(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について
図1、
図2、
図3を参照しながら説明する。尚、
図1においては、説明を容易にするため、プラズマ生成部、プラズマ電極等は省略している。
【0008】
(1)基板処理装置の構成
(加熱装置)
図1に示すように、処理炉202は加熱装置(加熱機構)としてのヒータ4を有する。ヒータ4は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ4は、後述するようにガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0009】
(処理室)
ヒータ4の内側には、ヒータ4と同心円状に反応管1が配設されている。反応管1は、例えば石英(SiO
2)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管1の下方には、反応管1と同心円状に、マニホールド31が配設されている。マニホールド31は、例えばステンレス(SUS)等の金属からなり、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド31の上端部は、反応管1の下端部に係合しており、反応管1を支持するように構成されている。マニホールド31と反応管1との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。マニホールド31がヒータベースに支持されることにより、反応管1は垂直に据え付けられた状態となる。主に、反応管1とマニホールド31とにより処理容器(反応容器)が構成されている。処理容器の筒中空部には処理室201が形成されている。処理室201は、複数枚の基板としてのウエハ7を、後述する基板保持具としてのボート5によって水平姿勢で垂直方向に多段に配列した状態で収容可能に構成されている。なお、上述した処理容器としては、マニホールド31を含めずに反応管1だけを処理容器と称しても良い。
【0010】
(ガス供給部)
処理室201内には、ノズル27,29が、マニホールド31の側壁を貫通するように設けられている。ノズル27,29には、ガス供給管232a,232bが、それぞれ接続されている。このように、処理容器には、2本のガス供給管232a,232bが接続された2本のノズル27,29が設けられており、処理室201内へ処理ガスとして供給される原料ガス、反応ガス、不活性ガスなど複数種類のガスを供給することが可能となっている。なお、ノズル27,29を介して処理室201に供給される原料ガス、反応ガス、不活性ガスなどのガス全てを総称して処理ガスと称する。
【0011】
ガス供給管232a,232bには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a,241bおよび開閉弁であるバルブ243a,243bがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a,232bのバルブ243a,243bよりも下流側には、不活性ガスを供給するガス供給管232c,232dがそれぞれ接続されている。ガス供給管232c,232dには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるMFC241c,241dおよび開閉弁であるバルブ243c,243dがそれぞれ設けられている。
【0012】
ガス供給管232a,232bの下流端には、ノズル27,29がそれぞれ接続されている。ノズル27,29は、反応管1の内壁とウエハ7との間における平面視において円環状の空間に、反応管1の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ7の積載方向上方に向かって立ち上がるようにそれぞれ設けられている。すなわち、ノズル27,29は、ウエハ7が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を環状に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うようにそれぞれ設けられている。すなわち、ノズル27,29は、処理室201内へ搬入された各ウエハ7の端部(周縁部)の側方にウエハ7の表面(平坦面)と垂直となる方向にそれぞれ設けられている。また、ノズル27,29はそれぞれ水平部と垂直部を有するL字型のロングノズルとして構成されており、その水平部はマニホールド31の側壁を貫通するように設けられており、その垂直部は少なくともウエハ配列領域の一端側から他端側に向かって立ち上がるように設けられている。ノズル27,29の側面には、ガスを供給するガス供給孔250a,250bがそれぞれ設けられている。ガス供給孔250a,250bは、それぞれ、反応管1(ウエハ7)の中心を向くように開口しており、ウエハ7に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔250a,250bは、それぞれ、反応管1の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
なお、ガス供給孔250a,250bの開口面積を上流側から下流側に向かって徐々に大きくしたり、ガス供給孔250a,250bの開口ピッチを上流側から下流側に向かって徐々に小さくしたりするように処理膜に応じて適宜変更することでウエハ上に供給されるガス流量を調整するように構成してもよい。
【0013】
このように、本実施形態では、反応管1の側壁の内壁と、反応管1内に配列された複数枚のウエハ7の端部(周縁部)と、で定義される平面視において円環状の縦長の空間内、すなわち、円筒状の空間内に配置したノズル27,29を経由してガスを搬送している。そして、ノズル27,29にそれぞれ開口されたガス供給孔250a,250bから、ウエハ7の近傍で初めて反応管1内にガスを噴出させている。そして、反応管1内におけるガスの主たる流れを、ウエハ7の表面と平行な方向、すなわち、水平方向としている。このような構成とすることで、各ウエハ7の表面に均一にガスを供給でき、各ウエハ7に形成される膜の膜厚の均一性を向上させることが可能となる。ウエハ7の表面上を流れたガス、すなわち、反応後の残ガスは、排気口、すなわち、後述する排気管231の方向に向かって流れる。但し、この残ガスの流れの方向は、排気口の位置によって適宜特定され、垂直方向に限ったものではない。
【0014】
ガス供給管232aからは、所定元素を含む原料として、例えば、所定元素としてのシリコン(Si)を含むシラン原料ガスが、MFC241a、バルブ243a、ノズル27を介して処理室201内へ供給される。
【0015】
シラン原料ガスとは、気体状態のシラン原料、例えば、常温常圧下で液体状態であるシラン原料を気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態であるシラン原料等のことである。本明細書において「原料」という言葉を用いた場合は、「液体状態である液体原料」を意味する場合、「気体状態である原料ガス」を意味する場合、または、その両方を意味する場合がある。
【0016】
シラン原料ガスとしては、例えば、Siおよびアミノ基(アミン基)を含む原料ガス、すなわち、アミノシラン原料ガスを用いることができる。アミノシラン原料とは、アミノ基を有するシラン原料のことであり、また、メチル基やエチル基やブチル基等のアルキル基を有するシラン原料でもあり、少なくともSi、窒素(N)および炭素(C)を含む原料のことである。すなわち、ここでいうアミノシラン原料は、有機系の原料ともいえ、有機アミノシラン原料ともいえる。
【0017】
アミノシラン原料ガスとしては、例えば、ビスターシャリーブチルアミノシラン(SiH
2[NH(C
4H
9)]
2、略称:BTBAS)ガスを用いることができる。BTBASは、1分子中に1つのSiを含み、Si−N結合、N−C結合を有し、Si−C結合を有さない原料ガスであるともいえる。BTBASガスは、後述する成膜処理において、Siソースとして作用する。
【0018】
BTBASのように常温常圧下で液体状態である液体原料を用いる場合は、液体状態の原料を気化器やバブラ等の気化システムにより気化して、シラン原料ガス(BTBASガス等)として供給することとなる。
【0019】
ガス供給管232bからは、原料とは化学構造が異なる反応体(リアクタント)として、例えば、酸素(O)含有ガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル29を介して処理室201内へ供給される。
【0020】
O含有ガスは、後述する成膜処理において、酸化剤(酸化ガス)、すなわち、Oソースとして作用する。O含有ガスとしては、例えば、酸素(O
2)ガスや水蒸気(H
2Oガス)等を用いることができる。酸化剤としてO
2ガスを用いる場合は、例えば、後述するプラズマ源を用いてこのガスをプラズマ励起し、プラズマ励起ガス(O
2*ガス)として供給することとなる。
【0021】
ガス供給管232c,232dからは、不活性ガスとして、例えば、窒素(N
2)ガスが、それぞれMFC241c,241d、バルブ243c,243d、ガス供給管232a,232b、ノズル27,29を介して処理室201内へ供給される。
【0022】
後述する成膜処理において、ガス供給管232aから上述の原料を供給する場合、主に、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aにより、第1の供給系としての原料供給系が構成される。ノズル27を原料供給系に含めて考えてもよい。ガス供給管232aからアミノシラン原料を供給する場合、原料供給系をアミノシラン原料供給系、或いは、アミノシラン原料ガス供給系と称することもできる。
【0023】
また、後述する成膜処理において、ガス供給管232bから上述の反応体を供給する場合、主に、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bにより、第2の供給系としての反応体供給系(リアクタント供給系、反応ガス供給系)が構成される。ノズル29を反応体供給系に含めて考えてもよい。ガス供給管232bから酸化剤を供給する場合、反応体供給系を酸化剤供給系、酸化ガス供給系、或いは、O含有ガス供給系と称することもできる。
【0024】
また、後述するパージ処理において、主に、ガス供給管232c,232d、MFC241c,241d、バルブ243c,243dにより、不活性ガス供給系が構成される。
【0025】
(基板支持具)
図1に示すように基板支持具としてのボート5は、複数枚、例えば25〜200枚のウエハ7を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、所定の間隔を空けて配列させるように構成されている。 ボート5は、上下で一対の端板(天板、底板)と、これらの間に垂直に架設された複数本(例えば3本)の支柱5aと、を備えている。端板及び支柱5aは、それぞれ例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料から構成されている。各支柱5aには、複数の保持溝が、支柱5aの長手方向に沿って等間隔(例えば、17mm間隔)に配列するようにそれぞれ形成されている。各支柱5aは、保持溝が互いに対向するようにそれぞれ配置されている。ボート5の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる断熱板218が多段に支持されている。この構成により、ヒータ4からの熱がシールキャップ32側に伝わりにくくなっている。但し、本実施形態はこのような形態に限定されない。例えば、ボート5の下部に断熱板218を設けずに、石英やSiC等の耐熱性材料からなる筒状の部材として構成された断熱筒を設けてもよい。
【0026】
(プラズマ生成装置)
図2に示すように、複数のウエハ7のそれぞれの上方には、複数のウエハ7のそれぞれに対応するようにプラズマ生成部が設けられている。
すなわち、複数のウエハ7のそれぞれの上方には、後述する第1の位相の高周波電力が印加された第1電極101と、後述する第1の位相とは異なる第2の位相の高周波電力が印加される第2電極102が配置されている。ウエハ7と第1電極101、第2電極102とを、後述する順番に配置することで、第1電極101と第2電極102の間のウエハ7の存在しない空間にプラズマを生成するプラズマ生成空間106が構成される。
また、第1電極101と第2電極102には、それぞれの電極を支持する電極支持部107、108がそれぞれ接続されている。電極支持部107、108は、ボート5の径方向外側に設けられるように配置されている。電極支持部107、108をこのように配置することによって、電極支持部107、108をボート5とともに回転機構267によって回転する構成となっている。
主に、第1電極101、第2電極102、プラズマ生成空間106によってプラズマ生成部が構成されている。主に、このプラズマ生成部、電極支持部107、108、後述する整合器36、発振器39によりプラズマ生成装置が構成されている。
【0027】
第1電極101、第2電極102は、ウエハ7よりも大きな外径を有し、例えば高純度シリコン(Si)にボロン(B)あるいはリン(P)がドープされたシリコンからなる厚さ2mm程度の円板としてそれぞれ構成されており、それぞれ後述する第1電極群または第2電極群のいずれかに属している。処理プロセスによっては電極の材料として他の導電性材料であるカーボン、炭化珪素(SiC)、アルミニウムなどが用いられる。以下、第1電極群に属する電極を第1電極101と称し、第2電極群に属する電極を第2電極102と称し、第1電極101及び第2電極102を総称して単に電極と称することとする。
【0028】
上述したとおり、第1電極101と第2電極102とが水平姿勢でウエハ7表面の直上に設置される。また、第1電極101と第2電極102が垂直方向に延在する電極支持部107,108に接続されることによって、多段に配列されてなる電極群が構成される。ここで、第1電極群とは、第1電極101が多段に配列されることにより構成された電極群のことを指し、第2電極群とは、第2電極102が多段に配列されることにより構成された電極群のことを指して称する。
【0029】
第1電極101及び第2電極102はそれぞれ異なる方向から互いに対となるように交互に基板7表面の上方に挿入される。
図2では、第1電極101がそれぞれ図中左側から挿入され、第2電極102がそれぞれ図中右側から挿入される例を示している。
【0030】
第1電極101及び第2電極102は、例えば、
図3に示すように、ボート5の上方から下方に向かって第1電極101−1、第2電極102−1、第2電極102−2、第1電極101−2、第1電極101−3、第2電極102−3、第2電極102−4、第1電極101−4となる順番で配列されている。なお、電極の配置順は、後述するプラズマ103の生成空間を形成するため、第1電極101−1と第2電極102−1のように第1電極と第2電極が2つ1組となるように配置されていれば、上記の配置順でなくとも良い。
すなわち、第2電極102−1、第1電極101−1、第1電極101−2、第2電極102−2となるように配置しても良い。このように電極を配置することによって、ウエハ7が配置される空間(特にウエハ表面が露出した空間)にプラズマ103が生成されることを抑制することが可能となり、ウエハ面がプラズマによるダメージを受けることを軽減できるという効果が得られる。
【0031】
図2を参照すれば、第1電極101と第2電極102には、発振器39の出力する交流電力を整合器36を介して印加できるようになっている。交流電力の周波数は、数KHz(例えば400KHz)の低周波から13.56MHz、などの高周波を用いる。すなわち、400KHz〜2.45GHzの周波数体を用いた交流電力を用いることができる。
【0032】
交流電力を供給する経路の途中には
図3に示すように絶縁トランス105が設けてあり、第1電極101及び第2電極102はアースと絶縁された状態になっている。交流電力供給系には絶縁トランス105が設けてある為、第1電極101と第2電極102には、互いに180度位相の異なる電界が印加される構造となっている。
【0033】
反応室1内の第1電極101及び第2電極102にはそれぞれ互いに180度位相が異なる交流電力が印加されることにより、プラズマ生成空間(高周波電力印加空間)106となる第1電極101及び第2電極102間にプラズマ103が生成される。上述した通り、ウエハ7は、プラズマ103が生成される空間である第1電極101及び第2電極102間には配置せず、あえてプラズマが直接的に生成されない空間(プラズマ生成空間106外)に配置する構成としている。このように構成することによって、ボート5に載置された被処理ウエハ7は、主にプラズマで生成された電気的に中性な活性種が用いられて処理されることが可能となる。
【0034】
換言すると、プラズマ103が生成される第1電極101と第2電極102により構成される1組(対)の電極の下方にウエハ7を配置し、これら1組の電極を所定数設けるものである。
さらに換言すると、複数のウエハ7のうち少なくとも1つは、第1電極101と第1電極101との間に配置されるか、もしくは、第2電極102と第2電極102との間に配置される。すなわち、複数のウエハ7のうち少なくとも1枚は、ウエハ7の直上および直下に同じ位相の交流電流が印加された電極が位置する場所(ウエハ7の直上および直下に同一の電極群に属する電極が位置する場所)に配置されることとなる。
具体的には、
図3に示すように、複数多段に配置されるウエハ7のうち、最上位に位置するウエハ7を含む殆ど(複数)のウエハ7が第1電極101と第1電極101との間に配置されるか、もしくは、第2電極102と第2電極102との間に配置される。さらに具体的には、複数多段に配置されるウエハ7のうち、最下位に位置するウエハ7を除く全て(複数)のウエハ7が第1電極101と第1電極101との間に配置されるか、もしくは、第2電極102と第2電極102との間に配置される。なお、複数多段に配置されるウエハ7のうち、最下位に位置するウエハ7を含む全てのウエハ7が第1電極101と第1電極101との間に配置されるか、もしくは、第2電極102と第2電極102との間に配置されるようにしてもよい。いずれの場合も、ウエハ7は、プラズマ103が生成される空間である第1電極101と第2電極102間には不配置とする。
【0035】
以上のように構成することで、すなわち、プラズマが生成される空間外にウエハを配置することで、ウエハ表面のプラズマによるダメージ(イオン衝撃やチャージアップダメージ)を緩和することが可能となり、膜質の向上を図ることができる。また、ウエハがプラズマの生成エリア外に位置するため、プラズマ放電時の影響によるウエハの温度上昇を抑制することが可能となり、面内温度分布への影響を抑制することが可能となる。また、プラズマ放電時の状態をパルス放電にすることにより、さらに影響を抑制できる。
【0036】
(排気部)
反応管1には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および排気バルブ(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されているバルブである。主に、排気管231、APCバルブ244、圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。排気管231は、反応管1に設ける場合に限らず、ノズル249a,249bと同様にマニホールド31に設けてもよい。
【0037】
(周辺装置)
マニホールド31の下方には、マニホールド31の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ32が設けられている。シールキャップ32は、マニホールド31の下端に垂直方向下側から当接されるように構成されている。シールキャップ32は、例えばSUS等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ32の上面には、マニホールド31の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。
【0038】
シールキャップ32の処理室201と反対側には、ボート5を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸49は、シールキャップ32を貫通してボート5に接続されている。回転機構267は、ボート5を回転させることでウエハ7を回転させるように構成されている。シールキャップ32は、反応管1の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ32を昇降させることで、ボート5を処理室201内外に搬入および搬出することが可能なように構成されている。
【0039】
ボートエレベータ115は、ボート5すなわちウエハ7を、処理室201内外に搬送する搬送装置(搬送機構)として構成されている。また、マニホールド31の下方には、ボートエレベータ115によりシールキャップ32を降下させている間、マニホールド31の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシャッタ219sが設けられている。シャッタ219sは、例えばSUS等の金属により構成され、円盤状に形成されている。シャッタ219sの上面には、マニホールド31の下端と当接するシール部材としてのOリング220cが設けられている。シャッタ219sの開閉動作(昇降動作や回動動作等)は、シャッタ開閉機構115sにより制御される。
【0040】
反応管1内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ4への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、ノズル27,29と同様にL字型に構成されており、反応管1の内壁に沿って設けられている。
【0041】
(制御装置)
図7に示すように、制御部(制御装置)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0042】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する成膜処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する各種処理(成膜処理)における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、プロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0043】
I/Oポート121dは、上述のMFC241a〜241d、バルブ243a〜243d、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、ヒータ4、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115、シャッタ開閉機構115s、回転駆動部35、整合器36、発振器(高周波電源)39等に接続されている。
【0044】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、回転駆動部35の制御、整合器36への電力供給、MFC241a〜241dによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a〜243dの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ4の温度調整動作、回転機構267によるボート5の回転角度および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート5の昇降動作、シャッタ開閉機構115sによるシャッタ219sの開閉動作、整合器36によるインピーダンス調整動作、発振器39の電力供給等を制御するように構成されている。
【0045】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0046】
(2)基板処理
上述の基板処理装置を用い、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に膜を形成するプロセス例について、
図5、
図6を用いて説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0047】
図5に示す基板処理(成膜処理)では、
処理室201内のウエハ7に対して原料としてBTBASガスを供給するステップと、処理室201内のウエハ7に対して、反応体としてプラズマ励起させたO
2ガスを供給するステップと、を非同時に、すなわち、同期させることなく所定回数(1回以上)行うことで、ウエハ7上に、SiおよびOを含む膜として、シリコン酸化膜(SiO膜)を形成する。
【0048】
本明細書では、
図6に示す成膜処理のシーケンスを、便宜上、以下のように示すこともある。以下の変形例や他の実施形態の説明においても、同様の表記を用いることとする。
【0049】
(BTBAS→O
2*)×n ⇒ SiO
【0050】
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合、すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。
【0051】
従って、本明細書において「ウエハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを直接供給する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等に対して、すなわち、積層体としてのウエハの最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合がある。また、本明細書において「ウエハ上に所定の層(または膜)を形成する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)上に所定の層(または膜)を直接形成する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等の上、すなわち、積層体としてのウエハの最表面の上に所定の層(または膜)を形成する」ことを意味する場合がある。
【0052】
また、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0053】
(搬入ステップ:S1)
複数枚のウエハ7がボート5に装填(ウエハチャージ)されると、シャッタ開閉機構115sによりシャッタ219sが移動させられて、マニホールド31の下端開口が開放される(シャッタオープン)。その後、
図1に示すように、複数枚のウエハ7を支持したボート5は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内へ搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ32は、Oリング220bを介してマニホールド31の下端をシールした状態となる。
【0054】
(圧力・温度調整ステップ:S2,S3)
処理室201内、すなわち、ウエハ7が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。真空ポンプ246は、少なくとも後述する改質処理が終了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。
【0055】
また、処理室201内のウエハ7が所望の温度となるようにヒータ4によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ4への通電具合がフィードバック制御される。ヒータ4による処理室201内の加熱は、少なくとも後述するパージ処理が終了するまでの間は継続して行われる。但し、後述する成膜処理およびパージ処理を室温以下の温度条件下で行う場合は、ヒータ4による処理室201内の加熱は行わなくてもよい。なお、このような温度下での処理だけを行う場合には、ヒータ4は不要となり、ヒータ4を基板処理装置に設置しなくてもよい。この場合、基板処理装置の構成を簡素化することができる。
【0056】
続いて、回転機構267によるボート5およびウエハ7の回転を開始する。回転機構267によるボート5およびウエハ7の回転は、少なくとも後述するBTBAS供給が終了するまでの間は継続して行われる。
【0057】
(成膜ステップ:S11,S12,S13,S14)
その後、ステップS11,S12,S13,S14を順次実行することで成膜ステップを行う。
【0058】
[原料供給ステップ:S11,S12]
ステップS11では、処理室201内のウエハ7に対してBTBASガスを供給する。なお、このステップS11を原料ガス供給ステップS11と称してもよい。
【0059】
バルブ243aを開き、ガス供給管232a内へBTBASガスを流す。BTBASガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル27を介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ7に対してBTBASガスが供給されることとなる。このとき同時にバルブ243cを開き、ガス供給管232c内へN
2ガスを流す。N
2ガスは、MFC241cにより流量調整され、BTBASガスと一緒に処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0060】
また、ノズル29内へのBTBASガスの侵入を防止するため、バルブ243dを開き、ガス供給管232d内へN
2ガスを流す。N
2ガスは、ガス供給管232b、ノズル29を介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0061】
MFC241aで制御するBTBASガスの供給流量は、例えば1〜2000sccm、好ましくは10〜1000sccmの範囲内の流量とする。MFC241c,241dで制御するN
2ガスの供給流量は、それぞれ例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする。処理室201内の圧力は、例えば1〜2666Pa、好ましくは67〜1333Paの範囲内の圧力とする。BTBASガスをウエハ7に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例えば1〜100秒、好ましくは1〜50秒の範囲内の時間とする。
【0062】
ヒータ4の温度は、ウエハ7の温度が、例えば0℃以上150℃以下、好ましくは室温(25℃)以上100℃以下、より好ましくは40℃以上90℃以下の範囲内の温度(第1の温度)となるような温度に設定する。BTBASガスは、ウエハ7等へ吸着し易く反応性の高いガスである。このため、例えば室温程度の低温下であっても、ウエハ7上にBTBASガスを化学吸着させることができ、実用的な成膜レートを得ることができる。本実施形態のように、ウエハ7の温度を150℃以下、さらには100℃以下、さらには90℃以下とすることで、ウエハ7に加わる熱量を低減させることができ、ウエハ7が受ける熱履歴の制御を良好に行うことができる。また、0℃以上の温度であれば、ウエハ7上にBTBASを十分に吸着させることができ、十分な成膜レートが得られることとなる。よって、ウエハ7の温度は0℃以上150℃以下、好ましくは室温以上100℃以下、より好ましくは40℃以上90℃以下の範囲内の温度とするのがよい。
【0063】
上述の条件下でウエハ7に対してBTBASガスを供給することにより、ウエハ7(表面の下地膜)上に、例えば1原子層未満から数原子層程度の厚さのSi含有層が形成される。Si含有層はSi層であってもよいし、BTBASの吸着層であってもよいし、その両方を含んでいてもよい。
【0064】
Si層とは、Siにより構成される連続的な層の他、不連続な層や、これらが重なってできるSi薄膜をも含む総称である。Siにより構成される連続的な層を、Si薄膜という場合もある。Si層を構成するSiは、アミノ基との結合が完全に切れていないものや、Hとの結合が完全に切れていないものも含む。
【0065】
BTBASの吸着層は、BTBAS分子で構成される連続的な吸着層の他、不連続な吸着層をも含む。すなわち、BTBASの吸着層は、BTBAS分子で構成される1分子層もしくは1分子層未満の厚さの吸着層を含む。BTBASの吸着層を構成するBTBAS分子は、Siとアミノ基との結合が一部切れたものや、SiとHとの結合が一部切れたものや、NとCとの結合が一部切れたもの等も含む。すなわち、BTBASの吸着層は、BTBASの物理吸着層であってもよいし、BTBASの化学吸着層であってもよいし、その両方を含んでいてもよい。
【0066】
ここで、1原子層未満の厚さの層とは不連続に形成される原子層のことを意味しており、1原子層の厚さの層とは連続的に形成される原子層のことを意味している。1分子層未満の厚さの層とは不連続に形成される分子層のことを意味しており、1分子層の厚さの層とは連続的に形成される分子層のことを意味している。Si含有層は、Si層とBTBASの吸着層との両方を含み得る。但し、上述の通り、Si含有層については「1原子層」、「数原子層」等の表現を用いることとする。
【0067】
BTBASが自己分解(熱分解)する条件下、すなわち、BTBASの熱分解反応が生じる条件下では、ウエハ7上にSiが堆積することでSi層が形成される。BTBASが自己分解(熱分解)しない条件下、すなわち、BTBASの熱分解反応が生じない条件下では、ウエハ7上にBTBASが吸着することでBTBASの吸着層が形成される。但し、本実施形態では、ウエハ7の温度を例えば150℃以下の低温(第1の温度)としているので、BTBASの熱分解は生じにくい。結果として、ウエハ7上へは、Si層ではなく、BTBASの吸着層の方が形成されやすくなる。
【0068】
ウエハ7上に形成されるSi含有層の厚さが数原子層を超えると、後述する改質処理での改質の作用がSi含有層の全体に届かなくなる。また、ウエハ7上に形成可能なSi含有層の厚さの最小値は1原子層未満である。よって、Si含有層の厚さは1原子層未満から数原子層程度とするのが好ましい。Si含有層の厚さを1原子層以下、すなわち、1原子層または1原子層未満とすることで、後述する改質処理での改質の作用を相対的に高めることができ、改質処理の改質反応に要する時間を短縮することができる。成膜処理のSi含有層の形成に要する時間を短縮することもできる。結果として、1サイクルあたりの処理時間を短縮することができ、トータルでの処理時間を短縮することも可能となる。すなわち、成膜レートを高くすることも可能となる。また、Si含有層の厚さを1原子層以下とすることで、膜厚均一性の制御性を高めることも可能となる。
【0069】
Si含有層が形成された後、バルブ243aを閉じ、処理室201内へのBTBASガスの供給を停止する。このとき、APCバルブ244を開いたままとし、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくはSi含有層の形成に寄与した後のBTBASガスや反応副生成物等を処理室201内から排除する(S12)。また、バルブ243c,243dは開いたままとして、処理室201内へのN
2ガスの供給を維持する。N
2ガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内に残留する未反応もしくはSi含有層の形成に寄与した後のBTBASガス等を処理室201内から排除する効果を高めることができる。なお、このステップS12を原料ガスパージステップS12と称してもよい。
【0070】
このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室201内を完全にパージしなくてもよい。処理室201内に残留するガスが微量であれば、その後に行われるパージ処理において悪影響が生じることはない。このとき処理室201内へ供給するN
2ガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、反応管1(処理室201)の容積と同程度の量を供給することで、パージ処理において悪影響が生じない程度のパージを行うことができる。このように、処理室201内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。また、N
2ガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0071】
原料としては、BTBASガスのほか、テトラキスジメチルアミノシラン(Si[N(CH
3)
2]
4、略称:4DMAS)ガス、トリスジメチルアミノシラン(Si[N(CH
3)
2]
3H、略称:3DMAS)ガス、ビスジメチルアミノシラン(Si[N(CH
3)
2]
2H
2、略称:BDMAS)ガス、ビスジエチルアミノシラン(Si[N(C
2H
5)
2]
2H
2、略称:BDEAS)ガス等を好適に用いることができる。すなわち、原料ガスとしては、ジメチルアミノシラン(DMAS)ガス、ジエチルアミノシラン(DEAS)ガス、ジプロピルアミノシラン(DPAS)ガス、ジイソプロピルアミノシラン(DIPAS)ガス、ブチルアミノシラン(BAS)ガス、ヘキサ
メチルジシラザン(HMDS)ガス等の各種アミノシラン原料ガスや、モノクロロシラン(SiH
3Cl、略称:MCS)ガス、ジクロロシラン(SiH
2Cl
2、略称:DCS)ガス、トリクロロシラン(SiHCl
3、略称:TCS)ガス、テトラクロロシランすなわちシリコンテトラクロライド(SiCl
4、略称:STC)ガス、ヘキサクロロジシラン(Si
2Cl
6、略称:HCDS)ガス、オクタクロロトリシラン(Si
3Cl
8、略称:OCTS)ガス等の無機系ハロシラン原料ガスや、モノシラン(SiH
4、略称:MS)ガス、ジシラン(Si
2H
6、略称:DS)ガス、トリシラン(Si
3H
8、略称:TS)ガス等のハロゲン基非含有の無機系シラン原料ガスを好適に用いることができる。
【0072】
不活性ガスとしては、N
2ガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。
【0073】
[反応体供給ステップ:S13,S14]
成膜処理が終了した後、処理室201内のウエハ7に対して反応ガスとしてのプラズマ励起させたO
2ガスを供給する(S13)。なお、このステップS13を反応ガス供給ステップS13と称してもよい。
【0074】
このステップでは、バルブ243b〜243dの開閉制御を、ステップ1におけるバルブ243a,243c,243dの開閉制御と同様の手順で行う。O
2ガスは、MFC241bにより流量調整され、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。このとき、第1電極101と第2電極102にそれぞれ180度位相のずれた高周波電力を供給する。処理室201内へ供給されたO
2ガスは各ウエハ7の直上の第1電極101−第2電極102間でプラズマ励起され、活性種(O
2*)としてウエハ7に対して供給され、排気管231から排気される。このようにしてウエハ7に対して、プラズマで活性化(励起)されたO
2ガスが均一に供給されることとなる。
【0075】
MFC241bで制御するO
2ガスの供給流量は、例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする。電極101,102に印加する180度位相のずれた高周波電力は、例えば50〜1000Wの範囲内の電力とする。処理室201内の圧力は、例えば1〜100Paの範囲内の圧力とする。プラズマを用いることで、処理室201内の圧力をこのような比較的低い圧力帯としても、O
2ガスを活性化させることが可能となる。O
2ガスをプラズマ励起することにより得られた活性種をウエハ7に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例えば1〜100秒、好ましくは1〜50秒の範囲内の時間とする。その他の処理条件は、上述のステップ1と同様な処理条件とする。
【0076】
酸素プラズマ103中で生成されたイオンと電気的に中性な活性種はウエハ7の表面に形成されたSi含有層に対して後述する酸化処理を行う。
【0077】
高周波電力の供給を停止した後、酸素の導入を停止する。
【0078】
上述の条件下でウエハ7に対してO
2ガスを供給することにより、ウエハ7上に形成されたSi含有層がプラズマ酸化される。この際、プラズマ励起されたO
2ガスのエネルギーにより、Si含有層が有するSi−N結合、Si−H結合が切断される。Siとの結合を切り離されたN、H、および、Nに結合するCは、Si含有層から脱離することとなる。そして、N等が脱離することで未結合手(ダングリングボンド)を有することとなったSi含有層中のSiが、O
2ガスに含まれるOと結合し、Si−O結合が形成されることとなる。この反応が進行することにより、Si含有層は、SiおよびOを含む層、すなわち、シリコン酸化層(SiO層)へと変化させられる(改質される)。
【0079】
なお、Si含有層をSiO層へと改質させるには、O
2ガスをプラズマ励起させて供給する必要がある。O
2ガスをノンプラズマの雰囲気下で供給しても、上述の温度帯では、Si含有層を酸化させるのに必要なエネルギーが不足しており、Si含有層からNやCを充分に脱離させたり、Si含有層を充分に酸化させてSi−O結合を増加させたりすることは、困難なためである。
【0080】
Si含有層をSiO層へ変化させた後、バルブ243bを閉じ、O
2ガスの供給を停止する。また、電極101、102への高周波電力の供給を停止する。そして、ステップ1と同様の処理手順、処理条件により、処理室201内に残留するO
2ガスや反応副生成物を処理室201内から排除する(S14)。このとき、処理室201内に残留するO
2ガス等を完全に排出しなくてもよい点は、ステップS12と同様である。なお、このステップS14を反応ガスパージステップS14と称してもよい。
【0081】
酸化剤、すなわち、プラズマ励起させるO含有ガスとしては、O
2ガスの他、亜酸化窒素(N
2O)ガス、一酸化窒素(NO)ガス、二酸化窒素(NO
2)ガス、オゾン(O
3)ガス、過酸化水素(H
2O
2)ガス、水蒸気(H
2Oガス)、一酸化炭素(CO)ガス、二酸化炭素(CO
2)ガス等を用いてもよい。
【0082】
不活性ガスとしては、N
2ガスの他、例えば、ステップ1で例示した各種希ガスを用いることができる。
【0083】
[所定回数実施:S4]
上述したS11,S12,S13,S14をこの順番に沿って非同時に、すなわち、同期させることなく行うことを1サイクルとし、このサイクルを所定回数(n回)、すなわち、1回以上行うことにより、ウエハ7上に、所定組成および所定膜厚のSiO膜を形成することができる。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。すなわち、1サイクルあたりに形成されるSiO層の厚さを所望の膜厚よりも小さくし、SiO層を積層することで形成されるSiO膜の膜厚が所望の膜厚になるまで、上述のサイクルを複数回繰り返すのが好ましい。
【0084】
(大気圧復帰ステップ:S5,S6)
上述の成膜処理が完了したら、ガス供給管232c,232dのそれぞれから不活性ガスとしてのN
2ガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。これにより、処理室201内が不活性ガスでパージされ、処理室201内に残留するO
2ガス等が処理室201内から除去される(不活性ガスパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0085】
(搬出ステップ:S7)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ32が下降されて、マニホールド31の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ7が、ボート5に支持された状態でマニホールド31の下端から反応管1の外部に搬出(ボートアンロード)される。ボートアンロードの後は、シャッタ219sが移動させられ、マニホールド31の下端開口がOリング220cを介してシャッタ219sによりシールされる(シャッタクローズ)。処理済のウエハ7は、反応管1の外部に搬出された後、ボート5より取り出されることとなる(ウエハディスチャージ)。なお、ウエハディスチャージの後は、処理室201内へ空のボート5を搬入するようにしてもよい。
【0086】
(3)本実施形態による効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0087】
(a)プラズマの生成される空間にはウエハを配置しないことで、ウエハ表面のプラズマによるダメージ(イオン衝撃やチャージアップダメージ)を緩和することが可能となる。抑制できる。
【0088】
(b)ウエハ表面に対しプラズマによるダメージを軽減することによって、膜質の向上を図ることができる。
【0089】
(c)ウエハがプラズマの生成される空間外に位置するため、プラズマ放電時の影響によるウエハの温度上昇を抑制することが可能となり、面内温度分布への影響を抑制することが可能となる。
【0090】
(d)プラズマ放電時の状態をパルス放電にすることにより、さらにプラズマによるウエハ表面へのダメージを抑制することができ、形成した所定の膜の膜質向上を図ることができる。
【0091】
<第二実施形態>
次に
図4を用いて本発明の第二実施形態について説明する。第二の実施形態における基板処理装置が第一実施形態と異なる点は、
図4に示すように、第1電極101および第2電極102に貫通孔(単に孔とも称する)104を設けている点であり、その他の構成については第一実施形態と同様である。
【0092】
図4に示すように、本実施形態では、第1電極101と第2電極102のそれぞれに同一の孔径を有する貫通孔104を一定数設け、電極の表面積を大きくしている。
孔104は、対向する第1電極101と第2電極102の垂直方向において同位置になるように設けることが好ましいが、これに限らず、垂直方向において異なる位置に設けられるようにしても良い。
また、孔104の径は、1mm以上10mm以下となるように形成されることが望ましく、特に、基板を挟み込むように配置された第1電極101間または第2電極102間のピッチ(間隔)と同等以上となるように形成されることが好ましい。
これは、あまり孔径を大きくするとエネルギーの強いプラズマが供給される箇所と弱いプラズマが生成される箇所が明確に分かれてしまい、電極形状が転写されるようなプロセス処理結果となってしまい、均一な成膜ができなくなってしまうという問題が生じるためである。
【0093】
このように第1電極101および第2電極102のそれぞれに孔104を設けることによって、第1電極101と第2電極102のそれぞれの表面積が拡大されるとともに、後述する
図4(b)示すような孔104の端部(エッジ部)104−1に電界が集中するため、高周波電圧印加時の端部104−1にかかる高周波電圧が増加することから、放電開始電圧の条件が広がり放電し易くなるため、孔104の設置による電極の形状変更が行われても放電開始電圧の大きさを変更することなく、電極間のピッチを調整することができる。
さらに、孔104の設置位置が第1電極101と第2電極102で垂直方向において異なる位置に設けられる場合には、
図4(b)に示すように、対向する第1電極101と第2電極102に設けられた各孔の端部104−1同士の距離Dが一律でなくなるため、圧力と電極間距離に対する放電開始電圧の条件が広がり、放電し易くなると共に広い圧力範囲で安定した処理が可能となる。
さらに、電極間のピッチを調整できるため、ウエハ間のピッチを狭くし、ウエハ処理枚数を増やすことができる。また、電極の表面積が増えるため、活性種の生成量を増やすことができ、基板表面に形成される膜の膜厚均一性を向上させることができる。
さらに、
図4には第1電極101及び第2電極102の両方に孔104を設けるように記載したが、これに限らず第1電極101または第2電極102のどちらか一方の電極のみに孔104を設けても良い。
【0094】
第二実施形態のように構成することで、以下に示す効果が得られる。
【0095】
(e)電極に貫通孔を設けることによって、電極の表面積を拡大することが可能となるため、電極形状が変更となっても放電開始電圧を変更することなく、電極間のピッチを調整することが可能となる。
(f)電極間のピッチを調整することが可能となるため、ウエハ間のピッチも狭くし、ウエハ処理枚数を増やすことが可能となる。
(g)電極の表面積が増えるため、プラズマによる活性種の生成量を増やすことが可能となり、形成される膜の均一性を向上させることができる。
【0096】
<第三実施形態>
次に
図8を用いて本発明の第三実施形態について説明する。第三の実施形態における基板処理装置が第一実施形態と異なる点は、
図8(a)(b)に示すように、第1電極101、第2電極102の表面上に凹凸を設けた点であり、その他の構成については第一実施形態と同様である。
【0097】
図8(a)および
図8(b)に示すように、第1電極101および第2電極102それぞれの表面上には所定の間隔で凹凸を設け、電極の表面積を大きくしている。
これらの凹凸は、電極の厚さtに対し約1/3の深さと幅を有するスリット状(溝状)に形成されることが望ましい。例えば、電極の板厚tが3mmである場合、凹凸の深さと幅はそれぞれ1mmとなるように形成される。このように構成することによって、電極の強度(剛性)を維持することが可能となり、均一にプラズマを生成することが可能となる。これ以上の深さや幅を凹凸に設けた場合、電極の強度を維持することができなくなるだけでなく、凹凸によって生じたプラズマ濃度の差によって、基板上に膜を均一に形成することができなくなってしまう。上述の条件とすることで、例えば、
図8のようなパターンであれば、凹凸に沿った縞模様状の膜が形成されてしまうことを抑止することができる。
ここで、
図8(a)および
図8(b)では、第1電極101と第2電極102を代表して1つのみ記載しているが、これに限らず、第1電極101と第2電極102で凹凸を設ける方向や凹凸の形状、間隔をそれぞれ異なるように構成しても良い。
【0098】
このように、第1電極および第2電極の表面に凹凸を設けることによって、電極表面積を大きくすることが可能となるため、電極に孔を設けた場合と同等の効果を得ることが可能となる。さらに、凹凸を設ける場合は、厚みが薄いため電極が割れたり、強度が低下してしまうリスクを有する貫通孔を設ける場合に比べて電極の加工が容易であるため、電極の製造コストを低減させることが可能となる。
【0099】
(変形例)
なお、
図9(a)および
図9(b)に示すように、この凹凸は格子状に構成されても良い。このように格子状に構成した場合、一方向にのみ凹凸を設けた場合に比べて電極の表面積をさらに増やすことが可能となり、電極間の間隔調整をより詳細に行うことが可能となる。
また、
図9(a)および
図9(b)において電極に設けられる凹凸は矩形となるように形成されているが、矩形に限らず、円形状に形成されても良い。円形状に形成することによって、矩形における角部が無くなり、均一にプラズマを生成することが可能となる。
【0100】
第三実施形態のように構成することで、以下に示す効果が得られる。
【0101】
(h)電極の加工が容易であるため、電極の製造コストを低減させることが可能となる。
(i)電極の表面積をさらに増やすことが可能となり、電極間の間隔調整をより詳細に行うことが可能となる。
【0102】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0103】
例えば、上述の実施形態では、プラズマを発生させるために容量結合プラズマ(Capacitively Coupled Plasma、略称:CCP)を用いた例について説明した。本発明はこれに限らず、誘導結合プラズマ(Inductively CoupledPlasuma、略称:ICP)、を用いてもよい。
【0104】
また、ウエハ7を配置する位置については、ウエハ7の上下の電極の中間或いは、上側の電極に近づける等の調整により、ウエハに対するプラズマの影響を調節することが可能となる。ここでは、ウエハの位置を移動させて電極との距離を調整したが、ウエハの位置を固定しておいて、電極の上下移動により電極とウエハとの距離を調整しても良い。
【0105】
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
【0106】
〔付記1〕
本発明の一態様によれば、
複数の基板を処理する処理室と、
前記処理室内で前記複数の基板を垂直方向に配列して保持する基板保持具と、
前記処理室内に前記基板を処理する処理ガスを供給するガス供給部と、
前記複数の基板のそれぞれの上方に前記複数の基板のそれぞれに対応するように設けられたプラズマ生成部と、を有し、
前記プラズマ生成部は、
第1の位相の高周波電力が印加される第1の電極と、
前記第1の電極と対になるように設けられ、前記第1の位相とは異なる第2の位相の高周波電力が印加される第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の前記基板の存在しない空間にプラズマを生成するプラズマ生成空間と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0107】
〔付記2〕
前記複数の基板のうち少なくとも1つは、同位相の高周波電力が印加されている電極間に配置される付記1に記載の基板処理装置が提供される。すなわち、前記複数の基板のうち少なくとも1枚は、第1の位相の高周波電力が印加されている電極(第1の電極)間に配置されるか、第2の位相の高周波電力が印加されている電極(第2の電極)間に配置される。
【0108】
[付記3]
前記複数の基板のうち少なくとも1つは、前記第1の電極間または前記第2の電極間の少なくともいずれか一方に配置される付記1または2に記載の基板処理装置が提供される。すなわち、前記複数の基板のうち少なくとも1枚は、前記第1の電極と前記第1の電極との間に配置されるか、もしくは、前記第2の電極と前記第2の電極との間に配置される。
【0109】
[付記4]
前記複数の基板のうち少なくとも1つは、前記第1の電極間または前記第2の電極間のいずれか一方に(のみ)配置される付記1または2に記載の基板処理装置が提供される。すなわち、前記複数の基板のうち少なくとも1枚は、前記第1の電極と前記第1の電極との間(のみ)か、もしくは、前記第2の電極と前記第2の電極との間(のみ)に配置される。
【0110】
〔付記5〕
前記第1の電極および前記第2の電極は、それぞれ前記基板の径よりも大きい径を有する円盤形状である付記1から4のいずれか1つに記載の基板処理装置が提供される。
【0111】
〔付記6〕
前記第1の電極または前記第2の電極のうち、前記基板の直上に設けられる電極には、孔が複数設けられる付記1から5のいずれか1つに記載の基板処理装置が提供される。
【0112】
〔付記7〕
前記第1の電極または前記第2の電極には貫通孔が複数設けられる付記1から5のいずれか1つに記載の基板処理装置が提供される。
【0113】
〔付記8〕
前記孔の孔径は、基板を挟み込むように配置された前記第1の電極間、または、前記第2の電極間の距離以上である付記6または7に記載の基板処理装置が提供される。
【0114】
〔付記9〕
前記孔の孔径は、1mm以上10mm以下である付記6から8のいずれか1つに記載の基板処理装置が提供される。
【0115】
〔付記10〕
前記第1の電極または前記第2の電極のうち、前記基板の直上に設けられる電極の表面には、基板を挟み込むように配置される前記第1の電極間、または、前記第2の電極間の距離以上の幅を有する溝が形成される付記1から9のいずれか1つに記載の基板処理装置が提供される。
【0116】
〔付記11〕
前記第1の電極および前記第2の電極には、基板を挟み込むように配置される前記第1の電極間、または、前記第2の電極間の距離以上の幅を有する溝が形成される付記1から10のいずれか1つに記載の基板処理装置が提供される。
【0117】
〔付記12〕
前記基板保持具は、前記基板と前記基板の直上に設置される前記第1の電極または前記第2の電極との距離を変更可能に構成される付記1から11のいずれか1つに記載の基板処理装置が提供される。
【0118】
〔付記13〕
前記基板保持具よりも径方向外側に設けられ前記電極を支持する電極支持部と、
前記電極支持部と前記基板保持具を回転させる回転機構と、をさらに有する付記1から12のいずれか1つに記載の基板処理装置が提供される。
【0119】
〔付記14〕
前記処理ガスは原料ガスと反応ガスとを含み、
前記複数の基板を収容した前記処理室内へ前記原料ガスと前記反応ガスとを(交互に)供給して前記複数の基板を処理し、その際、少なくとも前記反応ガスを供給する際に、前記プラズマ生成部で前記反応ガスをプラズマ励起して、前記基板に対して供給するように、前記ガス供給系および前記プラズマ生成部を制御するよう構成される制御部をさらに有する付記1から13のいずれか1つに記載の基板処理装置。
【0120】
〔付記15〕
本発明の別の態様によれば、
複数の基板を処理する処理室と、
前記処理室内で前記複数の基板を垂直方向に配列して保持する保持具と、
前記処理室内に前記複数の基板を処理する処理ガスを供給するガス供給系と、
前記複数の基板のそれぞれの上方に前記複数の基板のそれぞれに対応するように設けられたプラズマ生成部と、を有し、
前記プラズマ生成部は、
第1の位相の高周波電力が印加される第1の電極と、
前記第1の電極と対になるように設けられ、前記第1の位相とは異なる第2の位相の高周波電力が印加される第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の前記基板が存在しない空間にプラズマを生成するプラズマ生成空間と、
を有する基板処理装置の処理室内に前記複数の基板を収容する工程と、
前記複数の基板を収容した前記処理室内へ前記処理ガスを供給し、前記プラズマ生成部で前記処理ガスをプラズマ励起して、前記基板に対して供給することで、前記基板を処理する工程と、
を有する半導体装置の製造方法、または基板処理方法が提供される。
【0121】
〔付記16〕
本発明の更に別の態様によれば、
複数の基板を処理する処理室と、
前記処理室内で前記複数の基板を垂直方向に配列して保持する保持具と、
前記処理室内に前記複数の基板を処理する処理ガスを供給するガス供給系と、
前記複数の基板のそれぞれの上方に前記複数の基板のそれぞれに対応するように設けられたプラズマ生成部と、を有し、
前記プラズマ生成部は、
第1の位相の高周波電力が印加される第1の電極と、
前記第1の電極と対になるように設けられ、前記第1の位相とは異なる第2の位相の高周波電力が印加される第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の前記基板が存在しない空間にプラズマを生成するプラズマ生成空間と、
を有する基板処理装置の処理室内に前記複数の基板を収容する手順と、
前記複数の基板を収容した前記処理室内へ前記処理ガスを供給し、前記プラズマ生成部で前記処理ガスをプラズマ励起して、前記基板に対して供給することで、前記基板を処理する手順と、
をコンピュータに実行させるプログラム、または該プログラムを記録可能な記録媒体が提供される。
【0122】
〔付記17〕
本発明の更に別の態様によれば、
複数の基板を垂直方向に配列して保持する基板保持具と、
前記複数の基板のそれぞれの上方に前記複数の基板のそれぞれに対応するように設けられたプラズマ生成部と、を有し、
前記プラズマ生成部は、
第1の位相の高周波電力が印加される第1の電極と、
前記第1の電極と対になるように設けられ、前記第1の位相とは異なる第2の位相の高周波電力が印加される第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の前記基板の存在しない空間にプラズマを生成するプラズマ生成空間と、
を有する基板保持機構が提供される。