(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
Ar
1およびAr
2は、各々独立に、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基(メチル基、メトキシ基、ピリジル基、ピリミジル基、フッ素原子、または炭素数2〜10のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、エステル基もしくはエステルアルキル基で置換されていてもよい)を表わす。
【0015】
炭素数6〜12の芳香族炭化水素基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−ビフェニル基、3−ビフェニル基、または4−ビフェニル基等が挙げられる。
【0016】
ピリジル基としては、特に限定するものではないが、例えば、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基が挙げられる。
【0017】
ピリミジル基としては、特に限定するものではないが、例えば、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基が挙げられる。
【0018】
炭素数2〜10のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、エステル基、もしくはエステルアルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、エチル基(−Et)、n−プロピル基(n−Pr)、i−プロピル基(i−Pr)、n−ブチル基(n−Bu)、t−ブチル基(t−Bu)、ペンチル(−Pent)、ヘキシル基(−Hex)、ヘプチル基(−Hept)、オクチル基(−Oct)(以上、炭素数2〜10のアルキル基)、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基(以上、炭素数2〜10のアルコキシ基)、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、ペンチルオキシプロピル基(以上、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基)、メチルエステル基、エチルエステル基、n−プロピルエステル基、i−プロピルエステル基、n−ブチルエステル基、t−ブチルエステル基、ペンチルエステル基、ヘキシルエステル基、ヘプチルエステル基(以上、炭素数2〜10のエステル基)、−CH
2COOMe、−CH
2COOEt、−CH
2COO(n−Pr)、−CH
2COO(i−Pr)、−CH
2COO(n−Bu)、−CH
2COO(t−Bu)、−CH
2COOHex、−CH
2CH
2CH
2COOMe、−CH
2CH
2CH
2COOEt、−CH
2CH
2CH
2COO(n−Pr)、−CH
2CH
2CH
2COO(i−Pr)、−CH
2CH
2CH
2COO(n−Bu)、−CH
2CH
2CH
2COO(t−Bu)、−Hex−COOMe(以上、炭素数2〜10のエステルアルキル基)等が挙げられる。
【0019】
Ar
1およびAr
2で表される置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−エチル−3−メチルフェニル基、2−エチル−4−メチルフェニル基、2−エチル−5−メチルフェニル基、2−エチル−6−メチルフェニル基、3−エチル−2−メチルフェニル基、3−エチル−4−メチルフェニル基、3−エチル−5−メチルフェニル基、3−エチル−6−メチルフェニル基、4−エチル−2−メチルフェニル基、4−エチル−3−メチルフェニル基、2−ヘキシルフェニル基、3−ヘキシルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−ヘキシル−2−メチルフェニル基、4−ヘキシル−3−エチルフェニル基、4−ヘキシルオキシ−2−プロピルフェニル基、4−ヘキシルオキシ−3−ブチルフェニル基、3−エトキシエチル−5−メチルフェニル基、3−エトキシエチル−6−メチルフェニル基、2−メチルエステルフェニル基、3−メチルエステルフェニル基、4−メチルエステルフェニル基、2−へキシルエステルフェニル基、3−ヘキシルエステルフェニル基、4−ヘキシルエステルフェニル基、2−(2−ピリジル)フェニル基、3−(2−ピリジル)フェニル基、4−(2−ピリジル)フェニル基、3,5−ビス(2−ピリジル)フェニル基、2−(3−ピリジル)フェニル基、3−(3−ピリジル)フェニル基、4−(3−ピリジル)フェニル基、3,5−ビス(3−ピリジル)フェニル基、2−(4−ピリジル)フェニル基、3−(4−ピリジル)フェニル基、4−(4−ピリジル)フェニル基、3,5−ビス(4−ピリジル)フェニル基、2−(2−ピリミジル)フェニル基、3−(2−ピリミジル)フェニル基、4−(2−ピリミジル)フェニル基、2−(4−ピリミジル)フェニル基、3−(4−ピリミジル)フェニル基、4−(4−ピリミジル)フェニル基、2−(5−ピリミジル)フェニル基、3−(5−ピリミジル)フェニル基、4−(5−ピリミジル)フェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、パーフルオロフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルナフタレン−1−イル基、3−メチルナフタレン−1−イル基、4−メチルナフタレン−1−イル基、5−メチルナフタレン−1−イル基、6−メチルナフタレン−1−イル基、1−メチルナフタレン−2−イル基、3−メチルナフタレン−2−イル基、4−メチルナフタレン−2−イル基、5−メチルナフタレン−2−イル基、6−メチルナフタレン−2−イル基、2−ヘキシルナフタレン−1−イル基、3−ヘキシルオキシナフタレン−1−イル基、4−メトキシエチルナフタレン−1−イル基、5−ヘキシルエステルナフタレン−1−イル基、6−ペントキシナフタレン−1−イル基、1−メトキシエチルナフタレン−2−イル基、3−ペンチルナフタレン−2−イル基、4−ペントキシナフタレン−2−イル基、5−メトキシエチルナフタレン−2−イル基、6−ブチルナフタレン−2−イル基、3−(2−ピリジル)ナフタレン−1−イル基、4−(2−ピリジル)ナフタレン−1−イル基、3−(3−ピリジル)ナフタレン−1−イル基、4−(3−ピリジル)ナフタレン−1−イル基、3−(4−ピリジル)ナフタレン−1−イル基、4−(4−ピリジル)ナフタレン−1−イル基、4−(2−ピリジル)ナフタレン−2−イル基、6−(2−ピリジル)ナフタレン−2−イル基、7−(2−ピリジル)ナフタレン−2−イル基、4−(3−ピリジル)ナフタレン−2−イル基、6−(3−ピリジル)ナフタレン−2−イル基、7−(3−ピリジル)ナフタレン−2−イル基、4−(4−ピリジル)ナフタレン−2−イル基、6−(4−ピリジル)ナフタレン−2−イル基、7−(4−ピリジル)ナフタレン−2−イル基、3−(2−ピリミジル)ナフタレン−1−イル基、4−(2−ピリミジル)ナフタレン−1−イル基、3−(4−ピリミジル)ナフタレン−1−イル基、4−(4−ピリミジル)ナフタレン−1−イル基、3−(5−ピリミジル)ナフタレン−1−イル基、4−(5−ピリミジル)ナフタレン−1−イル基、4−(2−ピリミジル)ナフタレン−2−イル基、6−(2−ピリミジル)ナフタレン−2−イル基、7−(2−ピリミジル)ナフタレン−2−イル基、4−(4−ピリミジル)ナフタレン−2−イル基、6−(4−ピリミジル)ナフタレン−2−イル基、7−(4−ピリミジル)ナフタレン−2−イル基、4−(5−ピリミジル)ナフタレン−2−イル基、6−(5−ピリミジル)ナフタレン−2−イル基、7−(5−ピリミジル)ナフタレン−2−イル基、2−フルオロナフタレン−1−イル基、3−フルオロナフタレン−1−イル基、4−フルオロナフタレン−1−イル基、5−フルオロナフタレン−1−イル基、6−フルオロナフタレン−1−イル基、1−フルオロナフタレン−2−イル基、3−フルオロナフタレン−2−イル基、4−フルオロナフタレン−2−イル基、5−フルオロナフタレン−2−イル基、6−フルオロナフタレン−2−イル基、パーフルオロナフタレン−1−イル基、パーフルオロナフタレン−2−イル基、3−ビフェニル基、4−ビフェニル基、2−メチルビフェニル−3−イル基、4−メチルビフェニル−3−イル基、5−メチルビフェニル−3−イル基、6−メチルビフェニル−3−イル基、2’−メチルビフェニル−3−イル基、3’−メチルビフェニル−3−イル基、4’−メチルビフェニル−3−イル基、2,6−ジメチルビフェニル−3−イル基、2’,6’−ジメチルビフェニル−3−イル基、2−メチルビフェニル−4−イル基、3−メチルビフェニル−4−イル基、2’−メチルビフェニル−4−イル基、3’−メチルビフェニル−4−イル基、4’−メチルビフェニル−4−イル基、2,6−ジメチルビフェニル−4−イル基、2’,6’−ジメチルビフェニル−4−イル基、2−ヘキシルビフェニル−3−イル基、4−ヘキシルオキシビフェニル−3−イル基、5−エトキシエチルビフェニル−3−イル基、6−ヘキシルエステルビフェニル−3−イル基、2’−ペンチルビフェニル−3−イル基、3’−ペンチルオキシビフェニル−3−イル基、4’−プロピルオキシメチルビフェニル−3−イル基、2−ブチルビフェニル−4−イル基、3−ブトキシビフェニル−4−イル基、2’−エトキシメチルビフェニル−4−イル基、3’−ブチルエステルビフェニル−4−イル基、4’−ペンチルビフェニル−4−イル基、3’−(2−ピリジル)ビフェニル−3−イル基、3’−(3−ピリジル)ビフェニル−3−イル基、3’−(4−ピリジル)ビフェニル−3−イル基、4’−(2−ピリジル)ビフェニル−3−イル基、4’−(3−ピリジル)ビフェニル−3−イル基、4’−(4−ピリジル)ビフェニル−3−イル基、3’−(2−ピリジル)ビフェニル−4−イル基、3’−(3−ピリジル)ビフェニル−4−イル基、3’−(4−ピリジル)ビフェニル−4−イル基、4’−(2−ピリジル)ビフェニル−4−イル基、4’−(3−ピリジル)ビフェニル−4−イル基、4’−(4−ピリジル)ビフェニル−4−イル基、3’−(2−ピリミジル)ビフェニル−3−イル基、3’−(4−ピリミジル)ビフェニル−3−イル基、3’−(5−ピリミジル)ビフェニル−3−イル基、4’−(2−ピリミジル)ビフェニル−3−イル基、4’−(4−ピリミジル)ビフェニル−3−イル基、4’−(5−ピリミジル)ビフェニル−3−イル基、3’−(2−ピリミジル)ビフェニル−4−イル基、3’−(4−ピリミジル)ビフェニル−4−イル基、3’−(5−ピリミジル)ビフェニル−4−イル基、4’−(2−ピリミジル)ビフェニル−4−イル基、4’−(4−ピリミジル)ビフェニル−4−イル基、4’−(5−ピリミジル)ビフェニル−4−イル基、2−フルオロビフェニル−3−イル基、4−フルオロビフェニル−3−イル基、5−フルオロビフェニル−3−イル基、6−フルオロビフェニル−3−イル基、2’−フルオロビフェニル−3−イル基、3’−フルオロビフェニル−3−イル基、4’−フルオロビフェニル−3−イル基、2,6−ジフルオロビフェニル−3−イル基、2’,6’−ジフルオロビフェニル−3−イル基、2−フルオロビフェニル−4−イル基、3−フルオロビフェニル−4−イル基、2’−フルオロビフェニル−4−イル基、3’−フルオロビフェニル−4−イル基、4’−フルオロビフェニル−4−イル基、2,6−ジフルオロビフェニル−4−イル基、2’,6’−ジフルオロビフェニル−4−イル基等が挙げられる。
【0020】
Ar
1及びAr
2については、有機電界発光素子材料として性能が良い点で、フェニル基、ナフチル基、またはビフェニル基(これらの基は、メチル基、メトキシ基、ピリジル基、ピリミジル基、またはフッ素原子で置換されていてもよい)であることが好ましい。
【0021】
さらに、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、3−ビフェニル基、4−ビフェニル基、2,6−ジメチルビフェニル−3−イル基、2,6−ジメチルビフェニル−4−イル基、2’,6’−ジメチルビフェニル−3−イル基、2’,6’−ジメチルビフェニル−4−イル基、3−(2−ピリジル)フェニル基、3−(3−ピリジル)フェニル基、3−(4−ピリジル)フェニル基、4−(2−ピリジル)フェニル基、4−(3−ピリジル)フェニル基、4−(4−ピリジル)フェニル基、3−(2−ピリミジル)フェニル基、または4−(2−ピリミジル)フェニル基であることがより好ましい。
【0022】
また、これらの置換基のうち、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3−ビフェニル基、4−ビフェニル基、1−ナフチル基、または2−ナフチル基であることがより好ましい。
【0023】
Ar
3は、連結及び/又は縮環していてもよい炭素数10〜26の芳香族炭化水素基または連結及び/又は縮環していてもよい炭素数8〜25の含窒素へテロ芳香族基(これらの基は、メチル基、メトキシ基、フッ素原子、または炭素数2〜10のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、エステル基もしくはエステルアルキル基で置換されていてもよい)を表す。
【0024】
当該炭素数2〜10のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、エステル基、もしくはエステルアルキル基については、Ar
1及びAr
2で示した置換基と同じものを例示することができる。
【0025】
上記の、連結及び/又は縮環していてもよい炭素数10〜26の芳香族炭化水素基としては、特に限定するものではないが、次の(A1)〜(A116)で表される置換基を例示することができる(*は連結部を表す)。
【0029】
【化5】
上記の、連結及び/又は縮環していてもよい炭素数8〜25の含窒素へテロ芳香族基は、連結及び/又は置換していてもよい炭素数8〜26の芳香族炭化水素基において少なくとも一つの炭化原子(又は炭化水素)が窒素原子に交換されたものを表し、次の(B1)〜(B510)で表される置換基を例示することができる(*は連結部を表す)。
【0042】
【化18】
Ar
3は、有機電界発光素子材料として性能が良い点で、連結および/または縮環していてもよい炭素数10〜22芳香族炭化水素基または連結および/または縮環していてもよい炭素数8〜21の含窒素へテロ芳香族基(これらの基は、メチル基、メトキシ基、フッ素原子、または炭素数2〜10のアルキル基、もしくは炭素数2〜10のアルコキシ基で置換されていてもよい)であることが好ましい。
【0043】
当該連結および/または縮環していてもよい炭素数10〜22芳香族炭化水素基、及び当該連結および/または縮環していてもよい炭素数8〜21の含窒素へテロ芳香族基については、それぞれ(A1)〜(A116)及び(B1)〜(B510)で列挙した置換基であって、炭素数が適合するものが例として挙げられる。
【0044】
さらに、有機電界発光素子材料として性能が良い点で、Ar
3は、ナフチル基、アントラシル基、フェナントリル基、ピレニル基、フルオリル基、トリフェニレン基、フルオランチル基、イミダゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリル基、キノリル基、イソキノリル基、ナフチリジル基、キノキサリル基、キナゾリル基、フェナントリジル基、アクリジル基、フェナントロリル基、ベンゾキノリル基、ベンゾイソキノリル基、ベンゾナフチリジル基、ベンゾキノキサリル基、ベンゾキナゾリル基、またはナフチル基、アントラシル基、フェナントリル基、ピレニル基、フルオリル基、トリフェニレン基、フルオランチル基、イミダゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリル基、キノリル基、イソキノリル基、ナフチリジル基、キノキサリル基、キナゾリル基、フェナントリジル基、アクリジル基、フェナントロリル基、ベンゾキノリル基、ベンゾイソキノリル基、ベンゾナフチリジル基、ベンゾキノキサリル基、ベンゾキナゾリル基、フェニル基、ピリジル基、およびピリミジル基からなる群より選ばれる基を2つ以上連結させてなる炭素数8〜20の芳香族基(これらの基は、メチル基、メトキシ基、フッ素原子、または炭素数2〜10のアルキル基、もしくは炭素数2〜10のアルコキシ基で置換されていてもよい)であることがより好ましい。
【0045】
また、Ar
3については、合成に優れる点でベンゼン環を2〜5つ連結および/または縮環して形成される炭素数10〜26の芳香族炭化水素基、ベンゼン環、ピリジン環、およびピリミジン環からなる群より選ばれる環を2〜5つ連結および/または縮環して形成される炭素数8〜25の含窒素へテロ芳香族基(これらの基は、メチル基、メトキシ基、フッ素原子、炭素数2〜10のアルキル基、または炭素数2〜10のアルコキシ基で置換されていてもよい)であることが好ましい。
【0046】
さらにベンゼン環を2〜4つ連結および/または縮環して形成される炭素数10〜22の芳香族炭化水素基、ベンゼン環、ピリジン環、およびピリミジン環からなる群より選ばれる環を2〜4つ連結および/または縮環して形成される炭素数8〜21の含窒素へテロ芳香族基(これらの基は、メチル基、メトキシ基、フッ素原子、炭素数2〜10のアルキル基、または炭素数2〜10のアルコキシ基で置換されていてもよい)であることがより好ましい。
【0047】
当該好ましい置換基については、(A1)〜(A13)、(A16)、(A18)、(A20)〜(A33)、(A35)〜(A46)、(A49)〜(A56)、(A62)、(A66)、(A67)、(A70)〜(A76)、(A81)、(A82)、(A85)、(A88)〜(A97)、(B1)〜(B7)、(B10)、(B11)、(B13)、(B15)〜(B76)、(B79)〜(B89)、(B94)、(B95)、(B100)、(B101)、(B106)〜(B146)、(B154)〜(B244)、(B251)〜(B260)、(B265)〜(B288)、(B293)〜(B394)、(B396)〜(B398)、(B400)、(B401)、(B403)〜(B405)、(B407)〜(B413)、(B415)〜(B432)、(B436)、(B437)、(B445)〜(B467)、(B471)〜(B495)が好ましい。
【0048】
また、これらの置換基のうち、(A1)〜(A12)、(A16)、(A18)、(A20)〜(A33)、(A42)〜(A46)、(A50)〜(A55)、(A66)、(A67)、(A70)、(A73)〜(A76)、(A81)、(A82)、(A88)〜(A97)、(B1)〜(B7)、(B10)、(B11)、(B13)、(B15)〜(B57)、(B60)、(B62)、(B63)、(B65)、(B67)、(B68)、(B70)、(B72)、(B73)、(B75)、(B79)〜(B81)、(B88)、(B89)、(B94)、(B95)、(B100)、(B101)、(B108)〜(B146)、(B154)〜(B236)、(B251)〜(B260)、(B265)〜(B288)、(B293)〜(B296)、(B305)、(B306)、(B309)〜(B332)、(B348)〜(B376)、(B383)〜(B394)、(B396)〜(B398)、(B400)、(B401)、(B403)、(B404)、(B407)〜(B409)、(B411)〜(B413)、(B415)〜(B432)、(B436)、(B437)、(B445)〜(B467)、(B478)〜(B482)、(B488)〜(B491)がさらに好ましい。
【0049】
なお、ベンゼン環を2〜5つ連結および/または縮環して形成される炭素数10〜26の芳香族炭化水素基、ベンゼン環、ピリジン環、およびピリミジン環からなる群より選ばれる環を2〜5つ連結および/または縮環して形成される炭素数8〜25の含窒素へテロ芳香族基、ベンゼン環を2〜4つ連結および/または縮環して形成される炭素数10〜22の芳香族炭化水素基、ベンゼン環、ピリジン環、およびピリミジン環からなる群より選ばれる環を2〜4つ連結および/または縮環して形成される炭素数8〜21の含窒素へテロ芳香族基については、特に限定するものではないが、前述の(A1)〜(A10)、(A13)、(A16)〜(A93)、(A96)、(A97)、(A102)〜(A116)、(B1)〜(B7)、(B16)〜(B430)、(B445)〜(B510)で例示した置換基と同様の置換基を例示することができる。
【0050】
Ar
3については、上記の置換基の中でも、連結および/または縮環していてもよい炭素数8〜18の6員環のみで構成される芳香族炭化水素基、または連結および/または縮環していてもよい炭素数8〜18の6員環のみで構成される含窒素へテロ芳香族基(これらの基は、メチル基、メトキシ基、フッ素原子、または炭素数2〜10のアルキル基、もしくは炭素数2〜10のアルコキシ基で置換されていてもよい)であることが好ましく、例えば、ナフチル基、ビフェニル基、ナフチルフェニル基、フェニルナフチル基、アントラシル基、フェナントリル基、ピレニル基、トリフェニレン基、フルオランチル基、ピリジル−フェニル基、フェニル−ピリジル基、ジフェニルピリジル基、ジピリジル−フェニル基、ピリジル−ビフェニル基、ピリジル−ナフチル基、ナフチル−ピリジル基、ピリジル−アントラシル基、アントラシル−ピリジル基、ピリジル−フェナントリル基、フェナントリル−ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、フェニル−キノリル基、キノリル−フェニル基、フェニル−イソキノリル基、またはイソキノリル−フェニル基(これらの基は、メチル基、メトキシ基、フッ素原子、または炭素数2〜10のアルキル基、もしくは炭素数2〜10のアルコキシ基で置換されていてもよい)が挙げられる。
【0051】
Ar
3については、上記の置換基の中でも、連結および/または縮環していてもよい炭素数8〜18の6員環のみで構成される含窒素へテロ芳香族基(これらの基は、メチル基、メトキシ基、フッ素原子、または炭素数2〜10のアルキル基、もしくは炭素数2〜10のアルコキシ基で置換されていてもよい)であることがより好ましく、例えば、ピリジル−フェニル基、フェニル−ピリジル基、ジフェニル−ピリジル基、ジピリジル−フェニル基、ピリジル−ビフェニル基、キノリル基、イソキノリル基、フェニル−キノリル基、キノリル−フェニル基、フェニル−イソキノリル基、又はイソキノリル−フェニル基(これらの基は、メチル基、メトキシ基、フッ素原子、または炭素数2〜10のアルキル基、もしくは炭素数2〜10のアルコキシ基で置換されていてもよい)が挙げられる。
【0052】
Xは酸素原子もしくは硫黄原子を表す。
【0053】
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6およびR
7は、各々独立に、水素原子、メチル基、メトキシ基、フェニル基、フッ素原子、または炭素数2〜10のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、エステル基もしくはエステルアルキル基を表す。
【0054】
炭素数2〜10のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、エステル基もしくはエステルアルキル基としては、Ar
1およびAr
2で例示した置換基と同じ置換基を例示することができる。
【0055】
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6およびR
7については、化合物の有機電界発光素子材料として性能が良い点で、各々独立に、水素原子、メチル基、メトキシ基、フェニル基、またはフッ素原子であることが好ましく、水素原子、メチル基、またはフェニル基であることがより好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0056】
また、一般式(1)中の各水素原子は各々独立に重水素原子であってもよい。
【0057】
一般式(1)については、特に限定するものではないが、次の(C1)〜(C966)で例示することができる。
【0093】
【化54】
次に、本発明の化合物(1)の製造方法について説明する。
【0095】
【化55】
(式(1)、(2)および(3)中、M
1は脱離基を表し、その他の各記号については前記と同じ定義である。)
で示される方法で製造することができる。
【0096】
すなわち、金属触媒の存在下、一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物をカップリングさせることによって、一般式(1)で表される化合物が製造される。
【0097】
一般式(2)で表される化合物を化合物(2)と称する。化合物(3)も同様である。
【0098】
化合物(3)としては、上述の(A1)〜(A116)および(B1)〜(B510)中の*をM
1に変えた化合物を例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、ここでのM
1は脱離基を表す。
【0099】
以下、「工程1」について具体例を出して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0100】
「工程1」は、化合物(1)を合成する工程である。
【0101】
化合物(1)は、金属触媒の存在下、化合物(2)と化合物(3)を反応させることで合成される。
【0102】
化合物(3)におけるM
1で表される脱離基としては、特に限定するものではないが、例えば、塩素基、臭素基、ヨウ素基、トリフルオロメチルスルホニルオキシ(OTf)基、メタンスルホニルオキシ基、クロロメタンスルホニルオキシ基およびp−トルエンスルホニルオキシ基等を挙げることができる。
【0103】
「工程1」で用いることのできる金属触媒としては、パラジウム触媒、ニッケル触媒、または銅触媒等が挙げられる。
【0104】
「工程1」で用いることのできるパラジウム触媒としては、特に限定するものではないが、例えば、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、硝酸パラジウム等の塩、または第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体を例示することができる。さらに、π−アリルパラジウムクロリドダイマー、パラジウムアセチルアセトナト、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムおよびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム等の錯化合物を例示することができる。中でも、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は反応収率がよい点で好ましい。
【0105】
なお、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は、パラジウム塩または錯化合物に第三級ホスフィンを添加し、反応系中で調製することもできる。この際用いることのできる第三級ホスフィンとしては、特に限定するものではないが、例えば、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、tert−ブチルジフェニルホスフィン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ(2−フリル)ホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリス(2,5−キシリル)ホスフィン、(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル等が例示できる。入手容易であり、反応収率がよい点で、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルが好ましい。
【0106】
第三級ホスフィンとパラジウム塩または錯化合物とのモル比は、1:10から10:1が好ましく、反応収率がよい点で1:2から5:1がさらに好ましい。
【0107】
「工程1」で用いることができるニッケル触媒としては、特に限定するものではないが、例えば、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ニッケル(II)ジクロリド、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド等が挙げられる。
【0108】
また、ニッケル触媒は、ニッケル塩または錯化合物に上述の第三級ホスフィンを添加し、
反応系中で調製することもできる。
【0109】
ニッケル塩または錯化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、フッ化ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、過塩素酸ニッケル、ギ酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、酢酸ニッケル、安息香酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトナート等が例示できる。
【0110】
第三級ホスフィンとニッケル塩または錯化合物とのモル比は、1:10から10:1が好ましく、反応収率がよい点で1:2から5:1がさらに好ましい。
【0111】
「工程1」で用いることができる銅触媒としては、銅粉末、もしくは銅塩と配位子を反応系中で調製したものを用いることができる。
【0112】
銅塩としては、特に限定するものではないが、例えば、酸化銅、フッ化銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、硫酸銅、硝酸銅、ギ酸銅、シュウ酸銅、酢酸銅等が例示できる。
【0113】
配位子としては、上述の第三級ホスフィン、1,10−フェナントロリン、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン等が挙げられる。
【0114】
「工程1」では、必要に応じて塩基を用いることもできる。当該塩基としては、特に限定するものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、リン酸三カリウム、リン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等を例示することができ、収率がよい点で炭酸カリウム、リン酸三カリウムが望ましい。塩基と化合物(3)とのモル比は、各々1:2から10:1が望ましく、収率がよい点で1:1から3:1がさらに望ましい。
【0115】
「工程1」は、必要に応じて溶媒を用いることもでき、反応の制御の点で溶媒を用いることが好ましい。「工程1」で用いることのできる溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、エタノール、メタノールまたはキシレン等が例示でき、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。収率がよい点でキシレンを用いることが望ましい。
【0116】
「工程1」は、0℃から180℃から適宜選ばれた温度で実施することができ、収率がよい点で80℃から150℃で行うことがさらに望ましい。
【0117】
化合物(1)は、「工程1」の終了後に当業者によって行われる通常の処理(分離操作等)をすることで得られる。さらに必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィーまたは昇華等で精製してもよい。
【0118】
また、本発明の化合物(2)は、次の反応式
【0119】
【化56】
(式(2)、(4)および(5)中、M
2は脱離基を表し、Zは、金属基、ボロン酸基、またはボロン酸エステル基を表し、その他の各記号については前記と同じ定義である。)
で示される方法で製造することができる。
【0120】
すなわち、金属触媒の存在下、一般式(4)で表される化合物と一般式(5)で表される化合物をカップリングさせることによって、一般式(2)で表される化合物が製造される。「工程2」は、化合物(2)を合成する工程を意味する。
【0121】
金属触媒については、工程1で示したものと同じものを用いることができる。
【0122】
また、工程2の反応条件は工程1と同様であり、M
2はM
1と同様の置換基を例示することができる。
【0123】
化合物(4)におけるZの例としては、特に限定するものではないが、例えば、ZnA
1、MgA
2、Sn(A
3)
3、B(OA
4)
2等が挙げられる。但し、A
1およびA
2は、各々独立に塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、A
3は、炭素数1から4のアルキル基またはフェニル基を表し、A
4は水素原子、炭素数1から4のアルキル基またはフェニル基を表し、B(OA
4)
2の2つのA
4は同一または異なっていてもよい。又、2つのA
4は一体となって酸素原子およびホウ素原子を含んで環を形成することもできる。
【0124】
化合物(4)におけるB(OA
4)
2としては、特に限定するものではないが、例えば、B(OH)
2、B(OMe)
2、B(O
iPr)
2、B(OBu)
2、B(OPh)
2等が例示できる。又、2つのA
4が一体となって酸素原子およびホウ素原子を含んで環を形成した場合のB(OA
4)
2の例としては、次の(D1)から(D6)で示される基が例示でき、収率がよい点で(F2)で示される基が好ましい。
【0125】
【化57】
本願の一般式(1)で示されるトリアジン化合物は、有機電界発光素子用材料として好適に用いられるものである。
【0126】
さらに、本願の一般式(1)で示されるトリアジン化合物は、有機電界発光素子用の電子輸送材料又は電子注入材料として好適に用いられるものである。
【0127】
本発明の一般式(1)で示されるトリアジン化合物を含有する有機電界発光素子用薄膜の製造方法に特に限定はないが、好ましい例としては真空蒸着法による成膜を挙げることができる。真空蒸着法による成膜は、汎用の真空蒸着装置を用いることにより行うことができる。真空蒸着法で膜を形成する際の真空槽の真空度は、有機電界発光素子作製の製造タクトタイムが短く製造コストが優位である点で、一般的に用いられる拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ等により到達し得る1×10
−2〜1×10
−6Pa程度が好ましく、より好ましくは1×10
−3〜10
−6Paである。蒸着速度は形成する膜の厚さによるが0.005〜10nm/秒が好ましく、より好ましくは0.01〜1nm/秒である。また、溶液塗布法によっても化合物Aから成る有機電界発光素子用薄膜を製造することが出来る。例えば、化合物Aを、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、酢酸エチル又はテトラヒドロフラン等の有機溶媒に溶解し、汎用の装置を用いたスピンコート法、インクジェット法、キャスト法又はディップ法等による成膜も可能である。
【0128】
本発明の効果がえられる有機電界発光素子の典型的な構造としては、基板、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び陰極を含む。
【0129】
有機電界発光素子の陽極及び陰極は、電気的な導体を介して電源に接続されている。陽極と陰極との間に電位を加えることにより、有機電界発光素子は作動する。正孔は陽極から有機電界発光素子内に注入され、そして電子は陰極で有機電界発光素子内に注入される。
【0130】
有機電界発光素子は典型的には基板に被せられ、陽極又は陰極は基板と接触することができる。基板と接触する電極は便宜上、下側電極と呼ばれる。一般的には、下側電極は陽極であるが、本発明の有機電界発光素子においてはそのような形態に限定されるものではない。基板は、意図される発光方向に応じて、光透過性又は不透明であってよい。光透過特性は、基板を通してエレクトロルミネッセンス発光を見るのに望ましい。透明ガラス又はプラスチックがこのような基盤として一般に採用される。基板は、多重の材料層を含む複合構造であってよい。
【0131】
エレクトロルミネッセンス発光が陽極を通して見られる場合、陽極が当該発光を通すか又は実質的に通すべきである。本発明において使用される一般的な透明アノード(陽極)材料は、インジウム−錫酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、又は酸化錫であるが、しかしその他の金属酸化物、例えばアルミニウム又はインジウム・ドープ型酸化錫、マグネシウム−インジウム酸化物、又はニッケル−タングステン酸化物も役立つ。これらの酸化物に加えて、金属窒化物、例えば窒化ガリウム、金属セレン化物、例えばセレン化亜鉛、又は金属硫化物、例えば硫化亜鉛を陽極として使用することができる。陽極は、プラズマ蒸着されたフルオロカーボンで改質することができる。陰極を通してだけエレクトロルミネッセンス発光が見られる用途の場合、陽極の透過特性は重要ではなく、透明、不透明又は反射性の任意の導電性材料を使用することができる。この用途のための導体の一例としては、金、イリジウム、モリブデン、パラジウム及び白金が挙げられる。
【0132】
陽極と正孔輸送層との間に正孔注入層が設けることができる。正孔注入材料は、後続の有機層の膜形成特性を改善し、そして正孔輸送層内に正孔を注入するのを容易にするのに役立つことができる。正孔注入層内で使用するのに適した材料の一例としては、ポルフィリン化合物、プラズマ蒸着型フルオロカーボン・ポリマー、及びビフェニル基、カルバゾール基等芳香環を有するアミン、例えばm−MTDATA(4,4’,4’’−トリス[(3−メチルフェニル)フェニルアミノ]トリフェニルアミン)、2T−NATA(4,4’,4’’−トリス[(N−ナフタレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン)、トリフェニルアミン、トリトリルアミン、トリルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、MeO−TPD(N,N,N’N’−テトラキス(4−メトキシフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ビス(メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−ノルマルブチルフェニル)フェナントレン−9,10−ジアミン、又はN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン等が挙げられる。
【0133】
有機電界発光素子の正孔輸送層は、1種以上の正孔輸送化合物、例えば芳香族第三アミンを含有することが好ましい。芳香族第三アミンは、1つ以上の三価窒素原子を含有する化合物であることを意味し、この三価窒素原子は炭素原子だけに結合されており、これらの炭素原子の1つ以上が芳香族環を形成している。具体的には、芳香族第三アミンは、アリールアミン、例えばモノアリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、又は高分子アリールアミンであってよい。
【0134】
正孔輸送材料としては、1つ以上のアミン基を有する芳香族第三アミンを使用することができる。さらに、高分子正孔輸送材料を使用することができる。例えばポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリチオフェン、ポリピロール、又はポリアニリン等を使用することができる。例えば、NPD(N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン)、α−NPD(N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’ −ジアミン)、TPBi(1,3,5−トリス(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン)、又はTPD(N,N’−ビス(3−メチルフェニル) −N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン)等が挙げられる。
【0135】
正孔注入層と正孔輸送層の間に、電荷発生層としてジピラジノ[2,3−f:2’,3’−h]キノキサリン-2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)を含む層を設けてもよい。
【0136】
有機電界発光素子の発光層は、燐光材料又は蛍光材料を含み、この場合、この領域で電子・正孔対が再結合された結果として発光を生じる。発光層は、低分子及びポリマー双方を含む単一材料から成っていてよいが、しかし、より一般的には、ゲスト化合物でドーピングされたホスト材料から成っており、この場合、発光は主としてドーパントから生じ、そして任意の色を有することができる。
【0137】
発光層のホスト材料としては、例えば、ビフェニル基、フルオレニル基、トリフェニルシリル基、カルバゾール基、ピレニル基、又はアントラニル基を有する化合物が挙げられる。例えば、DPVBi(4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)−1,1’−ビフェニル)、BCzVBi(4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)1,1’−ビフェニル)、TBADN(2−ターシャルブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン)、ADN(9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン)、CBP(4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル)、CDBP(4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−2,2’−ジメチルビフェニル)、又は9,10−ビス(ビフェニル)アントラセン等が挙げられる。
【0138】
発光層内のホスト材料は、下記に定義する電子輸送材料、上記に定義する正孔輸送材料、又は正孔・電子再結合をサポートする別の材料又はこれら材料の組み合わせであってよい。
【0139】
有用な蛍光ドーパントの一例としては、アントラセン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、ルブレン、クマリン、ローダミン及びキナクリドン、ジシアノメチレンピラン化合物、チオピラン化合物、ポリメチン化合物、ピリリウム、又はチアピリリウム化合物、フルオレン誘導体、ペリフランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、ビス(アジニル)アミンホウ素化合物、ビス(アジニル)メタン化合物、及びカルボスチリル化合物等が挙げられる。
【0140】
有用な燐光ドーパントの一例としては、イリジウム、白金、パラジウム又はオスミウムの遷移金属の有機金属錯体が挙げられる。
【0141】
ドーパントの一例として、Alq
3(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム))、DPAVBi(4,4’−ビス[4−(ジ−パラ−トリルアミノ)スチリル] ビフェニル)、ペリレン、Ir(PPy)
3(トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)、又はFlrPic(ビス(3,5−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)フェニル−(2−カルボキシピリジル)イリジウム(III)等が挙げられる。
【0142】
本発明の有機電界発光素子の電子輸送層を形成するのに使用する薄膜形成材料は、本願の一般式(1)で示されるトリアジン化合物である。なお、当該電子輸送層には、他の電子輸送性材料を含んでいても良く、当該電子輸送性材料としては、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、土類金属錯体等が挙げられる。望ましいアルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、土類金属錯体としては、例えば、8−ヒドロキシキノリナートリチウム(Liq)、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)マンガン、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリナート)クロロガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(o−クレゾラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)−1−ナフトラートアルミニウム、又はビス(2−メチル−8−キノリナート)−2−ナフトラートガリウム等が挙げられる。
【0143】
発光層と電子輸送層との間に、キャリアバランスを改善させる目的で、正孔阻止層を設けてもよい。正孔素子層として望ましい化合物は、BCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)、Bphen(4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)、BAlq(ビス(2−メチル−8−キノリノラート)−4−(フェニルフェノラート)アルミニウム)、又はビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム)等が挙げられる。
【0144】
本発明の有機電界発光素子においては、電子注入性を向上させ、素子特性(例えば、発光効率、定電圧駆動、又は高耐久性)を向上させる目的で、電子注入層を設けてもよい。
【0145】
電子注入層として望ましい化合物としては、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントラキノジメタン、又はアントロン等が挙げられる。また、上記に記した金属錯体やアルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化物、希土類酸化物、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類ハロゲン化物、希土類ハロゲン化物、SiO
X 、AlO
X 、SiN
X 、SiON、AlON、GeO
X 、LiO
X 、LiON、TiO
X 、TiON、TaO
X 、TaON、TaN
X 、Cなど各種酸化物、窒化物、及び酸化窒化物のような無機化合物も使用できる。
【0146】
発光が陽極を通してのみ見られる場合、本発明において使用される陰極は、ほぼ任意の導電性材料から形成することができる。望ましい陰極材料としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al
2O
3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
【実施例】
【0147】
以下、実験例および試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0148】
実験例−1(実施例)
【0149】
【化58】
アルゴン気流下、4−クロロ−10H−フェノチアジン 1.94g(8.30mmol)、ビス(ビナコラト)ジボロン 3.16g(12.5mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム 1.41mg(1.25mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル1.19g(2.49mmol)、および酢酸カリウム2.44g(24.9mmol)をジオキサン 55mLに添加し、80℃で14時間加熱攪拌した。室温まで放冷後、反応液をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒クロロホルム:ヘキサン=1:1)で精製することで、目的の4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−10H−フェノチアジンの薄黄粉末(収量3.42g,収率100%)を得た。
【0150】
1H−NMR(CDCl
3)、δ(ppm):1.35(s,12H),7.07(d,J=16.1Hz,1H),7.39−7.41(m,3H),7.59−7.62(m,2H),7.72(d,J=16.1Hz,1H).
アルゴン気流下、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−10H−フェノチアジン 3.42g(8.30mmol)、1−クロロ−3,5−ジフェニルトリアジン 2.44g(9.13mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィノ)パラジウム 192mg(0.166mmol)、および炭酸カリウム 2.28g(16.5mmol)をジオキサン 80mLおよび水 5.5mLの混合溶媒に添加し、95℃で20時間加熱撹拌した。室温まで放冷後、クロロホルムおよび水を加えて分液抽出を行い、有機層をあつめて減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒クロロホルム:ヘキサン=1:1)で精製することで、目的の4−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−10H−フェノチアジンの薄黄粉末(収量2.02g,収率56%)を得た。
【0151】
1H−NMR(DMSO−d
6)、δ(ppm):6.73−6.76(m,2H),6.90(d,J=8.7Hz,1H),6.99−7.04(m,2H),7.24(t,J=8.7Hz,1H),7.46(s,1H),7.67−7.76(m,5H),7.89(d,J=7.1Hz,1H),8.73−8.77(m,5H).
実験例−2(実施例)
【0152】
【化59】
アルゴン気流下、4−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−フェノチアジン 500mg(1.16mmol)、1−クロロ−3,5−ビス(2−ピリジル)ベンゼン 372mg(1.39mmol)、酢酸パラジウム 5.20mg(0.0230mmol)、1M−トリ(tert−ブチル)ホスフィンヘキサン溶液 70μL(0.0696mmol)、18−クラウン−6−エーテル 61.0mg(0.232mmol)、および炭酸カリウム 320mg(2.32mmol)をキシレン 7.7mLに添加し、150℃で14時間加熱撹拌した。室温まで放冷後、クロロホルムおよび水を加えて分液抽出を行い、有機層をあつめて減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒クロロホルム)で精製することで、目的の4−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−10−{3,5−ビス(2−ピリジル)フェニル}フェノチアジン(化合物 C84)の橙色粉末(収量634mg,収率83%)を得た。
【0153】
1H−NMR(THF−d
8)、δ(ppm):6.62(d,J=8.7Hz,1H),6.81(t,J=7.3Hz,1H),6.83(d,J=8.4Hz,1H),6.95(t,J=7.6Hz,1H),7.04(d,J=7.6Hz,1H),7.13(t,J=8.0Hz,1H),7.30(d,J=7.3Hz,1H),7.31(d,J=7.6Hz,1H),7.58−7.68(m,7H),7.86(t,J=7.7Hz,2H),8.02(d,J=8.1Hz,1H),8.10(d,J=8.0Hz,1H),8.38(s,2H),8.71(d,J=4.52Hz,2H),8.87(d,J=8.4Hz,4H),9.11(s,1H).
実験例−3(実施例)
【0154】
【化60】
アルゴン気流下、4−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−フェノチアジン 700mg(1.62mmol)、1−クロロ−3−(2−ピリジル)ベンゼン 419mg(1.79mmol)、酢酸パラジウム 7.3mg(0.0325mmol)、1M−トリ(tert−ブチル)ホスフィンヘキサン溶液 97μL(0.0972mmol)、18−クラウン−6−エーテル 85.0mg(0.324mmol)、および炭酸カリウム 447mg(3.24mmol)をキシレン 11.0mLに溶解し、150℃で14時間加熱撹拌した。室温まで放冷後、反応液をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒クロロホルム)で精製することで、目的の4−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−10−{3−(2−ピリジル)フェニル}フェノチアジン(化合物 C69)の橙色粉末(収量771mg,収率82%)を得た。
【0155】
1H−NMR(THF−d
8)、δ(ppm):6.54(d,J=8.2Hz,1H),6.75(d,J=8.2Hz,1H),6.82(t,J=7.5Hz,1H),6.92(t,J=7.8Hz,1H),7.03(d,J=7.5Hz,1H),7.12(t,J=7.8Hz,1H),7.26(dd,J=7.7Hz,4.6Hz,1H),7.54−7.68(m,7H),7.72(t,J=7.7Hz,1H),7.79(t,J=7.9Hz,1H),7.98(d,J=8.0Hz,1H),8.02(d,J=7.6Hz,1H),8.28(d,J=8.0Hz,1H),8.31(s,1H),8.66(d,J=4.8Hz,1H),8.86(d,J=8.3Hz,4H).
実験例−4(実施例)
【0156】
【化61】
アルゴン気流下、4−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−フェノチアジン 700mg(1.62mmol)、8−ブロモキノリン 293mg(1.79mmol)、酢酸パラジウム 7.3mg(0.0325mmol)、1M−トリ(tert−ブチル)ホスフィンヘキサン溶液 97μL(0.0972mmol)、18−クラウン−6−エーテル 85.0mg(0.324mmol)、および炭酸カリウム 447mg(3.24mmol)をキシレン 11.0mLに添加し、150℃で14時間加熱撹拌した。室温まで放冷後、反応液をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒クロロホルム)で精製することで、目的の4−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−10−(8−キノリル)フェノチアジン(化合物 C35)の橙色粉末(収量624mg,収率69%)を得た。
【0157】
1H−NMR(THF−d
8)、δ(ppm):5.78(d,J=8.1Hz,1H),6.12(d,J=8.2Hz,1H),6.62(t,J=7.5Hz,1H),6.68(t,J=7.5Hz,1H),6.82(t,J=7.8Hz,1H),6.93(d,J=7.3Hz,1H),7.54(dd,J=8.2Hz,4.0Hz,1H),7.58−7.67(m,6H),7.83(t,J=7.7Hz,1H),7.88(d,J=7.5Hz,1H),7.98(d,J=7.1Hz,1H),8.13(d,J=8.4Hz,1H),8.44(d,J=8.2Hz,1H),8.86(d,J=6.4Hz,5H).
試験例−1(実施例)
有機電界発光素子の作製および評価を以下の様にして行った。基板には、2mm幅の酸化インジウム−スズ(ITO)膜がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用いた。この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、酸素プラズマ洗浄にて表面処理を行った。洗浄後の基板に、真空蒸着法で各層の真空蒸着を行い、断面図を
図1に示すような、発光面積4mm
2の有機電界発光素子を作製した。
【0158】
まず、真空蒸着槽内に前記ガラス基板を導入し、1.0×10
−4Paまで減圧した。その後、
図1の1で示す前記ガラス基板上に有機化合物層として、正孔注入層2、正孔輸送層3、発光層4および電子輸送層5を順次成膜し、その後陰極層6を成膜した。
正孔注入層2としては、昇華精製したHILを65nmの膜厚で真空蒸着した。
正孔輸送層3としては、HATとHTLをそれぞれ5nm、10nmの膜厚で真空蒸着した。
発光層4としては、EML−1とEML−2を954:46(質量%)の割合で25nmの膜厚で真空蒸着した。
電子輸送層5としては、本発明の実験例−2で合成した4−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−10−{3,5−ビス(2−ピリジル)フェニル}フェノチアジン(化合物 C84)を30nmの膜厚で真空蒸着した。
最後に、ITOストライプと直交するようにメタルマスクを配し、陰極層6を成膜した。陰極層6としては、Liqと銀マグネシウム、銀をそれぞれ0.5nm、80nmと20nmの膜厚で真空蒸着し、三層構造とした。
【0159】
なお、各有機材料は抵抗加熱方式により成膜し、加熱した化合物を0.6〜3.0nm/秒の成膜速度で真空蒸着した。
【0160】
それぞれの膜厚は、触針式膜厚測定計(DEKTAK)で測定した。さらに、この素子を酸素および水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップと前記成膜基板エポキシ型紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス社製)を用いた。使用する化合物の構造式と略称を以下に示す。
【0161】
【化62】
作製した有機電界発光素子に直流電流を印加し、TOPCON社製のLUMINANCE METER(BM−9)の輝度計を用いて発光特性を評価した。発光特性として、電流密度10mA/cm
2を流した時の輝度(cd/m
2)、電流効率(cd/A)、電力効率(lm/W)を測定した。測定結果を表1に示す。
【0162】
試験例−2(実施例)
試験例−1の電子輸送層5の4−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−10−{3,5−ビス(2−ピリジル)フェニル}フェノチアジン(化合物 C84)に変えて、実験例−3で得られた4−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−10−{3−(2−ピリジル)フェニル}フェノチアジン(化合物 C69)を用いた以外は、試験例−1と同様にして有機電界発光素子を作製し、試験例−1と同様に評価した。測定結果を表1に示す。
【0163】
試験例−3(実施例)
試験例−1の電子輸送層5の4−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−10−{3,5−ビス(2−ピリジル)フェニル}フェノチアジン(化合物 C84)に変えて、実験例−4で得られた4−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−10−(8−キノリル)フェノチアジン(化合物 C35)を用いた以外は、試験例−1と同様にして有機電界発光素子を作製し、試験例−1と同様に評価した。測定結果を表1に示す。
作製した素子の測定値は、それぞれ454cd/m
2、4.54cd/Aであった。また、この素子の連続点灯時の輝度25%劣化時間は、343時間であった。
【0164】
参考例−1
試験例−1の電子輸送層5の4−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−10−{3,5−ビス(2−ピリジル)フェニル}フェノチアジン(化合物 C84)に変えて、特許番号WO2008129912に記載の2,4−ジフェニル−6−[4,4’’−ジ(2−ピリジル)−1,1’:3’,1’’−テルフェニル−5’−イル]−1,3,5−トリアジン(下記式で表される)を真空蒸着した有機電界発光素子を、試験例−1と同様に作製、測定した。測定結果を表1に示す。
【0165】
【化63】
【0166】
【表1】