特許第6443661号(P6443661)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443661
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】積層フィルム及び包装材
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/20 20060101AFI20181217BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20181217BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   B32B27/20 A
   B32B27/32 E
   B65D65/40 D
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-200685(P2014-200685)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-68417(P2016-68417A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100159293
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 真
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 康史
【審査官】 弘實 由美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−194588(JP,A)
【文献】 特開2011−051124(JP,A)
【文献】 特表2013−542269(JP,A)
【文献】 特開2010−221665(JP,A)
【文献】 特開2012−171310(JP,A)
【文献】 特開2007−196558(JP,A)
【文献】 特開平9−120113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン系樹脂(a1)と、エチレン系樹脂(a2)とを含有する樹脂層(A)と、ポリオレフィン系樹脂(b1)を含有する樹脂層(B)とが積層された積層フィルムであって、
エチレン系樹脂(a2)として、プロピレン系樹脂(a1)とのメルトフローレートの差が5g/10分以上ある高密度ポリエチレンを用い、
樹脂層(A)側からSCI方式にて測定される白色度が0〜50であることを特徴とする積層フィルム。
【請求項2】
樹脂層(A)中のプロピレン系樹脂(a1)及びエチレン系樹脂(a2)の総量が80質量%以上であり、プロピレン系樹脂(a1)とエチレン系樹脂(a2)との質量比(a1)/(a2)が20/80〜70/30である請求項に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記高密度ポリエチレンのメルトフローレートが、プロピレン系樹脂(a1)のメルトフローレートより小さい請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
前記高密度ポリエチレンのメルトフローレートが1g/10分以下である請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
【請求項5】
白色顔料を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
【請求項6】
樹脂層(A)のJIS B−0601に基づく表面粗さ(Ra)が0.5〜2である請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
【請求項7】
樹脂層(B)の樹脂層(A)とは他面側にシール層(C)を有する請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
【請求項8】
JIS K7105に基づく曇り度が75〜95%である請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルムからなることを特徴とする包装材。
【請求項10】
食品の包装用に使用される請求項に記載の包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、雑貨、雑誌等を包装する包装材等に使用する積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パンや菓子等の食品や雑誌等の各種包装において、多様な意匠の包装材が使用されている。なかでも、和紙調の包装材は高級感を引き出すことから、贈答品や高級食材等の包装材として好まれている。このような和紙調の包装材としては、例えば、フィルムの表層に和紙を積層した包装材が開示されている(特許文献1)。
【0003】
また、一般の透明フィルムに比べて、高級感を呈するフィルムとして、フィルム成形時にエンボスロール等により凹凸を与えた梨地状表面を有するフィルム(特許文献2)や、ポリプロピレン系樹脂とポリオレフィン系エラストマーとを含有する表面層を有する梨地状フィルム(特許文献3)等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−262536号公報
【特許文献2】特開平9−309187号公報
【特許文献3】特開2002−337282号公報
【0005】
しかしながら、和紙を積層する包装材は工程が煩雑となりやすく、また、和紙の繊維片がフィルム表面や製造設備に付着するおそれがあり、包装材として使用する際には内容物への繊維片が混入する問題があった。
【0006】
上記したような梨地状フィルムは、一定の高級感を呈するものの和紙調とは言い難いものであり、単に着色材を混入しても和紙調の意匠感が得られないものであった。また、また、表面に凹凸を有するフィルムにおいては、エンボスロール等による加工工程が必要となるため、製造コストがかさむ問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は、和紙の積層やエンボスロール等による加工工程を要さずとも、好適な意匠性を有する積層フィルムを提供することにある。
【0008】
さらに本発明の課題は、上記に加え、従来の包装材に求められている包装適性、機械的強度や表面滑り性の性能を損なうことなく、好適な和紙調の意匠性を有する積層フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、プロピレン系樹脂(a1)と、エチレン系樹脂(a2)とを含有する樹脂層(A)と、ポリオレフィン系樹脂(b1)を含有する樹脂層(B)とが積層された積層フィルムであって、エチレン系樹脂(a2)として、プロピレン系樹脂(a1)とのメルトフローレートの差が5g/10分以上ある高密度ポリエチレンを用い、樹脂層(A)側からSCI方式にて測定される白色度が0〜50である積層フィルムにより、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の積層フィルムは、相溶しないエチレン系樹脂とプロピレン系樹脂とを含有する樹脂層と、着色顔料を含有する樹脂層とを積層することで、和紙の積層やエンボスロール等による加工を行うことなく、簡易に好適な和紙調の意匠性を実現できる。
【0011】
また、本発明の積層フィルムは、好適な剛性や機械的強度を実現でき、また、基材樹脂層同士または同種の樹脂容器への融着が可能であり、表面滑り性にも優れるため、好適に包装材として適用できる。このような本発明の積層フィルムは、高級感を呈する包装材用途に好適に適用でき、特にパンや菓子等の食品用の包装袋として好適に適用できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の積層フィルムは、プロピレン系樹脂(a1)と、エチレン系樹脂(a2)とを含有する樹脂層(A)と、ポリオレフィン系樹脂(b1)を含有する樹脂層(B)とが積層された積層フィルムであり、樹脂層(A)中のプロピレン系樹脂(a1)とエチレン系樹脂(a2)とが非相溶であり、着色顔料を単位面積当りに1.2×10−4〜10×10−4g/cm含有する積層フィルムである。
【0013】
[樹脂層(A)]
樹脂層(A)に使用するプロピレン系樹脂(a1)としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、たとえばプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、メタロセン触媒系ポリプロピレンなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用してもよいし、併用してもよい。なかでも樹脂層(A)のマット感や表面粗さの調整が容易である点から、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体を用いることが好ましく、これらを混合使用することが特に好ましい。
【0014】
プロピレン系樹脂(a1)は、メルトフローレート(以下、MFRと称する)(230℃)が0.5〜30g/10分であることが好ましく、2.0〜15g/10分であることがより好ましい。また、融点が120〜165℃であることが好ましく、融点が125〜162℃であることがより好ましい。MFRや融点がこの範囲であれば、製袋時のフィルムの収縮を抑制しやすく、また、フィルムの成膜性を向上させやすくなる。
【0015】
樹脂層(A)に使用するエチレン系樹脂(a2)としては、例えば、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等である。なかでも、高密度ポリエチレンが、プロピレン系樹脂に対し密度の差が大きく、より非相溶の状態になりやすく、表面凹凸等を発現しやすい、また、融点が高い為、プロピレン系樹脂の機械適性を損ない難い、等の理由により、好ましい。
【0016】
エチレン系樹脂(a2)は、MFR(190℃、21.18N)が1g/10分以下であることが好ましく、0.05〜0.8g/10分であることがより好ましい。MFRを当該範囲とすることで、フィルムの成膜性を向上させやすく、均一なフィルムを得られやすくなる。
【0017】
エチレン系樹脂(a2)の密度としては、0.91〜0.970g/cmの範囲であることが好ましく、得られる積層フィルムのマット感・機械的な強度・フィルムの均一性等の観点から0.930〜0.965g/cmの範囲であることがより好ましい。
【0018】
本発明に使用する樹脂層(A)は、上記プロピレン系樹脂(a1)とエチレン系樹脂(a2)とを含有する層であり、これらプロピレン系樹脂(a1)とエチレン系樹脂(a2)として非相溶なものを使用する。当該構成とすることで樹脂層(A)はマット調の樹脂層となり、当該樹脂層(A)に着色顔料を有する樹脂層(B)を積層することで、好適な和紙調の意匠性を実現できる。
【0019】
なかでも、樹脂層(A)中のプロピレン系樹脂(a1)とエチレン系樹脂(a2)とのMFRの差が5g/10分以上であることが好ましく、 6g/10分以上であることがより好ましい。当該範囲とすることで、好適なマット調の樹脂層を得やすくなり、和紙調の意匠性を得やすくなる。また、エチレン系樹脂(a2)のMFRが、プロピレン系樹脂(a1)のMFRより小さくすることで、好適な機械的強度のフィルムを得やすくなるため好ましい。
【0020】
樹脂層(A)中のプロピレン系樹脂(a1)とエチレン系樹脂(a2)との質量比(a1)/(a2)は、20/80〜70/30の範囲であることが好ましく、30/70〜60/40であることがより好ましい。当該範囲とすることで高意匠性を与えるマット感が得られやすく、また、好適な衝撃強度等の機械的強度を有するフィルムが得られやすくなる。
【0021】
樹脂層(A)中のプロピレン系樹脂(a1)とエチレン系樹脂(a2)の含有量は、その総量が樹脂層(A)中の80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。当該範囲とすることで、好適な機械的強度のフィルムを得やすくなる。
【0022】
樹脂層(A)中には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記プロピレン系樹脂(a1)とエチレン系樹脂(a2)以外の他の成分を含有してもよい。当該他の成分としては、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、等が挙げられる。
【0023】
また、防曇剤、帯電防止剤、熱安定剤、造核剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、離型剤、紫外線吸収剤等の成分を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。
【0024】
本発明の積層フィルムにおいては、樹脂層(A)表面のJIS B−0601に基づく表面粗さ(Ra)が0.3〜2.5μmであることが好ましく、0.5〜2.0μmであることがより好ましい。当該範囲とすることで、その他の成分(スリップ剤等の添加剤)を併用しなくても、表面滑り性に優れるフィルムが得られやすくなり、製袋後の移送時や、内容物を充填してから自動包装機等によって包装する際の作業性が向上しやすくなる。
【0025】
前記表面粗さ(Ra)の範囲にするためには、前述のように前記プロピレン系樹脂(a1)と前記高密度ポリエチレン(a2)とを、前述の割合で適宜調整すればよいが、より簡便に所望の表面粗さにするためには、プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレンブロック共重合体とを併用することが好ましい。
【0026】
[樹脂層(B)]
本発明の積層フィルムに使用する樹脂層(B)は、ポリオレフィン系樹脂(b1)を含有する層であり、着色顔料を単位面積当りに1.2×10−4〜10×10−4g/cm含有する層である。
上記樹脂層(A)に当該樹脂層(B)を積層することで、好適な和紙調のフィルムを実現できる。
【0027】
樹脂層(B)に使用するポリオレフィン系樹脂(b1)としては、包装フィルムに使用される各種ポリオレフィン系樹脂を使用でき、例えば、前記プロピレン系樹脂(a1)として例示したプロピレン系樹脂、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレン樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート(EMA)共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)等のエチレン系共重合体;更にはエチレン−アクリル酸共重合体のアイオノマー、エチレン−メタクリル酸共重合体のアイオノマー等を使用できる。なかでも、樹脂層(A)との密着性を向上させやすいことからプロピレン系樹脂を好ましく使用できる。
【0028】
当該プロピレン系樹脂を使用する場合には、上記のプロピレン系樹脂(a1)と、同一のものを使用しても、異なるものを組み合わせて使用してもよい。樹脂層(A)と樹脂層(B)とで同系の樹脂を用いることにより、積層フィルムの層間強度を強めることができる。特に好ましく用いることができるのは、プロピレン−エチレン共重合体である。
【0029】
なかでも、得られる積層フィルムの強度・剛性を高めるとともに、樹脂層(A)のマット感をより強調できる点から、プロピレン−エチレンブロック共重合体と直鎖状低密度ポリエチレンとの混合物を用いることが好ましい。このときの使用割合としては、プロピレン−エチレンブロック共重合体/直鎖状低密度ポリエチレン=95/5〜70/30の範囲であることがより好ましい。
【0030】
樹脂層(B)中のポリオレフィン系樹脂(b1)の含有量は、樹脂層(B)中の25質量%以上であることが好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂(b1)の最適範囲としては、包装形態により異なり、当該フィルムが、例えば、製袋用途に使用される場合は、30〜80%がより好ましく、また、ピロー包装用途に使用される場合は、50%以上がより好ましい。
【0031】
樹脂層(B)に使用する着色顔料は、上記樹脂と混練できる各種の着色顔料を適宜使用できる。得られる積層フィルムを白色の和紙調としたい場合には、白色顔料を使用すればよく、なかでも低コストで取扱い性に優れ、好適な白色度を付与しやすいことから、酸化チタンを好ましく使用できる。
【0032】
樹脂層(B)中の着色顔料の含有量は、樹脂層(B)の単位面積あたりの含有量を、21×10−4×{100/[(97/0.91)+((3×0.3)/0.90)+((3×0.7)/4.26)]}×[(3×0.7)/100]g/cm以上、3×10−4×{100/[(40/0.91)+((60×0.3)/0.90)+((60×0.7)/4.26)]}×[(60×0.7)/100]g/cm以下とすることが好ましい。当該含有量とすることで、好適な白色度を付与でき、好適な和紙調の意匠を得やすくなる。
【0033】
樹脂層(B)中には上記ポリオレフィン系樹脂(b1)や着色顔料以外の他の成分として、防曇剤、帯電防止剤、熱安定剤、造核剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、離型剤、紫外線吸収剤等の成分を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。
【0034】
樹脂層(B)はポリオレフィン系樹脂(b1)と着色顔料を含有する層を単層で使用してもよく、当該層が二層以上積層された層であってもよい。ポリオレフィン系樹脂(b1)と着色顔料を含有する層が二層以上積層された樹脂層(B)とする場合には、樹脂層(B)としての着色顔料の含有量が上記範囲であることが好ましい。
【0035】
[シール層(C)]
本発明の積層フィルムにおいては、上記樹脂層(A)及び樹脂層(B)以外の層として、シール層(C)を積層することも好ましい。特に包装材として使用する場合には、ヒートシール性のシール層(C)を、樹脂層(B)の樹脂層(A)側とは他面側に設けることが好ましい。
【0036】
シール層(C)は、積層フィルムのシール層同士の接着や、積層フィルムと他の容器やフィルム等との接着に使用する層である。当該シール層(C)は、使用態様や被シール対象に応じて、好適なシール強度が得られる樹脂種を適宜選択すればよい。例えば、シール層同士をシールして包装袋として使用する場合には、適度なシール強度が得られる点から、プロピレン−エチレンランダム共重合体を含有するシール層等を好適に使用できる。さらに、シール強度を調整するためには、エチレン−α−オレフィン共重合体を併用してもよい。
【0037】
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、上記樹脂層(A)と樹脂層(B)とが積層された構成の積層フィルムである。当該構成とすることで簡易に好適な和紙調の積層フィルムを実現できる。本発明の積層フィルムは包装材として適用する際には、樹脂層(A)を表層側(視認される側)、樹脂層(B)を内装側として適用することが好ましい。
【0038】
本発明の積層フィルム中には、着色顔料を単位面積あたりに、21×10−4×{100/[(97/0.91)+((3×0.3)/0.90)+((3×0.7)/4.26)]}×[(3×0.7)/100]g/cm以上、3×10−4×{100/[(40/0.91)+((60×0.3)/0.90)+((60×0.7)/4.26)]}×[(60×0.7)/100]g/cm以下含有することで、好適な白色度を付与でき、好適な和紙調の意匠を得ることができる。
【0039】
本発明の積層フィルムは、その全厚が15〜80μmであることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましい。当該範囲とすることで、包装材として適用する際にも好適な強度を保持しやすくなる。なかでも、パン等の比較的軽量な内容物の包装用等に使用する場合には、25〜40μmであることが好ましい。
【0040】
樹脂層(A)の厚さは、好適な意匠性を得やすいことから、2〜12μmとすることが好ましく、3〜24μmとすることがより好ましい。また、樹脂層(B)の厚さは、5〜60μmとすることが好ましく、7〜50μmとすることがより好ましい。さらに、シール層(C)を設ける場合には1.5〜15μmとすることが好ましく、2〜10μmとすることがより好ましい。
【0041】
各層の比率は特に制限されるものではないが、樹脂層(A)が全厚の10〜30%になるようにすることで、好適な和紙調の意匠性を付与しやすい充分なマット感(高曇り度と低光沢度)を得やすくなるため好ましい。
【0042】
本発明の積層フィルムは、白色の和紙調とする場合には、樹脂層(A)側からSCI方式にて測定される白色度が0〜50であることが好ましく、3〜40であることがより好ましい。当該白色度とすることで、好適な和紙調の意匠性を実現しやすくなる。
【0043】
本発明の積層フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の層以外にも適宜任意の他の層を設けてもよいが、樹脂層(A)と樹脂層(B)とが直接積層された樹脂層(A)/樹脂層(B)の構成や、樹脂層(A)/樹脂層(B)/シール層(C)の構成を好ましく使用できる。
【0044】
また、本発明の積層フィルムは、樹脂層(B)とシール層(C)間に、本積層フィルムの物性バランスを調整する為、樹脂層(B)とシール層(C)の間に、支持層(D)を設けることも好ましい。当該支持層(D)に使用できる樹脂としては、前記した樹脂層(B)において例示したポリオレフィン系樹脂(b1)と同様の樹脂を好ましく例示でき、当該樹脂を単独又は複数種混合して使用できる。これらのなかでも、プロピレン系樹脂、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等等を好ましく使用できる。
【0045】
また、本発明の積層フィルムは、他の樹脂基材と積層して剛性のあるフィルムとしてもよく、また、樹脂層(A)側表面に各種インキによる印刷を設けてもよい。
【0046】
本発明の積層フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、樹脂層(A)、樹脂層(B)に用いる各樹脂又は樹脂混合物を、それぞれ別々の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で(A)/(B)の順で積層した後、インフレーションやTダイ・チルロール法等によりフィルム状に成形する共押出法が挙げられる。この共押出法は、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた多層フィルムが得られるので好ましい。さらに、本発明で用いるプロピレン系樹脂(a1)と、エチレン系樹脂(a2)には、両者間で融点の差が大きいため、共押出加工時にフィルム外観が劣化する場合がある。このような劣化を抑制するためには、比較的高温で溶融押出を行うことができるTダイ・チルロール法が好ましい。
【0047】
本発明の積層フィルムは、上記の製造方法によって、実質的に無延伸の多層フィルムとして得られるため、真空成形による深絞り成形等の二次成形も可能となる。
【0048】
さらに、樹脂層(A)に印刷等を行なう場合には、印刷インキとの接着性等を向上させるため、前記樹脂層(A)に表面処理を施すことが好ましい。このような表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理等の表面酸化処理、あるいはサンドブラスト等の表面凹凸処理を挙げることができるが、好ましくはコロナ処理である。
【0049】
本発明の積層フィルムからなる包装材としては、食品、薬品、工業部品、雑貨、雑誌等の用途に用いる包装袋、容器、容器の蓋材等が挙げられる。特に、マット感が従来になく優れる点から、和紙等に似た包装材を提供でき、高級感を引き出すために用いる食品用等に好適に用いることができる。
【0050】
前記包装袋は、本発明の積層フィルムの基材樹脂層(B)側表面を重ねてヒートシール、あるいは樹脂層(A)側表面と樹脂層(B)側表面とを重ね合わせてヒートシールすることにより、樹脂層(B)側表面を内側として形成した包装袋であることが好ましい。当該包装袋とする際には、樹脂層(B)側の表層がシール層(C)であることが好ましい。
【0051】
当該包装体においては、例えば当該積層フィルム2枚を所望とする包装袋の大きさに切り出して、それらを重ねて3辺をヒートシールして袋状にした後、ヒートシールをしていない1辺から内容物を充填しヒートシールして密封することで包装袋として用いることができる。さらには自動包装機によりロール状のフィルムを円筒形に端部をシールした後、上下をシールすることにより包装袋を形成することも可能である。
【0052】
また、樹脂層(B)側表面とヒートシール可能な別のフィルムを重ねてヒートシールすることにより包装袋・容器・容器の蓋を形成することも可能である。その際、使用する別のフィルムとしては、比較的機械強度の弱いLDPE、EVA、ポリプロピレン等のフィルムを用いることができる。また、LDPE、EVA、ポリプロピレン等のフィルムと、比較的引き裂き性の良い延伸フィルム、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)等とを貼り合わせたラミネートフィルムも用いることができる。
【実施例】
【0053】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳しく説明する。以下、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0054】
(実施例1)
樹脂層(A)として、プロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm、MFR(測定温度230℃):9g/10分間)50部と高密度ポリエチレン(密度:0.955g/cm、MFR(測定温度190℃):0.35g/10分間)50部からなる混合物を用いた。また、中間層(B)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(密度:0.91g/cm、MFR(測定温度230℃):7g/10分間)80部と酸化チタン(TiO2)が70%濃度のプロピレン−エチレン共重合体をベースとするマスターバッチ(以下、酸化チタンマスターバッチと称する)20部からなる混合物を用いた。さらに、支持層(D)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(密度:0.91g/cm、MFR(測定温度230℃):7g/10分間)40部と直鎖状低密度ポリエチレン〔密度:0.905g/cm、MFR(測定温度190℃):4g/10分〕60部とからなる混合物を用いた。更に、シール層(C)としてプロピレン−エチレン共重合体(エチレン由来成分含量:5.8%、密度:0.90g/cm、MFR(測定温度230℃):6g/10分間)70部とプロピレン−1−ブテン共重合体(密度:0.90g/cm3、MFR(測定温度230℃):4g/10分間)30部とからなる混合物を用いた。これらをそれぞれ4台の押出機に供給し、樹脂層(A)と中間層(B)と支持層(D)とシール層(C)の平均厚さの比が6:3:18:3となるように共押出して、厚さ30μmの4層フィルムを成形した。次いで、得られた4層フィルムの樹脂層(A)に、表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施して、積層フィルムを得た。
【0055】
(実施例2)
実施例1の中間層(B)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体60部/酸化チタンマスターバッチ40部に代えた以外は実施例1と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、実施例1と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0056】
(実施例3)
実施例1の中間層(B)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体40部/酸化チタンマスターバッチ60部に代えた以外は実施例1と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、実施例1と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0057】
(実施例4)
実施例1の樹脂層(A)として、プロピレン単独重合体40部と高密度ポリエチレン50部にプロピレン-エチレンブロック共重合体(密度:0.91g/cm、MFR(測定温度230℃):7g/10分間)10部からなる混合物を用いた。中間層(B)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体80部/酸化チタンマスターバッチ20部に代えた。それ以外は実施例1と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、実施例1と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0058】
(比較例1)
樹脂層(A)として、プロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm、MFR(測定温度230℃):9g/10分間)50部と高密度ポリエチレン(密度:0.955g/cm、MFR(測定温度190℃):0.35g/10分間)50部からなる混合物を用いた。また、中間層(B)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(密度:0.91g/cm、MFR(測定温度230℃):7g/10分間)90部と酸化チタンマスターバッチ10部からなる混合物を用いた。さらに、支持層(D)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(密度:0.91g/cm、MFR(測定温度230℃):7g/10分間)40部と直鎖状低密度ポリエチレン〔密度:0.905g/cm、MFR(測定温度190℃):4g/10分〕60部とからなる混合物を用いた。更に、シール層(C)としてプロピレン−エチレン共重合体(エチレン由来成分含量:5.8%、密度:0.90g/cm、MFR(測定温度230℃):6g/10分間)70部とプロピレン−1−ブテン共重合体(密度:0.90g/cm3、MFR(測定温度230℃):4g/10分間)30部とからなる混合物を用いた。これらをそれぞれ4台の押出機に供給し、樹脂層(A)と中間層(B)と支持層(D)とシール層(C)の平均厚さの比が6:3:18:3となるように共押出して、厚さ30μmの4層フィルムを成形した。次いで、得られた4層フィルムの樹脂層(A)に、表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施して、積層フィルムを得た。
【0059】
(比較例2)
比較例1の中間層(B)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体40部/酸化チタンマスターバッチ60部と代え、樹脂層(A)と中間層(B)と支持層(D)とシール層(C)の平均厚さの比が6:6:15:3となるように共押出した、以外は比較例1と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、実施例1と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0060】
(比較例3
比較例1の樹脂層(A)として、プロピレン-エチレンブロック共重合体(密度:0.91g/cm、MFR:7g/10分間)を単独で用い、中間層(B)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体80部/酸化チタンマスターバッチ20部に代えた。それ以外は実施例1と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、実施例1と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0061】
(実施例5)
樹脂層(A)として、プロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm、MFR(測定温度230℃):9g/10分間)50部と高密度ポリエチレン(密度:0.955g/cm、MFR(測定温度190℃):0.35g/10分間)50部からなる混合物を用いた。また、中間層(B)として、プロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm、MFR:9g/10分間)95部と酸化チタンマスターバッチ5部からなる混合物を用いた。さらに、支持層(D)として、低密度ポリエチレン〔密度:0.910g/cm、MFR(測定温度190℃):8g/10分間〕60部とエチレン−ブテン−1ランダム共重合体〔ブテン−1由来成分含有率:10%、密度:0.880g/cm、融点:67℃、MFR(測定温度190℃):3.5g/10分間〕40部の混合物を用い、さらに、シール層(C)として、プロピレン−エチレンランダム共重合体〔エチレン由来成分含量:5.8%、密度:0.900g/cm、MFR(測定温度230℃):7g/10分間〕を用いた。これらをそれぞれ4台の押出機に供給し、樹脂層(A)と中間層(B)と支持層(D)とシール層(C)の平均厚さの比が6:21:1.5:1.5となるように共押出して、厚さ30μmの4層フィルムを成形した。次いで、得られた4層フィルムの樹脂層(A)に、表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施して、積層フィルムを得た。
【0062】
(実施例6)
実施例5の中間層(B)として、プロピレン単独重合体97部/酸化チタンマスターバッチ3部に代えた以外は実施例5と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、実施例5と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0063】
(実施例7)
実施例5の中間層(B)として、プロピレン単独重合体90部/酸化チタンマスターバッチ10部に代えた以外は実施例5と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、実施例5と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0064】
(実施例8)
実施例5の樹脂層(A)として、プロピレン単独重合体40部と高密度ポリエチレン50部にプロピレン-エチレンブロック共重合体(密度:0.91g/cm、MFR(測定温度230℃):7g/10分間)10部からなる混合物を用いた。中間層(B)として、プロピレン単独重合体95部/酸化チタンマスターバッチ5部に代えた。それ以外は実施5と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、実施例5と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0065】
(比較例4)
樹脂層(A)として、プロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm、MFR(測定温度230℃):9g/10分間)50部と高密度ポリエチレン(密度:0.955g/cm、MFR(測定温度190℃):0.35g/10分間)50部からなる混合物を用いた。また、中間層(B)として、プロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm、MFR:9g/10分間)99部と酸化チタンマスターバッチ1部からなる混合物を用いた。さらに、支持層(D)として、低密度ポリエチレン〔密度:0.910g/cm、MFR(測定温度190℃):8g/10分間〕60部とエチレン−ブテン−1ランダム共重合体〔ブテン−1由来成分含量:10%、密度:0.880g/cm、融点:67℃、MFR(測定温度190℃):3.5g/10分間〕40部の混合物を用い、さらに、シール層(C)として、プロピレン−エチレンランダム共重合体〔エチレン由来成分含量:5.8%、密度:0.900g/cmMFR(測定温度230℃):7g/10分間〕を用いた。これらをそれぞれ4台の押出機に供給し、樹脂層(A)と中間層(B)と支持層(D)とシール層(C)の平均厚さの比が6:21:1.5:1.5となるように共押出して、厚さ30μmの4層フィルムを成形した。次いで、得られた4層フィルムの樹脂層(A)に、表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施して、積層フィルムを得た。
【0066】
(比較例5)
比較例4の中間層(B)として、プロピレン単独重合体80部/酸化チタンマスターバッチ20部と代えた以外は比較例4と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、比較例4と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0067】
(比較例6)
比較例4の樹脂層(A)として、プロピレン-エチレンブロック共重合体(密度:0.91g/cm、MFR(測定温度:230℃):7g/10分間)を単独で用い、中間層(B)として、プロピレン単独重合体95部/酸化チタンマスターバッチ5部に代えた。それ以外は比較例4と同様に行い、厚さ30μmの4層からなる共押出多層フィルムを得た。次いで、得られたフィルムの樹脂層(A)の表面を、比較例4と同様に表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
【0068】
上記の実施例及び比較例で得られた積層フィルムを用いて、下記の試験及び評価を行った。
【0069】
[曇り度の測定]
得られたフィルムを用い、JIS K7105に基づき、フィルム1枚についてヘーズメーター(日本電飾工業株式会社製)を用いて曇り度(単位:%)測定した。
【0070】
[光沢度の測定]
得られたフィルムを用い、JIS K7105に基づき、フィルム1枚について光沢計(スガ試験機株式会社製)を用いて光沢度(単位:%)を測定した。
【0071】
[剛性の測定]
得られたフィルムを用い、ASTM D−882に基づき、23℃における1%接線モジュラス(単位:MPa)を、フィルム製造時の押出方向(以下、「MD」という。)について、テンシロン引張試験機〔株式会社エー・アンド・デー製〕を用いて測定した。
【0072】
[摩擦係数値の測定]
得られたフィルムを用い、ASTMD−1894に基づき、23℃中で、表層側面同志の静摩擦係数値と動摩擦係数値を測定した。
【0073】
[衝撃強度の測定]
得られたフィルムを用い、23℃に状態調整された恒温室内で、サンプルを6時間保持した後、直径25.4mmの球状の衝撃頭を用いてフィルムインパクト法で測定した。
【0074】
[表面粗さ(Ra)の測定]
得られたフィルムを用い、JIS B−0601に基づき、フィルム1枚について東京精密社製 SURFCOM 480Aを用いて表面粗さ(Ra)を測定した。
【0075】
[白色度の測定]
得られたフィルムを用い、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製CM−3500d)を用い、SCI方式で測定。測定値から算出された白色度(WhiteIndex:CIE)にてフィルムの白色度を評価した。
【0076】
[和紙調の風合い評価]
得られたフィルムを用い、「和紙調の風合い」に関し、10人のモニターにて、外観評価を行った。和紙調の風合いの程度を○△×にて評価した。
【0077】
上記で得られた結果を表1及び表2に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
上記表から明らかなとおり、本発明の実施例1〜8の積層フィルムは、和紙の積層やエンボスロール等による加工工程を要さずとも、好適な和紙調の意匠性を有するものであった。また、好適な剛性や表面滑り性を有し、包装用フィルムとして好適に適用できるものであった。一方、比較例1〜6のフィルムは、好適な意匠性を実現できないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の積層フィルムは、相溶しないエチレン系樹脂とプロピレン系樹脂とを含有する樹脂層と、着色顔料を含有する樹脂層とを積層することで、和紙の積層やエンボスロール等による加工を行うことなく、簡易に好適な和紙調の意匠性を実現できる。また、優れた包装適性、表面滑り性・機械的強度も有する。したがって、本発明の積層フィルムは、意匠性を付与する食品用途や、その他薬品、工業部品、雑貨、雑誌等を包装する包装材に好適である。