【実施例】
【0030】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。また、本発明の各特性は、以下の方法により評価した。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
小麦13g、食物繊維として難消化性でん粉63g、砂糖17g、植物性蛋白3g、乳化剤0.45g、炭酸水素アンモニウム1.7gをミキサーに加え、そこに水56gを加えて320rpmで8分間混合する。
【0032】
得られた生地は休ませることなく、8層折にし、1.5mmの厚さに圧延した。その後、型抜きを使用して所定の形状に成型した。この時の生地の水分量は29.8%であった。
【0033】
成型された生地を天板に載置し、予め215℃に予熱されたオーブンで焼成した。焼成条件としては、まず通常焼成処理として、215℃で2分間焼成した。次に、220℃まで過熱した過熱蒸気を、蒸気流量180kg/hでオーブン内に供給し、4分間焼成し最終産物を得た。
【0034】
(実施例2)
オーブンの庫内温度を185℃とし、185℃の過熱蒸気処理を6分間行ったこと以外は実施例1と同じである。なお、焼成前の生地の水分量は30.6%であった。
【0035】
(実施例3)
通常焼成処理を5分間、過熱蒸気処理を3分間行ったこと以外は実施例2と同じである。
【0036】
(実施例4)
通常焼成処理を6分間、過熱蒸気処理を2分間行ったこと以外は実施例2と同じである。
【0037】
(実施例5)
オーブンの庫内温度を230℃とし、通常焼成処理を1分間、230℃の過熱蒸気処理を4分間行ったこと以外は実施例1と同じである。なお、焼成前の生地の水分量は31.7%であった。
【0038】
(実施例6)
通常焼成処理を2分間、過熱蒸気処理を3分間行ったこと以外は実施例5と同じである。
【0039】
(実施例7)
通常焼成処理を4分間、過熱蒸気処理を2分間行ったこと以外は実施例5と同じである。
【0040】
(比較例1)
通常焼成処理を0分間、過熱蒸気処理を6分間行ったこと以外は実施例1と同じである。
【0041】
(比較例2)
通常焼成処理を1分間、過熱蒸気処理を5分間行ったこと以外は実施例1と同じである。
【0042】
(比較例3)
通常焼成処理を5分間、過熱蒸気処理を1分間行ったこと以外は実施例1と同じである。
【0043】
(比較例4)
通常焼成処理を0分間、過熱蒸気処理を8分間行ったこと以外は実施例2と同じである。
【0044】
(比較例5)
通常焼成処理を1分間、過熱蒸気処理を7分間行ったこと以外は実施例2と同じである。
【0045】
(比較例6)
通常焼成処理を7分間、過熱蒸気処理を1分間行ったこと以外は実施例2と同じである。
【0046】
(比較例7)
通常焼成処理を0分間、過熱蒸気処理を5分間行ったこと以外は実施例5と同じである。
【0047】
(比較例8)
通常焼成処理を30秒間、過熱蒸気処理を4分30秒間行ったこと以外は実施例5と同じである。
【0048】
次に、実施例および比較例の官能評価について説明する。
【0049】
[官能評価]
官能評価は次のようにして評価を行った。各温度帯において通常焼成処理のみを行ったものをコントロールとした。同一温度帯の各実施例・比較例を、5人のパネラーにブラインド条件下、見た目、口どけ、食感について、下記評価に基づいて評価してもらった。
○:コントロールよりも優れている
△:コントロールよりも劣る
×:コントロールよりもかなり劣る
【0050】
結果を表1,2に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
表1,2から明らかなように、各実施例において通常焼成処理で生地水分を4〜26%まで乾燥させたものは見た目、口どけ、食感のいずれにおいてもコントロールより優れていた。これは、生地の水分量が上記範囲であれば、膨化に十分な量の水分が存在するため、口どけや食感が良くなるためと考えられる。また、生地の水分量が上記範囲になるまで少なくとも1分以上は表面が焼成されることで、細かなクラックとともに表面が焼き固められ、クラックから生地内部の水分が抜けるため、過熱蒸気処理によっても、表面がひび割れたりタダレたりすることがないと考えられる。
【0054】
一方、生地の水分量が26%より多い段階で過熱蒸気処理を行うと、表面がひび割れてしまったり、タダレてしまったりするなどの現象が起きた。これは、表面に細かなクラックができていないか、もしくはクラックができていたとしても表面が焼き固められてないため、過熱蒸気処理によって、一気に膨化が進むために起きたものと考えられる。通常焼成処理において水分量が4%未満となるまで焼成してしまうと、その後の過熱蒸気処理において膨化できるだけの水分がないため、口どけや食感が悪くなるものと考えられる。
【0055】
以上説明したように、食物繊維を用いた場合であっても、特定の条件下で焼成することで、表面荒れを防ぎつつ、食感が悪くなることを防止することができる。これにより、従来と変わらない見た目や食感を維持しつつ、低カロリーの焼き菓子を提供することができる。