(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2計測系は、スケール及びヘッドの一方が前記第2移動体に設けられ、他方が所定の固定部材に設けられた第2エンコーダシステムを含む請求項1に記載の移動体装置。
所定の固定部材に設けられたヘッドの出力に基づいて前記パターン保持体の少なくとも前記第2方向の位置情報を求めるための第3エンコーダシステムを含む第3計測系と、
前記第3エンコーダシステムのヘッドと、前記第1エンコーダシステムのスケールとの相対位置情報を計測する第4計測系と、を更に備える請求項12に記載の露光装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態について、
図1〜
図16(B)を用いて説明する。
【0016】
図1には、第1の実施形態に係る液晶露光装置10の構成が概略的に示されている。液晶露光装置10は、例えば液晶表示装置(フラットパネルディスプレイ)などに用いられる矩形(角型)のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とするステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。
【0017】
液晶露光装置10は、照明系12、回路パターンなどが形成されたマスクMを保持するマスクステージ装置14、投影光学系16、装置本体18、表面(
図1で+Z側を向いた面)にレジスト(感応剤)が塗布された基板Pを保持する基板ステージ装置20、及びこれらの制御系等を有している。以下、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系16に対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向とし、水平面内でX軸に直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。また、X軸、Y軸、及びZ軸方向に関する位置をそれぞれX位置、Y位置、及びZ位置として説明を行う。
【0018】
照明系12は、例えば米国特許第5,729,331号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。照明系12は、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、それぞれ図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光(あるいは、上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。
【0019】
マスクステージ装置14は、マスクMを、例えば真空吸着により保持するマスクホルダ40、マスクホルダ40を走査方向(X軸方向)に所定の長ストロークで駆動するとともに、Y軸方向、及びθz方向に適宜微少駆動するためのマスク駆動系91(
図1では不図示。
図8参照)、及びマスクホルダ40のXY平面内の位置情報(θz方向の回転量情報も含む。以下同じ)を求めるためのマスク位置計測系を含む。マスクホルダ40は、例えば米国特許出願公開第2008/0030702号明細書に開示されるような、平面視矩形の開口部が形成された枠状部材から成る。マスクホルダ40は、装置本体18の一部である上架台部18aに固定された一対のマスクガイド42上に、例えばエアベアリング(不図示)を介して載置されている。マスク駆動系91は、例えばリニアモータ(不図示)を含む。
【0020】
マスク位置計測系は、上架台部18aにエンコーダベース43を介して固定された一対のエンコーダヘッドユニット44(以下、単にヘッドユニット44と称する)と、マスクホルダ40の下面に上記一対のヘッドユニット44に対応して配置された複数のエンコーダスケール46(
図1では紙面奥行き方向に重なっている。
図3(A)参照)とを含むマスクエンコーダシステム48を備える。マスクエンコーダシステム48の構成については、後に詳しく説明する。
【0021】
投影光学系16は、マスクステージ装置14の下方に配置されている。投影光学系16は、例えば米国特許第6,552,775号明細書などに開示される投影光学系と同様な構成の、いわゆるマルチレンズ投影光学系であり、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成する複数(本実施形態では、例えば11本。
図3(A)参照)の光学系を備えている。
【0022】
液晶露光装置10では、照明系12からの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、マスクMを通過した照明光により、投影光学系16を介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、基板P上の照明領域に共役な照明光の照射領域(露光領域)に形成される。そして、照明領域(照明光IL)に対してマスクMが走査方向に相対移動するとともに、露光領域(照明光IL)に対して基板Pが走査方向に相対移動することで、基板P上の1つのショット領域の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMに形成されたパターンが転写される。
【0023】
装置本体18は、上記マスクステージ装置14、及び投影光学系16を支持しており、複数の防振装置19を介してクリーンルームの床11上に設置されている。装置本体18は、例えば米国特許出願公開第2008/0030702号明細書に開示される装置本体と同様に構成されており、上記投影光学系16を支持する上架台部18a(光学定盤などとも称される)、一対の下架台部18b(
図1では、紙面奥行き方向に重なっているため一方は不図示。
図2参照。)、及び一対の中架台部18cを有している。
【0024】
基板ステージ装置20は、基板Pを投影光学系16(露光光IL)に対して高精度位置決めするためのものであり、基板Pを水平面(X軸方向、及びY軸方向)に沿って所定の長ストロークで駆動するとともに、該基板Pを6自由度方向に微少駆動する。基板ステージ装置20の構成は、特に限定されないが、例えば米国特許出願公開第2008/129762号明細書、あるいは米国特許出願公開第2012/0057140号明細書などに開示されるような、ガントリタイプの2次元粗動ステージと、該2次元粗動ステージに対して微少駆動される微動ステージとを含む、いわゆる粗微動構成のステージ装置を用いることが好ましい。
【0025】
図2には、本実施形態の液晶露光装置10で用いられる、いわゆる粗微動構成の基板ステージ装置20の一例が示されている。基板ステージ装置20は、一対のベースフレーム22、Y粗動ステージ24、X粗動ステージ26、重量キャンセル装置28、Yステップガイド30、微動ステージ32を備えている。
【0026】
ベースフレーム22は、Y軸方向に延びる部材から成り、装置本体18と振動的に絶縁された状態で、床11上に設置されている。また、装置本体18の一対の下架台部18bの間には、補助ベースフレーム23が配置されている。Y粗動ステージ24は、一対のベースフレーム22間に架設された一対(
図2では一方は不図示)のXビーム25を有している。前述した補助ベースフレーム23は、Xビーム25の長手方向中間部を下方から支持している。Y粗動ステージ24は、基板Pを6自由度方向に駆動するための基板駆動系93(
図2では不図示。
図8参照)の一部である複数のYリニアモータを介して一対のベースフレーム22上でY軸方向に所定の長ストロークで駆動される。X粗動ステージ26は、一対のXビーム25間に架設された状態でY粗動ステージ24上に載置されている。X粗動ステージ26は、基板駆動系93の一部である複数のXリニアモータを介してY粗動ステージ24上でX軸方向に所定の長ストロークで駆動される。また、X粗動ステージ26は、Y粗動ステージ24に対するY軸方向への相対移動が機械的に制限されており、Y粗動ステージ24と一体的にY軸方向に移動する。
【0027】
重量キャンセル装置28は、一対のXビーム25間に挿入され、且つX粗動ステージ26に機械的に接続されている。これにより、重量キャンセル装置28は、X粗動ステージ26と一体的にX軸及び/又はY軸方向に所定の長ストロークで移動する。Yステップガイド30は、X軸方向に延びる部材から成り、Y粗動ステージ24に機械的に接続されている。これにより、Yステップガイド30は、Y粗動ステージ24と一体的にY軸方向に所定の長ストロークで移動する。上記重量キャンセル装置28は、複数のエアベアリングを介してYステップガイド30上に載置されている。重量キャンセル装置28は、X粗動ステージ26がX軸方向にのみ移動する場合、静止状態のYステップガイド30上をX軸方向に移動し、X粗動ステージ26がY軸方向に移動する場合(X軸方向への移動を伴う場合も含む)、Yステップガイド30と一体的に(Yステップガイド30から脱落しないように)Y軸方向に移動する。
【0028】
微動ステージ32は、平面視矩形の板状(あるいは箱形)の部材から成り、中央部が球面軸受け装置29を介してXY平面に対して揺動自在な状態で重量キャンセル装置28に下方から支持されている。微動ステージ32の上面には、基板ホルダ34が固定され、該基板ホルダ34上に基板Pが載置される。微動ステージ32は、X粗動ステージ26が有する固定子と微動ステージ32が有する可動子とを含み、上記基板駆動系93(
図2では不図示。
図8参照)の一部を構成する複数のリニアモータ33(例えば、ボイスコイルモータ)により、X粗動ステージ26に対して6自由度方向に微少駆動される。また、微動ステージ32は、上記複数のリニアモータ33を介してX粗動ステージ26から付与される推力により、該X粗動ステージ26とともにX軸及び/又はY軸方向に所定の長ストロークで移動する。以上説明した基板ステージ装置20の構成(ただし、計測系を除く)は、例えば米国特許出願公開第2012/0057140号明細書に開示されている。
【0029】
また、基板ステージ装置20は、微動ステージ32(すなわち基板ホルダ34、及び基板P)の6自由度方向の位置情報を求めるための基板位置計測系を有している。基板位置計測系は、
図8に示されるように、基板PのZ軸、θx、θy方向(以下、Z・チルト方向と称する)の位置情報を求めるためのZ・チルト位置計測系98、及び基板PのXY平面内の位置情報を求めるための基板エンコーダシステム50を含む。Z・チルト位置計測系98は、
図2に示されるように、微動ステージ32の下面に取り付けられたプローブ36aと、重量キャンセル装置28に取り付けられたターゲット36bとを含むZセンサ36を複数備えている。複数のZセンサ36は、例えば微動ステージ32の中心を通るZ軸に平行な軸線回りに所定間隔で、例えば4つ(少なくとも3つ)配置されている。主制御装置90(
図8参照)は、上記複数のZセンサ36の出力に基づいて、微動ステージ32のZ位置情報、及びθx、及びθy方向の回転量情報を求める。上記Zセンサ36を含み、Z・チルト位置計測系98の構成については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に詳しく開示されている。基板エンコーダシステム50の構成は、後述する。
【0030】
次に、
図3(A)及び
図3(B)を用いてマスクエンコーダシステム48の構成について説明する。
図3(A)に模式的に示されるように、マスクホルダ40におけるマスクM(より詳細には、マスクMを収容するための不図示の開口部)の+Y側、及び−Y側の領域には、それぞれ複数のエンコーダスケール46(以下、単にスケール46と称する)が配置されている。なお、理解を容易にするために、
図3(A)では、複数のスケール46が実線で図示され、マスクホルダ40の上面に配置されているように図示されているが、複数のスケール46は、実際には、
図1に示されるように、複数のスケール46それぞれの下面のZ位置と、マスクMの下面(パターン面)のZ位置とが一致するように、マスクホルダ40の下面側に配置されている。
【0031】
本実施形態のマスクホルダ40において、マスクMの+Y側、及び−Y側の領域には、それぞれスケール46がX軸方向に所定間隔で、例えば3つ配置されている。すなわち、マスクホルダ40は、合計で、例えば6つのスケール46を有している。複数のスケール46それぞれは、マスクMの+Y側と−Y側とで紙面上下対称に配置されている点を除き、実質的に同じものである。スケール46は、例えば石英ガラスにより形成されたX軸方向に延びる平面視矩形の板状(帯状)の部材から成る。マスクホルダ40は、例えばセラミックスにより形成され、複数のスケール46は、マスクホルダ40に固定されている。
【0032】
図3(B)に示されるように、スケール46の下面(本実施形態では、−Z側を向いた面)における、幅方向一側(
図3(B)では、−Y側)の領域には、Xスケール47xが形成されている。また、スケール46の下面における、幅方向他側(
図3(B)では、+Y側)の領域には、Yスケール47yが形成されている。Xスケール47xは、X軸方向に所定ピッチで形成された(X軸方向を周期方向とする)Y軸方向に延びる複数の格子線を有する反射型の回折格子(Xグレーティング)によって構成されている。同様に、Yスケール47yは、Y軸方向に所定ピッチで形成された(Y軸方向を周期方向とする)X軸方向に延びる複数の格子線を有する反射型の回折格子(Yグレーティング)によって構成されている。本実施形態のXスケール47x、及びYスケール47yにおいて、複数の格子線は、例えば10nm以下の間隔で形成されている。なお、
図3(A)及び
図3(B)では、図示の便宜上、格子間の間隔(ピッチ)は、実際よりも格段に広く図示されている。その他の図も同様である。
【0033】
また、
図1に示されるように、上架台部18aの上面には、一対のエンコーダベース43が固定されている。一対のエンコーダベース43は、一方が+X側のマスクガイド42の−X側、他方が−X側のマスクガイド42の+X側(すなわち一対のマスクガイド42の間の領域)に配置されている。また、上記投影光学系16の一部が、一対のエンコーダベース43の間に配置されている。エンコーダベース43は、
図3(A)に示されるように、X軸方向に延びる部材から成る。一対のエンコーダベース43それぞれの長手方向中央部には、エンコーダヘッドユニット44(以下、単にヘッドユニット44と称する)が固定されている。すなわち、ヘッドユニット44は、エンコーダベース43を介して装置本体18(
図1参照)に固定されている。一対のヘッドユニット44は、マスクMの+Y側と−Y側とで紙面上下対称に配置されている点を除き、実質的に同じものであるので、以下、一方(−Y側)についてのみ説明する。
【0034】
図3(B)に示されるように、ヘッドユニット44は、平面視矩形の板状部材から成るユニットベース45を有している。ユニットベース45には、X軸方向に離間して配置された一対のXヘッド49x、及びX軸方向に離間して配置された一対のYヘッド49yが固定されている。すなわち、マスクエンコーダシステム48は、Xヘッド49xを、例えば4つ有するとともに、Yヘッド49yを、例えば4つ有している。なお、
図3(B)では、一方のXヘッド49xと一方のYヘッド49yとがひとつの筐体内に収容され、他方のXヘッド49xと他方のYヘッド49yとが別のひとつの筐体内に収容されているが、上記一対のXヘッド49x、及び一対のYヘッド49yは、それぞれ独立して配置されていても良い。また、
図3(B)では、理解を容易にするため、一対のXヘッド49xと一対のYヘッド49yとがスケール46の上方(+Z側)に配置されたように図示されているが、実際には、一対のXヘッド49xは、Xスケール47yの下方に、一対のYヘッド49yは、Yスケール47yの下方にそれぞれ配置されている(
図1参照)。
【0035】
一対のXヘッド49x、及び一対のYヘッド49yは、例えば振動などに起因して一対のXヘッド49x間の距離、及び一対のYヘッド49y間の距離が変化しないように、ユニットベース45に対して固定されている。また、ユニットベース45自体も、一対のXヘッド49x間の距離、及び一対のYヘッド49y間の距離が、例えば温度変化などに起因して変化しないように、熱膨張率がスケール46より低い(あるいはスケール46と同等の)材料で形成されている。
【0036】
Xヘッド49x、及びYヘッド49yは、例えば米国特許出願公開第2008/0094592号明細書に開示されるような、いわゆる回折干渉方式のエンコーダヘッドであり、対応するスケール(Xスケール47x、Yスケール47y)に計測ビームを照射し、そのスケールからのビームを受光することにより、マスクホルダ40(すなわち、マスクM。
図3(A)参照)の変位量情報を主制御装置90(
図8参照)に供給する。すなわち、マスクエンコーダシステム48では、例えば4つのXヘッド49xと、該Xヘッド49xに対向するXスケール47x(マスクホルダ40のX位置によって異なる)とによって、マスクMのX軸方向の位置情報を求めるための、例えば4つのXリニアエンコーダ92x(
図3(B)では不図示。
図8参照)が構成され、例えば4つのYヘッド49yと、該Yヘッド49yに対向するYスケール47y(マスクホルダ40のX位置によって異なる)とによって、マスクMのY軸方向の位置情報を求めるための、例えば4つのYリニアエンコーダ92y(
図3(B)では不図示。
図8参照)が構成される。
【0037】
主制御装置90は、
図8に示されるように、例えば4つのXリニアエンコーダ92x、及び、例えば4つのYリニアエンコーダ92yの出力に基づいてマスクホルダ40(
図3(A)参照)のX軸方向、及びY軸方向の位置情報を、例えば10nm以下の分解能で求める。また、主制御装置90は、例えば4つのXリニアエンコーダ92x(あるいは、例えば4つのYリニアエンコーダ92y)のうちの少なくとも2つの出力に基づいてマスクホルダ40のθz位置情報(回転量情報)を求める。主制御装置90は、上記マスクエンコーダシステム48の計測値から求められたマスクホルダ40のXY平面内の位置情報に基づき、マスク駆動系91を用いてマスクホルダ40のXY平面内の位置を制御する。
【0038】
ここで、
図3(A)に示されるように、マスクホルダ40には、上述したように、マスクMの+Y側、及び−Y側の領域それぞれにスケール46がX軸方向に所定間隔で、例えば3つ配置されている。また、上記X軸方向に所定間隔で配置された、例えば3つのスケール46のうち、最も+X側のスケール46にヘッドユニット44(一対のXヘッド49x、一対のYヘッド49y(それぞれ
図3(B)参照)の全て)が対向する位置と、最も−X側のスケール46にヘッドユニット44が対向する位置との間で、マスクホルダ40がX軸方向に駆動される。
【0039】
そして、本実施形態のマスクステージ装置14では、
図3(B)に示されるように、ひとつのヘッドユニット44が有する一対のXヘッド49x、及び一対のYヘッド49yそれぞれの間隔が、隣接するスケール46間の間隔よりも広く設定されている。これにより、マスクエンコーダシステム48では、一対のXヘッド49xのうち常に少なくとも一方がXスケール47xに対向するとともに、一対のYヘッド49yのうちの少なくとも一方が常にYスケール47yに対向する。従って、マスクエンコーダシステム48は、マスクホルダ40(
図3(A)参照)の位置情報を途切れさせることなく主制御装置90(
図8参照)に供給することができる。
【0040】
具体的に説明すると、例えばマスクホルダ40(
図3(A)参照)が+X側に移動する場合、マスクエンコーダシステム48は、隣接する一対のXスケール47xのうちの+X側のXスケール47xに対して一対のヘッド49xの両方が対向する第1の状態(
図3(B)に示される状態)、−X側のXヘッド49xが上記隣接する一対のXスケール47xの間の領域に対向し(いずれのXスケール47xにも対向せず)、+X側のXヘッド49xが上記+X側のXスケール47xに対向する第2の状態、−X側のXヘッド49xが−X側のXスケール47xに対向し、且つ+X側のXヘッド49xが+X側のXスケール47xに対向する第3の状態、−X側のXヘッド49xが−X側のスケール47xに対向し、+X側のXヘッド49xが一対のXスケール47xの間の領域に対向する(いずれのXスケール47xにも対向しない)第4の状態、及び−X側のXスケール47xに対して一対のヘッド49xの両方が対向する第5の状態、を上記順序で移行する。従って、常に少なくとも一方のXヘッド49xがXスケール47xに対向する。
【0041】
主制御装置90(
図8参照)は、上記第1、第3、及び第5の状態では、一対のXヘッド49xの出力の平均値に基づいてマスクホルダ40のX位置情報を求める。また、主制御装置90は、上記第2の状態では、+X側のXヘッド49xの出力のみに基づいてマスクホルダ40のX位置情報を求め、上記第4の状態では、−X側のXヘッド49xの出力のみに基づいてマスクホルダ40のX位置情報を求める。したがって、マスクエンコーダシステム48の計測値が途切れることがない。
【0042】
次に、基板エンコーダシステム50の構成について説明する。基板エンコーダシステム50は、
図1に示されるように、基板ステージ装置20に配置された複数のエンコーダスケール52(
図1では紙面奥行き方向に重なっている。
図4(A)参照)、上架台部18aの下面に固定されたエンコーダベース54、エンコーダベース54の下面に固定された複数のエンコーダスケール56、及び一対のエンコーダヘッドユニット60を備えている。
【0043】
図4(A)に模式的に示されるように、本実施形態の基板ステージ装置20において、基板Pの+Y側、及び−Y側の領域には、それぞれエンコーダスケール52(以下、単にスケール52と称する)がX軸方向に所定間隔で、例えば5つ配置されている。すなわち、基板ステージ装置20は、合計で、例えば10のスケール52を有している。複数のスケール52それぞれは、基板Pの+Y側と−Y側とで紙面上下対称に配置されている点を除き、実質的に同じものである。スケール52は、上記マスクエンコーダシステム48のスケール46(それぞれ
図3(A)参照)と同様に、例えば石英ガラスにより形成されたX軸方向に延びる平面視矩形の板状(帯状)の部材から成る。
【0044】
なお、
図1及び
図4(A)では、理解を容易にするために、複数のスケール52が基板ホルダ34の上面に固定されているように図示されているが、複数のスケール52は、実際には、
図2に示されるように、基板ホルダ34とは離間した状態で、微動ステージ32にスケールベース51を介して固定されている(なお、
図2には、複数のスケール52が基板Pの+X側及び−X側に配置される場合が示されている)。ただし、場合によっては、実際に基板ホルダ34上に複数のスケール52が固定されても良い。以下の説明では、複数のスケール52が基板ホルダ34上に配置されているのものとして説明を行う。
【0045】
図4(B)に示されるように、スケール52の上面における、幅方向一側(
図4(B)では、−Y側)の領域には、Xスケール53xが形成されている。また、スケール52の上面における、幅方向他側(
図4(B)では、+Y側)の領域には、Yスケール53yが形成されている。Xスケール53x、及びYスケール53yの構成は、上記マスクエンコーダシステム48のスケール46(それぞれ
図3(A)参照)に形成されたXスケール47x、及びYスケール47y(それぞれ
図3(B)参照)と同じであるので説明を省略する。
【0046】
エンコーダベース54は、
図5及び
図6から分かるように、上架台部18aの下面に固定されたY軸方向に延びる板状の部材から成る第1部分54aと、第1部分54aの下面に固定されたY軸方向に延びるXZ断面U字状の部材から成る第2部分54bとを備え、全体的にY軸方向に延びる筒状に形成されている。
図4(A)に示されるように、エンコーダベース54のX位置は、投影光学系16の中心のX位置と概ね一致しているが、エンコーダベース54と投影光学系16とが接触しないように配置されている。なお、エンコーダベース54は、投影光学系16と+Y側と−Y側とで分離して配置されていても良い。エンコーダベース54の下面には、
図6に示されるように、一対Yリニアガイド63aが固定されている。一対のYリニアガイド63aは、それぞれY軸方向に延びる部材から成り、X軸方向に所定間隔で互いに平行に配置されている。
【0047】
エンコーダベース54の下面には、複数のエンコーダスケール56(以下、単にスケール56と称する)が固定されている。本実施形態において、スケール56は、
図1に示されるように、投影光学系16よりも+Y側の領域に、例えば2つ、投影光学系16よりも−Y側の領域に、例えば2つ、それぞれY軸方向に離間して配置されている。すなわち、エンコーダベース54には、合計で、例えば4つのスケール56が固定されている。複数のスケール56それぞれは、実質的に同じものである。スケール56は、Y軸方向に延びる平面視矩形の板状(帯状)の部材から成り、基板ステージ装置20に配置されたスケール52と同様に、例えば石英ガラスにより形成されている。なお、理解を容易にするために、
図4(A)では、複数のスケール56が実線で図示され、エンコーダベース54の上面に配置されているように図示されているが、複数のスケール56は、実際には、
図1に示されるようにエンコーダベース54の下面側に配置されている。
【0048】
図4(C)に示されるように、スケール56の下面における、幅方向一側(
図4(C)では、+X側)の領域には、Xスケール57xが形成されている。また、スケール56の下面における、幅方向他側(
図4(C)では、−X側)の領域には、Yスケール57yが形成されている。Xスケール57x、及びYスケール57yの構成は、上記マスクエンコーダシステム48のスケール46(それぞれ
図3(A)参照)に形成されたXスケール47x、及びYスケール47y(それぞれ
図3(B)参照)と同じであるので説明を省略する。
【0049】
図1に戻り、一対のエンコーダヘッドユニット60(以下、単にヘッドユニット60と称する)は、エンコーダベース54の下方にY軸方向に離間して配置されている。一対のヘッドユニット60それぞれは、
図1で紙面左右対称に配置されている点を除き実質的に同じものであるので、以下一方(−Y側)について説明する。ヘッドユニット60は、
図5に示されるように、Yスライドテーブル62、一対のXヘッド64x、一対のYヘッド64y(
図5では一対のXヘッド64xの紙面奥側に隠れているため不図示。
図4(C)参照)、一対のXヘッド66x(
図5では一方のXヘッド66xは不図示。
図4(B)参照)、一対のYヘッド66y(
図5では一方のYヘッド66yは不図示。
図4(B)参照)、及びYスライドテーブル62をY軸方向に駆動するためのベルト駆動装置68を備えている。
【0050】
Yスライドテーブル62は、平面視矩形の板状の部材から成り、エンコーダベース54の下方に、該エンコーダベース54に対して所定のクリアランスを介して配置されている。また、Yスライドテーブル62のZ位置は、基板ステージ装置20が有する基板ホルダ34(それぞれ
図1参照)のZ・チルト位置に関わらず、該基板ホルダ34よりも+Z側となるように設定されている。
【0051】
Yスライドテーブル62の上面には、
図6に示されるように、上記Yリニアガイド63aに対して不図示の転動体(例えば循環式の複数のボール)を介してY軸方向にスライド自在に係合するYスライド部材63bが複数(1本のYリニアガイド63aに対して、例えば2つ(
図5参照))固定されている。Yリニアガイド63aと、該Yリニアガイド63aに対応するYスライド部材63bとは、例えば米国特許第6,761,482号明細書に開示されるように機械的なYリニアガイド装置63を構成しており、Yスライドテーブル62は、一対のYリニアガイド装置63を介してエンコーダベース54に対してY軸方向に直進案内される。
【0052】
ベルト駆動装置68は、
図5に示されるように、回転駆動装置68a、プーリ68b、及びベルト68cを備えている。なお、−Y側のYスライドテーブル62駆動用と+Y側のYスライドテーブル62(
図5では不図示。
図4(A)参照)駆動用とで、独立してベルト駆動装置68が配置されても良いし、ひとつのベルト駆動装置68で一対のYスライドテーブル62を一体的に駆動しても良い。
【0053】
回転駆動装置68aは、エンコーダベース54に固定され、不図示の回転モータを備えている。該回転モータの回転数、回転方向は、主制御装置90(
図8参照)により制御される。プーリ68bは、回転駆動装置68aによりX軸に平行な軸線回りに回転駆動される。また、不図示であるが、ベルト駆動装置68は、上記プーリ68bに対してY軸方向に離間して配置され、X軸に平行な軸線回りに回転自在の状態でエンコーダベース54に取り付けられた別のプーリを有している。ベルト68cは、一端、及び他端がYスライドテーブル62に接続されるとともに、長手方向の中間部の2箇所が上記プーリ68b、及び上記別のプーリ(不図示)に所定の張力が付与された状態で巻き掛けられている。ベルトの68cの一部は、エンコーダベース54内に挿通されており、例えばベルト68cからの粉塵がスケール52、56に付着することなどが抑制されている。Yスライドテーブル62は、プーリ68bが回転駆動されることにより、ベルト68cに牽引されてY軸方向に所定のストロークで往復移動する。
【0054】
主制御装置90(
図8参照)は、一方(+Y側)のヘッドユニット60を投影光学系16よりも+Y側に配置された、例えば2つのスケール56の下方で、他方(−Y側)のヘッドユニット60を投影光学系16よりも−Y側に配置された、例えば2つのスケール56の下方で、Y軸方向に所定のストロークで適宜同期駆動する。なお、Yスライドテーブル62を駆動するアクチュエータとして、本実施形態では、歯付きのプーリ68bと、歯付きのベルト68cとを含むベルト駆動装置68が用いられているが、これに限られず、歯無しプーリとベルトとを含む摩擦車装置が用いられても良い。また、Yスライドテーブル62を牽引する可撓性部材は、ベルトに限られず、例えばロープ、ワイヤ、チェーンなどであっても良い。また、Yスライドテーブル62を駆動するためのアクチュエータの種類は、ベルト駆動装置68に限られず、例えばリニアモータ、送りネジ装置などの他の駆動装置であっても良い。
【0055】
Xヘッド64x、Yヘッド64y(
図5では不図示。
図6参照)、Xヘッド66x、及びYヘッド66yそれぞれは、上述したマスクエンコーダシステム48が有するXヘッド49x、Yヘッド49yと同様の、いわゆる回折干渉方式のエンコーダヘッドであり、Yスライドテーブル62に固定されている。ここで、ヘッドユニット60において、一対のYヘッド64y、一対のXヘッド64x、一対のYヘッド66y、及び一対のXヘッド66xは、それぞれの相互間の距離が、例えば振動などに起因して変化しないように、Yスライドテーブル62に対して固定されている。また、Yスライドテーブル62自体も、一対のYヘッド64y、一対のXヘッド64x、一対のYヘッド66y、及び一対のXヘッド66xそれぞれの相互間の距離が、例えば温度変化に起因して変化しないように、熱膨張率がスケール52、56より低い(あるいはスケール52、56と同等の)材料で形成されている。
【0056】
図7に示されるように、一対のXヘッド64xそれぞれは、Xスケール57xの上のY軸方向に互いに離間した2箇所(2点)に計測ビームを照射し、一対のYヘッド64yそれぞれは、Yスケール57y上のY軸方向に互いに離間した2箇所(2点)に計測ビームを照射する。基板エンコーダシステム50では、上記Xヘッド64x、及びYヘッド64yが対応するスケールからのビームを受光することにより、Yスライドテーブル62(
図7では不図示。
図5及び
図6参照)の変位量情報を主制御装置90(
図8参照)に供給する。すなわち、基板エンコーダシステム50では、例えば4つのXヘッド64xと、該Xヘッド64xに対向するXスケール57x(Yスライドテーブル62のY位置によって異なる)とによって、一対のYスライドテーブル62(すなわち一対のヘッドユニット60(
図1参照))それぞれのY軸方向の位置情報を求めるための、例えば4つのXリニアエンコーダ96x(
図7では不図示。
図8参照)が構成され、例えば4つのYヘッド64yと、該Yヘッド64yに対向するYスケール57y(Yスライドテーブル62のY位置によって異なる)とによって、一対のYスライドテーブル62それぞれのY軸方向の位置情報を求めるための、例えば4つのYリニアエンコーダ96y(
図7では不図示。
図8参照)が構成される。
【0057】
主制御装置90は、
図8に示されるように、例えば4つのXリニアエンコーダ96x、及び、例えば4つのYリニアエンコーダ96yの出力に基づいて、一対のヘッドユニット60(
図1参照)それぞれのX軸方向、及びY軸方向の位置情報を、例えば10nm以下の分解能で求める。また、主制御装置90は、一方のヘッドユニット60に対応する、例えば2つのXリニアエンコーダ96x(あるいは、例えば2つのYリニアエンコーダ96y)の出力に基づいて該一方のヘッドユニット60のθz位置情報(回転量情報)を、他方のヘッドユニット60に対応する、例えば2つのXリニアエンコーダ96x(あるいは、例えば2つのYリニアエンコーダ96y)の出力に基づいて該他方のヘッドユニット60のθz位置情報(回転量情報)をそれぞれ求める。主制御装置90は、一対のヘッドユニット60それぞれのXY平面内の位置情報に基づき、ベルト駆動装置68を用いてヘッドユニット60のY軸方向の位置を制御する。
【0058】
ここで、
図4(A)に示されるように、エンコーダベース54には、上述したように、投影光学系16の+Y側、及び−Y側の領域それぞれにスケール56がY軸方向に所定間隔で、例えば2つ配置されている。また、上記Y軸方向に所定間隔で配置された、例えば2つのスケール56のうち、+Y側のスケール56にヘッドユニット60(一対のXヘッド64x、一対のYヘッド64y(それぞれ
図4(C)参照)の全て)が対向する位置と、−Y側のスケール56にヘッドユニット60が対向する位置との間で、Yスライドテーブル62がY軸方向に駆動される。
【0059】
そして、上記マスクエンコーダシステム48と同様に、基板エンコーダシステム50においても、ひとつのヘッドユニット60が有する一対のXヘッド64x、及び一対のYヘッド64yそれぞれの間隔は、
図4(C)に示されるように、隣接するスケール56間の間隔よりも広く設定されている。これにより、基板エンコーダシステム50では、一対のXヘッド64xのうち常に少なくとも一方がXスケール57xに対向するとともに、一対のYヘッド64yのうちの少なくとも一方が常にYスケール57yに対向する。従って、基板エンコーダシステム50は、計測値を途切れさせることなくYスライドテーブル62(ヘッドユニット60)の位置情報を求めることができる。
【0060】
また、
図7に示されるように、一対のXヘッド66xそれぞれは、Xスケール53xの上のX軸方向に互いに離間した2箇所(2点)に計測ビームを照射し、一対のYヘッド66yそれぞれは、Yスケール53y上のX軸方向に互いに離間した2箇所(2点)に計測ビームを照射する。基板エンコーダシステム50では、上記Xヘッド66x、及びYヘッド66yが対応するスケールからのビームを受光することにより、基板ホルダ34(
図7では不図示。
図2参照)の変位量情報を主制御装置90(
図8参照)に供給する。すなわち、基板エンコーダシステム50では、例えば4つのXヘッド66xと、該Xヘッド66xに対向するXスケール53x(基板ホルダ34のX位置によって異なる)とによって、基板PのX軸方向の位置情報を求めるための、例えば4つのXリニアエンコーダ94x(
図7では不図示。
図8参照)が構成され、例えば4つのYヘッド66yと、該Yヘッド66yに対向するYスケール53y(基板ホルダ34のX位置によって異なる)とによって、基板PのY軸方向の位置情報を求めるための、例えば4つのYリニアエンコーダ94y(
図7では不図示。
図8参照)が構成される。
【0061】
主制御装置90は、
図8に示されるように、例えば4つのXリニアエンコーダ94x、及び、例えば4つのYリニアエンコーダ94yの出力、並びに上記4つのXリニアエンコーダ96x、及び、例えば4つのYリニアエンコーダ96yの出力(すなわち、一対のヘッドユニット60それぞれのXY平面内の位置情報)に基づいて基板ホルダ34(
図2参照)のX軸方向、及びY軸方向の位置情報を、例えば10nm以下の分解能で求める。また、主制御装置90は、例えば4つのXリニアエンコーダ94x(あるいは、例えば4つのYリニアエンコーダ94y)のうちの少なくとも2つの出力に基づいて基板ホルダ34のθz位置情報(回転量情報)を求める。主制御装置90は、上記基板エンコーダシステム50の計測値から求められた基板ホルダ34のXY平面内の位置情報に基づき、基板駆動系93を用いて基板ホルダ34のXY平面内の位置を制御する。
【0062】
また、
図4(A)に示されるように、基板ホルダ34には、上述したように、基板Pの+Y側、及び−Y側の領域それぞれにスケール52がX軸方向に所定間隔で、例えば5つ配置されている。また、上記X軸方向に所定間隔で配置された、例えば5つのスケール52のうち、最も+X側のスケール52にヘッドユニット60(一対のXヘッド66x、一対のYヘッド66y(それぞれ
図4(B)参照)の全て)が対向する位置と、最も−X側のスケール52にヘッドユニット60が対向する位置との間で、基板ホルダ34がX軸方向に駆動される。
【0063】
そして、上記マスクエンコーダシステム48と同様に、ひとつのヘッドユニット60が有する一対のXヘッド66x、及び一対のYヘッド66yそれぞれの間隔は、
図4(B)に示されるように、隣接するスケール52間の間隔よりも広く設定されている。これにより、基板エンコーダシステム50では、一対のXヘッド66xのうち常に少なくとも一方がXスケール53xに対向するとともに、一対のYヘッド66yのうちの少なくとも一方が常にYスケール53yに対向する。従って、基板エンコーダシステム50は、計測値を途切れさせることなく基板ホルダ34(
図4(A)参照)の位置情報を求めることができる。
【0064】
図6に戻り、防塵カバー55は、XZ断面U字状に形成されたY軸方向に延びる部材から成り、一対の対向面間に上述したエンコーダベース54の第2部分54b、及びYスライドテーブル62が所定のクリアランスを介して挿入されている。防塵カバー55の下面には、Xヘッド66x、及びYヘッド66yを通過させる開口部が形成されている。これにより、Yリニアガイド装置63、ベルト68cなどから発生する粉塵がスケール52に付着することが抑制される。また、エンコーダベース54の下面には、一対の防塵板55a(
図5では不図示)が固定されている。スケール56は、一対の防塵板55a間に配置されており、Yリニアガイド装置63などから発生する粉塵がスケール56に付着することが抑制される。
【0065】
図8には、液晶露光装置10(
図1参照)の制御系を中心的に構成し、構成各部を統括制御する主制御装置90の入出力関係を示すブロック図が示されている。主制御装置90は、ワークステーション(又はマイクロコンピュータ)等を含み、液晶露光装置10の構成各部を統括制御する。
【0066】
上述のようにして構成された液晶露光装置10(
図1参照)では、主制御装置90(
図8参照)の管理の下、不図示のマスクローダによって、マスクステージ装置14上へのマスクMのロードが行われるとともに、不図示の基板ローダによって、基板ステージ装置20(基板ホルダ34)上への基板Pのロードが行なわれる。その後、主制御装置90により、不図示のアライメント検出系を用いてアライメント計測が実行され、そのアライメント計測の終了後、基板P上に設定された複数のショット領域に逐次ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。
【0067】
次に、露光動作時におけるマスクステージ装置14、及び基板ステージ装置20の動作の一例を、
図9(A)〜
図16(B)を用いて説明する。なお、以下の説明では、1枚の基板P上に4つのショット領域が設定された場合(いわゆる4面取りの場合)を説明するが、1枚の基板P上に設定されるショット領域の数、及び配置は、適宜変更可能である。
【0068】
図9(A)には、アライメント動作が完了した後のマスクステージ装置14が、
図9(B)には、アライメント動作が完了した後の基板ステージ装置20(ただし基板ホルダ34以外の部材は不図示。以下、同じ)がそれぞれ示されている。露光処理は、一例として、
図9(B)に示されるように、基板Pの−Y側かつ+X側に設定された第1ショット領域S
1から行われる。マスクステージ装置14では、
図9(A)に示されるように、照明系12からの照明光IL(それぞれ
図1参照)が照射される照明領域(ただし、
図9(A)に示される状態では、まだマスクMに対し照明光ILは照射されていない)よりもマスクMの+X側の端部が幾分−X側に位置するように、マスクエンコーダシステム48(
図8参照)の出力に基づいてマスクMの位置決めがされる。具体的には、例えば、照明領域に対してマスクMのパターン領域の+X側の端部が、所定の速度で走査露光するために必要な助走距離(すなわち、所定の速度に達するために必要な加速距離)だけ−X側に配置され、その位置においてマスクエンコーダシステム48によりマスクMの位置が計測できるようにスケール46が設けられている。また、基板ステージ装置20では、
図9(B)に示されるように、投影光学系16からの照明光IL(
図1参照)が照射される露光領域(ただし、
図9(B)に示される状態では、まだ基板Pに対し照明光ILは照射されていない)よりも第1ショット領域S
1の+X側の端部が幾分−X側に位置するように、基板エンコーダシステム50(
図8参照)の出力に基づいて基板Pの位置決めがされる。具体的には、例えば、露光領域に対して基板Pの第1ショット領域S
1の+X側の端部が、所定の速度で走査露光するために必要な助走距離(すなわち、所定の速度に達するために必要な加速距離)だけ−X側に配置され、その位置において基板エンコーダシステム50により基板Pの位置が計測できるようにスケール52が設けられている。なお、ショット領域の走査露光を終えてマスクMおよび基板Pをそれぞれ減速する側においても、同様に走査露光時の速度から所定の速度まで減速させるために必要な減速距離だけマスクMおよび基板Pをさらに移動させるまでマスクエンコーダシステム48、基板エンコーダシステム50によりそれぞれマスクM、基板Pの位置を計測可能なようにスケール46,52が設けられている。あるいは、加速中および減速中の少なくとも一方の動作中には、マスクエンコーダシステム48、基板エンコーダシステム50とは別の計測系によってマスクMおよび基板Pの位置をそれぞれ計測できるようにしても良い。
【0069】
次いで、
図10(A)に示されるように、マスクホルダ40が+X方向に駆動(加速、等速駆動、及び減速)されるとともに、該マスクホルダ40に同期して、
図10(B)に示されるように、基板ホルダ34が+X方向に駆動(加速、等速駆動、及び減速)される。マスクホルダ40が駆動される際、主制御装置90(
図8参照)は、マスクエンコーダシステム48(
図8参照)の出力に基づいてマスクMの位置制御を行うとともに、基板エンコーダシステム50(
図8参照)の出力に基づいて基板Pの位置制御を行う。基板ホルダ34がX軸方向に駆動される際、一対のヘッドユニット60は、静止状態とされる。マスクホルダ40、及び基板ホルダ34がX軸方向に等速駆動される間、基板Pには、マスクM及び投影光学系16を通過した照明光IL(それぞれ
図1参照)が照射され、これによりマスクMが有するマスクパターンがショット領域S
1に転写される。
【0070】
基板P上の第1ショット領域S
1に対するマスクパターンの転写が完了すると、基板ステージ装置20では、
図11(B)に示されるように、第1ショット領域S
1の+Y側の設定された第2ショット領域S
2への露光動作のために、基板ホルダ34が−Y方向に所定距離(基板Pの幅方向寸法のほぼ半分の距離)、基板エンコーダシステム50(
図8参照)の出力に基づいて駆動(Yステップ)される。上記基板ホルダ34のYステップ動作時において、マスクホルダ40は、
図11(A)に示されるように、マスクMの−X側の端部が照明領域(ただし、
図11(A)に示される状態では、マスクMは照明されない)よりも幾分+X側に位置した状態で静止している。
【0071】
ここで、
図11(B)に示されるように、上記基板ホルダ34のYステップ動作時において、基板ステージ装置20では、一対のヘッドユニット60が、基板ホルダ34に同期してY軸方向に駆動される。すなわち、主制御装置90(
図8参照)は、基板エンコーダシステム50(
図8参照)のうち、Yリニアエンコーダ94yの出力に基づいて、基板ホルダ34を基板駆動系93(
図8参照)を介して目標位置までY軸方向に駆動しつつ、Yリニアエンコーダ96y(
図8参照)の出力に基づいて、一対のヘッドユニット60を対応するベルト駆動装置68(
図8参照)を介してY軸方向に駆動する。この際、主制御装置90は、一対のヘッドユニット60と基板ホルダ34とを同期して(一対のヘッドユニット60が基板ホルダ34に追従するように)駆動する。従って、基板ホルダ34のY位置(基板ホルダ34の移動中も含む)に関わらず、Xヘッド66x、Yヘッド66y(それぞれ
図7参照)から照射される計測ビームそれぞれが、Xスケール53x、Yスケール53y(それぞれ
図7参照)から外れることがない。換言すると、基板ホルダ34をY軸方向に移動中(Yステップ動作中)にXヘッド66x、Yヘッド66yから照射される計測ビームそれぞれがXスケール53x、Yスケール53yから外れない程度、すなわちXヘッド66x、Yヘッド66yからの計測ビームによる計測が途切れない(計測を継続できる)程度に、一対のヘッドユニット60と基板ホルダ34とを同期してY軸方向へ移動させれば良い。
【0072】
基板ホルダ34のYステップ動作が完了すると、
図12(A)に示されるように、マスクエンコーダシステム48(
図8参照)の出力に基づいてマスクホルダ40が−X方向に駆動されるとともに、該マスクホルダ40に同期して、
図12(B)に示されるように、基板エンコーダシステム50(
図8参照)の出力に基づいて基板ホルダ34が−X方向に駆動される。これにより、第2ショット領域S
2にマスクパターンが転写される。この際も一対のヘッドユニット60は、静止状態とされる。
【0073】
第2ショット領域S
2への露光動作が完了すると、マスクステージ装置14では、
図13(A)に示されるように、マスクホルダ40が+X方向に駆動され、照明領域よりもマスクMの−X側の端部が幾分+X側に位置するように、マスクエンコーダシステム48(
図8参照)の出力に基づいてマスクMの位置決めがされる。また、基板ステージ装置20では、
図13(B)に示されるように、第2ショット領域S
2の−X側に設定された第3ショット領域S
3への露光動作のために、基板ホルダ34が+X方向に駆動され、露光領域よりも第3ショット領域S
3の−X側の端部が幾分+X側に位置するように、基板エンコーダシステム50(
図8参照)の出力に基づいて基板Pの位置決めがされる。
図13(A)及び
図13(A)に示されるマスクホルダ40、及び基板ホルダ34の移動動作時において、照明系12(
図1参照)からは、照明光ILがマスクM(
図13(A)参照)及び基板P(
図13(B)参照)に対して照射されない。すなわち、
図13(A)及び
図13(B)に示されるマスクホルダ40、及び基板ホルダ34の移動動作は、単なるマスクM、及び基板Pの位置決め動作(Xステップ動作)である。
【0074】
マスクM、及び基板PのXステップ動作が完了すると、マスクステージ装置14では、
図14(A)に示されるように、マスクエンコーダシステム48(
図8参照)の出力に基づいてマスクホルダ40が−X方向に駆動されるとともに、該マスクホルダ40に同期して、
図14(B)に示されるように、基板エンコーダシステム50(
図8参照)の出力に基づいて基板ホルダ34が−X方向に駆動される。これにより、第3ショット領域S
3にマスクパターンが転写される。この際も一対のヘッドユニット60は、静止状態とされる。
【0075】
第3ショット領域S
3への露光動作が完了すると、基板ステージ装置20では、
図15(B)に示されるように、第3ショット領域S
3の−Y側の設定された第4ショット領域S
4への露光動作のために、基板ホルダ34が+Y方向に所定距離、駆動(Yステップ駆動)される。この際、
図11(B)に示される基板ホルダ34のYステップ動作時と同様に、マスクホルダ40は静止状態とされる(
図15(A)参照)。また、一対のヘッドユニット60は、基板ホルダ34に同期して(基板ホルダ34に追従するように)+Y方向に駆動される。
【0076】
基板ホルダ34のYステップ動作が完了すると、
図16(A)に示されるように、マスクエンコーダシステム48(
図8参照)の出力に基づいてマスクホルダ40が+X方向に駆動されるとともに、該マスクホルダ40に同期して、
図16(B)に示されるように、基板エンコーダシステム50(
図8参照)の出力に基づいて基板ホルダ34が+X方向に駆動される。これにより、第4ショット領域S
4にマスクパターンが転写される。この際も一対のヘッドユニット60は、静止状態とされる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態に係る液晶露光装置10によれば、マスクMのXY平面内の位置情報を求めるためのマスクエンコーダシステム48、及び基板PのXY平面内の位置情報を求めるための基板エンコーダシステム50(それぞれ
図1参照)それぞれは、対応するスケールに対して照射される計測ビームの光路長が短いので、例えば従来の干渉計システムに比べて空気揺らぎの影響を低減できる。従って、マスクM、及び基板Pの位置決め精度が向上する。また、空気揺らぎの影響が小さいので、従来の干渉計システムを用いる場合に必須となる部分空調設備を省略でき、コストダウンが可能となる。
【0078】
さらに、干渉計システムを用いる場合には、大きくて重いバーミラーをマスクステージ装置14、及び基板ステージ装置20に備える必要があったが、本実施形態に係るマスクエンコーダシステム48、及び基板エンコーダシステム50では、上記バーミラーが不要となるので、マスクホルダ40を含む系、及び基板ホルダ34を含む系それぞれが小型・軽量化するとともに重量バランスが良くなり、これによりマスクM、基板Pの位置制御性が向上する。また、干渉計システムを用いる場合に比べ、調整箇所が少なくて済むので、マスクステージ装置14、及び基板ステージ装置20のコストダウンし、さらにメンテナンス性も向上する。また、組み立て時の調整も容易(あるいは不要)となる。
【0079】
また、本実施形態に係る基板エンコーダシステム50では、一対のヘッドユニット60を基板Pに同期してY軸方向に駆動する(追従させる)ことにより、基板PのY位置情報を求める構成であるため、基板ステージ装置20側にY軸方向に延びるスケールを配置する必要(あるいは装置本体18側にY軸方向に複数のヘッドを配列する必要)がない。従って、基板位置計測系の構成をシンプルにすることができ、コストダウンが可能となる。
【0080】
また、本実施形態に係るマスクエンコーダシステム48では、隣接する一対のエンコーダヘッド(Xヘッド49x、Yヘッド49y)の出力をマスクホルダ40のX位置に応じて適宜切り換えながら該マスクホルダ40のXY平面内の位置情報を求める構成であるので、複数のスケール46をX軸方向に所定間隔で(互いに離間して)配置しても、マスクホルダ40の位置情報を途切れることなく求めることができる。従って、マスクホルダ40の移動ストロークと同等の長さ(本実施形態のスケール46の約3倍の長さ)のスケールを用意する必要がなく、コストダウンが可能であり、特に本実施形態のような大型のマスクMを用いる液晶露光装置10に好適である。本実施形態に係る基板エンコーダシステム50も同様に、複数のスケール52がX軸方向に、複数のスケール56がY軸方向に、それぞれ所定間隔で配置されるので、基板Pの移動ストロークと同等の長さのスケールを用意する必要がなく、大型の基板Pを用いる液晶露光装置10に好適である。
【0081】
《第2の実施形態》
次に第2の実施形態について
図17を用いて説明する。本第2の実施形態の構成は、マスクエンコーダシステム148の一部の構成を除き、上記第1の実施形態と同じなので、以下、相違点についてのみ説明し、上記第1の実施形態と同じ構成及び機能を有する要素については、上記第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0082】
図17に示されるように、本第2の実施形態のマスクエンコーダシステム148において、ヘッドユニット144のユニットベース45には、複数のセンサ70が固定されている。主制御装置90(
図17では不図示。
図8参照)は、エンコーダベース43、及び上架台部18aを貫通する貫通孔72を介して、装置本体18の上架台部18aに固定されたスケール56に形成された不図示のマーク(あるいはスケール56に形成された格子線)を複数のセンサ70を用いて検出することにより、スケール56(すなわち装置本体18)に対するYヘッド49y、及びXヘッド49xのXY平面に平行な方向の変位量情報を求める。主制御装置90は、及び上記変位量情報(センサ70の出力)を用いてマスクエンコーダシステム148の計測値(Yヘッド49y、及びXヘッド49xの出力)を更正しつつ、マスクホルダ40の位置制御を行う。センサ70の種類は、特に限定されないが、例えば空間像計測センサと同様の画像センサを用いることができる。
【0083】
本第2の実施形態によれば、基板ホルダ34の位置制御の基準であるスケール56が、マスクホルダ40の位置制御の基準としても機能する。すなわち、マスクエンコーダシステム148と基板エンコーダシステム50とをひとつのシステム(閉じた系)とすることができるので、例えばマスクホルダ40の位置制御の基準を他の部材(例えば投影光学系16(
図1参照))とする場合に比べ、該他の部材の姿勢変化に影響を受けることがない。従って、マスクM及び基板Pの位置決め精度が向上する。
【0084】
《第3の実施形態》
次に第3の実施形態について
図18を用いて説明する。本第3の実施形態の構成は、基板エンコーダシステム150の一部の構成を除き、上記第1の実施形態と同じなので、以下、相違点についてのみ説明し、上記第1の実施形態と同じ構成及び機能を有する要素については、上記第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0085】
図18に示されるように、本第3の実施形態の基板エンコーダシステム150が有するヘッドユニット160において、Xヘッド66x、Yヘッド66yそれぞれは、Yスライドテーブル62に対してZアクチュエータ76を介してZ軸方向に微少ストロークで移動可能に取り付けられている。Zアクチュエータ76の種類は、特に限定されないが、例えばカム装置、ピエゾ素子、リニアモータなどを用いることができる。基板エンコーダシステム150では、不図示のZセンサにより、Xヘッド66x、Yヘッド66yそれぞれと、基板ステージ装置20が有するスケール52の表面との間の距離が常時計測される。
【0086】
ここで、本実施形態のような回折干渉方式のエンコーダヘッドを用いたリニアエンコーダシステムにおいて、スケール表面のZ位置変化により、エンコーダヘッドの出力に誤差が発生すること(本実施形態の場合、基板ホルダ34のZ位置により、Xヘッド66x、Yヘッド66yそれぞれがZ軸方向にも感度を持つこと)が知られている(例えば、米国特許出願公開第2008/0094592号明細書参照)。そこで、主制御装置90(
図18では不図示。
図8参照)は、上記Zセンサの出力に基づいて、複数のXヘッド66x、Yヘッド66yそれぞれを適宜Z軸方向に微少駆動することにより、上記スケールのZ位置変化に起因して発生する誤差を抑制する。従って、基板Pの位置決め精度が向上する。Zセンサとしては、例えばCDドライブ装置などで用いられるような光ピックアップ方式のZセンサを用いても良いし、例えばXヘッド66x(あるいはYヘッド66y)に、米国特許第7,561,280号明細書に開示されるような2次元エンコーダヘッドを用いて、基板ホルダ34のX軸方向(あるいはY軸方向)の位置情報と併せてZ軸方向の位置情報をひとつのエンコーダヘッドで求めるようにしても良い。
【0087】
なお、以上説明した第1〜第3実施形態の構成は、適宜変更が可能である。例えば、上記第1実施形態のマスクエンコーダシステム48、基板エンコーダシステム50において、エンコーダヘッド、及びスケールの配置は逆であっても良い。すなわち、例えばマスクホルダ40の位置情報を求めるためのXリニアエンコーダ92x、Yリニアエンコーダ92yは、マスクホルダ40にエンコーダヘッドが取り付けられ、エンコーダベース43にスケールが取り付けられる構成であっても良い。また、基板ホルダ34の位置情報を求めるためのXリニアエンコーダ94x、Yリニアエンコーダ94yは、基板ホルダ34にエンコーダヘッドが取り付けられ、Yスライドテーブル62にスケールが取り付けられても良い。その場合、基板ホルダ34に取り付けられるエンコーダヘッドは、例えばX軸方向に沿って複数配置され、相互に切り換え動作可能に構成されると良い。同様に、Yスライドテーブル62の位置情報を求めるためのXリニアエンコーダ96x、Yリニアエンコーダ96yは、Yスライドテーブル62にスケールが取り付けられ、エンコーダベース54(装置本体18)にエンコーダヘッドが取り付けられても良い。その場合、エンコーダベース54に取り付けられるエンコーダヘッドは、例えばY軸方向に沿って複数配置され、相互に切り換え動作可能に構成されると良い。基板ホルダ34、及びエンコーダベース54にエンコーダヘッドが固定される場合、Yスライドテーブル62に固定されるスケールを共通化しても良い。
【0088】
また、基板エンコーダシステム50において、基板ステージ装置20側にX軸方向に延びるスケール52が複数固定され、装置本体18(エンコーダベース54)側にY軸方向に延びるスケール56が複数固定される場合について説明したが、これに限られず、基板ステージ装置20側にY軸方向に延びるスケール、装置本体18側にX軸方向に延びるスケールがそれぞれ複数固定されても良い。この場合、ヘッドユニット60は、基板Pの露光動作時に基板ホルダ34に同期してX軸方向に駆動される。
【0089】
また、マスクエンコーダシステム48では、例えば3つのスケール46がX軸方向に離間して配置され、基板エンコーダシステム50では、例えば2つのスケール52がY軸方向、例えば5つのスケール56がX軸方向にそれぞれ離間して配置される場合を説明したが、スケールの数は、これに限られず、例えばマスクM、基板Pの大きさ、あるいは移動ストロークに応じて適宜変更が可能である。また、必ずしも複数のスケールが離間して配置されていなくても良く、例えばより長いひとつのスケール(上記実施形態の場合では、例えばスケール46の約3倍の長さのスケール、スケール52の約2倍の長さのスケール、スケール56の約5倍の長さのスケール)を用いても良い。
【0090】
また、スケール46、52、56それぞれの表面にXスケールとYスケールとが独立に形成された場合を説明したが、これに限られず、例えばXY2次元スケールを用いても良い。この場合、エンコーダヘッドもXY2次元ヘッドを用いることができる。また、回折干渉方式のエンコーダシステムを用いる場合について説明したが、これに限られず、いわゆるピックアップ方式、磁気方式などの他のエンコーダも用いることができ、例えば米国特許第6,639,686号明細書などに開示されるいわゆるスキャンエンコーダなども用いることができる。また、Yスライドテーブル62の位置情報は、エンコーダシステム以外の計測システム(例えば光干渉計システム)により求められても良い。
【0091】
また、基板ステージ装置20は、少なくとも基板Pを水平面に沿って長ストロークで駆動できれば良く、場合によっては6自由度方向の微少位置決めができなくても良い。このような2次元ステージ装置に対しても上記第1〜第3の実施形態に係る基板エンコーダシステムを好適に適用できる。
【0092】
また、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F
2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
【0093】
また、投影光学系16が複数本の光学系を備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学系の本数はこれに限らず、1本以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、オフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。また、投影光学系16としては、拡大系、又は縮小系であっても良い。
【0094】
また、露光装置の用途としては角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば有機EL(Electro-Luminescence)パネル製造用の露光装置、半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも適用できる。
【0095】
また、露光対象となる物体はガラスプレートに限られず、例えばウエハ、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。また、露光対象物がフラットパネルディスプレイ用の基板である場合、その基板の厚さは特に限定されず、例えばフィルム状(可撓性を有するシート状の部材)のものも含まれる。なお、本実施形態の露光装置は、一辺の長さ、又は対角長が500mm以上の基板が露光対象物である場合に特に有効である。
【0096】
液晶表示素子(あるいは半導体素子)などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたマスク(あるいはレチクル)を製作するステップ、ガラス基板(あるいはウエハ)を製作するステップ、上述した各実施形態の露光装置、及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをガラス基板に転写するリソグラフィステップ、露光されたガラス基板を現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ガラス基板上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
【0097】
なお、上記実施形態で引用した露光装置などに関する全ての公報、国際公開、米国特許出願公開明細書及び米国特許明細書の開示を援用して本明細書の記載の一部とする。