(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6450610
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】調理済み麺類の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/109 20160101AFI20181220BHJP
【FI】
A23L7/109 A
A23L7/109 E
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-44333(P2015-44333)
(22)【出願日】2015年3月6日
(65)【公開番号】特開2016-163545(P2016-163545A)
(43)【公開日】2016年9月8日
【審査請求日】2017年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】日清フーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】金子 幸司
(72)【発明者】
【氏名】朝比奈 健太
【審査官】
関 景輔
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−295338(JP,A)
【文献】
特開平11−000123(JP,A)
【文献】
特開2007−049972(JP,A)
【文献】
特開2010−142184(JP,A)
【文献】
特開平02−035051(JP,A)
【文献】
特開2014−221024(JP,A)
【文献】
特開平03−175942(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/041853(WO,A1)
【文献】
特開平10−084897(JP,A)
【文献】
特開2010−246466(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/172118(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/171930(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0322421(US,A1)
【文献】
実開昭58−189790(JP,U)
【文献】
特開平02−117353(JP,A)
【文献】
三瀬勝利,水分活性と食品衛生,調理化学,1992年,Vol.25, No.4,p.57-63
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/109−7/113
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
品温が60℃以上である加熱調理した麺類に、40℃以上の溶液を付着させること、
該溶液が付着した麺類を、気流により、6分以内に品温0〜20℃まで冷却すること、および
該冷却した麺類を冷蔵または冷凍すること、
を含み、
該溶液の水分活性が0.980〜0.997であり、
該溶液の付着量が、該加熱調理した麺類100質量部に対して1〜5質量部である、
調理済み麺類の製造方法。
【請求項2】
前記溶液が、調味料が溶解した水性液、該水性液と油脂との乳化液、または該水性液と乳化液との混合物である、請求項1記載の調理済み麺類の製造方法。
【請求項3】
前記麺類の冷却において、−10〜5℃の気流により該麺類を6分以内に品温0〜20℃まで冷却する、請求項1又は2記載の調理済み麺類の製造方法。
【請求項4】
前記溶液がゼラチン0.5〜4質量%を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の調理済み麺類の製造方法。
【請求項5】
前記溶液を付着させる前の麺類を油脂で被覆することをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の調理済み麺類の製造方法。
【請求項6】
前記加熱調理に供される麺類が乾麺であり、かつ該加熱調理した麺類の歩留まりが230〜260%であるか、又は前記加熱調理に供される麺類が生麺であり、かつ該加熱調理した麺類の歩留まりが160〜200%である、請求項1〜5のいずれか1項記載の調理済み麺類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理した状態で冷蔵または冷凍保存した後に再加熱して喫食する、調理済み麺類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵または冷凍調理済み麺類は、乾麺または生麺を茹で調理後、冷水を用いて急速に冷却し、次いで1食ごとに小分けした後、冷蔵または冷凍処理することによって製造されている。水は比熱が大きく、急速に対象物の熱を奪うことが可能であるので、冷水を用いた茹で麺の冷却は工場などでの大量生産に適している。しかしながら、冷水を用いた冷却では、麺が大量の水にさらされることにより、麺の表面が荒れたり余分な水分が麺表面に残ったりすることがあるため、冷蔵または冷凍後の麺の品質が低下することがあった。他方、風を用いて茹で麺を冷却する方法がとられることもある。しかし、風による冷却でも、麺表面が乾いたり麺が細くなったりすることによって、やはり冷蔵または冷凍後の麺の品質が低下することがあった。
【0003】
従来の冷蔵または冷凍調理済み麺類の製造方法に対して、種々の改良技術が提案されている。特許文献1には、茹でた麺を水冷後、気体を吹き付けて麺に付着した水を吹き飛ばすとともに、麺同士を分離させ、その後冷凍処理することにより、冷凍および解凍が容易で、かつ解凍ムラのない冷凍麺を製造することができることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、調理済み麺類に、水、食塩、油脂および増粘剤を付着させた後、冷凍することにより、冷凍麺類の冷凍やけを防止することが記載されている。特許文献3には、調理済み麺類に、少なくとも水、油脂および増粘多糖類を含み、かつ所定の粘度を有する組成物を付着させることによる冷凍麺類の冷凍やけ防止方法、および該付着の際に、組成物と麺類の温度を調整することが記載されている。特許文献4には、茹で麺類に特定の種類の糊料、糖質誘導体、およびゼラチンなどのタンパク質から選ばれる一種以上の物質を付着させ、その後凍結して製造された冷凍茹で麺が、冷凍保存中における品質劣化を防止できることが記載されている。特許文献5には、湯がいた麺類にゼラチン含有調味液を付着させた後、密封包装し、冷却して得られるチルド保存可能な麺類食品が、麺のほぐれがよく、また品質を保持できることが記載されている。
【0005】
一方、特許文献6には、茹パスタ類を成型容器に入れて冷凍する際に、該茹パスタ類を品温35〜95℃に調整することが記載されている。しかし、この温度調整は、該茹パスタ類の容器への充填を容易にするための処理であって、冷蔵または冷凍保存中における麺の品質低下防止を目的とした処理ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−333867号公報
【特許文献2】国際公開公報第2009/054100号
【特許文献3】国際公開公報第2013/172118号
【特許文献4】特開平2−117353号公報
【特許文献5】特開平6−284874号公報
【特許文献6】特開2002−17281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の改良技術により製造した冷蔵または冷凍調理済み麺類であっても、麺の食感が硬くなるなど、冷蔵または冷凍保存中に品質が低下することがあった。したがって、冷蔵または冷凍保存後に再加熱しても、茹でたての麺のようなみずみずしい外観と粘りのある良好な食感とを有し、ソースとの絡みが良く、しかもほぐれが良い麺類を製造することができる、調理済み麺類の製造のためのより優れた方法の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、冷蔵または冷凍調理済み麺類の製造方法の改良について種々検討した。その結果、加熱調理した麺類を冷蔵または冷凍前に冷却する際に、従来一般的な手法、すなわち加熱調理直後に水で冷却する手法ではなく、まず加熱調理した後所定の品温に調整した麺類に、所定温度の溶液を付着させ、次いでこれを気流によって所定の温度に冷却することにより、冷蔵または冷凍保存後に再加熱しても、茹でたての麺のような良好な外観と食感を有する調理済み麺類が得られることを見出した。
【0009】
したがって、本発明は、
品温60℃以上の加熱調理した麺類に、40℃以上の溶液を付着させること、
該溶液が付着した麺類を、気流により品温0〜20℃まで冷却すること、および
該冷却した麺類を冷蔵または冷凍すること、
を含む、調理済み麺類の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の調理済み麺類の製造方法によれば、冷蔵または冷凍保存後に再加熱しても、茹でたての麺のようなみずみずしい外観と粘りのある良好な食感とを有し、ソースとの絡みが良く、しかもほぐれが良い調理済み麺類を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の製造方法では、まず加熱調理した麺類を準備する。加熱調理に供される麺類は、小麦粉等の穀粉を主原料とする麺類であればその種類や製造方法は特に限定されない。該麺類としては、手打ちまたは手延べ式、圧延製麺法、ロール製麺法、押出製麺法などの通常の方法で製造された麺類が挙げられ、例えば、マカロニ、スパゲッティ等のパスタ、うどん、ひやむぎ、そうめん、平めん、日本蕎麦、中華麺、麺皮類(餃子、焼売、春巻き、ワンタンの皮等)などを挙げることができる。これらの麺類は、乾麺であっても、半生麺もしくは生麺であってもよい。
【0012】
上記麺類の加熱調理の手段としては、該麺類を喫食可能にアルファ化できる手段であればよく、例えば、茹で、蒸し、電子レンジ等によるマイクロ波加熱などが挙げられる。茹でまたは蒸し調理の場合、常法に従って、上記麺類を熱水を用いて茹でるか、蒸せばよい。調理に使用する水は、水道水、井戸水、浄水など、調理に通常使用される水であればよい。あるいは、茹で水には塩水を用いてもよい。該塩水は、塩化ナトリウム水溶液などの食塩水であればよく、塩濃度は0.5〜3%(質量/体積%)が好ましい。
【0013】
上記加熱調理では、調理後の麺類が所望の硬さまたは歩留まりとなるように上記麺類を調理すればよい。該加熱調理の条件は、用いる麺類の種類や所望される喫食時の食感に応じて、適宜調整することができる。例えば、加熱調理に供される麺類が乾麺である場合は、該麺類を、好ましくは歩留まり220%以上、より好ましくは230〜260%に調理すればよく、生麺である場合は、該麺類を、好ましくは歩留まり150%以上、より好ましくは160〜200%に調理すればよい。なお、歩留まりとは、加熱調理前の麺類の質量に対する加熱調理後の麺類の質量を百分率で表した数値である。
【0014】
加熱調理した麺類は、必要に応じて水切り(湯切り)する。水切りの方法は、ざる等のメッシュ状の器に調理した麺類を入れて水を落下させる方法などを採用することができる。必要に応じて、該水切りの後もしくは該水切りと並行して、該加熱した麺類に後述する溶液を付着させる前に、該麺類を油脂で被覆してもよい。麺類を油脂で被覆することにより、麺同士の接着や麺表面からの過度の水分蒸発を防止することができる。該被覆に用いる油脂は、食用油脂であればよいが、サラダ油、綿実油、コーン油などの常温で液状の油脂が好ましい。該被覆に用いる油脂の量は、加熱調理した麺類100質量部に対して、0.5〜5質量部が好ましく、0.8〜2質量部がより好ましい。油脂の量が0.5質量部より少ないと、麺類の被覆が不十分になることがあり、一方、5質量部以上であると、麺類がべたべたして油っぽくなる。
【0015】
次いで、上記加熱調理した麺類に溶液を付着させる。溶液を付着させることで、冷蔵または冷凍保存中における麺類の品質低下を防止することができる。溶液の種類としては、水に調味料などが溶解した水性液、該水性液と油脂との乳化液、および該水性液と乳化液との混合物を例示することができ、好ましい例としては、食塩水、糖液、だし汁類、スープ類、およびソース、ケチャップ等の各種調味料を含む液、ならびにこれらのいずれかの混合物を挙げることができる。
【0016】
上記溶液は、0.980〜0.997の水分活性(Aw)を有することが好ましく、さらに好ましくは、Awが0.988〜0.995である。Awが0.980未満であると、保存後の麺類の食感が硬くなり過ぎる傾向があり、逆にAwが0.997を超えると、保存後の麺類の食感が柔らか過ぎるか、または弾力に劣る傾向がある。本明細書における溶液のAwは、25℃における値をいう。溶液のAwは、適宜公知の方法により溶液のAwを測定しながら、該溶液の塩分や糖の濃度を調整したり、該溶液を希釈すること等によって調整することができる。例えば、2質量%塩化ナトリウム水溶液のAwは約0.990である。
【0017】
さらに、上記溶液に増粘剤を含有させると、麺類に対する溶液の付着性を向上させて、保存後の麺類によりしっとりとした食感を付与することができる。ただし、溶液による麺類の品質低下防止効果が損なわれないように、当該増粘剤としては、上記溶液のAwに対する影響の少ないものが好ましい。溶液のAwに対する影響の少ない増粘剤としては、ゼラチン、グアガム、およびキサンタンガムが挙げられる。溶液中における増粘剤の含有量は、好ましくは0.5〜4質量%程度、より好ましくは1〜3質量%程度である。増粘剤の含有量が4質量%を超えると、溶液を付着させた麺類がほぐれにくくなることがある。
【0018】
さらに、麺類に上記溶液を付着させることによって、麺類に該溶液の風味を付与することができる。したがって、所望される麺類の風味に応じて、使用する溶液の種類を選択することができる。例えば、溶液としてソースを用いることにより、当該ソースの風味が付与された麺類を製造することができる。あるいは、上述した範囲のAwを有する塩水は、麺類にわずかな塩味を付与するだけであるので、麺類に対して喫食時に別の味付けを施す場合に適している。
【0019】
本発明において、上記溶液を付着させる際、加熱調理した麺類の品温は60℃以上に、および該溶液の温度は40℃以上にする。該麺類の品温が60℃未満であるか、該溶液の温度が40℃未満であると、麺類の品質低下防止の効果が不十分になる。一方、上記溶液を付着させる際の麺類の品温の上限は、加熱調理直後の品温以下であればよい。また、麺類に付着させる溶液の温度の上限は、沸点未満であればよい。溶液の温度が沸点以上であると、操作性が悪化するとともに、麺類への付着量をコントロールすることが難しくなり、また付着させた麺類の表面が荒れる場合がある。上記溶液を付着させる際の麺類の品温および該溶液の温度は、好ましくは60〜95℃、より好ましくは70〜95℃、さらに好ましくは80〜90℃である。
【0020】
上記溶液を麺類に付着させるための手段としては、該溶液を麺類の表面全体にほぼ均等に付着させることができる手段であれば、特に限定されない。例えば、付着手段としては、該溶液への麺類の浸漬、該溶液を麺類にまぶすもしくは噴霧する、または該溶液と麺類の混合等が挙げられるが、作業効率の点から混合が好ましい。
【0021】
加熱調理した麺類に対する上記溶液の付着量は、該麺類の太さや歩留まりによっても異なるが、好ましくは、加熱調理後の麺類100質量部に対して、1〜5質量部程度であり、より好ましくは2〜4質量部である。溶液の量が少な過ぎると、麺類全体に溶液を付着させることが困難になり、一方、溶液の量が多過ぎると、保存後の麺類の食感が低下する傾向がある。
【0022】
次いで、上記溶液を付着させた麺類を、気流により冷却する。該気流は、自然に発生した気流であっても、能動的に発生させた気流であってもよい。例えば、低温の雰囲気下に上記溶液を付着させた麺類を静置し、該雰囲気下で自然に生じる対流を利用して麺類を冷却することができる。あるいは、送風機や冷風機等で能動的に発生させた気流に曝すことによって上記溶液を付着させた麺類を冷却してもよい。冷却時間の短縮の観点からは、能動的に発生させた気流を用いることが好ましい。自然に生じる対流のもとでは、温度変化が緩慢であるため、冷却のために大空間が必要となったり、冷却時間が長時間になったりすることがある。より急速な冷却が可能となるため、気流の温度は低温である程好ましい。好ましい気流の温度は20℃以下であり、より好ましくは−10〜5℃である。気流の風速は0.5〜5m/s程度が好ましい。
【0023】
上記冷却処理は、麺類の品温が0〜20℃、好ましくは0〜10℃になるまで行う。冷却した麺類の品温が0℃未満であると、麺類に氷結晶が発生して風味が低下する。一方、冷却した麺類の品温が20℃を超えていると、次の冷蔵または冷凍処理において保存温度に到達するまでに時間がかかるため、やはり麺類の風味が低下する。気流による麺類の冷却に要する時間は、短時間である程好ましく、より好ましくは6分以内、さらに好ましくは4分以内、なお好ましくは2分以内である。冷却時間が6分を超えると、麺類の表面が乾いてしまい、麺類が部分的に硬くなったり、麺同士が接着することがある。
【0024】
続いて、上記気流により冷却した麺類を、冷蔵または冷凍する。冷凍処理は、急速冷凍および緩慢冷凍のいずれも適用できるが、急速冷凍が好ましい。一旦急速冷凍で凍結させた後は、通常の冷凍保存条件(例えば、0℃未満〜−40℃の雰囲気下)で保存すればよい。麺類を冷蔵する場合は、通常の冷蔵条件、好ましくは、平均温度が0℃〜10℃の範囲になる雰囲気下または麺類の品温が5℃〜10℃に維持される条件下で、麺類を保存する。好ましくは、上記麺類は、容器に密封包装された状態で冷蔵または冷凍保存される。
【0025】
上記麺類を冷凍する場合、喫食用ソース等とともに冷凍してもよい。例えば、気流により冷却した麺類を、容器に充填した後、喫食用ソースをかけて冷凍してもよく、または該冷却した麺類を喫食用ソースと絡めた後、容器に充填して冷凍させてもよく、または別々に冷凍した該冷却した麺類と喫食用ソースを同じ容器に充填してもよい。一方、上記麺類を喫食用ソース等とともに冷蔵する場合は、該麺類とソース等とを直接接触させると、時間の経過とともに麺類に水分が移行して、品質が低下することがある。したがって、麺類を冷蔵する場合には、ソースを容器の別の箇所に載置したり、麺類とソースの間にフィルムを挟むなどして、麺類とソース等とが直接接しないようにするのが好ましい。
【0026】
喫食用ソースとしては、パスタ用ソース、例えば、ミートソース、ナポリタンソース、アラビアータソース等のトマト系ソース、カルボナーラソース等のホワイト系ソース、ブラウン系ソース等;焼きそばソース;各種シーズニング類などが挙げられるが、これらに限定されず、麺類の種類や所望される味付けに応じて適宜選択することができる。
【実施例】
【0027】
以下に実施例、試験例および比較例を示し、本発明の効果を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0028】
(製造例1〜8)
乾スパゲティ(1.7mm径)100gを、1質量%食塩水で11分間茹で調理した(歩留まり245%)。茹上げ直後の茹でスパゲティを湯切りした後、品温86℃で、表1記載の温度の溶液(2質量%食塩水;Aw=0.990)7.5g(茹でスパゲティ100質量部あたり約3.1質量部)を加えてよく混ぜ、該溶液を茹でスパゲティの表面に満遍なく付着させた。その後、該溶液の付着したスパゲティを、トレーに移し、冷風機からの0℃の気流(風速1〜2m/s)に当てて、スパゲティを1〜4分間冷却した。冷却後のスパゲティの品温は10℃であった。次いで、冷却した茹でスパゲティを密封包装し、冷蔵庫で5℃にて2日間保管した。
【0029】
(製造例9)
製造例1と同様の手順で乾スパゲティを茹で調理し(歩留まり245%)、湯切りした。火にかけて沸騰させた溶液(2質量%食塩水;Aw=0.990)を火からおろし、すぐに該茹でスパゲティを加えて15秒間浸漬させた。該スパゲティから余分な溶液をよく切った後、該スパゲティをトレーに移し替え、冷風機からの0℃の気流(風速1〜2m/s)を約4分間当てて該スパゲティを冷却した。冷却後のスパゲティの品温は10℃であった。次いで、冷却した茹でスパゲティを密封包装し、冷蔵庫で5℃にて2日間保管した。
【0030】
(製造例10)
茹でスパゲッティに溶液を付着させなかった以外は、製造例1と同じ手順で冷蔵茹でスパゲティを製造した。製造したスパゲティは、冷蔵庫で5℃にて2日間保管した。
【0031】
(製造例11)
湯切りした後の茹でスパゲティに対し、5gのサラダ油(茹でスパゲティ100質量部あたり2質量%)で被覆した後に、溶液を付着させた以外は、製造例5と同じ手順で冷蔵茹でスパゲティを製造した。製造したスパゲティは、冷蔵庫で5℃にて2日間保管した。
【0032】
(試験例1)
製造例1〜11の冷蔵茹でスパゲティを包装容器から取り出し、500Wの電子レンジで再加熱した。再加熱した茹でスパゲティを皿に盛り付けた後、10名のパネラーにより、下記に示す評価基準にて該スパゲティの外観と食感を評価した。評価結果の平均値を表1に示す。
【0033】
〔評価基準〕
外観
5点 麺が非常にみずみずしく、かつふっくらとした外観を有している。
4点 麺がみずみずしく、かつふっくらとした外観を有している。
3点 麺が比較的みずみずしい外観を有している。
2点 麺の表面がやや乾いており、かつ麺がやや細くなっている。
1点 麺の表面が乾いており、かつ麺が細くなっている。
食感
5点 歯応えと粘りが十分にある、非常に良好な食感。
4点 歯応えと粘りのある、良好な食感。
3点 歯応えおよび粘りが弱く、やや柔らかい食感。
2点 やや硬過ぎまたはやや柔らか過ぎ、かつ歯応えに乏しく、不良な食感。
1点 硬過ぎまたは柔らか過ぎ、かつ歯応えがなく、非常に不良な食感。
【0034】
【表1】
【0035】
(製造例12〜17)
茹で調理したスパゲッティを表2記載の品温にした後に、溶液を付着させた以外は、製造例5と同じ手順で冷蔵茹でスパゲティを製造した。製造したスパゲティを冷蔵庫で5℃にて2日間保管した後、試験例1と同じ手順で外観と食感を評価した。評価結果を表2に示す。なお、表2には製造例5の結果を再掲する。
【0036】
【表2】
【0037】
(製造例18〜20)
冷却後のスパゲティの品温を表3記載の温度に変更した以外は、製造例5と同じ手順で冷蔵茹でスパゲティを製造した。
【0038】
(製造例21)
溶液を付着させた茹でスパゲティを、冷蔵室で8℃の雰囲気中の自然対流下(風速0.1m/s未満)で冷却した以外は、製造例5と同じ手順で冷蔵スパゲッティを製造した。この製造例では、麺類が品温10℃に冷却されるまでに約9分間を要した。
【0039】
製造例18〜21のスパゲティを冷蔵庫で5℃にて2日間保管した後、試験例1と同じ手順で外観と食感を評価した。評価結果を表3に示す。なお、表3には製造例5の結果を再掲する。
【0040】
【表3】
【0041】
(製造例22〜27)
溶液の付着量を表4記載のとおり変更した以外は、製造例7と同じ手順で冷蔵スパゲティを製造した。製造したスパゲティを冷蔵庫で5℃にて2日間保管した後、試験例1と同じ手順で外観と食感を評価した。評価結果を表4に示す。なお、表4には製造例7の結果を再掲する。
【0042】
【表4】
【0043】
(製造例28〜30)
溶液を、表5記載の濃度およびAwを有する食塩水またはコンソメ希釈液に変更した以外は、製造例7と同じ手順で冷蔵スパゲティを製造した。製造したスパゲティを冷蔵庫で5℃にて2日間保管した後、試験例1と同じ手順で外観と食感を評価した。評価結果を表5に示す。なお、表5には製造例7の結果を再掲する。
【0044】
【表5】
【0045】
(製造例31〜34)
溶液に表6記載の量でゼラチンを加えた以外は、製造例30と同じ手順で冷蔵スパゲティを製造した。製造したスパゲティを冷蔵庫で5℃にて2日間保管した後、試験例1と同じ手順で外観と食感を評価した。評価結果を表6に示す。なお、表6には製造例30の結果を再掲する。
【0046】
【表6】