特許第6444785号(P6444785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6444785研磨装置およびその制御方法ならびにドレッシング条件出力方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444785
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】研磨装置およびその制御方法ならびにドレッシング条件出力方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 53/00 20060101AFI20181217BHJP
   B24B 53/017 20120101ALI20181217BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   B24B53/00 Z
   B24B53/017 Z
   H01L21/304 622M
【請求項の数】19
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-56922(P2015-56922)
(22)【出願日】2015年3月19日
(65)【公開番号】特開2016-175146(P2016-175146A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2017年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 弘行
【審査官】 稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−070468(JP,A)
【文献】 特開2010−076049(JP,A)
【文献】 特表2011−530809(JP,A)
【文献】 特開2004−047876(JP,A)
【文献】 特開2000−000761(JP,A)
【文献】 特開2001−110768(JP,A)
【文献】 特開2007−012936(JP,A)
【文献】 特開2009−248258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 53/00,53/017,53/02
B24B 37/00
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を研磨する研磨パッドが設けられたターンテーブルと、
前記ターンテーブルを回転させるターンテーブル回転機構と、
前記研磨パッドをドレッシングするドレッサと、
前記ドレッサを前記研磨パッド上の第1位置と第2位置との間をスキャンさせるスキャン機構と、を備え、
ドレッシング時の前記ターンテーブルの回転周期をTttとし、前記ドレッサが前記第1位置と前記第2位置との間をスキャンする際のスキャン周期をTdsとするとき、Ttt/TdsおよびTds/Tttが非整数であり、
1回のドレッシングにおいて前記ドレッサが前記研磨パッド上をスキャンする回数をNとするとき、Tds/Ttt=n+1/N(ただし、nは任意の整数)を満たす、研磨装置。
【請求項2】
基板を研磨する研磨パッドが設けられたターンテーブルと、
前記ターンテーブルを回転させるターンテーブル回転機構と、
前記研磨パッドをドレッシングするドレッサと、
前記ドレッサを前記研磨パッド上の第1位置と第2位置との間をスキャンさせるスキャン機構と、を備え、
ドレッシング時の前記ターンテーブルの回転周期をTttとし、前記ドレッサが前記第1位置と前記第2位置との間をスキャンする際のスキャン周期をTdsとするとき、Ttt/TdsおよびTds/Tttが非整数であり、
前記ドレッサの直径をd、スキャンにおける前記ドレッサの始点と前記ターンテーブルの中心との距離をr0とするとき、Tds/Ttt=n±d/2πr0(ただし、nは任意の整数)を満たす、研磨装置。
【請求項3】
前記ドレッサの直径をdとするとき、前記ドレッサの平均スキャン速度がd/Tttに最も近くなるよう、前記nが選択される、請求項またはに記載の研磨装置。
【請求項4】
前記Tttおよび/または前記Tdsを設定する制御器を備える、請求項1乃至3のいずれかに記載の研磨装置。
【請求項5】
1つの基板の研磨終了後かつ次の基板の研磨開始前の期間に、前記ドレッサが前記研磨パッドをドレッシングし、
前記期間内に所定回数以上、前記ドレッサが前記研磨パッド上をスキャンするよう、前記Tdsが設定される、請求項1乃至のいずれかに記載の研磨装置。
【請求項6】
前記研磨パッドが前記基板を研磨するのと並行して、前記ドレッサが前記研磨パッドをドレッシングし、
前記Tttは、前記基板の研磨条件で設定される、請求項1乃至のいずれかに記載の研磨装置。
【請求項7】
前記スキャン機構は、前記研磨パッド上の中心近傍を始点として前記ドレッサをスキャンさせる、請求項1乃至のいずれかに記載の研磨装置。
【請求項8】
基板を研磨する研磨パッドが設けられたターンテーブルと、
前記ターンテーブルを回転させるターンテーブル回転機構と、
前記研磨パッドをドレッシングするドレッサと、
前記研磨パッドに対して前記ドレッサを押圧させる押圧機構と、
前記ドレッサを前記研磨パッド上の第1位置と第2位置との間をスキャンさせるスキャン機構と、を備え、
ドレッシング時の前記ターンテーブルの回転周期をTttとし、前記ドレッサが前記第1位置と前記第2位置との間をスキャンする際のスキャン周期をTdsとするとき、Ttt/TdsおよびTds/Tttが非整数であり、
時刻tにおいて、前記ドレッサと前記研磨パッドとの間の相対速度をV(t)、前記ターンテーブルの中心と前記ドレッサの中心との距離をr(t)、前記研磨パッドに対する前記ドレッサの押圧力または圧力をA(t)とすると、V(t)A(t)/r(t)が略一定である、研磨装置。
【請求項9】
V(t)A(t)/r(t)が略一定となるよう、前記V(t)および/または前記A(t)を制御する制御器を備える、請求項に記載の研磨装置。
【請求項10】
前記ドレッサと前記研磨パッドとの間の摩擦係数が一定となるよう、前記V(t)および/または前記A(t)を制御する制御器を備える、請求項に記載の研磨装置。
【請求項11】
前記制御器は、前記V(t)と、前記A(t)と、前記ドレッサが前記研磨パッドを実際にドレッシングする力と、に基づいて前記摩擦係数を算出する、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項12】
前記ドレッサが前記研磨パッドに接触しない状態で、前記ターンテーブル回転機構を制御して前記ターンテーブルを回転させるとともに、前記スキャン機構を制御して前記ドレッサをスキャンさせ、前記研磨パッド上での前記ドレッサの軌跡をモニターする制御器を備える、請求項1乃至11のいずれかに記載の研磨装置。
【請求項13】
基板を研磨する研磨パッドが設けられたターンテーブルと、
前記ターンテーブルを回転させるターンテーブル回転機構と、
前記研磨パッドをドレッシングするドレッサと、
前記ドレッサを前記研磨パッド上の第1位置と第2位置との間をスキャンさせるスキャン機構と、を備えた研磨装置の制御方法であって、
ドレッシング時の前記ターンテーブルの回転周期をTttとし、前記ドレッサが前記第1位置と前記第2位置との間をスキャンする際のスキャン周期をTdsとするとき、Ttt/TdsおよびTds/Tttが非整数となるよう、前記ターンテーブル回転機構および前記スキャン機構を制御し、
1回のドレッシングにおいて前記ドレッサが前記研磨パッド上をスキャンする回数をNとするとき、Tds/Ttt=n+1/N(ただし、nは任意の整数)を満たす、研磨装置の制御方法。
【請求項14】
基板を研磨する研磨パッドが設けられたターンテーブルと、
前記ターンテーブルを回転させるターンテーブル回転機構と、
前記研磨パッドをドレッシングするドレッサと、
前記ドレッサを前記研磨パッド上の第1位置と第2位置との間をスキャンさせるスキャン機構と、を備えた研磨装置の制御方法であって、
ドレッシング時の前記ターンテーブルの回転周期をTttとし、前記ドレッサが前記第1位置と前記第2位置との間をスキャンする際のスキャン周期をTdsとするとき、Ttt/TdsおよびTds/Tttが非整数となるよう、前記ターンテーブル回転機構および前記スキャン機構を制御し、
前記ドレッサの直径をd、スキャンにおける前記ドレッサの始点と前記ターンテーブルの中心との距離をr0とするとき、Tds/Ttt=n±d/2πr0(ただし、nは任意の整数)を満たす、研磨装置の制御方法。
【請求項15】
基板を研磨する研磨パッドが設けられたターンテーブルと、
前記ターンテーブルを回転させるターンテーブル回転機構と、
前記研磨パッドをドレッシングするドレッサと、
前記ドレッサを前記研磨パッド上の第1位置と第2位置との間をスキャンさせるスキャン機構と、を備えた研磨装置の制御方法であって、
ドレッシング時の前記ターンテーブルの回転周期をTttとし、前記ドレッサが前記第1位置と前記第2位置との間をスキャンする際のスキャン周期をTdsとするとき、Ttt/TdsおよびTds/Tttが非整数となるよう、前記ターンテーブル回転機構および前記スキャン機構を制御し、
前記研磨パッドに対して前記ドレッサを押圧させる押圧機構を備え、
時刻tにおいて、前記ドレッサと前記研磨パッドとの間の相対速度をV(t)、前記ターンテーブルの中心と前記ドレッサの中心との距離をr(t)、前記研磨パッドに対する前記ドレッサの押圧力または圧力をA(t)とすると、V(t)A(t)/r(t)が略一定である、研磨装置の制御方法。
【請求項16】
基板を研磨する研磨パッドが設けられたターンテーブルと、
前記ターンテーブルを回転させるターンテーブル回転機構と、
前記研磨パッドをドレッシングするドレッサと、
前記ドレッサを前記研磨パッド上の第1位置と第2位置との間をスキャンさせるスキャン機構と、を備える研磨装置におけるドレッシング条件を出力する方法であって、
制約条件を受信するステップと、
前記研磨パッドを均一にドレッシングできるドレッシング条件である第1条件と、前記研磨パッドを均一にドレッシングできないドレッシング条件である第2条件と、を予め記憶したデータベースを参照し、前記制約条件満たす前記第1条件が記憶されている場合に、その第1条件を出力するステップと、
前記制約条件を満たす前記第1条件が記憶されていない場合に、ドレッシング条件を算出するステップと、
前記データベースを参照し、前記算出されたドレッシング条件と、前記第2条件とが一致しない場合に、算出された前記ドレッシング条件を出力するステップと、を備え、
前記ドレッシング条件を算出するステップでは、ドレッシング時の前記ターンテーブルの回転周期をTttとし、前記ドレッサが前記第1位置と前記第2位置との間をスキャンする際のスキャン周期をTdsとするとき、Ttt/TdsおよびTds/Tttが非整数となるよう、前記ドレッシング条件を算出する、ドレッシング条件出力方法。
【請求項17】
前記算出されたドレッシング条件と、前記第2条件と、が一致しない場合に、前記算出されたドレッシング条件を前記データベースに追加するステップを備える、請求項1に記載のドレッシング条件出力方法。
【請求項18】
前記算出されたドレッシング条件と、前記第2条件と、が一致しない場合に、前記算出されたドレッシング条件にて、前記ドレッサが前記研磨パッドに接触しない状態で、前記ターンテーブル回転機構を制御して前記ターンテーブルを回転させるとともに、前記スキャン機構を制御して前記ドレッサをスキャンさせ、前記研磨パッド上での前記ドレッサの軌跡をモニターすることで、前記研磨パッドを均一にドレッシングできるか否かをチェックするステップを備え、
このチェックの結果、前記研磨パッドを均一にドレッシングできる場合に、前記算出されたドレッシング条件を出力する、請求項1に記載のドレッシング条件出力方法。
【請求項19】
前記算出されたドレッシング条件と、前記第2条件と、が一致する場合に、別のドレッシング条件を算出するステップを備える、請求項1に記載のドレッシング条件出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨パッド用のドレッサを備える研磨装置およびその制御方法ならびにドレッシング条件出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMP(Chemical Mechanical Polishing)装置に代表される研磨装置は、研磨パッドと研磨対象の基板の表面とを接触させた状態で両者を相対移動させることにより、基板の表面を研磨する。そのため、研磨パッドが徐々に摩耗したり、研磨パッドの表面の微細な凹凸が潰れたりして、研磨レートの低下を引き起こす。よって、表面に多数のダイヤモンド粒子を電着させたドレッサや表面にブラシを植毛したドレッサなどで研磨パッド表面のドレッシング(目立て)を行い、研磨パッド表面に微細な凹凸を再形成する必要がある。(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−300207号公報
【特許文献2】特開2010−76049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、研磨パッド全体をカバーする大きさのドレッサを用いてドレッシングすることが多かった(特許文献1など)。しかしながら、近年では基板が大型化しており、これに伴う研磨装置の大型化をできる限り抑えるため、小型のドレッサが用いられるようになってきている(特許文献2など)。ドレッサが研磨パッドより小さい場合、研磨パッドを均一にするのが困難であるという問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、小型なドレッサで研磨パッドを均一にできる研磨装置およびその制御方法ならびにドレッシング条件出力方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、基板を研磨する研磨パッドが設けられたターンテーブルと、前記ターンテーブルを回転させるターンテーブル回転機構と、前記研磨パッドをドレッシングするドレッサと、前記ドレッサを前記研磨パッド上の第1位置と第2位置との間をスキャンさせるスキャン機構と、を備え、ドレッシング時の前記ターンテーブルの回転周期をTttとし、前記ドレッサが前記第1位置と前記第2位置との間をスキャンする際のスキャン周期をTdsとするとき、Ttt/TdsおよびTds/Tttが非整数である、研磨装置が提供される。
Ttt/TdsおよびTds/Tttが非整数であるため、ドレッサの軌跡が重ならず、研磨パッドを均一にできる。
【0007】
前記Tttおよび/または前記Tdsを設定する制御器を備えるのが望ましい。これにより、Ttt,Tdsの関係を適切に制御できる。
【0008】
1回のドレッシングにおいて前記ドレッサが前記研磨パッド上をスキャンする回数をNとするとき、Tds/Ttt=n+1/N(ただし、nは任意の整数)を満たすのが望ましい。これにより、N回のスキャンにおいて研磨パッド上の同じ位置を削ることなく、限られたスキャン回数で効率よく研磨パッドをドレッシングできる。
【0009】
また、前記ドレッサの直径をd、スキャンにおける前記ドレッサの始点と前記ターンテーブルの中心との距離をr0とするとき、Tds/Ttt=n±d/2πr0(ただし、nは任意の整数)を満たすのが望ましい。これにより、ドレッサが自身の直径dずつずれながらスキャンするため、研磨パッドの周方向においてドレッシングされない領域を小さくすることができる。
【0010】
望ましくは、前記ドレッサの直径をdとするとき、前記ドレッサの平均スキャン速度がd/Tttに最も近くなるよう、前記nが選択される。これにより、研磨パッドの径方向においてドレッシングされない領域を小さくすることができる。
【0011】
1つの基板の研磨終了後かつ次の基板の研磨開始前の期間に、前記ドレッサが前記研磨パッドをドレッシングし、前記期間内に所定回数以上、前記ドレッサが前記研磨パッド上をスキャンするよう、前記Tdsが設定されてもよい。これにより、期間内に十分な研磨回数を確保できる。
【0012】
前記研磨パッドが前記基板を研磨するのと並行して、前記ドレッサが前記研磨パッドをドレッシングし、前記Tttは、前記基板の研磨条件で設定されてもよい。これにより、基板の研磨条件と、研磨パッドのドレッシング条件とを両立できる。
【0013】
前記スキャン機構は、前記研磨パッド上の中心近傍を始点として前記ドレッサをスキャンさせるのが望ましい。これにより、研磨パッドの中心近傍でドレッシングされない領域を小さくできる。
【0014】
前記研磨パッドに対して前記ドレッサを押圧させる押圧機構を備え、時刻tにおいて、前記ドレッサと前記研磨パッドとの間の相対速度をV(t)、前記ターンテーブルの中心と前記ドレッサの中心との距離をr(t)、前記研磨パッドに対する前記ドレッサの押圧力または圧力をA(t)とすると、V(t)A(t)/r(t)が略一定であるのが望ましい。これにより、ドレッサの位置に関わらず研磨パッドの削り量を一定にできる。
【0015】
また、本発明の別の態様によれば、基板を研磨する研磨パッドが設けられたターンテーブルと、前記ターンテーブルを回転させるターンテーブル回転機構と、前記研磨パッドをドレッシングするドレッサと、前記研磨パッドに対して前記ドレッサを押圧させる押圧機構と、前記ドレッサを前記研磨パッドの第1位置と第2位置との間をスキャンさせるスキャン機構と、を備え、時刻tにおいて、前記ドレッサと前記研磨パッドとの間の相対速度をV(t)、前記ターンテーブルの中心と前記ドレッサの中心との距離をr(t)、前記研磨パッドに対する前記ドレッサの押圧力または圧力をA(t)とすると、V(t)A(t)/r(t)が略一定である、研磨装置が提供される。これにより、ドレッサの位置に関わらず研磨パッドの削り量を一定にできる。
【0016】
研磨装置は、V(t)A(t)/r(t)が略一定となるよう、前記V(t)および/または前記A(t)を制御する制御器を備えるのが望ましい。これにより、V(t),A(t)の関係を適切に制御できる。
【0017】
前記ドレッサと前記研磨パッドとの間の摩擦係数が一定となるよう、前記V(t)および/または前記A(t)を制御する制御器を備えるのが望ましい。これにより、ドレッサ51と研磨パッド11aとの間の摩擦係数が一定となり、研磨パッド11aを均一にできる。
【0018】
前記制御器は、前記V(t)と、前記A(t)と、前記ドレッサが前記研磨パッドを実際にドレッシングする力と、に基づいて前記摩擦係数を算出するのが望ましい。これにより、摩擦係数が一定となるような制御を行うことができる。
【0019】
前記ドレッサが前記研磨パッドに接触しない状態で、前記ターンテーブル回転機構を制御して前記ターンテーブルを回転させるとともに、前記スキャン機構を制御して前記ドレッサをスキャンさせ、前記研磨パッド上での前記ドレッサの軌跡をモニターする制御器を備えるのが望ましい。これにより、摩耗させることなく、設定された条件で動作させた際に、実際に研磨パッドを均一にドレッシングできるか否かをチェックできる。
【0020】
また、本発明の別の態様によれば、基板を研磨する研磨パッドが設けられたターンテーブルと、前記ターンテーブルを回転させるターンテーブル回転機構と、前記研磨パッドをドレッシングするドレッサと、前記ドレッサを前記研磨パッド上の第1位置と第2位置との間をスキャンさせるスキャン機構と、を備えた研磨装置の制御方法であって、ドレッシング時の前記ターンテーブルの回転周期をTttとし、前記ドレッサが前記第1位置と前記第2位置との間をスキャンする際のスキャン周期をTdsとするとき、Ttt/TdsおよびTds/Tttが非整数となるよう、前記ターンテーブル回転機構および前記スキャン機構を制御する、研磨装置の制御方法が提供される。
【0021】
また、本発明の別の態様によれば、基板を研磨する研磨パッドが設けられたターンテーブルと、前記ターンテーブルを回転させるターンテーブル回転機構と、前記研磨パッドをドレッシングするドレッサと、前記研磨パッドに対して前記ドレッサを押圧させる押圧機構と、前記ドレッサを前記研磨パッドの第1位置と第2位置との間をスキャンさせるスキャン機構と、を備えた研磨装置の制御方法であって、時刻tにおいて、前記ドレッサと前記研磨パッドとの間の相対速度をV(t)、前記ターンテーブルの中心と前記ドレッサの中心との距離をr(t)、前記研磨パッドに対する前記ドレッサの押圧力または圧力をA(t)とすると、V(t)A(t)/r(t)が略一定となるよう、前記ターンテーブル回転機構、前記押圧機構および前記スキャン機構を制御する、研磨装置の制御方法が提供される。
【0022】
また、本発明の別の態様によれば、基板を研磨する研磨パッドが設けられたターンテーブルと、前記ターンテーブルを回転させるターンテーブル回転機構と、前記研磨パッドをドレッシングするドレッサと、前記ドレッサを前記研磨パッド上の第1位置と第2位置との間をスキャンさせるスキャン機構と、を備える研磨装置におけるドレッシング条件を出力する方法であって、制約条件を受信するステップと、前記研磨パッドを均一にドレッシングできるドレッシング条件である第1条件と、前記研磨パッドを均一にドレッシングできないドレッシング条件である第2条件と、を予め記憶したデータベースを参照し、前記制約条件満たす前記第1条件が記憶されている場合に、その第1条件を出力するステップと、前記制約条件を満たす前記第1条件が記憶されていない場合に、ドレッシング条件を算出するステップと、前記データベースを参照し、前記算出されたドレッシング条件と、前記第2条件とが一致しない場合に、算出された前記ドレッシング条件を出力するステップと、を備え、前記ドレッシング条件を算出するステップでは、ドレッシング時の前記ターンテーブルの回転周期をTttとし、前記ドレッサが前記第1位置と前記第2位置との間をスキャンする際のスキャン周期をTdsとするとき、Ttt/TdsおよびTds/Tttが非整数となるよう、前記ドレッシング条件を算出する、ドレッシング条件出力方法が提供される。
これにより、研磨装置の自立制御が可能となり、効率よくドレッシング条件が得られる。
【0023】
基板を研磨する研磨パッドが設けられたターンテーブルと、前記ターンテーブルを回転させるターンテーブル回転機構と、前記研磨パッドをドレッシングするドレッサと、前記研磨パッドに対して前記ドレッサを押圧させる押圧機構と、前記ドレッサを前記研磨パッド上の第1位置と第2位置との間をスキャンさせるスキャン機構と、を備える研磨装置におけるドレッシング条件を出力する方法であって、制約条件を受信するステップと、前記研磨パッドを均一にドレッシングできるドレッシング条件である第1条件と、前記研磨パッドを均一にドレッシングできないドレッシング条件である第2条件と、を予め記憶したデータベースを参照し、前記制約条件満たす前記第1条件が記憶されている場合に、その第1条件を出力するステップと、前記制約条件を満たす前記第1条件が記憶されていない場合に、ドレッシング条件を算出するステップと、前記データベースを参照し、前記算出されたドレッシング条件と、前記第2条件とが一致しない場合に、算出された前記ドレッシング条件を出力するステップと、を備え、前記ドレッシング条件を算出するステップでは、時刻tにおいて、前記ドレッサと前記研磨パッドとの間の相対速度をV(t)、前記ターンテーブルの中心と前記ドレッサの中心との距離をr(t)、前記研磨パッドに対する前記ドレッサの押圧力または圧力をA(t)とすると、V(t)A(t)/r(t)が略一定となるよう、前記ドレッシング条件を算出する、ドレッシング条件出力方法が提供される。
これにより、研磨装置の自立制御が可能となり、効率よくドレッシング条件が得られる。
【0024】
前記算出されたドレッシング条件と、前記第2条件と、が一致しない場合に、前記算出されたドレッシング条件を前記データベースに追加するステップを備えるのが望ましい。これにより、データベースをさらに充実させることができる。
【0025】
前記算出されたドレッシング条件と、前記第2条件と、が一致しない場合に、前記算出されたドレッシング条件にて、前記ドレッサが前記研磨パッドに接触しない状態で、前記ターンテーブル回転機構を制御して前記ターンテーブルを回転させるとともに、前記スキャン機構を制御して前記ドレッサをスキャンさせ、前記研磨パッド上での前記ドレッサの軌跡をモニターすることで、前記研磨パッドを均一にドレッシングできるか否かをチェックするステップを備え、このチェックの結果、前記研磨パッドを均一にドレッシングできる場合に、前記算出されたドレッシング条件を出力するのが望ましい。これにより、摩耗させることなく、設定された条件で動作させた際に、実際に研磨パッドを均一にドレッシングできるか否かをチェックした上で、ドレッシング条件を出力できる。
【0026】
前記算出されたドレッシング条件と、前記第2条件と、が一致する場合に、別のドレッシング条件を算出するステップを備えるのが望ましい。これにより、適切なドレッシング条件が出力される。
【発明の効果】
【0027】
ドレッサが研磨パッドより小さい場合でも、研磨パッドを均一にできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】研磨装置の概略構成を示す模式図
図2】Ttt/TdsまたはTds/Tttが整数の場合の、研磨パッド11a上でのドレッサ51の軌跡を示す図
図3】Ttt/TdsおよびTds/Tttが非整数の場合の、研磨パッド11a上でのドレッサ51の軌跡を示す図
図4】研磨パッド11a上でのドレッサ51の軌跡を示す図
図5】距離r0を説明する図
図6】研磨パッド11a上でのドレッサ51の軌跡を示す図
図7】ドレッシング条件算出の具体例を説明する図
図8】ストライベックカーブを模式的に示す図
図9】第5の実施形態における制御器6の処理動作の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0030】
(第1の実施形態)
図1は、研磨装置の概略構成を示す模式図である。この研磨装置は、半導体ウエハなどの基板Wを研磨するものであり、テーブルユニット1と、研磨液供給ノズル2と、研磨ユニット3と、ドレッシング液供給ノズル4と、ドレッシングユニット5と、制御器6とを備えている。テーブルユニット1、研磨ユニット3およびドレッシングユニット5は、ベース7上に設置されている。
【0031】
テーブルユニット1は、ターンテーブル11と、ターンテーブル11を回転させるターンテーブル回転機構12とを有する。ターンテーブル11の断面は円形であり、その上面には基板Wを研磨する研磨パッド11aが固定されている。研磨パッド11aの断面は、ターンテーブル11の断面と同じく円形である。ターンテーブル回転機構12は、ターンテーブルモータドライバ121と、ターンテーブルモータ122と、電流検出器123とから構成される。ターンテーブルモータドライバ121は駆動電流をターンテーブルモータ122に供給する。ターンテーブルモータ122はターンテーブル11に連結されており、駆動電流によってターンテーブル11を回転させる。電流検出器123は駆動電流の値を検出する。駆動電流が大きいほどターンテーブル11のトルクが大きくなることから、駆動電流の値に基づいてターンテーブル11のトルクを算出できる。
【0032】
ターンテーブル11の回転周期および回転数をそれぞれTtt[s],Ntt[rpm]とすると、Ttt=60/Nttの関係を満たす。回転周期Ttt(または回転速度Ntt)は、制御器6が駆動電流を調整することによって制御できる。
研磨液供給ノズル2は研磨パッド11a上にスラリなどの研磨液を供給する。
【0033】
研磨ユニット3は、トップリングシャフト31と、トップリングシャフト31の下端に連結されたトップリング32とを有する。トップリング32は真空吸着により基板Wをその下面に保持する。モータ(不図示)によってトップリングシャフト31が回転し、これにより、トップリング32および保持された基板Wが回転する。また、トップリングシャフト31は、例えば、サーボモータおよびボールねじなどから構成される上下動機構(不図示)により研磨パッド11aに対して上下動する。
【0034】
基板Wの研磨は次のようにして行われる。研磨液供給ノズル2から研磨パッド11a上に研磨液を供給しつつ、トップリング32およびターンテーブル11をそれぞれ回転させる。この状態で、基板Wを保持したトップリング32を下降させ、基板Wを研磨パッド11aの上面に押し付ける。基板Wおよび研磨パッド11aは研磨液の存在下で互いに摺接され、これにより基板Wの表面が研磨されて平坦化される。このときのターンテーブル11の回転周期Tttは研磨条件で設定される。
【0035】
ドレッシング液供給ノズル4は研磨パッド11a上に純水などのドレッシング液を供給する。
ドレッシングユニット5は、ドレッサ51と、ドレッサシャフト52と、押圧機構53と、ドレッサ回転機構54と、ドレッサアーム55と、スキャン機構56とを有する。
【0036】
ドレッサ51は断面が円形であり、その下面がドレッシング面である。ドレッシング面はダイヤモンド粒子などが固定されたドレスディスク51aによって構成される。ドレッサ51は、ドレスディスク51aが研磨パッド11aに接触してその表面を削ることによって、研磨パッド11aをドレッシング(コンディショニング)する。
ドレッサシャフト52は、その下端にドレッサ51が連結され、その上端に押圧機構53に連結されている。
【0037】
押圧機構53はドレッサシャフト52を昇降させるものであり、ドレッサシャフト52が下降することでドレッサ51が研磨パッド11aに押圧される。具体的な構成例として、押圧機構53は、所定の圧力を生成する電空レギュレータ531と、ドレッサシャフト52の上部に設けられ、生成された圧力でドレッサシャフト52を昇降させるシリンダ532とから構成される。
【0038】
研磨パッド11aに対するドレッサ51の押圧力F[N]は、制御器6が押圧機構53を制御することによって制御される。例えば、電空レギュレータ531によって生成される圧力P[N/m2]を制御器6が調整することで押圧力Fが制御される。あるいは、電空レギュレータ531によって生成される圧力Pは一定とし、ドレッサシャフト52を傾ける角度を制御器6が調整することで、垂直方向の押圧力Fが制御される。後者の制御によれば、ドレッサシャフト52を上下動させる際のヒステリシスに影響されることなく、押圧力Fを制御できる。
【0039】
ドレッサ回転機構54は、ドレッサモータドライバ541と、ドレッサモータ542とから構成される。ドレッサモータドライバ541は駆動電流をドレッサモータ542に供給する。ドレッサモータ542はドレッサシャフト52に連結されており、駆動電流によってドレッサシャフト52を回転させ、これによりドレッサ51は回転する。
ドレッサ51の回転速度Nd[rpm]は、制御器6が駆動電流を調整することによって制御できる。
【0040】
ドレッサアーム55の一端はドレッサシャフト52を回転自在に支持する。また、ドレッサアーム55の他端はスキャン機構56に連結される。
【0041】
スキャン機構56は、支軸561と、揺動モータドライバ562と、揺動モータ563とから構成され、ドレッサ51を研磨パッド11a上でスキャンさせる。すなわち、支軸561の上端はドレッサアーム55の他端に連結され、下端は揺動モータ563に連結される。揺動モータドライバ562は駆動電流を揺動モータ563に供給する。揺動モータ563は駆動電流によって支軸561を回転させ、これによりドレッサ51は、研磨パッド11a上で、その中心と縁との間で揺動する。また、スキャン機構56は、変位センサやエンコーダなどの検出器(不図示)により、研磨パッド11a上におけるドレッサ51の位置および揺動方向を検出する。
【0042】
ドレッサ51のスキャン周期(ドレッサ51が研磨パッド11aの中心から縁へ移動し、さらに中心に戻るまでの1往復に要する時間)Tds[s]は、制御器6が、予め設定されたドレッサーレシピのスキャン移動させる区間と速度設定に基づき、揺動モータドライバ562へ指令することによって制御できる。
【0043】
研磨パッド11aのドレッシングは次のようにして行われる。ドレッシング液供給ノズル4から研磨パッド11a上にドレッシング液を供給しつつ、ターンテーブル回転機構12によりターンテーブル11を回転させ、ドレッサ回転機構54によりドレッサ51を回転させ、かつ、スキャン機構56によりドレッサ51をスキャンさせる。この状態で、押圧機構53がドレッサ51を研磨パッド11aの表面に押圧し、ドレスディスク51aを研磨パッド11aの表面で摺動させる。研磨パッド11aの表面は回転するドレッサ51により削り取られ、これにより研磨パッド11a表面のドレッシングが行われる。
【0044】
制御器6は研磨装置全体を制御するものであり、上述したように、ターンテーブル11の回転周期Ttt(回転速度Ntt)、ドレッサ51の回転速度Nd、同スキャン周期Tdsなどの制御を行う。制御器6はコンピュータであってもよく、以下に説明する制御を、所定のプログラムを実行することによって実現してもよい。
【0045】
上述したように、研磨装置において、基板Wの研磨処理と、研磨パッド11aのドレッシング処理とが行われる。これら2つの処理のタイミングとして、例えば次の直列処理および並列処理が考えられる。
【0046】
直列処理では、1つの基板Wの研磨終了後、かつ、次の基板Wの研磨開始前の期間にドレッシングを行う。言い換えると、直列処理では、基板Wの研磨と研磨パッド11aのドレッシングとを別個に行う。よって、基板Wの研磨条件とは別にドレッシング条件を自由に設定できるという利点がある。ただし、ドレッシングを行う期間は基板Wを処理していないオーバーヘッドタイムでもあるため、できるだけこの期間が短いのが望ましく、短時間でドレッシングを行わなければならないという制約がある。
【0047】
並列処理では、研磨パッド11a上のある位置で基板Wを研磨しつつ、別の位置をドレッシングする。言い換えると、並列処理では、基板Wの研磨と研磨パッド11aのドレッシングを並列して行う。よって、研磨パッド11aのドレッシングのみを行っている時間がないため、オーバーヘッドタイムを短くできるという利点がある。ただし、基板Wの研磨条件でドレッシングを行うことになるため、ドレッシング条件の自由度が小さくなるという制約がある。
【0048】
いずれの処理であっても、本実施形態の制御器6は、下記(1)式を満たすよう、ターンテーブル11の回転周期Tttおよび/またはドレッサ51のスキャン周期Tdsを設定する。
Ttt/Tds≠整数 かつ Tds/Ttt≠整数 ・・・(1)
【0049】
以下に説明するように、Ttt/TdsまたはTds/Tttが整数である場合、ドレッサ51が研磨パッド11aを均一にドレッシングできないことがあるためである。
【0050】
図2は、Ttt/TdsまたはTds/Tttが整数の場合の、研磨パッド11a上でのドレッサ51の軌跡を示す図である。図2(a)〜(c)は、Ttt/Tds=2,1,0.5の各ケースについて、ドレッサ51が研磨パッド11aの中心と縁との間を4往復した場合の、研磨パッド11a上でのドレッサ51の中心の軌跡を示している。例えば、同図の「C−E1」は、研磨パッド11aの中心から縁への1回目の軌跡である。また、「E−C1」は、研磨パッド11aの縁から中心への1回目の軌跡である。他の記号も同様である。なお、ドレッサ51の始点は研磨パッド11aの中心(正確には、ドレッサ51の縁が研磨パッド11aの中心)である。
【0051】
図示のように、Ttt/TdsまたはTds/Tttが整数の場合、ドレッサ51は研磨パッド11a上の同じ位置を繰り返し移動する。すなわち、Ttt/Tds=2の場合、ドレッサ51の1往復目と3往復目が同じ軌跡となり、2往復目と4往復目が同じ軌跡となる。また、Ttt/Tds=1,0.5の場合、ドレッサ51の1〜4往復目はすべて同じ軌跡となる。
【0052】
このように軌跡が重なる理由は、例えばTtt/Tds=1の場合、ターンテーブル11が1周したときにドレッサ51がちょうど1往復し、元の位置S1に戻るためである。より一般的には、Ttt/Tds=n(nは整数)であれば、ターンテーブル11が1周したときにドレッサ51がちょうどn往復し、ドレッサ51が研磨パッド11a上の元の位置S1に戻る。また、Tds/Ttt=nであれば、ドレッサ51が1往復したときにターンテーブル11がちょうどn周し、やはりドレッサ51が研磨パッド11a上の元の位置S1に戻る。
結果として、Ttt/TdsまたはTds/Tttが整数の場合、研磨パッド11aの一部ばかりが削られ、研磨パッド11aが均一になりにくい。
【0053】
図3は、Ttt/TdsおよびTds/Tttが非整数の場合の、研磨パッド11a上でのドレッサ51の軌跡を示す図である。図3(a)〜(c)は、Ttt/Tds=2.7,1.7,0.59の各ケースについて、ドレッサ51が研磨パッド11aの中心と縁との間を4往復した場合の、研磨パッド11a上でのドレッサ51の中心の軌跡を示している。なお、ドレッサ51の始点は研磨パッド11aの中心である。
【0054】
図2(a)〜(c)と図3(a)〜(c)とをそれぞれ比較すると明らかなように、Ttt/TdsおよびTds/Tttが非整数の場合、ドレッサ51は、少なくとも4往復においては軌跡が重なることなく、研磨パッド11a上のより多くの位置を移動する。同図では4往復分の軌跡しか描いていないが、5往復以上することで、研磨パッド11aのより多くの位置をドレッシングできる。
【0055】
このようにドレッサ51が多くの位置を移動する理由は、例えばTtt/Tds=1.7の場合、ドレッサ51が1往復したときにターンテーブル11は1/1.7周しかしておらず、ドレッサ51は元の位置S1とは異なる位置S2にあるためである。このように、Ttt/TdsおよびTds/Tttが非整数の場合、ドレッサ51が研磨パッド11a上の元の位置S1に戻るまでには、ドレッサ51の往復回数やターンテーブル11の周回数が多くかかる。
【0056】
結果として、Ttt/TdsおよびTds/Tttを非整数に設定することで、研磨パッド11aの多くの位置を削ることができ、研磨パッド11aを均一にできる。
【0057】
以上説明したようにTtt/TdsおよびTds/Tttが非整数であればよいが、より望ましい設定として、1回のドレッシングにおけるドレッサ51のスキャン回数をNとするとき、制御器6は、ターンテーブル11の回転周期Tttおよびドレッサ51のスキャン周期Tdsを、下記(2)式を満たすように設定してもよい。
Tds/Ttt=n+1/N ・・・(2)
ここで、nは任意の整数である。
【0058】
図4は、上記(2)式を満たす場合の、研磨パッド11a上でのドレッサ51の軌跡を示す図である。図4(a)〜(c)は、Tds/Ttt=1.5(n=1,N=2)、2.5(n=2,N=2)、1.25(n=1,N=4)の各ケースについて、ドレッサ51が研磨パッド11aの中心と縁との間を2または4往復した場合の、ターンテーブル11上でのドレッサ51の中心の軌跡を示している。なお、ドレッサ51の始点は研磨パッド11aの中心である。
【0059】
N=2(図4(a),(b))の場合、ドレッサ51が2往復したときに初めて研磨パッド11aの元の位置S1に戻る。また、N=4(図4(c))の場合、ドレッサ51が4往復したときに初めて研磨パッド11aの元の位置S1に戻る。
【0060】
より一般的には、ドレッサ51がN往復を終了した時に初めて研磨パッド11a上の元の位置S1に戻る。言い換えると、1〜(N−1)往復においては、ドレッサ51が研磨パッド11a上の元の位置S1に戻らず、軌跡が重ならない。上記(2)式の関係を満たす場合、ターンテーブル11が(nN+1)回転したときにドレッサ51がちょうどN往復し、ドレッサ51が元の位置S1に戻るためである。
結果として、N往復の間に研磨パッド11aの同じ位置を削ることなく、限られた往復回数で効率よく研磨パッド11aをドレッシングできる。
【0061】
また、別のより望ましい設定として、ドレッサ51の半径をd、ドレッサ51の始点と研磨パッド11aの中心との距離をr0とするとき、制御器6は、ターンテーブル11の回転周期Tttおよびドレッサ51のスキャン周期Tdsを、下記(3)式を満たすように設定してもよい。
Tds/Ttt=n±d/2πr0 ・・・(3)
【0062】
図5は、距離r0を説明する図である。図5(a)に示すように、ドレッサ51の始点が研磨パッド11aの中心Cである場合、ドレッサ51の縁が研磨パッド11aの中心C上にあるため、r0=d/2である。また、図5(b)に示すように、ドレッサ51の始点が研磨パッド11aの縁である場合、ドレッサ51の縁が研磨パッド11aの縁上にあるため、r0=r−d/2(rは研磨パッド11aの半径)である。
【0063】
なお、実際には、ドレッサ51をオーバーハングさせて使うことが多い。その理由は、研磨パッド11aの縁までのドレッサスキャン動作では、研磨パッド11aの縁部分の削れ量が不足する傾向にあるからである。そうすると、研磨パッド11aの平坦度が劣化し、劣化した領域が基板Wの研磨面と重なると研磨性能に悪影響がでてしまう。従って、ドレッサ51を研磨パッド11aの縁でオーバーハングさせる場合には、距離r0をオーバーハングさせたドレッサ51の外径と研磨パッド11aの中心間距離として扱うのが望ましい。
【0064】
図6は、上記(3)式を満たす場合の、研磨パッド11a上でのドレッサ51の軌跡を示す図である。同図において、ドレッサ51の始点は研磨パッド11aの中心(図5(a)相当)である。そして、d=100[mm]、r0=50[mm]としており、上記(3)式の右辺第2項d/2πr0≒0.32である。そして、図6(a),(b)はTds/Ttt=1.32(=1+0.32),1.68(=2−0.32)の各ケースについて、ドレッサ51が研磨パッド11aの中心と縁との間を4往復した場合の、研磨パッド11a上でのドレッサ51の中心の軌跡を示している。
【0065】
図6(a)に示すように、ドレッサ51が1往復して研磨パッド11aの中心に戻ったとき、ドレッサ51は研磨パッド11a上において、始点位置S1から距離dだけドレッサ51の軌跡前方にずれた位置S2にある。以降、ドレッサ51が1往復する度に、距離dだけずれる。
【0066】
図6(b)に示すように、ドレッサ51が1往復して研磨パッド11aの中心に戻ったとき、ドレッサ51は研磨パッド11a上において、始点位置S1から距離dだけドレッサ51の軌跡後方ずれた位置S3にある。以降、ドレッサ51が1往復する度に、距離dだけずれる。
【0067】
このように、ドレッサ51が自身の直径dずつずれながら往復するため、研磨パッド11aの周方向においてドレッシングされない領域を小さくすることができる。特に、ドレッサ51の始点を研磨パッド11aの中心とすることで、研磨パッド11aの中心近傍を隈なくドレッシングできる。
【0068】
なお、ドレッサ51の始点を研磨パッド11aの縁としてもよいが、その場合、距離dに比べて円周2πr0の値が大きくなり、距離dずつずれながらドレッサ51が円周2πr0を1周するのに多くの往復回数が必要となってしまう。よって、スキャン機構56は、研磨パッド11aの中心近傍を始点としてドレッサ51を揺動させるのが望ましい。
【0069】
ところで、研磨パッド11aの径方向においてドレッシングされない領域を小さくするためには、ターンテーブル11が1回転するたびに、ドレッサ51が直径dずつ径方向に移動するのが望ましい。すなわち、ドレッサ51の往復の平均スキャン速度をVds[mm/s]とすると、上記(1)〜(3)式の条件に加え、下記(4)式をさらに満たすのが望ましい。
Vds=d/Ttt ・・・(4)
【0070】
そこで、制御器6は、上記(1)〜(3)式のいずれかのみならず、上記(4)式をも満たすよう、ターンテーブル11の回転周期Tttおよび/またはドレッサ51のスキャン周期Tdsを設定するのが望ましい。例えば、制御器6は、平均スキャン速度Vdsがd/Tttに最も近くなるよう、上記(2),(3)式のnを選択してもよい。
【0071】
また、ドレッサ51の揺動距離(1往復での移動距離)をL[mm](図1におけるドレッサアーム55の長さおよび揺動の角度で定まる)とし、ドレッサ51の加減速を無視すると、ドレッサ51の平均スキャン速度Vdsは下記(5)式で表される。
Vds=L/Tds ・・・(5)
上記(4),(5)式から下記(6)式が導かれる。
Tds/Ttt=L/d ・・・(6)
【0072】
通常のドレッサ51は交換可能であることから、制御器6が上記(1)〜(3)式のいずれかを満たすようターンテーブル11の回転周期Tttおよび/またはドレッサ51のスキャン周期Tdsを設定し、かつ、上記(6)式を満たす直径dを有するドレッサ51を用いるようにしてもよい。これにより、上記(4)式が満たされる。
【0073】
ところで、上述したように、ドレッシングのタイミングとして並列処理と直列処理が考えられる。上記(1)〜(3)式では、ターンテーブル11の回転周期Tttおよびドレッサ51のスキャン周期Tdsが制御され得るが、次に説明するように、並列処理の場合はドレッサ51のスキャン周期Tdsの設定自由度が高く、直列処理の場合はターンテーブル11の回転周期Tttの設定自由度が高い。
【0074】
直列処理の場合、ドレッシングを行う期間、すなわち、基板Wの研磨と次の基板Wの研磨との間の期間はオーバーヘッドタイムであるため、それほど長くするわけにはいかない。具体的には、この期間は12〜16秒程度である。この短い期間内にドレッサ51をある程度の回数往復させなければ、十分に研磨パッド11aをドレッシングできない。制御器6は、これらの制約下で、上記(1)〜(3)式のいずれかを満たすようターンテーブル11の回転周期Tttおよび/またはドレッサ51のスキャン周期Tdsを設定する。
【0075】
具体的には、上記ドレッシングを行う期間をT0とし、ドレッサ51の最小往復回数をm回とすると、制御器6は下記(7)式を満たすよう、ドレッサ51のスキャン周期Tdsを設定する。
Tds≦T0/m ・・・(7)
【0076】
すなわち、ドレッサ51をm回以上往復させるためには、制御器6はドレッサ51のスキャン周期Tdsを極端に大きく設定することはできず、上記(7)式に基づくスキャン周期Tdsの上限値T0/mが存在する。
【0077】
その一方で、ドレッシング中には基板Wの研磨が行われないので、ターンテーブル11の回転周期Tttにはそれほど制限はない。そこで、制御器6は、まず上記(7)式を満たすようドレッサ51のスキャン周期Tdsを設定し、その上で、上記(1)〜(3)式のいずれかを満たすようターンテーブル11の回転周期Tttを設定することができる。
【0078】
ただし、回転周期Tttを短くしすぎると、ドレッシング液供給ノズル4から供給されるドレッシング液の影響でドレッサ51が浮き上がり(ハイドロプレーニング現象と呼ばれる)、研磨パッド11aが削られなくなることがある。そのため、回転周期Tttはハイドロプレーニング現象が発生しない範囲で設定する必要がある。
【0079】
並列処理の場合、ドレッシング中に基板Wの研磨も行われている。そのため、ターンテーブル11の回転周期Tttは基板Wの研磨条件で定められ、ドレッシングの都合で設定するのは難しい。その一方で、ドレッシングを行う期間を短くする必要はないので、ドレッサ51のスキャン周期Tdsにはそれほど制限はない。よって、制御器6は、基板Wの研磨条件で定まるターンテーブル11の回転周期Tttに対して、上記(1)〜(3)式のいずれかを満たすようドレッサ51のスキャン周期Tdsを設定することができる。
【0080】
なお、直列処理であっても並列処理であっても、制御器6はドレッサ51の往復周期Tsを極端に小さく設定することはできない。スキャン機構56、より具体的には、揺動モータドライバ562や揺動モータ563の能力に応じた、ドレッサ51の移動速度の限界があるためである。
【0081】
以下、図7を用いて具体例を説明する。本例では、ドレッサ51の直径d=100[mm]、ターンテーブル11の回転周期Ttt=0.666[s]、ドレッサ51の始点(研磨パッド11aの中心とする)と研磨パッド11aの中心との距離r0=50[mm]、ドレッサ51の往復距離L=620[mm」を仮定している。この状況で、上記(3)式を満たすドレッサ51のスキャン周期Tdsを算出する。
【0082】
上記(3)式に数値を代入すると下記(3’),(3’’)式が得られる。
Tds=Ttt(n+d/2πr0)≒0.666(n+0.3188)
≒3.54, 4.21, 4.87[s](n=5,6,7) ・・・(3’)
Tds=Ttt(n−d/2πr0)≒0.666(n−0.3188)
≒3.12, 3.78, 4.45[s](n=5,6,7) ・・・(3’ ’)
【0083】
ここで、さらに上記(4)式を満たすドレッサ51のスキャン周期Tdsを検討する。上記(4)式に数値を代入すると下記(4’)式が得られる。
Vds=d/Ttt≒150[mm/s] ・・・(4’)
また、ドレッサ51の加減速を無視し、上記(5)式に数値および上記(4’)式の結果を代入すると下記(5’)式が得られる。
Tds=L/Vds≒4.133[s] ・・・(5’)
【0084】
正確性を向上するために、ドレッサ51の加減速を考慮する。研磨パッド11aの中心および縁付近での加速度を500mm/s2とすると、上記ドレッサ51のスキャン速度Vds=150[mm/s]に達するまでに要する時間は0.3[s]である。そして、1往復において加減速が4回発生するため、加減速の合計時間は1.2[s]である。よって、ドレッサ51のスキャン周期Tdsは下記(5’’)式となる。
Tds≒(L−(Vds*加減速の合計時間/2))/Vds+加減速の合計時間
=(620−(150*1.2)/2)/150+1.2
=4.73[s] ・・・(5’’)
【0085】
したがって、この値4.73[s]に近いのは上記(3’)式の4.87(n=7)である。よって、制御器6はドレッサ51のスキャン周期Tdsを4.87[s]とするのが最適である。Tds/Ttt=4.87/0.666=7.31となり非整数である。
【0086】
このように、第1の実施形態では、ターンテーブル11の回転周期Tttおよびドレッサ51のスキャン周期Tdsについて、ドレッシング時に、Tds/TttおよびTtt/Tdsが非整数となるようにする。そのため、研磨パッド11aの多くの位置をドレッシングでき、研磨パッド11aを均一にできる。
【0087】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態は、ドレッサ51の軌跡が重ならないこと、言い換えると、研磨パッド11aのできる限り多くの位置を磨くことに主眼を置いていた。これに対し、次に説明する第2の実施形態では、ドレッサ51の位置に応じて研磨パッド11aの削り量が変動するのを抑えるものである。
【0088】
単位時間当たりにドレッサ51が研磨パッド11aを削る量(以下、単に「削りレート」ともいう)は、ドレッサ51と研磨パッド11aとの間の相対速度Vに比例する。なお、本実施形態では、ドレッサ51がターンテーブル11より十分に小さいとして、ドレッサ51の中心における相対速度Vを考える。また、ドレッサ51と研磨パッド11aとの間の摩擦係数が一定とすると、削りレートは研磨パッド11aに対するドレッサ51の押圧力Fにも比例する。結局、削りレートは相対速度Vと押圧力Fとの積に比例する。
【0089】
一方、ドレッサ51が研磨パッド11a上のある位置を削っている時間(以下、単に「削り時間」ともいう)は、研磨パッド11a上の当該位置の速度に反比例する。この速度は、研磨パッド11a上の当該位置(つまりドレッサ51がある位置)の、研磨パッド11aの中心からの距離rに比例する。結局、削り時間はドレッサ51と研磨パッド11aの中心との距離rに反比例する。
上記相対速度V、押圧力Fおよび距離rは時々刻々と変化し得るため、時刻tにおける値をそれぞれV(t),F(t),r(t)と表記する。
【0090】
ドレッサ51が研磨パッド11a上のある位置を削る量(以下、単に「削り量」ともいう)は、削りレートと、削り時間との積である。以上から、削り量は、相対速度V(t)と押圧力F(t)との積に比例し、かつ、距離r(t)に反比例する。よって、本実施形態では、ドレッサ51の位置(すなわち時刻t)によらず削り量が一定となるよう、制御器6は下記(7)式を満たすような制御を行う。
V(t)F(t)/r(t)=一定 ・・・(7)
距離r(t)の制御は困難であるので、制御器6は上記(7)式を満たすよう相対速度V(t)および/または押圧力F(t)を制御する。
【0091】
本実施形態ではドレッサ51の中心における相対速度V(t)を考えているので、相対速度V(t)は、ターンテーブル11の速度(つまり2πr(t)/Ttt=2πr(t)*Ntt/60)およびドレッサ51のスキャン速度Vds[mm/s]で定まる。よって、制御器6は、相対速度V(t)を制御する場合、ターンテーブル11の回転速度Nttおよび/またはドレッサ51のスキャン速度Vdsを調整すればよい。
【0092】
ただし、本実施形態では、ドレッサ51は研磨パッド11aの中心と縁との間を直線状ではなく円弧状に往復しており、ドレッサ51のスキャン速度Vdsは径方向成分のみならず周方向成分を有する。その場合、制御器6は、ドレッサ51のスキャン速度Vdsではなく、ターンテーブル11の回転速度Nttを調整するのが望ましい。
【0093】
ターンテーブル11の回転方向と、ドレッサ51のスキャン速度Vdsの周方向成分とが一致する場合、相対速度V(t)は小さくなり、削りレートが小さくなる。削り時間を長くするためにドレッサ51のスキャン速度Vdsを小さくしてしまうと、ドレッサ51が研磨パッド11a上を往復する回数が減って十分にドレッシングできない。そのため、制御器6は、上記(7)式を満たすべく、ドレッサ51のスキャン速度Vdsは一定とし、ターンテーブル11の回転速度Nttを調整するのが望ましい。
【0094】
また、ターンテーブル11の回転方向と、ドレッサ51のスキャン速度Vdsの周方向成分が反対方向である場合、相対速度V(t)は大きくなる。よって、削りレートが大きくなる。削り時間を短くするためにドレッサ51のスキャン速度Vdsを大きくしてしまうと、相対速度V(t)がさらに大きくなってしまう。そのため、制御器6は、上記(7)式を満たすべく、やはりドレッサ51のスキャン速度Vdsは一定とし、ターンテーブル11の回転速度Nttを調整するのが望ましい。
【0095】
よって、上記(7)式を満たすための制御の一例として、制御器6は、押圧力F(t)を一定とし、距離r(t)に応じて、ターンテーブル11の回転速度Nttを随時調整することが考えられる。この場合、ドレッシングのタイミングとしては直列処理を採用するのが望ましい。並列処理では、ターンテーブル11の回転速度Nttは研磨条件で定められ、ドレッシングの都合で設定するのは難しいためである。
【0096】
また、上記(7)式を満たすための制御の別の例として、制御器6は、ターンテーブル11の回転速度Nttを一定とし、距離r(t)に応じて、押圧力F(t)を調整してもよい。この場合、ドレッシングのタイミングとしては、直列処理でも並列処理でも構わない。
【0097】
なお、ドレッサ51と研磨パッド11aとの接触面積は一定であるため、押圧力F(t)は研磨パッド11aに対するドレッサ51の圧力P(t)に比例する。そのため、上記(7)式において、押圧力F(t)に代えて圧力P(t)を用いてもよい。
【0098】
このように、第2の実施形態では、V(t)F(t)/r(t)が一定となるよう制御する。そのため、ドレッサ51の位置に関わらず研磨パッド11aの削り量を一定にできる。
【0099】
なお、本実施形態は、第1の実施形態と組み合わせてもよい。つまり、上記(1)〜(3)式のいずれか(場合によっては上記(4)式も)を満たし、かつ、V(t)F(t)/r(t)が一定となるよう制御してもよい。
【0100】
(第3の実施形態)
上述した第2の実施形態では、ドレッサ51と研磨パッド11aとの間の摩擦係数が一定としていた。しかしながら、実際には摩擦係数が変動することもある。そこで、次に説明する第3の実施形態では、摩擦係数の変動も考慮した制御を行うものである。
【0101】
一般に、2物体間の摩擦係数はこれらの相対速度および互いの押圧力に応じて変動する。この関係はストライベックカーブと呼ばれる。本実施形態においては、ドレッサ51と研磨パッド11aとの間の摩擦係数zは、相対速度Vと、研磨パッド11aに対するドレッサ51の押圧力Fに応じて変動する。
【0102】
図8は、ストライベックカーブを模式的に示す図である。横軸は、相対速度Vと押圧力Fとの比V/Fであり、縦軸は摩擦係数zである。図示のように、比V/Fによらず摩擦係数zがほぼ一定である領域aと、比V/Fに応じて摩擦係数zが変動する領域b〜eがある。ドレッサ51が領域aで動作していれば、ドレッサ51の位置に応じて相対速度Vが変動しても、摩擦係数zは一定である。よって、制御器6は、摩擦係数zと比V/Fとの関係をモニターし、ドレッサ51が領域aで動作するよう、相対速度Vおよび/または押圧力Fを調整すればよい。この関係は次のようにしてモニターでき、制御器6はこの関係を不図示のディスプレイに表示してもよい。
【0103】
押圧力F(t)は、電空レギュレータ531からシリンダ532に供給される圧力Pとシリンダ532の面積との積から(あるいは、ドレッサ51とシリンダ532間の軸上に設けたロードセル(不図示)から)取得される。なお、押圧力Fと上記圧力Pは比例するため、押圧力Fに代えて圧力Pを用いてもよいのは上述の通りである。
【0104】
本実施形態ではドレッサ51の中心における相対速度V(t)を考えているので、相対速度Vは、ターンテーブル11の速度(つまり2πr(t)/Ttt=2πr(t)*Ntt/60、r(t)はドレッサ51と研磨パッド11aの中心との距離)、およびドレッサ51のスキャン速度Vds(つまりL/Tds、Lはドレッサ51の1往復における揺動距離)で定まる。ターンテーブル11の回転速度Nttおよびドレッサ51のスキャン周期Tdsは、制御器6が制御可能であるため、制御器6が把握できる。ドレッサ51の往復距離Lは既知である。距離r(t)はスキャン機構56の検出器により検出される。
【0105】
摩擦係数zは、押圧力Fと、実際にドレッサ51が研磨パッド11aを削る力fとの比f/Fである。削る力fは、研磨パッド11aに作用する水平方向の力Fxとほぼ等しいので、ドレッシングによるターンテーブル11のトルク(ターンテーブル11のトルクTrと、ドレッサ51が研磨パッド11aに接触しない場合の定常トルクTr0との差分)を、距離rで除すことで取得される。ここで、トルクTrは、電流検出器123によって検出される駆動電流Iと、ターンテーブルモータ122に固有のトルク定数Km[Nm/A]とを乗じることで取得される。
【0106】
以上のようにして、摩擦係数z、相対速度V(t)および押圧力Fを時刻tごとに取得することで摩擦係数zをモニターでき、制御器6はドレッサ51がストライベック曲線におけるどの領域で動作しているかを把握できる。よって、ドレッサ51が領域b〜eで動作している場合、制御器6は、ドレッサ51が領域aで動作するよう、押圧力F(または圧力P)および/または相対速度V(t)を制御すればよい。結果として、ドレッサ51と研磨パッド11aとの間の摩擦係数が一定となり、研磨パッド11aを均一にできる。
【0107】
(第4の実施形態)
第4の実施形態における制御器6は、第1〜第3の実施形態のいずれかで設定された条件でターンテーブル11およびドレッサ51を制御する。ただし、ドレッサ51および研磨パッド11aの摩耗を防ぐために、制御器6は、ドレッサ51が研磨パッド11aとは接触せずに研磨パッド11aの上方にある状態で、ターンテーブル11およびドレッサ51を動作させる。いわゆる「空レシピ」と呼ばれるものである。
【0108】
上記の条件は計算上得られる条件であるが、実際には、研磨装置のハードウェア制約や通信速度、ソフトウェア処理の都合で、条件通りにターンテーブル11およびドレッサ51が動作できないこともある。そこで、制御器6は空レシピを用いて動作させ、実際のターンテーブル11の回転速度Ntt、ドレッサ51のスキャン速度Vds、ドレッサ51の位置rを定期的に取得する。そして、これらの値に基づいて、制御器6は、図2〜4および図6に示すような、研磨パッド11a上でのドレッサ51の軌跡を算出する。この軌跡がディスプレイに表示されてもよい。
この軌跡に基づいて、研磨パッド11aを均一にドレッシングできるか否かを判断できる。この判断は人手で行ってもよいし制御器6が行ってもよい。
【0109】
このように、本実施形態では、制御器6は空レシピを用いてターンテーブル11およびドレッサ51を動作させる。そのため、ターンテーブル11およびドレッサ51を摩耗させることなく、設定された条件で動作させた際に研磨パッド11aを均一にドレッシングできるか否かをチェックできる。
【0110】
(第5の実施形態)
第5の実施形態における制御器6は自立制御を行うものである。本実施形態における制御器6は、研磨パッド11aを均一にドレッシングできるドレッシング条件と、均一にドレッシングできないドレッシング条件とを予めデータベースに保持しているものとする。前者は、例えば上記(1)〜(3)式を満たし、かつ、第4の実施形態で示したチェックによって良い結果が得られた条件である。後者は、例えば上記(1)〜(3)式を満たさない条件や、満たしたとしても第4の実施形態で示したチェックによって良い結果が得られなかった条件である。
【0111】
なお、ここでのドレッシング条件とは、例えばターンテーブル11の回転周期Ttt、ドレッサ51のスキャン周期Tds、ドレッサ51のスキャン速度Vds、押圧力F(t)、圧力P(t)など、あるいはこれらの関係である。
【0112】
図9は、第5の実施形態における制御器6の処理動作の一例を示すフローチャートである。制御器6はドレッシング条件を設定する際の制約条件を受け取る(ステップS1)。制約条件は、例えば直列処理を行う場合のターンテーブル11の回転速度Nttや、研磨装置のマシンコンスタント(ドレッサ51のスキャン速度Vdsの最大値など)である。
【0113】
続いて、制御器6は、データベースを参照し、制約条件を満たし、研磨パッド11aを均一にドレッシングできるドレッシング条件の有無を確認する(ステップS2)。
有る場合(ステップS2のYES)、制御器6は該当するドレッシング条件を出力する(ステップS3)。
【0114】
無い場合(ステップS2のNO)、制御器6は上述した第1〜第3の実施形態での手法でドレッシング条件を算出する(ステップS4)。そして、制御器6はデータベースを参照し、算出された結果が、研磨パッド11aを均一にできないドレッシング条件と一致しないか確認する(ステップS5)。一致してしまう場合(ステップS5のYES)、制御器6は別のドレッシング条件を算出する(ステップS4)。一致しない場合、第4の実施形態で説明したチェックを行う(ステップS6)。
【0115】
得られたドレッサ51の軌跡に基づき、研磨パッド11aを均一にできないと判断される場合(ステップS6のNO)、別のドレッシング条件を算出する(ステップS4)。
【0116】
得られたドレッサ51の軌跡に基づき、研磨パッド11aを均一にできると判断される場合(ステップS6のYES)、ステップS4で算出されたドレッシング条件をデータベースに追加する(ステップS7)し、出力する(ステップS3)。
【0117】
なお、ステップS6の空レシピを用いたチェックの後、さらに実際にドレッシングを行って研磨パッド11aを均一にドレッシングできることを確認してもよい。また、一部のステップを省略するなど、図9のフローチャートを適宜変更してもよいのは言うまでもない。
【0118】
このように、第5の実施形態では、制御器6が自立制御を行う。そのため、効率よく研磨パッド11aを均一にドレッシングできるドレッシング条件を得ることができる。
【0119】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0120】
11 ターンテーブル
11a 研磨パッド
12 ターンテーブル回転機構
51 ドレッサ
53 押圧機構
56 スキャン機構
6 制御器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9