特許第6445853号(P6445853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6445853
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】抵抗加熱炉
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20181217BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20181217BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   H01L21/31 E
   H01L21/68 A
   H01L21/02 Z
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-243797(P2014-243797)
(22)【出願日】2014年12月2日
(65)【公開番号】特開2016-111038(P2016-111038A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年11月27日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、経済産業省委託研究「エネルギー使用合理化技術開発等委託費(革新的製造プロセス技術開発)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000167200
【氏名又は名称】光洋サーモシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】中戸 克彦
(72)【発明者】
【氏名】池田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】クンプアン ソマワン
(72)【発明者】
【氏名】原 史朗
(72)【発明者】
【氏名】服部 昌
(72)【発明者】
【氏名】森川 清彦
(72)【発明者】
【氏名】中谷 淳司
【審査官】 山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/049055(WO,A1)
【文献】 特開2014−209633(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/087760(WO,A1)
【文献】 特開平08−008202(JP,A)
【文献】 特開2000−021889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/02
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱室および装置前室が筐体の内部に配設され、前記筐体に、処理基板が収容された基板搬送容器を載置するための容器載置台が設けられ、前記処理基板を加熱する際には、搬送手段によって当該処理基板が、前記容器載置台から搬入されて前記装置前室を経て前記加熱室に搬送され、当該加熱室で加熱された後、当該加熱室から前記装置前室を経て前記容器載置台に戻されて搬出される抵抗加熱炉であって、
前記加熱室には、内部に挿入された1個の前記処理基板を加熱可能なヒータを備えた加熱部と、当該加熱部の内部に下側から挿入可能な挿入部とを備えており、
前記挿入部には、前記装置前室から搬送されてきた前記処理基板が保持可能な保持部を有しており、
前記装置前室から搬送されてきた前記処理基板が、前記保持部に保持された状態で、前記挿入部の上昇によって、前記加熱部の内部の所定位置に挿入されて加熱されるように構成されており、
前記加熱部を載置するヒータベースを有しており、
当該ヒータベースは、上下方向に略同心円状に重なった複数のヒータベース部材で構成されており、
当該複数のヒータベース部材同士は、加熱時の熱膨張により、略同心円の中心を維持し、互いの支持状態を維持したまま、相対移動可能に構成されていることを特徴とする抵抗加熱炉
【請求項2】
加熱室および装置前室が筐体の内部に配設され、前記筐体に、処理基板が収容された基板搬送容器を載置するための容器載置台が設けられ、前記処理基板を加熱する際には、搬送手段によって当該処理基板が、前記容器載置台から搬入されて前記装置前室を経て前記加熱室に搬送され、当該加熱室で加熱された後、当該加熱室から前記装置前室を経て前記容器載置台に戻されて搬出される抵抗加熱炉であって、
前記加熱室には、内部に挿入された1個の前記処理基板を加熱可能なヒータを備えた加熱部と、当該加熱部の内部に下側から挿入可能な挿入部とを備えており、
前記挿入部には、前記装置前室から搬送されてきた前記処理基板が保持可能な保持部を有しており、
前記装置前室から搬送されてきた前記処理基板が、前記保持部に保持された状態で、前記挿入部の上昇によって、前記加熱部の内部の所定位置に挿入されて加熱されるように構成されており、
前記処理基板が、直径20mm以下で構成されており、
前記加熱部が、長さ150mm以下、内径60mm以下で構成されていることを特徴とする抵抗加熱炉
【請求項3】
前記挿入部を前記加熱部に挿入させる駆動手段が、前記処理基板を前記容器載置台から前記装置前室を経て前記加熱室に搬送する前記搬送手段の基準ベースに取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の抵抗加熱炉
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、小径の処理基板(例えば半導体ウェハ等)を用いてデバイス(半導体デバイス等)を製造するプロセスで使用される小型製造装置の、抵抗加熱炉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の製造装置について、半導体製造プロセスに使用される装置、すなわち半導体製造装置を例に採って説明する。
【0003】
従来の半導体製造装置は、少品種の半導体デバイスを大量に製造することを前提としていた。同一種類の半導体デバイスを大量に且つ安価に製造するためには、大口径(例えば直径300mm)の半導体ウェハを使用することが望ましい。大口径の半導体ウェハを使用することにより、多数の半導体デバイスを同時に製造することができるため、同じ種類の半導体デバイスを大量に製造することや、1チップ当たりの製造コストを低減することが容易になる。また、大口径の半導体ウェハを複数同時に処理することが、より望ましい。このため、従来の半導体製造プロセスには、非常に大型の製造装置が使用されていた。従って、半導体製造工場も非常に大規模であり、工場の建設や運営には高額の費用が必要であった。
【0004】
そして、半導体ウェハに対する加熱処理においても、同様に大口径の半導体ウェハを複数同時に処理可能な大型の装置が使用されていた。このような加熱処理を行う抵抗加熱炉の技術としては、例えば下記特許文献1で開示された技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−85349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、半導体デバイスの多品種少量生産に対する要望が高まっている。また、研究開発等において半導体デバイスを試作する場合には、半導体デバイスを1個単位で製造することが望まれる。このような需要を満たすためには、小口径の半導体ウェハを用いて、安価に半導体デバイスを製造する技術が望まれる。
【0007】
また、上述のように、大規模な工場で同一品種の製品を大量に製造する場合、市場の需要変動に合わせて生産量を調整することが非常に困難となる。少量の生産では、工場の運営コストに見合う利益を確保できないからである。更に、半導体製造工場は、高額の建設投資や運営費用が必要であるため、中小企業が参入し難いという欠点もある。
【0008】
以上のような理由から、小規模な製造工場等で、小口径の半導体ウェハや小型の製造装置を用いて、半導体デバイスの多品種少量生産を安価に行うための技術が望まれる。また、小口径の半導体ウェハに対する一連の製造プロセスを効率よく進めるためには、加熱装置においても、エネルギー効率等の観点から、上記特許文献1に開示されたような大口径の半導体ウェハ用の大型の抵抗加熱炉よりも、小口径の半導体ウェハに適した抵抗加熱炉を使用した方が望ましい。
【0009】
ここで、抵抗加熱炉で小口径の半導体ウェハを複数同時に加熱処理しようとすると、加熱部分(炉)の長さ(炉長)が長くなってしまい、エネルギー効率が悪くなってしまう。
【0010】
また、加熱部分(炉)の長さ(炉長)を短くすると、当該加熱部分に対して半導体ウェハを出し入れする挿入口の炉心からの距離が短くなる。そのため、挿入口付近の温度が常温よりも高くなって、挿入口付近の部材に熱が伝わり易くなり、当該熱により挿入口付近の部材が熱変形を起こす可能性が生じる。
【0011】
このような問題は、半導体製造装置だけで無く、例えばサファイア基板やアルミニウム基板等に処理を施して電子デバイスを製造する装置や、光学デバイスを製造する装置等にも生じる。
【0012】
本発明の課題は、小径の処理基板を用いてデバイスの多品種少量生産を安価に行う小型製造装置の、抵抗加熱炉を提供することにある。
【0013】
また、本発明の別の課題は、抵抗加熱炉において、加熱部の熱が加熱部の外の部材に悪影響を与えることを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る抵抗加熱炉は、加熱室および装置前室が筐体の内部に配設され、前記筐体に、処理基板が収容された基板搬送容器を載置するための容器載置台が設けられ、前記処理基板を加熱する際には、搬送手段によって当該処理基板が、前記容器載置台から搬入されて前記装置前室を経て前記加熱室に搬送され、当該加熱室で加熱された後、当該加熱室から前記装置前室を経て前記容器載置台に戻されて搬出される抵抗加熱炉であって、前記加熱室には、内部に挿入された1個の前記処理基板を加熱可能なヒータを備えた加熱部と、当該加熱部の内部に下側から挿入可能な挿入部とを備えており、前記挿入部には、前記装置前室から搬送されてきた前記処理基板が保持可能な保持部を有しており、前記装置前室から搬送されてきた前記処理基板が、前記保持部に保持された状態で、前記挿入部の上昇によって、前記加熱部の内部の所定位置に挿入されて加熱されるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の抵抗加熱炉は、前記加熱部を載置するヒータベースを有しており、当該ヒータベースは、上下方向に略同心円状に重なった複数のヒータベース部材で構成されており、当該複数のヒータベース部材同士は、加熱時の熱膨張により、略同心円の中心を維持し、互いの支持状態を維持したまま、相対移動可能に構成されていることが望ましい。
【0016】
本発明の抵抗加熱炉は、前記挿入部を前記加熱部に挿入させる駆動手段が、前記処理基板を前記容器載置台から前記装置前室を経て前記加熱室に搬送する前記搬送手段の基準ベースに取り付けられていることが望ましい。
【0017】
本発明の抵抗加熱炉は、前記処理基板が、直径20mm以下で構成されており、前記加熱部が、長さ150mm以下、内径60mm以下で構成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、抵抗加熱炉の大きさを、処理基板の大きさに合わせて小型化することで、余計なエネルギーや小径の処理基板に対しては効率の悪い状態を改善し、処理基板の加熱におけるエネルギー効率を向上させることができる。すなわち、エネルギー効率を向上させるためには、小径の処理基板を1個ずつ加熱し、開口面積が小さく、加熱部分の長さ(炉長)が短い加熱装置の方が良い。その結果、少量多品種生産におけるコストダウンにも繋げることができる。
【0019】
また、本発明において、加熱部分の長さ(炉長)を短くすることで、挿入部が挿入される辺りの開口部付近の温度が上昇し、この熱で周囲の部材に悪影響を及ぼす可能性があるが、ヒータベースが、上下方向に略同心円状に重なった複数のヒータベース部材に分割されており、当該複数のヒータベース部材同士は、加熱時の熱膨張により、略同心円の中心を維持し、互いの支持状態を維持したまま、相対移動可能に構成されていることにより、ヒータベース部材同士の位置関係がずれないため、挿入部を加熱部に挿入させる際に、ヒータベース部材が挿入部の挿入を妨げることがない。また、加熱部の熱が最上部のヒータベース部材に伝わっても、その下方のヒータベース部材に伝わり難く、かつ、ヒータベース全体として、熱により変形し難くすることができる。また、下方のヒータベース部材に熱が伝わり難いことから、この下方のヒータベース部材に他の部材を取り付けることで、ヒータベースと繋がっている部材に熱が伝わり難くすることができ、これが熱変形することを防止できる。
【0020】
また、挿入部を加熱部に挿入させる駆動手段が、加熱部と離間している搬送手段の基準ベースに取り付けられていることにより、加熱部を支持しているヒータベースに駆動手段が固定されている場合と比較して、熱の影響を受け難くなる。その結果、駆動手段の固定部が熱で変形する等によって動作不良を起こすことを防止できる。また、基準となる基準ベースに搬送手段と駆動手段が取り付けられているので、処理基板の受渡し、挿入部の上下動を精度良く行うことができる。
【0021】
また、処理基板が直径20mm以下で構成されており、加熱部が長さ150mm以下、内径60mm以下で構成されている、という具体的な大きさの関係を有していることで、エネルギー効率を向上させる具体的な処理基板と加熱部の大きさの関係が示されて、より確実に、少量多品種生産におけるコストダウンに繋げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明の実施の形態に係る抵抗加熱炉の全体構成を概念的に示す斜視図である。
図2】同実施の形態に係る装置前室の構造を概略的に示す外観斜視図である。
図3】同実施の形態に係る装置前室の全体的内部構造を概略的に示す左側面図である。
図4】同実施の形態に係る加熱室の全体的内部構造を概略的に示す縦断面図である。
図5図4の状態から加熱部に挿入部を挿入したときの加熱部付近の構造を概略的に示す縦断面図である。
図6】同実施の形態に係るヒータベースの構造を概略的に示す平面図である。
図7】同実施の形態に係る抵抗加熱炉による加熱プロセス時間と加熱部の温度の関係を示すグラフである。
図8】従来の大口径の半導体ウェハにおける抵抗加熱炉による加熱プロセス時間と加熱部の温度の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態について、本発明を半導体製造装置の抵抗加熱炉に適用する場合を例に採って説明する。
【0024】
図1は、この実施の形態に係る抵抗加熱炉100の全体構成を概念的に示す斜視図である。図2は、装置前室120の構造を概略的に示す外観斜視図である。図3は、装置前室120の内部構造を概略的に示す左側面図である。
【0025】
図1に示すように、この実施の形態に係る抵抗加熱炉100は、筐体101の内部に、加熱室(処理室)110と、装置前室120とを収容する。
【0026】
加熱室110は、ウェハ搬送口120h(図3参照)を介して装置前室120から処理基板としての半導体ウェハ131を1個ずつ受け取る。そして、この半導体ウェハ131に対して、1個ずつ加熱処理を行う。加熱室110についての詳細な説明は、後述する。この実施の形態では、半導体ウェハ131として、径が20mm以下(例えば12.5±0.2mm)の小径のものを使用する。
【0027】
一方、装置前室120は、基板搬送容器としてのウェハ搬送容器130に収容された半導体ウェハ131を取り出して、加熱室110に1個ずつ搬送するための部屋である。
【0028】
装置前室120は、金属等で形成された天板120a、側板120b−120e等によって構成された筐体101Bを有し、その天板120aの前面側は側板120bから突出しており、この突出部分の裏側には裏板120fが設けられている。そして、天板120aと裏板120fとの隙間部分は、外部から空気を装置前室120へ導入するための給気路(図示省略)を形成している。
【0029】
装置前室120の天板120aには、ウェハ搬送容器130を載置するための容器載置台121(図3参照)と、載置されたウェハ搬送容器130を上方から押圧固定する押さえレバー122(図2参照)とが設けられている。ウェハ搬送容器130から装置前室120内に搬入された半導体ウェハ131は、基準ベースとしての後側壁面125に支持された搬送手段としての搬送アーム123を用いて、ウェハ搬送口120h(図3参照)を通過して加熱室110に1個ずつ搬送される。加えて、装置前室120の天板120aには、抵抗加熱炉100の操作を行うための操作釦124等が設けられている。
【0030】
図3に示すように、装置前室120は、仕切り板201により、半導体ウェハ131が搬入・搬出されるクリーン化室210と、所定のモータ機構238,245,249を収容する駆動室220とに、気密に仕切られている。
【0031】
また、装置前室120には、容器載置台121にセットされたウェハ搬送容器130との間で半導体ウェハ131の搬入・搬出を行うウェハ昇降機構230や、搬送アーム123を用いて処理室110に対する半導体ウェハ131の搬入・搬出を行う水平搬送機構240等が設けられている。
【0032】
次に、加熱室110の構造について、図4図6を用いて詳細に説明する。
【0033】
図4は、この実施の形態に係る加熱室110の全体的内部構造を概略的に示す縦断面図である。図5は、図4の状態から加熱部20に挿入部30を挿入したときの加熱部20付近の構造を概略的に示す縦断面図である。図6は、この実施の形態に係るヒータベース40の構造を概略的に示す平面図である。
【0034】
図4に示すように、この実施の形態の加熱室110は、筐体101Aの内部における上部側に加熱部20が配設されており、下部側に挿入部30が配設されている。
【0035】
このうち、加熱部20は、上下方向の長さ(炉長)が150mm以下(例えば100mm)となっており、ヒータ21と、プロセスチュ−ブ22と、断熱層23とを有しており、これらがヒータベース40の上に載置されている。プロセスチューブ22は、内径が40mm以下に設定されており、後述する半導体ウェハ131を保持した挿入部30が丁度挿入可能となるように、挿入部30の幅よりも僅かに幅広に設定されている。また、プロセスチューブ22の内部にガスを送気するようになっており、上方の縦方向に設けられたガス送気口22AからNガスとOガスが混合されて所定の割合で送気され、下方のガス排気口22Bからガスが横方向に排気されるようになっている。また、プロセスチューブ22には、下方から縦方向に挿入部挿入口22Cが設けられており、ここから後述する挿入部30が挿入されるようになっている。また、そのプロセスチューブ22を囲むように、石英ガラス等で構成される断熱層23が配設されている。また、断熱層23の中に埋め込まれる形で、加熱部20の内側に向けてヒータ21が設けられている。このヒータ21の内径は60mm以下に設定されている。また、加熱部20の内部(プロセスチューブ22と断熱層23の間)には、ヒータ温度測定熱電対25が設けられており、ヒータ21による加熱部20の内部の均熱域の温度を管理するようになっている。ここでは、ヒータ温度測定熱電対25の位置付近に均熱域が設けられており、均熱域の温度が約1200℃に保たれるように管理している。また、加熱部分の長さ(炉長)を短くすることで、挿入部30が挿入される辺りの開口部付近の温度が上昇し、この熱で周囲の部材に悪影響を及ぼす可能性があるが、ここでは、ヒータベース40を複数のヒータベース部材41,42で構成する等により、熱を分散させて悪影響を抑えるようになっている。
【0036】
図4図6に示すように、ヒータベース40は、加熱部20を支持するものであり、第1ヒータベース部材41と第2ヒータベース部材42の2つの部材を有している。双方のヒータベース部材41,42は中心部に孔が開いたドーナツ形状に形成された部材であり、小径の第1ヒータベース部材41が上方に位置し、大径の第2ヒータベース部材42が下方に位置して重なって構成されている。また、第1ヒータベース部材41の外周部には、3箇所の突出部41A(図6参照)が設けられており、ここには、第1ヒータベース部材41の中心から放射方向に延びる所定の長孔41B(図6参照)が設けられている。
【0037】
また、第2ヒータベース部材42における第1ヒータベース部材41の長孔41Bに対応する位置には、突出ピン42A(図6参照)が配設されている。そして、突出ピン42が長孔41Bに挿入された状態で、加熱部20からの熱で第1ヒータベース部材41が熱膨張すると、第2ヒータベース部材42に対して同心円を保った状態で、長孔41Bに沿ってほぼ放射方向に略同じ長さだけ膨張するように構成されている(所謂キネマティック結合)。このようにヒータベース40が、1つの部材で構成されておらず、第1ヒータベース部材41と第2ヒータベース部材42に分割されていることにより、加熱部20からの熱が第1ヒータベース部材41には伝わるが、第2ヒータベース部材42には伝わり難いという状態にすることができ、これにより、ヒータベース40全体としての変形を防止することができる。また、キネマティック結合により、第1ヒータベース部材41が熱膨張したときの第1ヒータベース部材41と第2ヒータベース部材42とのずれも少なく済ませることができる。
【0038】
また、ヒータベース40でプロセスチュ−ブ22を支持する支持部材43が、第2ヒータベース部材42の下方から延びて、プロセスチューブ22の下方と繋がっているため、プロセスチューブ22に余計な熱が伝わり難くなるように構成されている。
【0039】
また、挿入部30は、図4に示すように、上下方向に延びるものであり、その上部が石英ガラス等で構成されており、下部がステンレス等で構成されている。また、その最上部付近に搬送アーム123で搬送されてきた半導体ウェハ131を保持する保持部31が配設されている。また、保持部31のすぐ下方に位置する挿入部30の内部には、挿入部内部温度測定熱電対35が設けられており、挿入部30の保持部31付近の内部の温度を管理するようになっている。また、この挿入部30は、その下部側で駆動手段としてのエレベータ50の係合部51に繋がっており、このエレベータ50によって上下動するようになっている。そして、この上下動により、挿入部30の保持部31に保持された半導体ウェハ131を、図5に示すように、加熱部20のプロセスチューブ22内の所定位置(ここでは、温度が最も安定している均熱域で、ヒータ温度測定熱電対25付近)に挿入されるようになっている。
【0040】
また、挿入部30とエレベータ50の係合部51との係合については、挿入部30の下部のステンレス部分から下方に複数(ここでは3本)のピン32が突出形成されており、エレベータ50の係合部51に配置された板状部材52に形成された複数(ここでは3つ)の長孔部53に挿入されることで、係合している。その上で、ピン32の周囲にコイルスプリング等の付勢部材Sが取り付けられており、この付勢部材Sでエレベータ50の係合部51に対して挿入部30を上方に付勢している。これにより、図5に示すように、挿入部30を加熱部20に挿入して当接させたときの衝撃を抑えて、保持部31に保持された半導体ウェハ131に傷が付いたり、半導体ウェハ131が保持部31から外れてしまったりすることを防止している。
【0041】
また、板状部材52に形成された長孔部53は、前記した第1ヒータベース部材41の突出部41Aに設けられた長孔41B(図6参照)と同様に、板状部材52の中心から放射方向に延びるように形成されており、挿入部30のピン32と所謂キネマティック結合している。そして、挿入部30を上方に移動させて加熱部20の内部に挿入したとき等に、当該加熱部20からの熱で挿入部30の下部が熱膨張すると、エレベータ50の係合部51に対して同心円を保った状態で、長孔部53に沿ってほぼ放射方向に略同じ長さだけ膨張するように構成されている。このように、挿入部30とエレベータ50の係合部51とが、キネマティック結合していることで、挿入部30が熱膨張したときの挿入部30の下部とエレベータ50の係合部51とのずれを少なく済ませることができる。その結果、挿入部30の加熱部20に対する挿入を妨げることがないようになっている。
【0042】
また、このエレベータ50は、搬送手段の基準ベースとしての後側壁面125(図4参照)に対して固定されている。このため、エレベータ50がヒータベースを含む上下の部材に固定されている場合に比べて、加熱部20の熱の影響を受け難く、変形や移動の不良等を起こすことを防止することができる。また、エレベータ50を半導体ウェハ131の搬送の起点である基準ベースとしての後側壁面125(図4参照)に固定していることで、エレベータ50の位置精度が向上し、より安定した状態で半導体ウェハ131を加熱部20に挿入することができる。
【0043】
次に、この実施形態に係る抵抗加熱炉100の動作について、図4図5を用いて説明する。
【0044】
まず、図4に示すように、装置前室120から搬送アーム123で搬送されてきた半導体ウェハ131が、当該搬送アーム123により、下方に下がった位置にある挿入部30の保持部31に保持される。搬送アーム123は、その後、退避する。次に、図5に示すように、挿入部30がエレベータ50によって加熱部20のプロセスチューブ22の内部に挿入され、半導体ウェハ131を加熱部20の内部のヒータ温度測定熱電対25付近の均熱域に保持する。このとき、加熱部20の内部は、常にヒータ21により所定の温度(ここでは約1200℃)に保たれているため、すぐに加熱処理が行われ、所定時間経過後、図4に示すように、エレベータ50によって挿入部30を下方に下げる。なお、半導体ウェハ131の径が20mm以下(例えば12.5±0.2mm)の小径であることにより、すぐに加熱してもウェハにスリップや割れ等を起こさずに加熱することができる。ここで、ファンユニットF(図4参照)等によって、半導体ウェハ131が冷却され、その後、搬送アーム123によって装置前室120を経てウェハ搬送容器130に収容して、次の工程に搬送される。なお、ここでも、半導体ウェハ131の径が20mm以下(例えば12.5±0.2mm)の小径であることにより、すぐに冷却してもウェハにスリップや割れ等を起こさずに冷却することができる。
【0045】
以上説明したように、この実施の形態によれば、抵抗加熱炉100の大きさを、半導体ウェハ131の大きさに合わせて小型化することで、余計なエネルギーや小径の半導体ウェハ131に対しては効率の悪い状態を改善し、半導体ウェハ131の加熱におけるエネルギー効率を向上させることができる。その結果、少量多品種生産におけるコストダウンにも繋げることができる。
【0046】
また、例えば、図7および図8に示すような実験において、この実施の形態の抵抗加熱炉100を用いて、約12.5mmの径の半導体ウェハ131の加熱処理を行った場合には、図7に示すようなグラフとなる。すなわち、加熱温度1200℃、成膜時間が1時間である場合に、この実施の形態の抵抗加熱炉100であれば、搬送時間が前後で計20分だけで済み、合計1時間20分で加熱処理の全工程を終えることができる。これは、半導体ウェハ131が小径であるため、加熱と冷却の時間をほぼ取らなくても処理が可能であるためである。また、このときの消費電力は0.4kWhであり、非常に小さい消費電力で処理を行うことができる。これは、小径の半導体ウェハ131に合わせた装置を用いることで、消費電力を抑えることができるためである。
【0047】
これに対し、従来の300mmの半導体ウェハについて前記したものと同様の加熱処理を行おうとすると、図8に示すようなグラフとなる。すなわち、加熱温度が同じ1200℃、成膜時間も同じ1時間である場合に、従来の300mmの半導体ウェハの加熱に対しては、前後に昇温・搬入時間が2時間程度、降温・搬出時間が2時間40分程度の計4時間40分必要であり、加熱処理の全工程を終えるのに合計5時間40分掛かることとなる。これは、300mmの半導体ウェハが大径であるため、スリップや割れ等を起こさないために、搬送と成膜の時間以外に加熱と冷却の時間が必要となるためである。また、このときの消費電力は66kWhであり、処理に非常に大きな消費電力が必要となる。
【0048】
このように、この実施の形態の抵抗加熱炉100によれば、加熱処理に要する時間を短縮できると共に、加熱処理に要する消費電力も抑えることができることから、エネルギー効率を向上させることができ、その結果、少量多品種生産におけるコストダウンにも繋げることができる。
【0049】
また、この実施の形態では、ヒータベース40が、上下方向に略同心円状に重なった第1ヒータベース部材41と第2ヒータベース部材42に分割されており、当該第1ヒータベース部材41と第2ヒータベース部材42同士は、加熱時の熱膨張により、略同心円の中心を維持し、互いの支持状態を維持したまま、相対移動可能に構成されていることにより、加熱部20の熱が最上部の第1ヒータベース部材41に伝わっても、その下方の第2ヒータベース部材42に伝わり難く、かつ、ヒータベース40全体として、熱により変形し難くすることができる。具体的に、ヒータベース40と加熱部20の偏心は、0.5mm以下とすることができる。これにより、挿入部30と加熱部20の偏心量を小さくできるので、ウェハ面内の温度分布が小さくなり、成膜性能を向上させることができる(例えば酸化膜の面内分布が±1%以下にできる)。また、同様にキネマティック結合を用いた挿入部30下部の支持構造とエレベータ50の取付け部の加熱部からの離間により、挿入部30先端のウェハ位置再現性が従来の1.5mmから0.1mm以下にすることができ、搬送信頼性を向上させることができる。
【0050】
また、下方の第2ヒータベース部材42に熱が伝わり難いことから、この下方の第2ヒータベース部材42に他の部材を取り付けることで、ヒータベース40と繋がっている部材に熱が伝わり難くすることができ、これが熱変形することを防止できる。
【0051】
また、挿入部30を加熱部20に挿入させる駆動手段としてのエレベータ50が、半導体ウェハ131を容器載置台121から装置前室120を経て加熱室110に搬送し、加熱部110と離間している搬送アーム123の基準ベース125に取り付けられていることにより、加熱部20を支持しているヒータベース40にエレベータ50が固定されている場合と比較して、熱の影響を受け難くなる。その結果、エレベータ50の固定部51が変形する等により、動作不良を起こすことを防止できる。また、基準となる基準ベースとしての後側壁面125に搬送アーム123とエレベータ50が取り付けられているので、半導体ウェハ131の受渡し、挿入部30の上下動を精度良く行うことができる。
【0052】
なお、この実施の形態では、半導体ウェハを用いる半導体製造装置を例に採って説明したが、本発明は、他の種類の基板(例えばサファイア基板等の絶縁性基板や、アルミニウム基板等の導電性基板)や、非円盤形状(例えば矩形)の処理基板からデバイスを製造する製造装置にも適用することができる。
【0053】
また、この実施の形態では「デバイス」として半導体デバイスを例に採ったが、本発明は他の種類のデバイス(例えば、光学素子や光集積回路等の光デバイス)を製造する製造装置にも適用することができる。
【0054】
また、この実施の形態では、ヒータベース40が第1ヒータベース部材41と第2ヒータベース部材42の2つの部材に分割されていたが、これに限るものではなく、3つ以上のヒータベース部材に分割されていても良い。
【符号の説明】
【0055】
20 加熱部
21 ヒータ
30 挿入部
31 保持部
40 ヒータベース
41 第1ヒータベース部材(ヒータベース部材)
42 第2ヒータベース部材(ヒータベース部材)
50 エレベータ(駆動手段)
100 抵抗加熱炉
101 筐体
110 加熱室(処理室)
120 装置前室
121 容器載置台
123 搬送アーム(搬送手段)
125 後側壁面(基準ベース)
130 ウェハ搬送容器(基板搬送容器)
131 半導体ウェハ(処理基板)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8