特許第6444341号(P6444341)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444341
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】フィルム製造方法及びフィルム製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 71/02 20060101AFI20181217BHJP
   B08B 11/00 20060101ALI20181217BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20181217BHJP
   H01M 2/16 20060101ALN20181217BHJP
【FI】
   B29C71/02
   B08B11/00 A
   B08B3/02 C
   !H01M2/16 L
   !H01M2/16 P
【請求項の数】11
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-139434(P2016-139434)
(22)【出願日】2016年7月14日
(62)【分割の表示】特願2015-194108(P2015-194108)の分割
【原出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-64697(P2017-64697A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年8月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127498
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100146329
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】進 章彦
(72)【発明者】
【氏名】上島 陸里
【審査官】 関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭50−091321(JP,A)
【文献】 特開2011−011150(JP,A)
【文献】 特開2001−228594(JP,A)
【文献】 特開平09−066259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 71/00−71/02
B29C 39/00−39/22
B08B 3/00− 3/04
B08B 11/00−11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液槽内の液体中で長尺のフィルムを搬送する処理を含むフィルム製造方法において、
前記液槽の上側に配置された第1及び第2ローラーの上側に前記フィルムを通す第1工程と、
一つ又は複数の第3ローラーを、前記フィルムの上側から、前記第1及び第2ローラーの間において、前記液体中に下降させる第2工程とを含み、
前記第3ローラーの下降方向に対する直交方向における搬送中の前記フィルムの最大間隔が、前記直交方向における、前記第1及び第2ローラーの間隔よりも大きいことを特徴とするフィルム製造方法。
【請求項2】
前記フィルムと前記第3ローラーとの接触面積を増やすべく、前記第1から第3ローラーのうちの少なくとも一つを再配置する第3工程を含み、
前記第3工程において、前記第1及び第2ローラーの少なくとも一方を移動させ、前記第3ローラーの下降方向に対する直交方向における、前記第1及び第2ローラーの間隔を狭めることを特徴とする請求項1に記載のフィルム製造方法。
【請求項3】
前記第3工程において、前記第1及び第2ローラーの少なくとも一方のローラーを、その回転軸に平行に配置された回動軸に対して回動させることを特徴とする請求項2に記載のフィルム製造方法。
【請求項4】
前記第1及び第2ローラーの少なくとも一方のローラーは、
前記液槽の壁面の上側に設けられており、
前記第3工程において前記回動軸に対して前記第1及び第2ローラーの少なくとも一方のローラーと同じ方向へ回動する第4ローラーに接続されていることを特徴とする請求項3に記載のフィルム製造方法。
【請求項5】
前記第3工程において、前記第1及び第4ローラーは、同じ方向へ回動することを特徴とする請求項4に記載のフィルム製造方法。
【請求項6】
前記第3ローラーが複数設けられており、
前記フィルムと前記第3ローラーとの接触面積を増やすべく、前記第1から第3ローラーのうちの少なくとも一つを再配置する第3工程を含み、
前記第3工程において、前記複数の第3ローラーのうちの少なくとも一つを移動させることを特徴とする請求項1に記載のフィルム製造方法。
【請求項7】
前記第3工程において、前記複数の第3ローラーのうちの二つは、前記液槽の底面にそって配置されていることを特徴とする請求項6に記載のフィルム製造方法。
【請求項8】
前記複数の第3ローラーは、互いに接続されていることを特徴とする請求項6に記載のフィルム製造方法。
【請求項9】
前記複数の第3ローラーの一端は、第1軸受部材により互いに接続されており、
前記複数の第3ローラーの他端は、第2軸受部材により互いに接続されており、
前記第1及び第2軸受部材は、互いに接続されていることを特徴とする請求項6に記載のフィルム製造方法。
【請求項10】
前記フィルムは、片面に機能層を形成された積層フィルムであり、
前記第1工程において、前記フィルムは、前記機能層を下側に向けられていることを特徴とする請求項1に記載のフィルム製造方法。
【請求項11】
液槽内の液体中で長尺のフィルムを搬送する搬送装置を備えるフィルム製造装置であって、
前記液槽の上側に配置された第1及び第2ローラーと、
一つ又は複数の第3ローラーと、
前記第3ローラーを、前記フィルムの上側から、前記第1及び第2ローラーの間において、前記液体中に下降させる動力装置と、
を備え、
前記第3ローラーの下降方向に対する直交方向における搬送中の前記フィルムの最大間隔が、前記直交方向における、前記第1及び第2ローラーの間隔よりも大きいことを特徴とするフィルム製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの電池に用いられるセパレータなどのフィルム製造方法及びフィルム製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池の内部において、正極及び負極は、フィルム状かつ多孔質のセパレータによって分離される。このセパレータの製造工程には、一旦製膜したフィルムから不要な物質を後に除去するための洗浄工程が含まれる。
【0003】
シートあるいはフィルムを洗浄する技術としては、セパレータに限定しなければ、例えば特許文献1、2に開示された技術が知られている。特許文献1は、熱融着性多層化シートを順に粗洗浄・本洗浄する2槽の洗浄槽を開示している。特許文献2は、光学用プラスチックフィルムを順に浸漬洗浄・スプレー洗浄する複数段の洗浄部を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−170933号公報(2001年6月26日公開)
【特許文献2】特開2007−105662号公報(2007年4月26日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多孔質のセパレータ及びその中間製品のフィルムは、単なる無孔フィルムに比べて機械的強度が低い。このため、これらの製造工程、特に洗浄工程において折れ・しわ・破れ・蛇行といった不具合を生じることが多い。このような不具合が発生すると、フィルム製造効率が低下する。しかし、特許文献1、2ではこの問題について十分に検討されていない。本発明の目的は、洗浄中のフィルムに発生する不具合を無くすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明のフィルム製造方法は、液槽内の液体中で長尺のフィルムを搬送する処理を含むフィルム製造方法において、前記液槽の上側に配置された第1及び第2ローラーの上側に前記フィルムを通す第1工程と、一つ又は複数の第3ローラーを、前記フィルムの上側から、前記第1及び第2ローラーの間において、前記液槽内の液体中に下降させる第2工程と、前記フィルムと前記第3ローラーとの接触面積を増やすべく、前記第1から第3ローラーのうちの少なくとも一つを再配置する第3工程とを前記搬送する処理の開始前に含む。
【0007】
前記製造方法によれば、第1工程において通したフィルムにおける、第1ローラーに接触する位置と第2ローラーに接触する位置との間の一部分が、第2工程における第3ローラーの下降により、液槽の液体中に浸漬される。この浸漬処理は、液体中に配置したローラーの下側にフィルムを通す浸漬処理よりも作業性がよい。
【0008】
そして、第3工程において、フィルムと第3ローラーとの接触面積が増えるため、フィルムは、第3ローラーによってより安定的に搬送される。よって、搬送不良によりフィルムに不具合が生じることを抑制できる。
【0009】
以上により、フィルムに発生する不具合を抑制しつつフィルムを効率的に製造できる。
【0010】
また、本発明のフィルム製造方法では、前記第3ローラーの下降方向に対する直交方向における搬送中の前記フィルムの最大間隔が、前記第1及び第2ローラーの前記直交方向における間隔よりも大きいことが望ましい。
【0011】
前記製造方法によれば、フィルムの液体中における搬送経路を長く確保できる。
【0012】
また、本発明のフィルム製造方法では、前記第3工程において、前記第1及び第2ローラーの少なくとも一方を移動させ、前記第3ローラーの下降方向に対する直交方向における、前記第1及び第2ローラーの間隔を狭めることが望ましい。
【0013】
前記製造方法によれば、液体中の第3ローラーのみを移動させるよりも効率的に、フィルムと第3ローラーとの接触面積を増やせる。
【0014】
また、本発明のフィルム製造方法では、前記第3工程において、前記少なくとも一方のローラーを、その回転軸に平行に配置された回動軸に対して回動させることが望ましい。
【0015】
また、本発明のフィルム製造方法では、前記少なくとも一方のローラーは、前記液槽の壁面の上側に設けられており、前記第3工程において前記回動軸に対して前記少なくとも一方のローラーと同じ方向へ回動する第4ローラーに接続されていることが望ましい。
【0016】
前記製造方法によれば、例えば、第1及び第2ローラーのうちの少なくとも一方のローラーは、第2ローラーであるとすると、液槽(以下「第1液槽」)の第2ローラーが配置された側に、第1液槽と同じ構成を備える第2液槽が存在するときに、第3工程において、第2ローラーが第1液槽側に移動し、第2ローラーに接続された第4ローラーが第2液槽側に移動するように、第2及び第4ローラーを同じ方向へ回動することができる。これにより、第1液槽では第1及び第2ローラーの間隔が狭まるとともに、第2液槽では第4ローラー及び第2液槽の上側に設けられた他のローラーの間隔が狭まる。よって、複数の液槽において別々にローラーを再配置するときよりも、効率的にフィルムと第3ローラーとの接触面積を増やせる。
【0017】
また、本発明のフィルム製造方法では、前記第3工程において、前記第1及び第4ローラーは、同じ方向へ回動することが望ましい。
【0018】
前記製造方法によれば、第1及び第4ローラーの再配置によってフィルムに作用する摩擦力及びそれにともなうフィルムの伸びを抑制できる。
【0019】
また、本発明のフィルム製造方法では、前記第3ローラーが複数設けられており、前記第3工程において、前記複数の第3ローラーのうちの少なくとも一つを移動させることが望ましい。
【0020】
前記製造方法によれば、フィルムの液体中における搬送経路をより自由に形成できる。
【0021】
また、本発明のフィルム製造方法では、前記第3工程において、前記複数の第3ローラーのうちの二つは、前記液槽の底面にそって配置されていることが望ましい。
【0022】
前記製造方法によれば、フィルムの液体中における搬送経路をさらに長く確保できる。
【0023】
また、本発明のフィルム製造方法では、前記複数の第3ローラーは、互いに接続されていることが望ましい。
【0024】
前記製造方法によれば、複数の第3ローラーを一括して下降させることにより、第2工程の作業性が高まる。
【0025】
また、本発明のフィルム製造方法では、前記複数の第3ローラーの一端は、第1軸受部材により互いに接続されており、前記複数の第3ローラーの他端は、第2軸受部材により互いに接続されており、前記第1及び第2軸受部材は、互いに接続されていることが望ましい。
【0026】
前記製造方法によれば、複数の第3ローラーは、互いに接続された第1及び第2軸受部材によってより強く接続される。これにより、より多くの第3ローラーを一括して下降させることができるため、第2工程の作業性がさらに高まる。
【0027】
また、本発明のフィルム製造方法では、前記フィルムは、片面に機能層を形成された積層フィルムであり、前記第1工程において、前記フィルムは、前記機能層を下側に向けられていることが望ましい。
【0028】
前記製造方法によれば、液体中において、第3ローラーをフィルムの同一面に接触させ、この接触面を、フィルムの機能層の反対面とすることができる。これにより、フィルムの機能層の劣化を抑制できる。
【0029】
本発明のフィルム製造装置は、液槽内の液体中で長尺のフィルムを搬送する搬送装置を備えるフィルム製造装置であって、前記液槽の上側に配置された第1及び第2ローラーと、一つ又は複数の第3ローラーと、前記第3ローラーを、前記フィルムの上側から、前記第1及び第2ローラーの間において、前記液槽内の液体中に下降させる動力装置と、前記フィルムと前記第3ローラーとの接触面積を増やすべく、前記第1から第3ローラーのうちの少なくとも一つを再配置する再配置装置とを備える。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、フィルムに発生する不具合を抑制しつつ、除去対象物質の残留が抑制されたフィルムを効率的に製造できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】リチウムイオン二次電池の断面構成を示す模式図である。
図2図1に示されるリチウムイオン二次電池の詳細構成を示す模式図である。
図3図1に示されるリチウムイオン二次電池の他の構成を示す模式図である。
図4】実施形態1の洗浄方法で用いられる洗浄装置の構成を示す断面図である。
図5】実施形態2の洗浄方法で用いられるガイドロールの周辺構成を示す断面図である。
図6】実施形態3の洗浄方法で用いられるローラーの周辺構成を示す断面図である。
図7】実施形態4のフィルム製造方法を説明するための模式図である。
図8図7に示される耐熱セパレータの搬送経路とは異なる搬送経路を示す模式図である。
図9図7に示されるローラーを接続部材が接続している構成を示す模式図である。
図10】実施形態5のフィルム製造方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
〔基本構成〕
リチウムイオン二次電池、セパレータ、耐熱セパレータ、耐熱セパレータの製造方法について順に説明する。
【0033】
(リチウムイオン二次電池)
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池は、エネルギー密度が高く、それゆえ、現在、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末等の機器、自動車、航空機等の移動体に用いる電池として、また、電力の安定供給に資する定置用電池として広く使用されている。
【0034】
図1は、リチウムイオン二次電池1の断面構成を示す模式図である。
【0035】
図1に示されるように、リチウムイオン二次電池1は、カソード11と、セパレータ12と、アノード13とを備える。リチウムイオン二次電池1の外部において、カソード11とアノード13との間に、外部機器2が接続される。そして、リチウムイオン二次電池1の充電時には方向Aへ、放電時には方向Bへ、電子が移動する。
【0036】
(セパレータ)
セパレータ12は、リチウムイオン二次電池1の正極であるカソード11と、その負極であるアノード13との間に、これらに挟持されるように配置される。セパレータ12は、カソード11とアノード13との間を分離しつつ、これらの間におけるリチウムイオンの移動を可能にする多孔質フィルムである。セパレータ12は、その材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを含む。
【0037】
図2は、図1に示されるリチウムイオン二次電池1の詳細構成を示す模式図であって、(a)は通常の構成を示し、(b)はリチウムイオン二次電池1が昇温したときの様子を示し、(c)はリチウムイオン二次電池1が急激に昇温したときの様子を示す。
【0038】
図2の(a)に示されるように、セパレータ12には、多数の孔Pが設けられている。通常、リチウムイオン二次電池1のリチウムイオン3は、孔Pを介し往来できる。
【0039】
ここで、例えば、リチウムイオン二次電池1の過充電、又は、外部機器の短絡に起因する大電流等により、リチウムイオン二次電池1は、昇温することがある。この場合、図2の(b)に示されるように、セパレータ12が融解又は柔軟化し、孔Pが閉塞する。そして、セパレータ12は収縮する。これにより、リチウムイオン3の移動が停止するため、上述の昇温も停止する。
【0040】
しかし、リチウムイオン二次電池1が急激に昇温する場合、セパレータ12は、急激に収縮する。この場合、図2の(c)に示されるように、セパレータ12は、破壊されることがある。そして、リチウムイオン3が、破壊されたセパレータ12から漏れ出すため、リチウムイオン3の移動は停止しない。ゆえに、昇温は継続する。
【0041】
(耐熱セパレータ)
図3は、図1に示されるリチウムイオン二次電池1の他の構成を示す模式図であって、(a)は通常の構成を示し、(b)はリチウムイオン二次電池1が急激に昇温したときの様子を示す。
【0042】
図3の(a)に示されるように、セパレータ12は、多孔質フィルム5と、耐熱層4とを備える耐熱セパレータであってもよい。耐熱層4は、多孔質フィルム5のカソード11側の片面に積層されている。なお、耐熱層4は、多孔質フィルム5のアノード13側の片面に積層されてもよいし、多孔質フィルム5の両面に積層されてもよい。そして、耐熱層4にも、孔Pと同様の孔が設けられている。通常、リチウムイオン3は、孔Pと耐熱層4の孔とを介し往来する。耐熱層4は、その材料として、例えば全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)を含む。
【0043】
図3の(b)に示されるように、リチウムイオン二次電池1が急激に昇温し、多孔質フィルム5が融解又は柔軟化しても、耐熱層4が多孔質フィルム5を補助しているため、多孔質フィルム5の形状は維持される。ゆえに、多孔質フィルム5が融解又は柔軟化し、孔Pが閉塞するにとどまる。これにより、リチウムイオン3の移動が停止するため、上述の過放電又は過充電も停止する。このように、セパレータ12の破壊が抑制される。
【0044】
(セパレータ・耐熱セパレータの製造工程)
リチウムイオン二次電池1のセパレータ及び耐熱セパレータの製造は特に限定されるものではなく、公知の方法を利用して行うことができる。以下では、多孔質フィルム5がその材料として主にポリエチレンを含む場合を仮定して説明する。しかし、多孔質フィルム5が他の材料を含む場合でも、同様の製造工程により、セパレータ12(耐熱セパレータ)を製造できる。
【0045】
例えば、熱可塑性樹脂に無機充填剤又は可塑剤を加えてフィルム成形した後、該無機充填剤及び該可塑剤を適当な溶媒で洗浄除去する方法が挙げられる。例えば、多孔質フィルム5が、超高分子量ポリエチレンを含むポリエチレン樹脂から形成されてなるポリオレフィンセパレータである場合には、以下に示すような方法により製造することができる。
【0046】
この方法は、(1)超高分子量ポリエチレンと、無機充填剤(例えば、炭酸カルシウム、シリカ)、又は可塑剤(例えば、低分子量ポリオレフィン、流動パラフィン)とを混練してポリエチレン樹脂組成物を得る混練工程、(2)ポリエチレン樹脂組成物を用いてフィルムを成形する圧延工程、(3)工程(2)で得られたフィルム中から無機充填剤又は可塑剤を除去する除去工程、及び、(4)工程(3)で得られたフィルムを延伸して多孔質フィルム5を得る延伸工程を含む。なお、前記工程(4)を、前記工程(2)と(3)との間で行なうこともできる。
【0047】
除去工程によって、フィルム中に多数の微細孔が設けられる。延伸工程によって延伸されたフィルムの微細孔は、上述の孔Pとなる。これにより、所定の厚さと透気度とを有するポリエチレン微多孔膜である多孔質フィルム5(耐熱層を有しないセパレータ12)が得られる。
【0048】
なお、混練工程において、超高分子量ポリエチレン100重量部と、重量平均分子量1万以下の低分子量ポリオレフィン5〜200重量部と、無機充填剤100〜400重量部とを混練してもよい。
【0049】
その後、塗工工程において、多孔質フィルム5の表面に耐熱層4を形成する。例えば、多孔質フィルム5に、アラミド/NMP(N−メチル−ピロリドン)溶液(塗工液)を塗布(塗布工程)し、それを凝固(凝固工程)させることによりアラミド耐熱層である耐熱層4を形成する。耐熱層4は、多孔質フィルム5の片面だけに設けられても、両面に設けられてもよい。
【0050】
また、塗工工程において、多孔質フィルム5の表面に、ポリフッ化ビニリデン/ジメチルアセトアミド溶液(塗工液)を塗布(塗布工程)し、それを凝固(凝固工程)させることにより多孔質フィルム5の表面に接着層を形成することもできる。接着層は、多孔質フィルム5の片面だけに設けられても、両面に設けられてもよい。
【0051】
本明細書では、電極との接着性又はポリオレフィンの融点以上の耐熱性などの機能を有する層を機能層という。
【0052】
塗工液を多孔質フィルム5に塗工する方法は、均一にウェットコーティングできる方法であれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、キャピラリーコート法、スピンコート法、スリットダイコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、バーコーター法、グラビアコーター法、ダイコーター法などを採用することができる。耐熱層4の厚さは塗工ウェット膜の厚み、塗工液中の固形分濃度によって制御することができる。
【0053】
なお、塗工する際に多孔質フィルム5を固定あるいは搬送する支持体としては、樹脂製のフィルム、金属製のベルト、ドラム等を用いることができる。
【0054】
以上のように、多孔質フィルム5に耐熱層4が積層されたセパレータ12(耐熱セパレータ)を製造できる。製造されたセパレータは、円筒形状のコアに巻き取られる。なお、以上の製造方法で製造される対象は、耐熱セパレータに限定されない。この製造方法は、塗工工程を含まなくてもよい。この場合、製造される対象は、耐熱層を有しないセパレータである。
【0055】
〔実施形態1〕
本発明の第一実施形態について、図4に基づき説明する。
【0056】
以下の実施形態では、長尺かつ多孔質の電池用セパレータである耐熱セパレータの洗浄方法を説明している。耐熱セパレータの耐熱層は、多孔質フィルムにアラミド/NMP(N−メチル−ピロリドン)溶液(塗工液)を塗布して形成される。このとき、溶媒であるNMP(除去対象物質)は、多孔質フィルムの孔にも含浸する。
【0057】
孔にNMPが残留した耐熱セパレータの透気度は、孔にNMPが残留していない耐熱セパレータの透気度よりも低くなる。透気度が低いほど、耐熱セパレータを利用するリチウムイオン二次電池のリチウムイオンの移動が阻害されるため、リチウムイオン二次電池の出力は低下する。このため、耐熱セパレータの孔にNMPが残留しないように洗浄できることが好ましい。
【0058】
≪多段の洗浄槽により耐熱セパレータを洗浄する構成≫
(洗浄槽)
図4は、本実施形態の洗浄方法で用いられる洗浄装置6の構成を示す断面図である。
【0059】
図4に示されるように、洗浄装置6は、洗浄槽15〜19を備える。洗浄槽15〜19は、それぞれ、洗浄水W(液体)で満たされている。
【0060】
また、洗浄装置6は、耐熱セパレータSを搬送する回転可能な複数のローラーをさらに備える。これらのローラーのうち、ローラーa〜mは、洗浄槽15で洗浄される耐熱セパレータSを搬送するローラーである。
【0061】
洗浄工程の上流工程(例えば、塗工工程)から搬送されてきた耐熱セパレータSは、ローラーa〜mを経て洗浄槽15に満たされた洗浄水Wの中(以下「水中」)を通過する。ローラーa〜m(搬送ローラー)は、洗浄槽15での耐熱セパレータSの搬送経路を規定している。洗浄槽16〜19でも、洗浄槽15と同様に耐熱セパレータSが洗浄される。
【0062】
(駆動ローラー)
洗浄装置6は、洗浄槽間において耐熱セパレータSに駆動力を加える駆動ローラーRと、補助ローラーp・qとをさらに備える。補助ローラーp・qは、耐熱セパレータSが駆動ローラーRに接触する角度(いわゆる「抱き角度」)を規定している。この駆動ローラーRと、補助ローラーp・qとを水中に配してもよいが、防水処置を施す必要がなくなるため、図4に示されるように洗浄槽間に配することが好ましい。
【0063】
以上のように、洗浄槽15(第一の洗浄槽)のローラーaの位置と、ローラーmに相当する洗浄槽19(第二の洗浄槽)のローラーの位置との間で、耐熱セパレータSに搬送のための駆動力を加えている。ここで、「洗浄槽15のローラーaの位置」は、耐熱セパレータSを洗浄槽15へ搬入する位置である。「ローラーmに相当する洗浄槽19のローラーの位置」は、耐熱セパレータSを洗浄槽19から搬出する位置である。
【0064】
そして、上述の駆動力は、ローラーlに相当する洗浄槽16(第一の洗浄槽)のローラーの洗浄槽17側の位置と、ローラーbに相当する洗浄槽17(第二の洗浄槽)のローラーの洗浄槽16側の位置との間で、耐熱セパレータSに加えられることが好ましい。ここで、「ローラーlに相当する洗浄槽16のローラーの洗浄槽17側の位置」は、耐熱セパレータSを洗浄槽16の水中から搬出する位置である。「ローラーbに相当する洗浄槽17のローラーの洗浄槽16側の位置」は、耐熱セパレータSを洗浄槽17の水中へ搬入する位置である。
【0065】
≪多段の洗浄槽により耐熱セパレータを洗浄する動作≫
本実施形態の洗浄方法は、耐熱セパレータSをその長手方向に搬送する工程と、搬送中の耐熱セパレータSを、洗浄槽15〜19内に満たされた洗浄水Wの中を順次通過させることにより洗浄を行う工程とを含む。このように、耐熱セパレータSは、上流の洗浄槽(第一の洗浄槽)から下流の洗浄槽(第二の洗浄槽)へと順次搬送される。ここでは、特に説明のない限り、「上流」及び「下流」は、セパレータの搬送方向における上流及び下流を意味する。
【0066】
洗浄槽15〜19での洗浄が完了した後には、耐熱セパレータSは、洗浄工程の下流工程(例えば乾燥工程)へ搬送される。
【0067】
≪本実施形態の効果≫
(拡散による洗浄)
耐熱セパレータSを、洗浄水Wの中を通過させることにより、耐熱セパレータSの孔から水中へNMPが拡散する。ここで、NMPの拡散量は、洗浄水WのNMP濃度が低いほど大きくなる。
【0068】
耐熱セパレータSは、洗浄槽15〜19において順に洗浄されるため、下流の洗浄槽では、上流の洗浄槽よりも洗浄水WのNMP濃度が低い。つまり、段階的にNMPの拡散が進むため、孔につまったNMPを確実に除去できる。
【0069】
(洗浄水を流す方向)
図4に示されるように、セパレータ搬送方向における下流の洗浄槽19から上流の洗浄槽15にかけて、洗浄水Wを方向Dへ流してもよい。このために、例えば、洗浄槽15〜19の間の障壁をセパレータ搬送方向における下流から上流へ向かうほど低くしてもよい。このとき、本実施形態の洗浄方法は、下流の洗浄槽へ洗浄水Wを供給するとともに、上流の洗浄槽へは下流の洗浄槽内の洗浄水Wを供給することにより、各洗浄槽内の洗浄水Wを更新する工程をさらに含むことになる。上流の洗浄槽15からは一部の洗浄水Wが排出される。これによれば、洗浄水Wを有効利用しつつ、セパレータ搬送方向における下流の洗浄槽の洗浄水WのNMP濃度を、上流の洗浄槽の洗浄水WのNMP濃度よりも、より低くすることができる。
【0070】
(効率的な洗浄)
段階的にNMPの拡散を進めることにより、1槽の洗浄槽のみによる洗浄に比べて効率よくNMPを除去できる。このため、洗浄中の耐熱セパレータSの搬送距離を短くできる。ゆえに、無孔フィルムに比べて機械的強度が低い耐熱セパレータSを、折れ・しわ・破れ・蛇行といった不具合を抑制しつつ洗浄できる。
【0071】
≪その他の構成≫
(洗浄水の循環)
耐熱セパレータSは、幅広であるほど生産性が高くなる。ゆえに、耐熱セパレータSの幅(図4中紙面垂直方向の幅)は、洗浄槽15〜19の幅近くまで大きくなることが多い。また、洗浄槽15〜19の幅は、耐熱セパレータSの幅に合わせて設計される。
【0072】
耐熱セパレータSの幅が広がり、耐熱セパレータSの端部と洗浄槽15〜19との間隙が狭くなると、洗浄槽15〜19に満たされた洗浄水Wは、耐熱セパレータSの一面側(洗浄槽の中心側)と他面側(洗浄槽の両端(図4中左右端)側)とに分割された状態になる。
【0073】
洗浄槽15〜19による洗浄では、洗浄槽間でのオーバーフローにより、洗浄水Wが供給・排出されることが多い。このとき、耐熱セパレータSの一面側に分割された洗浄水Wは供給・排出されるものの、耐熱セパレータSの他面側に分割された洗浄水Wは滞留することがある。
【0074】
そこで、本実施形態の洗浄方法は、洗浄槽15〜19のうちの少なくとも一つにおいて、耐熱セパレータSの一面側と他面側との間での洗浄水Wの入れ替わりを促進すべく洗浄水Wを循環させる工程を含んでいてもよい。このとき、洗浄装置6は、洗浄槽15〜19のうちの少なくとも一つにおいて、洗浄水Wの供給・排出口を有する循環装置をさらに備えていてもよい。
【0075】
これにより、1つの洗浄槽内の洗浄水WのNMP濃度をより均一化することができ、NMPの効率的除去を促進することができる。
【0076】
(洗浄水)
洗浄水Wは、水に限定されず、耐熱セパレータSからNMPを除去できる洗浄液であればよい。
【0077】
また、洗浄水Wは、界面活性剤などの洗浄剤、酸(例えは、塩酸)又は塩基を含んでいてもよい。そして、洗浄水Wの温度は、120℃以下であることが好ましい。この温度では、耐熱セパレータSが熱収縮する虞が少なくなる。また、洗浄水Wの温度は、20℃以上100℃以下であることがより好ましい。
【0078】
(ポリオレフィンセパレータの製造方法)
以上の耐熱セパレータSの洗浄方法は、耐熱層を有しないセパレータ(ポリオレフィンセパレータ)の洗浄方法に適用することができる。
【0079】
前記セパレータは、超高分子量ポリエチレンなどの高分子量ポリオレフィンと、無機充填剤又は可塑剤とを混練することで得られるポリオレフィン樹脂組成物をフィルム状に成形し、延伸することで形成される。そして、無機充填剤又は可塑剤(除去対象物質)が洗い流されることで、セパレータの孔が形成される。
【0080】
洗い流されずに、孔に前記除去対象物質が残留したセパレータの透気度は、孔に前記除去対象物質が残留していないセパレータの透気度よりも低くなる。透気度が低いほど、セパレータを利用するリチウムイオン二次電池のリチウムイオンの移動が阻害されるため、リチウムイオン二次電池の出力は低下する。このため、セパレータの孔に前記除去対象物質が残留しないように洗浄できることが好ましい。
【0081】
無機充填剤を含むセパレータを洗浄するための洗浄液は、セパレータから無機充填剤を除去できる洗浄液であればよい。好ましくは酸又は塩基を含む水溶液である。
【0082】
可塑剤を含むセパレータを洗浄するための洗浄液は、セパレータから可塑剤を除去できる洗浄液であればよい。好ましくはジクロロメタンなどの有機溶剤である。
【0083】
以上をまとめると、フィルム状に成形されたポリオレフィン樹脂組成物(フィルム)の洗浄方法は、セパレータの中間製品である長尺のフィルムをその長手方向に搬送する工程と、搬送中のこのフィルムを、上述の洗浄槽15〜19内に満たされた洗浄水W中を順次通過させることにより洗浄を行う工程とを含む。
【0084】
このように、図4において、耐熱セパレータSを、セパレータの中間製品であるフィルムとしてもよい。また、洗浄水Wを、酸又は塩基を含む水溶液としてもよい。
【0085】
そして、ポリオレフィンセパレータの製造方法は、長尺かつ多孔質のセパレータの中間製品である、ポリオレフィンを主成分とする長尺のフィルムを成形する成形工程と、この成形工程の後に実行される、上述のフィルム洗浄方法が含む各工程とを含む。
【0086】
(積層セパレータの製造方法)
積層セパレータである耐熱セパレータSの洗浄方法を利用した耐熱セパレータSの製造方法も本発明に含まれる。ここで、耐熱セパレータSは、図3に示される多孔質フィルム5(基材)と、多孔質フィルム5に積層された耐熱層4(機能層)とを含む積層セパレータである。そして、この製造方法は、長尺かつ多孔質の耐熱セパレータSを成形する成形工程と、前記成形工程の後に実行される、上述のセパレータ洗浄方法の各工程とを含む。
【0087】
「成形工程」は、耐熱層4を積層するために、耐熱層4を構成するアラミド樹脂(物質)を含むNMP(液状物質)を多孔質フィルム5に塗布する塗布工程と、この塗布工程の後にアラミド樹脂を凝固させる凝固工程とを含む。
【0088】
「各工程」とは、耐熱セパレータSをその長手方向に搬送する工程と、搬送中の耐熱セパレータSを、洗浄槽15〜19内に満たされた水中を順次通過させることにより洗浄を行う工程を意味する。
【0089】
以上により、NMPが少なくかつ不具合が抑制された、積層セパレータを製造できる。なお、耐熱層は、上述の接着層であってもよい。
【0090】
〔実施形態2〕
本発明の第二実施形態について、図5に基づき説明する。説明の便宜上、上述の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。後述する実施形態においても同様である。
【0091】
≪耐熱セパレータから洗浄水を除去する構成≫
図5は、本実施形態の洗浄方法で用いられるガイドロールGの周辺構成を示す断面図である。
【0092】
図5に示されるように、洗浄装置6は、ガイドロールGと、テフロンバーsと、テフロンチューブtとをさらに備える。なお「テフロン」は登録商標である。
【0093】
ガイドロールGは、耐熱セパレータSの搬送経路に対して固定されており、回転せず、洗浄槽15のローラーlとmとの間に配されている。
【0094】
テフロンバーsは、ガイドロールGの長手方向へ延びており、ガイドロールGの表面に設けられている。
【0095】
テフロンチューブtは、ガイドロールGとテフロンバーsとを包むように拘束している。
【0096】
なお、ガイドロールGは、洗浄槽16〜19に配されてもよい。また、洗浄装置6は、ガイドロールGと、テフロンバーsと、テフロンチューブtとの組を複数備えてもよい。
【0097】
≪耐熱セパレータから洗浄水を除去する動作≫
本実施形態の洗浄方法は、実施形態1の洗浄方法が含む各工程に加え、上流の洗浄槽と下流の洗浄槽との間において耐熱セパレータSから洗浄水Wを除去する工程を含む。
【0098】
上流の洗浄槽と下流の洗浄槽との間において、耐熱セパレータSが水中から引き上げられるときに、洗浄水Wの一部は、表面張力により耐熱セパレータSの表面に沿い下流の洗浄槽へ持ち込まれる。そこで、耐熱セパレータSから、下流の洗浄槽へ持ち込まれる洗浄水Wを掻き落とす。
【0099】
固定されたガイドロールGの表面に設けられたテフロンバーsは、テフロンチューブtの表面に突起を形成する。この突起は、耐熱セパレータSを軽くこするように耐熱セパレータSへ押し当てられ、耐熱セパレータSから洗浄水Wを掻き落とす。
【0100】
耐熱セパレータSが、ポリエチレンの多孔質フィルムの片面にアラミドの耐熱層を塗工したものであるときには、多孔質フィルムの耐熱層が塗工されていない面に、テフロンチューブtの表面に形成された突起を押し当てることが好ましい。これにより、耐熱層の剥離を抑制できる。
【0101】
≪本実施形態の効果≫
上流の洗浄槽から下流の洗浄槽へ持ち込まれる洗浄水Wが減る。このため、下流の洗浄槽の洗浄水WのNMP濃度を、上流の洗浄槽の洗浄水WのNMP濃度よりも、確実に低くすることができる。ゆえに、耐熱セパレータSの孔につまったNMPを確実に除去できる。
【0102】
〔実施形態3〕
本発明の第三実施形態について、図6に基づき説明する。
【0103】
≪耐熱セパレータを搬送する搬送ローラーから洗浄水を除去する構成≫
図6は、本実施形態の洗浄方法で用いられるローラーmの周辺構成を示す断面図である。
【0104】
図6に示されるように、洗浄装置6は、掻き落としバーBLをさらに備える。
【0105】
掻き落としバーBLは、表面張力によりローラーmに沿い搬送される洗浄水Wを掻き落とすブレードである。
【0106】
ローラーmと掻き落としバーBLとの間には、若干の隙間が設けられている。これにより、ローラーmの表面に傷がついたり、掻き落としバーBLが摩耗したりすることを防止できる。
【0107】
≪耐熱セパレータを搬送する搬送ローラーから洗浄水を除去する動作≫
本実施形態の洗浄方法は、実施形態1の洗浄方法が含む各工程に加え、上流の洗浄槽と下流の洗浄槽との間において耐熱セパレータSを搬送するローラーmから洗浄水Wを除去する工程を含む。
【0108】
耐熱セパレータSが搬送されるときに、洗浄水Wの一部は、表面張力により耐熱セパレータSの表面に沿い下流の洗浄槽へ持ち込まれる。この下流の洗浄槽へ持ち込まれる洗浄水の一部は、表面張力によりローラーmに沿い搬送される。そこで、表面張力によりローラーmに沿い搬送される洗浄水Wを、ローラーmから掻き落とす。
【0109】
≪本実施形態の効果≫
上流の洗浄槽から下流の洗浄槽へ持ち込まれる洗浄水Wが減る。このため、下流の洗浄槽の洗浄水WのNMP濃度を、上流の洗浄槽の洗浄水WのNMP濃度よりも、確実に低くすることができる。ゆえに、耐熱セパレータSの孔につまったNMPを確実に除去できる。
【0110】
〔変形例1〕
洗浄装置6は、ガイドロールG、テフロンバーs、及びテフロンチューブt(図5)と、掻き落としバーBL(図6)とをすべて備えてもよい。
【0111】
そして、本変形例の洗浄方法は、実施形態1の洗浄方法が含む各工程に加え、上流の洗浄槽と下流の洗浄槽との間において耐熱セパレータSから洗浄水Wを除去する工程と、上流の洗浄槽と下流の洗浄槽との間において耐熱セパレータSを搬送するローラーmから洗浄水Wを除去する工程とを含む。
【0112】
これにより、上流の洗浄槽から下流の洗浄槽へ持ち込まれる洗浄水Wがさらに減る。このため、下流の洗浄槽の洗浄水WのNMP濃度を、上流の洗浄槽の洗浄水WのNMP濃度よりも、より確実に低くすることができる。ゆえに、耐熱セパレータSの孔につまったNMPをより確実に除去できる。
【0113】
〔変形例2〕
洗浄装置6が備える洗浄槽は、一つであってもよい。そして、本発明は、以下の態様を含む。
【0114】
本発明の態様1のセパレータ洗浄方法は、
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、
前記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の前記電池用セパレータを、洗浄槽内に満たされた洗浄液中を通過させることにより洗浄を行う工程と、
前記電池用セパレータを前記洗浄槽へ搬入する位置と前記洗浄槽から搬出する位置との間において前記電池用セパレータから洗浄液を除去する工程とを含む。
【0115】
態様1は、例えば、図4に示される洗浄槽15〜19のうちの少なくとも一つにおいて、図5に示されるように、耐熱セパレータS(電池用セパレータ)から、ガイドロールGとテフロンバーsとテフロンチューブtとにより、洗浄水Wを除去するものである。態様1によれば、洗浄工程から他の工程へ持ち込まれる洗浄液を減らすことができる。
【0116】
本発明の態様2のセパレータ洗浄方法は、
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、
前記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の前記電池用セパレータを、洗浄槽内に満たされた洗浄液中を通過させることにより洗浄を行う工程と、
前記電池用セパレータを前記洗浄槽へ搬入する位置と前記洗浄槽から搬出する位置との間において前記電池用セパレータを搬送する搬送ローラーから洗浄液を除去する工程とを含む。
【0117】
態様2は、例えば、図4に示される洗浄槽15〜19のうちの少なくとも一つにおいて、図6に示されるように、耐熱セパレータS(電池用セパレータ)を搬送するローラーm(搬送ローラー)から、掻き落としバーBLにより洗浄水Wを除去するものである。態様2によれば、洗浄工程から他の工程へ持ち込まれる洗浄液を減らすことができる。
【0118】
本発明の態様3のセパレータ洗浄方法は、
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、
前記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の前記電池用セパレータを、洗浄槽内に満たされた洗浄液中を通過させることにより洗浄を行う工程と、
前記洗浄槽において、前記電池用セパレータの一面側と他面側との間での洗浄液の入れ替わりを促進すべく洗浄液を循環させる工程とを含む。
【0119】
態様3は、例えば、図4に示される洗浄槽15〜19のうちの少なくとも一つにおいて、耐熱セパレータS(電池用セパレータ)の一面側と他面側との間での洗浄水W(洗浄液)の入れ替わりを促進すべく洗浄水Wを循環させるものである。態様3によれば、洗浄槽内の洗浄液の除去対象物質の濃度をより均一化することができ、除去対象物質の効率的除去を促進することができる。
【0120】
本発明の態様4のセパレータ洗浄方法は、
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、
前記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の前記電池用セパレータを、洗浄槽内に満たされた洗浄液中を通過させることにより洗浄を行う工程とを含み、
前記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程において、前記電池用セパレータを前記洗浄槽へ搬入する位置と前記洗浄槽から搬出する位置との間で、前記電池用セパレータに搬送のための駆動力を加える。
【0121】
態様4は、例えば、図4に示される洗浄槽15〜19のうちの少なくとも一つにおいて、耐熱セパレータS(電池用セパレータ)を洗浄槽へ搬入する位置と洗浄槽から搬出する位置との間で、駆動ローラーRにより耐熱セパレータSに搬送のための駆動力を加えるものである。態様4によれば、洗浄工程の後工程のみから電池用セパレータを引っ張ってこれを搬送する場合と比較して、電池用セパレータに加わる力が分散される。その結果、電池用セパレータの切断等の不具合の発生を抑制することができる。
【0122】
なお、電池用セパレータに駆動力を与えるための機構を洗浄液中に配するときには、電池用セパレータを洗浄槽へ搬入する位置は、電池用セパレータを洗浄槽の洗浄水中へ搬入する位置であってもよいとともに、電池用セパレータを洗浄槽から搬出する位置は、電池用セパレータを洗浄槽の洗浄水中から搬出する位置であってもよい。
【0123】
本発明の態様5のセパレータ製造方法は、
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを成形する成形工程と、
前記成形工程の後に実行される、上述の態様1から4のいずれか一態様におけるセパレータ洗浄方法の各工程とを含む。
【0124】
態様5は、例えば、図3に示される多孔質フィルム5と、多孔質フィルム5に積層された耐熱層4とを含む耐熱セパレータS(電池用セパレータ)を成形した後に、図4に示される洗浄槽15〜19のうちの少なくとも一つにおいて、耐熱セパレータSを洗浄するものである。態様5によれば、不具合が抑制された、透気度が従来よりも高い電池用セパレータを製造できる。
【0125】
本発明の態様6のセパレータ製造方法は、上述の態様5において、
前記電池用セパレータが基材と当該基材に積層された機能層とを含む積層セパレータであって、
前記成形工程は、
前記機能層を積層するために、当該機能層を構成する物質を含む液状物質を前記基材に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後に前記物質を凝固させる凝固工程と、
を含んでいてもよい。
【0126】
態様6は、例えば、図3に示される多孔質フィルム5(基材)に耐熱層4(機能層)を積層するために、耐熱層4を構成するアラミド樹脂(物質)を含むNMP(液状物質)を多孔質フィルム5に塗布し、アラミド樹脂を凝固させ、図4に示される洗浄槽15〜19のうちの少なくとも一つにおいて、耐熱セパレータSを洗浄するものである。態様6によれば、不具合が抑制された、透気度が従来よりも高い積層セパレータを製造できる。
【0127】
本発明の態様7のセパレータ洗浄方法は、
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを得るためのフィルム洗浄方法において、
前記電池用セパレータの中間製品である長尺のフィルムをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の前記フィルムを、洗浄槽内に満たされた洗浄液中を通過させることにより洗浄を行う工程とを含み、
前記フィルムは、ポリオレフィンを主成分とする。
【0128】
態様7は、例えば、ポリオレフィンと無機充填剤又は可塑剤とを混練することで得られるポリオレフィン樹脂組成物をフィルム状に成形し、延伸することで形成される耐熱セパレータS(電池用セパレータ)の中間製品を、図4に示される洗浄槽15〜19のうちの少なくとも一つにおいて洗浄し、無機充填剤又は可塑剤を洗い流すものである。態様7によれば、不具合が抑制された、透気度が従来よりも高いポリオレフィンセパレータを得ることができる。
【0129】
本発明の態様8のセパレータ洗浄方法は、
長尺かつ多孔質の電池用セパレータの中間製品である長尺のフィルムを成形する成形工程と、
前記成形工程の後に実行される、
前記電池用セパレータの中間製品である長尺のフィルムをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の前記フィルムを、洗浄槽内に満たされた洗浄液中を通過させることにより洗浄を行う工程と、
を含む。
【0130】
態様8は、例えば、ポリオレフィンと無機充填剤又は可塑剤とを混練することで得られるポリオレフィン樹脂組成物をフィルム状に成形し、延伸することで耐熱セパレータS(電池用セパレータ)の中間製品を得た後に、図4に示される洗浄槽15〜19のうちの少なくとも一つにおいて、この中間製品を洗浄するものである。態様8によれば、不具合が抑制された、透気度が従来よりも高い電池用セパレータを製造できる。
【0131】
〔実施形態4〕
本発明の第四実施形態について、図7図9に基づき説明する。
【0132】
≪フィルムを洗浄槽に浸漬する構成・動作≫
図7は、本実施形態のフィルム製造方法を説明するための模式図であって、(a)は耐熱セパレータSを洗浄槽15の洗浄水Wの中(以下「水中」)に浸漬する前の状態を示し、(b)はその後の状態を示す。なお、図7では、ローラーa〜mのうち、ローラーc〜e・i〜kを省略している。
【0133】
図7の(a)に示されるように、耐熱セパレータSを水中に浸漬する前において、ローラーa〜mは、洗浄槽15の上側に配置されている。ローラーgは、ローラーb〜lの中で最も下側に配置されている。耐熱セパレータSは、ローラーa及びmの上側を通るとともに、ローラーgの下側を通るように配置されている。なお、ローラーb〜lのすべてがローラーa及びmよりも上側に配置されている必要はない。
【0134】
次に、ローラーb〜lを、ローラーa及びmの間において、水中まで下降させる。このときに、少なくともローラーgは、耐熱セパレータSに接触してからローラーb〜lの下降が完了するまで、耐熱セパレータSに接触した状態を維持する。
【0135】
図7の(b)に示されるように、耐熱セパレータSを水中に浸漬した後において、ローラーa及びmを移動させ、ローラーa及びmの間隔を狭める。これにより、耐熱セパレータSは、ローラーa〜mのすべてに接触した状態になる。なお、洗浄槽15について上述した構成・動作は、洗浄槽16においても同様である。
【0136】
≪本実施形態の効果≫
本実施形態のフィルム製造方法は、水中(液体中)で長尺の耐熱セパレータS(フィルム)を搬送する処理を含むフィルム製造方法において、図7の(a)に示されるように洗浄槽15の上側に配置されたローラーa(第1ローラー)及びローラーm(第2ローラー)の上側に耐熱セパレータSを通す第1工程と、ローラーb〜l(第3ローラー)を、耐熱セパレータSの上側から、ローラーa及びmの間において水中に下降させる第2工程と、図7の(b)に示されるように耐熱セパレータSとローラーb〜lとの接触面積を増やすべく、ローラーa及びmを移動させる第3工程とを、耐熱セパレータSを搬送する処理の開始前に含む。
【0137】
以上によれば、第1工程において通した耐熱セパレータSにおける、ローラーaに接触する位置とローラーmに接触する位置との間の一部分が、第2工程におけるローラーb〜lの下降により、水中に浸漬される。この浸漬処理は、水中に配置したローラーb〜lの下側に耐熱セパレータSを通す浸漬処理よりも作業性がよい。
【0138】
そして、第3工程において、耐熱セパレータSと水中に下降させたローラーb〜lとの接触面積が増えるため、耐熱セパレータSは、ローラーb〜lによってより安定的に搬送される。よって、搬送不良により耐熱セパレータSに不具合が生じることを抑制できる。
【0139】
以上により、耐熱セパレータSに発生する不具合を抑制しつつ耐熱セパレータSを効率的に製造できるという効果を奏する。なお、洗浄槽15について上述した効果は、洗浄槽16においても同様である。そして、図4に示される洗浄槽15〜19のうちの少なくとも一つに本実施形態の構成・動作が適用されれば、洗浄槽15について上述した効果と同様の効果が得られる。
【0140】
(第2工程におけるローラーの移動)
ローラーb〜lは、動力装置65に接続されており、動力装置65によって上昇・下降できる。動力装置65は、モーターなどの原動機と、ベルトなどの動力伝達機構とを備えている。
【0141】
(第3工程におけるローラーの移動)
第3工程は、ローラーa及びmを移動させる工程に限定されるわけではない。第3工程は、ローラーa及びmの少なくとも一方を移動させ、ローラーb〜lの下降方向に対する直交方向における、前記第1及び第2ローラーの間隔を狭める工程であってもよい。これにより、水中のローラーb〜lのみを移動させるよりも効率的に、耐熱セパレータSとローラーb〜lの少なくとも一つとの接触面積を増やせる。
【0142】
また、図7の(c)に示されるように、第3工程は、ローラーb〜lを移動させる工程であってもよい。この第3工程によっても、耐熱セパレータSと、ローラーb〜lの接触面積を増やせる。なお、この接触面積を増やす効果は、ローラーb〜lのうちの少なくとも一つを移動させれば得ることができる。そして、このように、水中において複数のローラーを移動させることにより、耐熱セパレータSの水中における搬送経路をより自由に形成できる。
【0143】
また、第2工程が、ローラーb〜lのうちの少なくとも一つのローラー、すなわち一つ又は複数のローラーを、耐熱セパレータSの上側から、ローラーa及びmの間において、水中に下降させる工程であるとともに、第3工程が、耐熱セパレータSとローラーb〜lのうちの少なくとも一つとの接触面積を増やすように、ローラーa〜mのうちの少なくとも一つのローラーを再配置する(移動させる)工程であってもよい。以上によっても、耐熱セパレータSとローラーb〜lのうちの少なくとも一つとの接触面積を増やせる。
【0144】
ローラーa〜mは、再配置装置66に接続されており、再配置装置66によって任意の位置に再配置される。再配置装置66は、モーターなどの原動機と、ベルトなどの動力伝達機構とを備えている。
【0145】
(耐熱セパレータSの張力)
洗浄水Wは、洗浄槽15の内部において循環している。このため、耐熱セパレータSに張力を作用させずに、耐熱セパレータSを水中に浸漬すると、耐熱セパレータSは、循環している洗浄水Wに流されることがある。そして、このことが耐熱セパレータSの不具合の原因となり得る。
【0146】
一方、本実施形態においては、耐熱セパレータSを水中に浸漬するときに、少なくともローラーgは、耐熱セパレータSに接触してからローラーb〜lの下降が完了するまで、耐熱セパレータSに接触した状態を維持する。このため、耐熱セパレータSの張力が維持される。よって、耐熱セパレータSの不具合を確実に抑制することができる。
【0147】
そして、耐熱セパレータSは、多孔質のセパレータであるため、単なる無孔フィルムに比べて機械的強度が低い。ゆえに、耐熱セパレータSを水中に浸漬するときに耐熱セパレータSの張力を維持できることが特に好ましい。
【0148】
(耐熱セパレータSの搬送経路及び滞留長)
洗浄効率を高めるためには、耐熱セパレータSが洗浄水Wの中を搬送される距離(以下「滞留長」)は、長いことが望ましい。そして、耐熱セパレータSの搬送経路は、ローラーb〜lの下降方向に対する直交方向における搬送中の耐熱セパレータSの最大間隔Dbが、ローラーa及びmのこの直交方向における間隔Daよりも大きくなるものが望ましい。これにより、耐熱セパレータSの滞留長を長く確保できる。なお、最大間隔Dbは、水中において下降する耐熱セパレータSの部位αと、上昇する耐熱セパレータSの部位βとの、この直交方向における最大間隔である。
【0149】
図8は、図7の(b)に示される耐熱セパレータSの搬送経路とは異なる搬送経路を示す模式図であって、(a)は耐熱セパレータSがいわゆるジグザグに搬送される搬送経路を示し、(b)は耐熱セパレータSが洗浄槽15の底面にそって搬送される搬送経路を示す。
【0150】
図8の(a)に示される例では、耐熱セパレータSのローラーc・e・i・kに接触している面が、図7の(b)に示されるものとは異なっている。これにより、ローラーb〜lが耐熱セパレータSの同一面に接触している構成よりも、耐熱セパレータSの滞留長を長く確保する余地が生まれる。
【0151】
ここで、耐熱セパレータSが、片面に機能層を塗工した積層フィルムであるときには、水中において、この機能層とローラーb〜lとが接触しないように、耐熱セパレータSを搬送することが好ましいことがある。このときには、図7の(b)に示されるように、水中において、ローラーb〜lを耐熱セパレータSの同一面に接触させ、この接触面を、耐熱セパレータSの機能層の反対面とすることが好ましい。このためには、上述の第1工程において、耐熱セパレータSが、その機能層を下側に向けられていればよい。以上により、耐熱セパレータSの機能層の劣化を抑制できる。
【0152】
図8の(b)に示される例では、ローラーgではなく、ローラーga・gbが洗浄槽15の底面付近に配置されている点が、図7の(b)に示されるものとは異なっている。具体的には、ローラーb〜lのうちの二つが、他のローラーよりも洗浄槽15の底面の近くに、底面にそって配置されている。これにより、耐熱セパレータSの滞留長を長く確保できる。
【0153】
(ローラーの接続)
図9は、図7の(b)に示されるローラーb〜lを接続部材7が接続している構成を示す模式図であって、図9の(a)は図7の(b)に対応した模式図であり、図9の(b)は図9の(a)をX軸正方向側からみたときの模式図である。図9の(a)に示されるXYZ座標軸は、図9の(b)に示されるXYZ座標軸に対応している。そして、図9の(b)では、図面を簡略化するために、X軸正方向側の洗浄槽15の壁面を省略している。
【0154】
図9の(a)に示されるように、洗浄装置6は、接続部材7をさらに備える。図9の(b)に示されるように、接続部材7は、軸受部材71・72と、補強部材75・77とを備える。
【0155】
軸受部材71・72は、ローラーb〜lの回転軸をその両端から回転可能に支持している。つまり、軸受部材71は、ローラーb〜lのY軸正方向側の一端を回転可能に支持している。また軸受部材72は、ローラーb〜lのY軸負方向側の一端を回転可能に支持している。このように、複数のローラーb〜lを一括して下降させることにより、上述の第2工程の作業性が高まる。
【0156】
なお、図面を簡略化するために、図9の(a)(b)では、ローラーc〜e・i〜kを省略している。補強部材75は、洗浄水Wの外において、軸受部材71及び72の間を接続している。補強部材77は、洗浄水Wの中において、軸受部材71及び72の間を接続している。そして、ローラーb〜lは、互いに接続された軸受部材71及び72によってより強く接続される。これにより、例えばローラーb〜lの個数を多くしても、これらのローラーを一括して下降させることができるため、第2工程の作業性がさらに高まる。
【0157】
接続部材7は、動力装置67に接続されており、動力装置67によって上下方向に移動できる。動力装置67は、モーターなどの原動機と、ベルトなどの動力伝達機構とを備えている。また、上述のとおり、ローラーa及びmは、再配置装置66に接続されており、再配置装置66によって任意の位置に再配置される。
【0158】
なお、接続部材7が備える補強部材77の個数・配置は、図9の(a)(b)に示されるものに限定されない。この個数は、洗浄装置6が備えるローラーの個数・配置に応じて変更してもよい。
【0159】
(フィルム製造装置)
水中で長尺の耐熱セパレータSを搬送する搬送装置を備えるフィルム製造装置であって、洗浄槽15の上側に配置されたローラーa及びmと、ローラーb〜lと、ローラーb〜lを、耐熱セパレータSの上側から、ローラーa及びmの間において、水中に下降させる動力装置65と、耐熱セパレータSとローラーb〜lとの接触面積を増やすべく、ローラーa〜mのうちの少なくとも一つを再配置する再配置装置66とを備えるフィルム製造装置も、本発明に含まれる。なお、このフィルム製造装置は、動力装置65に替えて動力装置67を備え、接続部材7を備えてもよい。
【0160】
〔実施形態5〕
本発明の第五実施形態について、図10に基づき説明する。
【0161】
≪フィルムを洗浄槽に浸漬する他の構成≫
図10は、本実施形態のフィルム製造方法を説明するための模式図であって、(a)は耐熱セパレータSを洗浄槽15の洗浄水Wの中(以下「水中」)に浸漬する前の状態を示し、(b)はその後の状態を示す。
【0162】
図10の(a)に示されるように、洗浄装置6aは、図7に示される洗浄装置6の部材に加え、ローラーn・oをさらに備えている。そして、図10の(b)に示されるように、ローラーa及びnは、互いに接続されており、それらの回転軸に平行に配置された回動軸611に対して回動する。また、ローラーm及びoも、互いに接続されており、それらの回転軸に平行に配置された回動軸621に対して回動する。
【0163】
以下では、ローラーa及びnが接続された対を、ローラー対61と呼称する。また、ローラーm及びoが接続された対を、ローラー対62と呼称する。
【0164】
≪フィルムを洗浄槽に浸漬する他の動作≫
耐熱セパレータSを水中に浸漬する前において、ローラーa〜oは、洗浄槽15の上側に配置されている。ローラーb〜lは、ローラーa・m・n・oよりも上側に配置されている。ローラーgは、ローラーb〜lの中で最も下側に配置されている。耐熱セパレータSは、ローラーa・m・n・oの上側を通るとともに、ローラーgの下側を通るように配置されている。なお、ローラーb〜lのすべてがローラーa・m・n・oよりも上側に配置されている必要はない。
【0165】
次に、ローラーb〜lを、ローラー対61及び62の間において、水中まで下降させる。このとき、少なくともローラーgは、耐熱セパレータSに接触してからローラーb〜lの下降が完了するまで、耐熱セパレータSに接触した状態を維持する。
【0166】
図10の(b)に示されるように、耐熱セパレータSを水中に浸漬した後において、ローラー対61は、ローラーaがローラーnよりも耐熱セパレータSの搬送方向の下流側に位置するように、ローラーa及びnの回動軸611を中心として90°左回動する。また、ローラー対62は、ローラーmがローラーoよりも耐熱セパレータSの搬送方向の下流側に位置するように、ローラーm及びoの回動軸621を中心として90°左回動する。このようにして、ローラーa及びoの間隔が狭まる。そして、耐熱セパレータSは、ローラーa〜oのすべてに接触した状態になる。
【0167】
ローラー対61・62は、回動装置66a(再配置装置)に接続されており、回動装置66aによって任意の角度及び方向へと回動できる。換言するならば、ローラーa・nは、回動装置66aにより、ローラー対61の回動軌道上の、回動軸611を中心とした軸対称な任意の位置に再配置される。また、ローラーm・oは、回動装置66aにより、ローラー対62の回動軌道上の、回動軸621を中心とした軸対称な任意の位置に再配置される。
【0168】
また、ローラー対61は、ローラーaがローラーnよりも耐熱セパレータSの搬送方向の上流側に位置するように、ローラーa及びnの回動軸611を中心として90°右回動してもよい。また、ローラー対62は、ローラーmがローラーoよりも耐熱セパレータSの搬送方向の上流側に位置するように、ローラーm及びoの回動軸621を中心として90°右回動してもよい。
【0169】
以上の洗浄槽15について上述した構成・動作は、洗浄槽16においても同様である。
【0170】
≪本実施形態の効果≫
本実施形態のフィルム製造方法は、水中(液体中)で長尺の耐熱セパレータS(フィルム)を搬送する処理を含むフィルム製造方法において、図10の(a)に示されるように洗浄槽15の上側に配置されたローラーa(第1ローラー)、ローラーm(第4ローラー)、ローラーn及びo(第2ローラー)の上側に耐熱セパレータSを通す第1工程と、ローラーb〜l(第3ローラー)を、耐熱セパレータSの上側から、ローラー対61及び62の間において水中に下降させる第2工程と、図10の(b)に示されるように耐熱セパレータSとローラーb〜lとの接触面積を増やすべく、ローラー対61及び62を回動させる第3工程とを、耐熱セパレータSを搬送する処理の開始前に含む。
【0171】
以上によれば、第1工程において通した耐熱セパレータSにおける、ローラー対61に接触する位置とローラー対62に接触する位置との間の一部分が、第2工程におけるローラーb〜lの下降により、水中に浸漬される。この浸漬処理は、水中に配置したローラーb〜lの下側に耐熱セパレータSを通す浸漬処理よりも作業性がよい。
【0172】
そして、第3工程において、耐熱セパレータSと水中に下降させたローラーb〜lとの接触面積が増えるため、耐熱セパレータSは、ローラーb〜lによってより安定的に搬送される。よって、搬送不良により耐熱セパレータSに不具合が生じることを抑制できる。
【0173】
以上により、耐熱セパレータSに発生する不具合を抑制しつつ耐熱セパレータSを効率的に製造できるという効果を奏する。なお、洗浄槽15について上述した効果は、洗浄槽16においても同様である。そして、図4に示される洗浄槽15〜19のうちの少なくとも一つに本実施形態の構成・動作が適用されれば、洗浄槽15について上述した効果と同様の効果が得られる。
【0174】
(洗浄槽の境界におけるローラー対の回動)
図10の(a)に示されるように、ローラー対62は、洗浄槽15及び16の境界となる洗浄槽15の壁面の上側に設けられている。そして、図10の(b)に示されるように、ローラー対62のローラーm及びoが同じ方向へ回動している、すなわちローラーm及びoは、ローラーm及びoの回動軸621を中心として同様に90°左回動している。これにより、第3工程において、洗浄槽15ではローラーa及びoの間隔Eが狭まるとともに、洗浄槽16ではローラーm及び洗浄槽16の上側にある他のローラーnaとの間隔Fが狭まる。このように、洗浄槽15及び16において別々にローラーを再配置するときよりも、効率的に耐熱セパレータSとローラーb〜lとの接触面積を増やせる。
【0175】
(複数のローラー対の同一方向への回動)
図10の(b)に示されるように、ローラー対61及び62は、同じ方向へ回動している。特に、図10の(a)において耐熱セパレータSに接触しているローラー対61のローラーaと、同じく耐熱セパレータSに接触しているローラー対62のローラーmとが、図10の(b)において同じ方向へ回動している。これにより、ローラーa及びmの再配置によって耐熱セパレータSに作用する摩擦力及びそれにともなう耐熱セパレータSの伸びを抑制できる。
【0176】
(ローラー対の再回動)
ローラー対61・62は、一度回動した後に、任意の角度及び方向へと再回動できる。このとき、ローラー対61・62は、一度回動した後に、その回動前の角度へと戻るように再回動できることが好ましい。例えば、ローラー対61・62が90°左回動したのなら、その後に、90°右回動できることが好ましい。
【0177】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本発明は、セパレータ以外のフィルムの洗浄にも利用することができる。
【符号の説明】
【0179】
4 耐熱層(機能層)
5 多孔質フィルム(基材)
6・6a 洗浄装置
7 接続部材
15〜19 洗浄槽(液槽)
61・62 ローラー対
65・67 動力装置
66 再配置装置
66a 回動装置(再配置装置)
71・72 軸受部材
75・77 補強部材
611・621 回動軸
BL 掻き落としバー
G ガイドロール
R 駆動ローラー
S 耐熱セパレータ(電池用セパレータ、積層セパレータ、フィルム)
W 洗浄水(液)
a〜o・v〜z・ga・gb・na ローラー(第1ローラー、第2ローラー、第3ローラー、又は第4ローラー)
p・q 補助ローラー
s テフロンバー
t テフロンチューブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10