シートを表面よりも大きく切断し、その余剰分を木口面に沿わせながら裏面にまで巻き込んで粘着剤層を介して貼付させた。角部では、余剰の化粧シートの切除処理が行われ、その結果、角部には化粧シートの継ぎ目が形成された。
【0080】
表3に示されるように、比較例1に係る化粧板によれば、木口面の化粧仕上げは若干、手間がかかることを確認できた(評価「△」)。また、角部の見栄えについて、製造直後、及び寒熱繰返しの試験後の両方とも、隙間が生じてしまうことを確認できた(評価「△」)。なお、化粧テープに相当する部位の貼付状態については、製造直後、及び寒熱繰返しの試験後の両方とも、浮きなどはなく、木口面において化粧シートが適切に貼付されていることを確認した(評価「〇」)。
【0081】
[比較例2]
表2に示されるように、比較例2に係る化粧板の作成条件は、プライマー処理が施されていない点を除いて、比較例1に係る化粧板と共通する。
【0082】
表3に示されるように、比較例2に係る化粧板によれば、木口面の化粧仕上げは若干、手間がかかることを確認できた(評価「△」)。また、角部の見栄えについて、製造直後に隙間が生じてしまうことを確認でき(評価「△」)、更に、寒熱繰返しの試験後においては、その隙間が大きくなって非常に目立つことを確認した(評価「×」)。また、化粧テープに相当する部位の貼付状態について、製造直後は浮きなどなく、木口面において化粧シートが適切に貼付されていることを確認できたが(評価「〇」)、寒熱繰返しの試験後においては、浮きが生じてしまうことを確認した(評価「△」)。
【0083】
つまり、比較例1、2の評価結果から、角部に化粧シートなどの継ぎ目を有する場合、プライマー処理を施さなければ経年的に角部の見栄えや木口面での貼付状態が不良化する可能性を有することを確認できた。
【0084】
[比較例3]
表2に示されるように、比較例3に係る化粧板では、PETシートと紙との積層シートのPETシート側の面に模様となる柄を印刷した厚さ100μm(0.1mm)のシートにおいて、柄印刷面の他面側に厚さが約40μmの粘着剤層が付された化粧シートを用いている。更に、この化粧シートによって木口面の化粧材を兼用させている。その他の作成条件は、基本的に比較例1と共通する。
【0085】
表3に示されるように、比較例3に係る化粧板によれば、木口面の化粧仕上げは若干、手間がかかることを確認できた(評価「△」)。また、角部の見栄えについて、製造直後、及び寒熱繰返しの試験後の両方とも、隙間が生じてしまうことを確認できた(評価「△」)。なお、化粧テープに相当する部位の貼付状態については、製造直後、及び寒熱繰返しの試験後の両方とも、浮きなどはなく、木口面において化粧シートが適切に貼付されていることを確認した(評価「〇」)。
【0086】
[比較例4]
表2に示されるように、比較例4に係る化粧板では、PETシートと紙との積層シートに模様となる柄を印刷した厚さ100μm(0.1mm)の化粧シートを用いている。また、木口面の化粧材として、当該化粧シートの柄印刷面の他面側に裏打ち紙をつけ、厚さ500μm(0.5mm)にした化粧材を使用している。基板は矩形であり、6mm厚みのけい酸カルシウム板を用いている。基板の表面には化粧シートが貼付されている。また、基板の木口面の全面に亘ってプライマー処理が施されている。化粧材の貼り方としては、手貼りではなく、縁張り機械を使用し、ホットメルト系接着剤を用いて貼付している。また、木口面の全周を一本の化粧テープで巻くのではなく、複数の分割された化粧材を各辺それぞれに貼付している。その結果、木口面での貼り仕様として、角部には継ぎ目が形成されている。
【0087】
表3に示されるように、比較例4に係る化粧板によれば、木口面の化粧仕上げは若干、手間がかかることを確認できた(評価「△」)。また、角部の見栄えについて、製造直後には大きな隙間が生じ、また、寒熱繰返しの試験後には剥がれが生じてしまい、見栄えを損なうことを確認した(評価「×」)。なお、化粧材の貼付状態については、製造直後は、浮きなどはなく、木口面において化粧材が適切に貼付されていることを確認した(評価「〇」)。しかしながら、寒熱繰返しの試験後は、化粧材の剥がれを確認した(評価「×」)。
【0088】
[比較例5]
表2に示されるように、比較例5に係る化粧板では、基板に切欠きが形成されていることを除いて、作成条件は、基本的に比較例4と共通する。
【0089】
表3に示されるように、比較例5に係る化粧板によれば、切欠きに化粧材を貼付できないので、作業自体を実施できないと評価した(評価「×」)。なお、切欠きに化粧材を貼付できないので、その他の評価は不明とした。
【0090】
[総括]
上述の通り、実施例1−実施例5に係る化粧板によれば、木口面の化粧仕上げは非常に簡便に実施でき、また、角部の見栄えについて綺麗な仕上がりが安定して維持されると共に、化粧テープの貼付状態について、浮きなどはなく、化粧テープが適切に貼付されていることを確認できた。特に、実施例1−実施例5に係る化粧板によれば、角部に継ぎ目が形成されないので、基板にプライマー処理を施さなくても化粧テープの貼付状態を適切な状態に維持し易いということを確認できた。
【0091】
一方で、比較例1−比較例3では、角部に継ぎ目を有するので、角部での継ぎ目の処理の為に作業に手間がかかり易く、その結果、作業者の慣れや熟練度によって品質に差が生じ易いことを確認した。また、比較例1−比較例4の結果から、角部の見栄えは悪くなり易く、更に、比較例2の結果からも明らかな通り、角部での化粧材の貼付状態を維持するためにプライマー処理は必須であることを確認した。また、比較例4の結果からも明らかな通り、縁張り機械を使用して化粧テープを貼付する場合には、角部における継ぎ目の隙間が目立ち、見栄えが損なわれ易い。また、比較例5の結果からも明らかな通り、縁張り機械を使用する場合には切欠きに化粧テープを貼付できず、化粧テープの貼付作業自体を実施できない場合が生じることを確認した。