(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した給紙装置の一実施形態について説明する。
図10は、本実施形態の画像形成システム1の概略構成図である。
図10に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置100と、画像形成装置に用紙を給紙する給紙装置200とを備えている。給紙装置200は、画像形成装置100本体の側面に設けられている。
【0012】
まず、本実施形態の給紙装置を適用可能なプリンター及び、同等の作像機能を有する複写機などの画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成手段としての画像形成装置100の概略構成図である。
この画像形成装置100は、イエロー(Y),シアン(C),マゼンタ(M),黒(K)の4色のトナーを用いるフルカラープリンタ及び、同等の作像機能を有するフルカラー複写機である。
図1に示すように、装置本体内の上部にそれぞれ各色トナーで作像を行う4つの作像ユニット101Y,101M,101C,101Kを並べて配置している。各作像ユニット101Y,101M,101C,101Kの構成とその動作は実質的に同一であるため、ここでは色を示す符号(Y,M,C,K)を省略して作像ユニットについて説明する。作像ユニット101においては、像担持体としての感光体ドラム102の周囲に、帯電器103,現像装置104,クリーニング装置105等が配置されている。また、感光体ドラム102の上方に位置して、露光手段107が配置されている。
【0013】
4つの作像ユニット101Y,101M,101C,101Kの下方には、複数の支持ローラに掛け回された中間転写ベルト108が配置されている。中間転写ベルト108は、支持ローラの一つが図示しない駆動手段によって回転駆動されることにより、矢印A方向に走行駆動される。その中間転写ベルト108を挟んで各作像ユニットの感光体ドラム102に対向するように、一次転写手段としての転写ローラ106が配置されている。
【0014】
さて、各作像ユニット101においては、感光体ドラム102が図中反時計回りに回転駆動され、帯電器103によって感光体表面が所定の極性に均一に帯電される。次いでその帯電面に、露光手段107から出射される光変調されたレーザビームが照射され、これによって感光体ドラム102上に静電潜像が形成される。その静電潜像は、現像装置104から付与されるトナーによって現像され、トナー像として可視化される。各作像ユニットで形成されたイエロー,シアン,マゼンタ,黒の各色トナー像は、中間転写ベルト108上に順次重ね合わされて転写される。
【0015】
一方、装置本体の下部には給紙トレイ114a及び114bを有する給紙部114が設けられており、この給紙部114あるいは画像形成装置100に装着される後述する給紙装置200のいずれかから記録媒体として例えば転写紙が給送される。給送された転写紙は、レジストローラ111に向けて矢印Bの如く搬送される。
【0016】
レジストローラ111に突き当てられて一旦停止された転写紙は、中間転写ベルト108上のトナー像とのタイミングを取ってレジストローラ111より送出され、二次転写ローラ109と中間転写ベルト108とが接する二次転写部に送り込まれる。その二次転写ローラ109にトナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加され、これによって中間転写ベルト108上の重ねトナー像(フルカラー画像)が転写紙上に転写される。トナー像転写後の転写紙は、搬送ベルト112により定着装置113へ搬送され、定着装置113にて熱と圧力によりトナーが転写紙に定着される。トナー像定着後の転写紙は、矢印Cで示すように機外に排出され、図示しない排紙トレイ上に排紙される。
【0017】
なお、片面印刷で裏面排紙(フェイスダウン排紙)する場合は、用紙反転部115を経て矢印Cで示すように機外に排出することで、用紙の表裏が逆転される。また、両面印刷の場合は、定着後の用紙を両面反転部116を経て再給紙路117よりレジストローラ111へと再給紙し、用紙裏面に中間転写ベルト108よりトナー像が転写される。トナー像転写後の用紙は定着装置113で定着が行われ、片面印刷時と同じように定着装置113から矢印Cで示すように、あるいは用紙反転部115を経て矢印Cで示すように機外に排出され、図示しない排紙トレイ上に排紙される。用紙搬送方向を切り替えるための切替爪118,119が適宜配置されている。
【0018】
モノクロ印刷の場合は、本例の画像形成装置100では、黒(K)の作像ユニット101Kのみを用いてトナー像を作像し、そのトナー像を中間転写ベルト108を介して転写紙上に転写する。トナー像定着後の用紙の扱いは、フルカラー印刷の場合と同様である。
【0019】
なお、装置本体の上面には、各作像ユニットの現像装置104に供給するトナーを収納した各色トナーボトル121をセットするトナーボトルセット部120が設けられている。また、表示部122及び操作パネル123を有する操作部124も装置本体の上面に設けられている。さらに、装置本体の図において右側の側面には、後述する給紙装置(
図2参照)からの用紙搬入部Dが設けられている。用紙搬入部Dにおいては、用紙を受け入れる開口125と、用紙を搬送する搬送手段126が設けられている。
【0020】
図2は、装置本体の側面に設けられる本実施形態の給紙装置200の概略説明図である。
給紙装置200は、上下2段の給紙トレイ13を備える。また、各給紙トレイ13の上方には、給紙トレイ13に積載された用紙Pを分離・給紙する給紙ユニット20がそれぞれ配置されている。給紙ユニット20は、搬送部材たる吸着ベルト10及び吸引装置40を備えている。各給紙トレイ13は、用紙Pの束を積載する底板15を備えている。本実施形態においては、各給紙トレイは、最大2500枚程度の用紙を収納可能となっている。また、各給紙トレイ13には、底板15の昇降を制御するための用紙検知センサ14が設けられている。
【0021】
下側の給紙トレイ13に積載された用紙は、下搬送路12を通って、出口ローラ対80によって、複写機100本体へ搬送される。上側の給紙トレイ13に積載された用紙は、上搬送11を通って、出口ローラ対80によって、複写機100本体へ搬送される。
【0022】
図3は、給紙トレイ13近傍の概略斜視図であり、
図11は、給紙トレイ13近傍の概略断面図である。
給紙ユニット20の吸着ベルト10は、2本の張架ローラ11a,11bにより張架されており、ベルトの表面側から裏面側まで貫通する吸引孔10aが周方向の全域に設けられている。吸着ベルト10の内部には、先の
図2に示した吸引装置40が設けられている。吸引装置40は、
図11に示すように、空気の流路であるダクト40aと、ダクト40aを介して空気を吸引する吸引ファン40bを備えている。吸引装置40により下方に負圧を発生させることで、吸着ベルト10の下面に用紙Pを吸着させるように作用する。
【0023】
また、給紙トレイ13には、用紙束Pの上部の用紙に対して空気を吹き付ける送風手段たる送風装置22を備える。送風装置22は、用紙束Pの上部の先端(給紙方向下流側端部)に空気を送風する前側ダクト21を有している。また、送風装置22は、一対のサイドフェンス23に設けられたサイドダクト24(
図11参照)も有している。送風装置22は、送風ファン22a(
図5参照)を備えており、送風ファン22aにより前側ダクト21と、一対のサイドダクト24に空気を送り込む。前側ダクト21に送り込まれた空気は、用紙束Pの上部の先端(給紙方向下流側端部)と対向する箇所から吐出し、用紙束Pの上部の先端(給紙方向下流側端部)に吹きつけられる。また、サイドダクト24に送り込まれた空気は、各サイドフェンス23の用紙束Pの上部と対向する箇所に設けられた、不図示の吐出口から吐出され、用紙束P上部の側面に吹き付けられる。前側ダクト21と、一対のサイドフェンスの不図示の吐出口とから、吹き付けられた空気により、用紙束の上部の用紙が浮上する。
【0024】
また、
図11に示すように、吸着ベルト10に対して搬送方向下流側には下流側搬送部材である搬送ローラ対8が配置されており、吸着ベルト10によって搬送されて2つのローラの間に到達した用紙をさらに下流側に向けて搬送する。この搬送ローラ対8の搬送力は、吸着ベルト10の搬送力より大きく設定される。また、搬送ローラ対8に対して搬送方向下流側には用紙の通過を検知する給紙センサ9が設けられている。
また、給紙トレイ13には、底板15に積載された用紙束Pの後端を揃えるをエンドフェンス25を設けている。
【0025】
図4は、用紙検知センサ14を示す斜視図である。
図4に示すように、用紙載置方向に2個の用紙検知センサ14a,14bが設けられている。各用紙検知センサ14a,14bは、反射型光学センサであって、発光素子と受光素子とを備えている。後述するように、本実施形態においては、用紙の種類によって、2つの用紙検知センサ14a,14bのうちのひとつを用いて、用紙検知を行う。
【0026】
2つの用紙検知センサ14a,14bは、同一の固定部材140に取り付けられている。固定部材140は、ネジ141より給紙装置200の不図示の側板に固定されている。固定部材140のネジ141が貫通する穴は、用紙の積載方向に延びる長穴140aとなっている。これにより、ネジ141を緩めた後、固定部材140を用紙積載方向に動かすことで、固定部材140に取り付けられた用紙検知センサ14a,14bの検知位置の用紙束P昇降方向の微調整を行うことができる。これにより、多様な用紙の給紙に対応することができる。
【0027】
図5は、本実施形態の用紙検知センサ14a,14bについて説明する図である。
図5に示すように、本実施形態の用紙検知センサ14a,14bの検知エリアXは、図中Z方向(上下方向)にある程度の幅を有し、複数枚の用紙が検知可能となっている。具体的には、用紙検知センサ14a,14bの発光素子の照射範囲を、上記検知エリアXとする。そして、検知エリアXで反射した発光素子の光を、レンズで集光して受光素子で受光する構成としている。これにより、用紙検知センサ14a,14bは、検知エリアXにおける反射光の強弱を検知することができる。本実施形態では、検知エリアXの用紙束P昇降方向の長さを、3mmに設定している。
【0028】
図6は、吸着ベルト10と各用紙検知センサ14a,14bとの位置関係について示す図である。
図6に示すように、上側の用紙検知センサ14aの上下方向の中心位置から吸着ベルト10までの距離haよりも、下側の用紙検知センサ14bの上下方向の中心位置から吸着ベルト10までの距離hbの方が長くなっている。
【0029】
例えば、底板15に載置される用紙が厚紙などの重量のある用紙の場合は、送風装置22や吸引装置40の吸着力では、十分に持ち上げることができず、吸着ベルト10に吸着できない場合がある。このように、厚紙等の普通紙よりも重量のある用紙が、底板15に載置されているときは、上側の用紙検知センサ14aを用いて、用紙束の上昇を制御する。一方、普通紙以下の場合は、下側の用紙検知センサ14bを用いて、用紙束Pの上昇を制御する。
【0030】
図7は、本画像形成装置100における制御系の要部構成の一例を示すブロック図である。同図において、給紙装置200の制御手段としての制御部66には、給紙トレイ13の用紙検知センサ14a,14bが接続されている。また、前側ダクト21や、不図示のサイドダクトへ向けて空気を送風する送風ファン22aや吸引装置40が備える吸引ファン40aも接続されている。また、底板15を昇降させる昇降駆動モータ65も接続されている。また、給紙装置200の制御部66は、画像形成装置100の上位コントローラ67に接続されている。上位コントローラ67は、操作部124など、画像形成装置100の各種装置が接続されている。
【0031】
図8は、本実施形態の給紙制御のフローチャートである。
また、
図12乃至
図15は、本実施形態の給紙制御を説明する説明図である。
画像形成装置100の操作部124などにより、給紙装置200の給紙トレイ13にセットされた用紙を用いた画像形成指示を画像形成装置の上位コントローラ67が受ける。すると、給紙装置200の制御部66に給紙指示や、給紙トレイ13に積載された用紙の種類などの情報が、上位コントローラ67から送信される。制御部66は、給紙指示を受信したら、まず、上位コントローラ67から受信した給紙トレイ13にセットされた用紙の種類情報に基づいて、使用する用紙検知センサを決定する(S1)。本実施形態においては、上側の用紙検知センサ14aを用いるか、下側の用紙検知センサ14bを用いるか決定する。給紙トレイ13に積載された用紙の種類などの情報は、ユーザーが画像形成装置100に設けられている操作部124などから入力するようになっている。
【0032】
次に、制御部66は、決定した用紙検知センサの出力値が閾値β以上か否かをチェックする(S2)。閾値β以上でない場合(S2のNo)は、昇降駆動モータ65を駆動して、底板15を上昇させる(S7)。すると、用紙束の上部が、用紙検知センサの検知エリアXに入り、用紙検知センサの発光素子から光が、用紙束の上部で反射して、受光素子で受光される。その結果、用紙検知センサからの出力値が上昇していく。そして、閾値β以上となったら(S2のYes)、昇降駆動モータ65の駆動を停止して、底板15の上昇を停止する(S3)。これにより、用紙束の上面を給紙位置に位置させることができる。
【0033】
ここで、閾値βについて、説明する。本実施形態においては、検知エリアXに規定枚数A(A>1)の浮上用紙が存在するときの用紙検知センサの出力値を閾値βに設定している。
図9は、
図5の検知エリアXにおける上下方向(Z方向)の中央を基準として、各位置における用紙反射率αを調べたグラフである。
図9に示すようにZ方向各位置で、用紙の反射率の異なることがわかる。従って、本実施形態においては、用紙一枚における反射率(用紙検知センサの出力値)として、検知エリアXにおける用紙1枚あたりの反射率の平均α(avg.)を用いた。よって、閾値βは、α(avg.)×規定枚数A(A>1)で表すことができる。なお、
図9は、普通紙のときの用紙反射率αを調べたものであり、また、閾値βは、検知エリアXに普通紙が規定枚数A存在するときの用紙検知センサの出力値である。
【0034】
本実施形態においては、閾値βとして、検知エリアXに規定枚数A(A>1)の浮上用紙が存在するときの用紙検知センサの出力値を用いている。よって、給紙動作開始前において、底板を上昇させていったとき、用紙束の上面が
図5における基準0より下方の位置で、用紙検知センサの出力値が、閾値βとなる。
【0035】
次に、制御部66は、給紙動作開始前の場合(S4のYes)は、給紙動作を開始する(S5)。具体的には、吸着ベルト10を停止した状態で、送風装置22(送風ファン22a)の駆動を開始する。これにより、
図12に示すように、前側ダクト21の吐出口から矢印A1方向に空気が吐出し、用紙束の上部の前端部に空気が吹き付けられる。また、一対のサイドフェンス23のサイドダクト24の吐出口から空気が吐出し、用紙束の用紙束の上部の側端部に空気が吹き付けられる。また、これと同時に吸引ファン40aの駆動を開始し、吸引装置40による吸引を開始する。送風装置22により用紙束の上部に空気の送風を開始することで、用紙束上部の用紙が浮上する。また、吸引装置40が吸引を開始することで
図12の中矢印Bで示すような負圧が吸引装置40の下方に発生し、浮上した最上位用紙P1が吸着ベルト10に吸着する。
【0036】
最上位用紙P1が吸着ベルト10に吸着されている間は、次の用紙P2は送風装置22からの送風を受けて最上位用紙P1の下方でばたついた状態となる。これにより、次の用紙はそれよりも下方の用紙に対して先端端側がさばかれた状態となる。
【0037】
また、制御部66は、上位コントローラ67から受信した給紙トレイ13にセットされた用紙の種類情報に基づいて、送風装置22の用紙束上面部に送風する空気の送風量を制御する。OHPフィルム、トレース用紙、表面が平滑な塗工紙、ミシン目や筋押し等の加工が施された用紙、オフセット印刷済みの用紙に打ち粉が塗布されているなど、用紙の種類により、用紙のさばきやすさが異なる。例えば、トレース用紙などの薄紙の場合、送風量が多いと、浮上した用紙が激しくばたつき、重送や用紙にしわなどが生じるおそれがある。一方、OHPフィルムやミシン目や筋押し等の加工が施された用紙などの場合、送風量が少ないと、用紙間に空気が入り込まず、分離できずに浮き上がらない場合がある。よって、用紙の紙種に基づいて、送風量を調整することにより、確実に用紙束を分離させて用紙束上部の用紙を浮き上がらせることができ、かつ、浮上した用紙が吸着ベルト10と用紙束との間で激しくばたつくのを抑制することができる。
【0038】
吸引装置40の吸引を開始してから所定時間(例えば3秒)経過後に、
図13で示すように送風ファン22aおよび吸引ファン40aを作動させたままの状態で吸着ベルト10の駆動を開始する。これにより、吸着ベルト10が図中矢印C方向に表面移動し、吸着ベルト10の下面に吸着した最上位用紙P1が搬送方向下流側に向けて搬送され、搬送ローラ対8に到達する。その後、搬送ローラ対8が図中矢印G方向に回転することによって最上面用紙P1が搬送され、画像形成装置100へ搬送される。
【0039】
図14に示すように、吸着ベルト10及び搬送ローラ対8によって搬送された最上面用紙P1の先端が給紙センサ9によって検知されると吸着ベルト10の駆動を停止する。吸引装置40を作動したままの状態で吸着ベルト10の駆動を停止させると、最上面用紙P1の吸着ベルト10に吸着されている箇所には搬送を停止させようとする力が働く。しかし、搬送ローラ対8によって用紙Pに付与する搬送力が、この停止させようとする力よりも十分に大きくなるように搬送ローラ対8の材質やニップ圧等を設定している。このため、吸着ベルト10が停止しても、搬送ローラ対8の搬送力により最上面用紙P1は、搬送が継続される。
【0040】
また、最上位用紙P1の後端部が吸引装置40による吸引領域を通過すると、その直後に、
図15に示すように、送風装置22と吸引装置40との間に形成される空気の流れによって次の用紙は浮上し、吸着ベルト10に吸着される。
【0041】
次の用紙がある場合は、そのまま給紙動作が継続され、設定した給紙間隔に応じて、
図14に示した最上面用紙P1の先端を給紙センサ9が検知したタイミングから所定時間経過後に吸着ベルト10の駆動を再開する。これにより、給紙トレイ13内の用紙が画像形成装置100に向けて所定の給紙間隔で一枚ずつ順次給紙される。
【0042】
また、給紙動作が継続される(S6のYes)場合、用紙検知センサの出力値が閾値βか否かが、引き続き監視される(S2)。
【0043】
用紙検知センサとして、用紙の「有」「無」を検知する用紙検知センサを用いた場合は、以下の不具合が生じる。すなわち、用紙の「有」「無」を検知する用紙検知センサは、「ON」(用紙有り)、「OFF」(用紙無し)の2つの値を出力したいがため、検知エリアを絞って、用紙1枚以下の検知範囲としている。すなわち、用紙検知センサの検知エリアの上下方向が、用紙1枚以下の検知エリアしかないのである。このように、検知範囲を絞ることにより、その位置に用紙が「有り」か「無し」かを感度よく検知できる。しかし、このような用紙の「有」「無」を検知する用紙検知センサを用いた場合は、多少の浮上用紙のばたつきで用紙が検知エリアから無くなってしまう。その結果、用紙検知センサが用紙「無」となり、底板15を上昇させてしまう。すると、非浮上用紙束の上部が、送風装置22の空気が当たる領域に入り、非浮上用紙束の最上位用紙が浮上する。その結果、非浮上用紙束の上面と吸着ベルトとの間の領域(用紙浮上領域)における浮上用紙の枚数が多くなる。浮上用紙の枚数が多くなると、用紙浮上領域の浮上用紙の密度が高くなり、浮上用紙が十分に上下方向に移動できず、用紙さばきが不十分となる。その結果、吸着ベルト10に複数の浮上用紙が吸着し重送が発生するおそれがある。
【0044】
また、複数枚の浮上用紙のうち、最上位用紙が搬送された後も浮上用紙がある一定期間、用紙検知センサの検知範囲にあり続けた場合、用紙検知センサは、用紙有りを検知し、所定のタイミングよりも非浮上用紙束の上昇が遅れる。その結果、浮上用紙の数が減り、用紙浮上領域に存在する用紙の枚数が少なくなり、用紙浮上領域の浮上用紙の密度が低くなり、浮上用紙が大きく上下方向に移動してしまう。その結果、次の用紙の搬送タイミングまでに、複数の浮上用紙のうち、最上位の用紙が、吸着ベルト10に接近せずに、吸着ベルト10に吸着しない場合がある。その結果、給紙不良が生じる。
【0045】
一方、本実施形態においては、用紙検知センサの検知領域Xを上下方向(Z方向)に広げている。上述したように、給紙開始前に用紙束の上面を位置させる給紙位置は、
図5における基準0より下方にある。すなわち、給紙位置よりも上方に用紙複数枚分の検知範囲を有している。従って、用紙束の用紙を複数枚浮上させたとき、用紙検知センサ14で、用紙浮上領域における数mm程度の広い範囲を検知できる。これにより、用紙検知センサ14の出力値から、用紙浮上領域における浮上用紙の密度(浮上用紙が密に存在するか、疎の状態で存在するか)を検知することができる。具体的に説明すると、浮上用紙が密で存在しているときは、用紙検知センサ14の浮上領域の所定範囲を検知する検知エリアに存在する浮上用紙の枚数が多くなり、用紙検知センサ14の出力が高くなる。一方、浮上用紙が疎で存在しているときは、用紙検知センサ14の浮上領域の所定範囲を検知する検知エリアに存在する浮上用紙の枚数が減る。よって、用紙検知センサ14の出力が低くなる。このように、用紙検知センサ14で、用紙浮上領域における数mm程度の広い範囲を検知することにより、用紙検知センサ14の出力値から、用紙浮上領域における浮上用紙の密度(浮上用紙が密に存在するか、疎の状態で存在するか)を検知することができるのである。
【0046】
このように、用紙検知センサで、浮上領域の広い範囲を検知することができるので、浮上用紙の枚数が、良好な用紙さばきを行える枚数である規定枚数のときは、多少浮上用紙の挙動が不安定であっても、用紙検知センサ14の検知エリアXにおける用紙の密度は一定であり、用紙検知センサ14から閾値β以上の出力が出力される。そして、吸着ベルト10により複数枚の浮上用紙のうち、最上位用紙が搬送され、浮上用紙が減ると、用紙検知センサ14の検知エリアXおける用紙の枚数が、規定枚数A以下(A−1)となり、密度が低下する。その結果、用紙検知センサ14の出力値が閾値β未満となる(S2のNo)。よって、制御部66は、昇降駆動モータ65を駆動させ、底板15を上昇させる(S7)。
【0047】
なお、給紙動作中における底板15の上昇は、用紙センサの出力値が、閾値βとなったら停止するのではなく、所定量上昇(例えば、1mm上昇)したら、停止するようにする。これは、底板15を上昇させていくと、非浮上用紙束の上部の用紙が、送風装置22により浮き上がり、上記エリアXに存在する用紙の枚数が規定枚数Aとなる。しかし、用紙が浮き上がるまで、多少のタイムラグがある。よって、閾値β以上となったら、底板15の上昇を停止する制御を行うと、上昇しすぎるおそれがある。よって、給紙動作中は、所定量上昇(例えば、1mm上昇)したら、停止するように制御している。
【0048】
このように、本実施形態においては、浮上用紙の枚数が減ったら、用紙検知センサの出力が閾値β以下となる。よって、浮上用紙が減った段階で、底板15を上昇することができる。これにより、底板15の上昇遅れを抑制することができ、次の用紙の搬送タイミングとなっても、吸着ベルトに用紙が吸着していない事態が生じるのを抑制することができ、給紙不良を抑制することができる。
【0049】
なお、上述したように、閾値βは、普通紙が、検知エリアに規定枚数A存在するときの用紙検知センサの出力値である。例えば、用紙が厚紙のときは、浮上する用紙枚数が普通紙のときよりも減り、検知エリアに規定枚数A存在しない。しかしながら、厚紙は、普通紙よりも厚いため、検知エリアに存在する枚数が減っても、その検知エリアの用紙の密度は、ほぼ変わりがない。従って、厚紙のときも、閾値βに基づいて、底板15の昇降制御を行っても、用紙束の位置を精度よく制御することができ、吸着ベルト10と用紙束上面との距離を所定の範囲内に保つことができる。よって、本実施形態においては、用紙の種類毎に閾値βを用意しておかなくても、吸着ベルト10と用紙束上面との距離を所定の範囲内に保つことができる。従って、閾値βを記憶するメモリ容量を削減することができ、安価なメモリを用いることができ、装置のコストアップを抑制することができる。
【0050】
また、例えば、高湿度環境や用紙の状態などにより、用紙同士が密着しやすい環境下のときは、用紙が剥がれ難い。このようなときは、通常のときの用紙束の位置では、用紙が剥がれない。その結果、通常のときの用紙束の位置では、浮上する用紙枚数が規定枚数Aとはならず、用紙検知センサの出力値が、閾値β以下となる。よって、この場合は、用紙束を通常位置よりさらに上昇することになる。用紙束がより上昇することにより、用紙束の最上位用紙が、送風装置22と吸引装置40との間に形成される空気の流れの影響をより強く受ける。これにより、最上位用紙を、浮上させることができ、浮上する用紙枚数が規定枚数Aとなり、用紙検知センサの出力値が閾値βとなる。これにより、高湿度環境や用紙の状態などが変動しても、良好な給紙性能を維持することができる。また、環境下や用紙の状態ごとに、閾値を用意する必要がない。従って、閾値を記憶するメモリ容量を削減することができ、安価なメモリを用いることができ、装置のコストアップを抑制することができる。また、用紙の状態を検知するセンサや環境を検知するセンサが不要であり、部品点数を削減することができ、装置を安価にすることができる。
【0051】
また、一般的に、用紙を1枚ずつ分離搬送する給紙ユニットとして、ローラ搬送方式の給紙ユニットが広く用いられている。ローラ搬送方式は、その表面がゴム等の摩擦係数の高い弾性体で形成されており、用紙と接触するローラ表面との摩擦力により用紙を1枚ずつ分離して、搬送するものである。
【0052】
用紙に関しては、グロスコート紙、上質紙、追い刷り紙、再生紙などが用いられる場合があり、グロスコート紙は表面の光沢度を向上させるため、樹脂等を表面に塗布しているため、表面の平滑度が高い。そのようなグロスコート紙を用いた場合に、ローラ搬送方式の給紙装置では、用紙とローラ表面との間で必要な摩擦力が得ることができず、十分な給紙性能が確保できない。
【0053】
また追い刷り紙、再生紙を用いた場合には、前者では用紙に付着している離型材(打ち粉)が、後者では紙粉が、ローラ表面に転移して付着することにより摩擦力が低下するため長期的に安定して十分な給紙性能が確保できないという問題がある。
【0054】
一方、本実施形態においては、エアー搬送方式の給紙ユニットを用いている。エア搬送方式は、上述したようにして用紙を分離・搬送するものである。すなわち、まず、周囲から用紙束の上部に向かってエアーを吹き付け、上部の用紙を浮上させる。次に、吸引装置40により生じるエアーフローの圧力差を利用することにより最上位の用紙を吸着ベルト10で吸着させて、1枚ずつ搬送する方式である。このようなエアー搬送方式では、その構成から多様な用紙に対応できるというメリットがある。
【0055】
図16は、底板15に用紙が多く積載されている状態にて用紙間にエアが吹き込むことによる用紙が上に押上げられている状態を示す図。
図16のように、底板15に多くの用紙が積載されているときは、用紙間にエアが吹き込むことにより、所定枚数の用紙が浮上し、用紙浮上領域(非浮上用紙束Pと吸着ベルト10との間の空間)における浮上用紙の密度が一定に保たれる。このときは、用紙間がエアクッション状態となり下の用紙は上の用紙を持ち上げるという状態が層状に行われ、ベルトからほぼ一定の間隔で用紙が浮上することになる。吸着ベルト10に吸着された用紙P1が搬送され、次の用紙P2が吸着ベルト10に吸着すると、浮上用紙の枚数が減り、浮上用紙の間隔が広がり、用紙検知センサ14の出力値が閾値β以下となる。すると、底板15が上昇するが、底板15が少し上昇すれば、底板15に積載された非浮上紙束の最上位紙が浮き上がり、複数の浮上用紙を押し上げる。その結果、すぐに、浮上用紙の間隔が規定の間隔(用紙浮上領域における浮上用紙の密度が一定)に戻る。よって、次の用紙P2が搬送されたら、さらに次の用紙P3が、すぐに吸引装置40の吸引力で吸着ベルト10に吸着させることができる。これにより、安定した搬送性能を維持できる。
【0056】
図17は、ラスト紙近辺(図では残り5枚)の用紙浮上の状態を示す図。
図17に示すように、底板15に積載される用紙の枚数が残り少なくなると、底板15に残る非浮上用紙束がなくなる。
図17に示す状態から、吸着ベルト10に吸着した用紙P1が搬送され、次の用紙P2が、吸着ベルト10に吸着すると、
図18に示すように、浮上領域(この場合は、吸着ベルト10と底板15との間の空間)に存在する浮上用紙が4枚となる。その結果、浮上用紙の間隔がh1からh2に広がり、用紙浮上領域における浮上用紙の密度が疎となる。すると、用紙検知センサ14の出力値が閾値β以下となり、
図19に示すように、底板15を所定量X1mm(本実施形態では1mm)上昇させる。上述したように、底板15上に非浮上用紙がある場合は、底板15をX1mm上昇させることで、底板15上の非浮上用紙が浮き上がり、複数の浮上用紙を押し上げることで、浮上用紙の間隔がh1に戻る。しかし、底板15に非浮上用紙がない場合は、用紙が新たに浮き上がらないため、新たな浮上用紙による押し上げがなく、底板15の上昇による押し上げのみとなる。しかし、底板15をX1mm移動させただけでは、底板15の上昇による浮上用紙の押し上げは僅かであり、浮上用紙の間隔h2から、わずかに狭いh3としかならず、h1とはならない。このときは、用紙検知センサの出力値がいまだ閾値β以下であるため、再び、底板15をX1mm上昇させる制御を行う。そして、浮上用紙の間隔がh1となり、用紙検知センサの出力値が閾値βとなるまで、底板15の所定量上昇→底板の停止→用紙検知センサの出力値のチェックが繰り返し行われる。その結果、徐々に底板15が上昇し、徐々に浮上用紙の間隔がh1に近づいていくことになる。
【0057】
上述したように、浮上用紙の間隔が広く、用紙浮上領域の浮上用紙の密度が低いと、浮上用紙が大きく上下方向に移動してしまう。その結果、用紙P2搬送後から、次の用紙が搬送されるタイミングまでの間に、用紙P3が、吸着ベルト10に接近せずに、吸着ベルト10に吸着しない場合があり、給紙不良となるおそれがある。また、厚紙などの重い用紙の場合は、用紙P2が搬送された後、吸着ベルト10とさらに次の用紙P3との間隔が、h1よりも広いと、吸引装置40の吸引力で十分に用紙P3を吸着ベルト10側へ吸引することができない。その結果、次の搬送タイミングまでに用紙P3が、吸着ベルト10に吸着しない場合がある。
【0058】
給紙サイクル(用紙搬送間隔)が大きく取れる状態であれば用紙吸着までの時間を確保できる。よって、その間に用紙検知センサの出力値が閾値βとなるまで底板15を上昇させることができ、底板15の上昇による押し上げで、用紙P3を吸着ベルト側へ近づけることができる。これにより、用紙搬送タイミングまでに用紙P3を吸着ベルト10に吸着させることができ、不給紙の懸念はない。しかし、高生産性が求められる状態であると給紙サイクルがおのずと小さくなるため、用紙検知センサの出力値が閾値βとなるまで底板15が上昇しきる前に、次の用紙の搬送タイミングがきてしまい、結果として不給紙となってしまう。また、底板15上に非浮上用紙が無くなった初期の段階では、底板15の上昇遅れは僅かであり、給紙不良が生じないこともあるが、給紙を行っていくたびに、底板15の上昇遅れが大きくなり、浮上用紙の間隔も徐々に大きくなっていく。その結果、底板15上に非浮上用紙が無くなって数枚搬送後に、給紙不良が発生することもある。
【0059】
そこで、給紙トレイ13の用紙残量に基づいて、底板15の上昇量を変更してもよい。具体的には、
図20に示すように、底板15上に非浮上用紙が存在しなくなる用紙残量となったら、底板15の上昇量を、X1mmからX2mm(本実施形態では、X1の2倍)に変更するのである。これにより、
図20に示すように、次の用紙P2が搬送されるまでの間に、用紙検知センサの出力値が閾値βとなるまで底板15を上昇させることができる。これにより、次の用紙P2が搬送される前に、浮上用紙の間隔をh1にすることができ、用紙浮上領域の浮上用紙の密度を規定値にすることができる。これにより、用紙残量が少なく給紙サイクルが短くても、次の用紙搬送タイミングまでに用紙を吸着ベルト10に吸着させることができる。なお、底板15に非浮上用紙束があるとき、底板15の上昇量をX2[mm]にしてしまうと、規定枚数以上の用紙が浮上し、用紙さばきが不十分となり、吸着ベルト10に複数の浮上用紙が吸着し重送が発生するおそれがある。よって、底板15に非浮上用紙束があるときは、底板15の上昇量は、小さく抑えておく。
【0060】
図21は、底板15上昇量を変更する制御を組み込んだ底板上昇制御フローである。
図21に示すように、用紙検知センサの出力値が閾値β未満のとき(S11のYes)、底板上昇量変更フラグをあるか否かをチェックする(S12)。例えば、上述したように、用紙の紙種・紙厚によってエアによる用紙の浮上の仕方が大きく異なる。一般に薄紙のような軽い用紙は浮上しやすく、厚紙のような重い用紙は浮上しにくい。一般に用紙の重さは坪量にて表される。坪量の少ない薄紙などの軽い用紙の場合は、吸着ベルト10に吸着した用紙搬送後、次の用紙と吸着ベルト10との間の距離が多少、離れていても、吸引装置40の吸引により用紙を浮上させ、すばやく吸着ベルト10に吸着させることができる。これにより、次の用紙搬送タイミングまでに用紙を吸着させることができる。従って、坪量の少ない薄紙などの軽い用紙の場合は、用紙残量が少ないときでも、給紙不良が発生しない。一方、坪量の多い厚紙などの重い用紙の場合は、吸着ベルト10から少しでも離れると、吸引装置40の吸引力で吸引しきれない。従って、この場合は、用紙残量が少ないとき、底板の上昇量を多くして、すばやく浮上用紙の間隔を狭めないと、次の用紙の搬送タイミングまでに、次の用紙が吸着ベルト10に吸着せず、給紙不良となるおそれがある。よって、例えば、上位コントローラ67から送信された給紙トレイ13に積載された用紙の種類などの情報が、所定の坪量以上のときは、底板上昇変更フラグを立てて、用紙残量に基づいて、底板15の上昇量を変更する。
【0061】
また、上述したように、本実施形態では、底板15に載置される用紙が厚紙などの重量のある用紙の場合は、上側の用紙検知センサ14aを用いて、用紙束の上昇を制御し、普通紙以下の場合は、下側の用紙検知センサ14bを用いて、用紙束Pの上昇を制御している。よって、上側の用紙検知センサ14aを用いて用紙束の上昇を制御しているときは、用紙残量に基づいて、底板15の上昇量を変更し、下側の用紙検知センサ14bを用いて用紙束の上昇を制御しているときは、用紙残量に基づく底板15の上昇量制御を行わないようにしてもよい。
このように、用紙残量に基づく底板15の上昇量制御を行なうか否かを、使用する用紙検知センサに紐付けて行うことで、例えば、使用する用紙検知センサの切り替えをソフトではなくスイッチなどのハードで切り替えた場合でも、その切り替えた用紙検知センサに応じて、用紙残量に基づく底板15の上昇量制御を行なうか否かを判定することができる。
【0062】
また、ユーザーが画像形成装置100の操作部124などを操作して、用紙残量に基づく底板15の上昇量制御を行なうか否かを設定できるようにしてもよい。環境などの諸条件により、所定の坪量未満の用紙でも、実際にラスト紙近傍で不給紙が発生する場合もある。よって、このような場合は、ユーザーが操作部124を操作して、用紙残量に基づく底板15の上昇量制御を行なう設定にする。ユーザーが操作部124を操作して、用紙残量に基づく底板15の上昇量制御を行なう設定を行ったら、制御部66は、底板上昇量変更フラグを立てる。
【0063】
底板上昇量変更フラグがない場合(S12のNo)は、用紙残量に基づく底板上昇量の変更制御は行わず、X1[mm](本実施形態では1mm)底板15を上昇させる。一方、底板上昇量変更フラグがある場合(S12のYes)は、用紙残量に基づく底板上昇量の変更制御を実行する。すなわち、底板上昇量変更フラグがある場合(S12のYes)は、用紙残量が閾値未満か否かをチェックする(S13)。
【0064】
用紙残量が閾値未満か否かは、底板15の昇降位置に基づいて検知することができる。例えば、底板15を昇降させる昇降駆動モータ65(
図7参照)がステッピングモータのとき、制御部66は、送りパルス数を積算していき、積算した累計送りパルス数が閾値以上のとき、底板15の昇降位置が、用紙残量が閾値未満に対応する位置に到達したと検知する。また、昇降駆動モータ65(
図7参照)がDCモータのとき、制御部66は、DCモータの駆動時間を積算していき、積算した累計駆動時間が閾値以上のとき、底板15の昇降位置が、用紙残量が閾値未満に対応する位置に到達したと検知できる。このように、制御部66が、用紙残量検出手段として機能する。また、光学センサなどのセンサで、底板15の昇降位置が、用紙残量が閾値未満に対応する位置に到達したと検知してもよい。また、センサで、底板15が、所定の位置まで上昇したきたことを検知した後、給紙枚数をカウントし、給紙枚数が閾値を越えたら、用紙残量が閾値未満となったと検知してもよい。本実施形態では、この用紙残量の閾値は、底板上に非浮上用紙が無くなるときの枚数に設定している。また、底板上に非浮上用紙が無くなってから、数枚搬送後の残量枚数を閾値に設定してもよい。
【0065】
用紙残量が閾値以上であり、底板15上に非浮上用紙が存在する場合(S13のNo)は、底板15を少し上昇させれば、底板15上の非浮上用紙が浮上し、浮上用紙を押し上げて、次の用紙搬送タイミングまでに用紙を吸着ベルト10に吸着させることができる。逆に、底板15上に非浮上用紙が存在する状態で、底板15を大きく上昇させると、浮上用紙の枚数が多くなり、十分な用紙さばきがおこなわれず、重送が発生するおそれがある。よって、用紙残量が閾値以上であり、底板15上に非浮上用紙が存在する場合(S13のNo)は、底板15をX1[mm](本実施形態では、1mm)の少し上昇させる(S15)。
【0066】
一方、用紙残量が閾値未満となったら(S13のYes)、底板15の上昇量をX2[mm](本実施形態では、通常の上昇量X1(1mm)の2倍に設定:2mm)にして、底板15の上昇量を増加させる。これにより、底板15の上昇による浮上用紙の押し上げ量が、X1[mm]上昇させる場合に比べて増加し、複数の浮上用紙のうち、最上位の浮上用紙を吸着ベルト10に近づけることができる。これにより、吸引装置40の吸引力で、最上位の浮上用紙を良好に吸着ベルト10に吸引することができ、用紙搬送タイミングまでに用紙を吸着ベルト10に吸着させることができる。よって、用紙残量が残り僅かとなったときの、給紙不良を抑制することができる。
【0067】
底板15上昇量に関しては、底板15を昇降させる昇降駆動モータ65(
図7参照)がステッピングモータのときは、ステッピングモータの送りパルスで制御することができる。昇降駆動モータ65が、DCモータのときは、エンコーダを用いて上昇量を制御することができる。
【0068】
また、用紙残量が閾値未満のときの底板15の上昇量X2[mm]を、ユーザーにより調整できるようにしてもよい。例えば、坪量が極端に大きく極端に重い用紙などは、底板15が上昇してもすぐに浮上せず、徐々に上昇する。すなわち、坪量が極端に大きく極端に重い用紙は、底板15の上昇で、浮き上がるまでタイムラグが大きいのである。また、吸引装置40の吸引力も吸着ベルトからかなり近い位置でないと、十分に発揮できない。よって、このような坪量が極端に大きく極端に重い用紙などの場合は、用紙残量が閾値未満のときの底板15の上昇量が、X2[mm]でも、給紙不良となる場合がある。よって、このような場合は、ユーザーが操作部124を操作して、上昇量をX2mmよりもさらに大きく設定するのである。これにより、坪量が極端に大きく極端に重い用紙を給紙トレイ13にセットされても、ラスト紙近傍で給紙不良が発生するのを抑制することができる。
【0069】
また、上述したように、底板15上に非浮上用紙が無くなった初期の段階では、底板15の上昇遅れは僅かであり、給紙不良が生じないこともあるが、給紙を行っていくたびに、底板15の上昇遅れが大きくなっていき、浮上用紙の間隔が広がっていく。よって、底板15の上昇量を複数段階に切替えてもよい。例えば、用紙残量が閾値となったとき、用紙が給紙される毎に、底板15の上昇量を上げていってもよい。これにより、ラスト紙近傍で給紙不良が発生するのをより一層抑制することができる。
【0070】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、以下の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
用紙束Pを積載する底板15などの用紙積載部と、用紙積載部に積載した用紙束Pにエアーを吹き付けて、用紙束Pの上部の複数枚の用紙を浮上させる送風装置22などの送風手段と、用紙積載部を昇降させる昇降駆動モータ65などの昇降手段と、送風手段による浮上した浮上用紙を検知する用紙検知センサなどの反射型光学センサと、反射型光学センサの出力値に基づいて、昇降手段を制御する制御部66などの制御手段とを備えた給紙装置200において、反射型光学センサを、送風手段の送風中において浮上していない用紙からなる非浮上用紙束から複数の浮上用紙のうち最上位用紙を搬送する吸着ベルト10などの搬送部材までの間の用紙浮上領域における用紙複数枚分の範囲を検知可能に構成した。
本出願人は、反射型光学センサが用紙無しを検知したら用紙載置台を上昇させ、反射型光学センサが用紙有りを検知したら、用紙載置台の上昇を停止させる制御を行った場合の以下の課題が生じる理由について鋭意研究した。すなわち、用紙重送の発生頻度が増加したり、給紙性能に支障が生じたりするという課題である。その結果、次のこと00が原因であることが判明した。すなわち、従来においては、反射型光学センサは、発光素子から出射した光は、集光レンズにより、用紙束の先端側側面における用紙束移動方向所定の位置に集光される。この所定位置は、送風手段により用紙束の上部の用紙を浮上させる際に、最上位用紙を位置させる給紙位置である。このように、従来の反射型光学センサは、集光レンズにより発光素子の光を給紙位置に絞り、反射型光学センサの検知範囲を給紙位置を基準にして上下方向に用紙1枚に満たない範囲にして、給紙位置における用紙の「有」「無」を検知する構成であった。
【0071】
用紙束の上部側面に対して3方向(用紙束の先端側側面と、幅方向両側面)から空気を送風して、用紙束の上部の複数枚の用紙を浮上させたとき、浮上用紙の不安定挙動により浮上用紙が給紙位置に位置したり、しなかったりする。よって、給紙位置の用紙の有無を検知するように構成した反射型光学センサにおいては、浮上用紙の不安定挙動により浮上用紙が給紙位置から外れると、反射光学センサが用紙無しを検知し、非浮上用紙束を上昇させる。非浮上用紙束が上昇すると、非浮上用紙束の上部が送風手段の空気が当たる範囲に入り、用紙が浮上する。その結果、浮上用紙の枚数が多くなり、非浮上用紙束から吸着ベルトなどの搬送部材までの領域である用紙浮上領域に存在する浮上用紙の密度が高くなる(浮上用紙が密で存在する)。そのため、上記用紙浮上領域の送風手段による空気の流れによる浮上用紙の上下方向の動き(用紙さばき)が十分に行われず、複数枚の用紙が吸着ベルトに吸着し、重送が発生する。また、複数枚の浮上用紙のうち、最上位用紙が搬送された後も浮上用紙がある一定期間給紙位置に存在しつづけた場合は、反射型光学センサが、用紙有りを検知し、所定のタイミングよりも非浮上用紙束の上昇が遅れる。その結果、浮上用紙の数が減り、上記用紙浮上領域に存在する用紙の密度が低くなる(浮上用紙が疎で存在する)期間が長くなる。浮上用紙が「疎」の状態で存在すると、浮上用紙の上下方向の動きが大きくなる。これにより、次の用紙の搬送タイミングまでに、複数の浮上用紙のうち、最上位の用紙が、吸着ベルト10に接近せずに、吸着ベルトに吸着しない場合がある。その結果、給紙不良が生じる。
【0072】
このように、給紙位置の用紙の有無を検知するように構成した従来の反射型光学センサでは、上記用紙浮上領域に存在する浮上用紙の密度(浮上用紙が密で存在するか、疎で存在するか)を捉えることができない。その結果、浮上用紙の枚数が、良好な用紙さばきを行える枚数(以下、規定枚数という)よりも多くなり用紙の重送が起こったり、浮上用紙が上記規定枚数以下となる期間が長くなり、給紙不良が発生することが原因であることを突き止めたのである。
【0073】
そこで、(態様1)においては、従来の光学センサよりも用紙束昇降方向における検知範囲を広げた。具体的には、用紙浮上領域における用紙複数枚分の範囲を検知可能に構成した。これにより、用紙浮上領域の所定範囲における反射光の強弱を検知することができる。反射型光学センサの発光素子は、用紙の先端面から反射した光を受光しその受光量に基づいた電圧が出力される。従って、用紙浮上領域における浮上用紙が密で存在しているときは、反射型光学センサの検知範囲における浮上用紙の枚数が多く浮上用紙からの反射光が多くなり、反射型光学センサの出力が高くなる。一方、用紙浮上領域の浮上用紙が疎で存在しているときは、反射型光学センサの検知範囲内の浮上用紙の枚数が少なく、浮上用紙からの反射光が少なくなり、反射型光学センサの出力が低くなる。よって、反射型光学センサの出力値から、用紙浮上領域の用紙の密度(浮上用紙が密で存在するか、疎で存在するか)を光学的に検知できるのである。良好な用紙さばきを行える枚数である上記規定枚数の浮上用紙が存在しているときは、多少浮上用紙の挙動が不安定であっても、反射型光学センサの検知範囲における用紙の密度は一定であり、反射型光学センサから規定値の出力が出力される。そして、吸着ベルトにより複数枚の浮上用紙のうち、最上位用紙が搬送され、浮上用紙が減ると、反射型光学センサの検知範囲における用紙の密度が低下する。その結果、反射型光学センサの出力値が規定値よりも低下する。そのとき、用紙載置台を上昇させる制御を行い用紙束を上昇させることにより、用紙束の最上位用紙を、送風手段により浮上させることができ、上記規定枚数の浮上用紙を浮上させることができる。これにより、浮上用紙の枚数が規定の枚数よりも減った段階で、用紙束を上昇させて、浮上用紙を規定枚数にできる。
【0074】
このように、(態様1)によれば、上記用紙浮上領域における用紙複数枚分の範囲を検知できるように反射型光学センサを構成したので、上記規定枚数の用紙が浮上状態であるように、用紙束の上昇を制御でき、非浮上用紙束を過度に上昇させすぎて、用紙浮上領域の浮上用紙が密となり、重送が発生するのを抑制することができる。また、非浮上用紙束の上昇タイミングが遅れて、用紙浮上領域の浮上用紙が疎の状態が長い期間続いて、搬送タイミングとなっても吸着ベルトに浮上用紙の最上用紙が吸着せずに給紙不良が生じるという不具合が発生するのを抑制することができる。
【0075】
また、(態様1)によれば、使用環境や用紙の種類などの用紙の状態によって、浮上用紙の不安定挙動が多少変動しても、反射型光学センサの検知範囲における用紙の密度が変動することがほとんどなく、反射型光学センサから規定値の出力を出力することができる。従って、使用環境や用紙の種類などの用紙の状態毎に規定値を用意する必要がなく、また、事前評価を行う必要もない。よって、使用環境や用紙の種類などの用紙の状態毎の事前評価などが必要な特許文献1に記載の構成に比べて、製造のコストアップを抑えることができる。また、規定値を記憶するメモリの容量の増大を抑えることができる。また、使用環境、用紙の種類などを検知する手段を設ける必要もなく、部品点数の増加を抑え、装置のコストアップを抑えることができる。
【0076】
(態様2)
(態様1)において、制御部66などの制御手段は、用紙検知センサなどの反射型光学センサの出力値が、閾値β以下のとき、底板15などの用紙載置部が上昇するように、昇降駆動モータ65などの昇降手段を制御する。
これにより、実施形態で説明したように、吸着ベルト10と用紙束との間に、一定枚数の用紙を浮上させることができ、給紙不良を抑制することができる。
【0077】
(態様3)
(態様1)または(態様2)において、前記送風手段による送風を開始する際に用紙束の最上位用紙を位置させる給紙位置を基準にして、少なくとも上方向に前記用紙束の用紙複数枚分の検知範囲を有する。
かかる構成を備えることで、反射型光学センサの出力値から、用紙束が給紙位置にあるか否かを検知することができる。これにより、浮上用紙の状態を検知するセンサと、送風前の用紙束の上面が給紙位置に到達したことを検知するセンサとを設ける場合に比べて、装置を安価にすることができる。
【0078】
(態様4)
(態様3)によれば、用紙の種類により、給紙位置を変更する。
底板15などの用紙積載部に載置される用紙が厚紙などの重量のある用紙の場合は、送風装置22などの送風手段や吸引装置40の吸着力では、十分に持ち上げることができず、吸着ベルト10に吸着できない場合がある。このように、用紙の種類によって、送風装置22や吸引装置40による持ち上げやすが異なり、吸着ベルトへの吸着しやすが異なる。よって、用紙の種類によって、給紙可能位置を変更することにより、良好に吸着ベルト10に用紙を吸着させることができる。
【0079】
(態様5)
(態様4)において、同特性の反射型光学センサを、用紙束の昇降方向に複数配置した。
これにより、用紙の給紙位置を可変にすることができる。
【0080】
(態様6)
(態様5)において、複数の反射型光学センサを、同一の固定部材140に取り付けた。これにより、各反射型光学センサをそれぞれ別の固定部材に取り付ける場合に比べて、部品点数を低減でき、給紙装置のコストダウンを図ることができる。
【0081】
(態様7)
(態様6)において、固定部材140は、固定部材140の装置本体への取り付け位置が用紙束の昇降方向に調整可能な長穴140aなどの調整手段を備える。
これによれば、実施形態で説明したように、固定部材140の用紙束の昇降方向における装置本体への取り付け位置を調整することにより、固定部材140に取り付けられた用紙検知センサなどの反射型光学センサの検知位置の用紙束昇降方向の微調整を行うことができる。
【0082】
(態様8)
(態様1)乃至(態様7)において、底板15などの用紙積載部に積載された用紙の残量を検出する制御部66などの用紙残量検出手段を備え、制御部66などの制御手段は、用紙検知センサなどの反射型光学センサの出力値が閾値以下のとき、前記用紙載置部が所定量上昇するように昇降駆動モータ65などの昇降手段を制御するものであって、反射型光学センサの出力値が閾値以下のときに用紙載置部を上昇させる上昇量を、用紙残量検出手段の検出結果に基づいて変更する制御部66などの上昇量変更手段を備えた。
これによれば、
図20、
図21などを用いて説明したように、給紙不良が発生するのを抑制することができる。
【0083】
(態様9)
(態様8)において、制御部66などの上昇量変更手段は、制御部66などの用紙残量検出手段が検出した用紙残量が閾値未満のとき、底板15などの用紙載置部の上昇量を増やす。
これにより、
図20、
図21などを用いて説明したように、用紙残量が閾値未満となり、底板15などの用紙積載部に積載した用紙束Pにエアーを吹き付けて複数の用紙を浮上させたとき用紙積載部に用紙が無い状態でも、底板15などの用紙載置部の上昇により、浮上用紙を十分に押し上げることができる。これにより、複数の浮上用紙のうち、最上位の浮上用紙と、吸着ベルト10などの搬送部材との間が広がりすぎるのを抑制することができる。その結果、吸引装置40などの吸引手段の吸引力が十分作用する範囲に最上位の浮上用紙を位置させることができ、搬送部材に吸着した用紙が搬送された後、次の用紙の搬送タイミングまでに最上位浮上用紙を、搬送部材に吸着させることができる。これにより、底板15などの用紙積載部に非浮上用紙が無い状態のときでも、給紙不良が生じることなく、良好に用紙を搬送することができる。
【0084】
(態様10)
(態様8)または(態様9)において、制御部66などの上昇量変更手段は、底板15などの用紙積載部に積載されている用紙の坪量が閾値以上のとき、制御部66などの用紙残量検出手段の検出結果に基づいて、用紙載置部の上昇量を変更する。
これによれば、
図21を用いて説明したように、坪量の多い重い用紙は、坪量の少ない軽い用紙に比べて、吸引装置40などの吸引力で吸引されにくい。吸引手段の吸引力は、吸引手段から離れるほど、小さくなるため、坪量の多い重い用紙の場合は、搬送部材から離れると、吸引手段の吸引力で吸着ベルト10などの搬送部材に吸引させることができない。その結果、坪量の小さい軽い用紙に比べて、給紙不良が発生しやすい。よって、坪量の多い重い用紙のときは、用紙残量が少なくなった(底板15に非浮上用紙がなくなる用紙枚数)のとき、底板15の上昇量を増やすことで、底板15により十分に浮上用紙を押し上げて、最上位の浮上用紙を搬送部材に近づけることができる。これにより、坪量の多い重い用紙でも、最上位の用紙を吸引手段の吸引力により搬送部材へ移動させることができ、最上位の浮上用紙を次の用紙搬送タイミングまでに搬送部材に吸着させることができる。これにより、坪量の多い重い用紙におけるラスト近傍でも給紙不良を抑制することができる。
【0085】
(態様11)
(態様10)において、同特性の用紙検知センサなどの反射型光学センサを、用紙束の昇降方向に複数配置し、用紙積載部に積載されている用紙の坪量に応じて、使用する反射型光学センサを変更するものであって、上昇量変更手段は、規定の反射型光学センサが使用されているとき、用紙残量検出手段の検出結果に基づいて、底板15などの用紙載置部の上昇量を変更する。
(態様11)によれば、実施形態で説明したように、底板15などの用紙積載部に積載されている用紙の坪量に直接紐付けて、用紙残量検出手段の検出結果に基づいて、底板15などの用紙載置部の上昇量を変更する制御を行うか否かを判断しなくてもても、使用する用紙検知センサなどの反射型光学センサに紐付けて用紙残量検出手段の検出結果に基づいて、底板15などの用紙載置部の上昇量を変更する制御を行うか否かを判断することができる。
【0086】
(態様12)
(態様10)または(態様11)において、ユーザーにより、上昇量変更手段を行うように設定することができるようにした。
これによれば、実施形態で説明したように、環境などの諸条件により、用紙の坪量が閾値以下のときにおいて、用紙残量ラスト近傍で、給紙不良が発生するなどしたとき、ユーザーの操作により、上昇量変更手段を実行するように設定することができる。これにより、底板15などの用紙積載部の上昇量が増加して、用紙残量ラスト近傍での、給紙不良を抑制することができる。
【0087】
(態様13)
(態様8)乃至(態様12)において、上昇量変更手段が変更する上昇量を、ユーザーにより設定可能にした。
これによれば、実施形態で説明したように、坪量が極端に多く、極端に重い用紙のときなど、上昇量変更手段を実行してもラスト紙近辺で給紙不良が発生する場合は、ユーザーにより底板の上昇量を多く設定する。これにより、坪量が極端に多く、極端に重い用紙のときでも、ラスト紙近辺で給紙不良が発生するのを抑制することができる。
【0088】
(態様14)
(態様8)において、上昇量変更手段は、用紙残量検出手段の検出結果に基づいて、複数段階上昇量を変更する。
これによれば、実施形態で説明したように、底板15などの用紙積載部の上昇の遅れは、徐々に大きくなり、吸着ベルトと最上位浮上用紙との間隔は、用紙搬送のたびに徐々に広がるものである。よって、用紙残量が少なくなるにつれて、用紙積載部の上昇量を段階的に増加させれば、給紙不良を良好に抑制することができる。
【0089】
(態様15)
用紙に画像を形成する画像形成装置100などの画像形成手段と、画像形成手段へ向けて用紙を給紙する給紙装置200などの給紙手段とを備えた画像形成装置において、上記給紙手段として、(態様1)乃至(態様14)いずれかの給紙装置を用いた。
かかる構成を備えることで、給紙不良を抑制し、用紙ジャムの発生を抑制することができる。
【0090】
(態様16)
少なくとも用紙に画像を形成する画像形成手段を備えた画像形成装置100と、画像形成装置100へ向けて用紙を給紙する給紙装置200とを備えた画像形成システム1において、上記給紙装置として、(態様1)乃至(態様14)いずれかの給紙装置を用いた。
かかる構成を備えることで、給紙不良を抑制し、用紙ジャムの発生を抑制することができる画像形成システムを提供することができる。