特許第6454196号(P6454196)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6454196
(24)【登録日】2018年12月21日
(45)【発行日】2019年1月16日
(54)【発明の名称】乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01D 15/04 20060101AFI20190107BHJP
   F26B 3/22 20060101ALI20190107BHJP
【FI】
   C01D15/04
   F26B3/22
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-59716(P2015-59716)
(22)【出願日】2015年3月23日
(65)【公開番号】特開2015-214472(P2015-214472A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2017年12月28日
(31)【優先権主張番号】特願2014-89146(P2014-89146)
(32)【優先日】2014年4月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 賢治
(72)【発明者】
【氏名】油谷 亮
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第102229435(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第103508471(CN,A)
【文献】 特開2013−103851(JP,A)
【文献】 特開2011−007368(JP,A)
【文献】 特開2015−137214(JP,A)
【文献】 特開2008−159300(JP,A)
【文献】 特開2013−256416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01D 1/00−17/00
F26B 1/00−25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無水ハロゲン化リチウムを動かしながら乾燥する乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
【請求項2】
前記無水ハロゲン化リチウムが無水ヨウ化リチウム又は無水臭化リチウムである請求項1記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
【請求項3】
前記無水ハロゲン化リチウムが無水ヨウ化リチウムである請求項1記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
【請求項4】
前記無水ヨウ化リチウムの水分量が10000ppm以下である請求項記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
【請求項5】
振動により前記無水ハロゲン化リチウムを動かす請求項1〜のいずれか記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
【請求項6】
前記振動の振幅が0.01mm以上100mm以下である請求項記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
【請求項7】
前記振動の振動数が10rpm以上10000rpm以下である請求項又は記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
【請求項8】
前記乾燥の温度が130℃以下である請求項1〜のいずれか記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
【請求項9】
前記乾燥の温度が70℃以上100℃以下である請求項1〜のいずれか記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
【請求項10】
前記無水ハロゲン化リチウムが無水ヨウ化リチウムであり、
前記乾燥として、70℃以上110℃以下で加熱した後、さらに130℃以上160℃以下で加熱する、請求項1〜のいずれか記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
【請求項11】
前記乾燥を、0.1〜50kPaの圧力下で行う請求項1〜10のいずれか記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
【請求項12】
前記乾燥の時間が1〜50時間である請求項1〜11のいずれか記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
【請求項13】
前記乾燥の雰囲気が不活性ガスである請求項1〜12のいずれか記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
【請求項14】
振動乾燥機を用いる請求項1〜13のいずれか記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
【請求項15】
乾燥ハロゲン化リチウムの含水量が450ppm以下である請求項1〜14のいずれか記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハロゲン化リチウムであるヨウ化リチウムは、電解質として用いられており、特に心臓のペースメーカ等の高寿命バッテリーにとって不可欠な物質である。
【0003】
特許文献1には、ヨウ化リチウム水和物の水分除去方法が開示されている。具体的には、ヨウ化リチウム水和物の水分をアルコールと共沸させ、乾燥させることによって、ヨウ化リチウム水和物を無水物にする方法であるが、所定のアルコールを用いるため、余計な設備やコストがかかるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−256416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、アルコール等の溶媒を用いなくても、水分量が低減された乾燥ハロゲン化リチウムが得られる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが鋭意研究を行った結果、ハロゲン化リチウムを真空乾燥機で減圧乾燥しても、乾燥が不十分となる場合があることが分かった。また、ハロゲン化リチウムが凝集することが原因で水分量を十分に低減できないことを見出した。そこで、アルコール等の有機溶媒を用いない新たなハロゲン化リチウムの乾燥方法を見出し、本発明を完成させた。
【0007】
本発明によれば、以下の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法が提供される。
1.ハロゲン化リチウムを動かしながら乾燥する乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
2.前記ハロゲン化リチウムがヨウ化リチウム又は臭化リチウムである1記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
3.前記ハロゲン化リチウムがヨウ化リチウムである1記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
4.前記ハロゲン化リチウムが無水ヨウ化リチウムである1記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
5.前記無水ヨウ化リチウムの水分量が10000ppm以下である4記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
6.振動によりハロゲン化リチウムを動かす1〜5のいずれか記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
7.前記振動の振幅が0.01mm以上100mm以下である6記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
8.前記振動の振動数が10rpm以上10000rpm以下である6又は7記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
9.前記乾燥の温度が130℃以下である1〜8のいずれか記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
10.前記乾燥の温度が70℃以上100℃以下である1〜8のいずれか記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
11.前記乾燥を、0.1〜50kPaの圧力下で行う1〜10のいずれか記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
12.前記乾燥の時間が1〜50時間である1〜11のいずれか記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
13.前記乾燥の雰囲気が不活性ガスである1〜12のいずれか記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
14.前記ハロゲン化リチウムがヨウ化リチウムであり、
前記乾燥として、70℃以上110℃以下で加熱した後、さらに130℃以上160℃以下で加熱する、1〜13のいずれか記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
15.振動乾燥機を用いる1〜14のいずれか記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
16.乾燥ハロゲン化リチウムの含水量が450ppm以下である1〜15のいずれか記載の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アルコール等の溶媒を用いなくても、水分量が低減された乾燥ハロゲン化リチウムが得られる製造方法が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の乾燥ハロゲン化リチウムの製造方法では、ハロゲン化リチウムを動かしながら乾燥することで、水分量が少ない乾燥ハロゲン化リチウムを得ることができる。また、回収した乾燥ハロゲン化リチウム粉末が凝集することを防ぐことできる。
本発明の製造方法では、通常、アルコール等の有機溶媒を用いない。
【0010】
原料とするハロゲン化リチウムは、例えばヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウム、フッ化リチウムが挙げられ、臭化リチウム及びヨウ化リチウムが好ましく、ヨウ化リチウムがより好ましい。
【0011】
原料のハロゲン化リチウムは、無水物でも、水和物(例えば二水和物)でもよいが、本発明の製造方法では、無水物が好ましく、無水ヨウ化リチウムがより好ましい。無水物の水分量は、例えば10000ppm以下、8000ppm以下、6000ppm以下、又は5000ppm以下である。
また、原料のハロゲン化リチウムは水溶液でもよい。
【0012】
原料のハロゲン化リチウムの純度は、乾燥ハロゲン化リチウム製造後の工程の必要に応じて選定すればよいが、高純度のものが好ましい。
原料ハロゲン化リチウムの純度は、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、98%以上がさらに好ましい。水分を除いて99%以上でもよい。
【0013】
特に、ハロゲン化リチウムの無水物の純度は、95%以上が好ましく、より好ましくは98%以上であり、特に好ましくは99%以上である。
【0014】
高純度のハロゲン化リチウムを原料に用いる場合、不活性雰囲気下、例えば窒素下で取扱うことが好ましい。窒素下で取扱うことにより、凝集をさらに抑制することができる。
【0015】
原料のハロゲン化リチウムの粒径は、特に制限されないが、1000μm未満が好ましく、800μm以下がより好ましく、1μm以上500μm以下がより好ましい。1000μm以上の粗大粒子が存在すると、装置からの抜出に制約を受けるおそれがある。尚、1μm以上の粒径であれば、嵩密度が適度な高さとなり、生産性が向上する。
【0016】
原料のハロゲン化リチウムは、1種を単独で用いても、2種類以上の混合物でもよい。
【0017】
ハロゲン化リチウムを動かすことで、ハロゲン化リチウムを一箇所に固着させず、流動させながら乾燥することができる。
【0018】
ハロゲン化リチウムを動かす手段としては、振動、翼撹拌等の撹拌、揺動等が挙げられる。中でも、振動が好ましい。
【0019】
振動条件は、被乾燥体の上下流動が円滑に生ずる条件であれば特に限定されないが、振幅は0.01mm以上100mm以下が好ましい。例えば、0.1mm以上10mm以下である。また、振動数は10rpm以上10000rpm以下が好ましい。例えば、100rpm以上5000rpm以下である。上記振動条件であることにより、粉体の流動性を確保することができ、凝集発生をより抑制できる。
【0020】
乾燥温度(追加乾燥を行う場合は、初回の乾燥温度)は、特に限定は無いが、130℃以下が好ましい。70℃以上130℃以下がより好ましく、70℃以上120℃以下がさらに好ましい。例えば、70℃以上110℃以下、又は70℃以上100℃以下である。乾燥温度が130℃以下であることにより、乾燥に用いる装置への被乾燥体の付着を少なくすることができる。
尚、ハロゲン化リチウムが臭化リチウムの場合には、乾燥温度が170℃以下、例えば150℃であっても、乾燥に用いる装置への被乾燥体の付着が少ない。
【0021】
乾燥時間は、被乾燥体の水分量にもよるが、1〜50時間が好ましく、1.5〜20時間がより好ましく、2〜8時間が特に好ましい。乾燥時間が上記範囲であることにより、乾燥中の系内の雰囲気を安定に保つことができる。
また、乾燥雰囲気は、不活性ガス雰囲気が好ましい。具体的には、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気が挙げられる。
【0022】
乾燥は、減圧下で行っても、常圧下で行っても、加圧下で行ってもよいが、減圧下が好ましい。乾燥における圧力条件は、0.1〜50kPaが好ましく、0.5〜20kPaが好ましく、1〜10kPaが好ましい。
【0023】
加圧条件の場合は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを流通させながら加圧してもよい。不活性ガスを流通させることにより、大気への暴露を防ぐことができる。
【0024】
上記の乾燥後、ハロゲン化リチウムを動かしながら、さらに加熱して、追加乾燥を行うことが好ましい。追加乾燥は、上記乾燥後、そのまま昇温してもよく、また、一旦冷却後昇温させてもよいが、そのまま再昇温することが好ましい。追加乾燥を行うことにより、乾燥体の付着を生じることなく、ハロゲン化リチウムの水分量をさらに低減することができる。
【0025】
追加乾燥の温度は130℃以上であることが好ましく、140℃以上がより好ましい。上限は、装置の仕様にもよるが、200℃以下が好ましく、例えば、180℃以下、160℃以下としてもよい。
【0026】
追加乾燥の温度以外の他の条件は、上記乾燥の条件と同様である。
例えば、70℃以上110℃以下で、2時間以上8時間以下加熱(初回乾燥)した後、追加乾燥として130℃以上160℃以下で、2時間以上8時間以下加熱する。
【0027】
ハロゲン化リチウムを動かしながら乾燥するために、振動乾燥機を用いることが好ましい。
【0028】
振動乾燥機では、間接加熱で乾燥を行うと共に、本体を振動させることで内部に入れたハロゲン化リチウムを振動させて、ハロゲン化リチウムを上下流動させて均一に乾燥させることができる。
【0029】
ハロゲン化リチウムとともに粉砕用メディアを入れて、ハロゲン化リチウムに圧縮、衝撃、せん断、摩擦等の作用を効果的に与えてもよい。粉砕用メディアとしては、例えばアルミナ、ジルコニア、炭化珪素等のセラミックス製のボールが挙げられる。
【0030】
振動乾燥機の内壁は、ステンレス製が好ましい。また、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素等のセラミックで被覆してもよい。
振動乾燥機の外壁には、熱媒体を用いて温度調整を可能にする機能を付与することが好ましい。
【0031】
振動乾燥機は、回分式及び連続式のうちいずれでも用いることができる。
【0032】
本発明の方法により製造される乾燥ハロゲン化リチウムの含水量は、450ppm以下が好ましい。400ppm以下がより好ましく、350ppm以下がさらに好ましい。下限値は、特に限定されないが、通常10ppm以上である。
【0033】
ハロゲン化リチウムの乾燥に用いた装置からの抜出は、窒素雰囲気下、ドライルーム内等で行うことが好ましい。抜出後、窒素又はドライエア下で、気密性の保持できる容器に保存することが好ましい。
【実施例】
【0034】
実施例1
小型振動乾燥機まめかんVH型(中央化工機製)内に備え付けられた容器に、ヨウ化リチウム(和光純薬製、無水物)101.5gを投入した。投入後、真空ポンプで内圧が3.4kPaとなるよう減圧し、振動(振動数1500rpm,振幅3mm)させながら、容器の内壁温度を85℃に昇温させた後、4時間乾燥させた。乾燥後、乾燥したヨウ化リチウムを回収した。
【0035】
回収したヨウ化リチウムの重量と投入したヨウ化リチウムの重量から、以下の式により、内壁に付着して回収できなかったヨウ化リチウムの付着率を求めた。
付着率={(投入重量)−(回収重量)}/(投入重量)×100(%)
付着率は、0.79%であった。付着率が極めて低いことから、内壁への付着がほとんど無いことが分かった。
【0036】
乾燥したヨウ化リチウムの水分量は、330ppmであった。
尚、乾燥前のヨウ化リチウムの水分量は、3440ppmであった。乾燥前のヨウ化リチウムは「無水物」であるが、ヨウ化リチウムの試薬には「ヨウ化リチウムn水和物」も存在するため、これと区別するための名称である。
上記の分析結果の通り、乾燥前の無水物のヨウ化リチウムはn水和水を除去しているが、1%以下(10000ppm以下)程度、例えば0.1〜1%(1000〜10000ppm)程度の水分を含んでいる。
水分濃度は、カールフィッシャー水分計で測定した。
【0037】
回収したヨウ化リチウムを目視で観察し、凝集の有無を評価した。回収したヨウ化リチウムに凝集はなかった。
【0038】
実施例2
内壁温度を145℃、乾燥時間を6時間、原料の量を表1のものとした以外は、実施例1と同様にして乾燥ヨウ化リチウムを製造し、評価した。
一定量が乾燥機内壁に付着した。結果を表1に示す。
【0039】
実施例3
原料の量と内圧を表1のものとし、85℃、4時間加熱後、内壁温度を145℃に昇温し、さらに5時間の追加加熱した以外は、実施例1と同様にして乾燥ヨウ化リチウムを製造し、評価した。結果を表1に示す。
一度十分に乾燥したものであれば、追加加熱しても付着率は極めて低くなること、即ち、内壁への付着はほとんど無いことが分かった。
【0040】
実施例4、5
原料の量、内圧、内壁温度、乾燥時間を表1に示したようにした以外は、実施例1と同様にして乾燥ヨウ化リチウムを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0041】
実施例6
振動乾燥機VU30型(中央化工機製)に、ヨウ化リチウム(無水物)2.8kgを投入した。投入後、真空ポンプで内圧が4.4kPaとなるよう減圧し、振動(振動数1500rpm,振幅3mm)させながら、容器の内壁温度を90℃に昇温させた後、4時間乾燥させた。90℃、4時間加熱後、内壁温度を146℃に昇温し、さらに2時間加熱した。乾燥後、乾燥したヨウ化リチウムを回収した。
【0042】
得られたヨウ化リチウムについて実施例1と同様に評価した。
ヨウ化リチウムの付着率は1%未満であった。付着率が極めて低いことから、内壁への付着がほとんど無いことが分かった。
また、乾燥したヨウ化リチウムの水分量は60ppmであった。尚、乾燥前のヨウ化リチウムの水分量は1600ppmであった。
回収したヨウ化リチウムを目視で観察し、凝集の有無を評価した。回収したヨウ化リチウムに凝集はなかった。
【0043】
実施例7
振動乾燥機VU30型(中央化工機製)に、臭化リチウム(本荘ケミカル製、無水物)5kgを投入した。投入後、真空ポンプで内圧が4.4kPaとなるよう減圧し、振動(振動数1500rpm,振幅3mm)させながら、容器の内壁温度を150℃に昇温させた後、6時間乾燥させた。乾燥後、乾燥した臭化リチウムを回収した。
【0044】
得られた臭化リチウムについて実施例1と同様に評価した。
臭化リチウムの付着率は1%未満であった。付着率が極めて低いことから、内壁への付着がほとんど無いことが分かった。
また、乾燥した臭化リチウムの水分量は40ppmであった。尚、乾燥前の臭化リチウムの水分量は3400ppmであった。
回収した臭化リチウムを目視で観察し、凝集の有無を評価した。回収した臭化リチウムに凝集はなかった。
【0045】
比較例1
ヨウ化リチウム2.0gを、50ml枝管付シュレンクビンに投入し、減圧下、オイルバスにて150℃に加温し、2時間乾燥させた。
乾燥したヨウ化リチウムは、ひとかたまりとなり、凝集していた。窒素下で抜き出して、乳鉢粉砕し、乾燥ヨウ化リチウムを回収した。この乾燥ヨウ化リチウムの水分量を実施例1と同様に評価した。水分量は520ppmであった。
【0046】
比較例2
温度を100℃、乾燥時間を6時間とした以外は、比較例1と同様に乾燥ヨウ化リチウムを製造し、評価した。
乾燥したヨウ化リチウムはわずかにかたまっていたが、簡単に粉末化することができた。水分量は820ppmであった。
【0047】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明により製造された乾燥ハロゲン化リチウムは、医療、電池材料の原料、特に心臓のペースメーカ等の高寿命バッテリーとして使用できる。