【実施例】
【0053】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳しく説明する。以下、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0054】
(実施例1)
樹脂層(A)として、プロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm
3、MFR(測定温度230℃):9g/10分間)50部と高密度ポリエチレン(密度:0.955g/cm
3、MFR(測定温度190℃):0.35g/10分間)50部からなる混合物を用いた。また、中間層(B)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(密度:0.91g/cm
3、MFR(測定温度230℃):7g/10分間)80部と酸化チタン(TiO
2)が70%濃度のプロピレン−エチレン共重合体をベースとするマスターバッチ(以下、酸化チタンマスターバッチと称する)20部からなる混合物を用いた。さらに、支持層(D)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(密度:0.91g/cm
3、MFR(測定温度230℃):7g/10分間)40部と直鎖状低密度ポリエチレン〔密度:0.905g/cm
3、MFR(測定温度190℃):4g/10分〕60部とからなる混合物を用いた。更に、シール層(C)としてプロピレン−エチレン共重合体(エチレン由来成分含量:5.8%、密度:0.90g/cm
3、MFR(測定温度230℃):6g/10分間)70部とプロピレン−1−ブテン共重合体(密度:0.90g/cm
3、MFR(測定温度230℃):4g/10分間)30部とからなる混合物を用いた。これらをそれぞれ4台の押出機に供給し、樹脂層(A)と中間層(B)と支持層(D)とシール層(C)の平均厚さの比が6:3:18:3となるように共押出して、厚さ30μmの4層フィルムを成形した。次いで、得られた4層フィルムの樹脂層(A)に、表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施して、積層フィルムを得た。
【0055】
(実施例2)
実施例1の中間層(B)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体60部/酸化チタンマスターバッチ40部に代えた以外は実施例1と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、実施例1と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0056】
(実施例3)
実施例1の中間層(B)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体40部/酸化チタンマスターバッチ60部に代えた以外は実施例1と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、実施例1と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0057】
(実施例4)
実施例1の樹脂層(A)として、プロピレン単独重合体40部と高密度ポリエチレン50部にプロピレン-エチレンブロック共重合体(密度:0.91g/cm
3、MFR(測定温度230℃):7g/10分間)10部からなる混合物を用いた。中間層(B)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体80部/酸化チタンマスターバッチ20部に代えた。それ以外は実施例1と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、実施例1と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0058】
(比較例1)
樹脂層(A)として、プロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm
3、MFR(測定温度230℃):9g/10分間)50部と高密度ポリエチレン(密度:0.955g/cm
3、MFR(測定温度190℃):0.35g/10分間)50部からなる混合物を用いた。また、中間層(B)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(密度:0.91g/cm
3、MFR(測定温度230℃):7g/10分間)90部と酸化チタンマスターバッチ10部からなる混合物を用いた。さらに、支持層(D)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(密度:0.91g/cm
3、MFR(測定温度230℃):7g/10分間)40部と直鎖状低密度ポリエチレン〔密度:0.905g/cm
3、MFR(測定温度190℃):4g/10分〕60部とからなる混合物を用いた。更に、シール層(C)としてプロピレン−エチレン共重合体(エチレン由来成分含量:5.8%、密度:0.90g/cm
3、MFR(測定温度230℃):6g/10分間)70部とプロピレン−1−ブテン共重合体(密度:0.90g/cm
3、MFR(測定温度230℃):4g/10分間)30部とからなる混合物を用いた。これらをそれぞれ4台の押出機に供給し、樹脂層(A)と中間層(B)と支持層(D)とシール層(C)の平均厚さの比が6:3:18:3となるように共押出して、厚さ30μmの4層フィルムを成形した。次いで、得られた4層フィルムの樹脂層(A)に、表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施して、積層フィルムを得た。
【0059】
(比較例2)
比較例1の中間層(B)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体40部/酸化チタンマスターバッチ60部と代え、樹脂層(A)と中間層(B)と支持層(D)とシール層(C)の平均厚さの比が6:6:15:3となるように共押出した、以外は比較例1と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、実施例1と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0060】
(比較例3
)
比較例1の樹脂層(A)として、プロピレン-エチレンブロック共重合体(密度:0.91g/cm
3、MFR:7g/10分間)を単独で用い、中間層(B)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体80部/酸化チタンマスターバッチ20部に代えた。それ以外は実施例1と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、実施例1と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0061】
(実施例5)
樹脂層(A)として、プロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm
3、MFR(測定温度230℃):9g/10分間)50部と高密度ポリエチレン(密度:0.955g/cm
3、MFR(測定温度190℃):0.35g/10分間)50部からなる混合物を用いた。また、中間層(B)として、プロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm
3、MFR:9g/10分間)95部と酸化チタンマスターバッチ5部からなる混合物を用いた。さらに、支持層(D)として、低密度ポリエチレン〔密度:0.910g/cm
3、MFR(測定温度190℃):8g/10分間〕60部とエチレン−ブテン−1ランダム共重合体〔ブテン−1由来成分含有率:10%、密度:0.880g/cm
3、融点:67℃、MFR(測定温度190℃):3.5g/10分間〕40部の混合物を用い、さらに、シール層(C)として、プロピレン−エチレンランダム共重合体〔エチレン由来成分含量:5.8%、密度:0.900g/cm
3、MFR(測定温度230℃):7g/10分間〕を用いた。これらをそれぞれ4台の押出機に供給し、樹脂層(A)と中間層(B)と支持層(D)とシール層(C)の平均厚さの比が6:21:1.5:1.5となるように共押出して、厚さ30μmの4層フィルムを成形した。次いで、得られた4層フィルムの樹脂層(A)に、表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施して、積層フィルムを得た。
【0062】
(実施例6)
実施例5の中間層(B)として、プロピレン単独重合体97部/酸化チタンマスターバッチ3部に代えた以外は実施例5と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、実施例5と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0063】
(実施例7)
実施例5の中間層(B)として、プロピレン単独重合体90部/酸化チタンマスターバッチ10部に代えた以外は実施例5と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、実施例5と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0064】
(実施例8)
実施例5の樹脂層(A)として、プロピレン単独重合体40部と高密度ポリエチレン50部にプロピレン-エチレンブロック共重合体(密度:0.91g/cm
3、MFR(測定温度230℃):7g/10分間)10部からなる混合物を用いた。中間層(B)として、プロピレン単独重合体95部/酸化チタンマスターバッチ5部に代えた。それ以外は実施5と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、実施例5と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0065】
(比較例4)
樹脂層(A)として、プロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm
3、MFR(測定温度230℃):9g/10分間)50部と高密度ポリエチレン(密度:0.955g/cm
3、MFR(測定温度190℃):0.35g/10分間)50部からなる混合物を用いた。また、中間層(B)として、プロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm
3、MFR:9g/10分間)99部と酸化チタンマスターバッチ1部からなる混合物を用いた。さらに、支持層(D)として、低密度ポリエチレン〔密度:0.910g/cm
3、MFR(測定温度190℃):8g/10分間〕60部とエチレン−ブテン−1ランダム共重合体〔ブテン−1由来成分含量:10%、密度:0.880g/cm
3、融点:67℃、MFR(測定温度190℃):3.5g/10分間〕40部の混合物を用い、さらに、シール層(C)として、プロピレン−エチレンランダム共重合体〔エチレン由来成分含量:5.8%、密度:0.900g/cm
3MFR(測定温度230℃):7g/10分間〕を用いた。これらをそれぞれ4台の押出機に供給し、樹脂層(A)と中間層(B)と支持層(D)とシール層(C)の平均厚さの比が6:21:1.5:1.5となるように共押出して、厚さ30μmの4層フィルムを成形した。次いで、得られた4層フィルムの樹脂層(A)に、表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施して、積層フィルムを得た。
【0066】
(比較例5)
比較例4の中間層(B)として、プロピレン単独重合体80部/酸化チタンマスターバッチ20部と代えた以外は比較例4と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、比較例4と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0067】
(比較例6)
比較例4の樹脂層(A)として、プロピレン-エチレンブロック共重合体(密度:0.91g/cm
3、MFR(測定温度:230℃):7g/10分間)を単独で用い、中間層(B)として、プロピレン単独重合体95部/酸化チタンマスターバッチ5部に代えた。それ以外は比較例4と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、比較例4と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0068】
上記の実施例及び比較例で得られた積層フィルムを用いて、下記の試験及び評価を行った。
【0069】
[曇り度の測定]
得られたフィルムを用い、JIS K7105に基づき、フィルム1枚についてヘーズメーター(日本電飾工業株式会社製)を用いて曇り度(単位:%)測定した。
【0070】
[光沢度の測定]
得られたフィルムを用い、JIS K7105に基づき、フィルム1枚について光沢計(スガ試験機株式会社製)を用いて光沢度(単位:%)を測定した。
【0071】
[剛性の測定]
得られたフィルムを用い、ASTM D−882に基づき、23℃における1%接線モジュラス(単位:MPa)を、フィルム製造時の押出方向(以下、「MD」という。)について、テンシロン引張試験機〔株式会社エー・アンド・デー製〕を用いて測定した。
【0072】
[摩擦係数値の測定]
得られたフィルムを用い、ASTMD−1894に基づき、23℃中で、表層側面同志の静摩擦係数値と動摩擦係数値を測定した。
【0073】
[衝撃強度の測定]
得られたフィルムを用い、23℃に状態調整された恒温室内で、サンプルを6時間保持した後、直径25.4mmの球状の衝撃頭を用いてフィルムインパクト法で測定した。
【0074】
[表面粗さ(Ra)の測定]
得られたフィルムを用い、JIS B−0601に基づき、フィルム1枚について東京精密社製 SURFCOM 480Aを用いて表面粗さ(Ra)を測定した。
【0075】
[白色度の測定]
得られたフィルムを用い、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製CM−3500d)を用い、SCI方式で測定。測定値から算出された白色度(WhiteIndex:CIE)にてフィルムの白色度を評価した。
【0076】
[和紙調の風合い評価]
得られたフィルムを用い、「和紙調の風合い」に関し、10人のモニターにて、外観評価を行った。和紙調の風合いの程度を○△×にて評価した。
【0077】
上記で得られた結果を表1及び表2に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
上記表から明らかなとおり、本発明の実施例1〜8の積層フィルムは、和紙の積層やエンボスロール等による加工工程を要さずとも、好適な和紙調の意匠性を有するものであった。また、好適な剛性や表面滑り性を有し、包装用フィルムとして好適に適用できるものであった。一方、比較例1〜6のフィルムは、好適な意匠性を実現できないものであった。