【実施例】
【0072】
実施例1 4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルの製造方法
アルゴン雰囲気下でカリウムメトキシド(KOMe)(ALDRICH社製)42.1 mg(0.6 mmol)、1,2−ジメトキシエタン(DME)5 ml、及び(ジメチルフェニルシリル)ボロン酸ピナコールエステル(ALDRICH社製)196.7mg(0.75 mmol)を加え、30℃で10分間撹拌した。その後、4−ブロモアニソール(和光純薬工業(株)製)93.5 mg(0.50 mmol)を滴下し、1時間反応させた後に、反応混合物をガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分析し、反応が完了しているかを確認した。
【0073】
反応後に0℃に冷却し、フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)(1.0 M,800 μl)を加え、3時間撹拌した。その後、混合溶液に水100 mlを加え、次いでジエチルエーテル50 mlで目的物を抽出した。有機層を水50 mlで2回洗浄した後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過後、ろ液のジエチルエーテルを留去した。得られた粗生成物を、ホウ素含浸シリカゲルカラムクロマトグラフィを用いて0−5% ヘキサン/ジエチルエーテル溶離液で精製し、無色オイル状の4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。GCから算出した収率は92%、単離時の収率は77%であった。
【0074】
該反応の反応スキームを以下に示す。尚、カッコ内のシリル化生成物は目的物以外の副産物を表す。
上記反応の条件[ハロゲン化アリールのハロゲンの種類(X)、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、GCから算出した収率、及びホウ素化生成物対シリル化生成物の比(B/Si)について表1に示す。
【0075】
尚、得られた4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルの物性データを以下に示す。
〔物性データ〕
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=1.33(s,12H),3.83(s,3H),6.90(dt,J=2.3,8.7 Hz,2H),7.75(dt,J=2.1,8.7 Hz,2H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=24.9(CH
3),55.2(CH
3),83.6(C),113.4(CH),136.6(CH),162.2(C);HRMS-APCI m/z [M+H]+ calcd C
13H
20O
310B,234.15363;found,234.15370.
【0076】
実施例2 テトラヒドロフランを溶媒として用いた4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルの製造方法
実施例1の使用溶媒DMEの代わりにテトラヒドロフラン(THF)(和光純薬工業(株)製)を用いた以外は実施例1と同様の方法により行い、4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。
該反応の条件[ハロゲン化アリールのハロゲンの種類(X)、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、GCから算出した収率、及びB/Siについて、実施例1のそれらと併せて表1に示す。尚、得られた生成物の物性データは実施例1と同じであった。
【0077】
比較例1−4 各種有機溶媒を用いた4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルの製造方法
実施例1の使用溶媒DMEの代わりに、それぞれトルエン、ジクロロメタン(CH
2Cl
2)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、又はメタノール(MeOH)を用いた以外は実施例1と同様の方法により行った。
【0078】
該反応の条件[ハロゲン化アリールのハロゲンの種類(X)、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、GCから算出した収率、及びB/Siについて実施例1及び2のそれらと併せて表1に示す。尚、得られた生成物の物性データは実施例1と同じであった。
【0079】
【表1】
【0080】
表1の結果より、1,2−ジメトキシエタン(DME)やテトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒を用いると効率よく反応が進み、85%以上の高い収率で目的物が得られること分かった。一方、トルエン、ジクロロメタン(CH
2Cl
2)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、メタノールを用いた場合、収率が非常に低かった。特に、DMF及びメタノールでは、反応が進まないことが分かった。
【0081】
実施例3−4 反応温度の違いによる反応への影響
実施例1の反応温度を50℃及び0℃に変えた以外は実施例1と同様の方法により行い、4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。
【0082】
該反応の条件[ハロゲン化アリールのハロゲンの種類(X)、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、GCから算出した収率、及びB/Siについて、実施例1のそれらと併せて表2に示す。尚、得られた生成物の物性データは実施例1と同じであった。
【0083】
【表2】
【0084】
表2の結果より、30℃での反応が最も効率よいが、50℃や0℃でも80%以上の高い収率で目的物が得られることが分かった。尚、0℃の場合、ホウ素化生成物に対するシリル化生成物の比率が、30℃及び50℃と比較して若干上がることが分かった。
【0085】
実施例5−6 各種塩基を用いた4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルの製造方法
実施例1の使用塩基KOMeの代わりにナトリウムメトキシド(NaOMe)又はカリウムtert-ブトキシド(KO
tBu)を用いた以外は実施例1と同様の方法により行い、4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。
該反応の条件[ハロゲン化アリールのハロゲンの種類(X)、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、GCから算出した収率、及びB/Siについて表3に示す。尚、得られた生成物の物性データは実施例1と同じであった。
【0086】
比較例5−10 各種塩基を用いた4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルの製造方法
実施例1の使用塩基KOMeの代わりにそれぞれリチウムメトキシド(LiOMe)、酢酸カリウム(KOAc)、炭酸カリウム(K
2CO
3)、フッ化カリウム(KF)、又はジアザビシクロウンデセン(DBU)(和光純薬工業(株)製)を用いた以外は実施例1と同様の方法により行った。また、比較例10では、塩基を使用しなかった以外は実施例1と同様の方法により行った。
該反応の条件[ハロゲン化アリールのハロゲンの種類(X)、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、GCから算出した収率、及びB/Siについて、実施例5及び6のそれらと併せて表3に示す。
【0087】
【表3】
【0088】
表3の結果より、ナトリウムメトキシド及びカリウムtert-ブトキシドを塩基として用いるとホウ素置換反応が進むことが分かった。一方、リチウムメトキシド(LiOMe)、酢酸カリウム(KOAc)、炭酸カリウム(K
2CO
3)、フッ化カリウム(KF)、又はジアザビシクロウンデセン(DBU)を塩基として用いた場合には反応が進まないことが分かった。
実施例1、2、5及び6の結果より、ナトリウムアルコキシドやカリウムアルコキシドを用いるとホウ素置換反応が効率よく進むことが分かった。
【0089】
実施例7 ヨウ化物を出発物質としたジオールホウ素化合物の製造方法
実施例1の4−ブロモアニソールの代わりに4−ヨードアニソールを用いた以外は実施例1と同様の方法により行い、4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。
該反応の条件[ハロゲン化アリールのハロゲンの種類(X)、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、GCから算出した収率、及びB/Siについて、実施例1のそれらと併せて表4に示す。尚、得られた生成物の物性データは実施例1と同じであった。
【0090】
比較例11 塩化物を出発物質としたジオールホウ素化合物の製造方法
実施例7の4−ヨードアニソールの代わりに4−クロロアニソールを用いた以外は実施例7と同様の方法により行い、4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。
該反応の条件[ハロゲン化アリールのハロゲンの種類(X)、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、GCから算出した収率、及びB/Siについて、実施例1及び7のそれらと併せて表4に示す。尚、得られた生成物の物性データは実施例1と同じであった。
【0091】
【表4】
【0092】
表4の結果より、臭素及びヨウ素が置換基の場合は、ホウ素置換反応が効率よく進むことが分かった。一方、ハロゲン原子であっても置換基が塩素の場合は、ホウ素置換反応があまり進まないことが分かった。
【0093】
実施例8 溶媒量の違いによるジオールホウ素化合物の製造方法
実施例1の溶媒DMEの使用量5 mlを0.5 mlに変えた以外は実施例1と同様の方法により行い、4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。
【0094】
該反応の条件[ハロゲン化アリールのハロゲンの種類(X)、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、GCから算出した収率、及びB/Siについて、実施例1のそれらと併せて表5に示す。尚、得られた生成物の物性データは実施例1と同じであった。
【0095】
【表5】
【0096】
実施例9−23 各種出発物質を用いたジオールホウ素化合物の製造方法
実施例1の出発物質4−ブロモアニソールの代わりに表6に示す各種臭化アリールを用いた以外は実施例1と同様の方法により行い、ボロン酸ピナコールエステルを得た。
該反応の単離時の収率及びGC又はNMRから算出した収率についてそれぞれ表6に示す。
【0097】
【表6】
【0098】
表6の結果より、種々の出発物質(基質)を用いた場合であっても、ホウ素置換反応が効率よく進むことが分かった。
【0099】
尚、実施例9−23により得られたボロン酸ピナコールエステルの物性データは以下の通りである。
〔物性データ〕
実施例9で得られたp−トリルボロン酸ピナコールエステル:
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=1.33(s,12H),2.36(s,3H),7.18(d,J=7.3 Hz,2H),7.70(d,J=8.2 Hz,2H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=21.7(CH
3),24.8(CH
3),83.6(C),128.5(CH),134.8(CH),141.4(C);HRMS-EI m/z [M-Me]+ calcd C
12H
16O
210B,202.12797;found,202.12779;anal. calcd for C13H19BO2:C,71.59,H,8.78;found,C,71.61,H,8.92.
【0100】
実施例10で得られたm−トリルボロン酸ピナコールエステル:
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=1.34(s,12H),2.35(s,3H),7.24-7.30(m,2H),7.58-7.65(m,2H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=21.3(CH
3),24.8(CH
3),83.7(C),127.7(CH),131.8(CH),132.0(CH),135.3(CH),137.1(C);HRMS-APCI m/z [M+H]+ calcd C
13H
20O
210B,218.15872;found,218.15869;anal. calcd for C
13H
19BO
2:C,71.59,H,8.78;found,C,71.61,H,8.97.
実施例11で得られたo−トリルボロン酸ピナコールエステル:
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=1.34(s,12H),2.54(s,3H),7.14-7.18(m,2H),7.31(dt,J=1.6,7.6 Hz,1H),7.76(dd,J=1.5,7.7 Hz,1H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=22.2(CH
3),24.8(CH
3),83.3(C),124.7(CH),129.7(CH),130.8(CH),135.8(CH),144.8(C);HRMS-ESI m/z [M+H]+ calcd for C
13H
2010BO
2,218.15872;found,218.15859;anal. calcd for C
13H
19BO
2:C,71.59,H,8.78;found,C,71.77,H,8.95.
【0101】
実施例12で得られたフェニルボロン酸ピナコールエステル:
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=1.35(s,12H),7.33−7.41(m,2H),7.46(tt,J=2.0,7.5 Hz,1H),7.76−7.84(m,2H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=24.9(CH
3),83.7(C),127.7(CH),131.2(CH),134.7(CH);HRMS-ESI m/z [M+H]+ calcd for C
12H
18O
210B,204.14307;found,204.14297;anal. calcd for C
12H
17BO
2:C,70.63,H,8.40;found,C,70.52,H,8.63.
【0102】
実施例13で得られた4−フルオロフェニルボロン酸ピナコールエステル:
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=1.34(s,12H),7.05(tt,J=2.3,9.2 Hz,2H),7.76−7.83(m,2H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=24.8(CH
3),83.9(C),114.8(d,J=20.1 Hz,CH),136.9(d,J=8.6 Hz,CH),165.1(d,J=252.0 Hz,C);HRMS-ESI m/z [M+H]+ calcd for C
12H
1710B FO
2,222.13365;found,222.13355.
【0103】
実施例14で得られた4−クロロフェニルボロン酸ピナコールエステル:
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=1.34(s,12H),7.34(dt,J=1.8,8.7 Hz,2H),7.70−7.75(m,2H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=24.8(CH
3),84.0(C),128.0(CH),136.1(CH),137.5(C);HRMS-ESI m/z [M+H]+ calcd for C
12H
1710BClO
2,238.10410;found,238.10370;anal. calcd for C
12H
16BClO
2:C,60.43,H,6.76;Found,C,60.25,H,6.81.
【0104】
実施例15で得られた(4−ボロン酸ピナコールエステル)安息香酸tert−ブチル:
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=1.36(s,12H),1.60(s,9H),7.81−7.87(m,2H),7.93−7.98(m,2H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=24.9(CH
3),28.2(CH
3),81.1(C),84.1(C),128.4(CH),134.2(C),134.5(CH),165.8(C);HRMS-ESI m/z [M+Na]+ calcd for C
17H
25O4
10BNa,326.17744;found,326.17768;anal. calcd for C
17H
25BO
4:C,67.12,H,8.28;found,C,67.09,H,8.37.
【0105】
実施例16で得られた(4−ボロン酸ピナコールエステル)安息香酸エチル:
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=1.36(s,12H),1.40(t,J=7.3 Hz,3H),4.38(q,J=7.3 Hz,2H),7.84−7.89(m, 2H),8.00−8.05(m,2H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=14.3(CH
3),24.9(CH
3),61.0(CH
2),84.1(C),128.5(CH),132.6(C),134.6(CH),166.6(C);HRMS-ESI m/z [M+H]+ calcd for C
15H
22O
410B,276.16420;found,276.16446;anal. calcd for C
15H
21BO
4:C,65.24,H,7.67;found,C,65.32,H,7.81.
【0106】
実施例17で得られた(4−ボロン酸ピナコールエステル)N,N−ジエチル安息香酸:
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=1.30−1.15 (m, 3H), 1.15−1.10 (m, 3H), 1.35 (s, 12H), 3.30−3.10 (m, 2H), 3.64−3.40 (m, 2H), 7.36 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.83 (d, J = 8.2 Hz, 2H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=12.9 (CH
3), 14.2 (CH
3), 24.8 (CH
3), 39.2 (CH
2) 43.2 (CH
2), 84.0 (C), 125.4 (CH), 134.7 (CH), 139.8 (C), 171.1 (C);HRMS-ESI m/z [M+H]+ calcd for C
17H
27O
3N
10B,303.21148;found,303.21192.
【0107】
実施例18で得られた(4−ボロン酸ピナコールエステル)N,N−ジエチルアニリン:
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=1.32 (s, 12H), 2.98 (s, 6H), 6.69 (dt, J = 2.3, 9.2 Hz, 2H), 7.69 (dt, J = 2.3, 9.2 Hz, 2H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=24.9 (CH
3), 40.2 (CH
3), 83.3 (C), 111.3 (CH), 136.2 (CH), 152.6 (C);HRMS-EI m/z [M-Me]+ calcd for C
13H
1910BNO
2, 231.15452;found,231.15344;anal. calcd for C
14H
22BNO
2:C,68.04,H,8.97,N,5.67,found,C,68.04,H,9.00,N,5.46.
【0108】
実施例19で得られた1−メチル(5−ボロン酸ピナコールエステル)インドール:
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=1.37 (s, 12H), 3.79 (s, 3H), 6.50 (dd, J = 0.9, 3.2 Hz, 1H), 7.04 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.66 (dd, J = 0.9, 8.2 Hz, 1H), 8.16 (s, 1H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=24.9 (CH
3), 32.8 (CH
3), 83.4 (C) 101.6 (CH), 108.6 (CH), 127.6 (CH), 128.2 (C), 128.8 (CH), 128.9 (CH), 138.6 (C);HRMS-EI m/z [M-Me]+ calcd for C
15H
2010BNO
2,256.16234;found,256.16149.
【0109】
実施例20で得られた2−(3−メチル−2−ブテニル)ボロン酸ピナコールエステル:
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=1.27 (s, 12H), 1.67 (s, 3H), 1.72 (s, 3H), 1.98 (d, J = 1.8 Hz, 3H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=16.5 (CH
3), 21.2 (CH
3), 24.4 (CH
3), 24.8 (CH
3), 82.7 (C), 148.2 (C);HRMS-EI m/z [M-Me]+ calcd for C
11H
2110BO
2,195.16709;found,195.16723.
【0110】
実施例21で得られた(2,6−ジメチルフェニル)ボロン酸ピナコールエステル:
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=1.39 (s, 12H), 2.39 (s, 6H), 6.94 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.12 (t, J = 7.8 Hz, 1H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=22.2 (CH
3), 24.9 (CH
3), 83.6 (C),126.4 (CH), 129.1 (CH), 141.7 (C);HRMS-EI m/z [M-Me]+ calcd for C
14H
2110BO
2,231.16709;found,231.16664;anal. calcd for C14H21BO2:C,72.44,H,9.12:found,C,72.25,H,9.13.
【0111】
実施例22で得られた9−アントラセンボロン酸ピナコールエステル:
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=1.57 (s, 12H), 7.40−7.52 (m, 4H), 7.95−8.20 (m, 2H), 8.38−8.52 (m, 3H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=25.2 (CH
3), 84.4 (C) 124.9 (CH), 125.8 (CH), 128.3 (CH), 128.8 (CH), 129.5 (CH), 131.1 (C), 135.9 (C);HRMS-EI m/z [M-Me]+ calcd for C
20H
2110BO
2,303.16709;found,303.16766.
【0112】
実施例23で得られた(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)ボロン酸ピナコールエステル:
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=1.21 (d, J = 7.0 Hz, 6H), 1.25 (d, J = 7.0 Hz, 12 H), 1.37 (s, 12H), 2.84 (sep, J = 7.1 Hz, 1H), 2.96 (sep, J = 7.0, 2H), 6.93 (s, 2H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=24.0 (CH
3), 24.4 (CH
3), 24.9 (CH
3), 34.0 (CH), 34.5 (CH), 83.6 (C), 119.6 (CH), 149.7 (C), 151.8 (C);HRMS-ESI m/z [M+H]+ calcd for C
21H
3610BO
2,330.28392;found,330.28359.
【0113】
実施例24 フェネチルボロン酸ピナコールエステルの製造方法
実施例1の出発物質4−ブロモアニソールを(2−ブロモエチル)ベンゼンに、溶媒DMEをジオキサンに、反応温度30℃を100℃に変えた以外は実施例1と同様の方法により行い、フェネチルボロン酸ピナコールエステルを得た。
該反応の条件[出発物質、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、NMRから算出した収率、及びB/Siについて表7に示す。
尚、得られたフェネチルボロン酸ピナコールエステルの物性データを以下に示す。
〔物性データ〕
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=1.14(t,J=8.4 Hz,2H),1.22(s,12H),2.75(t,J=8.4 Hz,2H),7.10-7.29(m,5H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=12.5(br,BCH
2),24.9(CH
3),30.1(CH
2),83.2(C),125.6(CH),128.1(CH
2),128.3(CH),144.5(C);HRMS-EI m/z [M]+ calcd C
14H
2110BO
2,231.16709;found,231.16694.
【0114】
【表7】
【0115】
実施例25 (4−アリルオキシフェニル)ボロン酸ピナコールエステルの製造方法
実施例1の出発物質4−ブロモアニソールの代わりに4−アリルオキシフェニルブロマイドを用いた以外は実施例1と同様の方法により行い、(4−アリルオキシフェニル)ボロン酸ピナコールエステルを得た。
該反応の出発物質及びNMRから算出した収率について表8に示す。
尚、得られた(4−アリルオキシフェニル)ボロン酸ピナコールエステルの物性データを以下に示す。
【0116】
〔物性データ〕
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=1.33(s,12H),4.47-4.63(m,2H),5.29(dd,J=1.5,11.0 Hz,1H),5.41(dd,J=1.5,17.6 Hz,1H),6.05(ddt,J=5.6,10.6,17.0 Hz,1H),6.83-6.95(m,2H),7.67-7.80(m,2H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=24.8(CH
3),68.4(CH
2),83.5(C),114.0(CH),117.6(CH
2),133.0(CH),136.4(CH),161.1(C);HRMS-EI m/z [M]+ calcd C
15H
2110BO
3,259.16201;found,259.16174;anal. calcd for C15H21BO3:C,69.26,H,8.14;found,C,69.24,H,8.32.
【0117】
実施例26 2−(3−ブテニル)フェニルボロン酸ピナコールエステルの製造方法
実施例1の出発物質4−ブロモアニソールの代わりにo−(3−ブテニル)ブロモベンゼンを用いた以外は実施例1と同様の方法により行い、2−(3−ブテニル)フェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。
該反応の出発物質及びNMRから算出した収率について、実施例25のそれらと併せて表8に示す。
尚、得られた2−(3−ブテニル)フェニルボロン酸ピナコールエステルの物性データを以下に示す。
【0118】
〔物性データ〕
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=1.34(s,12H),2.25-2.35(m,2H),2.96(t,J=8.1 Hz,2H),4.91-4.98(m,1H),5.03(dq,J=1.8,17.5 Hz,1H),5.89(ddt,J=6.9,10.4,17.4 Hz,1H),7.14-7.21(m,2H),7.34(dt,J=1.5,7.7 Hz,1H),7.74-7.80(m,1H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=24.8(CH
3),35.4(CH
2),37.5(CH
2),83.3(C),114.3(CH
2),125.1(CH),129.2(CH),130.8(CH),136.1(CH),138.7(CH),149.0(C);HRMS-ESI m/z [M+H]+ calcd for C
16H
2410BO
2,258.19002;found,258.18970;anal. calcd for C
16H
23BO
2:C,74.47,H,8.98;found,C,74.47,H,9.24.
【0119】
【表8】
【0120】
実施例27 ホウ素置換反応及び鈴木−宮浦カップリングの連続反応
アルゴン雰囲気下でKOMe 42.1 mg(0.6 mmol)、DME 5 ml、及び(ジメチルフェニルシリル)ボロン酸ピナコールエステル196.7 mg(0.75 mmol)を、30℃で10分間撹拌した。その後、4−ブロモアニソール93.5 mg(0.50 mmol)を滴下し、1時間反応させた後に、反応混合物をガスクロマトグラフィー(GC)で分析し、反応が完了しているかを確認した。
【0121】
反応後に0℃に冷却し、TBAF(1.0 M,800 μl)を加え、3時間撹拌した。その後、混合溶液に水100 mlを加え、次いでジエチルエーテル50 mlで3回抽出を行った。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥し、ろ過後、ろ液のジエチルエーテルを留去した。
窒素雰囲気下で反応物に、DMF 2 ml、K
2CO
3 276 mg(1.0 mmol)、1−ヨード−4−ニトロベンゼン249 mg(1.0 mmol)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh
3)
4)29 mg(0.025 mmol,5 mol%)を加え、90℃で24時間撹拌反応させた。
反応後に室温に冷却し、反応液に水100 mlを加え、次いでジエチルエーテル50 mlで3回抽出を行った。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥し、ろ過後、ろ液のジエチルエーテルを留去した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィを用い、ヘキサンを溶離液として精製し、4−メトキシ−4’−ニトロビフェニルを得た。
該反応の反応スキームを以下に示す。
上記反応の出発物質及び単離時の収率について表9に示す。
【0122】
尚、得られた4−メトキシ−4’−ニトロビフェニルの物性データを以下に示す。
〔物性データ〕
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=3.86(s,3H),7.01(dt,J=2.6,9.2 Hz,2H),7.56 (dt,J=2.7,9.2 Hz,2H),7.66(dt,J=2.3,9.2 Hz,2H),8.24(dt,J=2.3,9.2 Hz,2H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=55.3(CH
3),114.5(CH),124.0(CH),126.9(CH),128.5(CH),130.9(C),146.4(C),147.1(C),160.4(C).
【0123】
実施例28−29 各種出発物質を用いたホウ素置換反応及び鈴木−宮浦カップリングの連続反応
実施例27の出発物質4−ブロモアニソールの代わりに表9の実施例28又は29に記載の臭化アリールを用いた以外は実施例27と同様の方法により行い、カップリング生成物を得た。
該反応の出発物質及び単離時の収率について、実施例28のそれらと併せて表9に示す。
【0124】
尚、実施例28又は29により得られたカップリング生成物の物性データは以下の通りである。
〔物性データ〕
3−メチル−4’−ニトロビフェニル:
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=2.43(s,3H),7.25(d,J=7.3 Hz,1H),7.33−7.44(m,2H),7.70(dt,J=2.3,9.2 Hz,2H),8.25(dt,J=2.3,9.2 Hz,2H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=21.4(CH
3),123.9(CH),124.4(CH),127.7(CH),128.0(CH),129.0(CH),129.6(CH),138.6(C),138.8(C),146.9(C),147.7(C).
4−フルオロ−4’−ニトロビフェニル:
1H NMR(400 MHz,CDCl
3):δ=7.15−7.22(m,2H),7.55−7.63(m,2H),7.69(dt,J=2.3,9.2 Hz,2H),8.28(dt,J=2.3,8.7 Hz,2H);
13C NMR(100 MHz,CDCl
3):δ=116.1(d,J=22.0 Hz,CH),124.1(CH), 127.6(CH),129.8(d,J=8.6 Hz,CH),134.8 (d,J=2.9 Hz,CH),146.5(C),147.0(C),163.3(d,J=251 Hz,C).
【0125】
【表9】
【0126】
実施例30 フェニルボロン酸ピナコールエステルの反応時間による収率の変化
アルゴン雰囲気下でKOMe 84.2mg(0.12 mmol)、DME 5 ml、及び(ジメチルフェニルシリル)ボロン酸ピナコールエステル 39.34mg(0.15 mmol)を加え、30℃で10分間撹拌した。その後、ブロモベンゼン15.7mg(0.10 mmol)を滴下し、混合物の反応速度をガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分析した。この反応によりフェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。
得られた結果(metal free)を
図1に示す。
【0127】
比較例12−22 遷移金属を用いたフェニルボロン酸ピナコールエステルの反応時間による収率の変化
実施例10の出発物質KOMeと共に表10に記載した各種遷移金属を表10に記載の量を加えた以外は実施例10と同様の方法により行い、フェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。
尚、該反応の添加した遷移金属の種類及び添加量について表10に示す。
得られた結果を実施例30の結果と合わせて
図1に示す。
【0128】
【表10】
【0129】
図1の結果から、種々の遷移金属を添加した場合と比較して、金属を添加しない本発明の方法では、高い収率でフェニルボロン酸ピナコールエステルが得られることが分かった。