(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0009】
図1は、本実施形態の画像形成システム1の概略構成図である。
図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置100と、画像形成装置にシートを給紙する給紙装置200とを備えている。給紙装置200は、画像形成装置100本体の側面に設けられている。
【0010】
まず、本実施形態の給紙装置を適用可能なプリンター及び、同等の作像機能を有する複写機などの画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置100の概略構成図である。
この画像形成装置100は、イエロー(Y),シアン(C),マゼンタ(M),黒(K)の4色のトナーを用いるフルカラープリンタ及び、同等の作像機能を有するフルカラー複写機である。
図1に示すように、装置本体内の上部にそれぞれ各色トナーで作像を行う4つの作像ユニット101Y,101M,101C,101Kを並べて配置している。各作像ユニット101Y,101M,101C,101Kの構成とその動作は実質的に同一であるため、ここでは色を示す符号(Y,M,C,K)を省略して作像ユニットについて説明する。作像ユニット101においては、像担持体としての感光体ドラム102の周囲に、帯電器103,現像装置104,クリーニング装置105等が配置されている。また、感光体ドラム102の上方に位置して、露光手段107が配置されている。
【0011】
4つの作像ユニット101Y,101M,101C,101Kの下方には、複数の支持ローラに掛け回された中間転写ベルト108が配置されている。中間転写ベルト108は、支持ローラの一つが図示しない駆動手段によって回転駆動されることにより、矢印A方向に走行駆動される。その中間転写ベルト108を挟んで各作像ユニットの感光体ドラム102に対向するように、一次転写手段としての転写ローラ106が配置されている。
【0012】
さて、各作像ユニット101においては、感光体ドラム102が図中反時計回りに回転駆動され、帯電器103によって感光体表面が所定の極性に均一に帯電される。次いでその帯電面に、露光手段107から出射される光変調されたレーザビームが照射され、これによって感光体ドラム102上に静電潜像が形成される。その静電潜像は、現像装置104から付与されるトナーによって現像され、トナー像として可視化される。各作像ユニットで形成されたイエロー,シアン,マゼンタ,黒の各色トナー像は、中間転写ベルト108上に順次重ね合わされて転写される。
【0013】
一方、装置本体の下部には給紙トレイ114a及び114bを有する給紙部114が設けられており、この給紙部114あるいは画像形成装置100に装着される後述する給紙装置200のいずれかから記録媒体として例えば転写紙が給送される。給送された転写紙は、レジストローラ111に向けて矢印Bの如く搬送される。
【0014】
レジストローラ111に突き当てられて一旦停止された転写紙は、中間転写ベルト108上のトナー像とのタイミングを取ってレジストローラ111より送出され、二次転写ローラ109と中間転写ベルト108とが接する二次転写部に送り込まれる。その二次転写ローラ109にトナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加され、これによって中間転写ベルト108上の重ねトナー像(フルカラー画像)が転写紙上に転写される。トナー像転写後の転写紙は、搬送ベルト112により定着装置113へ搬送され、定着装置113にて熱と圧力によりトナーが転写紙に定着される。トナー像定着後の転写紙は、矢印Cで示すように機外に排出され、図示しない排紙トレイ上に排紙される。
【0015】
なお、片面印刷で裏面排紙(フェイスダウン排紙)する場合は、シート反転部115を経て矢印Cで示すように機外に排出することで、シートの表裏が逆転される。また、両面印刷の場合は、定着後のシートを両面反転部116を経て再給紙路117よりレジストローラ111へと再給紙し、シート裏面に中間転写ベルト108よりトナー像が転写される。トナー像転写後のシートは定着装置113で定着が行われ、片面印刷時と同じように定着装置113から矢印Cで示すように、あるいはシート反転部115を経て矢印Cで示すように機外に排出され、図示しない排紙トレイ上に排紙される。シート搬送方向を切り替えるための切替爪118,119が適宜配置されている。
【0016】
モノクロ印刷の場合は、本例の画像形成装置100では、黒(K)の作像ユニット101Kのみを用いてトナー像を作像し、そのトナー像を中間転写ベルト108を介して転写紙上に転写する。トナー像定着後のシートの扱いは、フルカラー印刷の場合と同様である。
【0017】
なお、装置本体の上面には、各作像ユニットの現像装置104に供給するトナーを収納した各色トナーボトル121をセットするトナーボトルセット部120が設けられている。また、表示部122及び操作パネル123を有する操作部124も装置本体の上面に設けられている。さらに、装置本体の図において右側の側面には、後述する給紙装置(
図3参照)からのシート搬入部Dが設けられている。シート搬入部Dにおいては、シートを受け入れる開口125と、シートを搬送する搬送手段126が設けられている。
【0018】
図3は、装置本体の側面に設けられる本実施形態の給紙装置200の全体の概略構成図である。また、
図4、
図5、
図6は、前記給紙装置200の内部構造を示す斜視図である。
図3に示すように、給紙装置200は、複数枚のシートPを積載可能な給紙トレイ30と、シートPを吸着して搬送する吸着部材としての吸着ベルト41等を有する吸着ベルトユニット40を備えている。なお、上記シートPには、厚紙、はがき、封筒、普通紙、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等を含む。また、本実施形態に係る給紙装置は、OHPシートもしくはOHPフィルム等も供給可能に構成されている。
【0019】
図4に示すように、給紙トレイ30は、シート載置台たる底板31と、底板31上に積載されたシート束の搬送方向前端を位置決めするフロントフェンス36と、シート束の幅方向の両端を位置決めする一対のサイドフェンス32と、シート束の搬送方向後端を位置決めするエンドフェンス33とを有している。
【0020】
エンドフェンス33は、シート搬送方向にスライド移動可能に給紙トレイ30の底面30aに取り付けられている。これにより、積載されるシートサイズに対応する位置にエンドフェンス33をスライド移動させることができ、種々のシートサイズを積載可能となっている。
【0021】
図3に示すように、吸着ベルト41は、給紙トレイ30に積載されたシートPの上方に配設されている。吸着ベルト41には複数の吸引口が設けてある。吸着ベルト41の内部には、吸引装置42が配置されている。吸引装置42により各吸引口から吸引されるエアによって吸着ベルト41の下面にシートを吸着するようになっている。また、吸着ベルト41は複数のローラによって張架されており、それらローラの1つが回転駆動することにより吸着ベルト41は図の矢印の方向へ回転するようになっている。また、吸着ベルト41よりもシート搬送方向の下流側には、シートPを搬送する搬送ローラ対50と、搬送されるシートPを検知するシート検知センサ60とが順に配設されている。
【0022】
給紙トレイ30の上方には、給紙トレイ30に積載されたシート束の上面の位置を検知するための上面位置検知装置70が設けてある。上面位置検知装置70は、シート束の上面に当接すると共に揺動可能に構成されたアクチュエータ71と、アクチュエータ71の揺動を検知する揺動検知センサ72を有する。シート束からシートが供給され、シート束の高さが低くなるのに伴ってアクチュエータ71が揺動するようになっている。アクチュエータ71の揺動量を揺動検知センサ72が検知し、そのときの検知信号に基づいて図示しない押上げ手段が給紙トレイ30の底板31を上昇させる。これにより、シート束の最上面から吸着ベルト41までの高さh(距離)が一定になるように制御される。
【0023】
給紙トレイ30のシート搬送方向の前方には、給紙トレイ30に積載されたシートPにエアを吹きかけるエア噴出手段としてのブロワ80が設けられている。また、給紙トレイ30のフロントフェンス36の上端部に、最上位置のシート以外のシート(最上位置から2枚目以降のシート)が搬送方向に移動するのを規制する規制部材34が設けてある。規制部材34は、給紙トレイ30に積載されたシート束の最上位置よりも上方へ突出するように配設されている。
【0024】
上記ブロワ80は、
図5に示すように、シートを浮上させるためにエアを噴出する浮上用ノズル81と、最上位置のシートとそれより下の2枚目以降のシートとを分離させるためにエアを噴出する分離用ノズル82とを有している。分離用ノズル82はシート幅方向の中央部に対応して配設され、浮上用ノズル81はシート幅方向の両端部側に対応して配設されている。また、分離用ノズル82に対向した位置に規制部材34が配設されている。
【0025】
また、
図3に示すように、エンドフェンス33の上部には、エンドフェンス33よりも積載されたシートP側へ突出した押圧部材35が設けてある。
図6に示す実施形態では、押圧部材35は2つ設けているが、押圧部材35の個数は1つであってもよいし、3つ以上であっても構わない。
【0026】
本実施形態の給紙装置200では、給紙トレイ30は給紙装置200本体の構造体に固定されており、給紙トレイ30は給紙装置200本体に対して
図3中の手前側に引き出すことが可能となっている。
図5に示す取っ手部68をユーザーが握って図中の手前側に引っ張ることで、給紙トレイ30を引き出すことができる。給紙トレイ30を引き出すことで、二つのサイドフェンス32と、フロントフェンス36と、エンドフェンス33とによって囲まれた領域の上方から用紙Pの積載や取り出しが可能となる。
【0027】
図7は、押圧部材35について示す概略構成図である。
図7に示すように押圧部材35は、エンドフェンス33に対して突出・収納可能に構成されている。押圧部材35は、エンドフェンス33内に設けた図示しないコイルスプリングなどの弾性部材によって図の左側へ付勢されており、これにより、通常、押圧部材35はエンドフェンス33から突出した状態に配設されている。一方、押圧部材35をエンドフェンス側に押し込む力が生じた場合は、不図示の弾性部材が潰され、押圧部材35は図の右側に変位し、押圧力が発生する。なお、弾性部材としては、コイルスプリング以外に、板バネやゴム、スポンジ等を用いることも可能である。あるいは、押圧部材35自体を弾性部材で構成してもよい。
【0028】
次に、給紙装置200の給紙動作について説明する。
画像形成装置100本体の不図示の制御部からの給紙開始の命令が来ると、
図8に示すように、吸着ベルト41を停止した状態で分離手段たるブロワ80の送風及び吸引装置42の吸引を開始する。ブロワ80の送風を開始することで図中矢印Aで示すように用紙Pの前端部に空気が吹き付けられて、積載されたシートPの最上位シートP1が浮上する。吸引装置42が吸引を開始することで、図中矢印Bで示すように吸引装置42の下方に負圧が発生し、浮上した最上位シートP1が吸着ベルト41に吸着する。
【0029】
ブロワ80の送風及び吸引装置42の吸引が開始してから所定時間(例えば3秒)経過後に、
図9で示すように、ブロワ80及び吸引装置42を作動させたままの状態で、吸着ベルト41及び搬送ローラ対50の駆動を開始する。吸着ベルト41に駆動が伝達され、吸着ベルト41が図中の矢印C方向(時計回り方向)に表面移動することで吸着ベルト41の下面に吸着した最上位シートP1が搬送方向下流側に向けて搬送される。そして、搬送ローラ対50に到達し、搬送ローラ対50が図中矢印G方向に回動することによって、最上位シートP1がさらに下流側に向けて搬送される。
【0030】
図10に示すように、吸着ベルト41と搬送ローラ対50とによって搬送された最上位シートP1の先端がシート検知センサ60によって検知されると吸着ベルト41の駆動を停止する。
このように吸着ベルト41の駆動を停止させる制御を行うのは次の理由による。すなわち、吸着ベルト41を駆動させ続けると、最上位シートP1が搬送されて吸引装置42による吸引領域を抜け始めた段階で、その下のシートである次最上位シートP2も吸着ベルト41に吸着される。このとき、吸着ベルト41が駆動していると、最上位シートP1と共に次最上位シートP2も一緒に搬送されてしまい、重送となるおそれがあるためである。
【0031】
このため、最上位シートP1の先端がシート検知センサ60によって検知されると吸着ベルト41の駆動を停止するが、この時点で、最上位シートP1は搬送ローラ対50の二つのローラに挾持された状態となっている。そして、吸着ベルト41の駆動を停止したあとも搬送ローラ対50の駆動を続けるため最上位シートP1の搬送は継続される。このとき、搬送ローラ対50による搬送力が吸着ベルト41による搬送力よりも小さいと最上位シートP1が吸着ベルト41に貼り付いた状態で停止し、最上位シートP1の搬送は停止してしまう。このため、搬送ローラ対50の搬送力が吸着ベルト41の搬送力より大きくなるように設定されている。
吸着ベルト41の駆動を停止した後も搬送ローラ対50を駆動させることで、最上位シートP1の搬送を継続する。
【0032】
図8〜
図10に示すように、最上位シートP1が吸着ベルト41に吸着されている間は、次最上位シートP2の先端部はブロワ80からの送風を受けて最上位シートP1の下方でばたついた状態となる。これにより、次最上位シートP2はそれよりも下方のシートPに対して先端側がさばかれた状態となる。
その後、最上位シートP1の後端部が吸引装置42による吸引領域を通過すると、その直後に、
図11に示すように、ブロワ80と吸引装置42との間に形成される空気の流れによって次最上位シートP2は浮上し、吸着ベルト41に吸着される。
【0033】
その後、設定した給紙間隔に応じて、
図10に示した最上位シートP1の先端をシート検知センサ60が検知したタイミングから所定時間経過後に吸着ベルト41の駆動を再開する。これにより、
図9に示す最上位シートP1と同様に、次最上位シートP2が吸着ベルト41によって搬送方向下流側に向けて搬送され、搬送ローラ対50に到達し、搬送ローラ対50によってさらに下流側に向けて搬送される。
その後、ブロワ80、吸引装置42及び搬送ローラ対50は作動させた状態で、吸着ベルト41の駆動のON/OFFを制御する。詳しくは、シート検知センサ60が用紙Pの先端を検知したときに吸着ベルト41の駆動をOFFにし、シート検知センサ60が用紙Pの先端を検知したタイミングから所定時間経過後に吸着ベルト41の駆動をONにする制御を繰り返す。このような制御を行うことで、給紙トレイ30内の用紙Pが画像形成装置100に向かって一枚ずつ順次給紙される。
【0034】
エンドフェンス33は、様々なシートサイズに対応するため、シート搬送方向にスライド可能に給紙トレイ30に取り付けられている。シート束を給紙トレイ30にセットするときは、エンドフェンス33をスライドさせて、シート搬送方向上流側へ退避させておく。そして、シート束の先端をフロントフェンス36に突き当てて、シート束を揃えた状態でセットしたら、エンドフェンス33をシート束の後端に向けてスライド移動させて、エンドフェンス33をシート束の後端に突き当てる。これにより、シート束の先端が、フロントフェンス36に突き当たり、後端がエンドフェンスに突き当たり、給紙トレイ30のシートが、シート搬送方向に位置決めされる。
【0035】
しかし、エンドフェンス33は、手動でスライドさせるため、ユーザーによっては、エンドフェンス33をシート束の後端に突き当てる前にエンドフェンス33の移動を停止してしまい、エンドフェンス33とシート束との間に隙間Sが生じる場合があった。また、エンドフェンス33は、シート搬送方向にスライド移動させる構成であり、どうしてもシート搬送方向にガタが生じてしまう。その結果、エンドフェンス33をシート束の後端に突き当たるまで移動させたとしても上記ガタにより、エンドフェンス33とシート束とに
図3に示すように、隙間Sが生じる場合もあった。
【0036】
エンドフェンス33の上部に押圧部材35を設けていない構成の場合、エンドフェンス33とシート束とに
図3に示すように、隙間Sが生じていると、浮上した最上位シートP1が、隙間S分後退する場合があった。浮上した最上位シートP1が後退することで、次最上位シートP2の先端部が吸着ベルト41と対向し、次最上位シートP2の先端が、最上位シートP1とともに吸着ベルト41に吸着する。その結果、2枚のシートが搬送され、重送が発生する場合があった。
【0037】
しかし、本実施形態においては、エンドフェンス33の上部に押圧部材35を設けている。よって、構造上のガタなどによりエンドフェンス33とシート束との間に隙間Sが生じても、エンドフェンスから突出する押圧部材35がシート束の上部後端に弾性的に当接し、押圧部材35によりシート束の上部を押圧する。その結果、シート束の上部を、フロントフェンス36に突き当てることができる。
【0038】
これにより、シート束の上部が、フロントフェンス36と押圧部材35とによりシート搬送方向に位置決めされる。よって、ブロワ80によりシート束の最上位シートの先端部側を浮上させた際に、最上位シートが後退してしまうのを防止することができる。その結果、最上位シートP1が、次最上位シートP2よりも後退し、次最上位シートP2の先端が、最上位シートP1とともに吸着ベルト41に吸着するのを防止することができる。これにより、重送の発生を抑制することができる。
【0039】
図12は、シート束の先端をフロントフェンス36に突き当てないで給紙トレイ30にセットした状態の一例を示す図である。
シート束の先端をフロントフェンス36に突き当てないと、
図12に示すように、シート束の後端が揃ってない状態で給紙トレイ30にセットされてしまう。この場合、エンドフェンス33が、シート束の一部のシートの後端に突き当てた状態でセットされることもある。この場合、シート束の先端とフロントフェンス36との間や、シート束とエンドフェンス33との間に隙間が生じることになる。しかし、この場合、エンドフェンス33に設けた押圧部材35によって、シート束の上部を押圧部材35で押圧して、シート束の上部をフロントフェンス側へ移動させて、シート束の上部先端をフロントフェンス36突き当てる。これにより、シート束の上部が、フロントフェンス36と押圧部材35とによりシート搬送方向に位置決めされる。よって、ブロワ80によりシート束の最上位シートの先端部側を浮上させた際に、最上位シートが後退してしまうのを防止することができる。
【0040】
シート束のシート同士は、密着しており、押圧部材35によりシート束の上部をフロントフェンス側へ移動させて、シート束の上部先端をフロントフェンス36に突き当てるためには、ある程度大きな押圧力が必要となる。しかしながら、押圧部材35の押圧力をシート束の上部をフロントフェンス側へ移動させることができる押圧力にした場合、次の不具合が生じる。すなわち、
図13に示すように最上位シートP1の先端が押圧部材35の押圧力で、フロントフェンス36に強く突き当たり、シートがスムーズに浮上することができない。その結果、シート搬送タイミングまでにシートが吸着ベルトに吸着せず、給紙不良が発生する場合があるという不具合である。特に、シートが厚紙などの剛性の強いシートの場合は、シートが撓みにくいため、押圧部材35とフロントフェンス36との間でシートが突っ張ってしまい、シートが浮上しない場合もある。
【0041】
このため、押圧部材35の押圧力を弱めると、
図14に示すように、押圧部材の押圧力でシート束の上部をフロントフェンス側へ移動させることができず、押圧部材35がエンドフェンス内入り込んでしまう。その結果、シート束の上部先端がフロントフェンス36に突き当たる規定の位置よりも後退した位置に位置してしまう。その結果、ブロワのエアをシートの先端に良好に吹き付けることができず、最上位シートを良好に浮上させることができない場合がある。また、最上位シートが、規定の位置よりも後退した位置で浮上することにより、吸着ベルトの規定位置よりも後退した位置に最上位シートが吸着してしまう。その結果、シート搬送遅れが生じてしまう。
【0042】
そこで、本実施形態においては、押圧部材35の押圧力を上下方向で異ならせた。具体的には、押圧部材35の下側の押圧力を、上側の押圧力よりも大きくした。以下、図面を用いて、具体的に説明する。
【0043】
図15は、本実施形態の押圧部材35周辺の斜視図であり、
図16は、押圧部材35周辺の断面図である。
押圧部材35は、SUSなどの金属からなる板部材351と、スポンジなどの弾性部材352とで構成されている。板部材351の上部は、弾性部材352に両面テープで接着されており、弾性部材352は、エンドフェンス33に設けられた押圧部材取付部33aに両面テープで接着されている。
【0044】
板部材351の下部を、シート束の後端から離間する方向に折り曲げ加工して、板バネ部351bとしている。また、このような折り曲げ加工を施すことで、下部の板バネ部351bに下方へ向うにつれてシート束の後端から離間する傾斜面351aが形成される。また、板部材351の下端は、エンドフェンス33内に入り込ませている。板バネ部351bの弾性力は、弾性部材352の弾性力よりも大きくなっている。
【0045】
本実施形態の押圧部材35は、上記のように構成することで、
図17に示すように、上部の押圧力E2が弾性部材352の弾性力となり、下部の押圧力E1が、弾性部材352よりも弾性力の大きい板バネ部351bの弾性力となる。これにより、押圧部材35の下側の押圧力E1を、上側の押圧力E2よりも大きくすることができる。本実施形態においては、押圧力が大きい部分は、押圧部材35の傾斜面351aのみであり、傾斜面351aよりも上部の押圧力は、弾性部材352の弾性力となる。このため、
図17に示すように、ブロワ80によるエアの噴きつけによりシートが浮上してシート束から離間するエリアである分離可能範囲K1の押圧力を弱くすることができる。これにより、最上位シートを良好に浮上させることができる。
【0046】
図18は、シート束を上昇させていったときの押圧部材35の状態について説明する図である。
シート束Pの先端と、フロントフェンス36(
図4など参照)との間に隙間がある状態で、シート束を上昇させていくと、
図18(a)に示すように、シート束の後端が、傾斜面351aに当接する。
本実施形態では、板部材351の下端を、エンドフェンス33の内部に入り込ませているので、シート束の上昇時に、板部材351の下端が、シート束に当接することがない。これにより、確実に、シート束を傾斜面351aに当接させることができる。
【0047】
シート束が傾斜面351aに当接すると、シート束を持ち上げる力Nにより、傾斜面351aが、上方へ押される。すると、傾斜面351aが、傾斜面351aの上端を支点にして図中反時計回り回動するようにして上方に移動する。このように傾斜面351aが上方へ移動することで、シート束を持ち上げる力Nにより、押圧部材35全体が上方に持ち上げられるのを抑制することができる。
【0048】
また、傾斜面351aが上方へ移動することでシート束に、板バネ部351bの弾性力が加わる。この状態からさらにシート束を上昇させていくと、傾斜面351aがさらに上方へと持ち上げられ、板バネ部351bの弾性力が増加していく。そして、板バネ部351bの弾性力Fの水平方向成分F2が、シート同士の密着力(静止摩擦力)以上となると、シートが、
図18(c)に示すように、矢印X方向へ移動し、シートの先端が、フロントフェンス36に突き当たる。
【0049】
板バネ部351bの弾性力は、大きいので傾斜面351aがシート束を持ち上げる力Nにより少し上方に移動すれば、板バネ部351bの弾性力Fの水平方向成分F2を、シート同士の密着力(静止摩擦力)以上にできる。これにより、確実に、押圧部材35によりシートを、矢印X方向へ移動させることができ、シートの先端をフロントフェンス36に突き当てて、シート束の上部を、規定の位置に位置決めすることができる。
【0050】
シートの先端がフロントフェンス36に突き当たった後に、シート束が上昇すると、先端がフロントフェンス36に突き当たったシートにより、押圧部材35が、図中右側へ押される。すると、弾性部材352がつぶれ、押圧部材35全体が、図中右側へと移動する。これにより、シートが撓んだり、折れ曲がったりすることがない。そして、シート束のシートの後端が、傾斜面351aを相対的に移動し、シートの後端が、板部材351の鉛直方向に平行な面に接触すると、シートは、弾性部材352の弾性力でフロントフェンス側へ押圧されることになる。これにより、シート束の上部は、弾性部材352の弱い弾性力により押圧されることになる。
【0051】
図19に示すように、本実施形態においては、シート束の上部は、弾性部材352の弱い押圧力E2で押されることになる。よって、シート束の上位のシート先端とフロントフェンス36との摩擦力を弱くでき、ブロワ80や吸引装置42により、シート束の最上位のシートP1を確実に浮き上がらせることができる。その結果、吸着ベルト41が回転駆動する搬送タイミングまでに、最上位シートを、吸着ベルト41に吸着させることができ、給紙不良の発生を抑制できる。
【0052】
また、板バネ部351bの強い弾性力で、シート束のシートをフロントフェンス側へ移動させることができ、シートの先端を、確実にフロントフェンス36に突き当てさせることができる。これにより、シート束の上位のシートを、規定の位置に位置決めすることができる。これにより、ブロワ80のエアを良好に最上位シートの先端に吹き付けることができ、最上位シートを良好に浮上させることができる。また、シート束の最上位シートが、規定の位置に位置している状態で浮上させることができるので、吸着ベルト41の規定の位置に最上位シートが吸着する。これにより、シート搬送遅れが発生するのを抑制することができる。また、シートの先端がフロントフェンス36に突き当たることにより、確実にシートの後端を押圧部材に当接させることができ、最上位シートが、浮上する際に、後退することがない。これにより、浮上した次最上位シートP2の先端が、最上位シートよりも前に位置するのを抑制することができ、重送の発生を抑制することができる。
【0053】
シート束の先端がフロントフェンス36に突き当たっており、後端がエンドフェンス33に突き当たっているときは、弾性部材352がつぶれ、押圧部材35がエンドフェンス33内に収まる。この状態のときでも、シートがスムーズに浮上できる押圧力となるような弾性部材352が用いられている。
【0054】
また、板部材351のシートと接触する接触面を平滑にするのが好ましい。板部材351のシートと接触する接触面を平滑にすることで、押圧部材35とシートとの摩擦力を低減することができ、シートをスムーズに浮上させたり、傾斜面351aをスムーズ移動させたりすることができる。
【0055】
また、シート束の最上位シートを、押圧部材35とフロントフェンス36とによりシート搬送方向に位置決めしておけば、重送などの上述した不具合を抑制できる。従って、押圧部材35は、エンドフェンス33の上部にのみ設ければよい。押圧部材35をエンドフェンス33の上部にのみ設けることで、エンドフェンス33の上下方向全体に押圧部材35を設けた場合に比べて、装置のコンパクト化及び部品コストの低減も図れるメリットがある。
【0056】
図20は、変形例1の押圧部材35Aを示す概略構成図である。
この変形例1の押圧部材35Aは、シートに接触する接触部材355と、第1コイルスプリング354aと、第2コイルスプリング354bとで構成されている。第1コイルスプリング354aは、傾斜面355aが形成された接触部材355の下部に当接しており、第2コイルスプリング354bは、接触部材355の上部に当接している。第1コイルスプリング354aの弾性力(付勢力)は、第2コイルスプリング354bの弾性力(付勢力)よりも大きくなっている。これにより、変形例2においても、押圧部材の下部の押圧力を、上部の押圧力よりも大きくできる。
【0057】
シート束を上昇させていき、接触部材355の傾斜面355aにシート束の後端が当接して、傾斜面355aを上方に押し込むと、第1コイルスプリング354aが圧縮され、接触部材355が、図中反時計回りに回動するように傾く。そして、第1コイルスプリング354aが圧縮されていくと、第1コイルスプリング354aの付勢力がシート同士の密着力(静止摩擦力)以上となる。この変形例1においては、第1コイルスプリング354a弾性力(付勢力)が大きいため、接触部材355がエンドフェンス33内に完全に入り込んでしまう前に、第1コイルスプリング354aの弾性力(付勢力)がシート同士の密着力(静止摩擦力)以上となる。従って、この変形例2においても、シートを押圧部材35で押圧して、シートの先端をフロントフェンス36に突き当てることができる。よって、この変形例1においても、シート束の上位シートを、フロントフェンス36と押圧部材35とによりシート搬送方向に位置決めすることができる。
【0058】
また、シートが、フロントフェンス36に向けて移動し、シートの先端がフロントフェンス36に突き当たると、シートにより押圧部材35Aが図中右側に押し込まれる。すると、第2コイルスプリング354bが圧縮され、接触部材355が図中右側へ移動する。これにより、シートが撓んだり、折れ曲がったりすることがなく、シートの損傷を抑制できる。シート束の最上位シートが吸着動作位置Kに到達して、シート束の上昇が停止すると、傾斜面355aを押し上げる力が無くなる。すると、第2コイルスプリング354aが伸張し、接触部材355が図中時計回りに回動して、接触部材355の傾斜が解消される。
【0059】
この変形例1においても、給紙の際はシート束の上位シートの後端や、浮上シートの後端は、押圧部材35の上部に接触する。その結果、シート束の上位シートや浮上シートは、第2コイルスプリング354bの弾性力(付勢力)により押圧される。第2コイルスプリング354bの弾性力(付勢力)は弱いため、シート束の上位シートの先端と、フロントフェンス36との当接圧は小さい。よって、変形例1においても、シート束の最上位シートP1をスムーズに浮上させることができ、給紙タイミングまでに最上位シートP1を吸着ベルト41に吸着させることができる。これにより変形例1においても、搬送不良を抑制できる。
【0060】
図21は、変形例2の押圧部材35Bを示す概略構成図である。
この変形例2の押圧部材35Bは、第1弾性部材356aと、第1弾性部材356aよりも弾性力が小さい第2弾性部材356bとで構成されている。第1弾性部材356aは、第2弾性部材356bの下部に設けられており、押圧部材35Bの下部側の押圧力が上方に向うに連れて連続的に減少するように、第1弾性部材356aの厚みが調整されている。
【0061】
シート束のシートと同士の密着力(静止摩擦力)に打ち勝って、シートをフロントフェンス側へ移動させるには、大きな力が必要である。しかし、シートがフロント側へ移動し始めた後は、動摩擦力となるため、それほど、大きな力で押圧せずとも、シートを移動させることができる。また、シートの先端がフロントフェンス36に当接した後は、シートにより押圧部材35Bを押圧するが、このとき、押圧部材35Bの押圧力が大きいと、シートが撓んだり折れ曲がったりするおそれがある。
【0062】
そのため、この変形例2では、押圧部材35Bの下部側の押圧力が上方に向うに連れて連続的に減少するようにしている。これにより、シート束が傾斜面に突き当たったときは、大きな押圧力が生じて、シートをフロント側へ良好に移動を開始することができる。その後、シート束が上昇していき、シート束のシートが押圧部材35Bの傾斜面に案内されながら、フロントフェンス側へ移動しシートの先端がフロントフェンスに突き当たり、シートが、押圧部材35Bの傾斜面の上部を押す。傾斜面の上部側の押圧力は減少しているため、押圧部材35Bは、シートの押圧力で潰れる。これにより、シートが撓んだり、折れ曲がったりすることがない。これにより、シート束のシートが損傷することなく、吸着動作位置Kまでシート束を上昇させることができる。
【0063】
押圧部材35Bの上部は、弾性力の小さい第2弾性部材356bのみで構成されている。よって、シート束の最上位シートが、吸着動作位置Kに位置しているとき、シート束の少なくとも最上位シートは、第2弾性部材356bによる弱い押圧力で押圧される。従って、この変形例2においても、上述同様、シート束の最上位シートP1をスムーズに浮上させることができる。
【0064】
また、上述では、給紙装置200に本発明を適用した実施形態について説明したが、画像形成装置100の給紙部114に本発明を適用してもよい。
【0065】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、以下の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
シート束を積載する底板31などのシート積載部と、シート積載部に積載したシート束の最上位シートP1をシート束から分離するブロワ80などの分離手段と、分離した最上位シートを搬送する吸着ベルトユニット40などの搬送手段と、シート搬送方向に移動可能で、前記シート束のシート搬送方向後端に突き当てて、前記シート束をシート搬送方向に位置決めするエンドフェンス33と、前記エンドフェンス33から突出するように設けられ、少なくとも前記シート束の上部のシート搬送方向後端を押圧可能に構成された押圧部材35たる押圧手段とを備えた給紙装置において、押圧力が上部と下部とで異なり、下部の押圧力が、上部よりも強くなるように前記押圧手段を構成した。
態様1によれば、シート束の先端がフロントフェンス36から離れた状態で、シート束を上昇させていくと、シート束の上部後端が、押圧部材35などの押圧手段の下部に当接する。押圧手段の下部の押圧力は、上部よりも強くなっており、シート束の上部をフロントフェンス側へ移動させるのに十分な押圧力にしている。これにより、シート束の上部後端が、押圧手段の下部に当接すると、押圧手段の押圧力でシート束の上部をフロントフェンス側へ移動させることができる。その結果、シート束の上部先端をフロントフェンス36に突き当て、シート束の上部後端を押圧手段により位置決めすることができる。
このように、押圧手段により上部後端が位置決めされたシート束は、最上位シートをブロワ80などの分離手段により浮上させるための吸着動作位置Kまで上昇する。このとき、少なくともシート束の最上位シートの後端は、押圧手段の上部に接触する。押圧手段の上部の押圧力は、下部の押圧力も弱くなっている。その結果、上部の押圧力が下部の押圧力と同じ場合に比べて、最上位シートへの押圧力を低減することができる。これにより、最上位シートの先端が、フロントフェンス36に強く突き当たるのを抑制することができる。その結果、少なくとも最上位シートをスムーズに浮上させることができ、シート搬送タイミングまでに、吸着ベルト41などの吸着部材に最上位シートを吸着させることができ、給紙不良が発生するのを抑制することができる。
また、最上位シートを浮上させるとき、最上位シートの後端は、押圧手段の上部に当接しているので、最上位シートが浮上する際に後退することがない。よって、2番目のシートの先端が、最上位シートの先端よりもシート搬送方向下流側に位置し、2番目のシートの先端が最上位シートとともに吸着ベルトに吸着してしまうのを抑制できる。その結果、このような吸着を原因とする重送の発生を抑制できる。
【0066】
(態様2)
(態様1)において、押圧部材35などの押圧手段は、鉛直方向に複数の弾性部が配設されており、最も下部側に配置された弾性部の弾性力を、他の弾性部の弾性力よりも強くした。
これによれば、実施形態で説明したように、押圧部材35などの押圧手段の下部部の押圧力を、上部の押圧力よりも強くすることができる。
【0067】
(態様3)
(態様1)または(態様2)において、押圧部材35たる押圧手段の下方に前記フロントフェンス36に向かって上方へ傾斜する傾斜面351aを設けた。
これによれば、シート束のシートを、押圧部材35の押圧力でスムーズにフロントフェンス側へ移動させることができる。
【0068】
(態様4)
(態様3)において、押圧部材35たる押圧手段は、下方が上記傾斜面351aを有する板バネ部351bとした板部材351を備え、前記板部材351の上部が弾性部材352を介して前記エンドフェンス33に取り付けられており、前記弾性部材352の弾性力が、前記板バネ部351bの弾性力よりも小さい。
これによれば、実施形態で説明したように、上昇してきたシート束が傾斜面351aに接触し、傾斜面351aを押し上げる力が生じると、板バネ部の傾斜面351aが上方へ移動し、シート束が押圧部材35を持ち上げる力を吸収することができる。これにより、弾性部材352にせん断力が生じるのを抑制することができ、弾性部材352が破損するのを抑制することができる。また、傾斜面351aを押し上げられることにより、板バネ部351bによる弾性力が生じ、シート束のシートをフロントフェンス側へ押圧することができる。また、シート束が上昇していくほど、板バネ部の弾性力が上昇し、押圧力が強くなり、シート束のシートを、フロントフェンス側へ移動させることができる。これにより、シートの先端をフロントフェンスに突き当てることができる。また、板部材の上部は弾性部材を介してエンドフェンスに取り付けられているため、押圧部材の上部は、板バネ部よりも弾性力の小さい弾性部材により押圧される。これにより、押圧部材の上部に当接するシート束の上位のシートや浮上シートのフロントフェンスとの接触圧を低く抑えることができ、シートをスムーズに浮上させ、吸着ベルト41などの吸着部材に吸着させることができる。
【0069】
(態様5)
(態様4)において、板部材351の少なくとも下端が、エンドフェンス33内部に入り込んでいる。
これによれば、実施形態で説明したように、シート束を確実に傾斜面351aに当接させることができる。
【0070】
(態様6)
(態様1)乃至(態様5)において、押圧部材35などの押圧手段の少なくとも分離手段によりシート束の最上位シートが分離する分離可能範囲に対応する箇所よりも下方の押圧力を他の箇所よりも強くした。
これによれば、シート束のシートを押圧部材35の押圧力により、フロントフェンス側へ移動させてシート先端をフロントフェンスに突き当てることができる。また、分離可能範囲は、押圧力が小さいので、シートをスムーズに浮上させることができる。
【0071】
(態様7)
(態様1)乃至(態様5)において、前記分離手段は、少なくともシート束の最上位シートのシート搬送方向先端側にエアを吹き付けて少なくとも先端をシート束から浮上させるブロワ80などのエア噴出手段を備え、
吸着ベルトユニット40などの搬送手段は、浮上した最上位シートを吸着する吸着ベルト41などの吸着部材と、前記最上位シートを前記吸着部材に吸引する吸引装置42などの吸引手段とを備える。
これによれば、最上位シートを、ブロワ80などのエア噴出手段のエアの吹き付けにより、浮上させて、シート束から分離することができ、分離した最上位シートを吸着ベルト41などの吸着部材に吸着させて搬送することができる。
【0072】
(態様8)
(態様1)において、少なくとも給紙位置よりも下方側の押圧部材35などの押圧手段の押圧力を、上方に向って連続的に押圧力が減少するように構成した。
これによれば、変形例2で説明したように、上昇しながら押圧部材35などの押圧手段の押圧力にフロントフェンス側へ移動したシートの先端がフロントフェンスに突き当たるが、押圧力が連続的に減少するためにシートの先端がフロントフェンスに突き当たったときのシートへの押圧力が、シートの移動が開始したときの押圧力よりも低下している。従って、シートの先端がフロントフェンスに突き当たった後、押圧手段の押圧力によりシートが撓んだり、折れ曲がったりするのを抑制することができ、良好にシート束を給紙位置まで上昇させることができる。
【0073】
(態様9)
シートに画像を形成する画像形成手段(本実施形態では、作像部101、転写ローラ106、中間転写ベルト108、二次転写ローラ109などで構成)と、画像形成手段へ向けてシートを給紙する給紙部114などの給紙手段とを備えた画像形成装置において、上記給紙手段として、(態様1)乃至(態様8)いずれかの給紙装置を用いた。
これによれば、重送搬送や給紙不良を抑制することができる画像形成システムを提供することができる。
【0074】
(態様10)
少なくとも用紙に画像を形成する画像形成手段を備えた画像形成装置100と、画像形成装置100へ向けて用紙を給紙する給紙装置200とを備えた画像形成システム1において、上記給紙装置として、(態様1)乃至(態様8)いずれかの給紙装置を用いた。
かかる構成を備えることで、重送搬送や給紙不良を抑制することができる画像形成システムを提供することができる。