特許第6443767号(P6443767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6443767用紙綴じ装置、用紙処理装置及び画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443767
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】用紙綴じ装置、用紙処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20181217BHJP
   B42B 5/00 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   B65H37/04 Z
   B42B5/00
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-199886(P2016-199886)
(22)【出願日】2016年10月11日
(62)【分割の表示】特願2012-203957(P2012-203957)の分割
【原出願日】2012年9月18日
(65)【公開番号】特開2017-24422(P2017-24422A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2016年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】山中 学
(72)【発明者】
【氏名】林 宏尚
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−301356(JP,A)
【文献】 特開2011−207560(JP,A)
【文献】 特開2004−122329(JP,A)
【文献】 特開平6−263311(JP,A)
【文献】 実開昭58−136298(JP,U)
【文献】 特開昭53−42263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H37/04
B42B5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸形状を有する一対の圧着部材によって用紙束を綴じる圧着綴じ方式の用紙綴じ装置であって、
前記圧着部材にはり付いた用紙を前記圧着部材から剥がす剥離手段を有し、
前記一対の圧着部材によって用紙束を綴じた後、前記剥離手段を用紙束の表面に接触させたまま、前記圧着部材を用紙束の表面から離れる方向へ移動させて、前記圧着部材から用紙を剥がすことを特徴とする用紙綴じ装置
【請求項2】
求項1に記載の用紙綴じ装置であって、
前記剥離手段が、用紙束の厚み方向に移動可能であることを特徴とする用紙綴じ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の用紙綴じ装置であって、
圧着綴じが完了した後に前記圧着部材が用紙束から退避する速度が、圧着綴じが完了した後に前記剥離手段が用紙束から退避する速度よりも速いことを特徴とする用紙綴じ装置。
【請求項4】
用紙束に対して綴じ処理を施す綴じ手段を少なくとも備えた用紙処理装置において、
前記綴じ手段として、請求項1乃至の何れか一項に記載の用紙綴じ装置を用いたことを特徴とする用紙処理装置。
【請求項5】
用紙上に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された用紙束に対して綴じ処理を施す綴じ処理装置とを備えた画像形成システムにおいて、
前記綴じ処理装置として、請求項1乃至の何れか一項に記載の用紙綴じ装置を用いたことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙束に綴じ処理を施す用紙綴じ装置、前記用紙綴じ装置を備えた用紙処理装置、及び、前記用紙処理装置を備えた画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成システムとして、画像形成装置で画像が形成された用紙束に対して綴じ処理を施す用紙綴じ装置が設けられた用紙処理装置を備えたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の用紙処理装置には、金属針を用いずにシート束たる用紙束を1対の凹凸形状を有する圧着部材である圧着歯で強く噛み合わせることにより用紙の繊維を絡ませて、用紙同士を圧着させることで用紙束を綴じる、圧着綴じ方式の用紙綴じ装置が設けられている。金属針を用いずに圧着綴じで用紙束を綴じることにより、用紙束の廃棄時やシュレッターをかけるときに、用紙束から金属針をはずす手間を省くことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一対の凹凸形状を有する圧着歯で用紙束を強く噛み合わせる際には、強い加圧力が必要であるため、圧着綴じが施された用紙束が圧着歯に張り付いてしまうといった問題が生じる。このように、用紙が圧着歯に張り付いてしまうと、紙詰まりや用紙の損傷、最悪の場合には装置の破損に繋がる虞がある。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、圧着綴じが施された用紙束が凹凸形状の圧着部材に張り付いくのを抑制できる用紙綴じ装置、前記用紙綴じ装置を備えた用紙処理装置、及び、前記用紙処理装置を備えた画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、凹凸形状を有する一対の圧着部材によって用紙束を綴じる圧着綴じ方式の用紙綴じ装置であって、前記圧着部材にはり付いた用紙を前記圧着部材から剥がす剥離手段を有し、前記一対の圧着部材によって用紙束を綴じた後、記剥離手段が、用紙の表面に接触させたまま、前記圧着部材によって用紙束の表面から離れる方向へ移動させて、前記圧着部材から用紙を剥がすことを特徴とするものである。
【0007】
本発明においては、凹凸形状の圧着部材に張り付いた用紙を剥離手段によって圧着部材から剥がすことができる。これにより、圧着綴じが施された用紙束が圧着部材に張り付くのを抑制することができる。よって、用紙束が圧着部材に張り付いて、紙詰まりや用紙の損傷、シ用紙綴じ装置の破損などが生じるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
以上、本発明によれば、圧着綴じが施された用紙束が凹凸形状の圧着部材に張り付いくのを抑制できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】構成例1の圧着綴じ装置における用紙剥離動作の説明に用いる図。
図2】画像形成装置と用紙後処理装置とを備える画像形成システムの概略構成図。
図3】圧着綴じ装置の説明に用いる図。
図4】構成例1に係る圧着綴じ装置の圧着歯と用紙剥離部材とを示す図。
図5】構成例1の圧着綴じ装置における用紙剥離動作の他例の説明に用いる図。
図6】構成例1の圧着綴じ装置における用紙剥離動作のさらに他例の説明に用いる図。
図7】構成例2に係る圧着綴じ装置の圧着歯と用紙剥離部材とを示す図。
図8】構成例2の圧着綴じ装置における用紙剥離動作の説明に用いる図。
図9】構成例3に係る圧着綴じ装置の圧着歯と用紙剥離部材とを示す図。
図10】構成例4に係る圧着綴じ装置の圧着歯と用紙剥離部材とを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は、画像形成装置200と用紙後処理装置100とを備える画像形成システムの概略構成図である。画像形成装置200の排紙側側面に設置される用紙後処理装置100には画像形成装置200から搬送されてきた用紙を受け入れる受入口1が設けられ、受入口1の搬送下流には入口ローラ2が設けられ、さらに下流に中継ローラ3が設けられている。
【0011】
また、入口ローラ2と中継ローラ3の間には穿孔部4が設けられており、図示しない穿孔処理制御部によって制御され、用紙に穿孔処理を施している。
【0012】
用紙後処理装置100には複数の搬送経路があり、図2に示す用紙後処理装置100においては、画像形成装置200から搬送されてきた用紙をそのまま第1排紙トレイ8に排出するストレート搬送経路101、用紙に端綴じを行なう端綴じ搬送経路102、用紙に中綴じを行なう中綴じ搬送経路103で構成されている。
【0013】
中継ローラ3の直後に第1分岐爪5が設けられ、水平方向に設けられたストレート搬送経路101と下方向に設けられた端綴じ搬送経路102との切り替えを行なっている。
【0014】
ストレート搬送経路101にはストレート搬送ローラ6が設けられ、さらに下流に第1排紙ローラ7が設けられている。
【0015】
第1排紙ローラ7の下流には第1排紙トレイ8が設けられ、第1排紙ローラ7によって排出された用紙が積載される。
【0016】
端綴じ搬送経路102には複数の端綴じ搬送ローラ9が設けられ、さらに下流には積載トレイ10が設けられている。
【0017】
積載トレイ10には用紙揃えジョガー11が設けられ、積載トレイ10に積載された用紙の幅方向を揃えている。
【0018】
また、積載トレイ10の近傍に端綴じ圧着綴じ部12が設けられており、図示しない端綴じ圧着綴じ制御手段によって制御され、用紙の所定の位置に綴じ処理を施している。
【0019】
端綴じ搬送経路102の下流には第2分岐爪13が設けられ、上方に設けられたストレート搬送経路101と下方に設けられた中綴じ搬送経路103との切り替えを行なっている。
【0020】
中綴じ搬送経路103には複数の中綴じ搬送ローラ14が設けられ、下流に用紙サイズに応じて可動する中綴じ基準フェンス15が設けられている。
【0021】
中綴じ基準フェンス15の上方には中折りブレード16が設けられ、中折りブレード16と対向する位置に中折りローラ17が設けられている。
【0022】
また、中綴じ基準フェンス15と中折りブレード16の間には中綴じ圧着綴じ部18が設けられており、図示しない中綴じ圧着綴じ制御手段によって制御され、用紙の所定の位置に綴じ処理を施している。
【0023】
中折りローラ17の下流には第2排紙ローラ19が設けられ、さらに下流には第2排紙トレイ20が設けられ第2排紙ローラ19によって排出された用紙が積載される。
【0024】
次に、このような構成の用紙後処理装置100の動作について説明する。
例えば、端綴じを行なうときは、画像形成装置200によって印写された用紙は図示しない画像形成装置200の排紙口、次いで用紙後処理装置100の受入口1を通過し、用紙後処理装置100に搬送される。
【0025】
用紙後処理装置100に搬送された用紙は入口ローラ2、次いで中継ローラ3によって搬送され、第1分岐爪5の作用によって下方に設けられた端綴じ搬送経路102へと搬送される。
【0026】
端綴じ搬送経路102に搬送された用紙は端綴じ搬送ローラ9によってさらに下流に搬送され、積載トレイ10に積載される。
【0027】
積載された用紙は用紙揃えジョガー11によって幅方向を揃えられ、指定した枚数が積載されると、図示しない圧着綴じ制御手段によって制御された端綴じ圧着綴じ部12によって、用紙の所定の位置に綴じ処理が施される。
【0028】
端綴じ処理が施された用紙束は下流に搬送され、第2分岐爪13の作用によってストレート搬送経路101へと搬送される。
【0029】
ストレート搬送経路101へと搬送された用紙束はストレート搬送ローラ6、次いで第1排紙ローラ7によって第1排紙トレイ8へと排出され積載される。
【0030】
一方、中綴じを行なうときは、端綴じを行なうときと同様に積載トレイ10へと用紙が搬送された後、積載トレイ10にて積載されることなくさらに下流へと搬送され、第2分岐爪13の作用によって中綴じ搬送経路103へと搬送される。
【0031】
中綴じ搬送経路103に搬送された用紙は中綴じ搬送ローラ14によってさらに下流へ搬送され、中綴じ搬送経路103の終端に設けられた中綴じ基準フェンス15に突き当てられ集積される。
【0032】
指定した枚数の用紙が集積されると、図示しない中綴じ圧着綴じ制御手段によって制御された中綴じ圧着綴じ部18によって、用紙の所定の位置に綴じ処理が施される。
【0033】
中綴じ処理が施された用紙束は中綴じ基準フェンス15によって用紙サイズごとに決められた位置まで持ち上げられ、中折りブレード16と中折りローラ17によって中折り処理が施される。
【0034】
中折り処理が施された用紙束は第2排紙ローラ19によって第2排紙トレイ20に排出され積載される。
【0035】
ここで図3を用いて圧着綴じ方式の用紙綴じ手段である圧着綴じ装置について説明する。圧着綴じ装置は、用紙束Pに対し垂直に且つ対向する位置に、一対の凹凸した歯型形状を有する圧着歯30a,30bが移動可能に設けられる。
【0036】
圧着綴じを行なうとき、まず初めに印刷後の用紙が、図3(a)に示すように互いに所定間隔をあけて対向する圧着歯30a,30bの間に積載される。指定した枚数が圧着歯間に積載されると、図3(b)に示すように圧着歯30a,30bは互いに用紙束方向に動いて用紙束Pを挟みこみ、図3(c)に示すように圧着歯30a,30bを噛み合わせて用紙を加圧する。所定の加圧力及び加圧時間で圧着綴じが施されると、図3(d)に示すように圧着歯30a,30bは互いに離間方向に動いて用紙束Pから離間し、元の位置で待機する。
【0037】
この圧着綴じ方式で綴じられた用紙束Pには、圧着歯30a,30bの歯型形状が転写され、歯型形状の凹凸の嵌合や用紙間の紙繊維の絡まりによって綴じ力を保持する。
【0038】
次に、本実施形態に係る用紙後処理装置100の特徴部について説明する。
【0039】
[構成例1]
本構成例の圧着綴じ装置には、図4(a)に示すように、一対の圧着歯のうち上側に設けられる圧着歯30aに、圧着歯30aに張り付いた用紙を剥がす用紙剥離装置の用紙剥離部材40aが備えられている。圧着歯30aと用紙剥離部材40aとは、それぞれ図示しない制御手段と駆動手段とにより制御されて可動に構成されている。
【0040】
図4(b)に示す一対の圧着歯のうち下側に設けられる圧着歯30bは、図4(a)に示した圧着歯30aの歯型と対になる歯型を備え、且つ、用紙綴じ装置において図4(a)に示した圧着歯30aと対向する位置に設けられる。
【0041】
また、図4(a)に示す圧着歯30aと同様に、圧着歯30bに張り付いた用紙を剥がす用紙剥離部材40bが備えられている。圧着歯30bと用紙剥離部材40bとはそれぞれ図示しない制御手段と駆動手段とにより制御されて可動に構成されている。
【0042】
圧着歯30aや圧着歯30bに張り付いた用紙を剥がす用紙剥離装置の用紙剥離部材40aや用紙剥離部材40bは、対となる圧着歯30aと圧着歯30bとの少なくとも一方に備えられればよい。しかしながら、圧着歯30aと圧着歯30bとの両方に用紙剥離部材40a,40bを備えられることが望ましい。
【0043】
図1を用いて、本構成例の圧着綴じ装置における用紙剥離動作について説明する。図1(a)は、圧着綴じ装置によって用紙束Pに圧着綴じを行なった後、圧着歯30aに用紙束Pが張り付いたまま圧着歯30a,30bが離間した状態を示している。
【0044】
圧着歯30aに用紙束Pが張り付いた状態で、図1(b)に示すように、用紙剥離部材40aが図示しない制御手段と駆動手段手段とによって制御され用紙束方向に移動させる。これにより、用紙剥離部材40aから用紙束Pに、圧着歯30aから離れる方向の力が与えられ、圧着歯30aから用紙束Pを剥がすことができる。
【0045】
図5を用いて、本構成例の圧着綴じ装置における用紙剥離動作の他例について説明する。図5(a)は、圧着綴じ装置によって用紙束Pに圧着綴じを行なった直後の状態を示している。このとき、用紙束Pは上方に位置する圧着歯30aに張り付いている。
【0046】
圧着綴じ後、図5(b)に示すように、まず圧着歯30aのみが用紙束Pから退避を行なう。このとき、用紙束Pは用紙剥離部材40aによって押さえられているので圧着歯30aから用紙束Pを剥がすことができる。
【0047】
次いで、図5(c)に示すように、用紙束Pを押さえていた用紙剥離部材40aと、用紙束Pの下方に位置する圧着歯30bとが、用紙束Pから退避することで用紙剥離動作が完了する。
【0048】
図6を用いて、本構成例の圧着綴じ装置における用紙剥離動作のさらに他例について説明する。図6(a)は、圧着綴じ装置によって用紙束Pに圧着綴じを行なった直後の状態を示している。このとき、用紙束Pは上方に位置する圧着歯30aに張り付いている。
【0049】
圧着綴じ後、図6(b)に示すように、圧着歯30a,30bと用紙剥離部材40aとを用紙束Pから退避させる。このとき、圧着歯30aが用紙束Pから退避する速度は、用紙剥離部材40aが用紙束Pから退避する速度よりも速く設定されている。
【0050】
これにより、図6(b)に示すように、圧着歯30aと用紙剥離部材40aとが退避するうちに、圧着歯30aよりも用紙剥離部材40aが用紙束方向に突出した状態となる。そのため、用紙剥離部材40aにより用紙束Pに対して用紙剥がし方向に押し出す力が働き、用紙束Pを圧着歯30aから剥がすことができる。
【0051】
また、圧着歯30aと用紙剥離部材40aとが用紙束Pから退避を開始する順序はどちらが先でも構わないが、圧着歯30aと用紙剥離部材40aとが同時に退避を開始するのが最も好ましい。次いで、圧着歯30aが用紙剥離部材40aよりも先に退避を開始するのが好ましい。
【0052】
また、構成例1の効果に加え、圧着歯退避動作と用紙剥離動作とを同時に行なうことができるので、用紙綴じ処理の生産性を向上させることができる。
【0053】
[構成例2]
本構成例の圧着歯30aには、図7(a)示すように、圧着歯面31aから突出可能な複数の押し出しピン41が基板42に設けられた用紙剥離装置が備えられている。圧着歯30aと用紙剥離装置はそれぞれ図示しない制御手段と駆動手段とにより制御されて可動に構成されている。
【0054】
用紙束Pに圧着綴じを行なうときには、図7(b)に示すように用紙剥離装置は図示しない制御手段と駆動手段とにより制御され、圧着歯面31aから押し出しピン41が退避した位置に基板42を移動させ待機するように構成されている。
【0055】
図8を用いて、本構成例の圧着綴じ装置における用紙剥離動作について説明する。図8(a)は圧着綴じ装置によって用紙束Pに圧着綴じを行なった後、圧着歯30aに用紙束Pが張り付いたまま圧着歯30a,30bが離間した状態を示している。なお、このとき、用紙剥離装置は押し出しピン41が圧着歯面31aから退避した位置に基板42を移動させて待機している。
【0056】
次いで、図8(b)に示すように、用紙剥離装置の基板42が図示しない制御手段と駆動手段とによって制御され用紙束方向に移動すると、用紙剥離装置の押し出しピン41が圧着歯30aの圧着歯面31aから突出させる。これにより、用紙束Pが押し出しピン14により押されて、用紙束Pに圧着歯30aから離れる方向の力が与えられ、圧着歯30aから用紙束Pを剥がすことができる。
【0057】
本構成例において、用紙束Pが強く張り付いている圧着歯面31aから用紙剥離装置の押し出しピン41が突出し用紙束Pを押し出すので、効率的に用紙束Pを圧着歯30aから剥がすことができる。
【0058】
[構成例3]
本構成例の用紙剥離装置は、図9(a)に示すように、圧着歯面31aの一部を形成し、圧着歯面31aから突出可能な複数の押し出し歯43が基板44に設けられている。圧着歯30aと用紙剥離装置の基板44とはそれぞれ図示しない制御手段と駆動手段とにより制御されて可動に構成されている。
【0059】
用紙剥離装置の押し出し歯43は、圧着綴じを行なうときには圧着歯30aとともに用紙束Pを綴じるための圧着歯として機能する。御されて可動に構成されている。
【0060】
一方、圧着歯30aから用紙束Pを剥離する用紙剥離装置として押し出し歯43を機能させるときには、図9(a)に示すように、用紙剥離装置の基板44が図示しない制御手段と駆動手段によって制御され移動し、圧着歯面31aから押し出し歯43が突出させるように構成されている。
【0061】
なお、本構成例の用紙剥離装置は、構成例2の用紙剥離装置の押し出しピン41が押し出し歯43に代わった以外同様であり、用紙剥離動作も同一であるためその説明は省略する。
【0062】
また、本構成例においては構成例2の効果に加え、用紙剥離装置の押し出し歯43が用紙に施された圧着綴じの形状に沿って用紙剥がし方向に押し出されるので、用紙に傷や凹みをつけることなく、圧着歯30aから用紙束Pを剥がすことができる。
【0063】
[構成例4]
本構成例の用紙剥離装置は、図10に示すような圧着歯30aに設けられ基板46と連通する複数の空気孔45と、これら空気孔45から空気を噴出させるための図示しない送風装置とを有している。
【0064】
圧着綴じ装置によって用紙束Pに圧着綴じを行なった後、用紙剥離装置の図示しない送風装置から送風した空気を、圧着歯30aに設けた空気孔45を通じて用紙束Pに向けて噴出する。これにより、圧着歯30aに張り付いた用紙束Pを、空気孔45から噴出した空気の風圧によって圧着歯30aから剥がすことができる。
【0065】
このように、空気の風圧によって圧着歯30aに張り付いている用紙束Pに触れることなく、用紙剥がし方向に用紙束Pを押し出すので、用紙に傷をつけることなく圧着歯30aから用紙束Pを剥がすことができる。
【0066】
これまで、構成例1から構成例4で説明した圧着綴じ装置は、図2に示す用紙後処理装置100の端綴じ圧着綴じ部12と中綴じ圧着綴じ部18との少なくとも一方に搭載することができる。これにより、図示しない制御手段と駆動手段によって制御されて、圧着綴じが自動的に行なわれるため、作業者の手を煩わせることなく連続して用紙束Pに用紙綴じを施すことができる。
【0067】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
凹凸形状を有する一対の圧着歯30a,30bなどの圧着部材によって用紙束Pなどの用紙束を綴じる圧着綴じ方式の圧着綴じ装置などの用紙綴じ装置において、前記圧着部材に張り付いた用紙を剥がす用紙剥離部材40aなどの用紙剥離手段を設けた。これよれば、上記実施形態について説明したように、圧着綴じが施された用紙束が凹凸形状の圧着部材に張り付いくのを抑制できる。
(態様B)
(態様A)において、押し出しピン41などの用紙剥離手段が上記圧着部材に設けられており、圧着綴じが行われているときには前記圧着部材の用紙束と対向する表面から前記用紙剥離手段が退避した位置で待機し、圧着綴じが完了して前記圧着部材が用紙束から退避した後に、前記表面より突出した位置に前記用紙剥離手段が移動する。これによれば、上記実施形態について説明したように、圧着部材に強く張り付いている用紙圧着綴じ部を直接、用紙剥がし方向に押し出すので、効率的に用紙を圧着部材から剥がすことができる。
(態様C)
(態様B)において、押し出し歯43などの用紙剥離手段が、上記圧着部材の用紙束と対向する圧着歯面31aなどの表面の一部を形成している。これによれば、上記実施形態について説明したように、圧着部材に張り付いている用紙を、用紙剥離手段が前記表面の形状に沿って用紙剥がし方向に押し出すので、用紙に傷や凹みをつけることなく、圧着部材から用紙を剥がすことができる。
(態様D)
(態様A)において、上記用紙剥離手段は、上記圧着部材に設けられ気体が噴出する空気孔45などの噴出孔と、噴出孔から気体を噴出させる送風装置などの気体噴出手段とを有しており、圧着綴じが完了して前記圧着部材が用紙束から退避した後に、前記気体噴出手段により前記噴出孔から気体を噴出させる。これによれば、上記実施形態について説明したように、噴出孔から噴出される気体の風圧によって圧着部材に張り付いている用紙に触れることなく、用紙剥がし方向に押し出すので、用紙に傷をつけることなく圧着部材から用紙を剥がすことができる。
(態様E)
(態様A)において、圧着綴じが完了した後は上記圧着部材が先に用紙束から退避し、その後に上記用紙剥離手段が用紙束から退避する。これによれば、上記実施形態について説明したように、用紙束が用紙剥離手段によって押さえられた状態で圧着部材が用紙束から退避するので、用紙を圧着部材から剥がすことができる。
(態様F)
(態様A)において、圧着綴じが完了した後に上記圧着部材が用紙束から退避する速度が、圧着綴じが完了した後に上記用紙剥離手段が用紙束から退避する速度よりも速い。これによれば、上記実施形態について説明したように、用紙束から退避するうちに圧着部材よりも用紙剥離手段が用紙束方向に突出し、用紙に対して用紙剥がし方向に押し出す力が働くので、用紙を圧着部材から剥がすことができる。さらに、圧着部材の退避動作と用紙剥離動作とを同時に行うことができるので、用紙綴じ処理の生産性を向上させることができる。
(態様G)
用紙束に対して綴じ処理を施す用紙綴じ手段を少なくとも備えた用紙後処理装置100などの用紙処理装置において、前記用紙綴じ手段として、(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)または(態様F)の用紙綴じ装置を用いた。これによれば、上記実施形態について説明したように、圧着綴じが施された用紙束が凹凸形状の圧着部材に張り付いくのを抑制でき、紙詰まりや用紙の損傷を発生させることなく、連続して用紙綴じ処理を行うことができる。
(態様H)
用紙上に画像を形成する画像形成装置200などの画像形成装置と、前記画像形成装置によって画像が形成された用紙の束に対して綴じ処理を施す綴じ処理装置とを備えた画像形成システムにおいて、前記綴じ処理装置として、(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)または(態様F)の用紙綴じ装置を用いた。これによれば、上記実施形態について説明したように、圧着綴じが施された用紙束が凹凸形状の圧着部材に張り付いくのを抑制でき、紙詰まりや用紙の損傷を発生させることなく、連続して用紙綴じ処理を行うことができる。
【符号の説明】
【0068】
1 受入口
2 入口ローラ
3 中継ローラ
4 穿孔部
5 第1分岐爪
6 ストレート搬送ローラ
7 第1排紙ローラ
8 第1排紙トレイ
9 端綴じ搬送ローラ
10 積載トレイ
11 用紙揃えジョガー
12 端綴じ圧着綴じ部
13 第2分岐爪
14 中綴じ搬送ローラ
15 中綴じ基準フェンス
16 中折りブレード
17 中折りローラ
18 中綴じ圧着綴じ部
19 第2排紙ローラ
20 第2排紙トレイ
30a 圧着歯
30b 圧着歯
31a 圧着歯面
40a 用紙剥離部材
40b 用紙剥離部材
41 押し出しピン
42 基板
43 押し出し歯
44 基板
46 基板
100 用紙後処理装置
101 ストレート搬送経路
102 端綴じ搬送経路
103 中綴じ搬送経路
200 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】WO2009/110298号公報
図1
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