(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6445181
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】二次電池用パウチ外装材及びこれを含むパウチ型二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 2/02 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
H01M2/02 K
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-545647(P2017-545647)
(86)(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公表番号】特表2018-506832(P2018-506832A)
(43)【公表日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】KR2016003091
(87)【国際公開番号】WO2016159596
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2017年8月29日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0043425
(32)【優先日】2015年3月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】ハン ジェビョン
【審査官】
高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−073010(JP,A)
【文献】
特開2004−296174(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0164441(US,A1)
【文献】
特表平06−509832(JP,A)
【文献】
特開2008−041494(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0028051(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/02
B32B 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部パウチ及び下部パウチを含み、前記上部及び下部パウチは、それぞれ、外部絶縁層、金属層、内部絶縁層が順次ラミネートされて形成され、前記上部パウチ及び下部パウチは、それぞれのパウチ周縁の前記内部絶縁層に封止部が形成され、前記内部絶縁層が、水分吸着物質を含み、
前記上部パウチ及び下部パウチの封止部は、該封止部の切断面が外部に露出しないように、仕上げテープによって前記切断面並びに前記上部パウチ及び下部パウチの周縁の全部または少なくとも一部が被覆されており、
前記仕上げテープは、一面に接着層が形成されており、前記接着層は水分吸着物質を含むことを特徴とする、パウチ型二次電池のパウチ外装材。
【請求項2】
前記内部絶縁層及び接着層の水分吸着物質が、オキサゾリジン系化合物、塩化カルシウム、アルミナ及びゼオライトからなる群より選択された一種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のパウチ型二次電池のパウチ外装材。
【請求項3】
前記内部絶縁層及び接着層の水分吸着物質が、オキサゾリジン系化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載のパウチ型二次電池のパウチ外装材。
【請求項4】
前記オキサゾリジン系化合物は、下記の化学式1または化学式2で表されることを特徴とする、請求項3に記載のパウチ型二次電池のパウチ外装材:
【化1】
【化2】
前記化学式1及び化学式2において、Rは、水素(−H)、炭素数1〜10の線状または分枝状アルキル基、アリール基のうちいずれか一つであり、前記化学式1及び化学式2の化合物における各炭素原子に結合した水素は、それぞれ独立的に炭素数1〜10の線状または分枝状アルキル基、アリール基のうちいずれか一つに置換できる。
【請求項5】
前記内部絶縁層の水分吸着物質の含量が、内部絶縁層100重量部に対し0.01〜10重量部であることを特徴とする、請求項1に記載のパウチ型二次電池のパウチ外装材。
【請求項6】
正極板及び負極板が、セパレータを挟んで配置された電極組立体と、
前記電極組立体及び電解液を収納し、上部パウチ及び下部パウチから構成されたパウチ外装材と、を含み、
前記パウチ外装材は、請求項1に記載されたものであることを特徴とする、パウチ型二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池を製造する技術に関し、より詳しくは、水分浸透を効果的に遮断できるパウチ外装材、及びこれを含むパウチ型二次電池に関する。
【0002】
本出願は、2015年3月27日出願の韓国特許出願第10−2015−0043425号に基づく優先権を主張し、該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
最近、ノートブックパソコン、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急激に増大し、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、反復的な充放電の可能な、高性能二次電池についての研究が活発に進行しつつある。
【0004】
現在、商用化した二次電池としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあり、このうち、リチウム二次電池は、ニッケル系二次電池に比べてメモリー効果がほとんど起こらず充放電が自由で、自己放電率が非常に低く、エネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。通常、このようなリチウム二次電池は、外装や適用形態によって缶型二次電池とパウチ型二次電池に分けられる。
【0005】
図1は、従来のパウチ型二次電池の構成を示した分解斜視図であり、
図2は、
図1のパウチ型二次電池の結合図である。
図1に示したように、パウチ型二次電池は、正極タブ21及び負極タブ22が備えられた電極組立体20と、前記電極組立体20を収容するパウチ外装材10で構成されることが一般的である。
【0006】
図1及び
図2を参照すれば、パウチ外装材10は、上部パウチ11及び下部パウチ12で構成され、このような上部パウチ11及び下部パウチ12に形成された内部空間に、電極組立体20及び電解液が収容される。そして、上部パウチ11及び下部パウチ12は、内部空間を密閉するために外周面に封止部が形成され、このような封止部が相互接着(封止)する。
【0007】
このようなパウチ外装材10は、電極組立体20と電解液などの内部構成要素を保護し、電極組立体20と電解液による電気化学的性質に対する補完及び放熱性などを向上させるために、アルミニウムなどの金属薄膜が含まれた形態で構成される。そして、このような金属薄膜は、電極組立体20及び電解液のような二次電池内部の構成要素や、二次電池外部の他の構成要素との電気的絶縁性を確保するために、絶縁物質から形成された絶縁層の間に介される。
【0008】
図3は、
図2の線A−A’に沿って見た断面図であり、
図4は、
図3のA部分の拡大図である。
【0009】
図3及び
図4を参照すれば、上部パウチ11と下部パウチ12は、それぞれ外部絶縁層11a、12a、金属層11b、12b及び内部絶縁層11c、12cで構成される。そして、上部パウチ11及び下部パウチ12の内部空間を密閉するために、上部パウチ11の封止部と下部パウチ12の封止部とは、相互熱溶着などによって接着される。このように、上部パウチ11及び下部パウチ12は、封止部で相互接着されるため、上部パウチの内部絶縁層11c及び下部パウチの内部絶縁層12cは、ポリプロピレン(PolyPropylene,PP)のように熱溶着による接着性が良い物質から形成されることが一般的である。
【0010】
しかし、上部パウチ11と下部パウチ12とが封止部で相互接着されるとしても、二次電池の密閉性を完全に確保しにくい。特に、ポリプロピレンのような接着性高分子は、水分浸透に弱い傾向にあり、従来のパウチ型二次電池の場合、上部パウチの内部絶縁層11cと下部パウチの内部絶縁層12cとの間に水分が侵透し得る問題がある。
【0011】
二次電池内部に水分が浸透する場合、二次電池が損傷することは勿論、二次電池の安全性を害し得る。さらに、リチウムイオン二次電池は、炭酸エステルなどの非水溶剤に電解質及び添加剤を溶解した電解液を用い、電解質としては、伝導性、電位窓、金属との相互作用などの面で良好な特性を有するフッ化物系電解質が用いられる場合が多い。しかし、これらのフッ化物には、加水分解によってフッ化水素を遊離させる性質があり、発生したフッ化水素が電極材の溶解や集電体の腐食などを起こして電池性能を低下させ得る。また、水分は、副反応を起こして電池の劣化を促進して寿命を短縮させ、ガスを発生させて爆発などを起こし得る。
【0012】
さらに、最近は多数の二次電池を電気的に接続して中大型のバッテリーパックを構成する場合が多いが、この場合、一部の二次電池で発生する性能の低下は、中大型のバッテリーパック全体の性能低下をもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、パウチ外装材の封止部接着界面の間への水分の侵透を効果的に遮断できるパウチ外装材、及びこれを含むパウチ型二次電池を提供することを目的とする。
【0014】
本発明の他の目的及び長所は、下記に示す説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及び、その組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記の課題を達成するための二次電池用パウチ外装材を提供する。本発明によるパウチ外装材は、上部パウチ及び下部パウチを含み、前記上部及び下部パウチはそれぞれ、外部絶縁層、金属層、内部絶縁層が順次ラミネートされて形成され、前記上部パウチ及び下部パウチは、それぞれの外周面に封止部が形成され、前記内部絶縁層は、水分吸着物質を含み得る。
【0016】
本発明において、前記水分吸着物質は、オキサゾリジン(oxazolidine)系化合物、塩化カルシウム、アルミナ及びゼオライトからなる群より選択された一種以上を含むことができ、望ましくは、オキサゾリジンを含むことができる。
【0017】
本発明において、前記オキサゾリジン系化合物は、下記の化学式1または化学式2で表される。
【化1】
【化2】
前記化学式1及び化学式2において、Rは、水素(−H)、炭素数1〜10の線状または分枝状アルキル基、アリール(aryl)基のうちいずれか一つであり、前記化学式1及び化学式2の化合物における各炭素原子に結合した水素は、それぞれ独立的に炭素数1〜10の線状または分枝状アルキル基、アリール基のうちいずれか一つに置換できる。
【0018】
本発明において、前記水分吸着物質の含量は、内部絶縁層100重量部に対し0.01〜10重量部であり得る。
【0019】
また、本発明は、パウチ型二次電池を含み、前記二次電池は、正極板及び負極板が、セパレータを挟んで配置された電極組立体と、前記電極組立体及び電解液を収納し、上部パウチ及び下部パウチから構成されたパウチ外装材と、を含み、前記パウチ外装材が、前述の特徴を有する。
【0020】
また、前記パウチ型二次電池は、封止部の切断面が外部に露出しないように仕上げテープによって封止部の全部または少なくとも一部が被覆され得る。
【0021】
ここで、前記仕上げテープは、一面に接着層が形成されており、前記接着層は水分吸着物質を含むことができる。
【0022】
本発明において、前記水分吸着物質は、オキサゾリジン系化合物、塩化カルシウム、アルミナ及びゼオライトからなる群より選択された一種以上を含むことができる。望ましくは、前記水分吸着物質は、オキサゾリジン系化合物を含むことができる。
【0023】
本発明において、前記オキサゾリジン系化合物は、下記の化学式1または化学式2で表され得る。
【化1】
【化2】
前記化学式1及び化学式2において、Rは、水素(−H)、炭素数1〜10の線状または分枝状アルキル基、アリール基のうちいずれか一つであり、前記化学式1及び化学式2の化合物における各炭素原子に結合した水素は、それぞれ独立的に炭素数1〜10の線状または分枝状アルキル基、アリール基のうちいずれか一つに置換できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、外部から内部に水分が侵透することを効果的に防止することができるパウチ外装材、及びこれを含むパウチ型二次電池が提供される。特に、本発明によれば、上部パウチと下部パウチとの封止部で接着界面の間へ水分が侵透することを効果的に遮断することができる。したがって、本発明によれば、水分浸透による二次電池の性能低下、及び劣化現象などの発生を防止し、二次電池の安全性を向上させることができる。
【0025】
また、本発明のパウチ封止部の接着断面を水分吸着剤の含まれた高分子仕上げテープで仕上げ処理することで、封止部の切断面の間へ水分が侵透することを効果的に遮断することができることに加え、上部パウチまたは下部パウチの金属層が外部に露出することを防止することができる。したがって、本発明によれば、金属層の露出による二次電池の絶縁破壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに、本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【
図1】従来のパウチ型二次電池の構成を示した分解斜視図である。
【
図3】
図2の線A−A’に沿って見た断面図である。
【
図5】本発明の望ましい実施例によるパウチ型二次電池の構成を示した分解斜視図である。
【
図7】本発明の具体的な一実施態様による、パウチ型二次電池を示した図である。
【
図8】
図7の線A−A’を沿って見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付された図面を参照して、本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に用いた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して、本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0028】
本発明は、水分吸着物質を含むパウチ外装材及びこれを含むパウチ型二次電池に関する。前記水分吸着物質は特に、パウチ外装材のうち内部絶縁層に含まれ得る。また、本発明の追加的な実施態様によれば、本発明のパウチ型二次電池は、パウチ外装材の切断面が仕上げテープによって仕上げ処理されることを特徴とし、前記水分吸着物質は、前記仕上げテープにさらに含まれ得る。
【0029】
図5は、本発明の望ましい一実施例によるパウチ型二次電池の構成を示した分解斜視図である。前記
図5を参照すれば、本発明によるパウチ型二次電池は、電極組立体200及びパウチ外装材100を含む。
【0030】
前記電極組立体200は、正極板及び負極板がセパレータを挟んで配置された形態で構成される。この際、電極組立体200は、一つの正極板及び一つの負極板がセパレータを挟んで巻き取られた構造を有するか、複数の正極板及び複数の負極板がセパレータを挟んで積層された構造を有することができる。そして、このような正極板及び負極板は、それぞれ電極集電体に活物質スラリーが塗布された構造として形成することができ、スラリーは通常、粒状の活物質、補助導体、バインダー及び可塑剤などを溶媒が添加された状態で撹拌して形成できる。
【0031】
一方、電極組立体200には、電極板にスラリーが塗布されない非コーティング部が存在し、このような非コーティング部には、それぞれの電極板に対応する電極タブが備えられ得る。即ち、電極組立体200の正極板には正極タブ210が付着され、電極組立体200の負極板には負極タブ220が付着され得る。そして、このような正極タブ210及び負極タブ220は、
図5に示すように、パウチ外装材100の外部に突出して、正極端子及び負極端子を形成できる。但し、このような正極タブ210及び負極タブ220は、パウチ外装材100の外部に直接露出せず、正極リード及び負極リードのような他の構成要素に接続し、このような正極リード及び負極リードが、パウチ外装材100の外部に露出するようにすることもできる。
【0032】
前記パウチ外装材100は、上部パウチ110及び下部パウチ120を含む。 このような上部パウチ110及び下部パウチ120には、凹んだ形態の内部空間が形成され、このような内部空間に電極組立体200及び電解液を収納する。
【0033】
そして、パウチ外装材100は、封止部Sが相互接着されることで密封状態を維持できる。即ち、上部パウチ110及び下部パウチ120は、それぞれ周縁に封止部Sを備え、周縁の内側に形成された収納空間に電極組立体200及び電解液を収納した後、このような封止部Sが相互接着(封止)する。この際、上部パウチ110と下部パウチ120との封止部Sの接着は、熱溶着などの方式により行うことができる。
【0034】
なお、上部パウチ110及び下部パウチ120は、それぞれ外部絶縁層111、121、金属層112、122及び内部絶縁層113、123から構成でき、それぞれ外部絶縁層、金属層、内部絶縁層が順次ラミネートされて形成される。
【0035】
ここで、外部絶縁層111、121は、二次電池と外部との絶縁性を確保するために、ポリエチレンテレフタレート(PolyEthylene Terephthalate,PET)樹脂またはナイロン(nylon)樹脂などの絶縁物質から構成できる。
【0036】
前記金属層112、122は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、炭素(C)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)及びこれらの二種以上を含む合金からなる群より選択された金属を含むことができるが、特にこれらに限定されることではない。前記金属層は、前記金属のうちアルミニウムであることが望ましい。
【0037】
本発明の具体的な一実施態様において、前記内部絶縁層113、123は、上部パウチ110と下部パウチ120との封止時、相互間の接着のために、ポリエチレン(polyethylene,PE)樹脂、ポリプロピレン(polypropylene,PP)樹脂、これらのランダム共重合体、プロピレン、ブチレン及びエチレンの三元共重合体などのポリオレフィン樹脂を 一種以上含むことができる。望ましくは、前記内部絶縁層は、ポリプロピレン系単独重合体、ポリプロピレン系共重合体、及び無延伸ポリプロピレン(casted polypropylene,cPP)のようなポリプロピレン系樹脂を一種以上含む。しかし、特にこれらに限定されることではない。
【0038】
また、本発明の具体的な一実施態様によれば、前記内部絶縁層113、123は、水分吸着物質を含む。ここで、水分吸着物質は、オキサゾリジン(oxazolidine)系化合物、塩化カルシウム、アルミナ及びゼオライトのうち少なくとも一種以上を含むことができる。望ましくは、内部絶縁層113、123は、前記水分吸着物質として、オキサゾリジン系化合物を含む。また、本発明の具体的な一実施態様によれば、前記内部絶縁層113、123は、前記水分吸着物質として前記オキサゾリジン系化合物に加え、塩化カルシウム、アルミナ及びゼオライトのうち、少なくとも一種以上の補助水分吸着物質をさらに含むことができる。但し、前記補助水分吸着物質は、前記例示した物質に限定されず、水分を吸着する機能を有する物質であれば、本発明の補助水分吸着物質として採用できる。
【0039】
本発明の具体的な一実施態様によれば、前記内部絶縁層113、123は、前記水分吸着物質が内部絶縁層を構成するポリプロピレン系樹脂などの高分子樹脂に分散した形態で形成できる。また、本発明において、前記水分吸着物質及び/または補助水分吸着物質の含量は、前記内部絶縁層100重量部に対し0.01重量部〜10重量部、または0.01重量部〜5重量部である。また、本発明の具体的な一実施態様によれば、内部絶縁層における前記オキサゾリジン系化合物は、1000ppm以上、望ましくは2000ppm以上含まれることが望ましい。
【0040】
本発明の具体的な一実施態様によれば、前記オキサゾリジン系化合物は、下記の化学式1及び化学式2のうちいずれか一つで表される化合物の一種以上を含む。
【化1】
【化2】
前記化学式1及び化学式2において、Rは、水素(−H)、炭素数1〜10の線状または分枝状アルキル基、アリール基のうちいずれか一つであり、前記化学式1及び化学式2の化合物における各炭素原子に結合した水素は、それぞれ独立的に炭素数1〜10の線状または分枝状アルキル基、アリール基のうちいずれか一つに置換できる。
【0041】
塩化カルシウム、アルミナ、ゼオライトなど、当業界で通常使用される一般の水分吸着物質は、水分、即ち、水分子を除去せず水分子を吸収して保存する機能を果たす。したがって、水分吸着剤の機能が低下すれば、その中に存在していた水分が再度影響を及ぼし得る。これに対し、オキサゾリジン系化合物の場合、水分子そのものを除去するため、水分子を吸収する水分吸着物質に比べて水分による影響を減らすことができる。
【0042】
オキサゾリジンの水分吸着のメカニズムは、次のように説明できる。
【化3】
【化4】
前記反応式1によれば、オキサゾリジンと水分子とが反応してアルコールとアルデヒドが生成され、反応式2のように、2番の炭素位置に水素ではなく置換基2つが結合している場合、アルデヒドの替わりケトンが生成される。このようにオキサゾリジンによって水分子が分解される効果が生じるので、本発明によるパウチ外装材は水分除去効果に優れている。
【0043】
また、本発明の他の実施様態によれば、本発明のパウチ型二次電池は、追加的に、パウチの封止部切断面を仕上げテープ300で仕上げ処理して封止部切断面が外部に露出しないようにすることができる。
【0044】
図7は、本発明の他の実施例によって封止部切断面が仕上げテープ300で仕上げ処理されたパウチ型二次電池の構成を概略的に示した斜視図であり、
図8は、
図7の線A−A’に沿って見た断面図である。
【0045】
図7及び
図8を参照すれば、封止部切断面の仕上げ処理は、所定の幅を有する仕上げテープ300を用いて、二次電池の周縁に形成された封止部全体に行うことが望ましい。この際、選択的に封止部のうち、電極タブの引出部分は、テーピング処理しなくてもよい。即ち、本発明において、封止部切断面の仕上げ処理は、所定の幅を有する仕上げテープ300を用いて、封止部のうち電極タブの引出部分を除いた全部分に行われる。
【0046】
本発明の具体的な一実施態様によれば、下部パウチの外部絶縁層に仕上げテープの一端を接着した後、テープを封止部の切断面に沿って折り曲げた後、これの他端を上部パウチの外部絶縁層に接着する順序でテーピングして、封止部切断面を封止する方式により前記仕上げ処理を行い得るが、前記方法に限定されることではなく、封止部切断面が外部に露出しないようにする方式であれば、特に制限なく適用できる。
【0047】
本発明の具体的な一実施態様において、前記仕上げテープの幅は特に限定されないが、前記仕上げテープが封止部全体、または少なくとも封止部幅の半分以上を被覆することが望ましい。
【0048】
前記仕上げテープ300は、一面に接着層が形成されており、前記接着層は上部及び下部パウチの外部絶縁層と接着する。前記仕上げテープの素材としては、絶縁特性を有するとともに、電解液に対し非反応性であるものであれば、特に制限されない。このような特性を満たす仕上げテープ素材の非制限的な例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、塩化ビニル、テフロン(登録商標)、ポリイミド、カプトン(登録商標)、ポリフェニレンスルファイドなどが挙げられる。
【0049】
前記接着層は、接着特性を有するものであって、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、これらのランダム共重合体、プロピレン、ブチレン及びエチレンの三元共重合体などのポリオレフィン樹脂を一種以上含むことができる。望ましくは、前記接着層は、ポリプロピレン系単独重合体、ポリプロピレン系共重合体、及び無延伸ポリプロピレンのようなポリプロピレン系樹脂を一種以上含む。しかし、特にこれらに限定されることはなく、上部及び下部パウチの外部絶縁層との接着を形成できる性質のものであれば、特に限定されない。
【0050】
本発明の具体的な一実施態様において、前記接着層は、水分吸着物質をさらに含むことができる。前記水分吸着物質は、オキサゾリジン系化合物、塩化カルシウム、アルミナ及びゼオライトのうち、少なくとも一つ以上を含むことができる。望ましくは、前記水分吸着物質は、オキサゾリジン系化合物である。また、本発明の具体的な一実施態様によれば、前記水分吸着物質として、オキサゾリジン系化合物に加え、塩化カルシウム、アルミナ及びゼオライトのうち少なくとも一種以上の補助水分吸着物質をさらに含むことができる。但し、前記補助水分吸着物質は、前記例示の物質に限定されず、水分を吸着できる機能を有する物質であれば、本発明の補助水分吸着物質として採用することができる。
【0051】
本発明の具体的な一実施態様によれば、前記接着層は、前記水分吸着物質が接着層を構成するポリプロピレン系樹脂などの高分子樹脂に分散した形態で形成することができる。また、本発明において、前記水分吸着物質及び/または補助水分吸着物質の含量は、前記接着層100重量部に対し0.1重量部〜10重量部である。
【0052】
前記接着層に含まれるオキサゾリジン系化合物についての説明は、前述の内部絶縁層に含まれるオキサゾリジン系化合物についての説明と同一であるため、前述の内容を参照でき、重複して記載しない。
【0053】
また、本発明は、前記パウチ型二次電池を二つ以上含むバッテリーパックを提供する。前記バッテリーパックは、上述のパウチ型二次電池を含む。即ち、本発明によるバッテリーパックは、水分吸着物質を含む内部絶縁層を有するパウチ型二次電池を一つまたはそれ以上含む。
【0054】
そして、本発明によるバッテリーパックは、このような二次電池の他にも、BMS(Battery Management System)のような二次電池の充放電を制御するための様々な保護装置をさらに含むことができる。
【0055】
以上のように、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって、本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0056】
100 パウチ外装材
110 上部パウチ
120 下部パウチ
200 電極組立体
210 正極タブ
220 負極タブ
300 仕上げテープ
S 封止部