特許第6445191号(P6445191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6445191静電チャック、および、プラズマ処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6445191
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】静電チャック、および、プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20181217BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20181217BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   H01L21/68 R
   H01L21/302 101G
   H02N13/00 D
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-564654(P2017-564654)
(86)(22)【出願日】2017年4月28日
(86)【国際出願番号】JP2017017005
(87)【国際公開番号】WO2017195672
(87)【国際公開日】20171116
【審査請求日】2017年12月12日
(31)【優先権主張番号】特願2016-93947(P2016-93947)
(32)【優先日】2016年5月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】酒田 現示
(72)【発明者】
【氏名】横尾 秀和
(72)【発明者】
【氏名】相原 強
(72)【発明者】
【氏名】北河 勝
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 章
【審査官】 石丸 昌平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−045989(JP,A)
【文献】 特開2014−150186(JP,A)
【文献】 特開2011−114178(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/109848(WO,A1)
【文献】 特開2011−003913(JP,A)
【文献】 特開2003−282692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/3065
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を有した板状を有するトレイ支持部と、前記表面から突出する基板支持部とを備える誘電体層と、
前記基板支持部の内部に位置し、基板を前記基板支持部に吸着するための基板用電極と、
前記トレイ支持部の内部に位置し、前記基板が載置されるトレイを前記トレイ支持部に吸着するためのトレイ用電極と、を備え
前記トレイ支持部は、前記トレイを冷却するための冷却ガスが流れる冷却ガス流路であって、前記表面の中で、前記基板支持部によって覆われていない部分に位置する複数の開口を有した前記冷却ガス流路を有し、
前記表面の中で、前記基板支持部によって覆われていない部分を覆うことによって前記複数の開口を塞ぎ、かつ、前記冷却ガスによって冷却されることで前記トレイを冷却するように構成された封止層をさらに備える
静電チャック。
【請求項2】
前記トレイ用電極は、前記誘電体層の厚さ方向において、前記基板用電極に重ならない
請求項1に記載の静電チャック。
【請求項3】
表面を有した板状を有するトレイ支持部と、前記表面から突出する基板支持部とを備える誘電体層と、
前記基板支持部の内部に位置し、基板を前記基板支持部に吸着するための基板用電極と、
前記トレイ支持部の内部に位置し、前記基板が載置されるトレイを前記トレイ支持部に吸着するためのトレイ用電極と、を備える
静電チャックと、
前記静電チャックが収容される空間を区画するチャンバと、を備えるプラズマ処理装置であって、
前記基板支持部は、複数の基板支持部のうちの1つであり、
前記基板用電極は、複数の基板用電極のうちの1つであり、
前記各基板用電極に各別に高周波電力を供給する高周波電源を備え、
前記トレイ用電極は、前記トレイ用電極に直流電圧を印加させ、かつ、前記トレイ用電極に前記高周波電力が伝搬することを抑える抑制部と直列に接続されて直列トレイ回路を構成し、
前記直列トレイ回路は、複数の前記基板用電極と並列に接続されて並列回路を構成し、
前記直列トレイ回路および複数の前記基板用電極に各別に直流電圧を印加する直流電源をさらに備え、
前記高周波電源は、前記直列トレイ回路および複数の前記基板用電極に各別に高周波電力を供給する
プラズマ処理装置。
【請求項4】
数の前記基板用電極は、互いに並列に接続されて並列回路を構成し、
記高周波電源は400kHz以上4MHz以下の高周波電力を前記各基板用電極に供給す
請求項に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を静電的に吸着する静電チャック、および、静電チャックを備え、処理対象に所定の処理を行うプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の基板を一度に吸着することが可能な静電チャックを備えるエッチング装置が知られている。静電チャックは、誘電体層と複数の電極とを備えている。誘電体層は、板状を有するトレイ支持部と、トレイ支持部の1つの面から突出した複数の基板支持部とを備え、各基板支持部は、1枚の基板を支持する。電極は、各基板支持部の内部に1つずつ位置している。
【0003】
静電チャックに支持される複数の基板は、1つのトレイに載せられた状態で静電チャックまで搬送される。トレイは、静電チャックが吸着することの可能な基板の数と同数の貫通孔を有し、各基板は、1つの貫通孔を塞ぐようにトレイに配置される。
【0004】
トレイが静電チャックの上に配置されるとき、誘電体層の各基板支持部が、1つの貫通孔を通る。これにより、トレイから基板支持部に基板が受け渡され、かつ、トレイはトレイ支持部に支持される。
【0005】
そして、静電チャックが収容される空間内にプラズマが生成され、電極に電圧が印加されることによって、静電チャックが基板を吸着し、かつ、基板がエッチングされる。基板のエッチングが終了すると、トレイがトレイ支持部から離れることによって、基板が静電チャックからトレイに受け渡される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−3913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、複数の基板とともにトレイもプラズマに曝されるため、トレイがプラズマによって加熱される。これにより、トレイからの輻射熱によって基板が加熱される。基板におけるエッチングの結果は、輻射熱による基板の加熱によって影響される場合がある。そのため、トレイの加熱を抑えることが望まれている。
【0008】
こうした事情は、エッチング装置に限らず、上述した静電チャックを備えるCVD装置、および、スパッタ装置などのプラズマ処理装置においても共通している。
本発明は、トレイの加熱を抑えることを可能とした静電チャック、および、プラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は静電チャックである。静電チャックは、表面を有した板状を有するトレイ支持部と、前記表面から突出する基板支持部とを備える誘電体層と、前記基板支持部の内部に位置し、基板を前記基板支持部に吸着するための基板用電極と、前記トレイ支持部の内部に位置し、前記基板が載置されるトレイを前記トレイ支持部に吸着するためのトレイ用電極と、を備える。
【0010】
本発明の他の態様はプラズマ処理装置である。プラズマ処理装置は、静電チャックと、前記静電チャックが収容される空間を区画するチャンバと、を備えるプラズマ処理装置であって、前記静電チャックが、上記静電チャックである。
【0011】
上記構成によれば、静電チャックは、処理の対象である基板に加えて、基板が載置されるトレイも吸着する。そのため、トレイがプラズマに曝されるときには、トレイと静電チャックとが接合した物体、言い換えれば、トレイによる熱容量と静電チャックの熱容量とを合わせた熱容量を有した物体がプラズマに曝される。一方で、トレイが静電チャックに吸着されていない状態でプラズマに曝されたときには、トレイは、トレイ単体による熱容量しか有しない。それゆえに、上述した構成によれば、トレイを吸着しない構成と比べて、静電チャックが有する熱容量の分だけ、トレイ単体における熱容量よりも大きい熱容量を有した物体がプラズマに曝されるため、この物体に含まれるトレイの加熱を抑えることができる。
【0012】
上記静電チャックにおいて、前記トレイ用電極は、前記誘電体層の厚さ方向において、前記基板用電極に重ならなくてもよい。
静電チャックは、プラズマ処理装置の一例であるプラズマエッチング装置に搭載される静電チャックとして用いられることが可能である。静電チャックがエッチング装置に搭載されたときには、静電チャックの備える基板用電極を、基板にバイアス電位を印加するための電極として用いることが可能である。
【0013】
上記構成によれば、基板用電極にバイアス電位を印加するための高周波電力が供給されたときに、基板用電極とトレイ用電極とがカップリングすること、すなわち、基板用電極からトレイ用電極に高周波電力が供給されることを抑えられる。
【0014】
上記静電チャックにおいて、前記トレイ支持部は、前記トレイを冷却するための冷却ガスが流れる冷却ガス流路であって、前記表面の中で、前記基板支持部によって覆われていない部分に位置する複数の開口を有した前記冷却ガス流路を有してもよい。前記静電チャックは、前記表面の中で、前記基板支持部によって覆われていない部分を覆うことによって前記複数の開口を塞ぎ、かつ、前記冷却ガスによって冷却されることで前記トレイを冷却するように構成された封止層をさらに備えてもよい。
【0015】
上記構成によれば、冷却ガスが静電チャックとトレイとの間から漏れることを封止層によって抑えつつ、封止層を介してトレイを冷却することができる。
上記処理装置において、前記基板支持部は、複数の基板支持部のうちの1つであり、前記基板用電極は、複数の基板用電極のうちの1つであり、複数の前記基板用電極は、互いに並列に接続されて並列回路を構成している。前記各基板用電極に各別に高周波電力を供給する高周波電源であって、400kHz以上4MHz以下の高周波電力を前記各基板用電極に供給する前記高周波電源をさらに備える。
【0016】
本願発明者らは、複数の基板用電極に供給する高周波電力について鋭意研究する中で、以下の事項を見出した。すなわち、本願発明者らは、複数の基板用電極の各々に供給する高周波電力の周波数が、400kHz以上4MHz以下であれば、この範囲を超えた周波数を有した高周波電力を各基板用電極に供給するときと比べて、プラズマに曝された複数の基板間において温度の分布が生じにくくなることを見出した。
【0017】
この点で、上記構成によれば、プラズマ処理装置が400kHz以上4MHz以下の高周波電力を各基板用電極に供給する高周波電源を備えるため、複数の基板間において温度の分布が生じることが抑えられる。
【0018】
上記プラズマ処理装置において、前記トレイ用電極は、前記トレイ用電極に直流電圧を印加させ、かつ、前記トレイ用電極に高周波電力が伝搬することを抑える抑制部と直列に接続されて直列トレイ回路を構成し、前記直列トレイ回路は、複数の前記基板用電極と並列に接続されて並列回路を構成してもよい。前記プラズマ処理装置は、前記直列トレイ回路および複数の前記基板用電極に各別に直流電圧を印加する直流電源をさらに備え、前記高周波電源は、前記直列トレイ回路および複数の前記基板用電極に各別に高周波電力を供給してもよい。
【0019】
上記構成によれば、並列回路を構成する複数の基板用電極およびトレイ用電極の各々に直流電圧を印加しつつ、トレイ用電極に高周波電力が伝搬することを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のプラズマ処理装置をプラズマエッチング装置として具体化した一実施形態におけるプラズマエッチング装置の構成を示すブロック図。
図2】本発明の静電チャックを具体化した一実施形態における断面構造を示す断面図。
図3】静電チャックが備える誘電体層の平面構造を示す平面図。
図4】静電チャックに電力を供給するための電気的構成を模式的に示すブロック図。
図5】トレイの断面構造をトレイに載置された基板の断面構造とともに示す断面図。
図6】静電チャックの作用を説明するための作用図。
図7】試験例における電力の供給点を説明するための平面図。
図8】静電チャックの変形例における断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1から図7を参照して、静電チャック、および、プラズマ処理装置を具体化した一実施形態を説明する。以下では、プラズマ処理装置をプラズマエッチング装置として具体化した例を説明する。また以下では、プラズマエッチング装置の構成、静電チャックの構成、静電チャックの作用、および、試験例を順番に説明する。
【0022】
[プラズマエッチング装置の構成]
図1を参照して、プラズマエッチング装置の構成を説明する。
図1が示すように、プラズマエッチング装置10は、有底筒体形状を有したチャンバ本体11を備え、チャンバ本体11の上側開口は、石英板12によって封止されている。これらチャンバ本体11と石英板12とは、チャンバの一例を構成し、チャンバ本体11と石英板12によって区画される空間であるチャンバ空間11Sには、エッチングの対象である複数の基板Sと、複数の基板Sが載置されるトレイTとを吸着する静電チャック13と、静電チャック13を支持するステージ14とが収容されている。
【0023】
静電チャック13に内蔵された電極は、吸着用電源15(直流電源)およびバイアス用電源16(高周波電源)に接続されている。吸着用電源15は、直流電圧を電極に印加し、バイアス用電源16は、400kHz以上4MHz以下の高周波電力を電極に供給する。
【0024】
静電チャック13には、静電チャック13が有する冷却ガス流路に冷却ガスを供給する冷却ガス供給部17が接続されている。冷却ガス供給部17は、例えば、冷却ガスであるヘリウムガスを供給するマスフローコントローラである。静電チャック13には、静電チャック13が有する冷媒流路に冷媒を供給する冷媒供給部18が接続されている。冷媒供給部18は、例えば、冷媒流路において冷媒である冷却水などを循環させるポンプである。
【0025】
石英板12に対してチャンバ空間11Sとは反対側には、ICPアンテナ21が位置している。ICPアンテナ21は、例えば、基板Sの周方向に2回半巻き回された渦巻き形状を有する2段のコイルから構成されている。ICPアンテナ21は、渦巻き形状における中心側の端部である入力端子21Iと、渦巻き形状における外側の端部である出力端子21Oとを有している。ICPアンテナ21の入力端子21Iには、例えば、周波数が13.56MHzである高周波電力を出力するアンテナ用電源22が接続されている。
【0026】
チャンバ本体11に形成された排気ポート11P1には、チャンバ空間11Sの流体を排気する排気部31が接続されている。排気部31は、例えば、チャンバ空間11Sの圧力を調整する圧力調整弁や各種のポンプから構成されている。
【0027】
チャンバ本体11に形成されたガス供給ポート11P2には、チャンバ空間11Sにエッチングガスを供給するエッチングガス供給部32が接続されている。エッチングガス供給部32は、例えば、各種のガスをチャンバ空間11S内に供給するマスフローコントローラである。
【0028】
こうしたプラズマエッチング装置10において、基板Sをエッチングするときには、まず、基板Sが静電チャック13に載置され、そして、排気部31がチャンバ空間11Sの圧力を所定の圧力まで減圧する。次いで、冷却ガス供給部17が静電チャック13に冷却ガスを供給し、冷媒供給部18が静電チャック13に冷媒を供給する。
【0029】
一方で、エッチングガス供給部32がチャンバ空間11Sにエッチングガスを供給し、その後、アンテナ用電源22がICPアンテナ21に高周波電力を供給することによって、エッチングガスからプラズマPが生成される。次いで、吸着用電源15が静電チャック13に直流電圧を印加し、バイアス用電源16が静電チャック13に高周波電力を供給する。これにより、基板Sが静電チャック13に吸着された状態でエッチングされる。
【0030】
[静電チャックの構成]
図2から図4を参照して、静電チャックの構成を説明する。図2では、静電チャックが有する電極および冷却ガス流路を図示する便宜上から、静電チャックの一部においてハッチングが省略されている。また、図2では、冷却ガス流路を実線によって模式的に示している。
【0031】
図2が示すように、静電チャック13は、誘電体層41、基板用電極42、および、トレイ用電極43を備えている。誘電体層41は、トレイ支持部41aと複数の基板支持部41bとを備え、トレイ支持部41aは、表面41Sを有した板状を有し、各基板支持部41bは、表面41Sから突出している。
【0032】
複数の基板用電極42は、各基板支持部41bの内部に1つずつ位置し、基板Sを基板支持部41bに吸着するための電極である。言い換えれば、各基板用電極42は、他の全ての基板用電極42が位置する基板支持部41bとは異なる基板支持部41bの内部に位置している。
【0033】
トレイ用電極43は、トレイ支持部41aの内部に位置し、複数の基板Sが載置されるトレイTをトレイ支持部41aに吸着するための電極である。
トレイ支持部41aのうち、表面41Sの中で基板支持部41bによって覆われていない部分が、トレイTが間接的に載置されるトレイ載置面41aSである。トレイ載置面41aSは、表面41Sと対向する平面視において、トレイTを載置することが可能な大きさを有している。
【0034】
各基板支持部41bのうち、トレイ支持部41aから突出した端部が先端であり、先端を構成する面が基板載置面41bSである。基板載置面41bSは、表面41Sと対向する平面視において、1枚の基板Sを載置することが可能な大きさを有している。
【0035】
誘電体層41の厚さ方向において、トレイ載置面41aSと基板載置面41bSとの間の距離は、トレイTの厚さよりも大きい。言い換えれば、誘電体層41の厚さ方向において、トレイ支持部41aからの基板支持部41bの突出量は、トレイTの厚さよりも大きい。
【0036】
誘電体層41は、例えば、セラミックなどの誘電体で形成されている。誘電体層41は、例えば、複数の誘電体製のシートが積層された積層体である。
基板用電極42は、例えばタングステンなどの金属で形成された金属シートである。表面41Sと対向する平面視において、基板用電極42の大きさは、基板載置面41bSの大きさにほぼ等しいことが好ましい。基板載置面41bSの大きさに対する基板用電極42の大きさの比が大きいほど、基板支持部41bに基板Sを吸着する力を大きくすることができる。
【0037】
誘電体層41の厚さ方向において、基板用電極42は、基板支持部41bにおける先端寄りに位置している。これにより、誘電体層41の厚さ方向において、基板用電極42が、表面41S寄りに位置している構成と比べて、基板用電極42と基板載置面41bSとの間の距離を短くすることができる。それゆえに、基板用電極42と基板Sとの間において電荷の授受が行われやすくなり、結果として、基板支持部41bによる基板Sの吸着と吸着の解除とが行われやすくなる。
【0038】
基板用電極42と基板載置面41bSとの間の距離は、例えば0.3mmから1.9mm程度であることが好ましい。
トレイ用電極43は、例えばタングステンなどの金属で形成された金属シートである。表面41Sと対向する平面視において、トレイ用電極43の大きさは、表面41Sの大きさにほぼ等しいことが好ましい。表面41Sの大きさに対するトレイ用電極43の大きさの比が大きいほど、トレイ支持部41aに基板Sを吸着する力を大きくすることができる。
【0039】
誘電体層41の厚さ方向において、トレイ用電極43は、トレイ支持部41aにおける表面41S寄りに位置している。これにより、誘電体層41の厚さ方向において、トレイ用電極43が、表面41Sとは反対側の面寄りに位置している構成と比べて、トレイ用電極43とトレイ載置面41aSとの間の距離を短くすることができる。それゆえに、トレイ用電極43とトレイTとの間において電荷の授受が行われやすくなり、結果として、トレイ支持部41aによるトレイTの吸着と吸着の解除とが行われやすくなる。
【0040】
トレイ用電極43とトレイ載置面41aSとの間の距離は、例えば0.3mmから1.9mm程度であることが好ましい。
誘電体層41の厚さ方向において、トレイ用電極43と各基板用電極42との間の距離は、トレイ用電極43とトレイ載置面41aSとの間の距離、および、基板用電極42と基板載置面41bSとの間の距離よりも大きい。これにより、トレイ用電極43と基板用電極42との間における電気的な相互作用よりも、トレイ用電極43とトレイTとの間、および、基板用電極42と基板Sとの間において、電気的な相互作用が生じやすくなる。
【0041】
トレイ支持部41aは、トレイTを冷却するための冷却ガスが流れる冷却ガス流路45を有している。冷却ガス流路45は、表面41Sの中で、基板支持部41bによって覆われていない部分に位置する複数のトレイ用開口45aを有している。言い換えれば、冷却ガス流路45は、トレイ載置面41aSに位置する複数のトレイ用開口45aを有している。
【0042】
冷却ガス流路45は、各基板載置面41bSに複数の基板用開口45bを有している。冷却ガス流路45は、誘電体層41の外周面のうち、表面41S以外の部分に位置する接続用開口45cを有し、接続用開口45cには、上述した冷却ガス供給部17が接続されている。冷却ガス流路45には、冷却ガス供給部17から冷却ガスが供給される。
【0043】
静電チャック13は、封止層46をさらに備えている。封止層46は、表面41Sの中で、基板支持部41bによって覆われていない部分を覆うことによって、冷却ガス流路45が有する複数のトレイ用開口45aを塞ぎ、かつ、冷却ガスによって冷却されることでトレイTを冷却するように構成されている。
【0044】
言い換えれば、封止層46は、トレイ載置面41aSの全体を覆っている。封止層46は、表面41Sと対向する平面視において、基板支持部41bと重なる部分に貫通孔を有している。あるいは、封止層46は、複数の要素から構成され、表面41Sのうち、基板支持部41bが位置しない部分を、複数の要素によって覆っていてもよい。
【0045】
誘電体層41が封止層46を備えるため、冷却ガスが静電チャック13とトレイTとの間から漏れることを封止層46によって抑えつつ、封止層46を介してトレイTを冷却することができる。
【0046】
封止層46は誘電体層41よりも弾性が高く、封止層46の形成材料は、例えばシリコーンゴムなどの樹脂である。また、封止層46の形成材料は、冷却ガスによって冷却される材料であり、かつ、封止層46は、封止層46のうち、トレイ支持部41aに接する面とは反対側の面まで冷却ガスによって冷却される程度の厚さを有している。
【0047】
冷却ガスは、複数のトレイ用開口45aから封止層46に向けて放出されることによって、封止層46を冷却するため、封止層46を介して間接的にトレイTを冷却することができる。また、冷却ガスは、複数の基板用開口45bから基板Sに向けて放出されるため、基板Sが冷却ガスによって冷却される。
【0048】
静電チャック13は、誘電体層41を支持する支持層47を備えている。支持層47は、表面41Sと対向する平面視において、誘電体層41よりも大きい板形状を有し、誘電体層41の周方向の全体にわたって、誘電体層41の外縁からはみ出している。支持層47は、冷媒の流れる冷媒流路47aを内部に有し、冷媒流路47aには、上述した冷媒供給部18が接続されている。支持層47の形成材料は、例えばアルミニウムなどの金属である。
【0049】
図3が示すように、トレイ支持部41aの表面41Sと対向する平面視において、トレイ支持部41aは円板状を有している。誘電体層41は、6つの基板支持部41bを備え、各基板支持部41bは円柱状を有している。6つの基板支持部41bは、表面41Sの中心からの距離が互いにほぼ等しい位置において、表面41Sから突出している。
【0050】
静電チャック13は6つの基板用電極42を備えている。トレイ支持部41aの表面41Sと対向する平面視において、各基板用電極42は円板状を有し、6つの基板用電極42は、表面41Sの中心からの距離が互いにほぼ等しい位置に配置されている。各基板用電極42は、他の全ての基板用電極42が位置する基板支持部41bとは異なる基板支持部41bの内部に位置している。
【0051】
各基板用電極42は、例えば、静電チャック13の内部を通って静電チャック13の外部に露出する配線に接続し、また、トレイ用電極43は、基板用電極42と同じく、例えば、静電チャック13の内部を通って静電チャック13の外部に露出する配線に接続している。そして、6つの基板用電極42、および、トレイ用電極43は、例えば、各電極に接続された配線が静電チャック13の外部にて互いに接続されることによって、互いに並列に接続されている。
【0052】
図4は、プラズマエッチング装置10が備える電気的構成のうち、静電チャックに電力を供給するための電気的構成を模式的に示している。
図4が示すように、6つの基板用電極42は、互いに並列に接続されて並列回路を構成している。プラズマエッチング装置10は、バイアス用電源16を備え、バイアス用電源16は、400kHz以上4MHz以下の高周波電力を6つの基板用電極42に各別に供給する。
【0053】
6つの基板用電極42の各々に供給する高周波電力の周波数が、400kHz以上4MHz以下であれば、この範囲を超えた周波数を有した高周波電力を各基板用電極に供給するときと比べて、プラズマPに曝された6つの基板S間において温度の分布が生じにくくなる。
【0054】
トレイ用電極43は、抑制部の一例であるインダクタ51と直列に接続されて直列トレイ回路を構成している。トレイ用電極43とインダクタ51とは、静電チャック13の外部において互いに接続されてもよいし、静電チャック13の内部において互いに接続されてもよい。インダクタ51は、トレイ用電極43に直流電圧を印加させ、かつ、トレイ用電極43に高周波電力が伝搬することを抑える機能を有する。直列トレイ回路は、6つの基板用電極42と静電チャック13の外部において並列に接続されて並列回路を構成している。
【0055】
吸着用電源15は、直列トレイ回路および6つの基板用電極42に各別に直流電圧を印加し、バイアス用電源16は、直列トレイ回路および複数の基板用電極42に各別に高周波電力を供給する。
【0056】
そのため、並列回路を構成する6つの基板用電極42およびトレイ用電極43の各々に直流電圧を印加しつつ、トレイ用電極43に高周波電力が伝搬することを抑えることができる。
【0057】
それゆえに、トレイTが複数の基板SとともにプラズマPに曝されるとき、トレイTにバイアス電位が印加されることが抑えられ、結果として、トレイTがエッチングされることが抑えられる。
【0058】
吸着用電源15は、フィルタ52を介して6つの基板用電極42とトレイ用電極43とから構成される並列回路に接続されている。フィルタ52はローパスフィルタであり、吸着用電源15にバイアス用電源16の出力した高周波電力が供給されることを抑える機能を有している。吸着用電源15は、6つの基板用電極42およびトレイ用電極43に正の直流電圧を印加するが、負の直流電圧を印加してもよい。
【0059】
[静電チャックの作用]
図5および図6を参照して静電チャック13の作用を説明する。以下では、静電チャック13の作用の説明に先立ち、静電チャック13によって吸着されるトレイTの構成を説明する。
【0060】
図5が示すように、トレイTは、表面TSと裏面TRとを含む円板状を有している。トレイTは、表面TSと裏面TRとの間を貫通する複数、例えば6つの貫通孔Taを有し、各貫通孔Taにおいて、表面TSでの開口が裏面TRでの開口よりも大きい。表面TSと対向する平面視において、表面TSでの開口は基板Sよりも大きく、裏面TRでの開口は基板Sよりも小さい。また、表面TSと対向する平面視において、表面TSでの開口および裏面TRでの開口の各々は、基板支持部41bよりも大きい。
【0061】
各貫通孔Taは、二段の筒面Tbによって区画され、筒面Tbは、一段目の筒面と二段目の筒面との間の段差部Tcを有している。トレイTは、各貫通孔Taの段差部Tcにおいて、1枚の基板Sを支持する。
【0062】
図6が示すように、プラズマエッチング装置10において基板Sがエッチングされるときには、まず、6つの基板Sの載置されたトレイTが、静電チャック13まで搬送され、トレイTが、トレイ支持部41aに載置される。このとき、各基板支持部41bは、他の全ての基板支持部41bが通る貫通孔Taとは異なる貫通孔Taを通り、それによって、トレイTの段差部Tcに載置された基板Sが、基板支持部41bの基板載置面41bSに載置される。
【0063】
そして、チャンバ空間11S内にプラズマPが生成された後、吸着用電源15が、各基板用電極42およびトレイ用電極43の各々に直流電圧を印加する。これにより、各基板支持部41bに基板Sが吸着され、かつ、トレイ支持部41aにトレイTが吸着される。
【0064】
静電チャック13は、基板Sに加えてトレイTも吸着するため、トレイTがプラズマPに曝されるときには、トレイTと静電チャック13とが接合した物体、言い換えれば、トレイTによる熱容量と静電チャック13の熱容量とを合わせた熱容量を有した物体がプラズマPに曝される。
【0065】
一方で、トレイTが静電チャック13に吸着されていない状態でプラズマPに曝されたときには、トレイTは、トレイ単体による熱容量しか有しない。そのため、上述した構成によれば、トレイTを吸着しない構成と比べて、静電チャック13が有する熱容量の分だけ、トレイT単体における熱容量よりも大きい熱容量を有した物体がプラズマPに曝されるため、この物体に含まれるトレイTの加熱を抑えることができる。
【0066】
基板Sのエッチングが終了すると、吸着用電源15が、各基板用電極42およびトレイ用電極43の各々への直流電圧の印加を停止する。これにより、各基板支持部41bによる基板Sの吸着が解除され、かつ、トレイ支持部41aによるトレイTの吸着が解除される。
【0067】
次いで、トレイTが静電チャック13から搬送されるとき、トレイTの貫通孔Taから基板支持部41bが抜かれ、それによって、基板支持部41bの基板載置面41bSに載置された基板Sが、トレイTの段差部Tcに載置される。
【0068】
[試験例]
図7を参照して、試験例を説明する。
[試験例1]
図7が示すように、第1基板S1から第6基板S6が載置されたトレイTを誘電体層41のトレイ支持部41a上に載置し、第1基板S1から第6基板S6の各々を互いに異なる基板支持部41b上に載置した。そして、以下の条件にて第1基板S1から第6基板S6のエッチングを行ったときの各基板の温度を測定した。このとき、第1基板S1を吸着するための基板用電極42にバイアス用の高周波電力を供給する供給点Psを設定した。すなわち、第1基板S1を吸着するための基板用電極42と高周波電源との間の伝送路が最も短い状態で、6つの基板用電極42およびトレイ用電極43に高周波電力を供給した。
【0069】
[エッチング条件]
・基板 :サファイア基板
・アンテナ用高周波電力 :2100W
・バイアス用高周波電力 :1000W
・バイアス用高周波電力の周波数:2MHz
・吸着用の直流電圧 :2kV
・チャンバ空間の圧力 :0.06Pa
・冷媒の温度 :30℃
・冷却ガスの圧力 :1kPa
・エッチングガス :BCl
・エッチングガス流量 :150sccm
試験例1では、第1基板S1の温度が93℃から98℃であり、第2基板S2の温度が98℃から104℃であり、第3基板S3の温度が104℃から110℃であることが認められた。また、第4基板S4の温度が93℃から98℃であり、第5基板S5の温度が98℃から104℃であり、第6基板の温度が98℃から104℃であることが認められた。
【0070】
[試験例2]
試験例2では、バイアス用高周波電力の周波数を12.5MHzに変更する以外は、試験例1と同じ条件でエッチングを行い、第1基板S1から第6基板S6の温度を測定した。
【0071】
試験例2では、第1基板S1の温度が126℃から132℃であり、第2基板S2の温度が110℃から115℃であり、第3基板S3の温度が121℃から126℃であることが認められた。また、第4基板S4の温度が98℃から104℃であり、第5基板S5の温度が110℃から115℃であり、第6基板S6の温度が110℃から115℃であることが認められた。
【0072】
このように、試験例1によれば、試験例2に比べて、プラズマに曝された6つの基板間において温度の分布が生じにくいことが認められた。
以上説明したように、静電チャック、および、プラズマ処理装置の一実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
【0073】
(1)トレイTを吸着しない構成と比べて、静電チャック13が有する熱容量の分だけ、トレイT単体における熱容量よりも大きい熱容量を有した物体がプラズマPに曝されるため、この物体に含まれるトレイTの加熱を抑えることができる。
【0074】
(2)冷却ガスが静電チャック13とトレイTとの間から漏れることを封止層46によって抑えつつ、封止層46を介してトレイTを冷却することができる。
(3)バイアス用電源16が400kHz以上4MHz以下の高周波電力を各基板用電極42に供給するため、複数の基板S間において温度の分布が生じることが抑えられる。
【0075】
(4)並列回路を構成する複数の基板用電極42およびトレイ用電極43の各々に直流電圧を印加しつつ、トレイ用電極43に高周波電力が伝搬することを抑えることができる。
【0076】
なお、上述した実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
・吸着用電源15と並列回路とに接続されるフィルタ52は割愛されてもよい。こうした構成であっても、並列回路に含まれる直列トレイ回路がインダクタ51を含み、吸着用電源15が並列回路における基板用電極42および直列トレイ回路の各々に直流電圧を印加し、かつ、バイアス用電源16が基板用電極42および直列トレイ回路の各々に高周波電力を供給する以上は、上述した(4)と同等の効果を得ることはできる。
【0077】
・直列回路を構成する抑制部は、上述したインダクタ51に限らず、キャパシタであってもよいし、インダクタとキャパシタとの組み合わせであってもよい。こうした構成であっても、上述した(4)と同等の効果を得ることはできる。
【0078】
・プラズマエッチング装置10は、インダクタ51を備えていなくてもよい。こうした構成では、トレイTにもバイアス電位が印加されるため、トレイTがエッチングされやすくはなる。ただし、トレイTが静電チャック13に吸着される以上は、上述した(1)と同等の効果を得ることはできる。
【0079】
・複数の基板用電極42および直列トレイ回路が、1つの並列回路を構成していなくてもよい。こうした構成では、各基板用電極42およびトレイ用電極43が各別の吸着用電源に接続され、かつ、各基板用電極42が各別のバイアス用電源に接続されていれば、各基板用電極42およびトレイ用電極43の各々に直流電圧を印加すること、および、各基板用電極42にバイアス電位を印加することが可能である。こうした構成では、トレイ用電極43に高周波電力が供給されないため、トレイ用電極43に直列に接続されるインダクタ51を割愛することが可能である。
【0080】
・複数の基板用電極42が並列回路を構成し、プラズマエッチング装置10は、複数の基板用電極42に各別に直流電圧を印加する吸着用電源と、複数の基板用電極42に各別に高周波電力を供給するバイアス用電源と、トレイ用電極43に直流電圧を印加する直流電源とを備える構成でもよい。こうした構成においてもトレイ用電極43には高周波電力が供給されないため、トレイ用電極43に直列に接続されるインダクタ51を割愛することが可能である。
【0081】
・バイアス用電源16が出力する高周波電力の周波数は、400kHz未満であってもよいし、4MHzよりも大きくてもよい。こうした構成であっても、各基板用電極42にはバイアス電位が印加されるため、各基板用電極42に向けてプラズマ中の正イオンを引き込むことは可能である。
【0082】
・静電チャック13は封止層46を有していなくてもよく、こうした構成であっても、基板支持部41bの内部に位置する基板用電極42と、トレイ支持部41aの内部に位置するトレイ用電極43とを備えていれば、上述した(1)と同等の効果を得ることはできる。
【0083】
図8は、静電チャック13の変形例における断面構造を示し、図8では、図示の便宜上から、誘電体層41が有する冷却ガス流路45の図示が省略されている。図8が示すように、トレイ用電極61は、誘電体層41の厚さ方向において、つまり平面視において、複数の基板用電極42に重ならなくてもよい。すなわち、トレイ用電極61は、誘電体層41の厚さ方向に沿ってトレイ用電極61を貫通する複数の貫通孔61aを有し、各貫通孔61aは、トレイ支持部41aの表面41Sと対向する平面視において、1つの基板用電極42と重なる位置に形成されていればよい。そして、貫通孔61aは、表面41Sと対向する平面視において、基板用電極42以上の大きさを有していればよい。
【0084】
こうした構成によれば、以下の効果を得ることができる。
(5)基板用電極42にバイアス電位を印加するための高周波電力が基板用電極42に供給されたときに、基板用電極42とトレイ用電極43とがカップリングすること、すなわち、基板用電極42からトレイ用電極43に高周波電力が供給されることを抑えられる。
【0085】
・トレイ用電極43が、誘電体層41の厚さ方向において複数の基板用電極42と重ならない構成では、トレイ用電極43が、複数の電極要素から構成され、かつ、各電極要素が、誘電体層41の厚さ方向において、基板用電極42と重ならないように位置する構成であってもよい。こうした構成であっても、上述した(5)と同等の効果を得ることはできる。
【0086】
・静電チャック13は、少なくとも1つの基板支持部41bと、少なくとも1つの基板用電極42であって、基板支持部41bと同数の基板用電極42を備えていればよい。静電チャック13が、少なくとも1つの基板支持部41b、基板支持部41bと同数の基板用電極42、トレイ支持部41a、および、トレイ用電極43を備えていれば、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0087】
・基板用電極42は、極性の互いに異なる一対の電極から構成されていてもよく、この場合には、1つの基板用電極が、正電極と負電極との対から構成されればよい。そして、正電極と負電極との1つの対が、1つの基板支持部41bの内部に位置していればよい。こうした構成では、プラズマエッチング装置10は、正の電圧を正電極に印加する直流電源と、負の電圧を負電極に印加する直流電源とを備えていればよい。
【0088】
・プラズマエッチング装置10は、ICPアンテナ21を用いてプラズマPを生成する誘導結合型のプラズマエッチング装置に限らず、チャンバ本体11の内部に位置する電極を用いてプラズマを生成する容量結合型のプラズマエッチング装置であってもよい。
【0089】
・静電チャック13が適用されるプラズマ処理装置は、上述したプラズマエッチング装置10に限らず、スパッタ装置やCVD装置などであってもよい。
【符号の説明】
【0090】
10…プラズマエッチング装置、11…チャンバ本体、11P1…排気ポート、11P2…ガス供給ポート、11S…チャンバ空間、12…石英板、13…静電チャック、14…ステージ、15…吸着用電源、16…バイアス用電源、17…冷却ガス供給部、18…冷媒供給部、21…ICPアンテナ、21I…入力端子、21O…出力端子、22…アンテナ用電源、31…排気部、32…エッチングガス供給部、41…誘電体層、41a…トレイ支持部、41aS…トレイ載置面、41b…基板支持部、41bS…基板載置面、41S,TS…表面、42…基板用電極、43,61…トレイ用電極、45…冷却ガス流路、45a…トレイ用開口、45b…基板用開口、45c…接続用開口、46…封止層、47…支持層、47a…冷媒流路、51…インダクタ、52…フィルタ、61a,Ta…貫通孔、S…基板、T…トレイ、Tb…筒面、Tc…段差部、TR…裏面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8