特許第6444054号(P6444054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6444054-有機ホウ素化合物の製造方法 図000042
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444054
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】有機ホウ素化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/04 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   C07F5/04 C
【請求項の数】5
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2014-95207(P2014-95207)
(22)【出願日】2014年5月2日
(65)【公開番号】特開2014-237630(P2014-237630A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2017年4月26日
(31)【優先権主張番号】特願2013-100700(P2013-100700)
(32)【優先日】2013年5月10日
(33)【優先権主張国】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 一般社団法人近畿化学協会 IKCOC−12(2012)講演要旨集 平成24年11月12日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 一般社団法人近畿化学協会 IKCOC−12(2012)講演ポスター 平成24年11月15日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 American Chemical Society、 Journal of the American Chemical Society,2012,134,19997−20000 平成24年11月21日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公益社団法人化学系学協会北海道支部 化学系学協会北海道支部2013年冬季研究発表会(2013) 講演要旨集 平成25年1月29日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公益社団法人化学系学協会北海道支部 化学系学協会北海道支部2013年冬季研究発表会(2013) 講演スライド 平成25年1月29日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公益社団法人日本化学会 日本化学会第93春季年会(2013)講演予稿集 平成25年3月8日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公益社団法人日本化学会 日本化学会第93春季年会(2013)講演スライド 平成25年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000252300
【氏名又は名称】富士フイルム和光純薬株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 肇
(72)【発明者】
【氏名】山本 英治
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−241764(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/131107(WO,A1)
【文献】 特開2001−226391(JP,A)
【文献】 Organometallics,2008年,27(22),p.6013-6019
【文献】 Tetrahedron,2003年,59(49),p.9811-9823
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 5/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(V)で示される有機ハロゲン化合物
(式中、Xは臭素原子又はヨウ素原子を表し、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる異性原子を1〜3個含む単環式複素環と芳香族環1個が縮合して成る二環系複素環基、或いは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる異性原子を1〜3個含む単環式複素環と芳香族環2個が縮合して成る三環系複素環基を表し、これらの基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6のアルケニルオキシ基、炭素数2〜12のアルキルカルバモイル基、炭素数6〜14のアリール基、フルオロ基、クロロ基、又は炭素数2〜12のアルキルアミノ基を置換基として有していてもよい。但し、Rが二環系複素環基又は三環系複素環基である場合、Xは当該二環系複素環基又は三環系複素環基を構成する芳香族環上の炭素原子に結合している。)と、下記一般式(VI)で示される化合物
(式中、3個のR3はそれぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表し、4個のR4はそれぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基を表す。)とを、ナトリウムアルコキシド又はカリウムアルコキシドの存在下で反応させることを特徴とする、下記一般式(VII)で示される化合物
(式中、R及びR4は、上記と同じ。)の製造方法。
【請求項2】
一般式(V)で示される有機ハロゲン化合物が、下記一般式(I)で示される化合物
(式中、Xは臭素原子又はヨウ素原子を表し、p1は0〜5の整数を表し、p1個のR1は、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6のアルケニルオキシ基、炭素数2〜12のアルキルカルバモイル基、炭素数6〜14のアリール基、フルオロ基、クロロ基、又は炭素数2〜12のアルキルアミノ基を表す。)、下記一般式(II)で示される化合物
(式中、X及びRは上記と同じ。p2は0〜7の整数を表す。)、下記一般式(III)で示される化合物
(式中、X及びRは上記と同じ。p3は0〜9の整数を表す。)、下記一般式(IV)で示される化合物
(式中、Xは上記と同じ。R2は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)、炭素数6〜14のアリール基を置換基として有する又は無置換の炭素数1〜20のアルキルブロマイド、炭素数6〜14のアリール基を置換基として有する又は無置換の炭素数1〜20のアルキルヨード、炭素数2〜20のアルケニルブロマイド、或いは、炭素数2〜20のアルケニルヨードである、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
反応を有機溶媒中で行う、請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
有機溶媒が、エーテル系溶媒である、請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
有機溶媒が、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン又はジオキサンである、請求項3記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ハロゲン化合物のハロゲノ基をピナコールボリル基に由来するホウ素に置換して、有機ホウ素化合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ピナコール酸エステル等のアリールボロン酸エステルは、炭素-炭素結合反応、炭素-窒素結合反応、炭素-酸素結合反応等の合成反応における適用範囲が広く、また、水や空気に対する安定性が高く取り扱いが容易であるため、有機合成反応用試薬として非常に有用なものである。
【0003】
従来、アリールボロン酸エステルを合成する一般的な方法として、アリールグリニャールやアリールリチウムを反応試薬としてトリアルキルボロン酸エステルと反応させる方法が知られているが(非特許文献1)、これらの反応試薬は強塩基性かつ強求核性のため、目的の基以外の置換基とも反応してしまい、適用できる基質の範囲が狭かった。また、アリールリチウムを用いる場合には、-78℃等の低温下で反応させる必要があり、簡便に使用できる方法ではなかった。
【0004】
そこで、現在は、基質の適用性を広げるため、遷移金属を用いたアリールハライドのホウ素化法や芳香族C-H結合のホウ素化(C-B)法が広く研究されている(非特許文献2)。しかし、これらの方法は、遷移金属を用いる反応であるため、試薬が高額である、反応生成物に重金属が混入する等の問題があった。特に、重金属の混入は医薬品に適さないという問題があった。
【0005】
そのため、上記問題を有さない、特に、重金属を用いることなく、適用基質の範囲が広いアリールボロン酸エステルの製造方法の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Brown, H. C.; Srebnik, M.; Cole, T. E. Organometallics, 1986, 5, 2300.
【非特許文献2】Ishiyama, T. and Miyaura, N. (2011) Chapter 2, in Boronic Acids: Preparation and Applications in Organic Synthesis and Medicine, 2nd Ed. vol. 1 (ed. Hall, D. G.), Wiley-VCH Verlag GmbH, Weinheim
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、上記問題を解決するべく鋭意研究を行った結果、ナトリウムアルコキシドまたはカリウムアルコキシドの存在下でアリールハライドとシリルボロン酸エステルとを反応させると、重金属を用いることなくアリールボロン酸エステルが効率よく製造でき、且つ種々のアリールハライドと反応すること(適用基質の範囲が広いこと)を見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、「下記一般式(V)で示される有機ハロゲン化合物
(式中、Xは臭素原子又はヨウ素原子を表し、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、或いは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる異性原子を1〜3個含む複素環基を表し、これらの基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6のアルケニルオキシ基、炭素数2〜12のアルキルカルバモイル基、炭素数6〜14のアリール基、フルオロ基、クロロ基、又は炭素数2〜12のアルキルアミノ基を置換基として有していてもよい。)と、下記一般式(VI)で示される化合物
(式中、3個のR3はそれぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表し、4個のR4はそれぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基を表す。)とを、ナトリウムアルコキシド又はカリウムアルコキシドの存在下で反応させることを特徴とする、下記一般式(VII)で示される化合物
(式中、R及びR4は、上記と同じ。)の製造方法」に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法は、従来のジオールホウ素化合物の製造方法(ホウ素置換反応法)のようにパラジウム等の重金属を用いる必要がないため、生成物への重金属の混入や生成物の着色が起こりにくく、医薬品の製造に好適な方法である。また、温和な条件で反応が進むため、100℃近い温度での加熱や0℃より低い温度の冷却等の必要がないため、操作が容易になる利点があり、スケールアップ合成に有用な新しい方法である。即ち、本発明の製造方法は、従来法の問題を解決した、簡便な方法である。
【0010】
更に、本発明の製造方法は、臭素原子またはヨウ素原子以外の置換基との反応性が低いため、各種置換基を有する基質に適用することが可能な方法である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例30及び比較例12−22で得られたフェニルボロン酸ピナコールエステルの反応時間による収率の変化を表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[一般式(V)で示される有機ハロゲン化合物]
一般式(V)におけるXは、臭素原子又はヨウ素原子を表し、臭素原子が好ましい。
一般式(V)におけるRの炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分枝状或いは環状の何れでもよいが、直鎖状又は分枝状が好ましい。炭素数は1〜10が好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい。具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、ネオヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、1-エチル-1-メチルブチル基、1,2,3-トリメチルブチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、ネオオクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、ネオノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、ネオデシル基、n-ウンデシル基、イソウンデシル基、sec-ウンデシル基、tert-ウンデシル基、ネオウンデシル基、n-ドデシル基、イソドデシル基、sec-ドデシル基、tert-ドデシル基、ネオドデシル基、n-トリデシル基、イソトリデシル基、sec-トリデシル基、tert-トリデシル基、ネオトリデシル基、n-テトラデシル基、イソテトラデシル基、sec-テトラデシル基、tert-テトラデシル基、ネオテトラデシル基、n-ペンタデシル基、イソペンタデシル基、sec-ペンタデシル基、tert-ペンタデシル基、ネオペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、sec-ヘキサデシル基、tert-ヘキサデシル基、ネオヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、イソヘプタデシル基、sec-ヘプタデシル基、tert-ヘプタデシル基、ネオヘプタデシル基、n-オクタデシル基、イソオクタデシル基、sec-オクタデシル基、tert-オクタデシル基、ネオオクタデシル基、n-ノナデシル基、イソノナデシル基、sec-ノナデシル基、tert-ノナデシル基、ネオデシル基、n-イコシル基、イソイコシル基、sec-イコシル基、tert-イコシル基、ネオイコシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基がより好ましい。
上記Rの炭素数1〜20のアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6のアルケニルオキシ基、炭素数2〜12のアルキルカルバモイル基、炭素数6〜14のアリール基、フルオロ基、クロロ基、及び炭素数2〜12のアルキルアミノ基から選ばれる置換基を有していてもよいが、炭素数6〜14のアリール基を置換基として有するもの又は無置換のものが好ましい。
【0013】
一般式(V)におけるRの炭素数2〜20のアルケニル基は、直鎖状、分枝状或いは環状の何れでもよいが、直鎖状が好ましい。炭素数は、2〜10が好ましく、炭素数2〜6がより好ましい。具体的には、例えばビニル基、アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、1,2-ジメチル-2-プロペニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、2-メチル-2-ペンテニル基、1-ヘプテニル基、2-ヘプテニル基、3-ヘプテニル基、4-ヘプテニル基、5-ヘプテニル基、6-ヘプテニル基、1-オクテニル基、2-オクテニル基、1-ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、1-シクロブテニル基、1-シクロペンテニル基、1-シクロヘキセニル基等が挙げられ、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-メチルアリル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、2-メチル-2-ペンテニル基、1-シクロブテニル基、1-シクロペンテニル基、1-シクロヘキセニル基が好ましく、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、1,2-ジメチル-2-プロペニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、2-メチル-2-ペンテニル基がより好ましく、ビニル基、アリル基、1,2-ジメチル-2-プロペニル基が更に好ましく、1,2-ジメチル-2-プロペニル基が特に好ましい。
上記Rの炭素数2〜20のアルケニル基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6のアルケニルオキシ基、炭素数2〜12のアルキルカルバモイル基、炭素数6〜14のアリール基、フルオロ基、クロロ基、及び炭素数2〜12のアルキルアミノ基から選ばれる置換基を有していてもよいが、無置換のものが好ましい。
【0014】
一般式(V)におけるRの炭素数2〜20のアルキニル基は、直鎖状でも分枝状でもよいが、直鎖状が好ましい。炭素数は、2〜10が好ましく、2〜6がより好ましい。具体的には、例えばエチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-メチル-3-ブチニル基、1-ヘキシニル基、2-ヘキシニル基、3-ヘキシニル基、4-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、2-メチル-4-へプチニル基、1-へプチニル基、2-へプチニル基、3-へプチニル基、4-へプチニル基、5-へプチニル基、6-へプチニル基、1-オクチニル基、2-オクチニル基、3-オクチニル基、4-オクチニル基、5-オクチニル基、6-オクチニル基、7-オクチニル基、1-ノニニル基、2-ノニニル基、3-ノニニル基、4-ノニニル基、5-ノニニル基、6-ノニニル基、7-ノニニル基、8-ノニニル基、1-デシニル基、3-デシニル基、5-デシニル基、7-デシニル基、9-デシニル基、1-ウンデシニル基、3-ウンデシニル基、5-ウンデシニル基、7-ウンデシニル基、9-ウンデシニル基、1-ドデシニル基、3-ドデシニル基、5-ドデシニル基、7-ドデシニル基、9-ドデシニル基、11-ドデシニル基、トリデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基、ノナデシニル基、イコシニル基等が挙げられ、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-メチル-3-ブチニル基、1-ヘキシニル基、2-ヘキシニル基、3-ヘキシニル基、4-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、2-メチル-4-へプチニル基、1-へプチニル基、2-へプチニル基、3-へプチニル基、4-へプチニル基、5-へプチニル基、6-へプチニル基、1-オクチニル基、2-オクチニル基、3-オクチニル基、4-オクチニル基、5-オクチニル基、6-オクチニル基、7-オクチニル基、1-ノニニル基、2-ノニニル基、3-ノニニル基、4-ノニニル基、5-ノニニル基、6-ノニニル基、7-ノニニル基、8-ノニニル基、1-デシニル基、3-デシニル基、5-デシニル基、7-デシニル基、9-デシニル基が好ましく、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-メチル-3-ブチニル基、1-ヘキシニル基、2-ヘキシニル基、3-ヘキシニル基、4-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基がより好ましい。
上記Rの炭素数2〜20のアルキニル基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6のアルケニルオキシ基、炭素数2〜12のアルキルカルバモイル基、炭素数6〜14のアリール基、フルオロ基、クロロ基、及び炭素数2〜12のアルキルアミノ基から選ばれる置換基を有していてもよいが、無置換のものが好ましい。
【0015】
一般式(V)におけるRの炭素数6〜14のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられる。
上記Rの炭素数6〜14のアリール基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6のアルケニルオキシ基、炭素数2〜12のアルキルカルバモイル基、炭素数6〜14のアリール基、フルオロ基、クロロ基、及び炭素数2〜12のアルキルアミノ基から選ばれる置換基を有していてもよいが、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6のアルケニルオキシ基、炭素数2〜12のアルキルカルバモイル基、フルオロ基、クロロ基、及び炭素数2〜12のアルキルアミノ基から選ばれる置換基を有するもの或いは無置換のものが好ましい。
【0016】
一般式(V)におけるRの、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる異性原子を1〜3個含む複素環基としては、芳香族性を有していてもよい、通常3〜20員、好ましくは3〜14員、より好ましくは5〜10員の単環式複素環又は多環式複素環由来の基が挙げられる。単環式複素環由来の基の場合には5〜6員のものが好ましく、多環式複素環由来の基の場合には、9〜10員、特に9員のものが好ましく、中でも、多環式複素環由来の基が好ましい。これらは鎖状、分枝状或いは環状に環が縮合して、それらが平面構造をとっていても或いは立体構造をとっていてもよい。
【0017】
上記複素環由来の基は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を通常1〜3個、好ましくは1〜2個、より好ましくは1個有し、これらの中でも窒素原子を有するものが好ましい。
【0018】
上記単環式複素環としては、例えばオキシラン環、アジリジン環等のヘテロ原子1つを有する3員複素環、例えばフラン環,チオフェン環,ピロール環,2H−ピロール環,ピロリン環,2−ピロリン環,ピロリジン環等のヘテロ原子を1つ有する5員複素環、例えば1,3−ジオキソラン環,オキサゾール環,イソオキサゾール環,チアゾール環,イソチアゾール環,イミダゾール環,イミダゾリン環,2−イミダゾリン環,イミダゾリジン環,ピラゾール環,ピラゾリン環,3−ピラゾリン環,ピラゾリジン環等のヘテロ原子を2つ有する5員複素環、例えばフラザン環,トリアゾール環,チアジアゾール環,オキサジアゾール環等のヘテロ原子を3つ有する5員複素環、例えばピラン環,2H−ピラン環,ピリジン環,ピペリジン環等のヘテロ原子を1つ有する6員複素環、例えばチオピラン環,ピリダジン環,ピリミジン環,ピラジン環,ピペラジン環,モルホリン環等のヘテロ原子を2つ有する6員複素環、1,2,4−トリアジン環等のヘテロ原子を3つ有する6員複素環等が挙げられる。
【0019】
上記多環式複素環としては、2〜3個の単環式複素環同士が縮合したもの或いは単環式複素環と例えばベンゼン環,ナフタレン環等の芳香族環1〜2個が縮合して成る、二環系複素環、三環系複素環等が挙げられる。
【0020】
該二環系複素環としては、例えばベンゾフラン環,イソベンゾフラン環,1−ベンゾチオフェン環,2−ベンゾチオフェン環,インドール環,3−インドール環,イソインドール環,インドリジン環,インドリン環,イソインドリン環,2H−クロメン環,クロマン環,イソクロマン環,1H−2−ベンゾピラン環,キノリン環,イソキノリン環,4H−キノリジン環等のヘテロ原子を1つ有する複素環、例えばベンゾイミダゾール環,ベンゾチアゾール環,1H−インダゾール環,1,8−ナフチリジン環,キノキサリン環,キナゾリン環,キナゾリジン環,シンノリン環,フタラジン環等のヘテロ原子を2つ有する複素環、例えばプリン環,プテリジン環等のヘテロ原子を4つ有する複素環等が挙げられる。
【0021】
該三環系複素環としては、例えばカルバゾール環,4aH−カルバゾール環,キサンテン環,フェナントリジン環,アクリジン環等のヘテロ原子を1つ有する複素環、例えばβ−カルボリン環,ペリミジン環,1,7−フェナントロリン環,1,10−フェナントロリン環,チアントレン環,フェノキサチイン環,フェノキサジン環,フェノチアジン環,フェナジン環等のヘテロ原子を2つ有する複素環等が挙げられる。
【0022】
一般式(V)におけるRの、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる異性原子を1〜3個含む複素環基の好ましい例としては、上記単環式複素環由来の基、上記二環系複素環由来の基等が挙げられるが、中でも、インドール環,イソインドール環,インドリン環,イソインドリン環,キノリン環,イソキノリン環,4H−キノリジン環等が好ましい。
上記Rの窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる異性原子を1〜3個含む複素環基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6のアルケニルオキシ基、炭素数2〜12のアルキルカルバモイル基、炭素数6〜14のアリール基、フルオロ基、クロロ基、及び炭素数2〜12のアルキルアミノ基から選ばれる置換基を有していてもよいが、炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有するもの又は無置換のものが好ましい。
【0023】
一般式(V)におけるRの置換基である炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状、分枝状或いは環状の何れでもよく、炭素数1〜4のものが好ましい。具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が好ましい。
【0024】
一般式(V)におけるRの置換基である炭素数2〜6のアルケニル基は、直鎖状、分枝状或いは環状の何れでも良く、炭素数2〜4のものが好ましい。具体的には例えばビニル基、アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-メチルアリル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、2-メチル-2-ペンテニル基、1-シクロブテニル基、1-シクロペンテニル基、1-シクロヘキセニル基等が挙げられ、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-メチルアリル基等が好ましい。
【0025】
一般式(V)におけるRの置換基である炭素数1〜6のアルコキシ基は、直鎖状、分枝状或いは環状の何れでもよく、炭素数1〜4のものが好ましい。具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec-ヘキシルオキシ基、tert-ヘキシルオキシ基、ネオヘキシルオキシ基等が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等が好ましい。
【0026】
一般式(V)におけるRの置換基である炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基は、
直鎖状、分枝状或いは環状の何れでもよく、炭素数2〜5のものが好ましい。具体的には、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、イソヘキシルオキシカルボニル基、sec-ヘキシルオキシカルボニル基、tert-ヘキシルオキシカルボニル基、ネオヘキシルオキシカルボニル基等が挙げられ、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基等が好ましい。
【0027】
一般式(V)におけるRの置換基である炭素数2〜6のアルケニルオキシ基は、直鎖状、分枝状或いは環状の何れでもよく、炭素数2〜4のものが好ましい。具体的には、例えばビニルオキシ基、アリルオキシ基、1-プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、1-ブテニルオキシ基、2-ブテニルオキシ基、3-ブテニルオキシ基、2-メチルアリルオキシ基、1-ペンテニルオキシ基、2-ペンテニルオキシ基、3-ペンテニルオキシ基、4-ペンテニルオキシ基、2-メチル-2-ブテニルオキシ基、1-ヘキセニルオキシ基、2-ヘキセニルオキシ基、3-ヘキセニルオキシ基、5-ヘキセニルオキシ基、2-メチル-2-ペンテニルオキシ基、1-シクロブテニルオキシ基、1-シクロペンテニルオキシ基、1-シクロヘキセニルオキシ基等が挙げられ、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、1-プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、1-ブテニルオキシ基、2-ブテニルオキシ基、3-ブテニルオキシ基、2-メチルアリルオキシ基等が好ましい。
【0028】
一般式(V)におけるRの置換基である炭素数2〜12のアルキルカルバモイル基としては、カルバモイル(−CONH)基の水素原子2個が炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基で置換されたものが挙げられ、具体的には、例えばN,N-メチルエチルカルバモイル基、N,N-n-メチルプロピルカルバモイル基、N,N-メチルイソプロピルカルバモイル基、N,N-メチル-n-ブチルカルバモイル基、N,N-メチル-tert-ブチルカルバモイル基、N,N-メチル-n-ヘキシルカルバモイル基、N,N-メチルシクロヘキシルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N,N-ジエチルカルバモイル基、N,N-ジシクロヘキシルカルバモイル基等が挙げられる。
【0029】
一般式(V)におけるRの置換基である炭素数6〜14のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
【0030】
一般式(V)におけるRの置換基である炭素数2〜12のアルキルアミノ基としては、アミノ基(−NH)の水素原子2個が炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基で置換されたものが挙げられ、具体的には、例えばN,N-メチルエチルアミノ基、N,N-メチル-n-プロピルアミノ基、N,N-メチルイソプロピルアミノ基、N,N-メチル-n-ブチルアミノ基、N,N-メチル-tert-ブチルアミノ基、N,N-メチル-n-ヘキシルアミノ基、N,N-メチルシクロヘキシルアミノ基、N,N-メチルエチルアミノ基、N,N-ジシクロアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基等が挙げられる。
【0031】
一般式(V)におけるRは、炭素数6〜14のアリール基を置換基として有してもよい炭素数1〜20のアルキル基;炭素数2〜20のアルケニル基;炭素数2〜20のアルキニル基;炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6のアルケニルオキシ基、炭素数2〜12のアルキルカルバモイル基、炭素数6〜14のアリール基、フルオロ基、クロロ基、又は炭素数2〜12のアルキルアミノ基を置換基として有していてもよい炭素数6〜14のアリール基;或いは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる異性原子を1〜3個含む、炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有していてもよい複素環基が好ましい。これらの好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニル-n-プロピル基、フェニル-n-ブチル基、フェニル-n-ペンチル基、フェニル-n-ヘキシル基、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-メチルアリル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、2-メチル-2-ペンテニル基、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-メチル-3-ブチニル基、1-ヘキシニル基、2-ヘキシニル基、3-ヘキシニル基、4-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、インドール環由来の基,イソインドール環由来の基,インドリン環由来の基,イソインドリン環由来の基,キノリン環由来の基,イソキノリン環由来の基,4H−キノリジン環由来の基、N-メチルインドール環由来の基、N-エチルインドール環由来の基、N-n-プロピルインドール環由来の基、N-メチルイソインドール環由来の基、N-エチルイソインドール環由来の基、N-n-プロピルイソインドール環由来の基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、トリプロピルフェニル基、トリイソプロピルフェニル基、アリルフェニル基、1-プロペニルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロポキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、プロポキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシフェニル基、1-プロペニルオキシフェニル基、ジメチルカルバモイルフェニル基、ジエチルカルバモイルフェニル基、ジプロピルカルバモイルフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、ジプロピルアミノフェニル基等が挙げられる。
【0032】
一般式(V)で示される有機ハロゲン化合物としては、下記一般式(I)で示される化合物
(式中、Xは臭素原子又はヨウ素原子を表し、p1は0〜5の整数を表し、p1個のR1は、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6のアルケニルオキシ基、炭素数2〜12のアルキルカルバモイル基、炭素数6〜14のアリール基、フルオロ基、クロロ基、又は炭素数2〜12のアルキルアミノ基を表す。)、下記一般式(II)で示される化合物
(式中、X及びRは上記と同じ。p2は0〜7の整数を表す。)、下記一般式(III)で示される化合物
(式中、X及びRは上記と同じ。p3は0〜9の整数を表す。)、下記一般式(IV)で示される化合物
(式中、Xは上記と同じ。R2は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)、炭素数6〜14のアリール基を置換基として有する又は無置換の炭素数1〜20のアルキルブロマイド、炭素数6〜14のアリール基を置換基として有する又は無置換の炭素数1〜20のアルキルヨード、炭素数2〜20のアルケニルブロマイド、炭素数2〜20のアルケニルヨード、炭素数2〜20のアルキニルブロマイド、或いは、炭素数2〜20のアルキニルヨード等が挙げられる。これらの中でも、一般式(I)で示される化合物、一般式(III)で示される化合物、一般式(IV)で示される化合物、炭素数6〜14のアリール基を置換基として有する又は無置換の炭素数1〜20のアルキルブロマイド、炭素数2〜20のアルケニルブロマイドが好ましく、一般式(I)で示される化合物が特に好ましい。
【0033】
一般式(I)におけるp1は0〜5の整数であり、0〜3が好ましく、0又は1がより好ましい。
【0034】
一般式(I)におけるR1の、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6のアルケニルオキシ基、炭素数2〜12のアルキルカルバモイル基、炭素数6〜14のアリール基、及び炭素数2〜12のアルキルアミノ基の具体例及び好ましいものは、一般式(V)におけるRの置換基として記載したものと同じものが挙げられる。
【0035】
一般式(I)で示される化合物としては、具体的には例えば以下のものが挙げられるが、中でも臭化化合物が好ましい。



【0036】



【0037】
一般式(II)におけるp2は0〜7の整数であり、0〜3が好ましく、0がより好ましい。
【0038】
一般式(II)におけるR1の具体例及び好ましいものは、一般式(I)におけるR1のそれらと同じである。
【0039】
一般式(II)で示される化合物の好ましいものとしては、一般式Iにおけるフェニレン基がナフチレン基に置換されたものが挙げられるが、中でもブロモナフチレン又はヨードナフチレンが好ましく、ブロモナフチレンが特に好ましい。
【0040】
一般式(III)におけるp3は0〜9の整数であり、0〜3が好ましく、0がより好ましい。
【0041】
一般式(III)におけるR1の具体例及び好ましいものは、一般式(I)におけるR1のそれらと同じである。
【0042】
一般式(III)で示される化合物の好ましいものとしては、一般式Iにおけるフェニレン基がアントラセニレン基に置換されたものが挙げられるが、中でもブロモアントラセン又はヨードアントラセンが好ましく、ブロモアントラセンが特に好ましい。
【0043】
一般式(IV)におけるR2の炭素数1〜6のアルキル基としては、一般式(V)におけるRの置換基である炭素数1〜6のアルキル基と同じものが挙げられ、具体例及び好ましいものも同じである。
【0044】
一般式(IV)で示される化合物の好ましいものとしては、例えば以下のものが挙げられ、中でも臭化化合物が好ましい。
【0045】

【0046】
炭素数6〜14のアリール基を置換基として有する又は無置換の炭素数1〜20のアルキルブロマイドとしては、炭素数6〜14のアリール基を置換基として有する又は無置換の炭素数1〜10のアルキルブロマイドが好ましく、炭素数6〜14のアリール基を置換基として有する又は無置換の炭素数1〜6のアルキルブロマイドがより好ましい。上記置換基としてのアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
【0047】
炭素数6〜14のアリール基を置換基として有する又は無置換の炭素数1〜20のアルキルブロマイドの好ましい具体例としては、例えばメチルブロマイド、エチルブロマイド、n-プロピルブロマイド、イソプロピルブロマイド、n-ブチルブロマイド、イソブチルブロマイド、sec-ブチルブロマイド、tert-ブチルブロマイド、n-ペンチルブロマイド、イソペンチルブロマイド、sec-ペンチルブロマイド、tert-ペンチルブロマイド、ネオペンチルブロマイド、2-メチルブチルブロマイド、1-エチルプロピルブロマイド、n-ヘキシルブロマイド、イソヘキシルブロマイド、sec-ヘキシルブロマイド、tert-ヘキシルブロマイド、ネオヘキシルブロマイド、2-メチルペンチルブロマイド、3-メチルペンチルブロマイド、1,2-ジメチルブチルブロマイド、2,2-ジメチルブチルブロマイド、1-エチルブチルブロマイド、2-エチルブチルブロマイド、シクロプロピルブロマイド、シクロブチルブロマイド、シクロペンチルブロマイド、シクロヘキシルブロマイド、フェニルメチルブロマイド、フェニルエチルブロマイド、フェニル-n-プロピルブロマイド、フェニルイソプロピルブロマイド、フェニル-n-ブチルブロマイド、フェニルイソブチルブロマイド、フェニル-sec-ブチルブロマイド、フェニル-tert-ブチルブロマイド、フェニル-n-ペンチルブロマイド、フェニルイソペンチルブロマイド、フェニル-sec-ペンチルブロマイド、フェニル-tert-ペンチルブロマイド、フェニルネオペンチルブロマイド、4-フェニル-2-メチルブチルブロマイド、3-フェニル-1-エチルプロピルブロマイド、フェニル-n-ヘキシルブロマイド、フェニルイソヘキシルブロマイド、フェニル-sec-ヘキシルブロマイド、フェニル-tert-ヘキシルブロマイド、フェニルネオヘキシルブロマイド、5-フェニル-2-メチルペンチルブロマイド、5-フェニル-3-メチルペンチルブロマイド、4-フェニル-1,2-ジメチルブチルブロマイド、4-フェニル-2,2-ジメチルブチルブロマイド、4-フェニル-1-エチルブチルブロマイド、4-フェニル-2-エチルブチルブロマイド、フェニルシクロプロピルブロマイド、フェニルシクロブチルブロマイド、フェニルシクロペンチルブロマイド、フェニルシクロヘキシルブロマイド等が挙げられ、メチルブロマイド、エチルブロマイド、n-プロピルブロマイド、イソプロピルブロマイド、フェニルメチルブロマイド、フェニルエチルブロマイド、フェニル-n-プロピルブロマイド、フェニルイソプロピルブロマイド等が好ましく、フェニルメチルブロマイド、フェニルエチルブロマイド、フェニル-n-プロピルブロマイド、フェニルイソプロピルブロマイド等が好ましい。
【0048】
炭素数6〜14のアリール基を置換基として有する又は無置換の炭素数1〜20のアルキルヨードとしては、炭素数6〜14のアリール基を置換基として有する又は無置換の炭素数1〜10のアルキルヨードが好ましく、炭素数6〜14のアリール基を置換基として有する又は無置換の炭素数1〜6のアルキルヨードがより好ましい。上記置換基としてのアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
【0049】
炭素数6〜14のアリール基を置換基として有する又は無置換の炭素数1〜20のアルキルヨードの好ましい具体例としては、例えばメチルヨード、エチルヨード、n-プロピルヨード、イソプロピルヨード、n-ブチルヨード、イソブチルヨード、sec-ブチルヨード、tert-ブチルヨード、n-ペンチルヨード、イソペンチルヨード、sec-ペンチルヨード、tert-ペンチルヨード、ネオペンチルヨード、2-メチルブチルヨード、1-エチルプロピルヨード、n-ヘキシルヨード、イソヘキシルヨード、sec-ヘキシルヨード、tert-ヘキシルヨード、ネオヘキシルヨード、2-メチルペンチルヨード、3-メチルペンチルヨード、1,2-ジメチルブチルヨード、2,2-ジメチルブチルヨード、1-エチルブチルヨード、2-エチルブチルヨード、シクロプロピルヨード、シクロブチルヨード、シクロペンチルヨード、シクロヘキシルヨード、フェニルメチルヨード、フェニルエチルヨード、フェニル-n-プロピルヨード、フェニルイソプロピルヨード、フェニル-n-ブチルヨード、フェニルイソブチルヨード、フェニル-sec-ブチルヨード、フェニル-tert-ブチルヨード、フェニル-n-ペンチルヨード、フェニルイソペンチルヨード、フェニル-sec-ペンチルヨード、フェニル-tert-ペンチルヨード、フェニルネオペンチルヨード、4-フェニル-2-メチルブチルヨード、3-フェニル-1-エチルプロピルヨード、フェニル-n-ヘキシルヨード、フェニルイソヘキシルヨード、フェニル-sec-ヘキシルヨード、フェニル-tert-ヘキシルヨード、フェニルネオヘキシルヨード、5-フェニル-2-メチルペンチルヨード、5-フェニル-3-メチルペンチルヨード、4-フェニル-1,2-ジメチルブチルヨード、4-フェニル-2,2-ジメチルブチルヨード、4-フェニル-1-エチルブチルヨード、4-フェニル-2-エチルブチルヨード、フェニルシクロプロピルヨード、フェニルシクロブチルヨード、フェニルシクロペンチルヨード、フェニルシクロヘキシルヨード等が挙げられる。
【0050】
炭素数2〜20のアルケニルブロマイドとしては、炭素数2〜10のアルケニルブロマイドが好ましく、炭素数2〜6のアルケニルブロマイドがより好ましい。好ましい具体例としては、例えばビニルブロマイド、アリルブロマイド、1-プロペニルブロマイド、イソプロペニルブロマイド、1-ブテニルブロマイド、2-ブテニルブロマイド、3-ブテニルブロマイド、2-メチルアリルブロマイド、1-ペンテニルブロマイド、2-ペンテニルブロマイド、3-ペンテニルブロマイド、4-ペンテニルブロマイド、2-ブロモ-3-メチルブテン、1-ヘキセニルブロマイド、2-ヘキセニルブロマイド、3-ヘキセニルブロマイド、5-ヘキセニルブロマイド、2-メチル-2-ペンテニルブロマイド、1-シクロブテニルブロマイド、1-シクロペンテニルブロマイド、1-シクロヘキセニルブロマイド等が挙げられ、2-ブロモ-3-メチルブテンが好ましい。
【0051】
炭素数2〜20のアルケニルヨードとしては、炭素数2〜10のアルケニルヨードが好ましく、炭素数2〜6のアルケニルヨードがより好ましい。好ましい具体例としては、例えばビニルヨード、アリルヨード、1-プロペニルヨード、イソプロペニルヨード、1-ブテニルヨード、2-ブテニルヨード、3-ブテニルヨード、2-メチルアリルヨード、1-ペンテニルヨード、2-ペンテニルヨード、3-ペンテニルヨード、4-ペンテニルヨード、2-メチル-2-ブテニルヨード、1-ヘキセニルヨード、2-ヘキセニルヨード、3-ヘキセニルヨード、5-ヘキセニルヨード、2-メチル-2-ペンテニルヨード、1-シクロブテニルヨード、1-シクロペンテニルヨード、1-シクロヘキセニルヨード等が挙げられる。
【0052】
炭素数2〜20のアルキニルブロマイドとしては、炭素数2〜10のアルキニルブロマイドが好ましく、炭素数2〜6のアルキニルブロマイドがより好ましい。好ましい具体例としては、例えばエチニルブロマイド、1-プロピニルブロマイド、2-プロピニルブロマイド、1-ブチニルブロマイド、2-ブチニルブロマイド、3-ブチニルブロマイド、1-メチル-2-プロピニルブロマイド、1-ペンチニルブロマイド、2-ペンチニルブロマイド、3-ペンチニルブロマイド、4-ペンチニルブロマイド、1-メチル-3-ブチニルブロマイド、1-ヘキシニルブロマイド、2-ヘキシニルブロマイド、3-ヘキシニルブロマイド、4-ヘキシニルブロマイド、5-ヘキシニルブロマイド、2-メチル-4-へプチニルブロマイド等が挙げられる。
【0053】
炭素数2〜20のアルキニルヨードとしては、炭素数2〜10のアルキニルヨードが好ましく、炭素数2〜6のアルキニルヨードがより好ましい。好ましい具体例としては、例えばエチニルヨード、1-プロピニルヨード、2-プロピニルヨード、1-ブチニルヨード、2-ブチニルヨード、3-ブチニルヨード、1-メチル-2-プロピニルヨード、1-ペンチニルヨード、2-ペンチニルヨード、3-ペンチニルヨード、4-ペンチニルヨード、1-メチル-3-ブチニルヨード、1-ヘキシニルヨード、2-ヘキシニルヨード、3-ヘキシニルヨード、4-ヘキシニルヨード、5-ヘキシニルヨード、2-メチル-4-へプチニルヨード等が挙げられる。
【0054】
上記一般式(V)で示される有機ハロゲン化合物は、市販のものであっても、自体公知の方法により製造したものであっても何れでもよい。
【0055】
[一般式(VI)で示される化合物]
一般式(VI)で示される化合物におけるR3の炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、好ましくは炭素数1〜3、より好ましくは炭素数1のものが挙げられる。具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0056】
一般式(VI)で示される化合物におけるR3の炭素数6〜10のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0057】
3個のR3は、それぞれ同じであっても異なっていてもよいが、異なる2種類の基で構成されるのが好ましく、例えば1個がアリール基で残りの2個がアルキル基から選ばれる同じ基、或いは1個がアルキル基で残りの2個がアリール基から選ばれる同じ基等が好ましい。より具体的には例えば1個がフェニル基で残りの2個がメチル基、1個がメチル基で残り2個がフェニル基等の組合せが好ましい。
【0058】
一般式(VI)で示される化合物におけるR4の炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、メチル基が好ましい。4個のR4は、それぞれ同じであっても異なっていてもよいが、全てが同じであるのが好ましい。
【0059】
一般式(VI)で示される化合物の好ましいものとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0060】
上記一般式(VI)で示される化合物は、市販のものであっても、自体公知の方法により製造したものであっても何れでもよい。
【0061】
[本発明に係る一般式(VII)で示される化合物]
(式中、R及びR4は、上記と同じ。)
一般式(VII)におけるRの具体例及び好ましい具体例は、一般式(V)のRと同じものが挙げられる。
【0062】
一般式(VII)におけるR4の具体例及び好ましい具体例は、一般式(VI)のR4と同じものが挙げられる。
【0063】
一般式(VII)で示される化合物の具体例としては、下記一般式[VI−1]〜[VI−6]が挙げられ、[VI−1]が特に好ましい。
(式中、Rは上記と同じ。)
【0064】
[本発明に係るナトリウムアルコキシド又はカリウムアルコキシド]
本発明に係るナトリウムアルコキシドとしては、通常炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のものが挙げられ、具体的には、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムn-プロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムn-ブトキシド、ナトリウムイソブトキシド、ナトリウムsec-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムn-ペンチルオキシド、ナトリウムイソペンチルオキシド、ナトリウムsec-ペンチルオキシド、ナトリウムtert-ペンチルオキシド、ナトリウムネオペンチルオキシド、ナトリウムn-ヘキシルオキシド、ナトリウムイソヘキシルオキシド、ナトリウムsec-ヘキシルオキシド、ナトリウムtert-ヘキシルオキシド、ナトリウムネオヘキシルオキシド等が挙げられ、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムn-プロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムn-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド等が好ましく、ナトリウムメトキシドがより好ましい。
【0065】
本発明に係るカリウムアルコキシドとしては、通常炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のものが挙げられ、具体的には、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムn-プロポキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムn-ブトキシド、カリウムイソブトキシド、カリウムsec-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、カリウムn-ペンチルオキシド、カリウムイソペンチルオキシド、カリウムsec-ペンチルオキシド、カリウムtert-ペンチルオキシド、カリウムネオペンチルオキシド、カリウムn-ヘキシルオキシド、カリウムイソヘキシルオキシド、カリウムsec-ヘキシルオキシド、カリウムtert-ヘキシルオキシド、カリウムネオヘキシルオキシド等が挙げられ、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムn-プロポキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムn-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド等が好ましい。
【0066】
[本発明の一般式(VII)で示される化合物の製造方法(本発明の製造方法)]
本発明の製造方法は、上記一般式(V)で示される有機ハロゲン化合物と上記一般式(VI)で示される化合物とを、ナトリウムアルコキシド又はカリウムアルコキシドの存在下で反応させることによりなされる。この反応の結果、一般式(V)で示される化合物中の臭素原子又はヨウ素原子は、一般式(VI)で示される化合物中のジオールホウ素基で置換され、一般式(VII)で示される化合物が製造される。
【0067】
本発明の一般式(VII)で示される化合物の製造方法における一般式(VI)で示される化合物の使用量は、一般式(V)で示される化合物に対して、通常1〜5当量、好ましくは1〜2当量、より好ましくは1〜1.5当量、更に好ましくは1.2〜1.5当量である。
【0068】
本発明の一般式(VII)で示される化合物の製造方法におけるナトリウムメトキシド又はカリウムメトキシドの使用量は、一般式(V)で示される化合物に対して、通常1〜5当量、好ましくは1〜2当量、より好ましくは1〜1.5当量、更に好ましくは1〜1.2当量である。
【0069】
本発明の一般式(VII)で示される化合物の製造方法は、有機溶媒中でなされるのが好ましい。該有機溶媒としては、エーテル系溶媒が好ましく、具体的には、例えばジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジブチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、ジオキソラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。中でもジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンが好ましい。該有機溶媒の使用量は、一般式(V)で示される化合物1mmolに対して、通常1〜50mL、好ましくは1〜10mL、より好ましくは5〜10mLである。
【0070】
本発明の一般式(VII)で示される化合物の製造方法における反応温度は、通常0〜100℃、好ましくは20〜60℃、より好ましくは20〜40℃である。反応時間は、一般式(V)で示される化合物が全て反応する時間であればよく、通常0.5〜5時間、好ましくは0.5〜3時間、より好ましくは1〜2時間である。
【0071】
本発明の一般式(VII)で示される化合物の製造方法としては、具体的には例えば、上記一般式(V)で示される化合物と、一般式(V)で示される化合物に対して1〜2当量の一般式(VI)で示される化合物とを、一般式(V)で示される化合物に対して1〜1.5当量のナトリウムメトキシド又はカリウムメトキシドの存在下、上記有機溶媒1〜100mL中0〜90℃で0.5〜3時間反応させればよい。より具体的には例えば、ブロモベンゼン1mmolと(ジメチルフェニルシリル)ボロン酸ピナコールエステル1〜2mmolとを、ナトリウムメトキシド又はカリウムメトキシド1〜1.5mmolの存在下、エーテル系有機溶媒10〜20mL中20〜40℃で、1〜2時間反応させることにより、フェニルボロン酸ピナコールエステル又はその誘導体を得ることができる。
【実施例】
【0072】
実施例1 4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルの製造方法
アルゴン雰囲気下でカリウムメトキシド(KOMe)(ALDRICH社製)42.1 mg(0.6 mmol)、1,2−ジメトキシエタン(DME)5 ml、及び(ジメチルフェニルシリル)ボロン酸ピナコールエステル(ALDRICH社製)196.7mg(0.75 mmol)を加え、30℃で10分間撹拌した。その後、4−ブロモアニソール(和光純薬工業(株)製)93.5 mg(0.50 mmol)を滴下し、1時間反応させた後に、反応混合物をガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分析し、反応が完了しているかを確認した。
【0073】
反応後に0℃に冷却し、フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)(1.0 M,800 μl)を加え、3時間撹拌した。その後、混合溶液に水100 mlを加え、次いでジエチルエーテル50 mlで目的物を抽出した。有機層を水50 mlで2回洗浄した後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過後、ろ液のジエチルエーテルを留去した。得られた粗生成物を、ホウ素含浸シリカゲルカラムクロマトグラフィを用いて0−5% ヘキサン/ジエチルエーテル溶離液で精製し、無色オイル状の4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。GCから算出した収率は92%、単離時の収率は77%であった。
【0074】
該反応の反応スキームを以下に示す。尚、カッコ内のシリル化生成物は目的物以外の副産物を表す。
上記反応の条件[ハロゲン化アリールのハロゲンの種類(X)、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、GCから算出した収率、及びホウ素化生成物対シリル化生成物の比(B/Si)について表1に示す。
【0075】
尚、得られた4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルの物性データを以下に示す。
〔物性データ〕
1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=1.33(s,12H),3.83(s,3H),6.90(dt,J=2.3,8.7 Hz,2H),7.75(dt,J=2.1,8.7 Hz,2H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=24.9(CH3),55.2(CH3),83.6(C),113.4(CH),136.6(CH),162.2(C);HRMS-APCI m/z [M+H]+ calcd C13H20O310B,234.15363;found,234.15370.
【0076】
実施例2 テトラヒドロフランを溶媒として用いた4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルの製造方法
実施例1の使用溶媒DMEの代わりにテトラヒドロフラン(THF)(和光純薬工業(株)製)を用いた以外は実施例1と同様の方法により行い、4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。
該反応の条件[ハロゲン化アリールのハロゲンの種類(X)、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、GCから算出した収率、及びB/Siについて、実施例1のそれらと併せて表1に示す。尚、得られた生成物の物性データは実施例1と同じであった。
【0077】
比較例1−4 各種有機溶媒を用いた4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルの製造方法
実施例1の使用溶媒DMEの代わりに、それぞれトルエン、ジクロロメタン(CH2Cl2)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、又はメタノール(MeOH)を用いた以外は実施例1と同様の方法により行った。
【0078】
該反応の条件[ハロゲン化アリールのハロゲンの種類(X)、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、GCから算出した収率、及びB/Siについて実施例1及び2のそれらと併せて表1に示す。尚、得られた生成物の物性データは実施例1と同じであった。
【0079】
【表1】
【0080】
表1の結果より、1,2−ジメトキシエタン(DME)やテトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒を用いると効率よく反応が進み、85%以上の高い収率で目的物が得られること分かった。一方、トルエン、ジクロロメタン(CH2Cl2)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、メタノールを用いた場合、収率が非常に低かった。特に、DMF及びメタノールでは、反応が進まないことが分かった。
【0081】
実施例3−4 反応温度の違いによる反応への影響
実施例1の反応温度を50℃及び0℃に変えた以外は実施例1と同様の方法により行い、4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。
【0082】
該反応の条件[ハロゲン化アリールのハロゲンの種類(X)、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、GCから算出した収率、及びB/Siについて、実施例1のそれらと併せて表2に示す。尚、得られた生成物の物性データは実施例1と同じであった。
【0083】
【表2】
【0084】
表2の結果より、30℃での反応が最も効率よいが、50℃や0℃でも80%以上の高い収率で目的物が得られることが分かった。尚、0℃の場合、ホウ素化生成物に対するシリル化生成物の比率が、30℃及び50℃と比較して若干上がることが分かった。
【0085】
実施例5−6 各種塩基を用いた4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルの製造方法
実施例1の使用塩基KOMeの代わりにナトリウムメトキシド(NaOMe)又はカリウムtert-ブトキシド(KOtBu)を用いた以外は実施例1と同様の方法により行い、4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。
該反応の条件[ハロゲン化アリールのハロゲンの種類(X)、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、GCから算出した収率、及びB/Siについて表3に示す。尚、得られた生成物の物性データは実施例1と同じであった。
【0086】
比較例5−10 各種塩基を用いた4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルの製造方法
実施例1の使用塩基KOMeの代わりにそれぞれリチウムメトキシド(LiOMe)、酢酸カリウム(KOAc)、炭酸カリウム(K2CO3)、フッ化カリウム(KF)、又はジアザビシクロウンデセン(DBU)(和光純薬工業(株)製)を用いた以外は実施例1と同様の方法により行った。また、比較例10では、塩基を使用しなかった以外は実施例1と同様の方法により行った。
該反応の条件[ハロゲン化アリールのハロゲンの種類(X)、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、GCから算出した収率、及びB/Siについて、実施例5及び6のそれらと併せて表3に示す。
【0087】
【表3】
【0088】
表3の結果より、ナトリウムメトキシド及びカリウムtert-ブトキシドを塩基として用いるとホウ素置換反応が進むことが分かった。一方、リチウムメトキシド(LiOMe)、酢酸カリウム(KOAc)、炭酸カリウム(K2CO3)、フッ化カリウム(KF)、又はジアザビシクロウンデセン(DBU)を塩基として用いた場合には反応が進まないことが分かった。
実施例1、2、5及び6の結果より、ナトリウムアルコキシドやカリウムアルコキシドを用いるとホウ素置換反応が効率よく進むことが分かった。
【0089】
実施例7 ヨウ化物を出発物質としたジオールホウ素化合物の製造方法
実施例1の4−ブロモアニソールの代わりに4−ヨードアニソールを用いた以外は実施例1と同様の方法により行い、4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。
該反応の条件[ハロゲン化アリールのハロゲンの種類(X)、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、GCから算出した収率、及びB/Siについて、実施例1のそれらと併せて表4に示す。尚、得られた生成物の物性データは実施例1と同じであった。
【0090】
比較例11 塩化物を出発物質としたジオールホウ素化合物の製造方法
実施例7の4−ヨードアニソールの代わりに4−クロロアニソールを用いた以外は実施例7と同様の方法により行い、4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。
該反応の条件[ハロゲン化アリールのハロゲンの種類(X)、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、GCから算出した収率、及びB/Siについて、実施例1及び7のそれらと併せて表4に示す。尚、得られた生成物の物性データは実施例1と同じであった。
【0091】
【表4】
【0092】
表4の結果より、臭素及びヨウ素が置換基の場合は、ホウ素置換反応が効率よく進むことが分かった。一方、ハロゲン原子であっても置換基が塩素の場合は、ホウ素置換反応があまり進まないことが分かった。
【0093】
実施例8 溶媒量の違いによるジオールホウ素化合物の製造方法
実施例1の溶媒DMEの使用量5 mlを0.5 mlに変えた以外は実施例1と同様の方法により行い、4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。
【0094】
該反応の条件[ハロゲン化アリールのハロゲンの種類(X)、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、GCから算出した収率、及びB/Siについて、実施例1のそれらと併せて表5に示す。尚、得られた生成物の物性データは実施例1と同じであった。
【0095】
【表5】
【0096】
実施例9−23 各種出発物質を用いたジオールホウ素化合物の製造方法
実施例1の出発物質4−ブロモアニソールの代わりに表6に示す各種臭化アリールを用いた以外は実施例1と同様の方法により行い、ボロン酸ピナコールエステルを得た。
該反応の単離時の収率及びGC又はNMRから算出した収率についてそれぞれ表6に示す。
【0097】
【表6】

【0098】
表6の結果より、種々の出発物質(基質)を用いた場合であっても、ホウ素置換反応が効率よく進むことが分かった。
【0099】
尚、実施例9−23により得られたボロン酸ピナコールエステルの物性データは以下の通りである。
〔物性データ〕
実施例9で得られたp−トリルボロン酸ピナコールエステル:1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=1.33(s,12H),2.36(s,3H),7.18(d,J=7.3 Hz,2H),7.70(d,J=8.2 Hz,2H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=21.7(CH3),24.8(CH3),83.6(C),128.5(CH),134.8(CH),141.4(C);HRMS-EI m/z [M-Me]+ calcd C12H16O210B,202.12797;found,202.12779;anal. calcd for C13H19BO2:C,71.59,H,8.78;found,C,71.61,H,8.92.
【0100】
実施例10で得られたm−トリルボロン酸ピナコールエステル:1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=1.34(s,12H),2.35(s,3H),7.24-7.30(m,2H),7.58-7.65(m,2H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=21.3(CH3),24.8(CH3),83.7(C),127.7(CH),131.8(CH),132.0(CH),135.3(CH),137.1(C);HRMS-APCI m/z [M+H]+ calcd C13H20O210B,218.15872;found,218.15869;anal. calcd for C13H19BO2:C,71.59,H,8.78;found,C,71.61,H,8.97.

実施例11で得られたo−トリルボロン酸ピナコールエステル:1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=1.34(s,12H),2.54(s,3H),7.14-7.18(m,2H),7.31(dt,J=1.6,7.6 Hz,1H),7.76(dd,J=1.5,7.7 Hz,1H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=22.2(CH3),24.8(CH3),83.3(C),124.7(CH),129.7(CH),130.8(CH),135.8(CH),144.8(C);HRMS-ESI m/z [M+H]+ calcd for C13H2010BO2,218.15872;found,218.15859;anal. calcd for C13H19BO2:C,71.59,H,8.78;found,C,71.77,H,8.95.
【0101】
実施例12で得られたフェニルボロン酸ピナコールエステル:1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=1.35(s,12H),7.33−7.41(m,2H),7.46(tt,J=2.0,7.5 Hz,1H),7.76−7.84(m,2H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=24.9(CH3),83.7(C),127.7(CH),131.2(CH),134.7(CH);HRMS-ESI m/z [M+H]+ calcd for C12H18O210B,204.14307;found,204.14297;anal. calcd for C12H17BO2:C,70.63,H,8.40;found,C,70.52,H,8.63.
【0102】
実施例13で得られた4−フルオロフェニルボロン酸ピナコールエステル:1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=1.34(s,12H),7.05(tt,J=2.3,9.2 Hz,2H),7.76−7.83(m,2H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=24.8(CH3),83.9(C),114.8(d,J=20.1 Hz,CH),136.9(d,J=8.6 Hz,CH),165.1(d,J=252.0 Hz,C);HRMS-ESI m/z [M+H]+ calcd for C12H1710B FO2,222.13365;found,222.13355.
【0103】
実施例14で得られた4−クロロフェニルボロン酸ピナコールエステル:1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=1.34(s,12H),7.34(dt,J=1.8,8.7 Hz,2H),7.70−7.75(m,2H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=24.8(CH3),84.0(C),128.0(CH),136.1(CH),137.5(C);HRMS-ESI m/z [M+H]+ calcd for C12H1710BClO2,238.10410;found,238.10370;anal. calcd for C12H16BClO2:C,60.43,H,6.76;Found,C,60.25,H,6.81.
【0104】
実施例15で得られた(4−ボロン酸ピナコールエステル)安息香酸tert−ブチル:1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=1.36(s,12H),1.60(s,9H),7.81−7.87(m,2H),7.93−7.98(m,2H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=24.9(CH3),28.2(CH3),81.1(C),84.1(C),128.4(CH),134.2(C),134.5(CH),165.8(C);HRMS-ESI m/z [M+Na]+ calcd for C17H25O410BNa,326.17744;found,326.17768;anal. calcd for C17H25BO4:C,67.12,H,8.28;found,C,67.09,H,8.37.
【0105】
実施例16で得られた(4−ボロン酸ピナコールエステル)安息香酸エチル:1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=1.36(s,12H),1.40(t,J=7.3 Hz,3H),4.38(q,J=7.3 Hz,2H),7.84−7.89(m, 2H),8.00−8.05(m,2H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=14.3(CH3),24.9(CH3),61.0(CH2),84.1(C),128.5(CH),132.6(C),134.6(CH),166.6(C);HRMS-ESI m/z [M+H]+ calcd for C15H22O410B,276.16420;found,276.16446;anal. calcd for C15H21BO4:C,65.24,H,7.67;found,C,65.32,H,7.81.
【0106】
実施例17で得られた(4−ボロン酸ピナコールエステル)N,N−ジエチル安息香酸:1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=1.30−1.15 (m, 3H), 1.15−1.10 (m, 3H), 1.35 (s, 12H), 3.30−3.10 (m, 2H), 3.64−3.40 (m, 2H), 7.36 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.83 (d, J = 8.2 Hz, 2H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=12.9 (CH3), 14.2 (CH3), 24.8 (CH3), 39.2 (CH2) 43.2 (CH2), 84.0 (C), 125.4 (CH), 134.7 (CH), 139.8 (C), 171.1 (C);HRMS-ESI m/z [M+H]+ calcd for C17H27O3N10B,303.21148;found,303.21192.
【0107】
実施例18で得られた(4−ボロン酸ピナコールエステル)N,N−ジエチルアニリン:1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=1.32 (s, 12H), 2.98 (s, 6H), 6.69 (dt, J = 2.3, 9.2 Hz, 2H), 7.69 (dt, J = 2.3, 9.2 Hz, 2H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=24.9 (CH3), 40.2 (CH3), 83.3 (C), 111.3 (CH), 136.2 (CH), 152.6 (C);HRMS-EI m/z [M-Me]+ calcd for C13H1910BNO2, 231.15452;found,231.15344;anal. calcd for C14H22BNO2:C,68.04,H,8.97,N,5.67,found,C,68.04,H,9.00,N,5.46.
【0108】
実施例19で得られた1−メチル(5−ボロン酸ピナコールエステル)インドール:1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=1.37 (s, 12H), 3.79 (s, 3H), 6.50 (dd, J = 0.9, 3.2 Hz, 1H), 7.04 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.66 (dd, J = 0.9, 8.2 Hz, 1H), 8.16 (s, 1H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=24.9 (CH3), 32.8 (CH3), 83.4 (C) 101.6 (CH), 108.6 (CH), 127.6 (CH), 128.2 (C), 128.8 (CH), 128.9 (CH), 138.6 (C);HRMS-EI m/z [M-Me]+ calcd for C15H2010BNO2,256.16234;found,256.16149.
【0109】
実施例20で得られた2−(3−メチル−2−ブテニル)ボロン酸ピナコールエステル:1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=1.27 (s, 12H), 1.67 (s, 3H), 1.72 (s, 3H), 1.98 (d, J = 1.8 Hz, 3H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=16.5 (CH3), 21.2 (CH3), 24.4 (CH3), 24.8 (CH3), 82.7 (C), 148.2 (C);HRMS-EI m/z [M-Me]+ calcd for C11H2110BO2,195.16709;found,195.16723.
【0110】
実施例21で得られた(2,6−ジメチルフェニル)ボロン酸ピナコールエステル:1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=1.39 (s, 12H), 2.39 (s, 6H), 6.94 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.12 (t, J = 7.8 Hz, 1H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=22.2 (CH3), 24.9 (CH3), 83.6 (C),126.4 (CH), 129.1 (CH), 141.7 (C);HRMS-EI m/z [M-Me]+ calcd for C14H2110BO2,231.16709;found,231.16664;anal. calcd for C14H21BO2:C,72.44,H,9.12:found,C,72.25,H,9.13.
【0111】
実施例22で得られた9−アントラセンボロン酸ピナコールエステル:1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=1.57 (s, 12H), 7.40−7.52 (m, 4H), 7.95−8.20 (m, 2H), 8.38−8.52 (m, 3H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=25.2 (CH3), 84.4 (C) 124.9 (CH), 125.8 (CH), 128.3 (CH), 128.8 (CH), 129.5 (CH), 131.1 (C), 135.9 (C);HRMS-EI m/z [M-Me]+ calcd for C20H2110BO2,303.16709;found,303.16766.
【0112】
実施例23で得られた(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)ボロン酸ピナコールエステル:1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=1.21 (d, J = 7.0 Hz, 6H), 1.25 (d, J = 7.0 Hz, 12 H), 1.37 (s, 12H), 2.84 (sep, J = 7.1 Hz, 1H), 2.96 (sep, J = 7.0, 2H), 6.93 (s, 2H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=24.0 (CH3), 24.4 (CH3), 24.9 (CH3), 34.0 (CH), 34.5 (CH), 83.6 (C), 119.6 (CH), 149.7 (C), 151.8 (C);HRMS-ESI m/z [M+H]+ calcd for C21H3610BO2,330.28392;found,330.28359.
【0113】
実施例24 フェネチルボロン酸ピナコールエステルの製造方法
実施例1の出発物質4−ブロモアニソールを(2−ブロモエチル)ベンゼンに、溶媒DMEをジオキサンに、反応温度30℃を100℃に変えた以外は実施例1と同様の方法により行い、フェネチルボロン酸ピナコールエステルを得た。
該反応の条件[出発物質、使用溶媒、使用塩基、及び反応温度]、NMRから算出した収率、及びB/Siについて表7に示す。
尚、得られたフェネチルボロン酸ピナコールエステルの物性データを以下に示す。
〔物性データ〕
1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=1.14(t,J=8.4 Hz,2H),1.22(s,12H),2.75(t,J=8.4 Hz,2H),7.10-7.29(m,5H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=12.5(br,BCH2),24.9(CH3),30.1(CH2),83.2(C),125.6(CH),128.1(CH2),128.3(CH),144.5(C);HRMS-EI m/z [M]+ calcd C14H2110BO2,231.16709;found,231.16694.
【0114】
【表7】
【0115】
実施例25 (4−アリルオキシフェニル)ボロン酸ピナコールエステルの製造方法
実施例1の出発物質4−ブロモアニソールの代わりに4−アリルオキシフェニルブロマイドを用いた以外は実施例1と同様の方法により行い、(4−アリルオキシフェニル)ボロン酸ピナコールエステルを得た。
該反応の出発物質及びNMRから算出した収率について表8に示す。
尚、得られた(4−アリルオキシフェニル)ボロン酸ピナコールエステルの物性データを以下に示す。
【0116】
〔物性データ〕
1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=1.33(s,12H),4.47-4.63(m,2H),5.29(dd,J=1.5,11.0 Hz,1H),5.41(dd,J=1.5,17.6 Hz,1H),6.05(ddt,J=5.6,10.6,17.0 Hz,1H),6.83-6.95(m,2H),7.67-7.80(m,2H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=24.8(CH3),68.4(CH2),83.5(C),114.0(CH),117.6(CH2),133.0(CH),136.4(CH),161.1(C);HRMS-EI m/z [M]+ calcd C15H2110BO3,259.16201;found,259.16174;anal. calcd for C15H21BO3:C,69.26,H,8.14;found,C,69.24,H,8.32.
【0117】
実施例26 2−(3−ブテニル)フェニルボロン酸ピナコールエステルの製造方法
実施例1の出発物質4−ブロモアニソールの代わりにo−(3−ブテニル)ブロモベンゼンを用いた以外は実施例1と同様の方法により行い、2−(3−ブテニル)フェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。
該反応の出発物質及びNMRから算出した収率について、実施例25のそれらと併せて表8に示す。
尚、得られた2−(3−ブテニル)フェニルボロン酸ピナコールエステルの物性データを以下に示す。
【0118】
〔物性データ〕
1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=1.34(s,12H),2.25-2.35(m,2H),2.96(t,J=8.1 Hz,2H),4.91-4.98(m,1H),5.03(dq,J=1.8,17.5 Hz,1H),5.89(ddt,J=6.9,10.4,17.4 Hz,1H),7.14-7.21(m,2H),7.34(dt,J=1.5,7.7 Hz,1H),7.74-7.80(m,1H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=24.8(CH3),35.4(CH2),37.5(CH2),83.3(C),114.3(CH2),125.1(CH),129.2(CH),130.8(CH),136.1(CH),138.7(CH),149.0(C);HRMS-ESI m/z [M+H]+ calcd for C16H2410BO2,258.19002;found,258.18970;anal. calcd for C16H23BO2:C,74.47,H,8.98;found,C,74.47,H,9.24.
【0119】
【表8】
【0120】
実施例27 ホウ素置換反応及び鈴木−宮浦カップリングの連続反応
アルゴン雰囲気下でKOMe 42.1 mg(0.6 mmol)、DME 5 ml、及び(ジメチルフェニルシリル)ボロン酸ピナコールエステル196.7 mg(0.75 mmol)を、30℃で10分間撹拌した。その後、4−ブロモアニソール93.5 mg(0.50 mmol)を滴下し、1時間反応させた後に、反応混合物をガスクロマトグラフィー(GC)で分析し、反応が完了しているかを確認した。
【0121】
反応後に0℃に冷却し、TBAF(1.0 M,800 μl)を加え、3時間撹拌した。その後、混合溶液に水100 mlを加え、次いでジエチルエーテル50 mlで3回抽出を行った。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥し、ろ過後、ろ液のジエチルエーテルを留去した。
窒素雰囲気下で反応物に、DMF 2 ml、K2CO3 276 mg(1.0 mmol)、1−ヨード−4−ニトロベンゼン249 mg(1.0 mmol)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh3)4)29 mg(0.025 mmol,5 mol%)を加え、90℃で24時間撹拌反応させた。
反応後に室温に冷却し、反応液に水100 mlを加え、次いでジエチルエーテル50 mlで3回抽出を行った。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥し、ろ過後、ろ液のジエチルエーテルを留去した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィを用い、ヘキサンを溶離液として精製し、4−メトキシ−4’−ニトロビフェニルを得た。
該反応の反応スキームを以下に示す。
上記反応の出発物質及び単離時の収率について表9に示す。
【0122】
尚、得られた4−メトキシ−4’−ニトロビフェニルの物性データを以下に示す。
〔物性データ〕
1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=3.86(s,3H),7.01(dt,J=2.6,9.2 Hz,2H),7.56 (dt,J=2.7,9.2 Hz,2H),7.66(dt,J=2.3,9.2 Hz,2H),8.24(dt,J=2.3,9.2 Hz,2H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=55.3(CH3),114.5(CH),124.0(CH),126.9(CH),128.5(CH),130.9(C),146.4(C),147.1(C),160.4(C).
【0123】
実施例28−29 各種出発物質を用いたホウ素置換反応及び鈴木−宮浦カップリングの連続反応
実施例27の出発物質4−ブロモアニソールの代わりに表9の実施例28又は29に記載の臭化アリールを用いた以外は実施例27と同様の方法により行い、カップリング生成物を得た。
該反応の出発物質及び単離時の収率について、実施例28のそれらと併せて表9に示す。
【0124】
尚、実施例28又は29により得られたカップリング生成物の物性データは以下の通りである。
〔物性データ〕
3−メチル−4’−ニトロビフェニル:1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=2.43(s,3H),7.25(d,J=7.3 Hz,1H),7.33−7.44(m,2H),7.70(dt,J=2.3,9.2 Hz,2H),8.25(dt,J=2.3,9.2 Hz,2H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=21.4(CH3),123.9(CH),124.4(CH),127.7(CH),128.0(CH),129.0(CH),129.6(CH),138.6(C),138.8(C),146.9(C),147.7(C).
4−フルオロ−4’−ニトロビフェニル:1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=7.15−7.22(m,2H),7.55−7.63(m,2H),7.69(dt,J=2.3,9.2 Hz,2H),8.28(dt,J=2.3,8.7 Hz,2H);13C NMR(100 MHz,CDCl3):δ=116.1(d,J=22.0 Hz,CH),124.1(CH), 127.6(CH),129.8(d,J=8.6 Hz,CH),134.8 (d,J=2.9 Hz,CH),146.5(C),147.0(C),163.3(d,J=251 Hz,C).
【0125】
【表9】
【0126】
実施例30 フェニルボロン酸ピナコールエステルの反応時間による収率の変化
アルゴン雰囲気下でKOMe 84.2mg(0.12 mmol)、DME 5 ml、及び(ジメチルフェニルシリル)ボロン酸ピナコールエステル 39.34mg(0.15 mmol)を加え、30℃で10分間撹拌した。その後、ブロモベンゼン15.7mg(0.10 mmol)を滴下し、混合物の反応速度をガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分析した。この反応によりフェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。
得られた結果(metal free)を図1に示す。
【0127】
比較例12−22 遷移金属を用いたフェニルボロン酸ピナコールエステルの反応時間による収率の変化
実施例10の出発物質KOMeと共に表10に記載した各種遷移金属を表10に記載の量を加えた以外は実施例10と同様の方法により行い、フェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。
尚、該反応の添加した遷移金属の種類及び添加量について表10に示す。
得られた結果を実施例30の結果と合わせて図1に示す。
【0128】
【表10】
【0129】
図1の結果から、種々の遷移金属を添加した場合と比較して、金属を添加しない本発明の方法では、高い収率でフェニルボロン酸ピナコールエステルが得られることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の製造方法によれば、グリニヤール試薬やリチウム反応剤を用いる従来法のような0℃より低い温度で反応させる必要がなく、簡便に目的のジオールホウ素化合物を得ることができる。また、本発明の製造方法は、パラジウム等の重金属を用いる必要がないため、医薬品の製造にも適している。
【0131】
更に、本発明の反応は臭素原子またはヨウ素原子以外の置換基との反応性が低いため、本発明の方法により、各種置換基を有する化合物を基質として、該化合物由来のジオールホウ素化合物を得ることができる。
【符号の説明】
【0132】
図1中の−●−は実施例30の結果(metal free)を、−▲−は比較例20の結果([Ir(OMe)(cod)]2)を、−■−は比較例12の結果(Cu(OAc)2)を、−◆−は比較例14の結果(NiCl2)を、−○−は比較例22の結果([RuCl2(p-cymene)]2)を、−△−は比較例13の結果(CuCl)を、−□−は比較例18の結果(AgOAc)を、−◇−は比較例21の結果([RhCl(cod)]2)を、・・・●・・・は比較例16の結果酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)を、・・・▲・・・は比較例17の結果(CoCl2)を、・・・■・・・は比較例19の結果(PtCl2(cod))を、・・・◆・・・は比較例15の結果(FeCl3)をそれぞれ表す。
図1