(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態.
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1にて、画像形成装置の全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、4は感光体ドラム5上にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像を用紙P(シート)に転写する転写部(画像形成部)、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部、12〜14は転写紙等の用紙Pが収納された給紙部、17、18は転写部7に向けて用紙Pを搬送するレジストローラ(タイミングローラ)、20は用紙P上の未定着画像を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着ローラ、22は定着装置20に設置された加圧ローラ、30はオモテ面に画像が形成された後の用紙Pを反転して画像形成部に向けて搬送する両面搬送部、を示す。
また、40は画像形成装置本体1から排紙されて搬入された用紙Pに折り処理を施す用紙折り処理装置、50は用紙折り処理装置40における折り処理装置主部、70は用紙折り処理装置40における押圧部(増し折り処理部)、90は用紙折り処理装置40から排紙されて搬入された用紙Pに折り処理以外の後処理(綴じ処理、穿孔処理などである。)を施す後処理装置、92は後処理後の用紙P(又は、用紙束)が排出されて積載される排紙トレイ、を示す。用紙折り処理装置40や後処理装置90は、それぞれ、画像形成装置本体1に対して着脱可能に設置されている。
【0011】
図1を参照して、画像形成装置本体1における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、作像部4の感光体ドラム5上に向けて発せられる。
【0012】
一方、作像部4において、感光体ドラム5は図中の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム5上に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。
その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、画像形成部としての転写部7で、レジストローラ17、18により搬送された用紙P上に転写される。
【0013】
一方、転写部7(画像形成部)に搬送される用紙Pは、次のように動作する。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部12、13、14のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部12が選択されたものとする。)。
そして、給紙部12に収納された用紙Pの最上方の1枚が、搬送経路K1の位置に向けて搬送される。
【0014】
その後、用紙Pは、複数の搬送ローラが配設された搬送経路K1を通過して、レジストローラ17、18の位置に達する。そして、レジストローラ17、18の位置に達した用紙Pは、感光体ドラム5上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7(画像形成部)に向けて搬送される。
【0015】
そして、転写工程後の用紙Pは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達した用紙Pは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間に送入されて、定着ローラ21から受ける熱と双方の部材21、22から受ける圧力とによって画像が定着される。画像が定着された用紙Pは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間(ニップ部である。)から送出された後に、画像形成装置本体1から排出される。
【0016】
なお、用紙Pの両面(オモテ面とウラ面とである。)へのプリントをおこなう「両面プリントモード」が選択されている場合には、オモテ面への定着工程が終了した用紙Pは、上述した「片面プリントモード」が選択されているときのようにそのまま排紙されることなく、両面搬送経路K2に導かれて、両面搬送部30で搬送方向が反転された後に、再び転写部7(画像形成部)の位置に向けて搬送される。そして、転写部7の位置で先に説明したものと同様の画像形成プロセスによって用紙Pのウラ面への画像形成がおこなわれ、その後に定着装置20での定着工程を経て、搬送経路を通過して、画像形成装置本体1から排出される。
【0017】
ここで、本実施の形態では、画像形成装置1に用紙折り処理装置40が設置されていて、画像形成装置本体1から排出された用紙Pが用紙折り処理装置40に搬送されて、搬送された用紙Pに対して必要に応じて所望の折り処理が施されることになる。
また、本実施の形態では、画像形成装置1に用紙折り処理装置40を介して後処理装置90が設置されていて、画像形成装置本体1から排出された用紙Pが用紙折り処理装置40を介して後処理装置90に搬送されて、搬送された用紙Pに対して必要に応じて折り処理以外の所望の後処理が施されることになる。
そして、用紙折り処理装置40や後処理装置90によって所望の後処理が施された用紙P(又は、用紙束)は、後処理装置90から排出されて排紙トレイ92上に積載されることになる。
【0018】
次に、
図2〜
図6を用いて、用紙折り処理装置40における折り処理装置主部50の構成・動作について詳述する。
図2を参照して、折り処理装置主部50には、画像形成装置本体1から矢印方向に搬入された用紙Pが搬送される第1搬送経路K3、第1搬送経路K3から後処理装置90に直接的に向かう搬送経路となる第2搬送経路K4、第1搬送経路K3と第2搬送経路K4との合流部から斜め下方(画像形成装置本体1側である。)に向かい折り処理時の反転経路となる第3搬送経路K5、第3搬送経路K5と後処理装置90とを中継する搬送経路となる第4搬送経路K6、が設けられている。
【0019】
第1搬送経路K3には、搬送経路に沿って、その位置における用紙Pの有無を検知する第1紙検知センサ61(フォトセンサ)、第1モータ57によって搬送方向に沿うように回転駆動される第1搬送ローラ対51、が配設されている。
第2搬送経路K4には、その位置における用紙Pの有無を検知する第2紙検知センサ62(フォトセンサ)が配設されている。
第3搬送経路K5には、正逆転モータである第2モータ58によって正逆双方向に回転駆動される第2搬送ローラ対56、その位置における用紙Pの有無を検知する第3紙検知センサ63(フォトセンサ)、が配設されている。
第4搬送経路K6には、押圧部70(
図7等を参照できる。)が設けられている。なお、押圧部70(増し折り処理部)の構成・動作については、後で
図7〜
図12等を用いて詳しく説明する。
【0020】
また、4つの搬送経路K3〜K6が合流する部分には、第1折りローラ52、第2折りローラ53、第3折りローラ54、第4折りローラ55が設けられている。第1折りローラ52は、正逆転モータである第3モータ59によって正逆双方向に回転駆動されるように構成されている。第2折りローラ53(正逆転ローラ)は、第1搬送経路K3と第2搬送経路K4との合流部近傍で第1折りローラ52に圧接して、第1折りローラ52の正逆双方向の回転にともない従動回転して、第1折りローラ52と搬送ローラ対を構成している。第3折りローラ54は、4つの搬送経路K3〜K6の合流部で第1折りローラ52に圧接して、第1折りローラ52の正逆双方向の回転にともない従動回転して、第1折りローラ52と搬送ローラ対を構成している。第4折りローラ55は、第3搬送経路K5と第4搬送経路K6との合流部近傍で第1折りローラ52に圧接して、第1折りローラ52の正逆双方向の回転にともない従動回転して、第1折りローラ52と搬送ローラ対を構成している。
第1折りローラ52と第3折りローラ54とは、用紙Pに対して折り処理を施す第1の折りローラ対として機能する。また、第1折りローラ52と第4折りローラ55とは、用紙Pに対して折り処理を施す第2の折りローラ対として機能するとともに、折り処理が施された用紙Pを押圧部70(増し折り処理部)に向けて搬送する上流側搬送ローラ対(上流側搬送部材)として機能する。
【0021】
このように構成された折り処理装置主部50において、用紙Pに対して折り処理を施さない場合には、用紙Pは第1搬送ローラ対51によって第1搬送経路K3を搬送された後に、第2搬送経路K4において正方向の搬送方向に沿うように搬送ローラ対として回転駆動される第1、第2折りローラ52、53によってストレート搬送されて、そのまま後処理装置90に向けて搬送されることになる。
【0022】
一方、用紙Pに
図6(A)に示すような「Z折り」を施す場合には、折り処理装置主部50は、
図3(A)〜(H)に示すように動作することになる。
まず、
図3(A)、(B)に示すように、画像形成装置本体1から折り処理装置主部50(用紙折り処理装置40)に用紙Pが搬入されると、用紙Pの先端が第1紙検知センサ61によって検知されて、第1搬送ローラ対51の回転駆動が開始される。
そして、
図3(C)に示すように、第1搬送ローラ対51によって用紙Pが搬送されて、さらに第1折りローラ52が反時計方向に回転駆動されて第1、第2折りローラ52、53によって用紙Pの先端部が第2搬送経路K4に搬送される。そして、用紙Pの先端部が第1、第2折りローラ52、53のニップから所定距離だけ突き出した状態で用紙Pの正方向(左方向)への搬送が停止される。具体的に、第2紙検知センサ62によって用紙Pの先端が検知されてから所定時間が経過した後に、第1折りローラ52の反時計方向の駆動が停止される。なお、このときの第1、第2折りローラ52、53のニップからの用紙Pの突出量は、用紙長さや折り処理の種類などによって最適な値に可変される。
【0023】
そして、
図3(D)に示すように、第1搬送ローラ対51を回転駆動したまま、第1折りローラ52を時計方向に回転駆動(逆回転)する。これにより、合流部において用紙Pに撓みが形成される。そして、その用紙Pの撓みを第1、第3折りローラ52、54のニップに進入させて加圧することで、用紙Pに第1の折り部(後端側折り部Pbである。)を形成する。
その後、
図3(E)に示すように、第1の折り部(折り目)が形成された用紙Pは、折り部側を先頭にして第3搬送経路K5に向けて搬送される。そして、
図3(F)に示すように、用紙Pは、正方向に回転する第2搬送ローラ対56によって折り部側が第3搬送経路K5の奥側に進むように搬送される。
【0024】
そして、
図3(G)に示すように、第2搬送ローラ対56のニップからの用紙Pの突出量が所定値になるように、第3紙検知センサ63によって折り部が検知されてから所定時間後に第2搬送ローラ対56の回転方向が逆転される。なお、このときの第2搬送ローラ対56のニップからの用紙Pの突出量は、用紙長さや折り処理の種類などによって最適な値に可変される。
そして、このような第2搬送ローラ対56の逆回転による用紙Pの折り部側の搬送と、第1搬送ローラ対51や第1、第3折りローラ52、54による用紙Pの搬送と、により、
図3(G)に示すように、合流部において用紙Pに撓みが形成される。そして、その用紙Pの撓みを第1、第4折りローラ52、55のニップに進入させて加圧することで、用紙Pに第2の折り部(先端側折り部Paである。)を形成する。
その後、
図3(H)に示すように、第1の折り部に加えて第2の折り部が形成された用紙P(Z折り処理がされた用紙Pである。)は、第2の折り部側を先頭にして第4搬送経路K6に向けて搬送される。そして、用紙Pは、押圧部70による2つの折り部への増し折り処理がされた後に、後処理装置90に向けて搬送されることになる。
【0025】
なお、用紙Pに
図6(B)に示すような「内3つ折り」を施す場合には、折り処理装置主部50は、
図4(A)〜(H)に示すように動作することになる。
また、用紙Pに
図6(C)に示すような「外3つ折り」を施す場合には、折り処理装置主部50は、
図5(A)〜(H)に示すように動作することになる。
図4、
図5に示す折り処理装置主部50のいずれの動作も、
図3に示す折り処理装置主部50の動作と基本的に変わらない。ただし、
図4(C)、
図5(C)に示す第1、第2折りローラ52、53のニップからの用紙Pの突出量や、
図4(F)、
図5(F)に示す第2搬送ローラ対56のニップからの用紙Pの突出量は、折り処理の種類によって可変されている。具体的に、
図3に示すZ折り処理時、
図4に示す内3つ折り処理時、
図5に示す外3つ折り処理時では、それぞれ、第1折りローラ52の回転方向を逆転するタイミングと、第2搬送ローラ対56の回転方向を逆転するタイミングと、が異なることになる。
【0026】
以下、
図7〜
図12等を用いて、本実施の形態において特徴的な、用紙折り処理装置40の構成・動作について詳述する。
先に
図2等を用いて説明したように、本実施の形態における用紙折り処理装置40には、折り処理装置主部50に加えて、押圧部70(増し折り処理部)が設けられている。折り処理装置主部50は、所定の搬送方向に搬送される用紙Pに対して搬送方向の異なる位置にそれぞれ折り部Pa、Pb(折り目)を形成できるように構成されたものである。また、押圧部70は、折り処理装置主部50によって折り処理がされた後の用紙Pに形成された折り部Pa、Pbを押圧できるように形成されたものである。
【0027】
ここで、本実施の形態における用紙折り処理装置40は、連続的に搬送される用紙Pに対して折り処理装置主部50によって折り処理がそれぞれされるときに、折り処理装置主部50によって折り処理がされた先行の用紙P1に形成された搬送方向後端側の折り部P1b(後端側折り部)と、折り処理装置主部50によって折り処理がされた後続の用紙P2に形成された搬送方向先端側の折り部P2a(先端側折り部)と、を双方の用紙P1、P2が搬送方向に並んだ状態で押圧部70によって同時に押圧できるように構成されている(
図10(C)等を参照できる)。
【0028】
詳しくは、
図7等を参照して、用紙折り処理装置40における押圧部70の近傍には、上流側搬送部材としての第1、第4折りローラ52、55(上流側搬送ローラ対)、下流側搬送部材としての下流側搬送ローラ対75、用紙検知手段としての第4紙検知センサ64、などが設置されている。
上流側搬送部材としての第1、第4折りローラ52、55(上流側搬送ローラ対)は、押圧部70に対して搬送方向上流側に配設されて、用紙Pを搬送可能に形成されている。第1、第4折りローラ52、55は、押圧部70に向けて折り処理後(増し折り処理前)の用紙Pを搬送するためのものであって、先に
図2、
図3等を用いて説明したように第2の折りローラ対としても機能するものである。第1、第4折りローラ52、55は、第3モータ59によって、第4搬送経路K6における搬送方向に沿った回転と回転停止とを任意のタイミングでおこなえるように構成されている。
下流側搬送ローラ対75(下流側搬送部材)は、押圧部70に対して搬送方向下流側に配設されて、用紙Pを搬送可能に形成されている。下流側搬送ローラ対75は、押圧部70によって増し折り処理がされた後の用紙Pを後処理装置90に向けて搬送するためのものである。下流側搬送ローラ対75は、不図示のモータ(第4モータ)によって、搬送方向に沿った回転と回転停止とを任意のタイミングでおこなえるように構成されている。
第4紙検知センサ64(用紙検知手段)は、押圧部70に対して搬送方向上流側であって第1、第4折りローラ52、55に対して搬送方向下流側に配設されたフォトセンサであって、その位置における用紙Pの有無を検知するためのものである。
【0029】
そして、第4紙検知センサ64(用紙検知手段)の検知結果に基いて、先行の用紙P1における搬送方向後端側の折り部P1b(後端側折り部)が押圧部70の押圧位置M(
図12等を参照できる。)に位置するように下流側搬送ローラ対75(第4モータ)を制御して、後続の用紙P2における搬送方向先端側の折り部P2a(先端側折り部)が押圧部70の押圧位置Mに位置するように第1、第4折りローラ52、55(第3モータ59)を制御した後に、双方の用紙P1、P2の折り部P1b、P2aを押圧部70によって同時に押圧することになる。
【0030】
このように、連続通紙される先行の用紙P1の後端側折り部P1bと後続の用紙P2の先端側折り部P2aとをワンアクションで押圧部70によって増し折り処理することにより、Z折り、内3つ折り、外3つ折り等のように用紙Pの複数箇所に折り部を形成する場合であっても、それらを別々に増し折り処理する場合に比べて、全体の処理スピードを格段に速くすることができる。また、このような増し折り処理をおこなうことで、複数の用紙Pを完全に重ねた状態で増し折り処理する場合に比べて、増し折り処理時に折り部にかかる加圧力の大きさを充分に確保することができるとともに、先行する用紙をスタックするための搬送経路やスペースを特別に設ける必要がないため、装置が大型化・高コスト化する不具合を防止することができる。
【0031】
ここで、
図7等を参照して、本実施の形態において、押圧部70は、押圧ローラ71、ガイド板72、圧縮スプリング73(付勢部材)、等で構成されている。
押圧ローラ71は、搬送される用紙Pの下方に対向するように配設されて、用紙Pの搬送方向に沿うように回転するローラ部材である。
図8に示すように、押圧ローラ71は、軸部71a上にローラ部71bが形成されている。押圧ローラ71のローラ部71bには、搬送される用紙Pに対する幅方向中央位置71b2を基準として幅方向(
図7の紙面垂直方向であって、押圧ローラ71の回転軸方向である。)の両端部にそれぞれ向かうように略螺旋状の凸部71b1が略線対称に巻装されている。図示は省略するが、押圧ローラ71は、一端側の軸部71aに駆動モータからの駆動力が伝達されるように構成されていて、他端側の軸部71bにホームポジションセンサ(HPセンサ、透過型フォトセンサ)によって回転位置(凸部71b1の位置)を検知するための検知板が設置されている。
ガイド板72は、搬送される用紙Pの上方であって押圧ローラ71に対向するように配設されている。また、ガイド板72の上方には圧縮スプリング73が設置されていて、ガイド板72が上方に変位又は変形しようとしたときにそれを抑えるようにガイド板72を付勢する。
そして、このように構成された押圧部70において、用紙Pが第4搬送経路K6においてガイド板72に沿うように搬送されて、押圧ローラ71の回転によって用紙Pの折り部Pa、Pbが凸部71b1とガイド板72との間に挟まれて加圧されることで、折り部Pa、Pbが増し折り処理されて、折り部Pa、Pbがさらに薄く見栄え良く折り処理されることになる。このとき、押圧ローラ71の凸部71b1は、上述したように中央位置基準で略線対称に螺旋状に形成されているため、押圧ローラ71の回転にともない折り部Pa、Pbが幅方向中央部から幅方向両端部にかけて順次加圧されて、加圧力が分散することなくバランスよく増し折り処理が施されることになる。
【0032】
以下、
図9(A)〜(D)、
図10(A)〜(D)にて、折り処理装置主部50にて「内3つ折り」された用紙P1、P2が連続的に押圧部70に搬送されるときの、押圧部70の動作について説明する。
図9(A)に示すように、まず、先行の用紙P1(内3つ折りされたものであって、連続通紙の1枚目の用紙P1である。)は、第1、第4折りローラ52、55(上流側搬送ローラ対)によって搬送されて、その先端部(先端側折り部P1a)が第4紙検知センサ64によって検知される。
そして、
図9(B)に示すように、第4紙検知センサ64の位置から先端側折り部P1aが所定距離X1だけ移動して、押圧位置M(押圧ローラ71とガイド板72とが対向する位置である。)に先端側折り部P1aが停止するように、第1、第4折りローラ52、55(第3モータ59)が駆動制御される。
そして、
図9(C)に示すように、上述したホームポジションセンサ(HPセンサ)によって回転位置が制御された押圧ローラ71を回転駆動して、先行の用紙Pの先端側折り部P1aへの増し折り処理をおこなう。その後、
図9(D)に示すように、押圧ローラ71がホームポジションまで回転されて停止されるとともに、第1、第4折りローラ52、55(上流側搬送ローラ対)と下流側搬送ローラ対75とによって先行の用紙P1が搬送されて、その後端部(後端側折り部P1b)が第4紙検知センサ64によって検知される。そして、第4紙検知センサ64の位置から後端側折り部P1bが所定距離X2だけ移動して、押圧位置Mに後端側折り部P1bが停止するように、下流側搬送ローラ対75(第4モータ)が駆動制御される。
【0033】
そして、
図10(A)に示すように、先行の用紙P1が待機(搬送停止)した状態で、後続の用紙P2(内3つ折りされたものであって、連続通紙の2枚目の用紙Pである。)は、第1、第4折りローラ52、55によって搬送されて、その先端部(先端側折り部P2a)が第4紙検知センサ64によって検知される。
そして、
図10(B)に示すように、第4紙検知センサ64の位置から先端側折り部P2aが所定距離X1だけ移動して、押圧位置Mに先端側折り部P2aが停止するように、第1、第4折りローラ52、55(第3モータ59)が駆動制御される。このとき、押圧位置には、先行の用紙P1の後端側折り部P1bと、後続の用紙P2の先端側折り部P2aと、が若干の隙間をあけて並んだ状態になっている。
そして、
図10(C)に示すように、ホームポジションにあった押圧ローラ71を回転駆動して、先行の用紙P1の後端側折り部P1bと、後続の用紙P2の先端側折り部P2aと、への増し折り処理をおこなう。その後、
図10(D)に示すように、押圧ローラ71がホームポジションまで回転されて停止されるとともに、下流側搬送ローラ対75によって先行の用紙P1が後処理装置90に向けて搬送されて、第1、第4折りローラ52、55と下流側搬送ローラ対75とによって後続の用紙P2が搬送されて、その後端部(後端側折り部P2b)が第4紙検知センサ64によって検知される。そして、第4紙検知センサ64の位置から後端側折り部P2bが所定距離X2だけ移動して、押圧位置Mに後続の用紙P2の後端側折り部P2bが停止するように、下流側搬送ローラ対75(第4モータ)が駆動制御される。
その後、2枚目の用紙P2を先行の用紙として、さらに後続の用紙が搬送される場合には、以下、
図9(D)以降の動作が同じように繰り返される。そして、連続通紙における最後の用紙に対して、
図10(D)の状態の後に、後端側折り部への押圧ローラ71の回転による増し折り処理が施されたら、その後に下流側搬送ローラ対75によって最後の用紙が後処理装置90に向けて搬送される。
こうして、連続通紙時における、増し折り処理を含む一連の折り処理動作が完了することになる。
【0034】
図11は、
図9、
図10にて説明した制御を示すタイミングチャートであって、第4紙検知センサ64、第1、第4折りローラ52、55(上流側搬送ローラ対)、下流側搬送ローラ対75、押圧ローラ71、ホームポジションセンサ、の制御タイミングを示すものである。
ここで、本実施の形態では、押圧ローラ71を1回転させる間に、増し折り処理される用紙Pの搬送を停止するように制御しているが、押圧ローラ71の凸部71b1が押圧位置に達しているときにのみ、増し折り処理される用紙Pの搬送を停止するように制御することもできる。その場合、連続通紙時における増し折り処理の生産性がさらに向上することになる。
また、
図9、
図10の例では、折り処理装置主部50にて「内3つ折り」された複数の用紙P1、P2が連続的に押圧部70に搬送されるときの押圧部70の動作について説明したが、折り処理装置主部50にて「外3つ折り」された複数の用紙が連続的に押圧部70に搬送される場合や、折り処理装置主部50にて「Z折り」された複数の用紙が連続的に押圧部70に搬送される場合や、折り処理装置主部50にて「内3つ折り」や「外3つ折り」や「Z折り」がランダムにされた複数の用紙が連続的に押圧部70に搬送される場合であっても、ほぼ同じように押圧部70を動作させて、先行の用紙P1の後端側折り部P1bと、後続の用紙P2の先端側折り部P2aと、への増し折り処理を同時におこなうことができる。
【0035】
なお、
図12を参照して、本実施の形態において、先行の用紙P1における搬送方向後端側の折り部(後端側折り部P1b)と後続の用紙P1における搬送方向先端側の折り部(先端側折り部P2a)とを搬送方向にΔ1だけ離間させた状態で押圧部70によって同時に押圧する第1押圧モード(
図12(A)の状態で増し折り処理するモードである。)と、先行の用紙P1における搬送方向後端側の折り部(後端側折り部P1b)と後続の用紙P1における搬送方向先端側の折り部(先端側折り部P2a)とを搬送方向にΔ2だけ重ねた状態で押圧部70によって同時に押圧する第2押圧モード(
図12(B)の状態で増し折り処理するモードである。)と、を切替え可能に構成することもできる。
そして、そのような第1押圧モードと前記第2押圧モードとの切替えは、押圧部70によって押圧される用紙P1、P2の厚さ(紙厚)や種類によって可変することができる。
【0036】
具体的に、第1押圧モードと第2押圧モードとの切り替え(2つの用紙P1、P2を離間させるか、一部のみを重ねさせるか、の切り替えである。)は、
図9(D)で説明した先行の用紙P1の後端側折り部P1bの搬送距離X2と、
図10(B)で説明した後続の用紙P2の先端側折り部P2aの搬送距離X1と、の調整によっておこなうことになる。
そして、搬送される用紙P1、P2の厚さを公知の紙厚センサなどの検知手段によって予め検知して、その検知手段によって検知された用紙P1、P2の厚さが所定値以上である場合には、2つの用紙P1、P2を離間させた状態で押圧部70による加圧をしないと充分な加圧力が得られないものとして、第1押圧モードが制御上において選択される。これに対して、検知手段によって検知された用紙P1、P2の厚さが上述した所定値に達していない場合には、2つの用紙P1、P2の折り部を重ねた状態で押圧部70による加圧をおこなっても充分な加圧力が得られるものとして、第2押圧モードが制御上において選択される。
また、搬送される用紙P1、P2の種類を公知の検知手段(画像形成装置本体1の操作パネルに入力される情報などに基く検知手段である。)によって予め検知して、その検知手段によって検知された用紙P1、P2の種類が所定のもの以外である場合には、折り処理性が低くて、2つの用紙P1、P2を離間させた状態で押圧部70による加圧をしないと充分な加圧力が得られないものとして、第1押圧モードが制御上において選択される。これに対して、検知手段によって検知された用紙P1、P2の種類が上述した所定のものである場合には、折り処理性が高くて、2つの用紙P1、P2の折り部を重ねた状態で押圧部70による加圧をおこなっても充分な加圧力が得られるものとして、第2押圧モードが制御上において選択される。
このように、充分な折り処理をおこなえる範囲内で、用紙P1と用紙P2との一部が重なり搬送方向の全体の用紙長さ(複数の用紙P1、P2が占める搬送方向の長さである。)が短くなる第2押圧モードを用いることで、折り処理に関する全体的な生産性を向上させることができる。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態における用紙折り処理装置40は、連続的に搬送される用紙P1、P2に対して折り処理装置主部50によって折り処理がそれぞれされるときに、折り処理装置主部50によって折り処理がされた先行の用紙P1に形成された搬送方向後端側の折り部P1b(後端側折り部)と、折り処理装置主部50によって折り処理がされた後続の用紙P2に形成された搬送方向先端側の折り部P2a(先端側折り部)と、を双方の用紙P1、P2が搬送方向に並んだ状態で押圧部70によって同時に押圧できるように構成されている。これにより、連続的に搬送される用紙P1、P2に対してZ折り、内3つ折り、外3つ折り等のように用紙P1、P2の複数箇所に折り部を形成する場合であっても、装置が大型化・高コスト化することなく、生産性が低下することなく、それらの複数箇所の折り部に対して充分な押圧力で増し折り処理を施すことができる。
【0038】
なお、本実施の形態では、モノクロの画像形成装置1に設置された用紙折り処理装置40に対して本発明を適用したが、カラーの画像形成装置に設置された用紙折り処理装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置1における用紙折り処理装置40に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置や、孔版印刷装置などである。)における用紙折り処理装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
さらには、画像形成装置1に設置された用紙折り処理装置40ではなく、単独の装置としての用紙折り処理装置(例えば、搬送口に給紙カセットがセットされていて、用紙折り処理装置自体に処理モード等を入力する操作パネルが設置されているものである。)に対しても、本発明を適用することができる。
そして、それらの場合であっても、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0039】
また、本実施の形態において、画像形成装置本体1に用紙折り処理装置40と後処理装置90とを設置したが、後処理装置90の設置を省くこともできる。
また、本実施の形態では、画像形成装置本体1の外部に用紙折り処理装置40を着脱可能に設置したが、画像形成装置本体1に用紙折り処理装置40を内蔵するように構成することもできる。
【0040】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。