【文献】
DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,Entered STN: 03 Feb 1989,検索日:2017年9月1日,CAS Registry No. 118763-17-0
【文献】
Coropceanu, Veaceslav et al.,Vibronic Coupling in Organic Semiconductors: The Case of Fused Polycyclic Benzene-Thiophene Structures,Chemistry - A European Journal,2006年,12(7),pp. 2073-2080
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
有機半導体材料は、有機光起電素子(OPV)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)、及び有機エレクトロクロミック素子(ECD)などの電子機器に用いることができる。
【0002】
効率的且つ長く持続する性能のために、有機半導体材料に基づく素子は、高い電荷キャリア移動度並びに特に空気による酸化に対する高い安定性を示すことが望ましい。
【0003】
更に、有機半導体材料が、スピンコーティングなどの液体プロセス技術に適合することが望ましく、なぜなら、液体プロセス技術は、加工性の観点から好都合であり、従って、低コストの有機半導体材料に基づく電子素子の製造を可能にするからである。その上、液体プロセス技術は、プラスチック基板にも適合し、従って、軽量且つ機械的に柔軟性のある有機半導体材料に基づく電子素子の製造を可能にする。
【0004】
有機半導体材料は、p型又はn型のいずれかの有機半導体材料であり得る。両方の型の有機半導体材料が電子素子の製造のために利用可能であることが望ましい。
【0005】
チエノ単位を含むヘテロアセン化合物の、電子素子におけるp型半導体材料としての使用が当該技術分野で公知である。
【0006】
米国特許出願公開第2011/0220883号は、2cm
2/Vsまでの電荷キャリア移動度を有する溶液に基づくOFETとしてアルキル化ピセンを開示している。
【0007】
Shinamura S.; Osaka, I.; Miyazaki, E.; Nakao, A.; Yamagishi M.; Takeya, J.; Takimiya K. J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 5024-5035は、以下の化合物の1つを半導体として含むOFETを記載している:
【化1】
(式中、RはH、n−C
8H
17又はフェニルである)。
【0008】
Gao, J.; Li, R.; Li, L.; Meng, Q.; Jiang, H.; Li, H.; Hu, W. Adv. Mater. 2007, 19 (19), 3008 -3011は、以下の化合物
【化2】
を半導体として含むOFETを記載している。OFETは0.51cm
2/Vの電荷キャリア移動度及び4.5×10
6のオン/オフ比を示す。
【0009】
Miyata, Y.; Yoshikawa, E.; Minari, T.; Tsukagoshi, K.; Yamaguchi, S. J. Mater. Chem. 2012, 22, 7715-7717は、以下の化合物
【化3】
を半導体として含むOFETを記載している。OFETの1つは3.1cm
2/Vの電荷キャリア移動度及び10
5のオン/オフ比を示す。
【0010】
Xiao, K; Liu, Y.; Qi, T.; Zhang, W.; Wang, F.; Gao, J.; Qiu, W.; Ma, Y.; Cui, G.; Chen, S.; Zhan, X.; Yu, G.; Qin, J.; Hu, W.; Zhu, D. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 13281-13286は、以下の化合物
【化4】
を半導体として含むOFETを記載している。OFETの1つは0.045cm
2/Vの電荷キャリア移動度及び10
3のオン/オフ比を示す。
【0011】
米国特許出願公開第2011/0210319号は、以下のπ拡張S含有ヘテロアレーン化合物を含む有機電界効果トランジスタ(OFET)について記載している。
【化5】
【0012】
これらのOFETは、次の電荷キャリア移動度:1.2(化合物167)、1.8(化合物250)、2.0(化合物638)、1.7(化合物881)cm
2/V、及び次のオンオフ比:2×10
6(化合物167)、3×10
6(化合物250)、4×10
5(化合物638)及び3×10
6(化合物881)を示す。
【0013】
米国特許出願公開第2013/0245282号は、以下の式
【化6】
(式中、XはO、S又はSeである)
の化合物、及びそれらのOFETにおける使用について記載している。
【0014】
本発明の課題は、改良された有機半導体材料を提供することであった。
【0015】
この課題は、請求項1に記載の化合物、請求項8に記載の電子素子、請求項10に記載の使用によって解決される。
【0016】
本発明の有機半導体材料は、以下の式
【化7】
(式中、
X
1及びX
2は、互いに独立してO、S又はSeであり、且つ
R
1、R
2、R
3及びR
4は、互いに独立してH、ハロゲン、CN、NO
2、C
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル、C
2〜30−アルキニル、C
6〜14−アリール又は5〜14員のヘテロアリールであり、
ここで、
C
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル及びC
2〜30−アルキニルは、C
6〜10アリール、5〜10員ヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ;C
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル及びC
2〜30−アルキニルの1つ以上のCH
2−基(ただし、隣接するCH
2−基ではない)は、O又はSによって置き換えることができ、且つ
C
6〜14−アリール及び5〜14員のヘテロアリールは、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル、C
2〜20−アルキニル、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
a及びR
bはH、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルからなる群から独立して選択され、
C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルは、フェニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができ、且つ
C
6〜10−アリール及び5〜10員のヘテロアリールは、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル、C
2〜10−アルキニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
c及びR
dはH、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルからなる群から独立して選択され、
ここで、
C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルは、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができる)
の化合物である。
【0017】
ハロゲンはF、Cl、Br及びIであってよい。
【0018】
C
1〜10−アルキル、C
1〜20−アルキル及びC
1〜30−アルキルは分枝鎖状又は非分枝鎖状であってよい。C
1〜10−アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、n−(1−エチル)プロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−(2−エチル)ヘキシル、n−ノニル及びn−デシルである。C
1〜20−アルキルの例は、C
1〜10−アルキル及びn−ウンデシル、n−ドデシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル及びn−イコシル(C
20)である。C
1〜30−アルキルの例は、C
1〜20−アルキル及びn−ドコシル(C
22)、n−テトラコシル(C
24)、n−ヘキサコシル(C
26)、n−オクタコシル(C
28)及びn−トリアコンチル(C
30)である。
【0019】
C
2〜10−アルケニル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜30−アルケニルは分枝鎖状又は非分枝鎖状であってよい。C
1〜20アルケニルの例は、ビニル、プロペニル、シス−2−ブテニル、トランス−2−ブテニル、3−ブテニル、シス−2−ペンテニル、トランス−2−ペンテニル、シス−3−ペンテニル、トランス−3−ペンテニル、4−ペンテニル、2−メチル−3−ブテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル及びドセニルである。C
2〜20−アルケニルの例は、C
2〜10−アルケニル及びリノレイル(C
18)、リノレニル(C
18)、オレイル(C
18)、及びアラキドニル(C
20)である。C
2〜20−アルケニルの例は、C
2〜20−アルケニル及びエルシル(C
22)である。
【0020】
C
2〜10−アルキニル、C
2〜20−アルキニル及びC
2〜30−アルケニルは分枝鎖状又は非分枝鎖状であってよい。C
2〜10−アルキニルの例は、エチニル、2−プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル及びデシニルである。C
2〜20−アルキニル及びC
2〜30−アルケニルの例は、ウンデシニル、ドデシニル、ウンデシニル、ドデシニル、トリデシニル、テトラデシニル、ペンタデシニル、ヘキサデシニル、ヘプタデシニル、オクタデシニル、ノナデシニル及びイコシニル(C
20)である。
【0021】
C
6〜10−アリールの例はフェニル、ナフチル、アントラセニル及びフェナントレニルである。C
6〜14−アリールの例はC
6〜10−アリール及びテトラセニル及びクリセニルである。
【0022】
5〜10員のヘテロアリールの例は、
【化8】
【化9】
(式中、R
100はそれぞれの場合においてC
1〜6−アルキル又はフェニルである)
である。
【0023】
5〜14員のヘテロアリールの例は、5〜10員のヘテロアリールについて示された例及び以下の式
【化10】
(式中、R
100はそれぞれの場合においてC
1〜6−アルキル又はフェニルである)
である。
【0024】
好ましくは、X
1及びX
2は互いに独立してO又はSである。更に好ましくは、X
1及びX
2は両方ともSである。
【0025】
好ましくは、R
1、R
2、R
3及びR
4は互いに独立してH、C
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル、C
2〜30−アルキニル、C
6〜14−アリール又は5〜14員のヘテロアリールであり、
ここで、
C
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル及びC
2〜30−アルキニルは、C
6〜10アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ;C
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル及びC
2〜30−アルキニルの1つ以上のCH
2−基(ただし、隣接するCH
2−基ではない)は、O又はSによって置き換えることができ、且つ
C
6〜14−アリール及び5〜14員のヘテロアリールは、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル、C
2〜20−アルキニル、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
a及びR
bはH、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルからなる群から独立して選択され、
C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルは、フェニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができ、且つ
C
6〜10アリール及び5〜10員のヘテロアリールは、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル、C
2〜10−アルキニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
c及びR
dはH、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルからなる群から独立して選択され、
ここで、
C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルは、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができる。
【0026】
更に好ましくは、R
1、R
2、R
3及びR
4は、互いに独立してH、C
1〜30−アルキル、C
6〜14−アリール又は5〜14員のヘテロアリールであり、
ここで、
C
1〜30−アルキルは、C
6〜10−アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ;C
1〜30−アルキルの1つ以上のCH
2−基(ただし、隣接するCH
2−基ではない)は、O又はSによって置き換えることができ、且つ
C
6〜14−アリール及び5〜14員のヘテロアリールは、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル、C
2〜20−アルキニル、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
a及びR
bはH、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルからなる群から独立して選択され、
C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルは、フェニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができ、且つ
C
6〜10−アリール及び5〜10員のヘテロアリールは、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル、C
2〜10−アルキニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
c及びR
dはH、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルからなる群から独立して選択され、
ここで、
C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルは、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができる。
【0027】
更に一層好ましくは、R
2及びR
3はHであり、且つR
1及びR
4は互いに独立してH又はC
1〜30−アルキルであり、
ここで、
C
1〜30−アルキルは、C
6〜10−アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ;且つC
1〜30−アルキルの1つ以上のCH
2−基(ただし、隣接するCH
2−基ではない)は、O又はSによって置き換えることができ、
ここで、
R
a及びR
bはH、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルからなる群から独立して選択され、
C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルは、フェニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができ、且つ
C
6〜10−アリール及び5〜10員のヘテロアリールは、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル、C
2〜10−アルキニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
c及びR
dはH、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルからなる群から独立して選択され、
ここで、
C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルは、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができる。
【0028】
最も好ましくは、R
2及びR
3はHであり、且つR
1及びR
4は互いに独立してH又はC
1〜30−アルキルである。
【0029】
以下の式
【化11】
(式中、
X
1及びX
2は互いに独立してO又はSであり、且つ
R
1、R
2、R
3及びR
4は互いに独立してH、C
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル、C
2〜30−アルキニル、C
6〜14−アリール又は5〜14員のヘテロアリールであり、
ここで、
C
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル及びC
2〜30−アルキニルは、C
6〜10−アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ;且つC
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル及びC
2〜30−アルキニルの1つ以上のCH
2−基(ただし、隣接するCH
2−基ではない)は、O又はSによって置き換えることができ、且つ
C
6〜14−アリール及び5〜14員のヘテロアリールは、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル、C
2〜20−アルキニル、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
a及びR
bはH、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルからなる群から独立して選択され、
C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルは、フェニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができ、且つ
C
6〜10−アリール及び5〜10員のヘテロアリールは、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル、C
2〜10−アルキニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
c及びR
dはH、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルからなる群から独立して選択され、
ここで、
C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルは、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができる)
の化合物が好ましい。
【0030】
以下の式
【化12】
(式中、
X
1及びX
2は互いに独立してO又はSであり、且つ
R
1、R
2、R
3及びR
4は互いに独立してH、C
1〜30−アルキル、C
6〜14−アリール又は5〜14員のヘテロアリールであり、
ここで、
C
1〜30−アルキルは、C
6〜10−アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ;且つC
1〜30−アルキルの1つ以上のCH
2−基(ただし、隣接するCH
2−基ではない)は、O又はSによって置き換えることができ、且つ
C
6〜14−アリール及び5〜14員のヘテロアリールは、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル、C
2〜20−アルキニル、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
a及びR
bはH、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルからなる群から独立して選択され、
C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルは、フェニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができ、且つ
C
6〜10−アリール及び5〜10員のヘテロアリールは、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル、C
2〜10−アルキニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
c及びR
dはH、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルからなる群から独立して選択され、
ここで、
C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルは、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができる)
の化合物が更に好ましい。
【0031】
以下の式
【化13】
(式中、
X
1及びX
2は両方ともSであり、且つ
R
2及びR
3はHであり、且つR
1及びR
4は互いに独立してH又はC
1〜30−アルキルであり、
ここで、
C
1〜30−アルキルは、C
6〜10−アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ;且つC
1〜30−アルキルの1つ以上のCH
2−基(ただし、隣接するCH
2−基ではない)は、O又はSによって置き換えることができ、
ここで、
R
a及びR
bはH、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルからなる群から独立して選択され、
C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルは、フェニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができ、且つ
C
6〜10−アリール及び5〜10員のヘテロアリールは、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル、C
2〜10−アルキニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
c及びR
dはH、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルからなる群から独立して選択され、
ここで、
C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルは、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができる)
の化合物が更に一層好ましい。
【0032】
以下の式
【化14】
(式中、
X
1及びX
2は両方ともSであり、且つ
R
2及びR
3はHであり、且つR
1及びR
4は互いに独立してH又はC
1〜30−アルキルである)
の化合物が最も好ましい。
【0033】
特に、以下の化合物
【化15】
が好ましい。
【0034】
式1の化合物は、当該技術分野で公知の方法によって調製できる。
【0035】
例えば、式1の化合物は、以下に概説されるように式3の化合物から調製することができる:
【化16】
(式中、
X
1及びX
2は、互いに独立してO、S又はSeであり、且つ
R
1、R
2、R
3及びR
4は互いに独立してH、ハロゲン、CN、NO
2、C
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル、C
2〜30−アルキニル、C
6〜14−アリール又は5〜14員のヘテロアリールであり、
ここで、
C
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル及びC
2〜30−アルキニルは、C
6〜10−アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ;且つC
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル及びC
2〜30−アルキニルの1つ以上のCH
2−基(ただし、隣接するCH
2−基ではない)は、O又はSによって置き換えることができ、且つ
C
6〜14−アリール及び5〜14員のヘテロアリールは、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル、C
2〜20−アルキニル、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
a及びR
bはH、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルからなる群から独立して選択され、
C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルは、フェニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができ、且つ
C
6〜10−アリール及び5〜10員のヘテロアリールは、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル、C
2〜10−アルキニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
c及びR
dはH、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルからなる群から独立して選択され、
ここで、
C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルは、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができる)。
【0036】
式3の化合物は、式2の化合物を得るために、KOtBuなどの塩基の存在下で(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリドで処理することができる。式2の化合物は、通常、式2の化合物の異性体と一緒に得られる。反応は、通常、エーテル、例えば、テトラヒドロフラン又はジエチルエーテルなどの適切な溶媒中で実施される。反応は、通常、例えば、−80℃〜−15℃、好ましくは−60℃〜−30℃の低温で実施される。
【0037】
式2の化合物(通常、式2の化合物の異性体との混合物で)を、式1の化合物を得るために、メタンスルホン酸などの強酸で処理することができる。反応は、通常、ジクロロメタンなどの不活性有機溶媒中で実施される。反応は、通常、−25℃〜10℃、好ましくは0℃の温度で実施される。
【0038】
式3の化合物は、以下に概説されるように式8の化合物から調製できる:
【化17】
(式中、
X
1及びX
2は互いに独立してO、S又はSeであり、且つ
R
1、R
2、R
3及びR
4は互いに独立してH、ハロゲン、CN、NO
2、C
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル、C
2〜30−アルキニル、C
6〜14−アリール又は5〜14員のヘテロアリールであり、
ここで、
C
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル及びC
2〜30−アルキニルは、C
6〜10−アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ;且つC
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル及びC
2〜30−アルキニルの1つ以上のCH
2−基(ただし、隣接するCH
2−基ではない)は、O又はSによって置き換えることができ、且つ
C
6〜14−アリール及び5〜14員のヘテロアリールは、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル、C
2〜20−アルキニル、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
a及びR
bはH、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルからなる群から独立して選択され、
C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルは、フェニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができ、且つ
C
6〜10−アリール及び5〜10員のヘテロアリールは、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル、C
2〜10−アルキニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
c及びR
dはH、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルからなる群から独立して選択され、
ここで、
C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルは、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができる)。
【0039】
式8及び式13の化合物の混合物は、式10の化合物を得るために、CsFなどの塩基の存在下でPd(PtBu
3)
2などのパラジウム触媒で処理することができる。反応は、通常、適切な溶媒又は1,4−ジオキサンと水の混合物などの溶媒混合物中で実施される。反応は、通常、15℃〜120℃、好ましくは50℃〜100℃の温度で実施される。
【0040】
式10の化合物は、式11の化合物を得るために、N−ブロモスクシンイミドなどの適切なハロゲン化剤で処理することができる。反応は、通常、ジクロロメタンなどの適切な溶媒又は溶媒混合物中で実施される。反応は、通常、−25℃〜5℃、好ましくは0℃の温度で実施される。
【0041】
式11及び式12の化合物の混合物は、式3の化合物を得るために、CsFなどの塩基の存在下でPd(PtBu
3)
2などのパラジウム触媒で処理することができる。反応は、通常、適切な溶媒又は1,4−ジオキサンと水の混合物などの溶媒混合物中で実施される。反応は、通常、15℃〜120℃、好ましくは50℃〜100℃の温度で実施される。
【0042】
式3の対称化合物は、以下に概説されるように調製することができる:
【化18】
(式中、
X
1及びX
2は同一であるか又はO、S又はSeであり、
R
1及びR
2は互いに独立してH、ハロゲン、CN、NO
2、C
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル、C
2〜30−アルキニル、C
6〜14−アリール又は5〜14員のヘテロアリールであり、
ここで、
C
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル及びC
2〜30−アルキニルは、C
6〜10−アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ;且つC
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル及びC
2〜30−アルキニルの1つ以上のCH
2−基(ただし、隣接するCH
2−基ではない)は、O又はSによって置き換えることができ、且つ
C
6〜14−アリール及び5〜14員のヘテロアリールは、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル、C
2〜20−アルキニル、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
a及びR
bはH、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルからなる群から独立して選択され、
C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルは、フェニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができ、且つ
C
6〜10−アリール及び5〜10員のヘテロアリールは、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル、C
2〜10−アルキニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
c及びR
dはH、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルからなる群から独立して選択され、
ここで、
C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルは、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
R
4=R
1であり且つ
R
3=R
2である)。
【0043】
化合物5及び化合物6の混合物は、式4の化合物を得るために、パラジウム触媒、例えば、Pd(PPh
3)
4で処理することができる。反応は、通常、ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒又は溶媒混合物中で実施される。反応は、通常、30℃〜120℃、好ましくは70℃〜110℃の温度で実施される。
【0044】
化合物4は、化合物3を得るためにPOCl
3の存在下でジメチルホルムアミドで処理することができる。反応は、通常、ジクロロメタンなどの溶媒又は溶媒混合物中で実施される。反応は、通常、−25℃〜60℃の温度で実施される。
【0045】
式3の対称化合物は、以下に概説されるように調製することもできる:
【化19】
(式中、
X
1及びX
2は同一であるか又はO、S又はSeであり、
R
1及びR
2は互いに独立してH、ハロゲン、CN、NO
2、C
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル、C
2〜30−アルキニル、C
6〜14−アリール又は5〜14員のヘテロアリールであり、
ここで、
C
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル及びC
2〜30−アルキニルは、C
6〜10−アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ;且つC
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル及びC
2〜30−アルキニルの1つ以上のCH
2−基(ただし、隣接するCH
2−基ではない)は、O又はSによって置き換えることができ、且つ
C
6〜14−アリール及び5〜14員のヘテロアリールは、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル、C
2〜20−アルキニル、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
a及びR
bはH、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルからなる群から独立して選択され、
C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルは、フェニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができ、且つ
C
6〜10−アリール及び5〜10員のヘテロアリールは、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル、C
2〜10−アルキニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
c及びR
dはH、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルからなる群から独立して選択され、
ここで、
C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルは、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
R
4=R
1であり、且つ
R
3=R
2である)。
【0046】
式8の化合物と式9の化合物との混合物は、式3の化合物を得るために、CsFなどの塩基の存在下でPd(PtBu
3)
2などのパラジウム触媒で処理することができる。反応は、通常、適切な溶媒又は1,4−ジオキサンと水の混合物などの溶媒混合物中で実施される。反応は、通常、15℃〜120℃、好ましくは50℃〜100℃の温度で実施される。
【0047】
式6及び式8の出発化合物は、以下に概説されるように調製することができる:
【化20】
(式中、
X
1はO、S又はSeであり、
R
1及びR
2は互いに独立してH、ハロゲン、CN、NO
2、C
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル、C
2〜30−アルキニル、C
6〜14−アリール又は5〜14員のヘテロアリールであり、
ここで、
C
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル及びC
2〜30−アルキニルは、C
6〜10−アリール、5〜10員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ;且つC
1〜30−アルキル、C
2〜30−アルケニル及びC
2〜30−アルキニルの1つ以上のCH
2−基(ただし、隣接するCH
2−基ではない)は、O又はSによって置き換えることができ、且つ
C
6〜14−アリール及び5〜14員のヘテロアリールは、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル、C
2〜20−アルキニル、OR
a、OC(O)−R
a、C(O)−OR
a、C(O)−R
a、NR
aR
b、NR
a[C(O)R
b]、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
a及びR
bはH、C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルからなる群から独立して選択され、
C
1〜20−アルキル、C
2〜20−アルケニル及びC
2〜20−アルキニルは、フェニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができ、且つ
C
6〜10−アリール及び5〜10員のヘテロアリールは、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル、C
2〜10−アルキニル、OR
c、OC(O)−R
c、C(O)−OR
c、C(O)−R
c、NR
cR
d、NR
c[C(O)R
d]、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換することができ、
ここで、
R
c及びR
dはH、C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルからなる群から独立して選択され、
ここで、
C
1〜10−アルキル、C
2〜10−アルケニル及びC
2〜10−アルキニルは、ハロゲン、CN及びNO
2からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換することができる)。
【0048】
式7の化合物は、式6の化合物を得るために、リチウムジイソプロピルアミドなどの強塩基で処理することができる。反応は、通常、テトラヒドロフランなどの適切な溶媒又は溶媒混合物中で実施される。反応は、通常、−25℃〜50℃、好ましくは−5℃〜30℃の温度で実施される。
【0049】
式6の化合物は、式8の化合物を得るために、リチウムジイソプロピルアミドなどの強塩基の存在下で1−ホルミル−ピペリジンなどのホルミル化剤で処理することができる。反応は、通常、テトラヒドロフランなどの適切な溶媒又は溶媒混合物中で実施される。反応は、通常、−25℃〜50℃、好ましくは−5℃〜30℃の温度で実施される。
【0050】
また、本発明の一部は、式1の化合物を含む電子素子である。好ましくは、電子素子は有機電界効果トランジスタ(OFET)である。
【0051】
通常、有機電界効果トランジスタは、誘電体層、半導体層及び基板を含む。更に、有機電界効果トランジスタは、通常、ゲート電極及びソース/ドレイン電極を含む。
【0052】
好ましくは、半導体層は式1の化合物を含む。半導体層は、5nm〜500nm、好ましくは10nm〜100nm、更に好ましくは20nm〜50nmの厚さを有し得る。
【0053】
誘電体層は、誘電体材料を含む。誘電体材料は、二酸化ケイ素又は酸化アルミニウム、又は有機ポリマー、例えば、ポリスチレン(PS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(4−ビニルフェノール)(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ベンゾシクロブテン(BCB)、又はポリイミド(PI)であってよい。誘電体層は、10nm〜2000nm、好ましくは50nm〜1000nm、更に好ましくは100nm〜800nmの厚さを有し得る。
【0054】
誘電体層は、誘電体材料に加えて、有機シラン誘導体又は有機リン酸誘導体の自己組織化単分子膜を含み得る。有機シラン誘導体の例は、オクチルトリクロロシランである。有機リン酸誘導体の例は、オクチルデシルリン酸である。誘電体層に含まれる自己組織化単分子膜は、通常、半導体層と接触している。
【0055】
ソース/ドレイン電極は、適切なソース/ドレイン材料、例えば、金(Au)又はタンタル(Ta)から作ることができる。ソース/ドレイン電極は、1〜100nm、好ましくは20〜70nmの厚さを有し得る。
【0056】
ゲート電極は、高濃度にドープされたシリコン、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、インジウム錫酸化物、金(Au)、及び/又はタンタル(Ta)などの任意の適切なゲート材料から作ることができる。ゲート電極は、1〜200nm、好ましくは5〜100nmの厚さを有し得る。
【0057】
基板は、任意の適切な基板、例えば、ガラス、又はプラスチック基板、例えば、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)であってよい。有機電界効果トランジスタの設計に応じて、ゲート電極、例えば、高濃度にドープされたシリコンも、基板として機能し得る。
【0058】
有機電界効果トランジスタは当該技術分野で公知の方法によって製造することができる。
【0059】
例えば、ボトムゲート・トップコンタクト型の有機電界効果トランジスタを次のように製造することができる:誘電体材料、例えばAl
2O
3又は二酸化ケイ素は、層としてゲート電極、例えば、高濃度にドープされたシリコンウェハ上に適用することができ、これは原子層堆積又は熱蒸発などの適切な堆積法によって、基板としても機能する。有機リン酸誘導体又は有機シラン誘導体の自己組織化単分子膜を、誘電体材料の層に適用することができる。例えば、有機リン酸誘導体又は有機シラン誘導体は、溶液堆積技術を用いて溶液から塗布することができる。半導体層は、式1の化合物を、真空中で有機リン酸誘導体又は有機シラン誘導体の自己組織化単分子膜上に溶液堆積又は熱蒸着させることによって形成することができる。ソース/ドレイン電極は、適切なソース/ドレイン材料、例えば、タンタル(Ta)及び/又は金(Au)を、シャドウマスクを介して半導体層の上に堆積させることによって形成することができる。チャネル幅(W)は、典型的には50μmであり、チャネル長(L)は、典型的には1000μmである。
【0060】
また、本発明の一部は、式1の化合物の半導体材料としての使用である。
【0061】
式1の化合物は、周囲条件下で、特に酸化に対して、高い電荷キャリア移動度及び高い安定性を示す。更に、式(1)の化合物は、液体プロセス技術に適合する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】
図1は、−5Vのドレイン−ソース電圧V
dで及び120℃の温度で測定された半導体として化合物1aを含む実施例6のOFETの増幅特性曲線を示す。
【
図2】
図2は、−5Vのドレイン−ソース電圧V
dで及び60℃の温度で測定された半導体として化合物1cを含む実施例6のOFETの増幅特性曲線を示す。
【0063】
実施例
実施例1
化合物1aの調製
【化21】
【0064】
化合物6aの調製
市販のリチウムジイソプロピルアミド(LDA)溶液(2M、34.6ml、69.2ミリモル)を0℃でTHF(350ml)溶液中に希釈した。化合物7a(12.7g、46ミリモル)のTHF(50ml)中の溶液を、滴下漏斗を用いて60分かけて0℃で希釈LDA溶液に滴下した。得られた混合物を徐々に室温に温め、一晩撹拌した。反応混合物を水(150ml)で急冷し、Et
2O(3×100ml)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、濃縮して褐色油状物を得、これを、100%ヘキサンを使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物6aを黄色油状物として得た(10.6g、84%)。
【表1】
【0065】
化合物4aの調製:
化合物5(1.07g、2.61ミリモル)、化合物6a(2.01g、7.30ミリモル)及びPd(PPh
3)
4(0.30g、0.26ミリモル)の溶液を、DMF(13ml)中で混合し、90℃で2時間撹拌した。得られた懸濁液をMeOH(50mL)で希釈し、固体を真空濾過により単離し、MeOH(20ml)で、続いてヘキサン(3×20ml)で十分に洗浄し、黄色の固体として化合物4a(0.92g、75%)を得た。
【表2】
【0066】
化合物3aの調製:
化合物4a(0.92g、1.95ミリモル)のCH
2Cl
2溶液(15mL)を、CH
2Cl
2中のPOCl
3とDMFの混合物に0℃で30分かけて滴下した。得られた混合物を徐々に室温に温め、40℃の湯浴中で2時間撹拌した。反応混合物をCH
2Cl
2で希釈し、氷(100mL)中に注ぎ、撹拌した。KOAc(4.2g)を冷溶液に少しずつ添加し、十分に混合した。有機層を分離し、濃縮して粗生成物を得た。得られた固体を濾過により収集し、MeOH(3×20mL)及びヘキサン(3×20mL)で十分に洗浄し、橙色固体として化合物3a(0.96g、93%)を得た。
【表3】
【0067】
化合物2aの調製:
化合物3a(0.96g、1.82ミリモル)のTHF(33mL)中の溶液を、THF(40ml)中の(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド(3.75g、10.94ミリモル)とKOtBu(1.23g、10.94ミリモル)の混合物にドライアイス・アセトニトリル浴中で−50℃で滴下した。得られた混合物をこの温度で5時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテル(100mL)及びブライン(100mL)で希釈した。有機層を分離し、水層を更にCH
2Cl
2(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を濃縮し、ヘキサン/CH
2Cl
2(v/v 1:1)を用いるシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、黄色油状物として化合物2aの異性体と一緒に化合物2a(1.0g、94%)を得た。
【表4】
【0068】
化合物1aの調製:
CH
2Cl
2(30ml)中の前工程で得られた化合物2aと化合物2aの異性体の混合物(1.0g、1.71ミリモル)を、暗所にて0℃でメタンスルホン酸(0.05ml)を用いて滴下処理した。得られた混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を濃縮乾固し、得られた沈殿物をMeOHで粉砕し、次いで濾過により分離した。残渣をメタノール及びヘキサンで洗浄した。粗生成物をEtOH/CHCl
3から再結晶し、黄色の固体として化合物1a(0.66g、69%)を得た。
【表5】
【0069】
実施例2
化合物1bの調製
【化22】
化合物1bを、化合物1aと同様に白色固体として調製したが、化合物7aの代わりに化合物
【化23】
を用いて出発した。
【表6】
【0070】
実施例3
化合物1cの調製
【化24】
化合物1cを、化合物1aと同様に白色固体として調製したが、化合物7aの代わりに化合物
【化25】
を用いて出発した。
【表7】
【0071】
実施例4
化合物1dの調製
【化26】
【0072】
化合物8aの調製:
市販のリチウムジイソプロピルアミド(LDA)溶液(2M、27mL、53.4ミリモル)を、0℃でTHF(100ml)溶液中に希釈した。化合物6d(5.0mL、53.4ミリモル)のTHF(5mL)中の溶液を、滴下漏斗を用いて0℃で60分かけて希釈LDA溶液に滴下した。反応混合物を0℃で30分間撹拌した。30分後、1−ホルミル−ピペリジンを反応混合物に滴下した。得られた混合物を徐々に室温に温め、室温で2時間撹拌した。反応混合物をNH
4Cl(150mL)で急冷し、Et
2O(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、濃縮して黄色油状物を得、これを、DCM:ヘキサン(v/v 1:1)を用いてシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、黄色油状物として化合物8a(8.7g、85%)を得た。
【表8】
【0073】
化合物3dの調製
化合物9(2.3g、6.92ミリモル)、化合物8a(2.9g、15.23ミリモル)、CsF(4.2g、27.70ミリモル)及びPd(PtBu
3)
2(70.8ミリグラム、0.14ミリモル)の無水1,4−ジオキサン(28mL)及び水(1.1mL)の溶液を、85℃で2時間撹拌した。得られた懸濁液をH
2O(50mL)で希釈し、固体を真空濾過により単離し、MeOH(20ml)で、続いてヘキサン(3×20mL)で十分に洗浄し、褐色の固体として化合物3d(2.02g、96%)を得た。
【表9】
【0074】
化合物2dの調製:
化合物3d(2.02g、6.64ミリモル)のTHF(30mL)中の溶液を、THF(100mL)中の(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド(13.7g、39.85ミリモル)とKOtBu(4.5g、39.85ミリモル)の混合物にドライアイス−アセトニトリル浴中で−50℃で滴下した。得られた混合物をこの温度で5時間撹拌した。反応混合物を、酢酸エチル(100mL)及びブライン(100mL)で希釈した。有機層を分離し、水層を更に酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を濃縮し、ヘキサン/酢酸エチル(v/v 19:1)を用いるシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、褐色の油状物として化合物2dの異性体と一緒に化合物2d(1.8g、76%)を得た。
【表10】
【0075】
化合物1dの調製:
CH
2Cl
2(80ml)中の前工程で得られた化合物2dと化合物2dの異性体の混合物(1.8g、5.02ミリモル)を、暗所にて0℃でメタンスルホン酸(0.05ml)を用いて滴下処理した。得られた混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を濃縮乾固し、得られた沈殿物をMeOHで粉砕し、次いで濾過により分離した。残留物をメタノール及びヘキサンで洗浄し、乳白色固体として化合物1d(1.30g、87%)を得た。
【表11】
【0076】
実施例5
化合物1eの調製
【化27】
【0077】
化合物10aの調製:
化合物13(697ミリグラム、3.32ミリモル)、化合物8b(1.3g、3.98ミリモル)、CsF(2.0g、13.27ミリモル)及びPd(PtBu
3)
2(33.9ミリグラム、0.07ミリモル)の無水1,4−ジオキサン(13mL)及び水(0.5mL)の溶液を、85℃で2時間撹拌した。得られた懸濁液をH
2O(50mL)で希釈し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、濃縮して黄色油状物を得、これを、ジクロロメタン/ヘキサン(50/50)を用いてシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、黄色油状物として化合物10a(0.90g、81%)を得た。
【表12】
【0078】
化合物11aの調製:
化合物10a(112ミリグラム、0.33ミリモル)の無水CH
2Cl
2溶液に0℃でN−ブロモスクシンイミド(59.6ミリグラム、0.33ミリモル)、続いて酢酸(1mL)を添加した。得られた混合物を徐々に室温に温め、一晩撹拌した。反応混合物を水で急冷し、CH
2Cl
2(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、濃縮して橙色油状物を得、これを、酢酸エチル/ヘキサン(20/80)を用いてシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、橙色油状物として化合物11a(70ミリグラム、51%)を得た。
【表13】
【0079】
化合物3eの調製:
化合物12a(99.8ミリグラム、0.42ミリモル)、化合物11a(173.3ミリグラム、0.42ミリモル)、CsF(254.6ミリグラム、1.68ミリモル)及びPd(PtBu
3)
2(4.3ミリグラム、0.01ミリモル)の無水1,4−ジオキサン(4mL)及び水(0.5mL)の溶液を、85℃で2時間加熱した。反応混合物を水で急冷し、CH
2Cl
2(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、濃縮して橙色固体を得、これを、酢酸エチル/ヘキサン(20/80)を用いてシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、橙色固体として化合物3e(0.12g、66%)を得た。
【表14】
【0080】
化合物2eの調製:
化合物3e(0.12g、0.28ミリモル)のTHF(5mL)中の溶液を、THF(6ml)中の(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド(0.57g、1.67ミリモル)とKOtBu(0.19g、1.67ミリモル)の混合物にドライアイス−アセトニトリル浴中で−50℃で滴下した。得られた混合物をこの温度で5時間撹拌した。反応混合物を、酢酸エチル(20mL)及びブライン(20mL)で希釈した。有機層を分離し、水層を更に酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を濃縮し、ヘキサン/酢酸エチル(90/10)を用いるシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、黄色油状物として化合物2eの異性体と一緒に化合物2eを得た。
【0081】
化合物1eの調製:
CH
2Cl
2(80ml)中の前工程で得られた化合物2eと化合物2eの異性体の混合物(1.8g、5.02ミリモル)を、暗所にて0℃でメタンスルホン酸(0.05ml)を用いて滴下処理した。得られた混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を濃縮乾固し、得られた沈殿物をMeOHで粉砕し、次いで濾過により分離した。残留物をメタノール及びヘキサンで洗浄し、乳白色固体として化合物1e(1.30g、87%)を得た。
【0082】
実施例6
化合物1a、1b、1c
、1d、1eをそれぞれ半導体として含む電界効果トランジスタの製造
高濃度にドープされたシリコンウェハを、原子層堆積法によりAl
2O
3で被覆し(30nm)、アセトンとイソプロパノールで十分に洗浄し、短時間の酸素プラズマ処理後、溶液からオクチルデシルリン酸の単分子膜で官能化した。高濃度にドープされたシリコンを基板及びバックゲート電極として使用し、オクチルデシルリン酸処理されたAl
2O
3はゲート誘電体として機能する。化合物1a、1b、1c
、1d、1eを、それぞれ、基板を規定された温度で保持しながら高真空下で熱的に蒸発させた。金製のソース−ドレイン接点はシャドウマスクを用いて規定した。チャネル幅(W)は、典型的には200μmであり、チャネル長(L)は100μmである。
【0083】
実施例7
化合物1cを半導体として含む電界効果トランジスタの製造
熱により堆積させた厚さ200nmの二酸化ケイ素(SiO
2)を有する高濃度にドープされたp型シリコン(100)ウェハを基板として使用した。化合物1cを堆積する前に、Si/SiO
2表面を、オクチルトリクロロシラン(OTS)処理プロセスを通して変性した。化合物1c層を、溶液堆積技術(クロロベンゼン、1mg/ml、70℃でのドロップキャスト)により作製した。次に、ソース電極及びドレイン電極の50nm厚さのAu層を、シャドウマスクを通して堆積し、トップコンタクトOFET素子を得た。チャネル幅(W)は1500μmであり、チャネル長(L)は75μmであった。
【0084】
実施例8
実施例6及び実施例7で製造した電界効果トランジスタの増幅特性曲線の測定
ゲート−ソース電圧V
g(上部増幅特性曲線)に関連するドレイン電流I
d並びに実施例6及び実施例7のトランジスタのゲート−ソース電圧V
g(下部増幅特性曲線)に関連するドレイン電流I
d1/2を、空気中にて様々なドレイン−ソース電圧V
dで且つ様々な温度でケースレー4200 SCSで測定した。
【0085】
図1は、−5Vのドレイン−ソース電圧V
dで且つ120℃の温度で測定された半導体として化合物1aを含む実施例6のOFETの増幅特性曲線を示す。
【0086】
図2は、−5Vのドレイン−ソース電圧V
dで且つ60℃の温度で測定された半導体として化合物1cを含む実施例6のOFETの増幅特性曲線を示す。
【0087】
化合物1a、1b及び1cは、p型の半導体材料の典型的な挙動を示す。
【0088】
電荷キャリア移動度を、飽和領域においてドレイン電流I
d1/2の平方根対ゲート−ソース電圧V
gの傾きから引き出した。閾値電圧V
thは以下の式を用いて得られた:μ=2I
d/{(W/L)Ci(V
g−V
th)
2}(式中、Ciは誘電体層のキャパシタンスである)。
【0089】
化合物1a、1b、1c
、1d、1eをそれぞれ含む実施例6の有機電界効果トランジスタについて、また半導体材料として化合物1cを含む実施例7の有機電界効果トランジスタについて、電荷キャリア移動度μ、I
オン/I
オフ比及び閾値電圧V
thの平均値を第1表に示す。
【表15】