(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対のリードと、前記一対のリードを保持する樹脂成形体とを備え、上面に配置される素子載置領域と、前記素子載置領域に載置される発光素子からの光が照射される光照射領域と、を備え、前記光照射領域に配置される光反射発泡部を備えるパッケージを準備する工程と、
前記素子載置領域に、発光素子を載置する工程と、
を備える発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するためのパッケージ及び発光装置を例示するものであって、本発明は、パッケージ及び発光装置を以下に限定するものではない。
【0009】
また、本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本開示の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。尚、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0010】
<実施形態1>
図1Aは、実施形態1に係るパッケージ10の集合体10Aの概略斜視図である。
図1Bは、パッケージ10の集合体10Aの一部を拡大した概略上面図である。
図1Cは、
図1Bの1C−1C線における概略断面図である。
【0011】
各パッケージ10は、凹部Sを備える。尚、パッケージは、凹部を備えない形状のパッケージでもよく、例えば、平板状のパッケージでもよい。凹部S内の上面(凹部の底面)210は、一対のリード30と、これらの間の樹脂成形体20と、を備える。凹部Sの側壁は樹脂成形体20から構成されており、側壁の内側面220も樹脂成形体20から構成される。パッケージ10は、
図1Aに示すように、樹脂成形体20が一体成形された集合体10Aであってもよく、それぞれ別体として成形されたパッケージでもよい。
【0012】
凹部S内の上面は、素子載置領域Cを含む。素子載置領域Cは、発光装置において発光素子が載置されている領域を指す。尚、発光素子を載置する前のパッケージ10においては、発光素子が載置される予定の領域を素子載置領域とする。
【0013】
このような凹部Sを備えるパッケージ10では、凹部S内に載置された発光素子からの光は、凹部S内の面である底面210と内側面220とに照射される。つまり、
図1Cに示すように、光照射領域Lは、凹部Sの底面210と内側面220とを指す。発光素子を載置する前のパッケージにおいて、光照射領域Lは、光が照射される予定の領域である。
【0014】
樹脂成形体20は、黒色樹脂部21と、黒色樹脂部21の表面の少なくとも一部に配置される光反射発泡部22と、を含む。この光反射発泡部22は、光照射領域Lに配置されている。実施形態1では、
図1Cに示すように、凹部Sの底面210の樹脂成形体20の表面と、凹部Sの内側面220の樹脂成形体20の表面に、光反射発泡部22が配置されている。
【0015】
光反射発泡部22は、樹脂成形体20の一部であり、黒色樹脂部21の表面を発泡させた部分である。つまり、光反射発泡部22と黒色樹脂部21は一体である。光反射発泡部22は、黒色樹脂部21の表面から隆起したようになっている。
【0016】
黒色樹脂部21は黒色であるため、発光素子からの光の反射率が低い。光反射発泡部22は、発泡することで、発泡していない部分の黒色樹脂部21よりも、光の反射率が高くなっている。例えば、光反射発泡部22の反射率は、発光素子からの光に対して40%以上、60%以上、80%以上など、とすることができる。
【0017】
このような光の反射率の高い光反射発泡部22を光照射領域Lに配置することで、発光素子からの光の吸収を低減することができる。凹部Sの側壁の上面は、光反射発泡部を有しておらず、黒色樹脂部21が表面に露出している。そのため、このようなパッケージ10を用いた発光装置をディスプレイなどに用いた場合、コントラストを向上させることができる。
【0018】
光反射発泡部22は、光照射領域Lに位置する樹脂成形体20のうち、例えば、30%以上の面積に配置させることが好ましく、50%以上とすることがより好ましい。また、光反射発泡部22の厚みは、例えば、数μm〜数十μm程度とすることができる。光反射発泡部22の表面は、凹凸のある面である。
【0019】
パッケージ10の樹脂成形体20に用いられる樹脂材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などの樹脂で構成することができる。具体的には、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂組成物、変成エポキシ樹脂組成物、シリコーン樹脂組成物、変成シリコーン樹脂組成物、シリコーン変成エポキシ樹脂、エポキシ変成シリコーン樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物、変成ポリイミド樹脂組成物、不飽和ポリエステル等の樹脂が挙げられ、熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリフタルアミド(PPA)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、PBT樹脂等の樹脂が挙げられ、これらの中から少なくとも1つを含む樹脂とすることができる。尚、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂では、光反射発泡部の形成条件等は異なるものであり、本明細書においては主として熱可塑性樹脂について説明をしている。
【0020】
また、樹脂材料には、カーボンブラック等の黒色材料が含有されている。例えば、カーボンブラックを用いる場合は、樹脂材料の全重量に対して、10重量%〜60重量%、さらに15重量%〜50重量%含有させることが好ましい。また、機械的強度などを補強するための添加剤等を備えていてもよい。例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、ムライトなどの光反射材が含有されていてもよい。
【0021】
パッケージ10のリード30は、個片化された後において、パッケージ10の側面、又は、パッケージ10の下面において、もしくは、側面と下面の両方において、樹脂成形体20から露出される。これにより、外部電源から給電することができる。リード30の側面は、樹脂部の側面と面一であってもよく、あるいは、突出していてもよい。また、リード30は、その一部が樹脂部の側面よりも凹む部分を備えていてもよい。
【0022】
個片化されたパッケージ10において、リード30は、複数の側面のうち、1又は2以上の複数の側面において露出することができる。例えば、上面視が四角形のパッケージ10の場合、対向する2つの側面において露出するリード30とすることができる。
【0023】
<実施形態2>
図2A、
図2Bは、実施形態2に係るパッケージの製造方法を説明する概略図である。まず、パッケージ中間体10Bを準備する。
図2Aでは、パッケージ中間体10Bの集合体を図示している。パッケージ中間体10Bは、樹脂成形体20は、凹部Sを備えている。凹部S内の上面210は、一対のリード30と、これらの間の樹脂成形体20と、を備える。樹脂成形体20は、黒色樹脂部21のみからなる。
【0024】
次に、
図2Bに示すように、光照射領域Lである凹部Sの底面210及び内側面220にレーザ光を照射する。レーザ光を出射するレーザ光源Pとしては、窒化ガリウム系半導体レーザなどの半導体レーザ、YAG、ルビー、YVO
4などの固体レーザ、CO
2、He−Ne、エキシマレーザなどの気体レーザ等が挙げられる。また、レーザ光の波長は、例えば、200nm〜10600nmとすることができる。
【0025】
レーザ光が照射された黒色樹脂部21からは熱により気体が発生する。発生した気体はその黒色樹脂部21内に閉じ込められる。これにより、黒色樹脂部21の一部が発泡した光反射発泡部22となる。つまり光反射発泡部22は黒色樹脂部21の一部を変質させて形成したものであり、それらの境界は明確ではない部分も存在する。尚、レーザ光を照射し続けてより多くの熱を発生させると、樹脂材料が炭化して黒くなる。そのため、炭化しない条件でレーザ光を照射する必要がある。レーザ光の照射条件は、樹脂成形体を構成する樹脂材料の組成や、レーザ光の強度、レーザ光の波長等により調整することができる。例えば、黒色樹脂部21としてシリコーン樹脂を用い、レーザ光源としてYVO
4やYAGを用いて波長1064nmのレーザ光を照射する場合、単位面積当たりの照射時間を、例えば1/1000秒〜1/100000秒程度とすることで、光反射発泡部を形成することができる。
【0026】
このように、樹脂成形体20にレーザ光を照射することで、光を吸収しやすい黒色樹脂部21を光反射発泡部22とすることができる。つまり、一度の成形で得られた樹脂成形体20に、レーザ光を照射する、という比較的簡易な方法で光の吸収を低減させた光反射発泡部22を形成することができるため、2色成形によりパッケージを形成する方法に比して、コストを抑制してパッケージを得ることができる。
【0027】
また、光反射発泡部22は、光照射領域L以外の領域に照射してもよい。例えば、パッケージ10の下面や外側面などに、文字や記号などの形状の光反射領域を形成し、これらをカソードマークやロットマークなどとして用いてもよい。
【0028】
以上のようにして、
図1A〜
図1Cに示すようなパッケージ10の集合体10Aを得ることができる。
【0029】
<実施形態3>
図3は、実施形態3に係る発光装置100の概略断面図である。発光装置100は、実施形態1のパッケージ10を用いている。発光装置100は、パッケージ10と、パッケージ10に載置される発光素子60と、を備える。パッケージ10は、一対のリード30と、一対のリード30を保持する樹脂成形体20と、を備える。パッケージ10の上面の素子載置領域に発光素子60が載置されている。
図3では、パッケージ10は凹部Sを備えており、この凹部Sの底面210がパッケージ10の上面である。発光素子60は、パッケージ10のリード30とワイヤ40を介して電気的に接続されている。凹部S内には、発光素子60を被覆する封止部材50が配置されている。
【0030】
発光素子60はフリップチップ実装されていてもよい。その場合は、ワイヤは用いず、導電性の接合部材を用いて発光素子60の電極とリード30とを電気的に接続する。また、発光素子60をフリップチップ実装する場合は、一対のリード30の間の樹脂成形体20は、その表面の光反射発泡部22の高さは、発光素子の下面の高さと同じか、それよりも低い高さとする。
【0031】
樹脂成形体20は、黒色樹脂部21と、黒色樹脂部21の表面の少なくとも一部に配置される光反射発泡部22を備える。光反射発泡部22は、発光素子60からの光が照射される光照射領域に配置されている。
【0032】
光反射領域は、凹部S内の面である底面210と内側面220である。凹部Sの内側面220の樹脂成形体21と、凹部Sの底面210の樹脂成形体20の上面に、光反射発泡部22を備える。
【0033】
発光素子60は、任意の波長のものを選択することができる。例えば、フルカラーディスプレイとして用いられる表示装置用の発光装置とする場合は、青色、緑色、赤色の3色の発光素子を用いる。青色、緑色の発光素子としては、ZnSeや窒化物系半導体(In
XAl
YGa
1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いたものを用いることができる。また、赤色の発光素子としては、GaAs、InPなどを用いることができる。さらに、これ以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。用いる発光素子の組成や発光色、大きさや、個数などは目的に応じて適宜選択することができる。
【0034】
また、可視光領域の光だけでなく、紫外線や赤外線を出力する発光素子とすることができる。さらには、発光素子とともに、受光素子、及びそれらの半導体素子を過電圧による破壊から守る保護素子(例えば、ツェナーダイオードやコンデンサー)、あるいはそれらを組み合わせたものを搭載することができる。
【0035】
発光素子60の一対の電極は、接合部材を介して、又はワイヤ40を介してリード30と電気的に接続されている。接合部材としては、例えば、絶縁性接合部材又は導電性接合部材を用いることができる。絶縁性接合部材としては、樹脂が挙げられ、透明樹脂、もしくは白色樹脂などが挙げられる。導電性接合部材としては、共晶材料又ははんだが挙げられる。好ましい共晶材料としては、AuとSnを主成分とする合金、AuとSiとを主成分とする合金、AuとGeとを主成分とする合金などが挙げられる。はんだとしては、AgとCuとSnとを主成分とする合金、CuとSnとを主成分とする合金、BiとSnとを主成分とする合金などが挙げられる。
【0036】
封止部材50は、発光素子60、保護素子、ワイヤ40など、パッケージ10に実装される電子部品を、塵芥、水分、外力などから保護する部材である。封止部50材の材料としては、発光素子60からの光を透過可能な透光性を有し、且つ、それらによって劣化しにくい耐光性を有するものが好ましい。封止部材50の具体的な材料としては、シリコーン樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、等の、発光素子からの光を透過可能な透光性を有する絶縁樹脂組成物を挙げることができる。また、封止部材50は、これらの有機物に限られず、ガラス、シリカゾル等の無機物も用いることができる。このような材料に加え、所望に応じて着色剤、光拡散剤、光反射材、各種フィラー、波長変換部材(蛍光部材)などを含有させることもできる。封止部材の充填量は、上記電子部品が被覆される量であればよい。上述のように、光反射発泡部22は、表面が凹凸になっている。そのため、封止部材50との接触面積が、光反射発泡部22を備えない場合に比して広くなっている。これにより、封止部材50とパッケージ10との密着性を向上させることができる。
【0037】
封止部材50に含まれる蛍光体としては、例えば、緑色〜黄色系発光するYAG系、LAG系、緑色発光するSiAlON系(βサイアロン)、赤色発光するSCASN、CASN系、KSF系蛍光体(K
2SiF
6:Mn)、硫化物系蛍光体等の蛍光体の単独又は組み合わせが挙げられる。
【0038】
<実施形態4>
図1C、
図4A、
図4Bは、実施形態4に係る発光装置100の製造方法を説明する概略図である。まず、実施形態1に係るパッケージ10又はその集合体10Aを準備する工程を備える。詳細には、一対のリード30と、一対のリード30を保持する樹脂成形体20とを備え、上面21−に配置される素子載置領域Cと、素子載置領域Cに載置される発光素子からの光が照射される光照射領域Lと、を備え、光照射領域Lに配置される光反射発泡部22を備えるパッケージ10の集合体10Aを準備する工程である。このようなパッケージ10又はその集合体10Aを購入するなどにより準備してもよく、あるいは、実施形態2に係るパッケージ10の製造方法を用いて形成して準備してもよい。
【0039】
次に、
図4Aに示すように、発光素子60を載置する。発光素子60は、接合部材等を介して素子載置領域C上に接合される。また、パッケージ10のリード30と発光素子60の電極との間をワイヤ40で接続する。
【0040】
次に、
図4Bに示すように、凹部S内に封止部材50を、ポッティングなどにより形成する。最後に、凹部Sと隣接する凹部Sの間でパッケージ10の集合体10Aの樹脂成形体20を切断し、
図3に示すような、個片化された発光装置100を得る。