(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記離脱工程において、前記第1基板の周部における保持位置で、前記第1基板を第1支持台に保持させるとともに、前記第2基板の周部における保持位置で、前記第2基板を第2支持台に保持させた状態で、前記第1支持台と前記第2支持台との少なくとも一方を他方から遠ざかる方向へ移動させることにより、前記第1基板の接合面を前記第2基板の接合面から離脱させる、
請求項1または2に記載の基板接合方法。
前記離脱工程において、更に、前記第1支持台と前記第2基板を保持する第2支持台との少なくとも一方を他方から遠ざかる方向へ移動させることにより、前記第1基板の接合面を前記第2基板の接合面から離脱させる、
請求項4に記載の基板接合方法。
前記離脱工程において、前記第1基板の周部と前記第2基板の周部との間の隙間に、前記第1基板および前記第2基板の周縁から前記第1基板および前記第2基板の中央部に向かう方向へ気体を吹き付ける、
請求項1から7のいずれか1項に記載の基板接合方法。
前記第1接触工程において、前記第2基板の前記第1基板との接合面の中央部が周部に比べて前記第1基板側に突出するように前記第2基板を撓ませた状態で、前記第2基板の接合面の中央部を前記第1基板の前記第2基板との接合面に接触させる、
請求項1から11のいずれか1項に記載の基板接合方法。
前記制御部は、前記第1基板の接合面の中央部を前記第2基板の前記第1基板との接合面に接触させた状態で、前記第1基板と前記第2基板との間の基板間距離を維持するように、前記支持台駆動部を制御し、
前記第1支持台は、前記第1基板の周部を保持することにより前記第1基板と前記第2基板との仮接合の進行を停止させる、
請求項13または14に記載の基板接合装置。
前記測定部は、前記第1基板の周部における、前記第1支持台および前記第2支持台に保持される保持位置に基づいて決定された測定位置において、前記位置ずれ量を測定する、
請求項15に記載の基板接合装置。
前記制御部は、前記第1保持部が前記第1基板の周部を保持するとともに、前記第2保持部が前記第2基板の周部を保持した状態で、前記第1支持台と前記第2支持台との少なくとも一方が前記第1支持台と前記第2支持台とが離れる第2方向へ移動するように、前記第1保持部、前記第2保持部および前記支持台駆動部を制御することにより、前記第1基板の接合面を前記第2基板の接合面から離脱させる、
請求項13から17のいずれか1項に記載の基板接合装置。
前記制御部は、前記第1基板の周部に対向するサブ保持部が前記第1基板を保持した状態から、前記第1基板の周部よりも中央部側における前記第1基板の中央部からの距離が長い保持位置に対向するサブ保持部から順に前記第1基板を保持するように、前記第1保持部を制御するとともに、前記第1支持台と前記第2支持台との少なくとも一方が前記第2方向へ移動するように、前記第1保持部、前記第2保持部および前記支持台駆動部を制御することにより、前記第1基板の接合面を前記第2基板の接合面から離脱させる、
請求項19記載の基板接合装置。
前記支持台駆動部が前記第1支持台と前記第2支持台との少なくとも一方を前記第1方向に移動させることにより前記第1基板の接合面の中央部と前記第2基板の接合面とが接触した状態において、前記第1基板と前記第2基板との重なり方向に直交する方向で前記第1基板の周部と前記第2基板の周部とに対向する位置に配置され、前記第1基板の周部と前記第2基板の周部との間の隙間に、前記第1基板および前記第2基板の周縁から前記第1基板および前記第2基板の中央部に向かう方向へ気体を吹き付ける第2気体吐出部を更に備え、
前記制御部は、更に、前記第1基板の接合面を前記第2基板の接合面から離脱させる際、前記第2気体吐出部から前記第1基板の周部と前記第2基板の周部との間の隙間に気体を吹き付けるように、前記第2気体吐出部の動作を制御する、
請求項13から20のいずれか1項に記載の基板接合装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る基板接合装置について、図を参照しながら説明する。
【0011】
本実施の形態に係る基板接合装置は、減圧下のチャンバ内で、2つの基板の接合面について活性化処理および親水化処理を行った後、基板同士を接触させて加圧および加熱することにより、2つの基板を接合する装置である。活性化処理では、基板の接合面に特定の粒子を当てることにより基板の接合面を活性化する。また、親水化処理では、活性化処理により活性化した基板の接合面近傍に水を供給することにより基板の接合面を親水化する。
【0012】
本実施の形態に係る基板接合システムは、
図1に示すように、導入ポート961と、取り出しポート962と、第1搬送装置930と、洗浄装置940と、外形アライメント装置800と、反転装置950と、接合面処理装置600と、基板接合装置100と、第2搬送装置920と、制御部700と、ロードロック室910と、を備える。第1搬送装置930内と洗浄装置940内と外形アライメント装置800には、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ(図示せず)が設置されており、それらの中はクリーンな大気圧環境となっている。一方、反転装置950内と接合面処理装置600内と基板接合装置100内とは、真空雰囲気に設定されている。制御部700は、第1搬送装置930、洗浄装置940、外形アライメント装置800、反転装置950、接合面処理装置600、基板接合装置100および第2搬送装置920を制御するものである。互いに接合される2つの基板301,302は、まず、導入ポート961に配置される。次に、基板301、302は、第1搬送装置930の大気搬送ロボット931により導入ポート961から洗浄装置940へ搬送され、洗浄装置940において基板301、302上に存在する異物を除去する洗浄が実施される。続いて、基板301、302は、大気搬送ロボット931により洗浄装置940から外形アライメント装置800へ搬送され、外形アライメント装置800においてそれらの外形のアライメントとともに基板厚さの測定が実施される。その後、基板301、302は、大気搬送ロボット931により大気開放されたロードロック室910内へ搬送される。そして、ロードロック室910内に存在する気体が排出されることによりロードロック室910内の真空度が第2搬送装置920内の真空度と同じになると、基板301,302は、第2搬送装置920により、接合面処理装置600、基板接合装置100へ搬送されていく。ここで、基板302は、反転装置950に搬送され反転装置950において表裏を反転されてから基板接合装置100へ搬送される。基板301、302は、接合面処理装置600においてそれらの接合面の活性化処理および親水化処理が実行される。その後、基板301、302は、基板接合装置100において互いに接合される。第2搬送装置920は、真空搬送ロボット921を有し、真空搬送ロボット921により基板301、302を、ロードロック室910から接合面処理装置600、接合面処理装置600から反転装置950または基板接合装置100へと搬送する。基板接合装置100において互いに接合された基板301、302は、真空搬送ロボット921により再びロードロック室910へ搬送される。その後、ロードロック室910が大気開放されると、互いに接合された基板301、302は、大気搬送ロボット931によりロードロック室910から取り出しポート962へ搬送される。
【0013】
外形アライメント装置800は、
図2Aに示すように、エッジ認識センサ810と、基板厚さ測定部802と、ステージ803と、を有する。ステージ803は、基板301、302が載置される載置面に直交する中心軸周りに回転可能となっている。エッジ認識センサ810は、レーザを用いて基板301、302のエッジを認識する。基板厚さ測定部802は、レーザ変位計から構成され、基板301、302に接触せずに基板301、302の厚さを測定する。外形アライメント装置800は、ステージ803を回転させることにより基板301、302を回転させながら(
図2Aの矢印AR11参照)、エッジ認識センサ810により基板301、302のエッジを認識するとともに、基板厚さ測定部802により基板301、302の厚さを測定する。
【0014】
接合面処理装置600は、
図2Bに示すように、チャンバ601と、活性化処理部610と、親水化処理部620と、基板301、302が載置されるステージ603と、を有する。チャンバ601は、排気管202Bと排気弁203Bとを介して真空ポンプ201に接続されている。排気弁203Bを開状態にして真空ポンプ201を作動させると、チャンバ601内の気体が、排気管202Bを通してチャンバ601外へ排出され、チャンバ601内の気圧が低減(減圧)される。活性化処理部610は、プラズマ発生源611と、トラップ板612と、バイアス電源613と、を有する。活性化処理部610は、プラズマ発生源611でプラズマを発生させたときにトラップ板612を通過したラジカルのみをステージ603へダウンフローさせる構成となっている。なお、プラズマ発生源611がICP(Inductively Coupled Plasma)装置であれば、コイルによりイオンがトラップされるためトラップ板を設けない場合もある。また、バイアス電源613は、ステージ603上に載置された基板301、302に交番電圧を印加することで、基板301、302の接合面近傍に運動エネルギを有するイオンを引き寄せ交番電界によりイオンが繰り返し基板301、302に衝突するシース領域が発生させる。そして、バイアス電源613により基板301、302の接合面近傍に発生した運動エネルギを有するイオンにより基板301、302の接合面をイオンエッチングした後、それらの接合面をラジカル処理することによりそれらの接合面に効率良くOH基を生成することが可能となる。
【0015】
親水化処理部620は、活性化処理部610によって活性化された基板301,302の接合面に水またはOH含有物質を付着させることにより、基板301,302の接合面を親水化させる。親水化処理部620は、チャンバ601内における基板301,302の接合面の周囲に水(H2O)を供給することにより親水化処理を実行する。親水化処理部620は、水蒸気発生装置621と、供給弁622と、供給管623と、を備えている。水蒸気発生装置621は、貯留された水の中にアルゴン(Ar)や窒素(N2)、ヘリウム(He)、酸素(O2)等のキャリアガスでバブリングすることにより水蒸気を生成する。水蒸気およびキャリアガスの流量は供給弁622の開度を制御することにより調整される。
【0016】
基板接合装置100は、
図3に示すように、チャンバ200とステージ(支持台、第1支持台)401とヘッド(支持台、第2支持台)402とステージ駆動部403とヘッド駆動部404と基板加熱部420と位置測定部500とを備える。また、基板接合装置100は、ステージ401とヘッド402との間の距離を測定する距離測定部(図示せず)と、気体を吐出するブロワ(第2気体吐出部)811と、を備える。なお、以下の説明において、適宜
図3の±Z方向を上下方向、XY方向を水平方向として説明する。
【0017】
チャンバ200は、排気管202Cと排気弁203Cとを介して真空ポンプ201に接続されている。排気弁203Cを開状態にして真空ポンプ201を作動させると、チャンバ200内の気体が、排気管202Cを通してチャンバ200外へ排出され、チャンバ200内の気圧が低減(減圧)される。また、排気弁203Cの開閉量を変動させて排気量を調節することにより、チャンバ200内の気圧(真空度)を調節することができる。また、チャンバ200の一部には、位置測定部500により基板301、302間における相対位置を測定するために使用される窓部503が設けられている。
【0018】
ステージ401とヘッド402とは、チャンバ200内において、Z方向において互いに対向するように配置されている。ステージ401は、その上面で基板301を支持し、ヘッド402は、その下面で基板302を支持する。なお、ステージ401の上面とヘッド402の下面とは、基板301、302のステージ401、ヘッド402との接触面が鏡面でステージ401、ヘッド402から剥がれにくい場合を考慮して、粗面加工が施されていてもよい。ステージ401およびヘッド402は、
図4Aに示すように、基板301、302を保持する保持機構(第1保持部、第2保持部)440と、基板301の中央部を押圧する第1押圧機構431と、基板302の中央部を押圧する第2押圧機構432と、を有する。保持機構440は、複数(
図4Aでは4つ)の円環状の吸着部(サブ保持部)440a、440b、440c、440dを有する真空チャックから構成されている。吸着部440a、440b、440c、440dは、ステージ401、ヘッド402における基板301、302が載置される領域に設けられている。吸着部440a、440b、440c、440dは、互いに径が異なり、同心円状に配置されている。基板301、302は、ステージ401、ヘッド402に設けられた吸着部440a、440b、440c、440dにより吸着された状態で、ステージ401、ヘッド402に保持される。ここで、吸着部440a、440bは、基板301、302の中央部に対向し、吸着部440c、440dは、基板301、302の周部に対向している。
【0019】
吸着部440a、440b、440c、440dは、各別に基板301、302を吸着している状態と、吸着しない状態と、をとりうる。例えばステージ401、ヘッド402の比較的内側に配置された吸着部440a、440bを真空吸着しない状態にして、ステージ401、ヘッド402の比較的外側に配置された吸着部440c、440dを真空吸着している状態にすることができる。また、ステージ401、ヘッド402の中心C1に最も近くに位置する吸着部440aの半径L1、吸着部440aと吸着部440aと外側で隣接する吸着部440bとの間の距離L2、吸着部440bと吸着部440bと外側で隣接する吸着部440cとの間の距離L3、吸着部440cと最も外側に位置する吸着部440dとの間の距離L4で、基板301、302の固定位置が決定される。
【0020】
第1押圧機構431は、
図4Bに示すように、ステージ401の中央部に設けられ、第2押圧機構432は、ヘッド402の中央部に設けられている。第1押圧機構431は、ヘッド402側へ出没可能な第1押圧部431aと、第1押圧部431aを駆動する第1押圧駆動部431bと、を有する。第2押圧機構432は、ステージ401側へ出没可能な第2押圧部432aと、第2押圧部432aを駆動する第2押圧駆動部432bと、を有する。押圧駆動部431b、432bとしては、例えば第1、第2押圧部431a、432aの一部が嵌入されたシリンダ内の空気圧を制御することにより第1、第2押圧部431a、432aを駆動する構成を採用できる。或いは、第1、第2押圧駆動部431b、432bとして、ボイスコイルモータを採用してもよい。第1、第2押圧部431a、432aにおける基板301、302に接触する頭頂部は、ドーム状の形状を有する。また、第1、第2押圧部431a、432aは、基板301、302に印加する圧力を一定に維持するよう制御する圧力制御と、基板301、302の接触位置を一定に維持するように制御する位置制御と、のいずれかがなされる。例えば、第1押圧部431aが位置制御され、第2押圧部432aが圧力制御されることにより、基板301、302が一定の位置で一定の圧力で押圧される。
【0021】
基板加熱部420は、ヒータ421、422から構成される。ヒータ421,422は、例えば電熱ヒータから構成される。ヒータ421,422は、ステージ401、ヘッド402に支持されている基板301,302に熱を伝達することにより基板301、302を加熱する。また、ヒータ421,422の発熱量を調節することにより、基板301,302やそれらの接合面の温度を調節できる。
【0022】
図3に戻って、ステージ駆動部403は、ステージ401をXY方向へ移動させたり、Z軸周りに回転させたりすることができる。
【0023】
ヘッド駆動部404は、ヘッド402を上方向(第2方向)または下方向(第1方向)(
図3の矢印AR1参照)に昇降させる昇降駆動部(支持台駆動部)406と、ヘッド402をXY方向へ移動させるXY方向駆動部405と、ヘッド402をZ軸周りの回転方向(
図3の矢印AR2参照)に回転させる回転駆動部407と、を有する。XY方向駆動部405と回転駆動部407とから、基板301の基板302に対する上下方向に直交する方向(XY方向、Z軸周りの回転方向)における相対位置を調整する位置調整部を構成する。また、ヘッド駆動部404は、ヘッド402のステージ401に対する傾きを調整するためのピエゾアクチュエータ411と、ヘッド402に加わる圧力を測定するための第2圧力センサ412と、を有する。XY方向駆動部405および回転駆動部407が、X方向、Y方向、Z軸周りの回転方向において、ヘッド402をステージ401に対して相対的に移動させることにより、ステージ401に保持された基板301とヘッド402に保持された基板302とのアライメントが可能となる。
【0024】
昇降駆動部406は、ヘッド402を下方向へ移動させることにより、ステージ401とヘッド402とを互いに近づける。また、昇降駆動部406は、ヘッド402を上方向に移動させることにより、ステージ401とヘッド402とを離れさせる。昇降駆動部406がヘッド402を下方向へ移動させることにより、ステージ401に保持された基板301とヘッド402に保持された基板302とが接触する。そして、基板301、302同士が接触した状態において昇降駆動部406がヘッド402に対してステージ401に近づく方向への駆動力を作用させると、基板302が基板301に押し付けられる。また、昇降駆動部406には、昇降駆動部406がヘッド402に対してステージ401に近づく方向へ作用させる駆動力を測定する第1圧力センサ408が設けられている。第1圧力センサ408の測定値から、昇降駆動部406により基板302が基板301に押し付けられたときに基板301、302の接合面に作用する圧力が検出できる。第1圧力センサ408は、例えばロードセルから構成される。
【0025】
ピエゾアクチュエータ411、第2圧力センサ412は、それぞれ
図5Aに示すように、3つずつ存在する。3つのピエゾアクチュエータ411と3つの第2圧力センサ412とは、ヘッド402とXY方向駆動部405との間に配置されている。3つのピエゾアクチュエータ411は、ヘッド402の上面における同一直線上ではない3つの位置、平面視円形のヘッド402の上面の周部においてヘッド402の周方向に沿って等間隔に並んだ3つの位置に固定されている。3つの第2圧力センサ412は、それぞれピエゾアクチュエータ411の上端部とXY方向駆動部405の下面とを接続している。3つのピエゾアクチュエータ411は、各別に上下方向に伸縮可能である。そして、3つのピエゾアクチュエータ411が伸縮することにより、ヘッド402のX軸周りおよびY軸周りの傾きとヘッド402の上下方向の位置とが微調整される。例えば
図5Bの破線で示すように、ヘッド402がステージ401に対して傾いている場合、3つのピエゾアクチュエータ411のうちの1つを伸長させて(
図5Bの矢印AR3参照)ヘッド402の姿勢を微調整することにより、ヘッド402の下面とステージ401の上面とが平行な状態にすることができる。また、3つの第2圧力センサ412は、ヘッド402の下面における3つの位置での加圧力を測定する。そして、3つの第2圧力センサ412で測定された加圧力が等しくなるように3つのピエゾアクチュエータ411それぞれを駆動することにより、ヘッド402の下面とステージ401の上面とを平行に維持しつつ基板301、302同士を接触させることができる。
【0026】
距離測定部は、レーザ距離計から構成され、ステージ401およびヘッド402に接触せずにステージ401とヘッド402との間の距離を測定する。具体的には、例えばヘッド402が透明である場合、距離測定部は、ヘッド402の上方からステージ401に向かってレーザ光を照射したときのステージ401の上面での反射光とヘッド402の下面での反射光との差分からステージ401とヘッド402との間の距離を測定する。距離測定部は、
図5Aに示すように、ステージ401の上面における3箇所の部位P11、P12、P13と、ヘッド402の下面における、Z方向において部位P11、P12、P13に対向する3箇所の部位P21、P22、P23との間の距離を測定する。
【0027】
図3に戻って、位置測定部(測定部)500は、上下方向に直交する方向(XY方向、Z軸周りの回転方向)における、基板301と基板302との位置ずれ量を測定する。位置測定部500は、複数(
図3では2つ)の第1撮像部501、第2撮像部502と、ミラー504、505と、を有する。第1撮像部501、第2撮像部502は、それぞれ、撮像素子(図示せず)と同軸照明系とを有している。第1撮像部501、第2撮像部502の同軸照明系の光源としては、基板301、302およびステージ401、チャンバ200に設けられた窓部503を透過する光(例えば赤外光)を出射する光源が用いられる。
【0028】
例えば
図6Aおよび
図6Bに示すように、基板(第1基板)301には、2つのマーク(以下「アライメントマーク」と称する。)MK1a、MK1bが設けられ、基板(第2基板)302には、2つのアライメントマークMK2a、MK2bが設けられている。基板接合装置100は、位置測定部500により両基板301、302に設けられた各アライメントマークMK1a、MK1b、MK2a、MK2bの位置を認識しながら、両基板301、302の位置合わせ動作(アライメント動作)を実行する。より詳細には、基板接合装置100は、まず、位置測定部500により基板301、302に設けられたアライメントマークMK1a、MK1b、MK2a、MK2bを認識しながら、基板301、302の大まかなアライメント動作(ラフアライメント動作)を実行して、2つの基板301、302を対向させる。その後、基板接合装置100は、2つの基板301、302が対向した状態で、位置測定部500により2つの基板301、302に設けられたアライメントマークMK1a、MK2a、MK1b、MK2bを同時に認識しながら。更に精緻なアライメント動作(ファインアライメント動作)を実行する。
【0029】
ここにおいて、
図3に示すように、撮像部(第1撮像部)501の同軸照明系の光源(図示せず)から出射された光は、ミラー504で反射されて上方に進行し、窓部503および基板301、302の一部あるいは全部を透過する(
図3の破線矢印SC1、SC2参照)。基板301、302の一部あるいは全部を透過した光は、基板301、302のアライメントマークMK1a,MK2aで反射され、下向きに進行し、窓部503を透過してミラー504で反射されて第1撮像部501の撮像素子に入射する。また、撮像部(第2撮像部)502の同軸照明系の光源(図示せず)から出射された光は、ミラー505で反射されて上方に進行し、窓部503および基板301、302の一部あるいは全部を透過する。基板301、302の一部あるいは全部を透過した光は、基板301、302のアライメントマークMK1a,MK2aで反射され、下向きに進行し、窓部503を透過してミラー505で反射されて第2撮像部502の撮像素子に入射する。このようにして、位置測定部500は、
図7Aに示すように、2つの基板301、302のアライメントマークMK1a,MK2aを含む撮影画像GAaと、2つの基板301、302のアライメントマークMK1b,MK2bを含む撮影画像GAbと、を取得する。なお、第1撮像部501による撮影画像GAaの撮影動作と第2撮像部502による撮影画像GAbの撮影動作とは、同時に実行される。また、基板301、302の位置ずれ量を測定する測定位置は、基板301の周部におけるステージ401に吸着(保持)される吸着位置(保持位置)に基づいて決定されている。具体的には、基板301、302が吸着部440c、440dで吸着されている場合、基板301、302の位置ずれ量を測定する測定位置は、少なくとも吸着部440cの内側に設定される。
【0030】
ブロワ811は、ステージ401およびヘッド402の側方に配置され、ステージ401の上面およびヘッド402の下面に平行であり且つステージ401、ヘッド402の中央部に向けて気体を吐出する。ブロワ811が吐出する気体は、通常窒素や不活性ガスであるが、親水化接合においては水分を含有するガスが好ましい場合もある。
【0031】
制御部700は、
図8に示すように、MPU(Micro Processing Unit)701と、主記憶部702と、補助記憶部703と、インタフェース704と、各部を接続するバス705と、を有する。主記憶部702は、揮発性メモリから構成され、MPU701の作業領域として使用される。補助記憶部703は、不揮発性メモリから構成され、MPU701が実行するプログラムを記憶する。また、補助記憶部703は、後述する基板301、302の相対的な算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθに対して予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthも記憶する。以下インタフェース704は、第1圧力センサ408、第2圧力センサ412、距離測定部801、基板厚さ測定部802およびエッジ認識センサ810から入力される測定信号を測定情報に変換してバス705へ出力する。また、インタフェース704は、第1撮像部501および第2撮像部502から入力される撮影画像信号を撮影画像情報に変換してバス705へ出力する。また、MPU701は、補助記憶部703が記憶するプログラムを主記憶部702に読み込んで実行することにより、インタフェース704を介して、保持機構440、ピエゾアクチュエータ411、第1押圧駆動部431b、第2押圧駆動部432b、基板加熱部420、ステージ駆動部403、ヘッド駆動部404、ブロワ811、活性化処理部610、親水化処理部620、真空搬送ロボット921、大気搬送ロボット931それぞれへ制御信号を出力する。
【0032】
制御部700は、
図7Bに示すように、第1撮像部501から取得した撮影画像GAaに基づいて、基板301、302に設けられた1組のアライメントマークMK1a,MK2a相互間の位置ずれ量Δxa、Δyaを算出する。なお、
図7Bは、1組のアライメントマークMK1a,MK2aが互いにずれている状態を示している。同様に、制御部700は、第2撮像部502から取得した撮影画像GAbに基づいて、基板301、302に設けられた他の1組のアライメントマークMK1b,MK2b相互間の位置ずれ量Δxb、Δybを算出する。
【0033】
その後、制御部700は、これら2組のアライメントマークの位置ずれ量Δxa、Δya、Δxb、Δybと2組のマークの幾何学的関係とに基づいて、X方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向における2つの基板301、302の相対的な位置ずれ量Δx、Δy、Δθを算出する。そして、制御部700は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθが低減されるように、ヘッド402をX方向およびY方向へ移動させたり、Z軸周りに回転させたりする。これにより、2つの基板301、302の相対的な位置ずれ量Δx、Δy、Δθが低減される。このようにして、基板接合装置100は、2つの基板301、302の水平方向における位置ずれ量Δx、Δy、Δθを補正するファインアライメント動作を実行する。
【0034】
次に、本実施の形態に係る基板接合装置100が実行する基板接合処理について
図9乃至
図14Bを参照しながら説明する。この基板接合処理は、制御部700により基板接合処理を実行するためのプログラムを起動されたことを契機として開始される。なお、
図9においては、基板301,302が、第1搬送装置930により外形アライメント装置800内に搬送されているものとする。
【0035】
まず、外形アライメント装置800は、
図9に示すように、基板厚さ測定部802により、基板301、302それぞれの厚さt1、t2を測定する(ステップS1)。このとき、基板厚さ測定部802は、基板301、302の複数箇所(例えば3箇所)における厚さを測定する。そして、制御部700が、各基板301、302について、基板厚さ測定部802が測定した複数の測定値の平均値を厚さt1、t2(
図10参照)として算出する。そして、厚さの測定が完了した各基板301、302は、第2搬送装置920の真空搬送ロボット921により、外形アライメント装置800からロードロック室910へ搬送される。そして、ロードロック室910内に存在する気体が排出されることによりロードロック室910内の真空度が第2搬送装置920内の真空度と同じになると、基板301,302は、第2搬送装置920により、接合面処理装置600へ搬送される。
【0036】
次に、接合面処理装置600は、活性化処理部610により基板301、302の接合面を活性化する活性化処理を実行し、親水化処理部620により基板301、302の接合面を親水化する親水化処理を実行する(親水化処理工程)(ステップS2)。ここでは、まず、活性化処理部610が、運動エネルギを有するイオンを基板301、302の接合面に衝突させることにより、基板301、302の接合面を活性化させる。そして、親水化処理部620が、水蒸気発生装置621で生成した水蒸気をキャリアガスとともに供給管623を通してチャンバ200内に導入する。これにより、基板301、302の接合面に水酸基(OH基)で終端化された層が形成される。
【0037】
続いて、基板接合装置100は、距離測定部801により、ステージ401およびヘッド402に基板301、302が保持されていない状態で、ステージ401の上面とヘッド402の下面との間の距離を測定する(ステップS3)。このとき、距離測定部801は、
図5Aに示すようにステージ401の上面における3箇所の部位P11、P12、P13とヘッド402の下面における対応する3箇所の部位P21、P22、P23との間の距離それぞれを測定する。そして、制御部700が、距離測定部801が測定した3つの測定値の平均値を距離G1(
図10参照)として算出する。
【0038】
その後、活性化処理および親水化処理の完了した基板301、302が、第2搬送装置920の真空搬送ロボット921により、接合面処理装置600から基板接合装置100へ搬送されると、基板接合装置100は、基板301、302を保持する(ステップS4)。このとき、基板301、302は、例えば
図11Aの矢印で示すように、ステージ401、ヘッド402に設けられた吸着部440a、440b、440c、440d全てにより吸着された状態で、ステージ401、ヘッド402に保持される。ここにおいて、基板接合装置100は、基板301、302に対して前述のラフアライメント動作を実行する。
【0039】
次に、基板接合装置100は、ステージ401とヘッド402との間の距離G1と基板301、302の厚さt1、t2とから、基板301、302間の距離を算出する(ステップS5)。ここにおいて、制御部700が、基板301,302の厚さt1、t2と、ステージ401とヘッド402との間の距離G1と、から基板301、302間の距離G2(
図10参照)を算出する。
【0040】
図9に戻って、続いて、基板接合装置100は、ヘッド402を下方向へ移動させて基板301、302同士を近づける(ステップS6)。基板接合装置100は、
図11Bに示すように、基板301、302間の距離が距離G2よりも短い距離G11となるまでヘッド402を下方向へ移
動させる。この距離G11は、後述のように基板301、302を撓ませることにより基板301、302同士が接触しうる距離に設定されている。距離G11は、例えば30μm程度に設定される。また、基板接合装置100は、算出した基板301、302間の距離G2から基板301、302間の距離を距離G11にするためのヘッド402の移動量を算出し、算出した移動量だけヘッド402を動かす。
【0041】
その後、基板接合装置100は、位置測定部500により、基板301、302の相対的な位置ずれ量を測定する(ステップS7)。ここにおいて、制御部700は、まず、位置測定部500の第1撮像部501および第2撮像部502から、非接触状態における2つの基板301、302(
図11B参照)の撮影画像GAa,GAb(
図7A参照)を取得する。そして、制御部700は、2つの撮影画像GAa,GAbに基づいて、2つの基板301、302のX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向の位置ずれ量Δx、Δy、Δθそれぞれを算出する。具体的には、制御部700は、例えばZ方向に離間したアライメントマークMK1a,MK2aを同時に読み取った撮影画像GAaに基づき、ベクトル相関法を用いて位置ずれ量Δxa、Δya(
図7B参照)を算出する。同様に、Z方向に離間したアライメントマークMK1b,MK2bを同時に読み取った撮影画像GAbに基づき、ベクトル相関法を用いて位置ずれ量Δxb、Δyb(
図7B参照)を算出する。そして、制御部700は、位置ずれ量Δxa、Δya、Δxb、Δybに基づいて、2つの基板301、302の水平方向における位置ずれ量Δx、Δy、Δθを算出する。
【0042】
次に、基板接合装置100は、算出した基板301、302の相対的な位置ずれ量Δx、Δy、Δθを補正するように基板302を基板301に対して相対的に移動させることにより、位置合わせを実行する(ステップS8)。ここにおいて、基板接合装置100は、ステージ401を固定した状態で、位置ずれ量Δx、Δy、Δθが解消するように、ヘッド402をX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向へ移動させる。
【0043】
次に、基板接合装置100は、基板301、302が距離G11だけ離間した状態で、基板301、302を撓ませる(ステップS9)。基板接合装置100は、例えば
図12Aに示すように、基板301の接合面の周部301sに対して中央部301cが基板302側に突出する形で、基板301を撓ませる。このとき、基板接合装置100は、ステージ401の周縁側の2つの吸着部440c、440dにより基板301を吸着させつつ、ステージ401の中央部側の2つの吸着部440a、440bによる基板301の吸着を停止させる(
図12Aの矢印AR41、AR42参照)。このとき、基板接合装置100は、基板301、302の周部における基板301、302の中央部からの距離が異なる2つの吸着位置(保持位置)で、基板301、302をステージ401、ヘッド402に保持させている。そして、基板接合装置100は、基板301の周部301sをステージ401に吸着(保持)させた状態で、第1押圧部431aにより基板301の中央部を基板302側に押圧する。これにより、基板301は、その接合面の中央部301cが基板302側に突出するように撓む。また、基板接合装置100は、例えば
図12Aに示すように、基板302の接合面の周部302sに対して中央部302cが基板301側に突出する形で、基板302を撓ませる。このとき、基板接合装置100は、ヘッド402の周縁側の2つの吸着部440c、440dにより基板302を吸着させつつ、ヘッド402の中央部側の2つの吸着部440a、440bによる基板302の吸着を停止させる(
図12Aの矢印AR41、AR42参照)。そして、基板接合装置100は、基板302の周部302sをヘッド402に吸着(保持)させた状態で、第2押圧部432aにより基板302の中央部を基板301側に押圧する。これにより、基板302は、その接合面の中央部302cが基板301側に突出するように撓む。
【0044】
ここで、4つの吸着部440a、440b、440c、440dそれぞれの吸着動作は、基板301の基板302からの剥がし易さと、基板301、302同士の仮接合に起因した位置ずれが生じる位置と、基板301と基板302とが仮接合した状態で基板302の基板301に対する振動が停止する位置と、に基づいて決定される。基板301、302同士が仮接合した領域の面積が所定の大きさの第1面積よりも大きい場合、基板302が基板301から剥がれなくなる。一方、基板301、302同士が仮接合した領域の面積が第1面積よりも小さい所定の大きさの第2面積未満の場合、基板301、302同士の仮接合に起因した位置ずれが生じない、或いは、基板301、302同士が仮接合した領域の面積が第1面積よりも小さい所定の大きさの第3面積未満の場合、基板302が基板301に対して振動してしまう。そして、4つの吸着部440a、440b、440c、440dそれぞれは、基板301、302同士が仮接合した領域の面積が第2面積以上第1面積以下となるように、吸着動作を行う。本実施の形態では、吸着部440c、440dに基板301、302を吸着させ、吸着部440a、440bによる基板301、302の吸着を停止させているが、前述の「基板301の基板302からの剥がし易さ」、「基板301、302同士の仮接合に起因した位置ずれが生じる位置」および「基板301と基板302とが仮接合した状態で基板302の基板301に対する振動が減衰する位置」によっては、吸着部440dのみに基板301、302を吸着させ、吸着部440a、440b、440cによる基板301、302の吸着を停止させたほうが好ましい場合もある。或いは、吸着部440b、440c、440dに基板301、302を吸着させ、吸着部440aによる基板301、302の吸着のみを停止させたほうが好ましい場合もある。本実施の形態に係る基板接合装置100では、基板301、302について決定された最適な吸着位置において基板301、302が吸着されるように、複数の吸着部440a、440b、440c、440dそれぞれの吸着動作を制御することが可能である。
【0045】
そして、基板接合装置100は、ステージ401の第1押圧部431aの突出量とヘッド402の第2押圧部432aの突出量を増加させることにより、2つの基板301、302の接合面の中央部同士を接触させる(ステップS10)。即ち、基板接合装置100は、
図12Aに示すように、基板301の基板302との接合面の中央部が周部に比べて基板302側に突出するように基板301を撓ませた状態で、基板301の接合面の中央部を基板302の基板301との接合面に接触させる(第1接触工程)。その後、基板301と基板302との仮接合は同芯状に波が広がるかのように徐々に外側へと進んでいく。ここで、基板接合装置100は、基板301の周部を保持することにより基板301と基板302との仮接合の進行を停止させている(仮接合停止工程)。ここで、「仮接合状態」とは、基板302を基板301から離脱させることができる状態で、基板301、302同士が接合している状態を意味する。そして、基板301の接合面の中央部の基板302側への突出量と基板301の接合面における吸着位置(保持位置)とは、基板301の接合面と基板302の接合面との接触領域の大きさが基板301の接合面を基板302の接合面から離脱させることができる大きさになるように設定されている。なお、本実施の形態に係る基板接合方法のような親水化接合を採用する場合、基板301、302の接合面に存在するOH基同士の接合に至る前段階の基板301、302間に水分子が介在した状態は、基板302の基板301から剥離と基板301、302同士の貼り合わせとを何回も繰り返すことができるいわゆる仮接合状態である。そして、この仮接合状態から基板301、302の接合面に存在するOH基同士が接合した状態(本接合)へ移行させるには、基板301、302を貼り合わせた状態で所定の大きさ以上の圧力を加えたり、加熱したりすることにより基板301、302間に存在する水分子を除去してOH基同士が接合した状態にする必要がある。
【0046】
続いて、基板接合装置100は、位置測定部500により、基板301の基板302に対する位置ずれ量を測定する(測定工程)(ステップS11)。このステップS11で実行される処理は、前述のステップS7で実行される処理と同様である。
【0047】
その後、基板接合装置100は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であるか否かを判定する(ステップS12)。ここにおいて、制御部700が、まず、補助記憶部703が記憶する位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthと、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθと、を比較する。そして、制御部700は、比較結果に基づいて、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが、それぞれ対応する位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であるか否かを判定する。
【0048】
基板接合装置100により、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθのいずれかが、予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthよりも大きいと判定されたとする(ステップS12:No)。この場合、基板接合装置100は、基板302の接合面を基板301の接合面から離脱させる(離脱工程)(ステップS13)。このとき、基板接合装置100は、ヘッド402を上昇させて基板301、302間の隙間を広げつつ、第1押圧部431aをステージ401に埋没させる方向(
図12Bの矢印AR51参照)へ移動させるとともに、第2押圧部432aをヘッド402に埋没させる方向(
図12Bの矢印AR52参照)へ移動させる。ここにおいて、基板接合装置100は、基板302を基板301から剥がす際の基板302の引っ張り圧力が一定となるようにヘッド402の上昇を制御する。また、基板接合装置100は、ステージ401の中央部側の2つの吸着部440a、440bの両方による基板301の吸着を再開させる(
図12Bの矢印AR61参照)。また、基板接合装置100は、ヘッド402の中央部側の吸着部440a、440bの両方による基板302の吸着を再開させる(
図12Bの矢印AR62参照)。ここで、基板接合装置100が基板301、302の吸着を再開するタイミングは、基板301、302間の隙間を広げつつ第1押圧部431aをステージ401に埋没させ第2押圧部432aをヘッド402に埋没させるタイミングの前後のタイミングであってもよいし、同時であってもよい。このとき、基板接合装置100は、ブロワ811により、基板301の周部と基板302の周部との間の隙間に、基板301、302の周縁から基板301、302の中央部に向かう方向へ気体を吹き付ける(
図12Bの矢印AR6参照)。このとき、ブロワ811により気体を吹き付ける圧力と吸着部440a、440bが吸着する引圧との差圧から、基板302が基板301から剥がれる方向への力が生じる。これにより、
図13に示すように、基板302が基板301から離脱し、基板301と基板302との接触状態が解除される。
【0049】
続いて、基板接合装置100は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てを位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下にするための基板301、302の補正移動量を算出する(ステップS14)。ここにおいて、制御部700は、基板302を基板301に接触させた状態での基板301と基板302との位置ずれ量Δx、Δy、Δθと、基板302が基板301に接触していない状態での基板301と基板302との位置ずれ量との差分に相当する移動量だけ移動させるような補正移動量を算出する。このように、基板301、302同士が接触した状態での位置ずれ量と基板301、302が接触していない状態での位置ずれ量との差分に相当する移動量だけオフセットしてアライメントすることにより、再度基板301、302同士が接触したときに同様の基板301、302の接触による位置ずれが発生すれば基板301、302の位置ずれが無くなることになる。
【0050】
その後、基板接合装置100は、2つの基板301、302の非接触状態、即ち2つの基板301、302が水平方向において自由に移動可能な状態において、2つの基板301、302の相対的な位置ずれ量Δx、Δy、Δθを補正するように、位置合わせを実行する(ステップS15)。ここにおいて、基板接合装置100は、ステージ401が固定された状態で、ヘッド402をステップS14で算出された補正移動量だけX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向に移動させる。このようにして、基板接合装置100は、基板301の接合面と基板302の接合面とが離間した状態で、基板301、302の位置ずれ量が小さくなるように基板302の基板301に対する相対位置を調整する(位置調整工程)。そして、基板接合装置100は、再びステップS9の処理を実行する。
【0051】
一方、基板接合装置100により、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが、予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であると判定されたとする(ステップS12:Yes)。この場合、基板接合装置100は、2つの基板301、302を加圧および加熱することにより基板301、302同士をいわゆる本接合する接合処理を実行する(接合工程)(ステップS16)。ここにおいて、基板接合装置100は、例えば
図12Aに示す状態から、
図14Aに示すように基板301、302を吸着している吸着部440c、440dのうち、ステージ401およびヘッド402の中央部側の吸着部440cを停止させる。即ち、基板接合装置100は、基板301、302の周部における基板301、302の中央部からの距離が短い吸着位置(保持位置)から順に基板301、302の吸着(保持)を停止させていくことにより、基板301の周部と基板302の周部とを接触させる。これにより、基板301、302同士の接触部分が、基板301、302の中央部から周縁側に向かって広がっていく。次に、基板接合装置100は、
図14Bに示すように、基板301、302を吸着している吸着部440dを停止させることにより、基板301、302の接合面全体が接触した状態にする(第2接触工程)。その後、基板接合装置100は、基板301、302の接合面全体が互いに接触した状態で、基板301、302に圧力を加えるとともに、ヒータ421、422により基板301、302を加熱する。つまり、基板接合装置100は、ステップS9乃至S15において、基板301、302の位置ずれ量が位置ずれ量閾値以下になるまで、基板301、302同士の接触、位置ずれ量の測定、基板302の基板301からの離脱および基板301、302の位置合わせを実行する。その後、基板接合装置100は、基板302の接合面の中央部が基板301の接合面の中央部に接触した状態で、基板301の周部を基板302の周部に接触させる。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態に係る基板接合装置100は、基板301(302)の接合面の中央部301c(302c)が周部301s(302s)に比べて基板302(301)側に突出するように基板301(302)を撓ませる。そして、基板接合装置100は、この状態で、基板301(302)の接合面の中央部を基板302(301)の接合面に接触させる。ここで、基板接合装置100は、基板301(302)の周部を保持することにより基板301と基板302との仮接合の進行を停止させる。そして、基板接合装置100は、基板301の基板302に対する位置ずれ量を測定してから、基板302の接合面を基板301の接合面から離脱させる。これにより、基板301と基板302とのそれらの中央部から周部に向かって進む接合の進行が停止されているので、基板301と基板302との中央部が接触し且つ基板301と基板302との周部が互いに離間したような形状が作り出される。従って、基板接合装置100が基板301の接合面を基板302の接合面から離脱させようとしたときに、基板301の接合面は、基板301と基板302との周部から中央部に向かって除々に基板302の接合面から剥がれていく。よって、基板302が基板301に張り付いて剥がれなくなることが抑制される。また、基板301の接合面の中央部301cが周部301sに比べて基板302側に突出するように基板301を撓ませるとともに、基板302の接合面の中央部302cが周部302sに比べて基板301側に突出するように基板302を撓ませる。これにより、基板301、302の両方が同じ形状に撓まされるため、基板301または基板302に加わる歪みが低減される。
【0053】
ところで、基板301、302の接合面同士が仮接合した状態において、基板301の周部と基板302の周部との間にカッターの刃のような楔状のものを入れて基板301、302の周部から徐々に剥がすことが可能であることが見出した。しかしながら、この場合、楔状のものが基板301、302の接合面に接触してしまうため、基板301、302の接合面が損傷し、基板301、302の接合不良の原因となる虞がある。これに対して、本実施の形態に係る基板接合装置100によれば、基板301、302の裏面における基板301、301の周縁から一定の位置を吸着保持する。これにより、基板301、302同士の接合において、基板301、302の接合面を損傷させることなく、基板301の周部と基板302の周部との間の隙間を確保することができる、即ち、基板301、302の形状を基板301の周部と基板302の周部との間にカッターの刃のような楔状のものを入れた場合と同様な形状にすることができる。
【0054】
また、一方、基板301、302同士が仮接合した領域の面積が第1面積よりも小さい所定の大きさの第2面積未満の場合、基板301、302同士の仮接合に起因した位置ずれが生じない、或いは、基板302が基板301に対して振動してしまう。そこで、本実施の形態に係る基板接合装置100では、基板301、302の間の基板間距離と、基板301、302の吸着位置と、が、基板301、302とが仮接合することに起因して基板301の基板302に対する位置ずれが発生するように決定されている。更に、基板301、302の間の基板間距離と、基板301、302の吸着位置と、は、基板301の基板302に対する振動が減衰するように決定されている。具体的には、基板接合装置100の吸着位置は、基板301、302同士が仮接合した領域の面積が第2面積、第3面積以上となるように決定されている。これにより、基板301、302の位置ずれ量の測定精度が向上するので、基板301、302同士を高い位置精度で接合することができる。
【0055】
基板301、302同士が仮接合した領域の面積が所定の大きさの第1面積よりも大きい場合、基板302が基板301から剥がれなくなる。そこで、本実施の形態に係る基板接合装置100では、基板301(302)の接合面の中央部の基板302(301)側への突出量と、基板301(302)の接合面における吸着位置とが、基板301の接合面と基板302の接合面との接触領域の大きさが基板302を基板301から離脱させることができる大きさになるように設定されている。具体的には、基板接合装置100の吸着位置は、基板301、302同士が仮接合した領域の面積が第1面積以下となるように決定されている。これにより、基板接合装置100が基板301の接合面を基板302の接合面から離脱させる際、基板301または基板302に加わる歪みが低減されるので、基板301または基板302の破損が抑制される。
【0056】
また、本実施の形態に係る基板接合装置100は、基板301の接合面を基板302の接合面から離脱させる際、ブロワ811により、基板301の周部と基板302の周部との間の隙間に、基板301、302の周縁から基板301、302の中央部に向かう方向へ気体を吹き付ける。これにより、基板接合装置100が基板301の接合面を基板302の接合面から離脱させる際、基板302が基板301から離脱し易くなるので、基板301または基板302に加わる歪みが低減される。
【0057】
更に、本実施の形態に係る基板接合装置100は、基板301の周部における基板301の中央部からの距離が異なる4つの吸着位置で、基板301をステージ401に保持させ、基板302の周部における基板302の中央部からの距離が異なる4つの吸着位置で、基板302をヘッド402に保持させる。そして、基板接合装置100は、基板301、302の周部における基板301、302の中央部からの距離が短い吸着位置から順に基板301、302の吸着保持を停止させていくことにより、基板301(302)の周部を基板302(301)の周部に接触させる。ここにおいて、撓んでいた一方の基板301(302)は、元の平板状に復元する過程でその中央部から基板301、302の周縁側に向けて順次他方の基板302(301)に接触していく。これにより、2つの基板301、302間に存在する空気は、一方の基板301(302)が平板状に復元する過程で基板301、302の周縁側へ押し出される。従って、基板301、302同士が接合されたときに、基板301、302間への気体の入り込みが防止される。そして、2つの基板301,302間への気体の入り込みが防止されることにより、接合された2つの基板301、302間でのいわゆるボイドの発生が抑制される。
【0058】
(変形例)
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は前述の各実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、補正移動量は、基板302の基板301に対する位置ずれ量を引数とする関数により決定されてもよい。なお、この関数の引数として、基板302の基板301に対する位置ずれ量以外のパラメータを含んでもよい。このようなパラメータとしては、例えばステージ401やヘッド402の移動機構に固有の誤差や位置測定部500の誤差等を示すパラメータが挙げられる。
【0059】
実施の形態に係る基板接合装置100は、基板302の接合面を基板301の接合面から離脱させるとき、ステージ401の2つの吸着部440a、440bの両方で基板301の吸着を再開させるとともに、ヘッド402の2つの吸着部440a、440bの両方で基板302の吸着を再開させる例について説明した。但し、基板接合装置100が、基板302の接合面を基板301の接合面から離脱させる方法はこれに限定されない。例えば基板接合装置100が、ステージ401の吸着部440a、440bとヘッド402の吸着部440a、440bとを停止した状態でヘッド402をステージ401から遠ざけて基板302の接合面を基板301の接合面から離脱させてもよい。即ち、基板接合装置100は、基板301の周部における保持位置で、基板301をステージ401に保持させるとともに、基板302の周部における保持位置で、基板302をヘッド402に保持させる。そして、基板接合装置100は、この状態で、ヘッド402をステージ401から遠ざかる方向(上方)へ移動させることにより、基板301の接合面を基板302の接合面から離脱させる。ここにおいて、基板接合装置100の制御部700は、ステージ401の吸着部440c、440dが基板301の周部を吸着するとともに、ヘッド402の吸着部440c、440dが基板302の周部を吸着するように、保持機構440を制御する。そして、制御部700は、この状態で、ヘッド402が上方へ移動するようにヘッド駆動部404を制御することにより、基板301の接合面を基板302の接合面から離脱させる。なお、基板接合装置100は、ステージ401をヘッド402から遠ざかる方向(下方)へ移動させることにより、基板301の接合面を基板302の接合面から離脱させる構成であってもよい。
【0060】
或いは、基板接合装置100が、基板302の接合面を基板301の接合面から離脱させるとき、基板301の周部における吸着部440c、440dで、基板301をステージ401に保持させた状態から、基板301の周部よりも中央部側に位置する、基板301の中央部からの距離が長い吸着部から順に、基板301を保持させることにより、基板301の接合面を基板302の接合面から離脱させる構成であってもよい。即ち、基板接合装置100は、ステージ401の吸着部440bに基板301を吸着保持させてから、ステージ401の吸着部440aに基板301を吸着保持させる構成であってもよい。また、基板接合装置100は、ヘッド402の吸着部440bに基板301を吸着保持させてから、ヘッド402の吸着部440aに基板301を吸着保持させる構成であってもよい。
【0061】
基板接合装置100は、例えば
図12Aに示すように基板301、302の周部で基板301、302を保持した状態から、まず、
図15Aに示すようにステージ401の吸着部440bとヘッド402の吸着部440bとによる基板301、302の吸着を再開させる(
図15Aの矢印AR611、AR621参照)。なお、
図15Aおよび
図15Bにおいて、実施の形態と同様の構成については、
図12Bと同一の符号を付している。このとき、基板接合装置100は、ステージ401の吸着部440aとヘッド402の吸着部440aとを停止状態で維持する。次に、
図15Bに示すように、基板接合装置100は、ステージ401の吸着部440aとヘッド402の吸着部440aとによる基板301、302の吸着も再開させる(
図15Bの矢印AR612、AR622参照)。そして、
図13に示すように、基板302が基板301から離脱し、基板301と基板302との接触状態が解除される。
【0062】
更に、基板接合装置100は、ヘッド402をステージ401から上方へ遠ざけつつ、ステージ401およびヘッド402の吸着部440b、440aによる基板301の吸着を順番に再開させることにより、基板301の接合面を基板302の接合面から離脱させる構成であってもよい。つまり、基板接合装置100は、基板302の接合面を基板301の接合面から離脱させるとき、基板301、302の周部で基板301、302をステージ401、ヘッド402に保持させた状態で、ヘッド402をステージ401から上方へ遠ざけつつ、基板301、302の周部よりも中央部側に位置する、基板301、302の中央部からの距離が長い吸着部から順に、基板301、302を保持させてもよい。
【0063】
ところで、実施の形態では、ステージ401とヘッド402との間の間隔を一定にした状態で、ステージ401、ヘッド402それぞれの吸着部440a、440bによる基板301、302の吸着を同時に再開する。即ち、ステージ401で基板301全面の吸着を再開し、ヘッド402で基板302全面の吸着を再開することにより、基板302を基板301から剥がす。この場合、ステージ401、ヘッド402或いは基板301、302の接合界面に、数百Nの力が働く場合がある。この場合、ステージ401、ヘッド402の損傷や基板301、302の接合面の損傷(ダメージ)が生じる虞がある。
【0064】
これに対して、前述の本変形例に係る構成によれば、基板301、302が仮接合した状態で基板302を基板301から剥がす際、基板301、302の周部から中心部に向かって順に剥がしていく。これにより、ステージ401の吸着部440a、440bによる基板301の吸着を同時に再開させる場合に比べて、ステージ401に加わる上方への力が低減される。また、ヘッド402の吸着部440a、440bによる基板302の吸着を同時に再開させる場合に比べて、ヘッド402に加わる下方への力が低減される。これにより、基板301の接合面を基板302の接合面から離脱させる際に、ステージ401が上方へ移動することによるステージ401の位置ずれやヘッド402が下方へ移動することによるヘッド402の位置ずれの発生が抑制される。また、基板301の中央部がステージ401に吸着される際に基板301に加わる衝撃や基板302の中央部がヘッド402に吸着される際に基板302に加わる衝撃が低減される。従って、基板301の接合面を基板302の接合面から離脱させる際の基板301、302の接合面の損傷(ダメージ)が抑制される。これにより、基板301、302の接合面同士を再度接触させて基板301、302同士を接合させようとしたときに、基板301、302の接合面の損傷に起因して基板301、302同士が接合しなくなってしまうことを抑制できる。
【0065】
実施の形態では、基板接合装置100が、前述の
図9のステップS9、S10の処理において、
図12Aに示すように基板301の周部301sをステージ401に吸着させた状態で、第1押圧部431aのみにより基板301の中央部を押圧して基板301を撓ませる例について説明した。ここで、基板接合装置100は、ステップS9、S10の処理において、基板302の周部302sをヘッド402に吸着させた状態で、第2押圧部432aのみにより基板302の中央部を押圧することにより基板302を撓ませる。但し、基板接合装置は、ステップS9、S10の処理において、第1押圧部431a、第2押圧部432aのみにより基板301、302を撓ませるものに限定されない。例えば
図16Aに示すように、基板接合装置が、ステージ401の周縁側の2つの吸着部440c、440dにより基板301を吸着させつつ、ステージ401の中央部側の2つの吸着部(第1気体吐出部)440a、440bからステージ401と基板301との間の隙間S71に空気を吐出するものであってもよい(
図16Aの矢印AR711参照)。これにより、基板301は、その基板302との接合面の中央部301cが周部301sに比べて基板302側に突出するように、撓む。また、基板接合装置は、ヘッド402の周縁側の2つの吸着部440c、440dにより基板302を吸着させつつ、ヘッド402の中央部側の2つの吸着部440a、440bからヘッド402と基板302との間の隙間S72に空気を吐出するものであってもよい。これにより、基板302は、その基板301との接合面の中央部302cが周部302sに比べて基板301側に突出するように、撓む。このとき、
図16Aに示すように、基板301の中央部301cと基板302の中央部302cとが接触した状態となる。
【0066】
次に、基板接合装置は、
図16Bに示すように、第1押圧部431aを上方へ突出させて(
図16Bの矢印AR751参照)第1押圧部431aの先端部を基板301の中央部に接触させる。また、基板接合装置は、第2押圧部432aを下方へ突出させて(
図16Bの矢印AR752参照)第2押圧部432aの先端部を基板302の中央部に接触させる。その後、基板接合装置は、ステージ401の2つの吸着部440a、440bからの空気の吐出を停止するとともに、ヘッド402の2つの吸着部440a、440bからの空気の吐出を停止する。なお、基板接合装置は、第1押圧部431aの先端部を基板301の中央部に接触させるとともに、第2押圧部432aの先端部を基板302の中央部に接触させた後も、ステージ401、ヘッド402それぞれの吸着部440a、440bからの空気の吐出し続けるようにしてもよい。
【0067】
本構成によれば、基板301、302を撓ませる際の基板301、302に加わる応力が低減されるので、基板301、302の接合面の損傷が抑制される。
【0068】
実施の形態では、第1押圧部431aの先端部を基板301の中央部に接触させ、第2押圧部432aの先端部を基板302の中央部に接触させる基板接合装置100について説明した。但し、基板接合装置は、必ずしも、第1押圧部431a、第2押圧部432aを有するステージ401、ヘッド402を備える構成に限定されるものではない。例えば、基板接合装置が、
図17に示すように、押圧部を備えず、吸着部440a、440b、440c、440dのみを有するステージ2401、ヘッド2402を備えるものであってもよい。この場合、基板接合装置は、ステージ2401の周縁側の2つの吸着部440c、440dにより基板301を吸着させつつ、ステージ2401の中央部側の2つの吸着部440a、440bからステージ2401と基板301との間の隙間S71に空気を吐出することにより、基板301を撓ませる。また、基板接合装置は、ヘッド2402の周縁側の2つの吸着部440c、440dにより基板302を吸着させつつ、ヘッド2402の中央部側の2つの吸着部440a、440bからヘッド2402と基板302との間の隙間S72に空気を吐出することにより、基板302を撓ませる。
【0069】
本構成によれば、ステージ2401、ヘッド2402の構造が簡素化されるという利点がある。
【0070】
また、実施の形態では、保持機構440が真空チャックから構成される場合について説明したが、これに限らず、例えば保持機構が機械式チャックや静電チャックから構成されていてもよい。或いは、保持機構が、真空チャック、機械式チャックおよび静電チャックのうちの少なくとも2種類のチャックを組み合わせた構成であってもよい。また、実施の形態では、保持機構440が、円環状の吸着部440a、440b、440c、440dから構成される例について説明したが、吸着部の構造はこれに限定されるものではなく、例えばステージ401の上面、ヘッド402の下面の複数箇所に開口する孔を介して基板301、302を吸着する構造であってもよい。更に、保持機構440が、ステージ401またはヘッド402の中心からの距離が異なる複数(例えば4つ)の円環状の領域それぞれに、互いに独立して動作する静電チャックが設けられた構成であってもよい。
【0071】
実施の形態では、保持機構440が、4つの円環状の吸着部440a、440b、440c、440dから構成される例について説明したが、吸着部の数は4つに限定されるものではなく、保持機構が、複数の吸着部から構成されてもよい。例えば、保持機構が、3つ以下の吸着部から構成されてもよいし、5つ以上の吸着部から構成されてもよい。
【0072】
実施の形態では、前述の離脱工程(
図9のステップS13参照)において、ブロワ811により、基板301の周部と基板302の周部との間の隙間に気体を吹き付ける基板接合装置100について説明した。但し、基板接合装置は、ブロワ811を備える構成に限定されない。基板接合装置は、ブロワ811を備えず、離脱工程(ステップS13)において、基板301の周部と基板302の周部との間の隙間に気体を吹き付けないものであってもよい。
【0073】
実施の形態において、基板接合装置100が、基板301、302を保持する工程(
図9のステップS4)で、基板301、302の中央部から周縁に向かって順に、ステージ401、ヘッド402に基板301、302を保持させるものであってもよい。即ち、基板接合装置100が、基板301、302の中央部からの距離が短い保持位置から順に基板301、302を支持台に保持させることにより、基板301、302の中央部からの距離が異なる複数の保持位置で、基板301、302をステージ401、ヘッド402に保持させるものであってもよい。ここで、基板接合装置100は、ステージ401、ヘッド402における基板301、302が載置される領域の中央部からの距離が短い吸着部から順に基板301、302を保持させるように、吸着部440a、440b、440c、440dの動作を制御する。例えば
図18Aに示すように、基板301が基板302側に凸となるように反っており、基板302が基板301側に凸となるように反っているとする。そして、基板接合装置100は、まず、ステージ401、ヘッド402の吸着部440aにより、基板301、302の中央部301c、302cを吸着保持する(
図18Aの矢印AR811、AR821参照)。その後、基板接合装置100は、ステージ401、ヘッド402の吸着部440bにより基板301、302を吸着保持した後、
図18Bに示すように、吸着部440cにより基板301、302を吸着保持する(
図18Bの矢印AR811、AR812、AR813、AR821、AR822、AR823参照)。最後に、基板接合装置100は、吸着部440dにより基板301、302を吸着保持することにより、
図11Aに示すように、ステージ401、ヘッド402に基板301、302を保持させる。
【0074】
本構成によれば、基板301、302が反っている場合であっても、基板301、302をステージ401、
ヘッド402に歪みなく保持させることができる。例えば、外周部から先に保持した場合、中央部が撓んだ分だけ歪みが発生することになる。
【0075】
また、保持機構が、真空チャックと静電チャックとを組み合わせた構成、即ち、保持機構が、ステージ、ヘッドにおける基板301、302が載置される領域の中央部からの距離が異なる複数の吸着部と、複数の静電チャックと、を有するとする。この場合、基板接合装置は、前述の基板301、302を保持する工程(
図9のステップS4)において、初めに真空チャックにより基板301、302をステージ、ヘッドの保持面に面接触させる形で吸着させてから、その後、静電チャックにより基板301、302を保持するようにしてもよい。ここで、基板接合装置の制御部は、ステージ401、ヘッド402における基板301、302が載置される領域の中央部からの距離が短い吸着部から順に基板301、302を吸着保持させた後、複数の静電チャックに基板301、302を保持させるように、複数の吸着部および複数の静電チャックの動作を制御する。例えば、
図19Aに示すように、基板接合装置が、4つの円環状の吸着部440a、440b、440c、440dと、静電チャック3440と、を有するステージ3401、ヘッド3402を備えるものであってもよい。この基板接合装置は、まず、吸着部440a、440bを介して基板301、302をステージ3401、ヘッド3402の保持面3401a、3402aに吸着させる(
図19Aの矢印AR811、AR812、AR813、AR814、AR821、AR822、AR823、AR824参照)。ここで、基板接合装置は、基板301、302の中央部から周縁に向かって順に、ステージ3401、ヘッド3402に基板301、302を吸着保持させていく。また、基板接合装置は、静電チャック3440へ電圧を印加していない。そして、基板接合装置は、
図19Bに示すように、基板301、302がステージ3401、3402の保持面3401a、3402aに面接触した状態になると、静電チャック3440に電圧を印加するとともに、吸着部440a、440b、440c、440dによる基板301、302の吸着を停止する。このようにして、基板301、302は、静電チャック3440により、ステージ3401、ヘッド3402に吸着保持された状態となる。
【0076】
実施の形態では、基板接合装置100が、前述の基板301、302を撓ませる工程(
図9のステップS9参照)において、ステージ401、ヘッド402の吸着部440a、440bによる基板301、302の吸着を停止させる例について説明した。但し、これに限らず、例えば、基板接合装置100が、吸着部440a、440bに連通する配管系統(図示せず)を大気開放する構成であってもよいし、或いは、吸着部440a、440bから僅かに気体を吐出させる構成であってもよい。本構成によれば、基板301、302を撓ませる工程において、基板301、302が撓みやすくなるので、基板301、302を歪み無く自然にステージ401、ヘッド402から剥がすことができる。
【0077】
実施の形態では、前述の接合工程(
図9のステップS16)において、基板接合装置100が、
図12Aに示す状態から、ステージ401およびヘッド402の吸着部440c、440dを停止させる例について説明した。但し、これに限らず、基板接合装置が、接合工程において、吸着部440c、440dに連通する配管系統(図示せず)を大気開放する構成であってもよいし、或いは、吸着部440c、440dから僅かに気体を吐出させる構成であってもよい。本構成によれば、接合工程において、基板301、302がステージ401、ヘッド402から剥がれ易くなるので、基板301、302同士を良好に接合することができる。
【0078】
実施の形態において、基板接合装置100が、位置合わせ工程(
図9のステップS8参照)の直前において、ステージ401、ヘッド402に保持された基板301、302の反り量を測定する基板反り量測定工程を実行してもよい。例えば
図20Aに示すように、ステージ401、ヘッド402に保持された基板301、302の中央部が突出する形で反っている場合がある。この場合、基板301、302の中央部同士の距離は、ステージ401、ヘッド402間の距離G1から基板301、302の厚さを差し引いて得られる距離G2よりも短くなる。例えば、基板301、302の中央部が突出する形で反っているとする。この場合、実施の形態のように距離G2が所望の距離となるように、ヘッド402をステージ401に近づけた場合、ステージ401、ヘッド402の中央部同士の距離は所望の距離よりも短くなる。従って、例えば基板301,302の中央部の反り量が合計で10μm以上ある場合、距離G2が10μmとなるようにステージ401、ヘッド402同士を近づけると、基板301、302が接触してしまい、位置合わせ工程を行うことができなくなる。
【0079】
これに対して、本変形例に係る基板接合装置は、少なくとも第2押圧部432aの位置を検出する変位センサ(図示せず)を有する。そして、本変形例に係る基板接合装置は、位置合わせ工程の直前の反り量測定工程において、変位センサにより、反りの無い平坦な基準基板(図示せず)に第2押圧部432aを極めて微小な圧力で接触させた状態での第2押圧部432aの位置と、
図20Bに示すように、基板302に第2押圧部432aを極めて微小な圧力で接触させた状態での第2押圧部432aの位置とを検出する。つまり、基準基板に第2押圧部432aを、基準基板を撓ませない大きさの圧力で接触させた状態での第2押圧部432aの位置と、基板302に第2押圧部432aを、基板302を撓ませない大きさの圧力で接触させた状態での第2押圧部432aの位置とを検出する。そして、基板接合装置は、変位センサにより検出された前述の2つの位置の差分から、基板302のヘッド402からの反り量p0を算出する。そして、基板接合装置は、距離G2から、基板302の反り量p0と予め設定された倍率との積の和に相当する距離補正量を差し引いて得られる距離が所望の距離となるようにヘッド402をステージ401に近づける。上記距離補正量は、例えば、単に反り量p0の2倍としてもよい。或いは、ヘッド402に保持された基板302の自重による撓みが大きい場合、ステージ401に保持された基板301の反り量を基板302の反り量p0の0.8倍と看做して、上記距離補正量を反り量p0の1.8倍としてもよい。
【0080】
また、反り量測定工程の終了後、ステージ401の第1押圧部431aを上記距離補正量に応じた突出量だけ突出させてから、位置合わせ工程へ移行すればよい。そうすることで、ステージ401として、第1押圧部431aの位置測定機能がない構成、例えば単純なピエゾアクチュエータのみを有する構成とすることができる。
【0081】
本構成によれば、位置合わせ工程の直前において基板301、302同士の接触を抑制することができる。
【0082】
更に、実施の形態では、距離測定部801が、ステージ401の上面の3箇所の部位とヘッド402の下面の3箇所の部位との間の距離を測定する例について説明した。但し、距離測定部801により測定する箇所の数は3箇所に限定されるものではなく、例えば2箇所以下であってもよいし4箇所以上であってもよい。また、各実施の形態では、ステージ401の上面とヘッド402の下面との間の距離と基板301、302の厚さとを測定してから基板301、302間の距離を算出する構成について説明した。但し、これに限らず、例えば基板接合装置が、基板301がステージ401に保持され、基板302がヘッド402に保持された状態で、基板301、302間の距離を直接測定する構成であってもよい。
【0083】
また、実施の形態では、位置測定部500が2つの第1撮像部501、第2撮像部502を有する例について説明したが、位置測定部500の構成はこれに限定されるものではなく、例えば位置測定部が、撮像部を1つだけ有し、この撮像部をX方向またはY方向へ移動させることにより撮影画像GAa,GAbを逐次的に撮影する構成であってもよい。
【0084】
更に、実施の形態では、基板接合装置100が、基板301、302の接合面全体が互いに接触した状態で、基板301、302に圧力を加えるとともに、ヒータ421、422により基板301、302を加熱する例について説明した。但し、これに限らず、例えば基板接合装置100が、基板301、302の接合面全体が互いに接触した状態で、基板301、302に圧力を加えるだけで加熱しない構成であってもよい。或いは、基板接合装置100が、基板301、302の接合面全体が互いに接触した状態で、基板301、302の加熱のみ実行し圧力を加えない構成であってもよい。
【0085】
また、実施の形態では、基板接合装置100において基板301、302の加圧および加熱が実行される例について説明したが、この構成に限定されない。基板接合装置100とは異なる装置において、基板301、302の加圧処理および/または加熱処理が実行される構成であってもよい。例えば基板接合装置100が、基板301、302の仮接合までを実行し、その後、他の加熱装置(図示せず)において加熱処理が実行される構成であってもよい。この場合、加熱処理は、180℃で2時間程度の条件に設定される。これにより、生産効率向上を図ることができる。
【0086】
更に、実施の形態では、基板301、302同士の接合方法として親水化接合を採用する例について説明したが、採用される接合方法はこれに限定されず他の接合方法であってもよい。例えば表面活性化直接接合方法を採用してもよい。或いは、金属やハンダ系材料を介した基板同士の接合方法を採用してもよい。
【0087】
また、実施の形態では、基板301、302同士を真空中で接合する構成について説明したが、これに限らず、基板301、302同士を大気圧下で接合する構成であってもよいし、或いは、任意の気体が充填された雰囲気下で接合する構成であってもよい。
【0088】
更に、実施の形態では、ステージ401に対してヘッド402が移動する構成について説明したが、これに限らず、例えばヘッド402に対してステージ401が移動する構成であってもよい。
【0089】
また、実施の形態では、ピエゾアクチュエータ411と第2圧力センサ412とが水平面内において同じ位置にある構成について説明したが、これに限らず、水平面内においてピエゾアクチュエータ411の位置と第2圧力センサ412の位置とが異なっていてもよい。
【0090】
更に、実施の形態では、第1撮像部501、第2撮像部502から出射され、基板301、302のアライメントマークMK1a,MK2aで反射された赤外光を第1撮像部501、第2撮像部502で検出することにより、基板301、302の位置ずれを測定する構成について説明した。但し、これに限らず、例えば基板301、302の厚さ方向における一方から基板301、302のアライメントマークMK1a,MK2aに向けて照射した赤外光を、基板301、302の厚さ方向における他方で検出する構成であってもよい。或いは、可視光を用いて基板301、302のアライメントマークMK1a,MK2aを直接読み取ることにより、基板301、302の位置ずれ量を測定する構成であってもよい。
【0091】
また、実施の形態では、洗浄装置940において基板301、302の洗浄が実施された後、接合面処理装置600において基板301、302の接合面の活性化処理および親水化処理が実行され、その後、接合装置100において基板301、302の接合が実行される例について説明した。但し、基板301、302の洗浄、活性化処理および親水化処理、接合の順序はこれに限定されない。例えば、基板301、302の接合面の活性化処理および親水化処理が実行された後、基板301、302の洗浄が実施され、その後、基板301、302の接合が実行されてもよい。
【0092】
更に、実施の形態では、接合面処理装置600において基板301、302の水ガスを供給する親水化処理が実行される例について説明したが、水ガスを供給する親水化処理が実行される場所は接合面処理装置600に限定されるものではない。例えば、ロードロック室910において基板301、302の親水化処理が実行される構成であってもよい。
【0093】
以上、本発明の実施の形態および変形例(なお書きに記載したものを含む。以下、同様。)について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態および変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【0094】
本出願は、2016年9月30日に出願された日本国特許出願特願2016−193116号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2016−193116号の明細書、特許請求の範囲および図面全体を参照として取り込むものとする。