特許第6445924号(P6445924)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6445924
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】研磨装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20181217BHJP
   B24B 37/32 20120101ALI20181217BHJP
【FI】
   H01L21/304 622G
   B24B37/32 Z
   H01L21/304 621D
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-95314(P2015-95314)
(22)【出願日】2015年5月8日
(65)【公開番号】特開2015-233131(P2015-233131A)
(43)【公開日】2015年12月24日
【審査請求日】2018年2月1日
(31)【優先権主張番号】特願2014-100381(P2014-100381)
(32)【優先日】2014年5月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鍋谷 治
【審査官】 内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−235555(JP,A)
【文献】 特開2014−004675(JP,A)
【文献】 特開2002−200558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を回転させながら研磨面に押し付けるヘッド本体と、
前記基板を囲むように配置され、前記ヘッド本体と共に回転しながら前記研磨面を押し付けるリテーナリングと、
前記リテーナリングに固定され、前記リテーナリングと共に回転する回転リングと、
前記回転リング上に配置された静止リングと、
前記回転リングおよび前記静止リングを介して前記リテーナリングの一部に局所荷重を加える局所荷重付与装置とを備え、
前記回転リングは、前記静止リングに接触する複数のローラーを有することを特徴とする研磨装置。
【請求項2】
前記複数のローラーのそれぞれは、軸受と、前記軸受の外輪に取り付けられたホイールとを備え、前記ホイールは樹脂またはゴムから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記回転リングは、前記複数のローラーが収容される環状凹部が形成されたローラーハウジングを備えていることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記静止リングに接続された吸引ラインをさらに備え、
前記吸引ラインは、前記環状凹部によって形成される空間に連通していることを特徴とする請求項3に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記回転リングと前記静止リングとの間に配置されたシールをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項6】
前記シールは、ラビリンスシールであることを特徴とする請求項4に記載の研磨装置。
【請求項7】
前記シールは、前記回転リングと前記静止リングとの隙間を塞ぐ接触式シールであることを特徴とする請求項5に記載の研磨装置。
【請求項8】
前記静止リングは、前記複数のローラーに接触する円環レールを備えていることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハなどの基板を研磨する研磨装置に関し、特に基板の周囲を囲むリテーナリングを備えた研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの高集積化・高密度化に伴い、回路の配線がますます微細化し、多層配線の層数も増加している。回路の微細化を図りながら多層配線を実現しようとすると、下側の層の表面凹凸を踏襲しながら段差がより大きくなるので、配線層数が増加するに従って、薄膜形成における段差形状に対する膜被覆性(ステップカバレッジ)が悪くなる。したがって、多層配線するためには、このステップカバレッジを改善し、然るべき過程で平坦化処理しなければならない。また光リソグラフィの微細化とともに焦点深度が浅くなるため、半導体デバイスの表面の凹凸段差が焦点深度以下に収まるように半導体デバイス表面を平坦化処理する必要がある。
【0003】
したがって、半導体デバイスの製造工程においては、半導体デバイス表面の平坦化がますます重要になっている。この表面の平坦化において最も重要な技術は、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)である。この化学機械研磨は、シリカ(SiO)等の砥粒を含んだ研磨液を研磨パッドの研磨面上に供給しつつウェハを研磨面に摺接させて研磨を行うものである。
【0004】
CMPを行うための研磨装置は、研磨パッドを支持する研磨テーブルと、ウェハを保持するための研磨ヘッドと、研磨液(スラリー)を研磨パッド上に供給する研磨液供給ノズルとを備えている。研磨パッドは研磨テーブルとともに回転され、研磨液は、回転する研磨パッド上に供給される。研磨ヘッドはウェハを保持しつつ、このウェハを研磨パッドの研磨面に対して所定の圧力で押圧する。ウェハの表面は、研磨液に含まれる砥粒による機械的作用と、研磨液に含まれる化学成分による化学的作用とにより研磨される。
【0005】
研磨中のウェハと研磨パッドの研磨面との間の相対的な押圧力がウェハの全面に亘って均一でない場合には、ウェハの各部分に与えられる押圧力に応じて研磨不足や過研磨が生じてしまう。そこで、ウェハに対する押圧力を均一化するために、研磨ヘッドの下部に弾性膜から形成される圧力室を設け、この圧力室に空気などの流体を供給することで弾性膜を介して流体圧によりウェハを押圧することが行われている。
【0006】
上記研磨パッドは弾性を有するため、研磨中のウェハのエッジ部(周縁部)に加わる押圧力が不均一になり、ウェハのエッジ部のみが多く研磨される、いわゆる「縁だれ」を起こしてしまう場合がある。このような縁だれを防止するため、ウェハのエッジ部を保持するリテーナリングをヘッド本体に対して上下動可能に設け、ウェハの外周縁側に位置する研磨パッドの研磨面をリテーナリングで押圧するようにしている。
【0007】
リテーナリングは、ウェハの周囲で研磨パッドを押し付けるため、リテーナリングの荷重はウェハのエッジ部のプロファイルに影響する。ウェハのエッジ部のプロファイルを積極的に制御するために、リテーナリングの一部に局所荷重を与えることもある。図10は、リテーナリング200の一部に局所荷重を与える機構をリテーナリング200の上から見た図である。図10に示すように、リテーナリング200の上面には円環レール201が固定されており、円環レール201上には3つのローラー205が配置されている。円環レール201の上面には環状溝201aが形成されており、ローラー205はこの環状溝201a内に置かれている。
【0008】
図11は、円環レール201とその上に配置されたローラー205を示す斜視図である。図11ではリテーナリング200の図示は省略されている。3つのローラー205のうちの1つのローラー205は図示しない荷重発生器に連結されており、このローラー205には図11に示すように下向きの局所荷重が与えられる。ウェハの研磨中、円環レール201はリテーナリング200と一体に回転するが、3つのローラー205の位置は固定である。したがって、これらローラー205は、回転する円環レール201に転がり接触する。
【0009】
円環レール201がリテーナリング200と共に回転しているとき、円環レール201はその全体が環状であるので、各ローラー205の内側部分と外側部分との間の速度差に起因してローラー205は僅かに滑る。また、円環レール201が回転しているとき、各ローラー205の側面は円環レール201の環状溝201aに接触する。このようなローラー205の滑りや接触により、ローラー205が摩耗し、摩耗粉が発生する。更に摩耗が進むとローラー205は破損する。摩耗粉が研磨パッド上に落下すると、ウェハの研磨中にウェハの表面を傷つけてしまい、ウェハ欠陥の原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2014−4675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、リテーナリングに荷重を伝えるローラーの摩耗を抑制することができる研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、基板を回転させながら研磨面に押し付けるヘッド本体と、前記基板を囲むように配置され、前記ヘッド本体と共に回転しながら前記研磨面を押し付けるリテーナリングと、前記リテーナリングに固定され、前記リテーナリングと共に回転する回転リングと、前記回転リング上に配置された静止リングと、前記回転リングおよび前記静止リングを介して前記リテーナリングの一部に局所荷重を加える局所荷重付与装置とを備え、前記回転リングは、前記静止リングに接触する複数のローラーを有することを特徴とする研磨装置である。
【0013】
本発明の好ましい態様は、前記複数のローラーのそれぞれは、軸受と、前記軸受の外輪に取り付けられたホイールとを備え、前記ホイールは樹脂またはゴムから構成されている。
本発明の好ましい態様は、前記回転リングは、前記複数のローラーが収容される環状凹部が形成されたローラーハウジングを備えている。
本発明の好ましい態様は、前記静止リングに接続された吸引ラインをさらに備え、前記吸引ラインは、前記環状凹部によって形成される空間に連通している。
【0014】
本発明の好ましい態様は、前記回転リングと前記静止リングとの間に配置されたシールをさらに備えている。
本発明の好ましい態様は、前記シールは、ラビリンスシールである。
本発明の好ましい態様は、前記シールは、前記回転リングと前記静止リングとの隙間を塞ぐ接触式シールである。
本発明の好ましい態様は、前記静止リングは、前記複数のローラーに接触する円環レールを備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数のローラーがリテーナリングと共に回転しながら、リテーナリングの一部に荷重を伝達する。各ローラーは、荷重の作用点を通過するときにのみ荷重を受ける。したがって、各ローラーが荷重を受ける時間が短くなり、ローラーの摩耗が抑制される。さらに、摩耗粉の発生も抑制され、ローラーの寿命が長くなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態における研磨装置を示す模式図である。
図2】局所荷重付与装置を示す斜視図である。
図3】研磨ヘッドの断面図である。
図4】回転リングおよび静止リングの断面図である。
図5】ローラーと円環レールとを示す斜視図である。
図6図5に示すローラーと円環レールを下から見た図である。
図7】接触式シールを示す断面図である。
図8】研磨ヘッドから摩耗粉を吸引するための吸引システムを示す図である。
図9】吸引ライン、静止リング、および回転リングの拡大断面図である。
図10】リテーナリングの一部に局所荷重を与える機構をリテーナリングの上から見た図である。
図11】円環レールとその上に配置されたローラーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態における研磨装置を示す模式図である。図1に示すように、研磨装置は、基板の一例であるウェハを保持し回転させる研磨ヘッド(基板保持装置)1と、研磨パッド2を支持する研磨テーブル3と、研磨パッド2に研磨液(スラリー)を供給する研磨液供給ノズル5とを備えている。研磨パッド2の上面は、ウェハを研磨する研磨面2aを構成する。
【0018】
研磨ヘッド1は研磨ヘッドシャフト11の下端に連結されている。この研磨ヘッドシャフト11はヘッドアーム16により回転自在に保持されている。ヘッドアーム16内には、研磨ヘッドシャフト11を回転させる回転装置(図示せず)と、研磨ヘッドシャフト11を上昇および下降させる昇降装置(図示せず)が配置されている。研磨ヘッド1は回転装置により研磨ヘッドシャフト11を介して回転し、昇降機構により研磨ヘッド1が研磨ヘッドシャフト11を介して上昇および下降されるようになっている。ヘッドアーム16は旋回軸15に固定されており、旋回軸15の回転により研磨ヘッド1を研磨テーブル3の外側に移動させることが可能となっている。
【0019】
研磨ヘッド1は、その下面に真空吸引によりウェハを保持できるように構成されている。研磨ヘッド1および研磨テーブル3は、矢印で示すように同じ方向に回転し、この状態で研磨ヘッド1は、ウェハを研磨パッド2の研磨面2aに押し付ける。研磨液供給ノズル5からは研磨液が研磨パッド2上に供給され、ウェハは、研磨液の存在下で研磨パッド2との摺接により研磨される。
【0020】
研磨ヘッド1は、ウェハを研磨パッド2に対して押圧するヘッド本体10と、ウェハを囲むように配置されたリテーナリング20とを備えている。ヘッド本体10およびリテーナリング20は、研磨ヘッドシャフト11と一体に回転するように構成されている。リテーナリング20は、ヘッド本体10とは独立して上下動可能に構成されている。リテーナリング20は、ヘッド本体10から半径方向外側に張り出している。このリテーナリング20の上方には、リテーナリング20の一部に局所荷重を加える局所荷重付与装置30が配置されている。
【0021】
局所荷重付与装置30は、ヘッドアーム16に固定されている。研磨中のリテーナリング20はその軸心回りに回転するが、局所荷重付与装置30はリテーナリング20とは一体に回転せず、その位置は固定である。リテーナリング20の上面には、内部に複数のローラー(後述する)が配置された回転リング51が固定されている。さらに回転リング51の上には静止リング91が置かれている。静止リング91は局所荷重付与装置30に連結されている。
【0022】
回転リング51はリテーナリング20と共に回転するが、静止リング91は回転せず、その位置は固定されている。局所荷重付与装置30は、静止リング91および回転リング51を介してリテーナリング20の一部に下向きの局所荷重を与える。下向きの局所荷重は、静止リング91および回転リング51を通じてリテーナリング20に伝達され、リテーナリング20は研磨パッド2の研磨面2aを押圧する。ウェハの研磨中にリテーナリング20の一部に下向きの局所荷重を与える理由は、ウェハの周縁部(エッジ部)のプロファイルを積極的に制御するためである。
【0023】
図2は局所荷重付与装置30を示す斜視図である。図2に示すように、局所荷重付与装置30は、2つの押圧ロッド31、ブリッジ32、複数のエアシリンダ(荷重発生装置)33,34,35、複数のリニアガイド38、複数のガイドロッド39、およびユニットベース40から主に構成されている。
【0024】
ユニットベース40はヘッドアーム16に固定されている。ユニットベース40には複数の(図示の例では3つの)エアシリンダ33,34,35および複数の(図示の例では4つの)リニアガイド38が取り付けられている。エアシリンダ33,34,35のピストンロッド33a,34a,35aおよび複数のガイドロッド39は、共通のブリッジ32に接続されている。複数のガイドロッド39はリニアガイド38により低摩擦で上下動自在に支持されている。これらのリニアガイド38により、ブリッジ32は傾くことなく滑らかに上下動可能となっている。
【0025】
エアシリンダ33,34,35はそれぞれ独立の圧力調整装置(図示せず)および大気開放機構(図示せず)に接続されており、互いに独立して荷重を発生できるように構成されている。それぞれのエアシリンダ33,34,35が発生した荷重は共通のブリッジ32に伝えられる。ブリッジ32は押圧ロッド(押圧部材)31により静止リング91に接続されており、押圧ロッド31はブリッジ32に加えられたエアシリンダ33,34,35の荷重を静止リング91に伝達する。エアシリンダが3つある理由は、局所荷重がヘッドアーム16の下に位置し、その真上にエアシリンダを配置することができない為、3つのシリンダで出力割合を変えることで、荷重重心を局所荷重の位置に合わせる為である。また、本実施例ではシリンダは3つであるが、リニアガイド機構を強化することで、1つのシリンダのみを設けてもよいし、ヘッドアーム16の下にシリンダを配置してもよい。
【0026】
研磨ヘッド1は自身の軸心を中心として回転するが、局所荷重付与装置30はヘッドアーム16に固定されるため研磨ヘッド1と共には回転しない。すなわち、ウェハの研磨中、研磨ヘッド1およびウェハは回転している一方、局所荷重付与装置30は所定の位置に静止している。同様に、ウェハの研磨中、回転リング51は研磨ヘッド1と共に回転している一方、静止リング91は所定の位置に静止している。
【0027】
次に、基板保持装置としての研磨ヘッド1について説明する。図3は、研磨ヘッド1の断面図である。研磨ヘッド1は、ヘッド本体10とリテーナリング20とを備えている。ヘッド本体10は、研磨ヘッドシャフト11(図1参照)に連結されたキャリア43と、キャリア43の下面に取り付けられた弾性膜(メンブレン)45と、キャリア43に対するリテーナリング20の傾動および上下移動を許容しつつリテーナリング20を支持する球面軸受47とを備えている。リテーナリング20は連結部材75を介して球面軸受47に連結され、支持されている。連結部材75はキャリア43内で上下動可能に配置されている。
【0028】
弾性膜45の下面は円形の基板接触面を構成しており、この基板接触面はウェハWの上面(被研磨面の反対側の面)に接触している。弾性膜45の基板接触面には複数の通孔(図示せず)が形成されている。キャリア43と弾性膜45との間には圧力室46が形成されている。この圧力室46は圧力調整装置(図示せず)に接続されている。圧力室46に加圧流体(例えば、加圧空気)が供給されると、圧力室46内の流体圧力を受けた弾性膜45は、ウェハWを研磨パッド2の研磨面2aに対して押し付ける。圧力室46内に負圧が形成されると、ウェハWは弾性膜45の下面に真空吸引により保持される。
【0029】
リテーナリング20は、ウェハWおよび弾性膜45を囲むように配置されている。このリテーナリング20は、研磨パッド2に接触するリング部材20aと、このリング部材20aの上部に固定されたドライブリング20bとを有している。リング部材20aは、図示しない複数のボルトによってドライブリング20bに結合されている。リング部材20aは、ウェハWの外周縁を囲むように配置されている。
【0030】
連結部材75は、ヘッド本体10の中心部に配置された軸部76と、この軸部76からから放射状に延びる複数のスポーク78とを備えている。軸部76はヘッド本体10の中央部に配置された球面軸受47内を縦方向に延びている。軸部76は、球面軸受47に縦方向に移動自在に支持されている。ドライブリング20bはスポーク78に接続されている。このような構成により、連結部材75およびこれに接続されたリテーナリング20は、ヘッド本体10に対して縦方向に移動可能となっている。
【0031】
球面軸受47は、内輪48と、内輪48の外周面を摺動自在に支持する外輪49とを備えている。内輪48は、連結部材75を介してリテーナリング20に連結されている。外輪49はキャリア43に固定されている。連結部材75の軸部76は、内輪48に上下動自在に支持されている。リテーナリング20は、連結部材75を介して球面軸受47により傾動可能に支持されている。
【0032】
球面軸受47は、リテーナリング20の上下移動および傾動を許容する一方で、リテーナリング20の横方向の移動(水平方向の移動)を制限する。ウェハWの研磨中は、リテーナリング20はウェハWと研磨パッド2との摩擦に起因した横方向の力(ウェハWの半径方向外側に向かう力)をウェハWから受ける。この横方向の力は球面軸受47によって受けられる。このように、球面軸受47は、ウェハWの研磨中に、ウェハWと研磨パッド2との摩擦に起因してリテーナリング20がウェハWから受ける横方向の力(ウェハWの半径方向外側に向かう力)を受けつつ、リテーナリング20の横方向の移動を制限する(すなわちリテーナリング20の水平方向の位置を固定する)支持機構として機能する。
【0033】
キャリア43には、複数対の駆動カラー80が固定されている。各対の駆動カラー80は各スポーク78の両側に配置されており、キャリア43の回転は、駆動カラー80を介してリテーナリング20に伝達され、これによりヘッド本体10とリテーナリング20とは一体に回転する。駆動カラー80はスポーク78に接触しているだけであり、連結部材75およびリテーナリング20の上下動および傾動を妨げない。
【0034】
リテーナリング20の上部は、環状のリテーナリング押圧機構60に連結されている。このリテーナリング押圧機構60は、リテーナリング20の上面(より具体的には、ドライブリング20bの上面)の全体に均一な下向きの荷重を与え、リテーナリング20の下面(すなわち、リング部材20aの下面)を研磨パッド2の研磨面2aに対して押圧する。
【0035】
リテーナリング押圧機構60は、ドライブリング20bの上部に固定された環状のピストン61と、ピストン61の上面に接続された環状のローリングダイヤフラム62とを備えている。ローリングダイヤフラム62の内部には圧力室63が形成されている。この圧力室63は圧力調整装置(図示せず)に接続されている。圧力室63に加圧流体(例えば、加圧空気)が供給されると、ローリングダイヤフラム62がピストン61を下方に押し下げ、さらに、ピストン61はリテーナリング20の全体を下方に押し下げる。このようにして、リテーナリング押圧機構60は、リテーナリング20の下面を研磨パッド2の研磨面2aに対して押圧する。
【0036】
リテーナリング20の上面には、回転リング51が固定されている。さらに、回転リング51上には、静止リング91が配置されている。局所荷重付与装置30の押圧ロッド31の下端は、静止リング91に連結されている。局所荷重付与装置30は押圧ロッド31を通じて静止リング91に下向きの局所荷重を加える。ウェハの研磨中、回転リング51はリテーナリング20とともに回転するが、局所荷重付与装置30および静止リング91は回転しない。
【0037】
図4は、回転リング51および静止リング91の断面図である。回転リング51は、複数のローラー52と、これらローラー52をそれぞれ支持するローラーシャフト54と、ローラーシャフト54が固定されるローラーハウジング55とを備えている。ローラーハウジング55は環状の形状を有しており、リテーナリング20の上面に固定されている。ローラー52は、ローラーシャフト54に取り付けられた軸受57を有しており、ローラー52はローラーシャフト54を中心として回転自在となっている。
【0038】
静止リング91は、ローラー52の頂部に接触する円環レール92と、円環レール92が固定される環状のレールベース94とを備えている。円環レール92の下面には、環状溝95が形成されており、各ローラー52の頂部は環状溝95に接触している。レールベース94の上部には押圧ロッド31が連結されている。
【0039】
図5は、ローラー52と円環レール92とを示す斜視図であり、図6は、図5に示すローラー52と円環レール92を下から見た図である。本実施形態では、24個のローラー52が設けられている。ウェハの研磨中、これらのローラー52はリテーナリング20と一体に回転する一方で、円環レール92は静止している。したがって、各ローラー52は、円環レール92に転がり接触する。
【0040】
局所荷重付与装置30の荷重は円環レール92からローラー52に伝達される。ローラー52は荷重の作用点を通過する際にのみ局所荷重付与装置30の荷重を受けるので、各ローラー52に荷重が加わる時間は、ローラーの位置が固定された図10に示す従来の構成に比べて短くなる。よって、各ローラー52の寿命をより延ばすことができる。
【0041】
ローラー52の数は、ローラー52の外径と円環レール92の直径に基づいて決定される。荷重のスムーズな伝達のためには、ローラー52の数をできるだけ多くしてローラー52間の間隔が小さくなるようにした方がよい。ローラー52は滑らかな外周面を有しており、より大きな荷重を伝達できるようにするために、広い接触面積で円環レール92に接触している。円環レール92はローラー52上に置かれる。ローラー52は円環レール92に転がり接触する。円環レール92の横方向位置はローラー52の湾曲断面形状の角部と円環レール92の湾曲断面形状の隅との接触でガイドされる。この場合、局所荷重付与装置30の荷重は主に円環レール92からローラー52の外周面に伝達される。
【0042】
図4に示すように、ローラー52の軸受57の内輪を貫通するローラーシャフト54は、ローラーハウジング55の内側の壁と外側の壁に支持され、内側の壁に挿入されたねじ58で固定される。そのためローラーシャフト54には雌ねじが形成されており、雌ねじの反対側はねじ58の締結時に空回りしないようにマイナスドライバが嵌る溝54aが形成されている。回転リング51はリテーナリング20のドライブリング20bの上面に乗せられる。ドライブリング20bと回転リング51とは位置決めピン(図示せず)で位置決めされ、リテーナリング20に対して回転リング51が滑らない構造となっている。
【0043】
ローラー52は、ローラーシャフト54に取り付けられた軸受57と、軸受57の外輪に固定されたホイール59とから構成されている。ホイール59は、耐摩耗性の高い樹脂、例えばポリアセタール、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PPS(ポリエチレンサルファイド)、MCナイロン(登録商標)などの材料から構成される。円環レール92の材料はステンレス鋼(SUS304)などの耐食性の高い金属が好ましい。軸受57には単列深溝玉軸受が使用され、軸受57の外輪に樹脂製のホイール59を圧入することで、ホイール59が軸受57に取り付けられる。このような構成により、ローラー52は滑らかに回転することができ、かつ円環レール92を損傷させずに荷重を伝達できる。
【0044】
ローラーハウジング55の内部には環状凹部55aが形成されており、この環状凹部55a内に複数のローラー52が収容されている。各ローラー52の下面、両側面は、環状凹部55aによって囲まれている。回転リング51のローラーハウジング55と静止リング91のレールベース94との間にはシール100A,100Bが配置されている。より具体的には、円環レール92の外側には外側シール100Aが配置され、円環レール92の内側には内側シール100Bが配置されている。環状凹部55aを構成する両側面および底面には開口は存在せず、静止リング91と回転リング51との間にはシール100A,100Bが配置されている。したがって、ローラー52および円環レール92から発生する摩耗粉は環状凹部55a内に閉じ込められ、研磨パッド2上には落下しない。
【0045】
図4に示す実施形態では、外側シール100Aおよび内側シール100Bはラビリンスシールである。外側シール100Aは、円環レール92の外側に配置された第1の周壁101と、第1の周壁101の外側に配置された第2の周壁102とを備えている。第1の周壁101はローラーハウジング55から上方に延びており、ローラーハウジング55と一体に形成されている。第2の周壁102はレールベース94から下方に延びており、レールベース94と一体に形成されている。第1の周壁101と第2の周壁102との間には極めて微小な隙間が形成されている。内側シール100Bも同様に、円環レール92の内側に配置された第1の周壁101と、第1の周壁101の内側に配置された第2の周壁102とを備えている。
【0046】
他の実施形態として、図7に示すように、外側シール100Aは、静止リング91と回転リング51との間の隙間を塞ぐ接触式シールであってもよい。この接触式シールは、円環レール92の外側に配置された周壁104と、周壁104の外側に配置されたリップシール105とを備えている。周壁104はローラーハウジング55から上方に延びており、ローラーハウジング55と一体に形成されている。リップシール105はレールベース94から下方に延びており、ゴム、シリコーンなどの弾性材から構成されている。リップシール105の端部は周壁104に接触している。したがって、周壁104とリップシール105との間には隙間は形成されておらず、摩耗粉が環状凹部55aの外へ出ることが完全に防がれている。外側シール100Aのみならず、内側シール100Bも接触式シールとしてもよい。
【0047】
次に、研磨ヘッド1から摩耗粉を吸引するための吸引システムについて図8を参照して説明する。図8に示すように、研磨装置は、真空源(例えば真空ポンプ)Pに接続された吸引ライン108を備えている。この吸引ライン108の先端は、静止リング91に接続されている。
【0048】
図9は、吸引ライン108、静止リング91、および回転リング51の拡大断面図である。図9に示すように、静止リング91を構成する環状のレールベース94および円環レール92には、縦方向に貫通する通孔109が形成されている。この通孔109は、ローラーハウジング55の環状凹部55aによって形成される空間110に連通している。複数のローラー52は環状凹部55a内に収容される。
【0049】
吸引ライン108は、静止リング91に形成された上記通孔109に接続されており、したがって、吸引ライン108は、環状凹部55aによって形成される空間110に連通している。上述したように、ローラー52は、円環レール92に転がり接触するため、摩耗粉が発生する。この摩耗粉の大部分は環状凹部55a内に受け止められ、外部への漏出は最小限に抑制される。吸引ライン108は、環状凹部55a内に存在する摩耗粉を吸引し、ローラーハウジング55(すなわち、回転リング51)から摩耗粉を除去する。
【0050】
円環レール92に形成された通孔109は、ローラー52の摩耗を促進する可能性がある。そのため、通孔109は、円環レール92からローラー52に加わる荷重が最も小さくなる位置に設けられることが好ましい。理想的には、図8に示すように、通孔109は、押圧ロッド(押圧部材)31の反対側に位置していることが好ましい。複数の吸引ライン108を設けてもよい。メンテナンス作業の向上のためには、吸引ライン108は静止リング91から取り外し可能であることが好ましい。この場合、吸引ライン108と静止リング91との隙間を封止するためのシール(例えばOリング)を設けることが好ましい。
【0051】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0052】
1 研磨ヘッド(基板保持装置)
2 研磨パッド
2a 研磨面
3 研磨テーブル
5 研磨液供給ノズル
10 ヘッド本体
11 研磨ヘッドシャフト
15 旋回軸
20 リテーナリング
20a リング部材
20b ドライブリング
30 局所荷重付与装置
31 押圧ロッド
32 ブリッジ
33,34,35 エアシリンダ(荷重発生装置)
38 リニアガイド
39 ガイドロッド
40 ユニットベース
43 キャリア
45 弾性膜(メンブレン)
46 圧力室
47 球面軸受
48 内輪
49 外輪
51 回転リング
52 ローラー
54 ローラーシャフト
55 ローラーハウジング
55a 環状凹部
57 軸受
58 ねじ
59 ホイール
60 リテーナリング押圧機構
61 ピストン
62 ローリングダイヤフラム
63 圧力室
75 連結部材
76 軸部
78 スポーク
80 駆動カラー
91 静止リング
92 円環レール
94 レールベース
95 環状溝
100A 外側シール
100B 内側シール
101 第1の周壁
102 第2の周壁
104 周壁
105 リップシール
108 吸引ライン
109 通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11