(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、本実施形態に係るシステムの利用状況の例を示す図である。本システムにおいては、撮像装置としてのカメラ10と外部ディスプレイ70とを通信ケーブル62で接続して動画撮影を行うシステムを想定する。動画撮影機能を備えたカメラ10は、デジタルカメラ、スマートフォン、デジタルビデオカメラ等である。以下の実施形態においては、動画撮影機能を備えたデジタルカメラを例に説明する。
【0010】
カメラ10は、三脚などに固定されて撮影シーンの方向に向けられている。カメラ10は通信IF43を備えており、また、外部ディスプレイ70も同様に通信IF73を備えており、これらの間を通信ケーブル62が接続している。通信規格としては、例えばデジタル規格のHDMI(登録商標)が採用される。他にも、アナログ規格のD端子ケーブルなどであっても良い。本実施形態においては有線ケーブルを前提として説明するが、例えばブルートゥース(登録商標)などの無線通信規格を採用しても良い。
【0011】
カメラ10で捉えられた撮影シーンの映像は、録画中であるか否かに関わらず、通信ケーブル62を介して外部ディスプレイ70の外部モニタ74に表示される。撮影者は、比較的大きなサイズの外部モニタ74により、シーンの様子等を確認することができる。外部ディスプレイ70は、外部記録装置としての機能を兼ね備え、記録媒体IF76を備える。記録媒体IF76は、着脱可能な記録媒体64を接続して、動画データを記録媒体64に記録する。記録媒体64は、例えばSDカードである。他にも、記録媒体IF76をUSB端子とし、記録媒体64を外部接続のHDDとすることもできる。また、記録媒体64は着脱可能でなくても良く、外部記録装置である外部ディスプレイ70に内蔵された構成とすることもできる。
【0012】
外部ディスプレイ70は、リモコン80の指示を受け付ける。リモコン80は、録画開始スイッチ82、録画停止スイッチ83および操作スイッチ84を備える。撮影者は、外部モニタ74に表示される映像を確認しながら録画開始スイッチ82を押すことにより、その時点からの映像を動画データとして記録媒体64に録画することができる。また、録画停止スイッチ83を押すことにより、その時点で記録媒体64への録画を停止することができる。操作スイッチ84は、撮影者がその他の指示を外部ディスプレイ70へ与えるための操作部材であり、外部モニタ74の色味調整、記録媒体64のフォーマット処理などを指示し得る。
【0013】
本実施形態においては、外部ディスプレイ70は、少なくともリモコン80から受信した録画開始指示および録画停止指示を、録画開始信号および録画停止信号として通信ケーブル62を介してカメラ10へ送信する。詳しくは後述するが、カメラ10は、録画開始信号および録画停止信号を受けて、外部ディスプレイ70へ送出する動画像の態様を変更する。なお、通信ケーブル62を介してカメラ10へ送信する制御信号は録画開始信号および録画停止信号に限らず、他の制御信号も送信できるように構成しても良い。例えば、撮影シーンに対するフォーカスエリアを変更する制御信号を送信しても良い。なお、リモコン80のかわりに、外部ディスプレイ70の外部モニタ74に搭載されたタッチパネルや、外部ディスプレイ70に設置された操作ボタン等により、外部ディスプレイ70へ指示を与えるようにしても良い。
【0014】
撮影者は、カメラ10の付近に構える場合には、カメラ10が備えるレリーズスイッチ46を操作することにより、録画開始指示および録画停止指示を与えることもできる。カメラ10は、背面側に背面モニタ41を備え、捉えた撮影シーンの映像を外部ディスプレイ70に送信するに限らず、背面モニタ41にも表示することができる。
【0015】
図2は、カメラ10の構成を示すブロック図である。カメラ10は光学系20を備える。光学系20は、主にズームレンズ21、フォーカスレンズ22、補正レンズユニット23、絞り24等により構成される。被写体像は光軸11に沿って光学系20に入射し、撮像素子31の結像面に結像する。
【0016】
撮像素子31は、光学系20を通過して入射する被写体像である光学像を光電変換する素子であり、例えば、CCD、CMOSセンサが用いられる。撮像素子31で光電変換された被写体像は、A/D変換器32でアナログ信号からデジタル信号に変換される。
【0017】
デジタル信号に変換された被写体像は、画像データとして順次処理される。A/D変換器32によりデジタル信号に変換された画像データは、メモリ制御部34の制御に従い、一旦内部メモリ35に記憶される。内部メモリ35は、高速で読み書きのできるランダムアクセスメモリであり、例えばDRAM、SRAMなどが用いられる。内部メモリ35は、連写撮影、動画撮影において高速に連続して画像データが生成される場合に、画像処理の順番を待つバッファメモリとしての役割を担う。また、画像処理部37が行う画像処理、圧縮処理において、ワークメモリとしての役割も担う。更に、加工処理された画像データを一時的に保管する役割も担う。したがって、内部メモリ35は、これらの役割を担うに相当する十分なメモリ容量を備える。メモリ制御部34は、いかなる作業にどれくらいのメモリ容量を割り当てるかを制御する。
【0018】
マイク33は、撮影シーンからの音声を捉えてA/D変換器32へ出力する。A/D変換器32は、入力されたアナログの音声信号を、音声データとしてのデジタル信号へ変換する。音声データは、メモリ制御部34の制御に従い、一旦内部メモリ35に記憶される。音声処理部36は、音声データに圧縮処理等を施して、画像データにリンクさせるべく画像処理部37へ引き渡す。
【0019】
画像処理部37は、設定されている撮影モード、ユーザからの指示に則して、画像データを特定の画像フォーマットに従った画像ファイルに変換する。例えば、動画像としてMPEGファイルを生成する場合、所与の画素数に縮小されて生成された連続する静止画としてのフレーム画像に対して、フレーム内符号化、フレーム間符号化を施して圧縮処理を行う。また、画像処理部37は、出力制御部39を介して出力する映像信号を、画像ファイルへの変換に並行して、あるいは画像ファイルへの変換を行うことなく単独で生成する。この場合、画像処理部37は、音声処理部36から引き渡された音声データを同期させて画像ファイルあるいは映像信号に取り込んだり、リンクさせたりする。画像処理部37は、出力先に応じて映像信号の画像サイズ、フレームレート等を変更しても良い。
【0020】
画像処理部37によって処理された動画像ファイルは、メモリ制御部34の制御により内部メモリ35から出力制御部39および記録媒体IF42を介して、記録媒体61に記録される。記録媒体61は、フラッシュメモリ等により構成される、カメラ10に対して着脱可能な不揮発性メモリである。ただし、記録媒体61は、着脱式に限らず、カメラ10に内蔵される例えばSSDなどの記録媒体であっても良い。記録媒体61へ記録するか否かは、撮影者のメニュー選択により決定される。後述するように、外部ディスプレイ70の記録媒体64に記録される場合には、カメラ10本体に着脱される記録媒体61への記録は省かれる場合もあり得る。
【0021】
出力制御部39は、記録媒体61へ画像ファイルを出力する機能と共に、背面モニタ41へ映像信号を出力する機能、通信IF43を介して通信ケーブル62へ映像信号を出力する機能も担う。通信IF43は、通信ケーブル62が接続される外部接続インターフェースである。本実施形態においては、出力制御部39は、背面モニタ41へ表示させる映像信号と、通信ケーブル62へ出力する映像信号とを区別して扱う。具体的には後述するが、出力制御部39は、合成部38に映像信号と関連情報を重畳させるか否かを、カメラ10の状態を判断して決定する。D/A変換器40は、出力制御部39が処理した映像信号をアナログ信号に変換して背面モニタ41へ出力する。通信IF43は、出力制御部39が処理した映像信号を通信ケーブル62へ出力する。通信IF43は、通信ケーブル62がアナログケーブルである場合には、D/A変換器を含む。
【0022】
合成部38は、カメラ制御部50が収集した各種情報を映像化して情報レイヤーを生成すると共に、画像処理部37から入力される映像信号による画像レイヤーに重畳させる合成処理を行う。合成処理については、次図を用いて詳述する。
【0023】
入力制御部44は、通信IF43に接続されて、通信ケーブル62を介して入力される制御信号を受信する。特に、入力制御部44は、録画開始信号および録画停止信号を受信してカメラ制御部50へ出力する。
【0024】
カメラ10は、上記の画像処理における各々の要素も含めて、カメラ制御部50により直接的または間接的に制御される。カメラ制御部50は、システムメモリ49を備える。システムメモリ49は、電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばフラッシュメモリ等により構成される。システムメモリ49は、カメラ10の動作時に必要な定数、変数、プログラム等を、カメラ10の非動作時にも失われないように記録している。カメラ制御部50は、定数、変数、プログラム等を適宜内部メモリ35に展開して、カメラ10の制御に利用する。
【0025】
カメラ10は、ユーザからの操作を受け付ける操作部材45を複数備えているが、カメラ制御部50は、これら操作部材45が操作されたことを検知し、操作に応じた動作を実行する。また、カメラ10は操作部材45の類としてレリーズスイッチ46を備える。レリーズスイッチ46は、一度目の押し下げ動作により録画を開始し、再度の押し下げ動作により録画を停止する。
【0026】
カメラ10は、電源IF48を介して電源63から電力供給を受ける。電源制御部47は、電源63と通信して残電力の検出、電力供給の監視を行う。電源63は、2次電池、家庭用AC電源等により構成される。
【0027】
光学系20を構成するズームレンズ21、フォーカスレンズ22、補正レンズユニット23、絞り24は、カメラ制御部50の統括制御のもとそれぞれ、ズーム制御部51、フォーカス制御部52、防振駆動制御部53、露光制御部54によって制御される。ズーム制御部51は、ユーザの指示に応じてズームレンズ21を駆動して、被写体像の画角を変更する。フォーカス制御部52は、連続して取得される画像データを用いたコントラストAFの情報に基づいて、特定のフォーカスエリアの被写体像が撮像素子31の受光面上で合焦するように、フォーカスレンズ22を駆動する。
【0028】
防振駆動制御部53は、補正レンズユニット23の補正レンズの位置を検出する位置検出センサと、カメラ10に加えられるブレを検出する振れ検出センサを備える。防振駆動制御部53は、振れ検出センサから検出されたカメラ10のブレを打ち消すように、位置検出センサの出力を加味して、補正レンズを駆動する。これにより、被写体像は、撮像素子31の受光面上で安定した結像状態を維持する。露光制御部54は、画像処理部37が処理した画像データをカメラ制御部50が解析して得た露出値に基づいて、絞り24を駆動する。なお、ズームレンズの駆動信号、絞り値の設定信号なども、通信ケーブル62を介して外部ディスプレイ70から受信するように構成しても良い。
【0029】
図3は、外部ディスプレイ70とリモコン80の構成を示すブロック図である。外部ディスプレイ70は、ディスプレイ制御部71により統括的に制御される。ディスプレイ制御部71は、システムメモリ72を備える。システムメモリ72は、電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばフラッシュメモリ等により構成される。システムメモリ72は、外部ディスプレイ70の動作時に必要な定数、変数、プログラム等を、外部ディスプレイ70の非動作時にも失われないように記録している。ディスプレイ制御部71は、定数、変数、プログラム等を適宜内部メモリ77に展開して、外部ディスプレイ70の制御に利用する。
【0030】
通信IF73は、通信ケーブル62が接続される外部接続インターフェースである。ディスプレイ制御部71は、通信ケーブル62を介して送信されてくる映像信号を受信してD/A変換器75へ出力する。D/A変換器75は、入力されるデジタルの映像信号をアナログ信号に変換して、外部モニタ74へ出力する。外部モニタ74は、背面モニタ41よりも大きく視認性に優れた、例えば液晶パネルである。
【0031】
記録媒体IF76は、上述の通り、着脱可能な記録媒体64を接続するための記録媒体接続用のインターフェースである。ディスプレイ制御部71は、録画開始の指示を受けると、予め指定された画像フォーマットに従ったファイル変換処理を受信している映像信号に施して記録媒体64へ記録する。例えば、受信している映像信号を動画圧縮して記録媒体64へ記録する。内部メモリ77は、高速で読み書きのできるランダムアクセスメモリであり、例えばDRAM、SRAMなどが用いられる。内部メモリ77は、ワークメモリ、バッファメモリ等としての機能を担う。
【0032】
リモコン受信部78は、リモコン80から送信されてくる指示信号を受信して、ディスプレイ制御部71へ出力する。ディスプレイ制御部71は、受信した指示信号に従って録画を開始したり、通信ケーブル62を介してカメラ10へ制御信号を送信したりする。
【0033】
リモコン80は、リモコン制御部81により統括的に制御される。リモコン制御部81は、録画開始スイッチ82が操作されたことを検知すると、リモコン送信部85を介して録画開始信号を外部ディスプレイ70へ送信する。同様に、録画開始スイッチ82の操作後に録画停止スイッチ83が操作されたことを検知すると、リモコン送信部85を介して録画停止信号を外部ディスプレイ70へ送信する。また、操作スイッチ84が操作されたことを検知すると、リモコン送信部85を介して操作に応じた制御信号を外部ディスプレイ70へ送信する。
【0034】
図4は、合成部38が処理するレイヤー合成の概念を示す図である。合成部38は、カメラ制御部50が収集した動画撮影に関連する情報を情報レイヤーとして映像化する。情報レイヤーは、例えば、解像度アイコン91、フレームレートアイコン92、音声レベルインジケータ93、フォーカスエリアアイコン94を含み得る。解像度アイコン91は、予め撮影者によって設定された画像解像度を視覚的に示すアイコンである。画像解像度は、画像信号が被写体像として有するピクセルデータである画像サイズと言い換えても良い。例えば、1920×1080ピクセル(有効垂直解像度1080本)の画像解像度が選択されている場合には、「1080」がデザイン化された解像度アイコン91が表示される。フレームレートアイコン92は、予め撮影者によって設定されたフレームレートを視覚的に示すアイコンである。例えば、30fpsが選択されている場合には、「30」がデザイン化されたフレームレートアイコン92が表示される。音声レベルインジケータ93は、マイク33から入力される音声レベルを視覚的に示すインジケータである。マイク33がステレオマイクである場合には、左レベル(L)と右レベル(R)がそれぞれ示される。5.1chなどのサラウンドマイクである場合には、それぞれが独立して示されるようにレイアウトすることもできる。フォーカスエリアアイコン94は、被写体シーンのいずれの領域でフォーカス調整を行っているかを示すアイコンである。フォーカスエリアアイコン94は、例えば枠状にデザインされており、フォーカス調整を行っているエリアが変更されるたびに追従して移動する。合成部38は、システムメモリ49に記録されているこれらのアイコン等を呼び出し、レイアウトして情報レイヤーを生成する。
【0035】
また、合成部38は、画像処理部37が生成した映像信号を画像レイヤーとして取り込む。そして、合成部38は、情報レイヤーと画像レイヤーをピクセルレベルで埋め込んで合成し、一枚の合成レイヤーを生成する。合成部38による合成は、例えば情報レイヤー内の画素値を有する画素で、対応する画像レイヤーの画素値を置き換えることにより行われる。情報レイヤー内の画素値を有する画素とは、解像度アイコン91、フレームレートアイコン92、音声レベルインジケータ93、フォーカスエリアアイコン94等を構成する画素である。それ以外の画素は、画素値を有していない(透明)ため、合成しても画像レイヤーの画素値に影響を与えない。なお、合成部38による合成は、合成レイヤーにおいて動画撮影に関連する情報が視認できる態様であればよく、画素ブレンドなどの手法が用いられても良い。なお、合成される画像レイヤーは、解像度アイコン91が示す画像解像度、フレームレートアイコン92が示すフレームレートと一致する映像信号で無くても良い。後述するように、合成レイヤーは録画していない撮影準備中の確認映像として表示でされるので、間引いて解像度を落としたり、フレームレートを下げたりした映像信号を利用しても良い。このように処理すれば、合成部38の処理付加を軽減することができる。
【0036】
図5は、外部モニタ74と背面モニタ41の表示内容の遷移を示す図である。本実施形態においては、外部モニタ74で表示する表示態様を、合成部38の処理を切り替えることにより、録画中と撮影準備中で異ならせる。
【0037】
例えばHDMI(登録商標)用のケーブルにより機器間を接続する場合、相互の機器が互いに授受する制御信号およびデータ形式を理解している場合には、高度な処理を行い得る。例えば、カメラ10から送信されてくる映像信号のデータ形式を受信機器側が理解していれば、被写体像としての画像データと、画像データに付加される各種情報としての付加データとを区別することができる。受信機器は、画像データと付加データとに分離できれば、録画処理時において、画像データ部分のみを記録媒体に記録することができる。あるいは、画像データと付加データを分離して記録することができる。
【0038】
しかしながら、授受する制御信号およびデータ形式が規格化されておらず、例えばカメラ10を製造するメーカと外部記録機器を製造するメーカとが異なる場合には、上記のような高度な処理を行うことができない。そこで、カメラ10は、合成部38を用いて、上述したように画像データに付加データを合成し、合成した映像信号を出力する。すなわち、カメラ10自身が備える背面モニタ41に表示する画像信号に相当する映像信号を出力する。これを受信した外部機器は、映像信号をモニタに表示するだけで、付加データを含む画像データを確認することが可能になる。
【0039】
ところが、外部機器側では、撮影準備中においては、各種情報が重畳された被写体像を確認することができるので便利ではあるものの、録画中にも各種情報が重畳されていると、これらまで画像として記録されてしまい、動画像としての品質が格段に劣ってしまう。カメラ10側で各種情報を表示させないように選択できたとしても、その場合は、撮影準備中における確認作業において各種情報が視認できずに不便である。
【0040】
そこで、本実施形態においては、カメラ10を、録画開始信号および録画停止信号を少なくとも外部ディスプレイ70から受信できるように構成し、録画時には、合成部38による合成処理を実行させないように制御する。
【0041】
録画開始前の撮影準備中においては、出力制御部39は、合成部38に画像レイヤーと情報レイヤーを合成させた映像信号を通信ケーブル62へ出力する。したがって、外部モニタ74で表示される映像は、撮像素子31が捉える被写体シーンに、解像度アイコン91等が重畳された合成レイヤーである。撮影者は、どのようなコンディションで録画できるかを、表示される各種情報を確認しながら撮影の構想を練ることができる。
【0042】
外部ディスプレイ70へ映像信号を出力する間は背面モニタ41への表示を中止するようにしても良いが、ここでは、並行して背面モニタ41でも映像信号が表示される設定が選択されているものとして説明する。出力制御部39は、通信ケーブル62へ出力する映像信号と同じ表示内容の映像信号を、D/A変換器40へ出力して背面モニタ41に表示する。なお、上述のように、出力制御部39は、撮影準備中において出力する映像信号として、間引いて解像度を落としたり、フレームレートを下げたりしても良い。また、背面モニタ41の特性に合わせて、背面モニタ41用として出力する映像信号を、通信ケーブル62へ出力する映像信号と異ならせて生成しても良い。
【0043】
録画中においては、出力制御部39は、合成部38に画像レイヤーと情報レイヤーを合成させず、画像レイヤーから成る映像信号を通信ケーブル62へ出力する。このとき出力制御部39が出力する映像信号は、撮影準備中において表示していた各種情報に従った映像信号である。すなわち、撮影準備中に「1080」の解像度アイコン91を示していたなら、1920×1080ピクセルに相当する映像信号を出力し、「30」のフレームレートアイコン92を示していたなら、30fpsの映像信号を出力する。
【0044】
撮影者は、録画中においては、外部モニタ74に、各種情報が重畳されていない映像を視認する。出力制御部39は、画像処理部37が生成した、外部モニタ74に出力される映像に相当する画像ファイルを記録媒体61へ出力して記録する。なお、外部ディスプレイ70へ映像信号を出力する場合には、カメラ10自身に装着された記録媒体61への記録を取りやめる設定を選択することもできる。
【0045】
出力制御部39は、記録媒体61へ記録する画像ファイルとは独立した映像信号を背面モニタ41へ表示できる。出力制御部39は、背面モニタ41へ出力する専用の、合成レイヤーから成る映像信号を合成部38に生成させ、D/A変換器40へ出力する。具体的には、専用の映像信号は、撮影準備中において重畳した各種情報に加え、レコードアイコン95および録画経過時間96を含む。レコードアイコン95は、録画中であることを示すアイコンであり、録画経過時間96は、録画開始からの経過時間を示す。したがって、撮影者は、録画中に各種情報を確認したい場合、実際に録画が行われているかを確認したい場合などには、背面モニタ41の表示を観察すれば良い。
【0046】
録画が終了すると、再び撮影準備中の表示態様に戻る。なお、出力制御部39は、録画中の情報を追加情報として一定時間の間、合成部38により合成して通信ケーブル62へ出力しても良い。追加情報として、例えば、録画時間、フォーカスエリアの移動軌跡などを重畳し得る。
【0047】
図6は、カメラ10と外部ディスプレイ70の処理フローを示す図である。フローは、カメラ10と外部ディスプレイ70のそれぞれの電源がONにされた時点から開始される。
【0048】
カメラ制御部50は、ステップS101で、撮像素子31、画像処理部37等を制御して、被写体シーンに対応する画像レイヤーを生成する。ステップS102へ進み、カメラ制御部50は、動画撮影に関連する情報を収集する。カメラ制御部50は、収集した情報を合成部38へ引き渡すと共に、出力制御部39に出力処理の実行を指示する。出力制御部39は、ステップS103で、合成部38に情報レイヤーを生成させると共に、生成させた情報レイヤーとステップS101で生成した画像レイヤーとを合成させる。そして、出力制御部39は、ステップS104で、背面モニタ41へ合成レイヤーに対応する映像を表示させ、ステップS105で、通信ケーブル62を介して外部ディスプレイ70へ出力する。
【0049】
ディスプレイ制御部71は、ステップS201で、通信ケーブル62を介して撮影準備中用の映像信号を入力する。なお、ディスプレイ制御部71は、当該映像信号が入力されるまで待機状態を維持する。
【0050】
ディスプレイ制御部71は、ステップS202へ進み、D/A変換器75を介して、受信した映像信号を外部モニタ74に表示する。また、ステップS203で、リモコン80から録画開始指示を受信したか否かを判断する。録画開始指示を受信していないと判断したら、ステップS201へ戻る。録画開始指示を受信したと判断したら、ステップS204へ進み、録画開始信号を生成して、通信ケーブル62へ出力する。
【0051】
カメラ制御部50は、入力制御部44に録画開始信号の受信を監視させ、ステップS106で、その有無を判断する。録画開始信号を受信していないと判断したらステップS101へ戻り、撮影準備中の処理としてステップS101からステップS105を再度実行する。すなわち、録画開始信号が生成されるまでは、カメラ10では、ステップS101からステップS106が繰り返されて、合成レイヤーに対応する映像が背面モニタ41に継続的に表示される。これに同期して、外部ディスプレイ70では、ステップS201からステップS203が繰り返されて、同じく合成レイヤーに対応する映像が外部モニタ74に継続的に表示される。
【0052】
カメラ制御部50は、ステップS106で、録画開始信号を受信したと判断したら、ステップS112へ進み、出力制御部39は、合成部38を介さずに画像処理部37から取得した画像レイヤーから成る映像信号を、通信ケーブル62を介して外部ディスプレイ70へ出力する。
【0053】
ディスプレイ制御部71は、ステップS204で録画開始信号を出力した後、ステップS205で通信ケーブル62から録画中用の画像信号が入力されるまで待機する。そして、映像信号が入力されたら、ステップS206へ進み、ディスプレイ制御部71は、外部モニタ74へ当該映像を表示すると共に、動画データとして記録媒体64へ記録する録画処理を実行する。
【0054】
ディスプレイ制御部71は、ステップS207へ進み、リモコン80から録画停止指示を受信したか否かを判断する。録画停止指示を受信していないと判断したら、ステップS205へ戻る。録画停止指示を受信したと判断したら、ステップS208へ進み、録画停止信号を生成して、通信ケーブル62へ出力する。
【0055】
カメラ制御部50は、入力制御部44に録画停止信号の受信を監視させ、ステップS113で、その有無を判断する。録画停止信号を受信していないと判断したらステップS107へ戻り、撮影中の処理としてステップS107からステップS112を再度実行する。すなわち、録画停止信号が生成されるまでは、カメラ10では、ステップS107からステップS113が繰り返されて、背面モニタ41への表示用の映像信号と、出力用の映像信号とが継続的に生成される。これに同期して、外部ディスプレイ70では、ステップS205からステップS207が繰り返されて、画像レイヤーに対応する映像が外部モニタ74に表示されると共に記録媒体64への録画処理が継続される。
【0056】
ディスプレイ制御部71は、ステップS209へ進み、電源がOFFにされたか否かを判断する。OFFにされていないと判断したらステップS201へ戻り、OFFにされたと判断したら一連の処理を終了する。
【0057】
カメラ制御部50は、ステップS114へ進み、電源がOFFにされたか否かを判断する。OFFにされていないと判断したらステップS101へ戻り、OFFにされたと判断したら一連の処理を終了する。
【0058】
以上説明した本実施形態によれば、撮影者がリモコン80を操作した録画開始指示および録画停止指示を外部ディスプレイ70が一旦受信して、外部ディスプレイ70が、録画開始信号および録画停止信号をカメラ10へ送信した。しかし、リモコン80を操作した録画開始指示および録画停止指示を、カメラ10が直接受信するように構成しても良い。例えば、リモコン80はカメラ10に同梱される付属リモコンであり、カメラ10を遠隔操作するリモコンであれば、カメラ制御部50は、録画開始指示と録画停止指示を直接的に検知することができる。
【0059】
また、録画開始指示と録画停止指示をレリーズスイッチ46で受け付けても良い。すなわち、カメラ10自身が備えるレリーズスイッチ46を含む操作部材45を、録画開始指示および録画停止指示を受け付ける操作部材としても良い。もちろん、録画開始指示を受け付ける操作部材と録画停止指示を受け付ける操作部材は、それぞれ別であっても良い。カメラ制御部50は、このように機能が割り当てられた操作部材が操作されたことを検知した場合に、録画開始信号あるいは録画停止信号を受信したものとして同様の処理を実行する。
【0060】
カメラ制御部50は、録画開始指示と録画停止指示を、録画記録先となる外部記録装置と関連付けされずに受け付ける場合には、予め操作部材45の操作を受け付けて、録画記録先を撮影者に選択させるように構成しても良い。したがって、カメラ10は、複数の外部記録装置を接続できるように構成しても良い。
【0061】
例えば、撮影者は、事前に背面モニタ41に表示された複数の録画記録先から一つを選択する。出力制御部39は、録画開始信号を受け付けた場合に、選択された録画記録先の外部記録装置に向けて画像処理部37から取得した映像信号を出力する。録画開始信号は、上述の通り、外部記録装置から受け付けても良いし、カメラ10自身の操作部材45から受け付けても良い。
【0062】
以上説明した本実施形態によれば、カメラ10と外部ディスプレイ70とが互いに授受する制御信号およびデータ形式を理解できないことを前提に説明した。しかし、カメラ制御部50は、通信確立時において、授受するデータ形式を外部記録装置との間で互いに識別可能であることが確認できた場合には、異なる制御を実行し得る。この場合、カメラ制御部50は、情報レイヤーと画像レイヤーをピクセルレベルで埋め込んだ合成レイヤーを生成するのではなく、被写体像としての画像データに、各種情報としての付加データをメタデータとして関連付けて出力する。外部記録装置は、付加データが関連づけされた画像データを画像ファイルとして記録することができる。また、外部記録装置は、表示部に表示する場合に、画像データから生成した、付加データが重畳されていない映像信号を表示することができる。また、このようなデータ形式においては、表示される情報が録画される画像として影響しないので、各種情報を重畳表示させても良い。
【0063】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0064】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。