(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロジウム成分のための前記第1の支持体が、アルミナ、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−セリア−ジルコニア、ランタナ−アルミナ、ランタナ−ジルコニア−アルミナ、バリア−アルミナ、バリアランタナ−アルミナ、バリアランタナ−ネオジミアアルミナ、およびアルミナ−セリアからなる群より選択されるアルミナ系支持体、またはジルコニウム系支持体を含む、請求項1に記載の複合体。
前記二金属層内の、前記第1および第2のセリア−ジルコニア複合体の合計量の前記耐火性金属酸化物成分の量に対する重量比が1:1より大きい、請求項1に記載の複合体。
前記二金属層が、前記二金属層の重量パーセントにより、 40〜50%の範囲の量の前記第2のセリア−ジルコニア複合体と、 40〜50%の範囲の量の前記耐火性金属酸化物成分と、 最大10%の量の、ランタナ、バリア、ジルコニア、およびストロンチウムのうちの1つ以上と、を含み、 前記第2のセリア−ジルコニア複合体が、前記第2のセリア−ジルコニア複合体の25〜45重量%の範囲の量のセリアを含む、請求項1に記載の複合体。
前記二金属層が、前記二金属層の重量パーセントにより、 70〜80%の範囲の量の前記第2のセリア−ジルコニア複合体と、 10〜20%の範囲の量の前記耐火性金属酸化物成分と、 最大10%の量の、ランタナ、バリア、ジルコニア、およびストロンチウムのうちの1つ以上と、を含み、 前記第2のセリア−ジルコニア複合体が、前記第2のセリア−ジルコニア複合体の25〜45重量%の範囲の量のセリアを含む、請求項1に記載の複合体。
前記触媒材料が、前記二金属層上に第2の層を更に含み、前記第2の層が、第3の支持体上にロジウム成分、第4の支持体上に白金成分、第5の支持体上にパラジウム成分、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の複合体。
自動車用触媒複合体であって、 担体上の触媒材料を含み、前記触媒材料が二金属層を含み、前記二金属層が、 アルミナ、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−セリア−ジルコニア、ランタナ−アルミナ、ランタナ−ジルコニア−アルミナ、バリア−アルミナ、バリアランタナ−アルミナ、バリアランタナ−ネオジミアアルミナ、およびアルミナ−セリアからなる群より選択される活性アルミナ化合物によって支持されるロジウム成分と、セリア−ジルコニア複合体に加熱固定されたパラジウム成分であって、前記セリア−ジルコニア複合体がその25〜45重量%の範囲の量のセリアを含む、パラジウム成分と、 ランタナ、バリア、およびジルコニアのうちの1つ以上と、を含み、 前記触媒材料は、実質的に同時に、一酸化炭素および炭化水素を酸化し、かつ窒素酸化物を還元する三元変換(TWC)に有効であり、 前記二金属層内の、前記セリア−ジルコニア複合体の量の前記活性アルミナ化合物の量に対する重量比が4:1以上である、複合体。
【発明を実施するための形態】
【0025】
担体上に二金属層を有する自動車用触媒複合体、ならびにこれらの触媒複合体を作製および使用する方法が提供される。二金属層は、2つの貴金属を含有する単一のウォッシュコート層から形成され、2つの貴金属のそれぞれはそれ自身の支持体上にあり、担体上の同一層内における2つの金属の均一な混合物へと帰着する。二金属ウォッシュコート/層は、ロジウムを支持するための、活性アルミナ成分および/またはセリア−ジルコニア複合体と、パラジウムを支持するための、別のセリア−ジルコニア複合体と、を含有するように設計される。このウォッシュコート/層の特色は、セリア−ジルコニア複合体の総重量が、活性アルミナ成分の量以上であることである。故に、パラジウムおよびロジウムが別個の層に提供され、好適な分布および結合のためにより多量の活性アルミナ成分を必要とした従来の技術の多層複合体よりも、より多量のセリアが送達され得る。ロジウムが活性アルミナ成分によって支持される場合、典型的に触媒材料のための全ての所望されるアルミナが、ロジウム成分を受けるために使用される。
【0026】
1つ以上の貴金属は、それらの個々の支持体に固定され、これは貴重な成分がウォッシュコート分散体内に溶解しないことを意味する。貴金属の固定は、化学的または熱固定により起こり得る。熱固定に関して、「加熱固定された」貴金属を生成するということは、含浸支持体が、貴金属がそれらの酸化物形態に変換されるように、加熱処理されることと、水性スラリーにおいて支持体上の加熱固定された貴金属を使用する際に、貴金属が溶解せず、合金/凝集体を形成しないということとを意味する。化学的固定に関して、支持体の付随する貴金属塩の分散体のpHまたは何らかの他のパラメータは、貴金属成分をウォッシュコート分散体内において不溶にするように変更される。理論に束縛されることを意図しないが、均一に混合された二金属層内に含有される加熱固定された貴金属は、貴金属、特にロジウムの移動を最小化すると考えられる。
【0027】
本明細書において提供される触媒複合体は、層ごとに1つだけの貴金属が存在する、同一の組成物全体の比較可能な多層複合体がより良い性能を持たなければ、同じことをもたらし得る。
【0028】
この設計の別の任意の特色は、貴重な食事成分が、熱固定される前に、それぞれの支持体上に十分に分散されることである。「十分に分散される」への言及は、貴(precious)または貴(noble)金属が、所与の支持体の細孔容積全体に、均一な、および凝集しない物質において分散されることを意味する。このようにして、支持体材料が貴金属と接触する量が最大化される。これを達成する1つの方法は、どれだけの支持体材料が貴金属と接触しているかを最大化するために初期湿潤を達成しつつ、所望される貴金属充填を達成するために最低濃度の水溶液を使用することにより、支持体上に貴金属を含浸させることである。分散の1つの尺度は、一酸化炭素(CO)化学吸着である。分散数が高いほど、より良好な分散である。良好な分散の別の尺度は、活性粒径によって示される最小の凝集である。
【0029】
「酸素貯蔵成分」(OSC)への言及は、複数の原子価状態を有し、酸化条件化で例えば酸素または亜酸化窒素等の酸化剤と活発に反応し得、あるいは還元条件下で例えば一酸化炭素(CO)または水素等の還元剤と反応する存在を指す。典型的に、OSCは、1つ以上の希土類金属の1つ以上の還元可能な酸化物を含むであろう。好適な酸素貯蔵成分の例としては、セリア、プラセオジミア、またはそれらの組み合わせが挙げられる。セリアの層への送達は、例えば、セリア、セリウムおよびジルコニウムの混合酸化物、ならびに/またはセリウム、ジルコニウム、イットリウム、ランタン、任意にネオジムの混合酸化物の使用によって達成され得る。
【0030】
触媒ウォッシュコート層における「支持体」への言及は、結合、分散、含浸、または他の好適な方法を通じて、貴金属、安定剤、促進剤、結合剤等を受ける材料を指す。支持体の例としては、限定されるものではないが、高表面積の耐火性金属酸化物、および酸素貯蔵成分を含有する複合体が挙げられる。例示的な支持体材料は、高表面積の酸化アルミニウム(>80、90、100、125、または更には150m
2/g)(様々な調節において)、例えば、ランタナ(つまり、Zr−La複合体)等の安定剤と結合し得るジルコニウム酸化物成分、ならびに酸素貯蔵成分(つまり、種々の実施形態において、セリウム−ジルコニウム混合酸化物)である。例示的な高表面積の耐火性金属酸化物は、アルミナ、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−セリア−ジルコニア、ランタナ−アルミナ、ランタナ−ジルコニア−アルミナ、バリア−アルミナ、バリアランタナ−アルミナ、バリアランタナ−ネオジミアアルミナ、およびアルミナ−セリアからなる群より選択される活性アルミナ化合物を含み得る。
【0031】
水中での貴金属塩の溶解度により、1つのコーティング組成物において2つの個々の貴金属を結合させることには、実質的な課題が存在する。従来型のTWC触媒において、貴金属のパラジウムとロジウムは、硝酸塩溶液(Pd(NO
3)
2およびRh(NO
3)
3)として、含浸によって支持体材料へ個別に適用され、次いでその後水性ウォッシュコート分散体に組み込まれる。具体的には、従来技術の方法は以下を含む。
【0032】
a.第1の含浸支持体を形成するための、第1の支持体(酸化アルミニウムまたはOSC)への希釈に顧慮しない、金属塩溶液を含浸することによる、第1の貴金属の適用。
【0033】
b.第1の含浸支持体を使用する、第1の水性ウォッシュコート分散体の生成。
【0034】
c.第2の含浸支持体を形成するための、第2の支持体(酸化アルミニウムまたはOSC)への希釈に顧慮しない、金属塩溶液を含浸することによる、第2の貴金属の適用。
【0035】
d.第1の含浸支持体を使用する、第2の水性ウォッシュコート分散体の生成。
【0036】
e.第1の水性ウォッシュコート分散体および第1の層の焼成を使用する、担体上への第1の層の適用。
【0037】
f.第2の水性ウォッシュコート分散体および第2の層の焼成を使用する、担体上への第2の層の適用。
【0038】
仮に両方の貴金属が、従来型の方法を活用することで、単一の水性ウォッシュコート分散体中で処理されるならば、水溶性金属塩の使用の結果として、ウォッシュコート層内で2つの貴金属が合金を形成する可能性が大幅に増加することとなる。これは、パラジウムおよびロジウム層が別個である場合より、TWC触媒の性能がこの場合より貧弱になることにつながり得る。
【0039】
それぞれの支持体上への金属の含浸の後に、水性ウォッシュコート内の金属塩が溶解する問題に対処するために、支持体材料上に貴金属を加熱固定し、二金属層を形成するための方法が、本明細書に開示される。その結果、これらの貴金属は、それらの酸化形態への変換により溶液中に戻らず、ウォッシュコート分散体の水相に溶解した形態で存在することはない。加えて、貴金属を加熱固定する前に、所望に応じ、それらは支持体表面上に十分に分散され得る。
【0040】
一般的に、本明細書における方法は、加熱固定され、任意に十分に分散される個々の金属組成物の調製に関する。したがって、例えばパラジウムおよびロジウム等の個々の貴金属は、良好な分散を達成するために、別個の支持体材料へ含浸することにより、硝酸塩溶液として適用される。すなわち、所望される金属充填を送達しつつ、硝酸塩溶液は、可能な限り最高の量にまで希釈される。個々の希釈された硝酸塩溶液は次いで、含浸支持体を形成するために、初期湿潤により、個々の支持体材料へと添加される。含浸された支持体は次いで、従来型の方法とは対照的に、水性ウォッシュコート分散体が生成される前に、続いて焼成(加熱固定)される。含浸された支持体材料の焼成は、硝酸パラジウムおよび硝酸ロジウムの、対応する酸化物への変換につながる。理論に束縛されることを意図しないが、酸化物は水に不溶であると考えられ、これはパラジウムおよびロジウムが再溶解することを防止することに役立つ。したがって、2つの貴金属が同じウォッシュコート層中に存在するものの、パラジウム−ロジウム合金の形成の可能性は減少する。本発明の方法は、単一のコーティングのためのウォッシュコート組成物の生成に関して、一般的に以下を含み得る。
【0041】
a.第1の十分に分散された含浸支持体を形成するために、第1の支持体(酸化アルミニウムまたはOSC)へ所望される量を送達しつつ、金属濃度を最小化するために任意に希釈された金属塩溶液を含浸することによる、第1の貴金属の適用。
【0042】
b.第1の含浸支持体の熱固定(590℃での含浸支持体の焼成)。
【0043】
c.第2の十分に分散された含浸支持体を形成するために、第2の支持体(酸化アルミニウムまたはOSC)へ所望される量を送達しつつ、金属濃度を最小化するために任意に希釈された金属塩溶液を含浸することによる、第2の貴金属の適用。
【0044】
d.第2の含浸支持体の熱固定(590℃での含浸支持体の焼成)。
【0045】
e.十分に分散され、加熱固定された含浸支持体を使用する、単一の水性ウォッシュコート分散体の生成。
【0046】
f.単一の水性ウォッシュコート分散体および単一層の焼成を使用する、担体上への二金属層の適用。
【0047】
原則的に、従来技術の方法の、水性TWCウォッシュコート分散体の生成、b.)およびd.)は、単一のコーティングのための水性ウォッシュコート分散体の生成、e.)と異ならず、つまり、分散体の生成は、2〜6(典型的に、3,5〜5.0)の酸性pH範囲において実施され、例えば促進剤および安定剤等の任意の所望される追加的な成分がこのステップ中、または焼成前の含浸ステップの間に添加される。代表的な二金属触媒材料が、
図1において示され、ここでパラジウムは、セリア−ジルコニアによって支持され、ロジウムはアルミナによって支持されている。
【0048】
更なる態様において、異なる組成物の2つの層を組み込むTWC触媒配合物が開発されている。すなわち、第2の層は、二金属層のものとは異なるウォッシュコートにより提供される。この触媒構造の構想は、Rhの移動を制限するため、および同時に、保護膜上において最適化されたRh環境を提供するための、下部層と上部層との間の実質的に等しいRhの分布である。第1の層は、1:1より大きい(または少なくとも2.5/1、または少なくとも4/1、または更には少なくとも5/1)、OSC/アルミナ比を有し、アルミナに含浸される、利用可能なPdの総量および利用可能なRhの半分のみを含有する。第2の層は、より低いOSC/アルミナ比を有する(つまり、OSC材料より多くアルミナが存在する)。OSC材料中の酸化セリウム濃度は、およそ10重量%の低さでもよく、あるいは5〜20重量%であってもよい。この第2の層において、Rhはアルミナに含浸される。OSC材料中のセリア含有量の選択は、用途特化であり得る。例示的な触媒材料が、
図2において提供され、ここで底部層は二金属層であり、上部層はアルミナ上にロジウム、およびOSC材料を含有し、ここで第2の層においてアルミナ含有量はOSC材料含有量よりも大きい。
図3において示されるように、第2の層のOSC材料にパラジウムを提供することが望ましい場合がある。加えて、良好なエンジン性能および良好かつ豊富なNOx変換活性を有するために、第2の層内に、Rh/アルミナおよび低セリア含有のOSC材料を有することが望ましい場合がある。良好かつ豊富なNOx変換活性は、Rhを上部膜内に、およびPdを下部膜内に持つ標準配合物、あるいは1つのみの膜内にPdおよびRhを持つそれぞれの単一のスラリー配合物を持つ標準配合物よりもより良好な変換結果を提供する。
【0049】
別の設計構想は、上に記載された、Pd/Rh下部膜、アルミナに含浸されたRh、およびOSC材料に含浸されたPdを持つ配合物を使用することである。この構想における上部膜は、アルミナに含浸されたRh、およびOSC材料に含浸されたPd(配合物内で使用される総量の30重量%)を、約10重量%の酸化セリウム濃度で含み得る。上部層中のPdは、標準配合物と比較して、HC変換を改善するであろう。この実施形態は、
図4において表される。
【0050】
したがって、1つ以上の実施形態において、第2の層は、典型的にはロジウムである1つの貴金属、典型的にはロジウムおよびパラジウム、またはパラジウムおよび白金である2つの金属、あるいはロジウム、パラジウム、および白金の最大3つの金属まで含有し得る。第2の層の組成物は、アルミナ、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−セリア−ジルコニア、ランタナ−アルミナ、ランタナ−ジルコニア−アルミナ、バリア−アルミナ、バリアランタナ−アルミナ、バリアランタナ−ネオジミアアルミナ、およびアルミナ−セリアからなる群より選択される活性アルミナ成分等の支持体上に、ロジウム成分を典型的に含む。任意に、セリアジルコニア複合体が、触媒材料の全体的な性能を促進するために、第2の層に提供され得る。1つ以上の実施形態において、セリア−ジルコニア複合体は、5〜20重量%のセリア含有量を有する、低セリアOSC成分である。他の実施形態において、OSC成分のセリア含有量は20〜45重量%であり得る。所望に応じて、第2の層は、HC等の排出の更なる変換を促進するために、それぞれが自身の支持体上に加熱固定された、パラジウムおよび/または白金成分を含み得る。白金のための好適な支持体は、活性アルミナ成分であり得、パラジウムのための好適な支持体は、低いセリア含有量を有するセリア−ジルコニア複合体であり得る。第2の層のためのウォッシュコートは、当分野において公知の方法に従い調製され得る。金属の固定に関しては、化学的または熱固定が、所望に応じて使用され得る。
【0051】
二金属層の上で提供する、第2の層の使用により、ロジウムは、Rhの移動を制限し、変換を促進するための2つの異なる環境をRhにもたらすために、2つの層間で実質的に均等に分布させ得る。
【0052】
2つの貴金属、パラジウムおよびロジウムのための支持体材料(OSCまたは酸化アルミニウム)の選択は、TWC触媒複合体の性能に強く影響を与える。パラジウムのための好ましい支持体は、高い割合のセリアを有する(セリア>25重量%、例えば、複合体の25〜45重量%の範囲)、セリア−ジルコニア複合体等のセリウム含有複合体である。ロジウムのための好ましい支持体は、酸化アルミニウム、および低い割合のセリアを有する(複合体の<40重量%、または<30重量%、または<20重量%、または更には<10重量%)、セリア−ジルコニア複合体等のセリウム含有複合体である。例えば、ロジウムの一部は好ましいOSC複合体への含浸により適用され、更なる割合が酸化アルミニウムへの含浸により適用される等の、混合物の処理もまた可能である。加えて、パラジウムの一部もまた、酸化アルミニウムへの含浸により適用され得る。
【0053】
同じ組成物を有する、十分に分散され、加熱固定された二金属層TWC触媒複合体の比較により、酸化アルミニウムへの全てのパラジウムの適用、ならびにOSC複合体への全てのロジウムの適用は、全てのロジウムが酸化アルミニウムによって支持され、ならびに全てのパラジウムがOSC複合体上に支持される場合と比べ、相当に貧弱な性能をもたらすことが示される。
【0054】
TWC触媒複合体が熱固定無しに生成される状況において、意図的かつ特異的な、支持体材料、酸化アルミニウムおよびOSC上における貴金属の配置は、熱固定の状況における場合と同様な強い影響を性能に与えない。熱固定の非存在下において、貴金属の一部はウォッシュコート分散体の生成時に溶液中に戻り、必然的に貴金属の再分布が起こるため、典型的に両方の支持体材料が両方の貴金属を保有することに行き着く。この必然的な再分布は、熱固定の場合には発生しない。この理由により、支持体材料の種類および量の選択は、熱固定が二金属コーティング組成物の場合と同様に使用される場合、TWC触媒複合体の性能に強く影響を与える。
【0055】
十分に分散された貴金属に関して、貴金属の支持体材料上での分布は、含浸溶液中の貴金属の濃度により強く影響を受ける。適用され得る含浸溶液の最大量は、含浸粉末がまだ乾燥し流動性を持つように、「初期湿潤」のすぐ上にある。支持体に適用される貴金属の量は、所望される、TWC触媒複合体の総貴金属充填により決定される。十分に分散される金属は、可能な限り最低な含浸溶液中の貴金属濃度で達成される選択される。
【0056】
加えて、貴金属、パラジウムおよびロジウムの熱固定は、水性ウォッシュコート分散体への手動調製を行う必要性の実質的な排除に帰着する。対照的に、支持体組成物が加熱固定されない場合、プロセス中の手動介入が、例えばpH値等を設定するために、頻繁に必要とされる。これは、ウォッシュコートの希釈および固形物量の低下につながる。したがって、従来の技術の方法で、高い固形物量は達成し難く、これは高い塗工量が1回のコーティングステップで適用されることを妨げる。加熱固定された支持体組成物が使用される場合、例えばpH等の手動調整は低減され、実質的に排除される。これが、ウォッシュコート分散体の高い固形物量を可能とする別の理由である。
【0057】
十分に分散され、加熱固定された二金属コーティングの追加的な利点と考えられる更なる態様とは、完成した触媒上の貴金属の変化の低減である。単一のコーティングステップのみを実行し、1回のコーティングステップにおいて適用され得る量を増やすことにより、コーティングプロセスにおける貴金属の変化を低減することにつながる。これは、触媒に適用される貴金属の量の精度が、TWC単一コーティング構想が採用される場合、より高くなるであろうことを意味する。
【0058】
成分
良好な活性および長い寿命を提示するTWC触媒は、例えば高表面積のアルミナコーティング等、高表面積、耐火性金属酸化物支持体上に配置される、1つ以上の白金族金属(例えば、白金、パラジウム、ロジウム、レニウム、およびイリジウム)を含む。支持体は、例えば耐火性セラミックもしくは金属ハニカム構造を含むモノリス担体等の、好適な担体または基材、あるいは例えば好適な耐火性材料の球、もしくは短い押出セグメント等の耐火性粒子上に担持される。耐火性金属酸化物支持体は、例えば、ジルコニア、チタニア、例えばバリア、カルシア、またはストロンチア等のアルカリ土類金属酸化物、あるいは最も普通には、例えばセリア、ランタナ、および2つ以上の希土類金属酸化物の混合物等の希土類金属酸化物等の物質による熱劣化に対して安定化し得る。例えば、米国特許第4,171,288号(Keith)を参照するとよい。TWC触媒は、例えばセリアおよびプラセオジミアを含む酸素貯蔵成分(OSC)を含むように配合され得る。
【0059】
高表面耐火性金属酸化物支持体は、20Åよりも大きい細孔および広い細孔分布を有する支持体粒子を指す。例えば、「ガンマアルミナ」または「活性アルミナ」とも呼ばれるアルミナ支持体材料等の、高表面積耐火性金属酸化物支持体は、グラムあたり60平方メートル(「m
2/g」)を超える、しばしば最大約200m
2/g以上のBET表面積を、典型的に提示する。このような活性アルミナは通常、アルミナのガンマおよびデルタ相の混合物であるが、相当量のエータ、カッパ、およびシータアルミナ相を含んでもよい。活性アルミナ以外の耐火性金属酸化物は、所与の触媒中の触媒成分の少なくとも一部のための支持体として使用され得る。例えば、バルクセリア、ジルコニア、アルファアルミナ、および他の物質が、このような使用に関して公知である。これらの物質の多くは、活性アルミナよりも相当に低いBET表面積を有するという欠点を持つものの、その欠点は、結果として得られる触媒の耐久性が大きいことにより相殺される傾向にある。「BET表面積」は、N
2吸着による表面積の決定のためのBrunauer,Emmett,Teller方法を指す、通常の意味を有する。
【0060】
触媒層はまた、所望に応じ、安定剤および促進剤を含有してよい。好適な安定剤としては、1つ以上の非還元性金属酸化物が挙げられ、ここで金属は、バリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、およびそれらの混合物からなる群より選択される。好ましくは、安定剤は、バリウムおよび/またはストロンチウムの1つ以上の酸化物を含む。好適な促進剤は、ランタン、プラセオジム、イットリウム、ジルコニウム、およびこれらの混合物からなる群より選択される1つ以上の希土類金属の1つ以上の非還元性酸化物を含む。
【0061】
担体
1つ以上の実施形態において、1つ以上の触媒組成物が担体上に配置される。担体は、触媒を調製するために典型的に使用されるこれらの材料のいずれかであってよく、好ましくはセラミックまたは金属ハニカム構造を含むであろう。任意の好適な担体、例えば、基材の入口または出口面から貫通する、微細かつ平行なガス流路を有するモノリス基材等が採用されてよく、それにより通路がそこを通る液体流に対して開かれている(ハニカム貫流基材と呼ばれる)。その流体入口から流体出口まで本質的に真っ直ぐな経路である通路は、触媒材料がウォッシュコートとして塗布される壁によって画定され、それにより通路を流れるガスが触媒材料に接触する。モノリス基材の流路は薄肉チャネルであり、例えば台形、長方形、正方形、正弦曲線、六角形、楕円形、円形等の任意の好適な断面形状およびサイズであり得る。このような構造は、1平方インチの断面積あたり約60〜約900またはこれより多いガス注入口(つまり、セル)を含有してよい。
【0062】
担体はまた、壁流フィルタ基材であってもよく、ここでチャネルは交互に遮断され、気体流が一方向(入口方向)からチャネルに入り、チャネル壁を通じて流れ、もう一方(出口方向)からのチャネルから出ることを可能にする。二重酸化触媒組成物は、壁流フィルタ上に塗布し得る。このような担体が活用されれば、結果として得られる系は、ガス状汚染物質とともに粒子状物質を除去することができるであろう。壁流フィルタ担体は、例えばコージェライトや炭化ケイ素等の、当分野において一般に公知の材料から作製し得る。
【0063】
セラミック担体は、例えばコージェライト、コージェライト−アルミナ、窒化ケイ素、ジルコンムライト、リシア輝石、アルミナ−シリカマグネシア、ジルコンシリケート、シリマナイト、ケイ酸マグネシウム、ジルコン、ペタライト、アルミナ、アルミノシリケート等の任意の好適な耐火性物質から作製され得る。
【0064】
本発明の触媒のために有用な担体はまた、自然界における金属であり得、1つ以上の金属または金属合金から構成され得る。金属担体は、例えば波形シートまたはモノリス形等、種々の形状において採用され得る。好ましい金属支持体は、例えばチタンおよびステンレス鋼等の耐熱性金属および金属合金、ならびに鉄が実質的または主要な成分である他の合金を含む。このような合金は、ニッケル、クロム、および/またはアルミニウムのうちの1つ以上を含み得、これらの金属の合計量は、有利に、例えば10〜25重量%のクロム、3〜8重量%のアルミニウム、ならびに最大20重量%のニッケル等、少なくとも15重量%の合金を含んでよい。合金はまた、例えばマンガン、銅、バナジウム、チタン等の1つ以上の他の金属を少量、または痕跡量含み得る。金属担体の表面は、担体の表面上に酸化物層を形成することにより、合金の腐食に対する耐性を改善するために、例えば1000℃以上の、高温で酸化されてよい。このような高温度誘発酸化は、耐火性金属酸化物支持体の接着、および担体へ金属成分を触媒的に促進することを増進し得る。
【0065】
代替の実施形態において、1つ以上の触媒組成物が、開放セル発泡体基材上に配置され得る。このような基材は当分野において広く公知であり、典型的に、耐火性セラミックまたは金属性材料で形成される。
【0066】
実施形態
一態様は、担体上に触媒材料を含む自動車用触媒複合体へ向けられ、この触媒材料は二金属層を含む。別の態様は、担体上に触媒材料を含む自動車用触媒複合体へ向けられ、この触媒材料は、担体上に二金属層を、ならびに第2の層を二金属層の上部に含む。提供される別の態様は、二金属層を提供するための、単一スラリーの作製である。別の態様は、本明細書において提供される触媒複合体による排気系を扱う。種々の実施形態が以下に列挙される。以下に列挙される実施形態は、本発明の範囲に従い、全ての態様および他の実施形態と組み合わされ得ることが理解されるであろう。
【0067】
実施形態1において、触媒材料は、耐火性金属酸化物成分または第1のセリア−ジルコニア複合体を含む第1の支持体によって支持されるロジウム成分と、第2のセリア−ジルコニア複合体を含む第2の支持体によって支持されるパラジウム成分と、促進剤、安定剤、または結合剤のうちの1つ以上と、を含み、触媒材料は、実質的に同時に、一酸化炭素および炭化水素を酸化し、かつ窒素酸化物を還元する三元変換(TWC)に有効であり、二金属層内の第1および第2のセリア−ジルコニア複合体の合計量は、耐火性金属酸化物成分の量以上である。
【0068】
実施形態2において、パラジウム成分、ロジウム成分、または両方が、加熱固定される。実施形態3において、ロジウム成分は、第1の支持体上に十分に分散され、ならびに/あるいはパラジウム成分は、第2の支持体上に十分に分散される。
【0069】
実施形態4において、ロジウム成分のための第1の支持体は、アルミナ系支持体またはジルコニウム系支持体を含む。
【0070】
実施形態5において、ロジウム成分のための第1の支持体は、アルミナ、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−セリア−ジルコニア、ランタナ−アルミナ、ランタナ−ジルコニア−アルミナ、バリア−アルミナ、バリアランタナ−アルミナ、バリアランタナ−ネオジミアアルミナ、およびアルミナ−セリアからなる群より選択される活性アルミナ化合物を含む。
【0071】
実施形態6において、ロジウム成分のための第1の支持体は、20重量%以下のセリアを含むセリア−ジルコニア複合体を含む。
【0072】
実施形態7において、パラジウム成分のための第2の支持体は、セリア−ジルコニアを含む。
【0073】
実施形態8において、パラジウム成分のための第2の支持体は、少なくとも25重量%のセリアを含む複合体を含む。
【0074】
実施形態9において、二金属層内の、第1および第2のセリア−ジルコニア複合体の合計量の耐火性金属酸化物成分の量に対する重量比は、1:1より大きい。
【0075】
実施形態10において、重量比は、2.5:1以上である。
【0076】
実施形態11において、重量比は、4:1以上である。
【0077】
実施形態12において、触媒材料は、耐火性金属酸化物成分上に、パラジウム成分を更に含む。
【0078】
実施形態13において、二金属層は、二金属層の重量パーセントにより、40〜50%の範囲の量の第2のセリア−ジルコニア複合体と、40〜50%の範囲の量の耐火性金属酸化物成分と、最大10%の量の、ランタナ、バリア、ジルコニア、およびストロンチウムのうちの1つ以上と、を含み、第2のセリア−ジルコニア複合体は、第2のセリア−ジルコニア複合体の25〜45重量%の範囲の量のセリアを含む。
【0079】
実施形態14において、二金属層は、二金属層の重量パーセントにより、70〜80%の範囲の量の第2のセリア−ジルコニア複合体と、10〜20%の範囲の量の耐火性金属酸化物成分と、最大10%の量の、ランタナ、バリア、ジルコニア、およびストロンチウムのうちの1つ以上と、を含み、第2のセリア−ジルコニア複合体は、第2のセリア−ジルコニア複合体の25〜45重量%の範囲の量のセリアを含む。
【0080】
実施形態15において、耐火性金属酸化物成分は、アルミナ−セリア化合物を含む。
【0081】
実施形態16において、触媒材料は、二金属層上に第2の層を更に含み、この第2の層は、第3の支持体上にロジウム成分、第4の支持体上に白金成分、第5の支持体上にパラジウム成分、またはこれらの組み合わせを含む。
【0082】
実施形態17において、第2の層は、アルミナ、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−セリア−ジルコニア、ランタナ−アルミナ、ランタナ−ジルコニア−アルミナ、バリア−アルミナ、バリアランタナ−アルミナ、バリアランタナ−ネオジミアアルミナ、およびアルミナ−セリアからなる群より選択される活性アルミナ化合物を含む第3の支持体上にロジウム成分を含む。
【0083】
実施形態18において、第2の層は、第3のセリア−ジルコニア複合体を含む第5の支持体上にパラジウム成分を含み得る。
【0084】
実施形態19において、第3のセリア−ジルコニア複合体は、第3のセリア−ジルコニア複合体の5〜20重量%の範囲の量のセリアを含む。
【0085】
実施形態20において、第2の層は、活性アルミナ化合物によって支持されるロジウム成分およびセリアジルコニア複合体を含む。
【0086】
実施形態21において、第2の層におけるロジウム成分の量は、二金属層におけるロジウム成分の量とおよそ同じである。
【0087】
実施形態22において、本明細書において開示される触媒複合体は、ガソリンエンジンの下流に配置される。
【0088】
実施形態23において、本明細書において開示される触媒複合体は、ガソリンエンジンの下流かつNOx低減触媒の上流にある
近位連結三元変換(TWC)触媒複合体の下流に配置される。
【0089】
実施形態24において、排ガス流は、処理のために、本明細書において開示される任意の触媒複合体と接触する。
【0090】
実施形態25において、触媒複合体を作製する方法は、耐火性金属酸化物成分または第1のセリア−ジルコニア複合体を含む第1の支持体上に、第1の含浸支持体を形成するために、ロジウム成分を分散させることと、任意に、第1の含浸支持体にロジウム成分を固定することと、第2のセリア−ジルコニア複合体を含む第2の支持体上に、第2の含浸支持体を形成するために、パラジウム成分を分散させることと、任意に、第2の含浸支持体にパラジウム成分を固定することと、その後に、水、第1および第2の含浸支持体、ならびに促進剤、安定剤、または結合剤のうちの1つ以上を混合することによって、水性ウォッシュコート分散体を形成することと、によって、三元変換(TWC)触媒材料を形成することと、担体上に二金属単一層を形成するために、担体上に水性ウォッシュコート分散体を塗布することと、触媒複合体を形成するために、二金属層を焼成することと、を含み、触媒材料は、実質的に同時に、一酸化炭素および炭化水素を酸化し、かつ窒素酸化物を還元する三元変換(TWC)に有効であり、第1および第2のセリア−ジルコニア複合体の合計量が、前記二金属層内の前記耐火性金属酸化物成分の量以上である。
【0091】
実施例
以下の非限定的実施例は、本発明の種々の実施形態を説明するために役立つであろう。
【0092】
実施例1
加熱固定された含浸支持体組成物を、以下のように調製した。RhまたはPd硝酸塩溶液を、十分に分散された含浸支持体に帰着するように、所望される食事充填を送達するために、最小限の濃度の金属溶液を使用して、選択された支持体材料上に含浸した。十分に分散された含浸支持体を次いで、十分に分散され、加熱固定された含浸支持体を形成するために、590℃で2時間焼成した。これらの材料を次いで、どれ程のCOを貴金属が吸着できるかについての尺度であり、金属および支持体の量によって直接的に強く影響を受ける金属分散率を提供するために、CO化学吸着に関して試験した。活性粒径を、CO吸収から計算した。表1は、粉末中の材料と試験結果を明示する。
【0094】
表1のデータを見ると、最小の固形物量(試料1−A、1−D、および1−J)を有する、つまり良好な分散を促進する試料は、より多い固形物量を持つ、つまりより希薄でない試料(試料1−B、1−C、1−E、1−F、1−K、1−L)と比較して、最高の金属分散率および最小の粒径を示す。
【0095】
実施例2
二金属層を有する単層触媒を含む触媒複合体の調製のために、2つの含浸支持体を調製した。第1の含浸支持体を、1.68g/in
3の高表面積ガンマ−アルミナへ、金属濃度を最小限にするために希釈した硝酸ロジウム溶液を添加することにより調製し、3g/ft
3のRhに帰着した。第2の含浸支持体を、1.70g/in
3のセリア−ジルコニア複合体(CeO
2、40重量%)へ、金属濃度を最小限にするために希釈した硝酸パラジウム溶液を添加することにより調製し、47g/ft
3のPdに帰着した。結果として得られた2つの含浸粉末を、個別に590℃で加熱固定し、粉砕した。単一水性ウォッシュコートを、水および酸(例えば酢酸)中に加熱固定された含浸支持体を分散させることによって形成した。また、BaおよびZrの促進剤もその中に分散させた。スラリーを粉砕し、モノリス上に3.66g/in
3の充填で塗布し、モノリスを空気中110℃で乾燥し、空気中590℃で焼成した。
【0096】
実施例3
比較
比較二層触媒複合体を、パラジウム下部層とロジウム上部層を有するように調製した。その、支持体および貴金属の全体的な組成は、実施例2のものと同じであった。下部層に関して、金属濃度を最小限にするために希釈した硝酸パラジウム溶液を、0.43g/in
3の高表面積ガンマ−アルミナへ添加し、47g/ft
3のPdに帰着した。結果として得られた含浸粉末を、水および酸(例えば酢酸)中に分散させた。このスラリー中に、1.45g/in
3のOSC材料(CeO
2、40重量%)ならびにBa、Zr、およびLaの促進剤を分散させ、粉砕した。最終的なスラリーを、モノリス上に2.08g/in
3の充填で塗布し、モノリスを空気中110℃で乾燥し、空気中590℃で焼成した。
【0097】
上部層に関して、金属濃度を最小限にするために希釈した硝酸Rh溶液を、1.25g/in
3の高表面積ガンマ−アルミナへ添加し、3g/ft
3のRhに帰着した。結果として得られた含浸粉末を、水および酸(例えば酢酸)中に分散させた。このスラリー中に、0.25g/in
3のOSC材料(CeO
2、40重量%)ならびにBaおよびZrの促進剤を分散させ、粉砕した。最終的なスラリーを、先に下部層を塗布されたモノリス上に1.60g/in
3の充填で塗布し、モノリスを空気中110℃で乾燥し、空気中590℃で焼成した。
【0098】
実施例4
二金属層を有する単層触媒の調製のために、2つの含浸支持体を、実施例2のステップに従い調製した。実施例4に関して、実施例2と比較して、より多くのセリア−ジルコニア支持体を使用した。第1の含浸支持体を、0.43g/in
3の高表面積ガンマ−アルミナへ、金属濃度を最小限にするために希釈した硝酸ロジウム溶液を添加することにより調製し、3g/ft
3のRhに帰着した。第2の含浸支持体を、1.70g/in
3のセリア−ジルコニア複合体(CeO
2、30重量%)へ、金属濃度を最小限にするために希釈した硝酸パラジウム溶液を添加することにより調製し、47g/ft
3のPdに帰着した。結果として得られた2つの含浸粉末を、個別に590℃で加熱固定し、粉砕した。単一水性ウォッシュコートを、水および酸(例えば酢酸)中に加熱固定された含浸支持体を分散させることによって形成した。また、La、BaおよびZrの促進剤もその中に分散させた。スラリーを粉砕し、モノリス上に2.98g/in
3の充填で塗布し、モノリスを空気中110℃で乾燥し、空気中590℃で焼成した。
【0099】
実施例5
二金属層を有する単層触媒の調製のために、2つの含浸支持体を、実施例2のステップに従い調製した。実施例5に関して、実施例4と比較して、Rhのために異なる支持体を使用した。第1の含浸支持体を、0.50g/in
3の高表面積ガンマ−アルミナ−セリアへ、金属濃度を最小限にするために希釈した硝酸ロジウム溶液を添加することにより調製し、3g/ft
3のRhに帰着した。第2の含浸支持体を、2.90g/in
3のセリア−ジルコニア複合体(CeO
2、30重量%)へ、金属濃度を最小限にするために希釈した硝酸パラジウム溶液を添加することにより調製し、47g/ft
3のPdに帰着した。結果として得られた2つの含浸粉末を、個別に590℃で加熱固定し、粉砕した。単一水性ウォッシュコートを、水および酸(例えば酢酸)中に加熱固定された含浸支持体を分散させることによって形成した。また、BaおよびZrの促進剤もその中に分散させた。スラリーを粉砕し、モノリス上に3.64g/in
3の充填で塗布し、モノリスを空気中110℃で乾燥し、空気中590℃で焼成した。
【0100】
実施例6
下部層に二金属層を、ならびにPd−Rh上部層を有する二層触媒複合体を調製した。その、支持体および貴金属の全体的な組成は、実施例5のものと同じであった。下部層に関して、2つの含浸支持体を、実施例2のステップに従い調製した。第1の含浸支持体を、0.43g/in
3の高表面積ガンマ−アルミナ−セリアへ、金属濃度を最小限にするために希釈した硝酸ロジウム溶液を添加することにより調製し、1.5g/ft
3のRhに帰着した。第2の含浸支持体を、2.25g/in
3のセリア−ジルコニア複合体(CeO
2、30重量%)へ、金属濃度を最小限にするために希釈した硝酸パラジウム溶液を添加することにより調製し、32.9g/ft
3のPdに帰着した。結果として得られた2つの含浸粉末を、個別に590℃で加熱固定し、粉砕した。単一水性ウォッシュコートを、水および酸(例えば酢酸)中に加熱固定された含浸支持体を分散させることによって形成した。また、BaおよびZrの促進剤もその中に分散させた。スラリーを粉砕し、モノリス上に2.91g/in
3の充填で塗布し、モノリスを空気中110℃で乾燥し、空気中590℃で焼成した。
【0101】
上部層に関して、2つの含浸支持体を、実施例2のステップに従い調製した。第1の含浸支持体を、0.40g/in
3の高表面積ガンマ−アルミナ−セリアへ、金属濃度を最小限にするために希釈した硝酸ロジウム溶液を添加することにより調製し、1.5g/ft
3のRhに帰着した。第2の含浸支持体を、0.40g/in
3のセリア−ジルコニア複合体(CeO
2、10重量%)へ、金属濃度を最小限にするために希釈した硝酸パラジウム溶液を添加することにより調製し、14.1g/ft
3のPdに帰着した。結果として得られた2つの含浸粉末を、個別に590℃で加熱固定し、粉砕した。単一水性ウォッシュコートを、水および酸(例えば酢酸)中に加熱固定された含浸支持体を分散させることによって形成した。また、BaおよびZrの促進剤もその中に分散させた。スラリーを粉砕し、二金属下部膜上に0.91g/in
3の充填で塗布し、これを空気中110℃で乾燥し、空気中590℃で焼成した。
【0102】
実施例7
データ
実施例2および3を、エンジンの発熱条件下、最大1050℃で80時間エージングした。駆動台上試験におけるNew European Drive Cycle(NEDC)条件下で、このような試料の性能を、HC、CO、およびNOxの排出量を測定することにより評価し、ここでHCおよびNOxの性能に関して2つの試料の間に差異は存在せず、COの性能において実施例2に僅かな優位性が存在した。データは以下のようであった。
【0104】
実施例4および3を、エンジンの燃料カット条件下、最大1030℃で100時間エージングした。駆動台上試験におけるNew European Drive Cycle(NEDC)条件下で、このような試料の性能を、HC、CO、およびNOxの排出量を測定することにより評価し、ここで実施例4に関して著しく良好なHCおよびNOxの性能が存在し、COの性能において2つの試料の間に有意な差異は存在しなかった。データは以下のようであった。
【0106】
実施例4および5を、エンジンの燃料カット条件下、最大1030℃で100時間エージングした。駆動台上試験におけるNew European Drive Cycle(NEDC)条件下で、このような試料の性能を、HC、CO、およびNOxの排出量を測定することにより評価し、ここで実施例5に関して著しく良好なHCおよびNOxの性能が存在し、COの性能において実施例5に僅かな優位性が存在した。データは以下のようであった。
【0108】
実施例4および6を、エンジンの燃料カット条件下、最大1030℃で100時間エージングした。駆動台上試験におけるNew European Drive Cycle(NEDC)条件下で、このような試料の性能を、HC、CO、およびNOxの排出量を測定することにより評価し、ここで実施例6に関して著しく良好なHC、COおよびNOxの性能が存在した。データは以下のようであった。
【0110】
実施例8
三金属層を有する単層触媒を含む触媒複合体の調製のために、3つの含浸支持体を調製した。第1の含浸支持体を、0.43g/in
3の高表面積ガンマ−アルミナへ、硝酸ロジウム溶液を添加することにより調製し、4g/ft
3のRhに帰着した。第2の含浸支持体を、2.25g/in
3のセリア−ジルコニア複合体(CeO
2、30重量%)へ、硝酸パラジウム溶液を添加することにより調製し、82.8g/ft
3のPdに帰着した。第3の含浸支持体を、1.0g/in
3の高表面積ガンマ−アルミナへ、硝酸パラジウム溶液および硝酸白金溶液の両方を添加することにより調製し、7.2g/ft
3のPdおよび24g/ft
3のPtに帰着した。結果として得られた3つの含浸粉末を、個別に590℃で加熱固定し、粉砕した。単一水性ウォッシュコートを、水および酸(例えば酢酸)中に加熱固定された含浸支持体を分散させることによって形成した。また、BaおよびZrの促進剤もその中に分散させた。スラリーを粉砕し、モノリス上に3.66g/in
3の充填で塗布し、モノリスを空気中110℃で乾燥し、空気中590℃で焼成した。
【0111】
実施例9
下部層に二重Pd−Rh金属層を、ならびにPt−Pd上部層を有する二層触媒複合体を調製した。その、支持体および貴金属の全体的な組成は、実施例8のものと同じであった。下部層に関して、2つの含浸支持体を、実施例2のステップに従い調製した。第1の含浸支持体を、0.43g/in
3の高表面積ガンマ−アルミナ−セリアへ、硝酸ロジウム溶液を添加することにより調製し、4g/ft
3のRhに帰着した。第2の含浸支持体を、2.25g/in
3のセリア−ジルコニア複合体(CeO
2、30重量%)へ、硝酸パラジウム溶液を添加することにより調製し、82.8g/ft
3のPdに帰着した。結果として得られた2つの含浸粉末を、個別に590℃で加熱固定し、粉砕した。単一水性ウォッシュコートを、水および酸(例えば酢酸)中に加熱固定された含浸支持体を分散させることによって形成した。また、BaおよびZrの促進剤もその中に分散させた。スラリーを粉砕し、モノリス上に2.94g/in
3の充填で塗布し、モノリスを空気中110℃で乾燥し、空気中590℃で焼成した。
【0112】
上部層に関して、第3の含浸支持体を、実施例8のステップに従い調製した。第3の含浸支持体を、1.0g/in
3の高表面積ガンマ−アルミナへ、硝酸パラジウム溶液および硝酸白金溶液の両方を添加することにより調製し、7.2g/ft
3のPdおよび24g/ft
3のPtに帰着した。結果として得られた含浸粉末を、590℃で加熱固定し、粉砕した。単一水性ウォッシュコートを、水および酸(例えば酢酸)中に加熱固定された含浸支持体を分散させることによって形成した。また、BaおよびZrの促進剤もその中に分散させた。スラリーを粉砕し、二金属下部膜上に1.16g/in
3の充填で塗布し、これを空気中110℃で乾燥し、空気中590℃で焼成した。
【0113】
実施例10
データ
ある系を、ガソリンエンジンの下流のために用意した。三元変換(TWC)触媒複合体を、
近位連結された位置に配置した。
近位連結TWC触媒複合体の下流に、実施例8または9のいずれかの触媒複合体を、リーンNOxトラップ触媒であるNOx低減触媒の上流に配置した。
【0114】
この系を、エンジンの発熱条件下、950℃で64時間エージングした。リーンガソリン直噴(GDI)エンジン排気流中の、実施例8または9のいずれかの触媒複合体の下流にあるこのような系の性能を、HC、CO、およびNOxの排出量を測定することにより評価し、ここでHCの性能に関して2つの試料の間に差異は存在しなかったが、COおよびNOxに関して、実施例9が著しく良好な変換を提供した。変換データは以下である。
【0116】
本明細書を通して、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、または「ある実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特色、構造、材料、または特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態において含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な位置における、「1つ以上の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「一実施形態において」、または「ある実施形態において」等の用語の出現は、本発明の同一の実施形態を必ずしも指すわけではない。更に、特定の特色、構造、材料、または特徴は、1つ以上の実施形態において任意の好適な様式で組み合わされてよい。
【0117】
本発明は、実施形態への具体的な言及、および上に説明される、それに対する修正によって、説明されてきた。更なる修正および変更が、本明細書を読み理解する際に、他に起こり得る。そのような修正および変更全てが、それらが本発明の範囲内に入る限り本発明に含まれることが意図される。