特許第6452634号(P6452634)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6452634
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】コンタクトピン保持具、圧接具、ケース
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20190107BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20190107BHJP
   H01R 13/46 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   H01R12/71
   H01R13/11 Z
   H01R13/11 K
   H01R13/46 Z
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-36940(P2016-36940)
(22)【出願日】2016年2月29日
(65)【公開番号】特開2017-157296(P2017-157296A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2017年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114226
【氏名又は名称】ミハル通信株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(72)【発明者】
【氏名】吉野 友博
(72)【発明者】
【氏名】大平 修敬
【審査官】 澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−036000(JP,A)
【文献】 特開2008−192554(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3145514(JP,U)
【文献】 特開平09−063667(JP,A)
【文献】 特開平09−073930(JP,A)
【文献】 特開昭62−190669(JP,A)
【文献】 特開平05−145783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00 − 12/91
H01R 24/00 − 24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CATV用機器の回路基板に実装されて、回路基板の側方から差し込まれるコンタクトピンを保持可能なコンタクトピン保持具であり、
絶縁性のケース内に導電性の圧接具が装備されており、
前記ケースは四方に側壁を備え、上面が開口された箱型であり、圧接具を差し込み可能な取り付け部と、コンタクトピンを押込み可能なコンタクトピン嵌入部と、コンタクトピン嵌入部に押し込まれたコンタクトピンを支持可能なコンタクトピン支持部と、外部に連通する空間部を備えており、
前記空間部はコンタクトピン嵌入部に嵌入されるコンタクトピンの軸方向と直交する両側壁又はいずれか一方の側壁に開口されて外部に連通して、誘電率が外部の空気の誘電率と同じになるようにしてあり、
前記圧接具は板状の装備片と、装備片の下端に突出する突起と、装備片の上端部を下向きに湾曲させて装備片の軸方向途中まで折り返したバネ片を備え、装備片に開口部を開口して装備片の面積を小さくしてあり、
前記バネ片は装備片の上端部を下向きに湾曲させて装備片の軸方向途中まで折り返されており、折り返された下端部が装備片から離れる方向に拡がっており且つ装備片側に押されてから当該押しが解除されると元に復元するバネ性を備えており、
前記圧接具は装備片をケースの側壁の内側にしてケースの取り付け部に差し込まれてケースに固定され、突起が前記ケースを搭載する回路基板に実装できるようにケースの下方に突設されており、
前記バネ片はケースのコンタクトピン嵌入部に嵌入されるコンタクトピンを、前記バネ性により前記コンタクトピン支持部に押し付けて当該コンタクトピン支持部との間に挟着保持できるようにしてある
ことを特徴とするコンタクトピン保持具。
【請求項2】
請求項1記載のコンタクトピン保持具において、
圧接具のバネ片が、圧接具の幅方向に二以上に区画されたものである、
ことを特徴とするコンタクトピン保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器、例えば、CATV用機器の回路基板に実装されて、当該機器に取付けられた接栓のコンタクトピンを確実に保持できるコンタクトピン保持具と、コンタクトピンに圧接する圧接具と、その圧接具を取付けるケースに関する。
【背景技術】
【0002】
CATV用機器には増幅器等の各種機器がある。それら機器の一例として図5に示すものがある。図5のCATV用機器は、アルミダイキャスト製の筐体Aの周壁Bに、入出力用の接栓Cやモニタ用の接栓C(通常は入出力用の接栓Cよりも小径)が取り付けられている。接栓C、CはコンタクトピンD、Dを備えており、それらコンタクトピンD、Dは接栓C、Cを周壁Bに取付けることにより周壁Bの内側に突設される。
【0003】
図5の筐体A内には回路基板E、シャーシFが収納固定される。回路基板Eの表面には電子部品Gの他に表側保持具Hが、裏面には裏側保持具Iが実装されている。表側保持具Hが回路基板Eの表面に実装され、裏側保持具Iが裏面に実装されているのは、表側保持具Hを周壁Bの上部に取付けられている接栓Cに接続し、裏側保持具Iを周壁Bの下部に取付けられている接栓Cに接続するためである。
【0004】
表側保持具Hの一つとして図7(a)〜(c)に示すもの(接触片3枚のもの)がある。図7(a)〜(c)の表側保持具Hは、一枚の金属板を平面形状コ字状(略コ字状を含む)に曲げ、対向する二枚の側壁Jの下方に二本の差し込み片Kと両側壁J間の連結壁J’の下方に一本の差し込み片Kが突設され、二枚の側壁Jの下部が上方に折り返されてハ字状(略ハ字状を含む)の接触片Lが対向配置されている。接触片Lは一定間隔で、一列に三枚ずつ配列されている。
【0005】
裏側保持具Iの一つとして図8(d)に示すものがある。図8(e)の裏側保持具Iは、図8(a)のように、一枚の金属板が側面形状略M字状に折り曲げられ、3枚に区画された接触片Nと、四本の脚Oを備え、対向する接触片N間にコンタクトピン嵌合空間Pが設けられた板バネ状である。この裏側保持具Iは、図8(b)(c)に示すような樹脂製の箱型のケースQ内に収容されており、前記脚Oが図8(d)に示すようにケースQの底面Rの差し込み孔Sに差し込まれて底面Rから外に突出し、接触片Nの折り曲げ部TがケースQの開口部U(図8(b))から外部に突出している。ケースQの両側面にはスリットVが設けられており、そのスリットVはケースQの開口部Uに連通している。図8(d)の裏側保持具Iは図8(e)のように回路基板Eの裏面に実装される。
【0006】
図5の回路基板Eには細長の基板開口部Wが開口され、シャーシFには細長のシャーシ開口部Xが開口されている。これら開口部W、XはシャーシFに回路基板Eを配置固定すると互いに連通している。この場合、表側保持具H(図7(a)〜(c))と裏側保持具I(図8(a))が実装されている回路基板E(図5)をシャーシFにセットし、そのシャーシFを筐体A内に収容固定すると、表側保持具Hのコンタクトピン嵌合空間Y(図7(a)(c))が図6(a)のようにコンタクトピンDと嵌合し、コンタクトピンDが接触片L(図7(a))のバネ力で挟着保持されてコンタクトピンDと電気的に導通可能に接触する。また、裏側保持具Iが図6(b)のようにコンタクトピンDと嵌合し、コンタクトピンDが、対向している接触片N(図8(a))のバネ力で挟着保持されて、コンタクトピンDと電気的に導通可能に接触する。
【0007】
接栓Cには入出力用のケーブル、接栓Cにはモニタ用のケーブルが接続される。入出力用とモニタ用のいずれに使用される場合でも、表側保持具H(図7(a)〜(c))はコンタクトピンDとの接触が、裏側保持具I(図8(a))はコンタクトピンDとの接触が確実になることが望まれる。特に、入出力用で使用する場合は発熱防止の点から接触抵抗が小さいことが望まれる。
【0008】
裏側保持具I(図8(a))はケースQ(図8(b)(c))内に、図8(d)のように収容されているため、コンタクトピンDが裏側保持具Iのコンタクトピン嵌合空間P内に嵌合しても、接触片Nが外側に拡がらずコンタクトピンDと接触片Nとの確実な接触が確保される。しかし、表側保持具H(図7(a)〜(c))はケース内に収容されることなく裸のまま回路基板E(図5)に取付けられるため、コンタクトピンDがコンタクトピン嵌合空間Y(図7(a)(c))内に嵌合すると、ハ字形に対向している両接触片Lが外側に押し拡げられて、両接触片LによるコンタクトピンDの挟着保持が弱まって、両者の接触が不安定になる。接触が不安定になると接触片L(図7(a)〜(c))とコンタクトピンDとの接触抵抗が大きく影響して発熱し易くなる。
【0009】
表側保持具H(図7(a)〜(c))の接触片Lの拡がりを防止するため、従来は、可動式の押さえ板とコンタクトピン受け金具とでコンタクトピンを挟持するもの(特許文献1)、基板に固定する固定部と一対の脚部と両脚部を連結する連結部とを導電性弾性体で一体成型したコネクタ(特許文献2)などが提案されている。
【0010】
図8(d)に示すケース入りの裏側保持具Iは筐体A(図5)の周壁Bの下部に取付けられている入出力用の接栓CのコンタクトピンDと接触する都合上、回路基板Eの裏面に実装される。
【0011】
裏側保持具I(図8(a))の接触片NとコンタクトピンD図6(b))との接触面積を広くするためには、接触片Nの枚数を多くすることが考えられるが、枚数を多くすると裏側保持具Iが接触片Nの配列方向に長くなってケースQ(図8(b)(c))も大きくなり、回路基板Eへの実装スペースが広くなる。
【0012】
特許文献1記載の挟持具や、特許文献2記載のコネクタは、挟持具或いはコネクタの構造が特許文献1、2用の独自のものであるため汎用性に欠けるという難点があった。
【0013】
図8の裏側保持具は高周波領域、例えば、770MHz以上の帯域で減衰量が増加するという難点がある。また、筐体に取付けられた接栓のコンタクトピンと当該筐体内の基板に実装されたバネ性の端子(コンタクトピン保持具)との接触部のインピーダンスのミスマッチングにより、前記高周波領域でリターンロス(入射波と反射波の比をデシベルで表したもの)が悪化するという難点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平5−145783号(特許第3116172号)公報
【特許文献2】特開2003−109715号(特許第4627393号)公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題は、コンタクトピンを確実に保持でき、伝送信号中の高周波領域のリターンロスが悪化しなく、伝送損失が少ないコンタクトピン保持具と、コンタクトピンに圧接する圧接具と、その圧接具を取り付けるケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のコンタクトピン保持具は、CATV用機器の回路基板に実装され且つコンタクトピンを保持可能なコンタクトピン保持具であり、絶縁性のケース内に導電性の圧接具が装備され、ケースは取り付け部と、コンタクトピン嵌入部と、コンタクトピン支持部と空間部を備え、圧接具は装備片と、装備片の下方に突出する突起と、装備片の上端部を下向きに湾曲させて装備片の軸方向途中まで折り返したバネ片を備え、バネ片はその下端部が装備片から離れる方向に拡がっており且つ装備片側に押して当該押しを開放すると元の状態に復元するバネ性を備えており、前記装備片は前記ケースの取り付け部に差し込まれて当該ケースに装備され、突起が回路基板に実装可能にケース底面の下方に突出しており、前記バネ片はケースのコンタクトピン嵌入部に嵌入されるコンタクトピンを前記コンタクトピン支持部に押し付けて当該コンタクトピン支持部との間に保持可能としてある。
【0017】
本発明の圧接具は導電性であり、装備片と、装備片の下端に突出する突起と、装備片の上端部を下向きに湾曲させて装備片の軸方向途中まで折り返したバネ片を備え、バネ片は下端部が装備片から離れる方向に拡がっており且つ装備片側に押して当該押しを解除すると元の状態に復元するバネ性を備えたものである。バネ片は幅方向に二以上に区画されたものであってもよい。
【0018】
本発明のケースは絶縁材製であって四方に側壁を備えた上方開口の箱型であり、前記圧接具の装備片を差し込んで取付け可能な取り付け部と、コンタクトピンを嵌入可能なコンタクトピン嵌入部と、コンタクトピン嵌入部に嵌入されてバネ片で押されるコンタクトピンを支持可能なコンタクトピン支持部と、ケース外部に連通する空間部を備えている。空間部はコンタクトピン嵌入部に嵌入されるコンタクトピンの軸方向と直交する両側壁又はいずれか一方の側壁に開口されて外部に連通しているものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明のコンタクトピン保持具は次の効果がある。
(1)圧接具の装備片の下端に回路基板に実装可能な突起が突設されているのでプリント基板への実装が容易にかつ確実にできる。
(2)コンタクトピンを圧接具のバネ片と保持具ケースのコンタクトピン支持部との間に確実に挟着保持することができ、コンタクトピンとバネ片との接触が確実になり、圧接具が実装される回路基板の端子とコンタクトピンとの接触も確実になり、接触抵抗も減少する。
(3)圧接具のバネ片が装備片の軸方向途中までの長さである(短い)ため、バネ片の表面積が小さくなり静電容量Cが減少する。
(4)ケースの側壁にケース外部に連通する空間部があるため、空間部がない場合よりも誘電率εが空気に近づく。このためコンタクトピンと圧接具との接触部でリターンロスが改善され、高周波領域での減衰量の増加が少なくなる。
【0020】
本発明の圧接具は次の効果がある。
(1)バネ片がコンタクトピンをケースのコンタクトピン支持部に圧接できるバネ性を備えているので、コンタクトピンとバネ片との接触が安定し、接触抵抗も減少し通電による発熱も抑制できる。
(2)バネ片が装備片の軸方向途中まで(上側部分まで)しか折り返されていないため、バネ片の寸法が短くなって静電容量Cが減少し、伝送信号のリターンロスが改善し、高周波領域での減衰量の増加が少なくなる。
【0021】
本発明のケースは、ケース外部に連通する空間部が側壁に開口されているため、空間部の誘電率εが空気の誘電率εに近づくことになり、静電容量Cが減少し、高周波領域でのリターンロスが改善し、減衰量の増加が抑制されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】(a)は本発明のコンタクトピン保持具の一例の斜視図、(b)は(a)のコンタクトピン保持具の圧接具の一例を示す斜視図、(c)は(a)のコンタクトピン保持具のケースの一例を示す斜視図、(d)は圧接具の他例を示す斜視図、(e)は(d)の圧接具をケース内に圧入した状態の斜視図。
図2】本発明のコンタクトピン保持具の使用説明図であり、(a)は回路基板への取り付け状態の説明図、(b)は本発明のコンタクトピン保持具を実装した回路基板と接栓のコンタクトピンとの嵌合説明図。
図3】単位長伝送線の等価回路図。
図4】平行平板状電極における静電容量Cの説明図。
図5】従来のCATV機器の一例を示す分解図。
図6】従来の端子保持構造を備えたCATV機器の一部縦断面図であり(a)は分配接栓のコンタクトピンと端子との接続状態を示す縦断面図、(b)は入出力接栓のコンタクトピンと端子との接続状態を示す縦断面図。
図7】従来の表側保持具を示すものであって、(a)は斜視図、(b)はその側面図、(c)はその平面図。
図8】従来の裏側保持具の一例を示すものであって、(a)は端子の斜視図、(b)は(a)の端子を収容するケースの上面側斜視図、(c)は同ケースの裏面側斜視図、(d)は(a)の端子を(b)のケースに収容した裏側保持具の斜視図、(e)は(d)の回路基板への裏側保持具の取り付け状態の説明図、(f)は(d)の裏側保持具を実装した回路基板と接栓のコンタクトピンとの嵌合説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(コンタクトピン保持具の実施形態)
本発明のコンタクトピン保持具の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。図1(a)に示すコンタクトピン保持具1は、絶縁性のケース2内に導電性の圧接具3が装備されている。
【0024】
[ケース]
ケース2は樹脂成型品であり、取り付け部4とコンタクトピン嵌入部5とコンタクトピン支持部6と空間部7を備えている。取り付け部4は圧接具3の装備片8を差し込んで固定可能な差込み空間であり、上方開口である。コンタクトピン嵌入部5は幹線増幅器、分岐器等のCATV機器のダイキャスト製の筐体の周壁に取付けられている入出力用の接栓C図2(a)(b))のコンタトピンD図2(a)(b))を押込んで、又は、コンタクトピンDに被せて、コンタクトピンDを嵌入可能な空間部であり、ケース2の両側壁9(図1(c))及び上面に開口している。
【0025】
コンタクトピン支持部6はコンタクトピン嵌入部5に嵌入されて圧接具3のバネ片10で押されるコンタクトピンDを支持する箇所である。
【0026】
ケース2の両側壁9には空間部7を下向きU字形状に開口して側壁9の外に連通させて、空間部7の誘電率εが空気の誘電率εと同じになるようにしてある。空間部7は一方の側壁にのみ開口することもできる。
【0027】
[圧接具]
圧接具3は金属製の薄板であり、ケース2の取り付け部4に圧入して固定可能な装備片8と、当該装備片8の上端部に連続するバネ片10を備えている。
【0028】
装備片8は板状であり、その略中央部に開口部12があり、下方に二本の突起13が突設されている。この突起13は装備片8がケース2の取り付け部4に差し込まれて当該ケース2に装備されると、ケース2の底面から下方に突出して、回路基板E(図5)の取付け孔に差し込んで回路基板Eに実装できる長さとしてある。
【0029】
バネ片10は装備片8の上端を下向きに湾曲させて、装備片8の軸方向(図1(b)の上下方向)途中まで折り返して形成されている。バネ片10の下端側(先端側)は装備片8から離れる方向(ケース2のコンタクトピン支持部6側)に拡がっており、装備片8側に押してから当該押しを解除すると元に復元するバネ性を備えている。バネ片10はケース2のコンタクトピン嵌入部5に嵌入されるコンタクトピンD図2(a)(b))を、前記バネ性によりコンタクトピン支持部6に押し付けて当該コンタクトピン支持部6との間に挟着保持できるものである。前記バネ片10は幅方向に二以上に区画されている。区画数は任意数とすることができる。区画されたバネ片10の幅、間隔等は、コンタクトピン嵌入部5に嵌入されるコンタクトピンDの径、長さ等に合わせて設計することができる。
【0030】
図1(d)のように、圧接具3の四本のバネ片10のうち、内側の二本を外側の二本よりも上方にはね上げておくこともできる。この圧接具3は、図1(e)のようにケース2内に圧入できる。バネ片10の枚数、形状は図示した以外であってもよい。
【0031】
図3は単位長伝送線の等価回路である。図3において抵抗R、インダクタンスL、コンダクタンスG、静電容量Cとすれば、伝送線の減衰定数αは式(1)で表される。
【0032】
【数1】
【0033】
式(1)において、抵抗R、インダクタンスL、コンダクタンスGが変化しない場合、減衰定数αは静電容量Cが大きくなれば大きくなる。
【0034】
図4は平行平板電極の静電容量Cの解説図である。図4において空間誘電率ε:(F/m)、平行平板20間の距離d(m)、平板面積S(m)とすれば、静電容量Cは式(2)で求められる。
【0035】
【数2】
【0036】
距離d(m)、平板面積S(m)が一定の場合、式(2)より、誘電率εの変化がそのまま静電容量Cの変化となる。真空の誘電率εが8.854×10−12のとき、平行平板20間の空間の静電容量Cが最も小さくなるのは空間が真空に近づく空気の状態のときである。
【0037】
図4の平板の一方を本件発明の圧接具(コンタクト)側、他方をグランド側(回路基板側)とみなすことができる。本発明では図1(b)のように装備片8に開口部12を設けて装備片8の面積を小さくし、ケース2の側壁9に空間部7を開口して外部に貫通させて空間部7の誘電率εを空気の誘電率εと同じにしてあるため、本発明では静電容量Cが小さくなって、伝送線の減衰量が低減する。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のコンタクトピン保持具1は、CATV用機器の接栓のコンタクトピンとの接触確保に限らず、他の通信機器や電子機器のコンタクトピンとの接触確保に利用することもできる。
【符号の説明】
【0039】
1 コンタクトピン保持具
2 ケース
3 圧接具
4 (ケースの)取り付け部
5 (ケースの)コンタクトピン嵌入部
6 (ケースの)コンタクトピン支持部
7 (ケースの)空間部
8 (圧接具の)装備片
9 (ケースの)側壁
10 (圧接具の)バネ片
12 (圧接具の)開口部
13 (圧接具の)突起
20 平行平板
A 筐体
B (筐体の)周壁
、C 接栓
、D コンタクトピン
E 回路基板
F シャーシ
G 電子部品
H 表側保持具
I 裏側保持具
J 側壁
J’ 連結壁
K 差し込み片
L 接触片
N 接触片
O 脚
P コンタクトピン嵌合空間
Q ケース
R (ケースの)底面
S 差し込み孔
T 折り曲げ部
U (ケースの)開口部
V スリット
W 基板開口部
X シャーシ開口部
Y コンタクトピン嵌合空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8